開業届の書き方・出し方|提出期限・必要なもの・e-Taxまで

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開業届は、事業を開始した日から1か月以内に所轄の税務署へ提出する書類です。提出しなくても罰則はありませんが、出していないと屋号入りの銀行口座開設や融資の相談で控えの提示を求められ、手続きが滞ることがあります。

この記事では、個人事業主として独立する方に向けて、開業届の提出期限・提出先・必要なもの・書き方の記入例を整理し、窓口・郵送・e-Tax(オンライン)という3つの出し方の違いも比較します。よくある記入ミスや、青色申告承認申請書との同時提出のタイミングまで、この1本で把握できる内容にまとめました。

  • 提出期限は1か月以内 — 事業を開始した日から1か月以内に所轄税務署へ提出する
  • 提出先は所轄の税務署 — 納税地(原則自宅)を管轄する税務署が窓口になる
  • 出し方は3パターン — 窓口持参・郵送・e-Taxのいずれかから選べる
  • 青色申告を予定なら同時提出が安全 — 青色申告承認申請書とあわせて出すと申請漏れを防げる
  • 開業後の情報発信も早めに検討 — ネットショップやホームページ開設も次のステップの一つ

開業届とは?個人事業主が提出する理由は?

開業届とは、個人事業主が新たに事業を始めたことを税務署に知らせる届出書で、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。

開業届 個人事業主として提出義務があるのは、新たに事業所得・不動産所得・山林所得を生じる事業を始めた人です。会社員が副業で継続的に収入を得るようになった場合や、フリーランスとして独立した場合も対象になります。提出は法律上の義務ですが、提出しなかった場合の罰則規定はありません。

それでも提出しておく実務的なメリットは大きく、屋号付きの事業用銀行口座を開設できる・青色申告(最大65万円の特別控除)を選択できる・小規模企業共済に加入できる・事業用クレジットカードを作成できるといった点が挙げられます。融資の相談時に開業届の控えを求められることも多く、独立のタイミングで出しておくと以降の手続きがスムーズになります。

開業届はいつまでに出す?提出期限は?

開業届の提出期限は、事業を開始した日から1か月以内です。期限日が土日祝日の場合は翌営業日が期限になります。

「事業を開始した日」は、実際に売上が発生した日でなくても構いません。開業準備を本格的に始めた日・最初の取引をした日・店舗の営業を始めた日など、事業者本人が合理的に判断して決めた日を開業日とするのが一般的です。開業日をいつにするかで、青色申告承認申請書の提出期限(後述)や年内の必要経費の範囲も変わってくるため、事業計画と合わせて早めに決めておくとよいでしょう。

  • ※ 1か月以内に提出できなかった場合でも、開業届は期限後でも受け付けてもらえます。出し忘れに気づいたら、できるだけ早く提出しましょう。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書は、新たに事業所得等を生ずべき事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出することとされている。

国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

開業届の提出先はどこ?

開業届の提出先は、納税地を所轄する税務署です。多くの場合、自宅の住所地を管轄する税務署が窓口になります。

納税地には「住所地(実際に住んでいる住民票上の場所)」「居所地(一時的に住んでいる場所)」「事業所(事務所や店舗)」の3種類があり、原則は住所地で届け出ます。自宅とは別に事務所や店舗を構える場合でも、多くの人は住所地を納税地として提出しています。所轄の税務署が分からない場合は、国税庁のサイトで郵便番号や住所から検索できます。

あわせて注意したいのが、税務署への開業届とは別に、都道府県税事務所へ「個人事業開始等届出書」を提出する必要がある点です。これは個人事業税に関する地方税の手続きで、名称・提出期限・必要な添付書類が都道府県ごとに異なります。税務署への提出だけで済ませず、事業所を管轄する都道府県税事務所にも確認しておきましょう。

  • 個人事業税に関する「事業開始等報告書(個人事業開始等届出書)」の提出先・提出期限は道府県ごとに定められており、東京都では事業開始の日から15日以内に都税事務所へ提出することとしている。

東京都主税局「個人事業税の事業開始等報告書」

開業届に必要なものは?

開業届 必要なものとして基本になるのは、届出書本体・マイナンバーが分かるもの・本人確認書類の3点です。

窓口や郵送で提出する場合は、本人確認のための書類も必要になります。事前に用意しておくものを一覧で確認しましょう。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書 — 税務署窓口や国税庁サイトのPDFで入手できる届出書本体
  • マイナンバーが分かるもの — マイナンバーカードまたは通知カード(個人番号を記入するため)
  • 本人確認書類 — マイナンバーカードがない場合は運転免許証等+通知カードの組み合わせ
  • 屋号・事業内容が分かるメモ — 事業所の住所・開業日・事業概要をまとめておくと記入がスムーズ
  • 印鑑(認印) — 押印は必須ではなくなったが、控えの管理上あると安心

e-Taxで提出する場合は、上記のうち本人確認書類の提示や写しの添付が原則不要になります。マイナンバーカード方式で電子署名を付与するため、対面での確認を省略できるのがオンライン提出のメリットです。

開業届の書き方は?項目別に記入例を解説

開業届 書き方の基本は、税務署名・提出日・氏名・住所・マイナンバー・事業の概要を項目ごとに埋めていく形式です。

用紙はA4サイズ1枚で、記入項目自体は多くありません。迷いやすい項目を中心に、記入内容を表で整理します。

記入項目 記入内容・ポイント
税務署名・提出日 納税地を所轄する税務署名と、提出する(見込みの)日付を記入
納税地 住所地・居所地・事業所のいずれかを選び、住所と電話番号を記入(通常は住所地)
氏名・生年月日 本人の氏名・生年月日をフルネームで記入
個人番号 マイナンバーカード等に記載された12桁の番号を記入
職業 「Webデザイン業」「飲食業」など具体的な業種を簡潔に記入
屋号 空欄でも提出可能。事業用の名称を使う場合のみ記入(屋号名義の口座開設に必要)
届出の区分 「開業」に丸をつける(廃業や事務所の移転時は該当項目を選択)
開業・廃業日等 実際に事業を開始した日(または開始予定日)を記入
所得の種類 事業所得・不動産所得・山林所得のうち該当するものにチェック
事業の概要 「〇〇の企画・製造・販売」のように、具体的な業務内容を記入
関連する届出書の提出の有無 青色申告承認申請書などを同時に出す場合は「有」にチェック

開業届の出し方は?窓口・郵送・e-Taxを比較

開業届 出し方には窓口への持参・郵送・e-Taxでのオンライン提出の3つの方法があり、いずれを選んでも受理内容に差はありません。

それぞれ必要なもの・メリット・かかる時間が異なります。お名前.com編集部で3つの方法の違いを比較表に整理しました。

提出方法 必要なもの メリット 注意点・所要時間の目安
窓口持参 届出書・本人確認書類の提示 その場で控えに収受印(相当の記録)を受けられる/不明点をその場で相談できる 営業時間内に税務署へ行く必要あり(待ち時間5〜30分程度)
郵送 届出書・本人確認書類の写し・返信用封筒(控えが必要な場合) 税務署に行かなくてよい/自分のペースで記入できる 信書としての郵送が必要(宅配便・メール便は不可)。提出日は通信日付印の日付
e-Tax(オンライン) マイナンバーカード・利用者識別番号(利用者ID) 24時間(メンテナンス時間除く)提出可能/本人確認書類の提示・写し添付が原則不要 初回は利用者識別番号の取得が必要。パソコンまたはマイナンバーカード対応スマホで完結

控え(開業届のコピーに提出の記録が残ったもの)が必要な場合、窓口持参なら当日その場で受け取れます。郵送の場合は、控えと切手を貼った返信用封筒を同封しておくと後日返送されます。令和7年1月以降、控えへの収受日付印の押なつは行われなくなったため、e-Tax提出時は受信通知(メッセージボックスの受付結果)を保存しておくと、控えの代わりとして扱いやすくなります。

開業届はオンライン(e-Tax)でどう提出する?

開業届 オンライン提出はe-Taxを使えば税務署に行かずに完結し、マイナンバーカード方式ならスマホからも申請できます。

開業届 e-taxでの提出は、大きく分けて次の流れで進みます。

  • 利用者識別番号を取得 — 初めてe-Taxを使う場合はマイナンバーカードでオンライン開設
  • 申請書等作成コーナーや e-Taxソフトを起動 — 「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択
  • 氏名・住所・マイナンバー・職業・屋号・開業日などを入力 — 紙の記入例と同じ項目を画面上で入力
  • 電子署名を付与して送信 — マイナンバーカード方式ならスマホでの署名が可能
  • メッセージボックスで受信通知を確認 — 受付が完了すると通知が届く

e-Taxは通常期であれば平日はほぼ24時間、休日もメンテナンス時間を除いて利用できます。スマホ完結型のマイナンバーカード方式を使えば、パソコンを持っていなくても提出が可能です。青色申告承認申請書など関連する届出書も同じ画面からまとめて作成できるため、開業と同時に複数の届出を出したい人ほどe-Taxのメリットを感じやすいでしょう。

  • e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すれば、所得税・法人税等の申告や各種届出書の提出をインターネット経由で行うことができる。

国税庁「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」

開業届と一緒に出すべき書類は?

開業届だけでは青色申告は使えないため、青色申告を予定している場合は「所得税の青色申告承認申請書」を同じタイミングで提出するのが安全です。

青色申告承認申請書の提出先は開業届と同じ税務署で、最大65万円の特別控除など青色申告のメリットを受けるには、原則その年の3月15日まで(1月16日以降に開業した場合は開業日から2か月以内)に提出する必要があります。開業届と同時に出しておけば、提出漏れの心配がなくなります。

ほかにも、状況によって次の届出書が必要になる場合があります。あわせて確認しておきましょう。

  • 所得税の青色申告承認申請書 — 青色申告(最大65万円控除等)を利用したい場合に必要
  • 青色事業専従者給与に関する届出書 — 家族に給与を払い必要経費にしたい場合に必要
  • 給与支払事務所等の開設届出書 — 従業員やアルバイトを雇う場合、開設から1か月以内に提出
  • 消費税課税事業者選択届出書 — 開業当初から消費税の課税事業者になりたい場合に検討
  • 個人事業開始等届出書 — 都道府県税事務所への地方税の届出(§提出先の章を参照)
  • 新たに事業を開始したときは、事業の内容によって「個人事業の開業・廃業等届出書」のほか、「所得税の青色申告承認申請書」「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」などの提出が必要になる場合がある。

国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」

開業届の書き方でよくある記入ミスは?

開業届の記入ミスで多いのは、屋号の空欄への戸惑い・事業開始日の記載漏れ・マイナンバー記入漏れの3つです。

これから記入する方は、提出前のチェックリストとして活用してください。

  • 屋号欄で手が止まる — 屋号は空欄でも提出できる/決まっていなければ無理に埋めなくてよい
  • 開業日の記入漏れ・後日変更 — 一度提出した開業日は原則変更できないため事前に決めておく
  • マイナンバーの記入漏れ — 個人番号欄が未記入だと窓口で確認・再記入を求められる
  • 職業欄の記載が曖昧 — 「その他」ではなく具体的な業種を書くと後の手続きが分かりやすい
  • 都道府県税の届出を忘れる — 税務署だけで完了と思い込み、個人事業開始等届出書の提出を忘れがち
  • 青色申告承認申請書を後回しにする — 開業届だけ先に出し、青色申告の申請期限を過ぎてしまうケース

開業届を出したあとは何をする?

開業届の提出後は、事業用口座の開設・青色申告の準備・必要な許認可の確認などを順に進めていきます。

開業届の控え(またはe-Taxの受信通知)があれば、屋号入りの事業用銀行口座を開設しやすくなります。会計freeeやマネーフォワードなどの記帳ソフトを使い始めるタイミングとしても、開業直後は好機です。業種によっては保健所や都道府県への許認可申請が別途必要になるため、事業内容に応じて確認しておきましょう。

また、独立を機に自分の事業を知ってもらう手段として、ホームページやネットショップを開設するのも次のステップの一つです。どんな業態がネットショップ・EC事業に当たるのか整理したい方は、まずネットショップ・ECサイトとは何かを確認し、商材別の始め方を知りたい方は商材別ネットショップの始め方を参考にすると進めやすくなります。ホームページの作成方法自体は、自作・フリーランスへの依頼・制作会社への依頼のほか、AIが質問への回答からサイトを自動生成する「AI生成型サブスク」という選択肢もあり、お名前.comのAIホームページパックなどがその代表例の一つです。

開業当初は初期費用を抑えたい方も多いはずです。ホームページやネットショップの立ち上げに使える補助金については、ホームページ作成の補助金(2026年版・3制度比較)や、業種別の補助金活用事例をまとめた記事もあわせて確認しておくと、開業直後の資金計画が立てやすくなります。

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よくある質問(開業届FAQ)

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熊谷 英樹

GMOインターネットグループに20年以上在籍し、広告・Webマーケティング分野で経験を積んできたマーケター。

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