電子契約で起こる相手方との問題と対処法|未導入の場合の対応も解説
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- 相手方と違う電子契約サービスを導入した場合、いずれか一方のサービスを選択する
- 相手方が電子契約サービス未導入の場合、電子契約導入が可能か打診する必要がある
- 電子契約未導入なのに相手方から依頼された場合は、段階的に対応するなどがおすすめ
さまざまな契約書や文書の電子化が進み、電子契約を検討する企業も多いでしょう。しかし、「取引先と異なるサービスを導入してしまった」「取引先が電子契約未導入だった」などの問題が起きる可能性もあります。本記事では、電子契約における相手方との問題と対処法を解説します。
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相手方と違う電子契約サービスを導入している場合の対応

電子契約を利用する場合、契約当事者双方が電子契約に対応していることが前提となります。そのため、相手方が電子契約の仕組みに不慣れであったり、異なる電子契約サービスを利用していたりする場合には、事前の調整が必要になるケースも少なくありません。
異なる電子契約サービスを導入している場合は、契約締結の円滑な進行を確保するために適切な対応が求められます。両者のサービスの機能や特性を比較し、どちらがより適しているか検討しましょう。
ここでは、相手方と違う電子契約サービスを導入している場合の対応について解説します。
どちらかの電子契約サービスを選ぶ
異なる電子契約サービスを利用している場合は、いずれか一方のサービスに統一する方法が一般的です。その際は、契約の信頼性や運用面を踏まえて、どちらのサービスが適しているかを判断しましょう。
判断基準として、法務省の推奨サービスを検討し、セキュリティや認証方法、国際的な法的承認などを評価します。どちらか一方を選び、関係者に明確な方針を共有し合意形成を図ることで、混乱や誤解を回避できます。
ただし、選択後も契約書の管理やアクセスを十分に考慮し、円滑なコミュニケーションを維持することが大切です。
PDFを用意して電子署名を行う
相手方が自社の電子契約サービスの利用に同意しない場合や、異なるサービス同士での締結が難しい場合には、契約書のPDFを用いて対応する方法もあります。具体的には、同一内容の契約書をPDFで2部用意し、各当事者がそれぞれ電子署名を行います。
それぞれが採用する電子署名方法を適用し、双方の署名済みPDFを取り交わすことで、契約内容への合意を明確に示します。
ただし、電子署名による法的な有効性や保管・管理の手続きに注意が必要です。双方の署名済みPDFを保管し、契約締結の証拠として保全することが重要です。
電子契約サービスを利用せずPDFで契約を進める際の注意点
電子契約サービスを使わずにPDFで契約を進める際は、電子署名の方法に注意が必要です。契約の真正性や本人確認を担保するためには、当事者型の電子署名を採用することが望ましいとされています。
当事者型の電子署名では、各当事者が契約書に自身の署名を電子的に行います。そのため、合意と同意が法的に確立され、本人性の確認や改ざん防止の観点で高い信頼性を確保できます。その結果、契約内容や当事者の意思が明確になり、紛争リスクの低減につながります。
電子署名には信頼性が求められるため、適切な認証方法を選択し、契約書の改ざんがないことを証明する必要があります。
相手方が電子契約サービス未導入の場合の対応

相手方が電子契約サービスを導入していない場合、電子契約サービスを導入してもらうよう依頼したり、未導入でも締結できるサービスを利用したりすることが必要です。ここでは、相手方が電子契約サービス未導入の場合の対応について解説します。
電子契約サービスを導入してもらう
相手方が電子契約サービス未導入の場合、トラブルを未然に防ぐ方法として、電子契約の導入を検討してもらうのが有効です。電子契約を利用することで、契約締結の手続きを統一できるため、認識のズレや管理ミスといったトラブルの発生を抑えやすくなります。
また、電子契約には、セキュリティの向上や契約手続きの迅速化、文書管理の効率化といったメリットがあります。これらを踏まえ、相手方の業務負担の軽減やコスト削減につながる点を具体的に説明することで、導入への理解を得やすくなります。
相手のニーズや課題に焦点を当て、共同で利益を最大化することを強調し、導入への協力を促すコミュニケーションが重要です。
相手方が未導入でも締結できる電子契約サービスを利用
相手方が導入に不安を感じる場合は、未導入でも締結できる電子契約サービスがおすすめです。取引相手に必要なのは、メールアドレスのみであり、電子契約を受信するためには追加の費用はかかりません。
契約当事者間が異なる電子契約サービスを利用していたとしても、取引相手に負担をかけずに契約を進められます。契約に関連するメールを取引相手が受信した場合、メール内のURLをクリックすることで認証が行われ、電子署名として機能します。
そのため、取引相手が同じ電子契約サービスを利用していなくても、メールの受信ができれば契約締結が可能です。これにより、相手方が不安を感じることなく、スムーズな契約締結につながります。
相手方が電子契約サービスの導入を拒む主な理由

電子契約サービスの導入を提案しても、相手方から拒否される場合があります。主な理由として、ITリテラシーの不足やシステム操作への不安、法的効力やセキュリティに対する懸念などが挙げられます。ここからは、これらの拒否理由について解説します。
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相手方が電子契約サービスの導入を拒む主な3つの理由
コストへの不安
電子契約サービスの導入には、利用料や送信料などのコストが発生します。そのため、特にこれまで紙の契約で問題なく運用できていた企業にとっては、新たな費用負担が導入のハードルとなるケースがあります。
ただし、電子契約の導入後は、印刷費や印紙税、郵送費といったコストの削減が期待できます。こうした長期的なコストメリットがあるものの、初期段階では費用対効果が見えにくいことから、導入に慎重になる企業も少なくありません。
ITリテラシーやシステムへの不安
電子契約システムの操作に不慣れな場合、導入に抵抗を感じる相手方は少なくありません。従来の紙ベースの契約に慣れ親しんでいる相手方にとって、電子署名の仕組みや認証手続き、システムの操作方法などが複雑に感じられることがあります。
また、新しいシステムの操作を覚える必要があることや、従業員への教育コストを懸念する企業も多いです。このような技術的な障壁により、電子契約の導入に消極的になるケースが多く見られます。
法的効力やセキュリティに対する不安
電子契約は比較的新しい手法であるため、データの安全性や法的な効力について不安を感じる企業も少なくありません。特に、サイバー攻撃によるデータ漏えいや改ざんのリスク、トラブル発生時の証拠能力、長期保存の確実性などについて懸念を持つ場合があります。
従来の紙での契約に比べ、電子契約の信頼性や安全性に確信が持てないことが導入の障壁となっています。
相手方に電子契約サービスを導入してもらう際のポイント

相手方に電子契約サービスを導入してもらう際のポイントはいくつかあります。相手方の意向やニーズを尊重し、柔軟な対応を心がけ、スムーズな電子契約サービスの導入を促しましょう。
ここからは、電子契約サービスを導入してもらう際のポイントについて解説します。
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相手方に電子契約サービスを導入してもらう3つのポイント
セキュリティ面で安全であることを伝える
電子契約は、安全性の高い契約手段であることをしっかりと伝えることが重要です。電子契約では、データ暗号化やアクセス制御、タイムスタンプなどの仕組みにより、契約内容の改ざん防止や本人確認が行われています。
これにより、機密情報や個人データが保護され、不正アクセスや情報漏洩のリスクが低減します。また、自社で実施しているセキュリティ対策についてもあわせて説明すると、相手方の信頼性を高められます。
例えば、定期的なセキュリティ評価や外部専門家による監査などによって、安全性を保証していることを示しましょう。相手方が導入に不安を感じる場合でも、セキュリティの高さと自社の取り組みを説明することが大切です。
電子契約における安全性
電子署名を利用した電子契約は、公開鍵・秘密鍵の仕組みに基づき、安全性を確保できます。署名者は自身の秘密鍵を用いて文書に署名し、公開鍵で署名が検証されます。
この仕組みにより、署名者本人による手続きであることの確認(本人性)と、文書が改ざんされていないことの証明(完全性)が可能になります。そのため、不正な改ざんやなりすましが困難であり、信頼性の高い契約締結を行えます。
公開鍵は広く公開されており、秘密鍵は署名者だけが保持します。また、電子データとして記録が残るため、遠隔での契約であっても証拠としての信頼性を確保しやすいです。
電子契約導入のメリットを伝える
相手方に電子契約サービスを導入するメリットは多岐にわたります。コスト削減もメリットの一つで、用紙や郵送費用が不要になり、手間も省けます。迅速な取引が可能で、物理的な距離に関係なく合意形成が促進されます。
電子契約はデジタル保存で、ファイリングや検索が効率的に行えます。煩雑な手続きを簡素化し、適切なタイミングで通知も可能です。経済的な効果と効率性の向上を通じて、業務の円滑化を図ることができます。
取引先への説明サポートがある電子契約サービスの利用
電子契約サービスによっては、取引先がスムーズに導入・利用できるようなサポートを提供しています。使い方の説明や疑問への迅速な回答など、適切なサポートが取引相手の導入意欲を高め、安心感を提供します。
これにより、効率的で円滑な取引が実現し、信頼関係の構築にも貢献します。取引先向けのサポートがある場合は、その点もメリットとして相手方に伝えましょう。
電子契約サービス未導入なのに電子契約を依頼された場合

自社が電子契約サービスを導入していない状態で、取引先から電子契約を依頼された場合、まずは社内の規定や運用フローを確認しましょう。電子契約に関する社内ルールが整備されていないまま対応すると、契約の管理やセキュリティ面で問題が生じる恐れがあります。
また、電子契約サービスは、段階的な導入がおすすめです。最初に少数の取引で試験導入し、運用の問題がなければ拡大していくことで、スムーズな移行が可能です。取引先との連携も大切で、コミュニケーションを通じて協力を得ながら計画的な導入を進めましょう。
次の章では電子契約導入にあたって、確認したいポイントについて解説します。
電子契約導入に向けての事前確認

電子契約を導入する際には、確認すべきポイントがいくつかあります。法的側面、契約内容、社内規定などが挙げられます。ここでは、導入に向けての事前確認として3つのポイントについて解説します。
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電子契約導入に向けての3つの事前確認
法律上電子契約が可能な書面か
電子契約導入に際し、法律上電子契約が有効か確認が必要です。一部の取引や法的手続きは書面要件を課すことがあり、電子契約がこれを満たすか確認が必要です。また、法律上書面での保管が必要な文書もあります。
これらの文書を電子契約として保管する場合、法的要件を満たすためにデータの整合性、保管期間、アクセス制御などを確保する必要があります。
契約内容の重要度や取引先の信頼性を確認
リスクが高い内容や慎重な稟議が必要な場合、相手先の信頼性も考慮して電子化を検討することが重要です。これまでの取引実績があり、信頼できる取引先であれば、電子契約への移行も比較的スムーズに進めやすいでしょう。
一方で、新規取引先や信頼性に不安がある場合には、契約方法についてより慎重に判断することが求められます。重要な取引ほど電子契約のセキュリティや適法性を検討し、相手先の信頼性とのバランスを取りながら最適な方法を選びましょう。
社内規定の確認
書面から電子契約への移行時には、社内規定の確認をしておきましょう。契約書の保管方法や承認フローが変わることで、既存のルールに適合できない可能性があります。
例えば、電子データでの保管が社内規定上認められているか、アクセス権限の管理方法や保存期間が適切に定められているかを確認する必要があります。また、バックアップ体制やデータの保管期間についても、従来の紙の運用と異なる点を踏まえて見直しましょう。
社内規定は変更される可能性もあるため、電子契約移行後にも定期的に規定の変更をチェックすることが大切です。適切なコンプライアンスを維持するために、社内規定との整合性を保つよう注意しましょう。
契約書のテンプレートの見直し
契約書のテンプレートも、電子契約に合わせて見直しておくことが重要です。書面での契約を前提とした文言のままでは、電子契約の運用と適合しない場合があります。
例えば、「本書2通を作成し、各自署名押印のうえ各1通を保有する」といった紙前提の条項は、電子契約には適しません。そのため、「電磁的記録として作成し、各当事者が保管する」などの表現に修正する必要があります。
また、電子署名やタイムスタンプの利用を前提とした条項を追加し、契約の成立時期や真正性に関する認識を明確にすることも重要です。このように、電子契約の運用に適した形へテンプレートを見直すことで、締結後のトラブル防止やスムーズな運用につながります。
電子契約を導入する際のポイント

電子契約を導入する際には、いくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントを押さえてスムーズな導入を進めましょう。ここでは、電子契約導入の際のポイントを解説します。
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電子契約を導入する際の5つのポイント
導入するサービスにタイムスタンプ機能があるか
タイムスタンプは、契約の作成や署名が行われた時間を正確に記録し、改ざんを防ぐ役割を果たします。この機能により契約の透明性が確保され、法的信頼性が向上します。
タイムスタンプによって、契約に関わる変更履歴を確実に追跡できます。一度記録された時刻は変更できないため、信頼性の高い記録となります。取引の紛争や訴訟時には、正確な契約時刻の証拠として使用でき、法的な信憑性を高めます。
立会人型か当事者型か
電子契約には、立会人型と当事者型の2つのタイプがあり、適切な選択を行う必要があります。立会人型は、契約締結時に第三者を立会人として迎え、その立会いをオンラインで行う方式です。一方、当事者型は契約当事者が、各々オンライン上で電子署名を行う方法です。
立会人型は法的な重要性が高く、重要な契約や法的手続きに適しています。立会人の監督が必要な場合や証拠としての信頼性を求める際に有用です。一方、当事者型は効率的で、契約当事者間の取引に適しています。特にリモートでの取引や簡便な契約に適しています。
どちらのタイプを選ぶかは、取引の性質、法的要件、当事者間の信頼性などによります。電子契約の導入にあたっては、メールを介したコミュニケーションが一般的です。適切なタイプを選び、電子契約の利便性と法的な要件のバランスを考慮することが重要です。
段階的に電子契約に対応していく
システム導入の際は、段階的に導入することをおすすめします。ポイントとしては、取引金額の少ない契約書から電子契約に移行することで、組織内の適応力を高めつつ、リスクを最小限に抑えられます。
重要度の低い契約から始めることで、従業員や関係者が新しいプロセスに慣れていく間に、適切な手順とベストプラクティスを確立できます。このような段階的アプローチによって、組織全体のスムーズな移行が促進され、課題や問題にも柔軟に対応できるようになります。
合意締結証明書を利用
合意締結証明書は、電子契約の成立を客観的に証明し、トラブルを未然に防ぐ役割を果たします。電子契約サービスが提供する合意締結証明書には、誰がどの契約書にいつ合意したかが詳細に記載され、取引の透明性と確実性を確保します。
書面の契約書と組み合わせて利用
電子契約に不安を感じる場合は、書面の契約書と組み合わせて利用する方法もあります。例えば、契約締結自体は電子契約で行いつつ、自社で保管する原本として紙の契約書を作成してもらうことで、デジタルと紙の両方で契約内容を確認・管理できます。
このような運用を行うことで、電子契約を活用しながら、紙の契約書による安心感も得られます。以下では、具体的な手順について解説します。
書面の契約書と組み合わせた契約の利用手順
1.紙の契約書作成と保管
自社または取引先と紙の契約書を作成します。契約書に必要な情報や条件を記入し、関係者が署名・押印します。紙の契約書は従来通り物理的に保管します。
2.電子契約の作成と保管
同じ契約内容を電子契約サービスでデジタル形式で作成します。電子契約に関する情報を入力し、電子的な署名を行います。電子契約は電子ファイルとして保管されます。
3.両方の契約書の関連付け
紙の契約書と電子契約は、契約内容が一致するように確認します。契約書のバージョン管理を行い、どちらも同じ契約を指していることを確認します。
4.契約の履行と管理
取引の実行や変更があった場合、両方の契約書に対して適切な更新を行います。必要な場合、紙の契約書をスキャンしてデジタルデータ化することもできます。
このアプローチによって、電子契約への移行に対する不安を軽減しつつ、取引のデジタル化を進めることができます。
まとめ

異なる電子契約サービスを導入している場合、双方のサービスを確認し、最適なプラットフォームを選ぶことが大切です。合意に至らない場合は、契約書をPDFで作成し、電子署名を行う手段もあります。
また、相手方が電子契約サービスを導入していない場合には、導入のメリットやセキュリティ面の安全性を丁寧に説明し、理解を得ることも重要です。電子契約を導入する際は、社内規定も確認し、段階的に対応していくことでスムーズに導入・運用できるでしょう。
このように、相手方の状況や運用に配慮しながら柔軟に対応することで、トラブルを防ぎつつ円滑な契約締結につながるでしょう。
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