BPOの対象業種一覧|経理・IT・コールセンターなど任せられる業務を解説
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- 「単なる業務委託とBPOの違い」人手不足を解消し、自社のリソースをコア業務へ集中させる戦略的活用法を解説
- 「経理・ITから医療・製造業まで」部門別・業種別にBPOで外部委託できる具体的な業務一覧と活用例を紹介
- 「BPO導入で失敗しないために」メリットや注意点から、ベンダー選びの基準と成功に導く5つのステップを紹介
この記事では、経理、人事、IT、コールセンターといった主要な部門でBPOをどのように活用できるのか、具体的な業務内容を解説します。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、単なる業務委託の域を超え、企業の競争力強化に直結する重要な経営戦略として注目されています。少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革の推進といった社会情勢の中、多くの企業がコア業務への集中と業務効率化を求めています。
この記事を通じて、BPOが企業の経営課題を解決し、持続的な成長を支援するための強力なツールとなることをご理解いただけると幸いです。
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BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは?
BPOとは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略称で、企業の業務プロセス全体を継続的に外部の専門企業に委託する経営手法を指します。これは単に業務の一部を切り出して外部に委託する「業務委託」とは異なり、企画・設計から運用、さらには改善提案までを一貫して外部パートナーが担う点が特徴です。
自社で抱えるノンコア業務の効率化はもちろんのこと、外部の専門的な知見や最新技術を活用することで、業務品質の向上やコスト構造の変革、さらには企業の競争力強化といった戦略的な目的で活用されることが一般的です。
BPOが注目される背景
現代の日本企業においてBPOの活用が広がりを見せている背景には、人手不足の深刻化や働き方改革の推進といった社会情勢の変化があります。少子高齢化に伴う労働人口の減少により、多くの企業が人手不足に直面しており、特に専門性の高いバックオフィス業務やIT関連業務の人材確保は喫緊の課題となっています。
限られた人材を企業の成長に直結するコア業務に集中させるため、定型業務やノンコア業務を外部に委託するBPOへの注目度が高まっています。また、長時間労働の是正や多様な働き方の推進が求められる中で、BPOは業務の効率化と生産性向上を実現する有効な手段となります。
さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に伴うノンコア業務の効率化もBPOを後押ししています。BPOベンダーはRPAやAIといった最新技術を駆使して業務を最適化するノウハウを持っており、自社でゼロからシステムを構築するよりも迅速かつ効果的にDXを推進できます。実際、間接業務BPOの市場規模は2025年度には1兆4,420億円に拡大すると予測されており、不可欠な経営戦略として定着しつつあります。
BPOとアウトソーシングの違い
BPOとアウトソーシングはどちらも業務を外部に委託する点では共通していますが、その委託範囲と目的において明確な違いがあります。一般的な業務委託では、データ入力作業のみなど「特定のタスク」や「単一の作業」を外部に依頼するのが一般的で、社内のリソース不足を補うことやコスト削減が主な目的です。
一方、BPOは、「企画・設計から運用・改善までを含む一連の業務プロセス全体」を対象とします。経理業務であれば請求書の発行から月次・年次決算報告まで、といったように包括的に委託します。単なるコスト削減だけでなく、業務プロセスの変革や品質向上、コア業務への集中を可能にし、企業の競争力を強化することが目的です。
部門別:BPOで委託できる業務一覧
バックオフィス、フロントオフィス、IT部門、そして顧客接点となるコールセンターといった主要な部門ごとに、委託可能な業務内容を解説します。
バックオフィス部門のBPO対象業務
管理部門は定型的な業務が多く、法改正への対応や専門知識が常に求められるため、BPOの活用が特に適しています。
経理・財務・税務
日々の仕訳入力、請求書の発行などの定型業務に加え、月次・年次決算の補助、税務申告に必要な資料作成、資金繰り管理なども対象となります。これにより、経理担当者は戦略的な財務分析などに集中できます。税務関連などミスの許されない領域でも、外部パートナーに委託することでリスクを軽減しつつ高品質な業務が期待できます。
人事・労務・採用
給与計算、社会保険や労働保険の手続き、勤怠管理、年末調整業務などが挙げられます。採用活動においても、応募者の受付、書類選考の初期対応、面接日程の調整といったノンコア業務を外部に委託することが可能です。これにより、人事担当者は採用戦略の立案や人材育成といったコア業務に専念できます。
総務・庶務
代表電話の応対、来客対応、郵便物の仕分け、備品の発注・管理といった定型業務や、会議室の予約管理、社内イベントの運営支援なども委託可能です。総務担当者の負荷を大幅に軽減し、社内環境の改善提案やBCP策定など、より企画性や戦略性の高い業務にリソースを振り向けることが可能になります。
フロントオフィス部門のBPO対象業務
売上に直結する営業やマーケティング活動の一部を外部委託することで、業務効率化と専門ノウハウの活用が可能です。
営業・インサイドセールス
見込み客リストの作成、インサイドセールスによるアポイント獲得、CRMシステムの運用支援、提案資料の作成支援などが対象です。営業担当者はノンコア業務に時間を奪われることなく、顧客との商談や関係構築といったコア業務に集中できる環境を構築できます。
マーケティング
Webサイトの運用、SNSアカウントの投稿管理、メールマガジン配信、オンライン広告運用の効果測定、市場調査といった業務が委託できます。専門的なノウハウを持つベンダーを活用することで、自社にリソースがない場合でも効果的なマーケティング施策をタイムリーに実施できます。
IT部門のBPO対象業務
専門性の高さから人材確保が課題となりやすいIT部門においても、BPOの活用は非常に有効です。
ヘルプデスク・テクニカルサポート
社内からの問い合わせに対応する「社内ヘルプデスク」と、顧客からの技術的な質問に対応する「テクニカルサポート」が含まれます。24時間365日体制でのサポートや多言語対応など、自社だけでは実現が難しいサービスレベルを提供できます。
システム運用・保守
サーバーやネットワークの常時監視、障害発生時の初期対応、データバックアップ、セキュリティパッチ適用などを委託します。インシデントの早期発見と迅速な対応が可能となり、システム停止によるビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。
IT資産管理・キッティング
PCやソフトウェアライセンスの管理、新入社員の入社時に発生するPCのセットアップ(キッティング)業務も対象です。情報システム部門の担当者はこれらの定型作業から解放され、IT戦略の立案などに注力できるようになります。
コールセンター部門のBPO対象業務
企業の顔ともいえるコールセンター部門も、代表的な対象領域です。
インバウンド業務(受信)
商品に関する質問対応、注文受付、予約受付、テクニカルサポートなどが挙げられます。専門的な研修を受けたオペレーターが対応するため、応対品質の安定化と顧客満足度の向上が期待できます。
アウトバウンド業務(発信)
新商品やキャンペーンの案内、アンケート調査、テレアポ、料金の未払い者への督促などが主な業務です。専門的なノウハウに基づいた効率的かつ効果的なコール戦略が実現でき、新規顧客獲得や既存顧客との関係強化に有効です。
業種別:BPOの活用シーンと対象業務の例
各業界特有の課題と、それを解決するためのBPO活用シーンをご紹介します。
製造業
原材料の「購買・調達業務」や「受発注管理」「サプライチェーン管理支援」などがBPOの対象となります。これにより調達コストの最適化や業務の透明性向上が図れます。ただし、導入には初期費用や情報漏洩のリスクなどが伴うため、総合的な視点での慎重な検討が不可欠です。
小売・EC業界
「コールセンター」業務を委託することで、顧客からの問い合わせや返品対応の品質を標準化できます。また、商品の撮影や原稿作成といった「ささげ業務」、繁忙期における「受発注処理」や「在庫データ管理」を委託することで、機会損失を防ぐことが可能になります。
IT・情報通信業
「テクニカルサポート」やシステムの「監視・運用」業務を委託することで、安定したサービス提供が可能になります。また、経理や人事などのバックオフィス業務を効率化し、貴重なエンジニアリソースを開発業務に集中させるケースも多く見られます。
金融・保険業
口座開設や保険契約に関する「申込書のデータ入力・不備チェック」、「契約書類の管理・発送」、「コンプライアンス関連のモニタリング業務」などが適しています。高いセキュリティと厳格なコンプライアンス遵守が求められるため、信頼できるベンダー選びが不可欠です。
医療・介護業界
「診療報酬請求事務(レセプト業務)」や「経理・総務業務」、「コールセンターでの予約受付」などが対象です。個人情報保護などのセキュリティ体制が整備されたベンダーを選ぶことが絶対条件となり、これにより医療従事者や介護士が本来の専門業務に専念できる環境が整います。
BPOを導入する5つのメリット
BPOの導入は、企業の経営戦略に多角的なメリットをもたらします。
1.経営資源をコア業務に集中できる
経理や人事といった定型的なノンコア業務を外部に委託することで、社内の貴重な人材は製品開発や新規事業の企画といった、競争優位性を直接生み出す戦略的な業務に時間と労力を振り向けられるようになります。
2.専門知識の活用による業務品質の向上
BPOベンダーは特定の業務分野におけるプロフェッショナルであり、標準化された業務プロセスや最新の専門知識を有しています。特定の個人に依存することなく安定した品質を維持でき、業務ミスの減少やコンプライアンスの強化に繋がります。
3.コストの削減と変動費化
人件費や採用活動費といった固定費を、業務量に応じた変動費へと転換できます。コストが予測可能となり予算管理が容易になるため、経営層への説明責任を果たす上でも大きな助けとなります。
4.業務プロセスの標準化と可視化
業務を外部に委託する過程で自社の業務フローを分析・文書化するため、これまで属人化していた業務が客観的に可視化されます。これにより業務のボトルネックが特定され、効率化や品質向上といった改善の機会が生まれます。
5.最新技術やセキュリティ体制を導入できる
自社単独では導入が難しいRPAやAIといった最新技術、高度なセキュリティ体制(ISMS認証やプライバシーマークなど)を、BPOベンダーを通じて享受できます。これにより、業務の自動化・高速化と安全な情報保護が両立します。
BPO導入のデメリットと注意点
BPO導入を成功させるためには、潜在的なリスクを事前に理解し、対策を講じることが重要です。
情報漏洩のリスク
機密性の高い情報を外部に委託するため、情報漏洩のリスクが伴います。セキュリティ認証の取得状況や従業員教育の有無などを徹底的に確認し、秘密保持契約(NDA)の内容を精査することが不可欠です。
社内にノウハウが蓄積されにくい
業務を長期間外部に委託し続けると、社内からそのノウハウが失われる「業務の空洞化」のリスクがあります。ベンダーから定期的に業務報告を受け、マニュアルを共同で作成・更新して社内でも共有する体制が必要です。
業務のブラックボックス化
委託した業務の進捗や実態が見えなくなるリスクも無視できません。これを防ぐためには、明確なKPIを設定して定期的にモニタリングし、ベンダーとの定例会議を通じて常に業務状況を把握することが重要です。
コミュニケーションコストの発生
業務の指示や進捗確認など、ベンダーとの間に密なコミュニケーションが求められます。定例会議の設定や緊急時の連絡ルートの明確化、情報共有ツールの活用など、円滑な連携を図る工夫が必要です。
導入・移行にコストと工数がかかる
現状業務の分析、マニュアル作成、ベンダーへのトレーニングなど、初期段階で自社担当者にも大きな負荷がかかります。この準備期間に必要な時間と人員を適切に投入することが、その後のスムーズな運用に繋がります。
失敗しないBPOサービスの選び方と比較ポイント
最適なベンダーを選定するための実践的な比較ポイントを解説します。
委託したい業務領域での実績は豊富か
自社と同じ業界での導入実績があるか確認します。具体的な事例やケーススタディから、どのような課題に対してどのような成果が得られたのかをチェックしましょう。
セキュリティ対策は万全か
プライバシーマークやISMSなどの第三者認証の有無、物理的セキュリティ対策、従業員教育体制、インシデント発生時の対応プロセスなどを具体的に確認することが必須です。
業務範囲の柔軟性と拡張性はあるか
企業の成長に伴う委託範囲の拡大や、季節変動による業務量の増減に対し、ベンダーがどの程度柔軟に対応できるのかを確認します。
費用対効果(ROI)は明確か
単なる料金の安さだけでなく、SLA(サービスレベルアグリーメント)を明確に定め、間接的な効果も含めたROIのシミュレーションを依頼して見極めましょう。
担当者とのコミュニケーションは円滑か
企業の抱える課題を深く理解しようとしているか、質問への回答は迅速かつ的確かなど、担当者との相性やコミュニケーションの質も長期的な関係を築く上で重要な判断材料になります。
BPO導入を成功させるための5ステップ
体系立てられた手順に基づき、計画的にプロジェクトを進めることが重要です。
ステップ1:目的の明確化と課題分析
まず「なぜBPOを導入するのか」という具体的な目標を設定します。その後、現状の業務プロセスを客観的に分析し、解決したい課題を洗い出します。
ステップ2:委託範囲の決定と要件定義
自社のコア業務とノンコア業務を切り分け、委託する具体的な業務範囲を決定します。また、ベンダーに求める業務品質の水準を「要件定義書(RFP)」として文書化します。
ステップ3:BPOベンダーの選定・比較
作成したRFPを複数のベンダーに送付します。各社からの提案内容やこれまでの実績、見積もりなどを、客観的な評価シートを作成して比較することが成功の鍵となります。
ステップ4:業務の引き継ぎと移行
自社とベンダーが密接に連携し、業務マニュアルの作成やトレーニングを実施します。いきなり全ての業務を移管するのではなく、一定期間、並行して業務を行う「並走期間」を設けることが効果的です。
ステップ5:運用開始と定期的な効果測定
運用開始後は、設定したKPIが達成できているかを定期的にモニタリングし、客観的に評価します。月次での定例会などを通じてPDCAサイクルを回し、継続的な業務改善を進めます。
まとめ
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、労働人口の減少や働き方改革といった社会背景の中で、企業が持続的な競争力を維持・強化するために不可欠な経営戦略となりつつあります。
本記事では、経理や人事などのバックオフィス業務から、特定の業種に特化した業務まで、BPOで委託できる幅広い業務内容と活用シーンを解説しました。BPOの導入は、コスト削減に留まらず、コア業務への集中や業務品質の向上を可能にしますが、情報漏洩やブラックボックス化といった注意点も存在します。
成功させるためには、目的を明確にし、自社の課題を深く理解してくれる「信頼できるパートナー」を選定することが何よりも重要です。
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