会社が副業を禁止する本当の理由

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会社に勤めながら副業を始めたいけれど、就業規則で禁止されているためにできない、という声をよく聞きます。

副業ブームと言われる中にあって、会社は何を理由に副業を禁止しているのか、どんな種類のビジネスなら副業とみなされにくいのか、改めて考えてみましょう。

なぜ企業は副業を禁止しているのか

近年、サラリーマンの副業が、社会的に推奨されるようになっています。

かつての企業文化では、正社員として働きながら別の仕事に手を染めることは、本業に対する不真面目さを意味し、会社への貢献を怠る不良社員と見られることが少なくありませんでした。

しかし、2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除したことで、会社に所属しながらの副業は政府のお墨付きを得たことになり、それ以降サラリーマンの副業ブームとも呼べる動きが社会に広まりつつあります。

しかし、そこに立ちはだかるのが企業の旧態依然とした働き方のルールです。

副業を推進する政府の意向にも関わらず、社内の就業規則で副業の禁止を明記している会社は依然として多く、経団連の2020年の調査(※)によると、副業を認めている会社は調査対象のうちの約22%、つまり7割以上の会社が副業を容認していないことが分かっています。

※ https://www.keidanren.or.jp/policy/2021/090_honbun.pdf

また、表向きは副業を禁止してはいないものの、社員が外部で収益を得ることに対して露骨な不快感を示す風土の会社も多く、副業をしている社員が閑職に左遷されたり、社内で悪評が立って居づらくなったりするケースは珍しくないようです。

なぜ、企業は社員の副業を制限しようとするのか、その主な理由としては次の3つが挙げられます。

社員の労働時間を管理できない

副業で大きな問題になるのが、労働時間の増加です。

サラリーマンをしながら副業をする場合、就業時間後や休日に働くことになりますが、会社としてはその時間を本業での疲れを取るための休養に充てて欲しいところ。

プライベートで副業をすることで充分な休息時間が取れないと、本業のパフォーマンスに悪影響が出るのは必然です。

副業を始めることで、社員の労働時間の全体が見えず、疲労の度合いが把握できなくなるのは、会社にとって大きなデメリットです。

情報や技術の流出リスクがある

サラリーマンが副業をするということは、所属する組織の外部で働く機会が増えることを意味します。

しかし、そうなると会社で得た業務上の知識や技術が、他の職場で使われる可能性が出てきてしまいます。

顧客情報や製品情報などの社外秘のデータを漏らすのは論外としても、副業の過程で、会社固有の習慣や技術が外部に晒されることは避けられず、自社の強みとも言えるノウハウが社外に拡散してしまう恐れがあります。

転職や独立のきっかけになる

副業に興味のあるサラリーマンの多くは、強い自立志向を持つ傾向にあり、副業をはじめたことでそれに火がつき、転職や独立のきっかけになるのは珍しくありません。

副業を志して実現するタイプの社員は、優れた行動力と向上心を兼ね備えており、会社としても得難い人材である可能性が高いでしょう。

そういった優秀な社員が会社を離脱する契機となりうる副業は、会社にとって迷惑以外の何者でもありません。

また、副業をきっかけに社員が他社に引き抜かれるのも、決して珍しい話ではありません。

副業をする時点で、本人がそのビジネスに興味を持っているのは明らかで、実際に働いてみて適性があると分かれば、会社を移籍する話が出るのは自然の成り行きでしょう。

せっかく育てた人材が、副業によって他社に流出するのは会社としては認めがたいことで、できれば外の世界に目を向けずに、自社の仕事に専念して欲しいというのが正直なところでしょう。

一方で社員の副業は、会社にとってのメリットがないわけでもありません。

例えば、副業を始めることで社員が会社の業務では得られない経験を獲得し、副業を通じて得た人脈が、会社のビジネスに貢献することも充分に考えられるでしょう。

しかし、そういったメリットを考慮しても、社員が副業を始めることは、会社側にとってデメリットの方が大きいと考えられているのは間違いありません。

副業解禁の政府の号令にも関わらず、サラリーマンの働く現場では副業に対して厳しい逆風が吹いているのが現状と言えます。

副業を禁止する法律上の根拠は?

世の中の多くの会社は副業を禁止していますが、これはどのような根拠に基づいたルールなのでしょうか。

まず前提として、日本の法律では副業は禁止されていません。

日本国憲法は第22条で「職業選択の自由」を明記しており、これは副業が憲法で規定された国民の権利の一部であると解釈する根拠となります。

日本国憲法第22条

第二十二条

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

②何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

(出典: 電子政府の総合窓口 e-gov 日本国憲法第22条

副業が法律で規制されていない以上、会社員が副業をすることに対する法的な罰則は一切ありません。

もちろん、副業によって会社に深刻な損害を与えたケースなどでは事情が変わってきますが、社員の就業時間外での副業を制限する法的な根拠は、存在しないということです。

会社員が副業を禁じられているのは、所属する会社の社内ルールである「就業規則」に準じた規制で、副業が会社にバレてペナルティを課せられる場合、就業規則の違反を理由に、あくまで組織内部のルールに基づいて行われます。

就業規則はほとんどの会社で、全社員が読める形式で公開されているので、副業や罰則についてどのような規定が定められているのか、一度調べてみることをおすすめします。

就業規則による会社員への罰則には、以下のような種類があり、副業を禁止している会社で副業をしていることが明らかになった場合、これらのいずれかが適用されるのが通例です。

  • 戒告、譴責
  • 減給
  • 出勤停止
  • 降格
  • 諭旨解雇
  • 懲戒解雇

ここで挙げた罰則は下に行くほど処分が重くなり、厳重注意である戒告や譴責(けんせき)では始末書を提出すればそれで済みますが、諭旨解雇や懲戒解雇の処分を下された場合、その社員は会社を辞めなければなりません。

諭旨解雇は、会社が社員に自主退職を促す処分で、形式上は社員が自ら退職を願い出たかたちになるため、キャリアには傷が付かず退職金も満額支払われるのが一般的です。

一方、懲戒解雇の場合は、会社からの強制的な退職となり、退職金は減額もしくは不払いになる上、履歴書への記載義務もあるため、将来的な再就職に影響があります。

副業に対してどのような罰則が規定されているかはその会社によって異なりますが、度重なる注意にも関わらず副業を止めない、社内情報を流用した、同業他社と取り引きをした、会社に大きな損失を与えた、会社の社会的なイメージを損なったなどの悪質なケースでは、もっとも重い解雇処分になることも充分にありえます。

ただし、副業による解雇の是非を裁判で争った事例はいくつもあり、不当解雇であるとして社員側が退職金を勝ち取った事例も少なくありません。

社員の副業は、会社側にとっても一筋縄ではいかない、複雑な背景のある問題です。

副業が就業規則で禁止されている会社にいながら、副業にチャレンジしたい場合は、就業規則をよく読み込んだ上で、会社内部に理解者を作り、過去に副業をしていた社員がいなかったか、どんな働き方なら許容範囲なのかを探りつつ、妥協点を見つけ出す努力が必要になるでしょう。

副業とみなされにくいビジネスは?

副業の禁止が就業規則に明記されているため、副業は最初から諦めているという人もいるかもしれませんが、実は副業の内容次第で見逃されるケースは珍しくありません。

副業についての定義は、実は明確なものはなく、例えば、休日に友達の引っ越しを手伝って謝礼をもらったり、間違って買った日用品をオークションに出品して収益があった場合にも、会社外で現金収入を得たという意味では広い意味での副業に該当します。

しかし、こういったプライベートの活動にともなう副収入を、副業として咎める会社はまずないでしょう。

副業とみなされにくいビジネスについて、代表的な3つの業種を紹介しましょう。

文章を書く仕事

文筆業は伝統的に会社の承認を得やすい副業で、昔から会社員と作家の二足の草鞋を履く人が少なくないことから、実質的に通常の副業とは別枠扱いになっている会社は珍しくありません。

また、就業規則に明文化されていなくても、社員数の多い企業であれば、兼業で文筆業に携わっていた社員が在籍していた可能性があり、過去の事例を根拠に副業の許可を取り付けることができるかもしれません。

もちろん、会社の業務で知り得た内容を、そのまま作品のネタに使うのはNGで、著作を会社に提出するなどの条件が設定される可能性はありますが、比較的副業許可のハードルが低い業種なので、かけあってみる価値はあります。

趣味の制作物の販売

趣味で作った制作物は、販売して対価を受け取れば副業となりますが、これも会社から制限されることは稀です。

手芸品をネット販売したり、イラストや写真を有償で配布したりといった活動は、会社での業務とは無関係な趣味の範囲内で行われている分には、たいていの場合、大目に見てもらえます。

ただし、会社の業務に関連した制作物の場合はその限りではなく、例えばデザイナーとして雇用されている社員が、会社を通さずにデザインの仕事を受注したり、デザインの成果物を販売したりすると、問題になる可能性は高いでしょう。

制作業務の社員として雇用されている人は、自分の創作物がどこまで会社に帰属するのかについて、事前に会社側と決めておく必要があるでしょう。

ネットオークション

冒頭でも触れましたが、メルカリやヤフオクなどのネットオークションで収益を得る行為も、会社から見逃されやすい副業です。

例えば、不用品をネットオークションで売却して収益を得た場合、会社で問題になることはまずないでしょう。

ただし、ネットオークションで日常的に売買を行い、まとまった額の利ざやを継続的に得ている場合は転売ビジネスと見なされる可能性が高くなります。

希少価値の高い商品を高額で売買したり、在庫を大量に抱えるような取引をしたりしている場合も、副業と判断される覚悟をしておきましょう。

また、会社の業務で得た知識を利用した転売や、仕事を通じてもらった商品をオークションで売却する行為は、情報や商品の出どころが判明しやすく、大きな問題に発展しがちです。

こういった仕事上の特権を利用して収益を得ていた場合、解雇などの重い罰則が下される可能性が高いので、充分に注意しましょう。

投資

投資に関しては、副業の定義からは外れるという考え方が一般的で、ほとんどの会社で規制対象となっていません。

特に最近は、確定拠出年金による資産運用を積極的に勧める会社が増えていることもあって、投資に関しては隠すことなく堂々と行って問題ないでしょう。

ただし当然のことながら、会社の業務で知り得た内部情報を利用した株式投資は、インサイダー取引に該当するので、絶対にやってはいけません。

また、FXや仮想通貨のデイトレード(1日に何度も売買を行う短期取引)はギャンブル性が高く、チャートの画面に張り付いて数字の動きに一喜一憂しがちになるので、会社の業務が滞るという問題があります。

投資に関しては節度を持って、仕事に影響の出ない範囲で行うようにしましょう。

副業には明確な定義がないため、会社の業務とは直接的な関係がない仕事や、継続した収入が発生しない仕事は、副業ではないと解釈する余地があります。

しかし結局のところ、何が副業にあたるかを決めるのは会社側のさじ加減ひとつなので、不安な場合は事前に許可を取っておくに越したことはありません。

なお、公務員の場合、副業の制限は一般の会社員よりはるかに厳しくなります。

国家公務員法では、プライベートの時間であっても公務員が営利目的で働くことを禁じており、許可なく副業を行っていた場合には内規ではなく法律に基づいて罰せられます。

副業を黙っていてもなぜ会社にバレるの?

会社が副業を禁止しているなら、会社に隠れて副業をすればいいと考える人もいるかもしれません。

しかし、基本的に副業をしていることは必ず会社にバレます。

その理由について、詳しく解説していきましょう。

副業が会社にバレる原因は住民税の増加

副業が必ず会社にバレる原因は、住民税にあります。

サラリーマンが所得に応じて納める税金には「所得税」と「住民税」があり、所得税は国に納める税金、住民税は居住する自治体に納める税金です。

通常、所得税と住民税は会社が給与から天引き(源泉徴収)しているため、会社員は自分で納税する必要はありません。

しかし副業をしている場合、そこで稼いだ利益にかかる税金は天引きされないため、副業で稼いだ金額を自分で税務署に申告して納税する「確定申告」を行う必要があります。

確定申告で行うのは所得税の納付で、副業分の所得を明らかにした上で納税すればそれで済みますが、問題はもうひとつの住民税の方です。

税務署では、確定申告で明らかになった所得の情報を自治体に送付し、自治体はそれを元に住民税の納付額を決定します。

この住民税の情報は会社に送られて、社員の給与からの天引きによって納税されますが、このときに会社は全社員の住民税の納税額を知ることになります。

その際、住民税の納税額が不自然に増えていると、会社の給与以外で収入を得ていることは明らかなため、副業をしていることが会社にバレるというわけです。

ただし、住民税から分かるのは、あくまで「給与以外の収入があること」だけで、どのような手段によって得た利益なのかまでは分かりません。

そのため、一時的な副業であれば「親の事業を手伝って報酬をもらった」「海外のFX業者を使った為替取引で利益が出た」などの言い訳でその場を凌ぐことは可能ですが、副業で継続的な収益が発生する場合の言い訳としては苦しいで

利益が20万円以下だと会社にバレない?

サラリーマンの副業の場合、利益が20万円以下だと確定申告を行わなくてよいことになっています。

しかし、この20万円ルールの対象はあくまで所得税であって、住民税については個別に自治体に納付しなければなりません。

そのため副業の収益が20万円以下であっても、やはり住民税の増加は会社に把握されることになります。

なお、「副業で得た収益を税務署や自治体に申告しなければいい」と考える人もいるかもしれませんが、これは言うまでもなく脱税にあたり、税務署の指摘を受けた場合は、本来納めるべき税金に無申告加算税や延滞税が加算されることになります。

副業の収益は、住民税が会社を通じて源泉徴収される仕組み上、会社に隠し通すのは困難です。

確定申告の際、住民税の納付方法を会社を通さない「普通徴収」にすることで、副業の税金が会社に通知されるのを防ぐという方法もありますが、これは可能な自治体が限られるため一般化できる手法ではありません。

副業はどう工夫したところで必ず会社にはバレると考えておきましょう。

まとめ

今回は、会社が副業を禁止する理由と、その対策について解説しました。

会社にとって社員の副業は、基本的に喜ばしいことではなく、できれば会社以外の仕事はして欲しくないというのが本音でしょう。

しかし、終身雇用が崩れ、給与も上がりにくくなっている現在、会社以外からの副収入を切実に欲しているサラリーマンは少なくありません。

政府がこういった社会の変化を反映して副業の推進に舵を切った以上は、副業を前提とした社会制度の構築と、新しい働き方のスタイルの確立が求められています。

保守的な企業が、社員の副業を全面的に認める状況が、すぐに訪れるとは考えにくいですが、現状で副業が禁じられているからといって、すぐに諦める必要はありません。

政府の副業推進の追い風を活かしつつ粘り強く交渉し、会社のルールを根本から変えるのが難しいなら、例外を認めてもらえるように掛け合ってみることが重要でしょう。

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