採用管理システムとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説

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  • 採用管理システムとは、採用業務や採用に関する情報を管理できるシステムである
  • 採用管理システムの導入で、選考状況の可視化や、より効率的な採用に期待できる
  • 採用管理システム導入の際は、機能やコスト・導入形態が自社に適しているか確認する

採用管理システムは、採用業務や採用に関する情報をデータ化して管理するシステムです。面接の設定や自動連絡などで作業を効率化でき、中小企業にもおすすめです。本記事では、採用管理システムの導入を検討中の方のために、機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。

目次

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  1. 採用管理システムとは?
  2. 採用管理システムの主な機能一覧
  3. 採用管理システムのメリット
  4. 採用管理システムのデメリット
  5. 採用管理システムの選び方
  6. まとめ

採用管理システムとは?

採用管理システムとは、採用業務をデータ化し効率的に管理するシステムです。ATSとも呼ばれ、応募者受付から採用決定までにかかる複雑な業務を、ひとつのシステム上で一元管理できます。

採用担当者が抱えるタスクは、応募者の管理や採用イベント誘致、面接官との日程調整や選考の進行状況など多岐に渡ります。採用管理システムを取り入れることで、これらの煩雑な採用業務を一括管理・社内共有が可能になるため、採用業務の効率化と可視化が図れます。

採用管理の課題

企業にとって社員は大切な財産のひとつです。社員となる人材を確保するための採用業務は、応募者の選考以外にも採用イベントや求人媒体での母集団形成など多岐に渡り、採用担当者の負担が増える要因にもなっています。

採用にかかる負担を軽減し、採用担当者が本来の業務に専念できるようフォローするのが採用管理システムです。採用管理システムを導入していない企業が抱える課題を洗い出し、システムの導入がどのようにして課題を解決するのか解説します。

人事担当者の作業負担が大きい

採用に関わる業務は、社内各署に必要な人材の調査、広報活動や応募者への対応、面接の日程調整、内定者のフォロー、入社後の新入社員教育など多種多様です。

また、時間が経ち他の企業へ流れてしまうという事態を防ぐためにも、採用選考はスピード感が必要になります。業務の煩雑さやリアルタイムな対応が求められることも、採用担当者の負担が大きくなる要因といえるでしょう。

採用の進捗状況を把握しにくい

新卒採用で多くの人材を確保したい場合、短期間に複数の人事スタッフが同時進行で採用活動する機会が増えます。複数の求人サイトを利用しているケースも多く、何件の内定が出たのか、どの段階の学生が何人いるのかといった把握が難しくなります。

応募者数の多い人気の企業の場合、人事スタッフが多ければ多いほど情報共有は難しいので、採用業務は非常に困難といえるでしょう。

人為的ミスが起こる可能性がある

応募者への個別対応は何度もあり、複数人を担当するとどうしても抜けが発生してしまいます。質の良い応募者を小さなミスや遅れで逃すのは、大きな損失といえるでしょう。

また、セミナー参加や面接案内だけでなく、日程調整や当日の出欠の確認などの作業は煩雑なうえに正確さが求められるため、多くの時間が割かれ、人件費の増加につながります。

中小企業でも採用管理システムの導入はおすすめ

特に中小企業の場合は、通常の業務と採用業務をひとりで兼務していることもあるため、普段の業務が思うように進まない場合もあります。

採用管理システムを取り入れることで、応募者情報の管理・データベース化や連絡対応など採用にかかる業務のシステム化・一元管理ができるので、採用担当者の負担軽減へとつながります。

採用管理システムの主な機能一覧

紙やExcelなどで採用管理を行っている場合、採用管理システムの導入によりさらなる効率化と担当者の負担軽減が期待できます。ここからは、採用管理システムに搭載されている主な機能を解説していきます。

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機能主な内容
求人案件の管理複数の求人サイトでの情報を一元管理
求職者情報の管理どの応募ルートからも一括でやりとり可能
選考状況の管理応募者に関する情報を一括表示・分析
内定者の管理内定者の管理・フォロー機能あり

求人案件の管理

採用管理システムでは、自社の求人ページ・他社の求人サイトのどちらの求人案件も管理が可能です。それぞれ、採用管理システム上での機能を使うことでどんな効果があるかを解説します。

自社の求人ページの管理

採用管理システムによっては、自社採用WEBページの作成が可能です。魅力的な採用ページを用意することで自社採用の割合が増え、外注コストの削減が見込めます。

さらに、自社採用ページで期待できることに採用ブランディングを構築できることもあります。採用ブランディングが求職者へ浸透することで、自社が求める人材からの応募が増えることが期待でき、採用活動の効率化も図れます。

また、会社の基本情報の他にも動画・写真・インタビュー記事など社内のよりリアルな情報を応募者に届けることで、入社後のミスマッチを減らすことができます。

求人サイトとの連携

採用管理システムでは、情報の一元管理ができるだけではなくデータの蓄積・分析も行えます。会社全体の視点で考えると、採用活動でも効率化を求めて数値目標を立てることが大切です。

複数の求人媒体と連携して採用活動を行う際、求人媒体ごとの採用率に差があることなどが分析データから明らかになります。取引を続ける求人媒体の見直しなどの対処法も練りやすくなります。

求職者情報の管理

採用管理システムでは、どの応募ルートからのメッセージも一括で管理・送信ができます。採用活動においては、複数の求人媒体と連携して進行することも多いことでしょう。

システム利用しない場合、応募者との連絡はそれぞれの求人媒体を通じて行う必要があり、さらに求人媒体ごとに採用担当者がいる場合は、管理が複雑になり連絡漏れの恐れもあります。

採用管理システムでは、複数の求人媒体を一括管理できるうえに応募者へのメッセージ自動送信機能もあるため、連絡漏れのリスクを防げます。

選考状況の管理

採用管理システムには、応募者ごとにダッシュボードで分析結果一覧を表示する機能があります。応募者ごとのプロフィール・選考状況・評価情報などすべてのデータが表・グラフで視覚化され、特定の気になる項目を詳細表示させることも可能です。

一元的にデータ化されたものを閲覧できるため、採用活動の課題点が明確になります。

内定者の管理

採用管理システムには、内定者の一括管理・フォロー機能もあります。主な目的は、内定者が入社するまでに感じた不安や疑問に対して、システムを通じて適切なフォローを行い、内定辞退や早期退職などの離脱を減らすことです。

さらに、内定者への連絡や入社書類の提出状況の把握、内定者研修・懇親会の設定、バーチャルのオフィス見学などの機能が付いているものもあり、管理の効率化と内定者の早期戦力化ものぞめます。

採用管理システムのメリット

採用管理システムには、コスト削減、採用業務の効率化および一元化・共有が可能、人為的ミスを減らせるなど多くのメリットがあります。以下に、採用管理システムのメリットを解説します。

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選考状況をリアルタイムで把握できる

採用管理システムでは、管理画面上で応募者ごとの選考状況をリアルタイムで確認できます。返信のない応募者の洗い出しや、対応漏れがないかの確認を短時間で済ませることが可能です。

選考状況以外にも、プロフィールや採用担当者など応募者情報を一括して確認できるので、採用業務が予定通り進行しているかという進捗管理にも役立ちます。

採用業務の効率化が図れる

採用管理システムでは、複数のフィールドで行っていた求人媒体との連携・入力・管理など多くの業務を一元化できます。複数のツールを使用しての管理は効率がいいとは言えず、採用担当者の負担は大きいです。

システムを導入すれば一括管理ができるため、本来の業務時間を最大限確保できます。また、採用業務の効率化が進むことで応募から採用までの期間が短縮され、優秀な人材の取り逃がし防止にもなります。

採用に関わるコスト削減が可能

業務の効率化により、採用関係にかかっていた人件費の削減が可能です。採用業務の効率化が進むことで作業時間が短縮され、本来の業務に充てる時間の確保ができます。

従来の採用業務では本来の業務が進まず残業するケースもあるため、大幅なコスト削減が見込めます。

セミナーや面談を自動設定できる

採用担当者にとって、応募者多数の場合には説明会・面接日程・合否通知などの案内を漏れなく行うことは、大きな負担です。

採用管理システムでは、応募者への連絡業務を一括して自動化が可能なため、採用業務の基幹となる応募者の選考に注力できます。

人為的ミスの軽減・防止ができる

採用管理システムには、面接・選考スケジュールを自動調整できる機能もあります。システムによっては、自動調整した日程に変更が出たときに応募者へメッセージが自動送信される機能があります。

この機能によって連絡漏れなどの人為的なミスを防げ、採用の機会を逃すリスクを減らせます。

より効果的な採用活動が行える

採用管理システムは過去の応募者のすべての情報を保管できるため、蓄積したデータからの分析も可能です。この分析により、採用業務の課題点が見つけやすくなります。

採用担当者の経験や勘に偏らない自社独自の人材データベースが作れるため、採用戦略を立てやすくなり、より効果的な採用活動が行えます。

選考データの可視化・共有ができる

採用管理システムでは、採用に関するすべての情報を一元管理・共有できるため、担当者の離席が原因で仕事の流れが止まることを防げます。誰が見てもわかりやすくデータが可視化されているので、採用業務が滞ることなく進められます。

採用管理システムのデメリット

採用管理システムには多くのメリットがありますが、導入方法によってはデメリットが発生することもあります。以下にデメリットの可能性について解説します。

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ランニングコストがかかる

採用管理システムは、導入費だけでなくランニングコストもかかります。多くの採用管理システムにおいて導入時の料金と月額または年額の利用料が必要で、一般的には機能が充実しているシステムほど利用料が高い傾向があります。

採用数が比較的少ない企業では、使わない機能はできるだけカットして費用対効果を意識することも大切です。自社にとって必要な機能を吟味して、コストパフォーマンスを考慮した採用管理システムを選びましょう。

従来の採用方法を変える必要がある

採用システムを導入すると、紙の履歴書をファイリングしたり経営陣との面接調整や採用通知をシステムからすべて行う方式に変わります。社内で従来行ってきたやり方を見直す必要があり、新しい採用業務の構築に時間を要します。

システムの定着に時間がかかる

採用管理システムは、採用に関わる社員全員の使用が想定されます。紙やExcelでの管理に馴染んでいる場合、システムの操作に慣れるまでに時間を要したり、システムの導入自体に前向きでない社員が出る可能性もあります。

社内でのフォローアップ体制を用意するのも、システム導入を成功させるひとつの対策方法です。

採用管理システムの選び方

最近は多くの採用管理システムがあるため、どのシステムを選ぶべきかわからない方もいることでしょう。ここでは、採用管理システムを選ぶ際のポイントを解説します。

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導入の目的をはっきりさせておく

採用管理システムにより機能が異なるため、システムを導入して何を改善したいのか明確にしておきましょう。採用担当者の残業時間を減らしたいのであれば、最も時間がかかっている作業の効率化が狙える機能が備わっているシステムを選びましょう。

導入目的が不明瞭な状態で導入すると、本当に必要な機能がないなんてことになりかねません。自社に向かないシステムだと導入しないほうがやりやすい可能性もあるため、導入目的や必要な機能は必ずはっきりとさせましょう。

導入形態を確認

採用管理システムには、クラウドサーバ上にデータを保存するクラウド型と、ソフトウェアを購入してインストールするオンプレミス型の2種類があります。

採用管理システムの導入を検討する際、まずは自社に合った導入形態を確認する必要があります。ここでは、クラウド型とオンプレミス型それぞれのメリットとデメリットを解説します。

クラウド型

クラウド型採用管理システムは、インターネット環境でオンライン上のサーバーにある既成のシステムを利用する形態です。クラウド型のメリット・デメリットを以下にまとめました。

メリットデメリット
インターネット環境でどこでも利用可能セキュリティへの注意が必要
導入・運用コストを抑えられる予算オーバーを防ぐための工夫が必要
クラウド提供元でトラブル対応可能必要な機能を実装できない可能性がある

メリットは、ハードウェアを自社で準備する必要がないため、イニシャルコストを抑えられる点です。システム構築への高度な知識がなくても利用でき、クラウド提供元がシステムのトラブル対応を行います

デメリットとしては、クラウド提供元が用意した機能の中から必要なものを選択するため、自社にとって必要な機能を実装できないケースがあります。

また、セキュリティ対策は提供元に任せる形になるため、セキュリティ対策が万全な提供元を選ばなくてはなりません。さらに、料金体系が従量制の場合、予算オーバーしないための工夫も必要です。

オンプレミス型

オンプレミス型採用管理システムは、自社ネットワークにサーバーや通信回線を準備し、システム構築して運用する形態です。オンプレミス型のメリット・デメリットを以下にまとめました。

メリットデメリット
柔軟性が高く独自のカスタマイズが可能システム構築の初期コストが高額
セキュリティ対策が万全トラブル時には自社で対応が必要

メリットとしては、カスタマイズの自由度が非常に高い点が挙げられます。また、他企業とインフラを共有しないため、機密情報が守りやすく、安定したセキュリティ環境での運用が可能です。

一方のデメリットは、サーバー設置や運用コストが高額になることがあげられます。また、ハードウェアやシステムのトラブル時の対応を自社で行うことになるため、システムに精通した社員のフォローが必須です。

採用したい雇用形態にあわせる

メインで採用したい雇用形態に強いシステムを選びましょう。システムの中には新卒・中途・アルバイトなど、特定の雇用形態に特化したものもあります。採用したい雇用形態の採用に力を入れているシステムを選べば、より効率的な採用が期待できます。

複数の雇用形態の募集をしたい場合は、特化していないバランスのとれたシステムがおすすめです。

コストを確認

多くの採用管理システムは、導入時だけでなく運用にもコストが発生します。そのため、自社に必要な機能が備わっているかを洗い出すことがもっとも重要になります。

システムが多機能になるほど料金も高額になるケースが多いため、必要な機能の過不足をリストアップし、不要なコストはカットしましょう。

データ分析・レポート機能は十分か

採用管理システムには、データの収集・分析が自動でできる機能もあるため、採用担当者の負荷の軽減が見込めます。標準的な分析項目があれば充分なのか、独自の分析軸にも対応可能なのかもシステムを決める際の大切な要素のひとつです。

他サービス・求人媒体と連携できるか

採用業務で取引している求人媒体やサービスがある場合、該当するサービスと連携可能な採用管理システムを選べば、導入後もスムーズに効率化が進められるでしょう。

採用管理システムによっては、応募者とのやり取りがメール・コミュニケーションアプリなどの連絡機能を使い分けができるため、連携機能は入念に確認しましょう。

サポート体制・セキュリティ対策を確認

採用管理システム導入後の不明点や、トラブルに関するサポート体制を確認しましょう。対応可能な時間帯も確認しておくと、万が一のときも安心です。

また、システム上では応募者の機密情報も含まれているため、情報漏洩のリスクを防ぐためにセキュリティ対策が手厚いかも確認してください。

無料トライアルなどでテスト運用を行う

採用管理システムを選ぶ際は、高度な知識を持つ一部の社員だけでなく、関係者すべてが使いやすいかという観点も大切です。無料トライアルを設けているシステムを選び、導入前に使用感を確かめるのがおすすめです。

まとめ

採用管理システムは、導入する目的を明確にして活用することで、煩雑な採用業務の一括管理効率化のサポートとコスト削減が望めます。

現在、採用管理システムは数多くリリースされていますが、機能や得意分野が異なるため、導入を検討する際には自社のニーズや課題点と照らし合わせてシステムを選ぶことがもっとも重要です。

その上で、採用業務を一元化・共有することで社内間の連携を促進していくことが、採用業務に関わる課題点を解決する鍵となることでしょう。

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