AI生成(生成AI)とは|5分野マップと業務での使い方【AI事業者ガイドライン第1.2版準拠】

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  • 生成AIとは「新しいコンテンツを作り出すAI」(識別AIとは目的が逆)
  • 業務での生成AI使用 55.2%、個人利用率 26.7%(情報通信白書)
  • 5分野マップ:テキスト・画像・動画・音声・コード
  • 業務の3用途:下調べ・たたき台・要約(最終成果物は人が仕上げる)

「ChatGPTやMidjourneyは触ってみたが、自社の業務でどう活かせばいいか分からない」「テキストも画像も動画もコードも”生成AI”と聞くが、それぞれ何が違うのか整理できていない」──業種や規模を問わず、生成AIの活用を任された担当者からよく聞く声です。実際、業務での生成AI使用は55.2%、個人の生成AI利用率は26.7%(前年9.1%から大幅増)と利用は急拡大しています(総務省・令和7年版 情報通信白書)。

本記事では、経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日公表)の枠組みをふまえ、AI生成(生成AI)の基礎・5大分野マップ・仕組み・業務での3用途・3つのリスク対応まで、Tier1の公的データに基づき体系的に解説します。個人事業主・中小企業・中堅大企業のいずれの規模でも、自社で生成AIを安全に使い始めるための判断軸が得られる内容です。

目次

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  1. 1. 生成AI(Generative AI)とは|識別AIとの違い
  2. 生成AIの5大分野マップ|テキスト/画像/動画/音声/コード
  3. 生成AIの仕組み|基盤モデル・プロンプト・出力の流れ
  4. 業務での生成AI活用|「下調べ・たたき台・要約」の3用途
  5. 生成AIを業務で使う際の3つのリスクと対応
  6. 生成AI vs 識別AI vs 予測AI|使い分けの判断軸
  7. 自社業務に生成AIを取り入れる3ステップ
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|今日からできる3つのこと
  10. 参考文献
  11. 関連記事

1. 生成AI(Generative AI)とは|識別AIとの違い

生成AI(Generative AI)とは、テキスト・画像・音声・動画・コードなどの新しいコンテンツを生成するAIの総称です。 データを「分類・判定」する従来の識別AIとは、目的そのものが逆向きの技術です。

識別AIと生成AIの違い 識別AIは入力を分類・判定する。生成AIは新しいコンテンツを出力する。 識別AI vs 生成AI|目的の違い 識別AI Discriminative AI 目的:データを分類・判定 入力例 ・メールの文面 ・製品の画像 ・センサーの数値 出力例 「迷惑メール / 通常」 「不良品 / 良品」 VS 生成AI Generative AI 目的:新しいコンテンツを生成 入力例 ・自然言語のプロンプト ・参考画像・音声 ・既存テキスト 出力例 文章・画像・動画 音声・コード
図1:識別AIと生成AIの目的の違い(識別AIは判定、生成AIは生成)

「AI生成」と「生成AI」は同じ意味で使われる

検索キーワードとしては「AI生成」と「生成AI」の両方が使われますが、意味は同じです。本記事では、正式な英語表記である「Generative AI」の翻訳語として広く定着している「生成AI」を主に用います。

識別AIから生成AIへの転換点

AIの研究は長らく「識別AI」が主流でした。画像認識、音声認識、迷惑メール判定など、データを分類・判定する技術が中心だった時代です。

2017年にGoogleが発表した「Transformer」と呼ばれるニューラルネットワーク構造をきっかけに、大量のテキストを学習して文章を生成できる大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)が急速に発展しました。2022年11月のChatGPT登場以降、誰もがブラウザから生成AIを使える時代に入り、画像・動画・音声・コードへと生成領域が広がっています。

AI事業者ガイドラインでの位置づけ

経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日公表)では、生成AIは「AIの一類型」として扱われ、識別AIや予測AIと並ぶ重要な領域に位置づけられています。

→ 関連記事:AIそのものの定義や3主体(開発者・提供者・利用者)の整理はAIとは|中小企業が知るべき基礎と安全な始め方で詳しく解説しています。

生成AIの5大分野マップ|テキスト/画像/動画/音声/コード

生成AIの分野は、出力するコンテンツの種類で「テキスト」「画像」「動画」「音声」「コード」の5つに大別できます。 分野ごとに代表的なツールが異なるため、自社業務で何を生成したいかを起点に選ぶのが基本です。

生成AIの5大分野マップ テキスト・画像・動画・音声・コードの5分野と代表ツール例(2026年5月時点、アルファベット順) 生成AIの5大分野マップ 代表ツール例は2026年5月時点・アルファベット順/順位付けではありません テキスト Text Generation 用途 原稿作成・要約・翻訳・ 議事録・FAQ応答 代表ツール例 Claude / ChatGPT / Gemini ほか 画像 Image Generation 用途 挿絵・バナー・コンセプト アート・モックアップ 代表ツール例 DALL-E / Midjourney / Stable Diffusion ほか 動画 Video Generation 用途 短尺動画・モーション・ プロモ素材・絵コンテ 代表ツール例 Runway / Sora / Veo ほか 音声 Audio / Voice Generation 用途 ナレーション・音声合成・ 音楽・効果音 代表ツール例 ElevenLabs / Suno / VOICEVOX ほか コード Code Generation 用途 プログラミング補助・ デバッグ・コードレビュー 代表ツール例 Claude Code / Copilot / Cursor ほか
図2:生成AIの5大分野と代表ツール例(2026年5月時点、各分野アルファベット順)

分野ごとの特徴と注意点

各分野は技術基盤が共通している部分も多いものの、業務での使い方・著作権・コスト構造はそれぞれ異なります。本記事では概要を整理し、各分野の詳細は専用記事で深掘りします。

テキスト生成

最も普及している分野で、ChatGPTの登場で一気に身近になりました。原稿・要約・翻訳・議事録・FAQ応答など、業務での用途が広いのが特徴です。多くの企業がまずここから生成AI活用を始めています。

画像生成

プロンプト(指示文)から画像を生成する技術。挿絵・バナー・コンセプトアートなど、デザイン業務の効率化に使われます。学習データに含まれる作風の再現には、著作権上の論点があるため利用条件の確認が必要です。

→ 詳しくはAI画像生成とは|ビジネス活用と著作権をご覧ください。

動画生成

テキストや静止画から動画を生成する技術。2024年以降に実用レベルが急速に向上し、短尺のプロモーション動画や絵コンテ作成などで使われ始めています。生成1本あたりの計算コストが高く、業務利用は段階的に拡大している状況です。

→ 詳しくはAI動画生成とは|業務での使い方と著作権・ディープフェイクのリスク対応をご覧ください。

音声生成

テキストから自然な音声を合成する技術や、音楽そのものを生成する技術が含まれます。ナレーション制作、アクセシビリティ対応、社内動画の音声化などで活用されます。

→ 詳しくはAI音声とは|業務での読み上げ・文字起こし・議事録活用と声のディープフェイク対応をご覧ください。

コード生成

プログラミング作業を補助する分野。コード補完、関数の自動生成、バグ修正の提案、コードレビュー支援などが代表的な用途です。エンジニアの生産性向上に直結することから、開発現場では2024年以降急速に普及しています。

→ 詳しくはAIプログラミングとは|業務での使い方と著作権・セキュリティ・契約リスク対応をご覧ください。

文章チェック・校正(テキスト分野の応用)

テキスト生成の応用として、AIによる文章チェック・校正もビジネス現場で広く使われています。生成AIが書いた文章の品質確認、人が書いた文章の誤字脱字検出、学術論文での剽窃チェックなどです。

→ 詳しくはAIチェッカーとは|文章の品質を判定する仕組みをご覧ください。

生成AIの仕組み|基盤モデル・プロンプト・出力の流れ

生成AIは「基盤モデル(Foundation Model)」が事前学習した知識をもとに、ユーザーのプロンプト(指示)を解釈して新しいコンテンツを出力する仕組みです。 大量のデータで作られた汎用的な”頭脳”に、用途ごとの指示を出すイメージです。

生成AIの基本フロー 基盤モデル→プロンプト→出力の3段階で生成AIは動作する 生成AIの基本フロー 1 基盤モデル Foundation Model 大量のテキスト・画像・ 音声等で事前学習された 汎用的なAIモデル 例:GPT / Claude / Gemini / Llama 等 2 プロンプト User Prompt ユーザーが入力する 指示・質問・参考データ ★ 業務の質を決める 最重要パート 指示の明確さ・文脈の 提示が品質を左右 3 出力 Generated Output プロンプトに応じた 新しいコンテンツ テキスト / 画像 / 動画 / 音声 / コード
図3:生成AIの基本フロー(基盤モデル→プロンプト→出力)

基盤モデルとは

生成AIの中核は「基盤モデル(Foundation Model)」と呼ばれる、大量のデータで事前学習された汎用的なAIモデルです。代表的なのは大規模言語モデル(LLM)で、GPT・Claude・Gemini・Llamaなどがあります(2026年5月時点、アルファベット順)。

基盤モデルは、ファインチューニング(追加学習)やプロンプトエンジニアリング(指示の工夫)によって、用途別の専用ツールに展開されます。たとえば、汎用LLMをベースに「営業メールの自動生成」「契約書のレビュー」「医療文書の要約」など、特定業務に最適化したサービスが多数登場しています。

プロンプトが業務の質を決める

生成AIの出力品質は、プロンプト(指示)の書き方に大きく左右されます。同じツールでも、指示の明確さや文脈の提示によって結果が変わるため、業務利用ではプロンプトの設計(プロンプトエンジニアリング)が重要なスキルになります。

たとえば「議事録を要約して」だけでなく、「以下の議事録から、決定事項・宿題事項・次回までのアクションを箇条書きで抽出して」のように指示を具体化することで、業務に直接使える品質に近づきます。

→ 詳しくはAIプロンプトとは|業務での書き方の基本で解説しています。

「学習データに依存する」という性質

基盤モデルは学習時点までの情報をもとに動作するため、学習データに含まれていない最新情報や、社内固有の情報は基本的に知りません。これを補うため、検索結果を参照する「RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)」や、社内データをモデルに渡す「コンテキスト注入」といった技術が併用されます。

ただし、RAGを使ってもハルシネーション(後述)はゼロにはできず、最終確認は人が行う前提で運用するのが原則です。

業務での生成AI活用|「下調べ・たたき台・要約」の3用途

業務での生成AIは「下調べ・たたき台・要約」の3用途に整理すると、安全で実用的な活用設計ができます。 いずれも最終納品物は人が仕上げる前提のため、ハルシネーションや著作権リスクを抑えながら生産性を上げられます。

業務での生成AI活用 3用途 下調べ・たたき台・要約の3用途と各用途の例 業務での生成AI活用 3用途 いずれも最終納品物は人が仕上げる前提 1. 下調べ 情報収集の出発点として使う 具体例 ・新規業界の概要を把握 ・専門用語の意味を確認 ・候補案を網羅的に列挙 ★ 注意 数値・固有名詞は 必ず一次情報で確認 2. たたき台 初稿・ラフ案を素早く作る 具体例 ・営業メールのドラフト ・企画書の骨子 ・バナーのコンセプト案 ★ 注意 必ず人が編集・ 校正してから納品 3. 要約 長文を短く整理する 具体例 ・会議録の論点抽出 ・長文資料のサマリ ・メール返信の要点整理 ★ 注意 機密情報の入力は 事前にルール化
図4:業務での生成AI活用の3用途(下調べ・たたき台・要約)

用途1:下調べ

新しい業界・テーマ・専門用語の概要をつかむ出発点として生成AIを使うパターンです。検索エンジンと併用することで、調査の初動を大幅に短縮できます。ただし、生成AIの回答に含まれる数値や固有名詞は必ず一次情報で裏取りしてください。後述するハルシネーションの最大の発生源です。

検索や調査の効率化については、AI検索の活用方法も併用すると効果的です。

→ 詳しくはAI検索とは|検索エンジンとの違いと業務活用をご覧ください。

用途2:たたき台

営業メール、企画書、バナーのコンセプト案など、初稿を素早く作る用途です。ゼロから書き起こすより、たたき台があるほうが人の編集作業は速くなります。ただし、たたき台をそのまま納品物にすることは禁止してください。文体・固有名詞・数値の最終確認は必ず人が行います。

用途3:要約

長文の会議録、資料、メールスレッドなどを短く整理する用途です。会議直後の論点整理や、長文資料の論点抽出に効果を発揮します。注意点は、機密情報を入力してよいツールか事前にルール化すること。社内の議事録や顧客情報を学習に使われない設定のツール(企業向けプラン等)を選びます。

規模別の運用イメージ

規模推奨される始め方
個人事業主・フリーランス1〜2分野(テキスト+画像など)に絞り、低額プランで即試行。月数千円から
中小企業部署横断で1分野から開始、社内利用ガイドを1枚にまとめる。法人向けプランは月3,000〜10,000円/ユーザーが目安
中堅・大企業PoCを部門単位で複数並行、情シス・法務・人事を巻き込んで利用ルールを整備

→ 業務でのAI活用全般についてはAIチャットとは|業務でのChatGPT活用AIアプリとは|業務効率化に使えるアプリも併せてご覧ください。

生成AIを業務で使う際の3つのリスクと対応

生成AIを業務で使う際は「情報漏洩」「ハルシネーション」「著作権」の3リスクに必ず対応する必要があります。 いずれもツール選定と社内ルールで大幅に低減できますが、ゼロにはできない前提で運用設計を組みます。

生成AIの3リスク 情報漏洩・ハルシネーション・著作権の3つのリスクと対応策 生成AIを業務で使う際の3リスク ツール選定+社内ルールで低減可能(ゼロにはできない前提) RISK 1 情報漏洩 機密情報の流出 起きること 入力した社内情報が 学習に使われる可能性 対応策 ・法人向けプラン利用 ・入力禁止情報を明文化 ・教育・周知の徹底 ・ログの監査 RISK 2 ハルシネーション もっともらしい誤情報 起きること 事実ではない数値・出典 を堂々と回答する 対応策 ・数値は必ず一次情報確認 ・固有名詞も裏取り ・最終確認は人 ・RAGでもゼロは不可 RISK 3 著作権 © 既存著作物との抵触 起きること 学習データ・生成物が 既存著作物と類似 対応策 ・文化庁の考え方を確認 ・特定作風の模倣を避ける ・商用利用条件の確認 ・類似性チェック
図5:生成AIの業務利用で注意すべき3リスクと対応策

リスク1:情報漏洩

業務でChatGPTのような生成AIに社内の機密情報や顧客情報を入力すると、その情報が学習データに使われる可能性があります。個人情報保護委員会も2023年6月に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」を公表し、要配慮個人情報を含むデータの取り扱いに関する注意を促しています。

対応策

  • 学習に使われない設定の法人向けプランを選ぶ(ChatGPT Enterprise、Claude for Work、Gemini for Workspace など、2026年5月時点)
  • 「入力してはいけない情報」を明文化(個人情報・財務情報・未公開情報など)
  • 社員向けの教育・周知を年1回以上実施
  • 重要業務ではログ監査の仕組みを整備

リスク2:ハルシネーション(もっともらしい誤情報)

生成AIは事実ではない情報を、自信を持って回答することがあります。これを「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。法令名、統計数値、人物名、書籍名など、固有名詞や数値で発生しやすい特性があります。

対応策

  • 数値・固有名詞・出典は必ず一次情報で裏取り
  • 最終確認は人が行う前提で運用
  • RAG(検索拡張生成)を併用してもゼロにはできないことを理解する
  • 高リスク業務(医療、法務、金融など)では特に慎重に

リスク3:著作権

生成AIの著作権論点は、学習データの著作物使用と、生成物が既存著作物と類似する可能性の2つに分かれます。文化庁は2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」を公表し、AI開発・学習段階と生成・利用段階それぞれの考え方を整理しています。

対応策

  • 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」を確認
  • 特定アーティストや特定作品の作風を意図的に模倣するプロンプトは避ける
  • ツールの利用規約(商用利用条件)を確認
  • 生成物が既存著作物と類似していないか、公開前に確認する習慣を持つ

AI事業者ガイドライン第1.2版の活用

経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日公表)は、AI開発者・AI提供者・AI利用者それぞれに望ましい行動指針を示しています。業務で生成AIを使う多くの企業は「AI利用者」に該当し、適正利用・入力データへの配慮・プライバシー保護・セキュリティ確保・透明性・アカウンタビリティ・規約遵守の7観点を意識した運用が推奨されます。

→ 詳しくはAI事業者ガイドラインとは|企業が知るべき7観点をご覧ください。

生成AI vs 識別AI vs 予測AI|使い分けの判断軸

業務でAIを使う際は「生成AI」「識別AI」「予測AI」の3タイプから、目的に合うものを選ぶことが重要です。 同じ「AI」でも、得意な業務がそれぞれ異なります。

生成AI・識別AI・予測AIの比較 3タイプそれぞれの目的・入力・出力・業務例を比較 生成AI/識別AI/予測AI 比較 観点 生成AI Generative AI 識別AI Discriminative AI 予測AI Predictive AI 目的 新しいコンテンツを 生成する データを分類・ 判定する 将来の数値・ 事象を予測する 出力例 文章・画像・動画・ 音声・コード カテゴリ名・ YES/NOの判定 数値・確率・ 将来の値 業務例 原稿作成・ 画像生成・要約 迷惑メール判定・ 不良品検出 需要予測・ 解約予測 選ぶ判断軸 “作る”作業を 効率化したい “判定”作業を 自動化したい “先読み”の精度を 上げたい
図6:生成AI・識別AI・予測AIの比較(目的・出力・業務例・判断軸)

使い分けの例

  • 「議事録を短くまとめたい」「メールの初稿を書きたい」 → 生成AI
  • 「届いた問い合わせを自動でカテゴリ分けしたい」「製品の画像から不良品を見つけたい」 → 識別AI
  • 「来月の需要を予測したい」「解約しそうな顧客を見つけたい」 → 予測AI

ひとつの業務システムに、複数のAIタイプが組み合わされているケースも増えています。たとえば、コールセンターのシステムでは「予測AI(顧客離反予測)」「識別AI(音声からの感情判定)」「生成AI(応答スクリプト案の提示)」を組み合わせて使う、といった構成です。

自社業務に生成AIを取り入れる3ステップ

自社業務に生成AIを取り入れる際は「業務棚卸し→PoC実証→運用設計」の3ステップで進めるのが基本です。 いきなり全社展開せず、小さく試して効果を見ながら範囲を広げます。

生成AI導入の3ステップ 業務棚卸し→PoC実証→運用設計のフロー 生成AI導入 3ステップ 1 業務棚卸し 期間目安:1〜2週間 ・候補業務の洗い出し ・「下調べ/たたき台/ 要約」に当てはまる 業務に絞る 2 PoC実証 期間目安:1〜3ヶ月 ・1〜2業務に絞り試行 ・効果を時間/品質で 測定 ・ハルシネーション確認 3 運用設計 期間目安:継続 ・社内ガイドライン整備 ・教育・周知 ・ログ監査・改善 ・段階的に範囲拡大
図7:自社業務に生成AIを取り入れる3ステップ(業務棚卸し→PoC実証→運用設計)

STEP1:業務棚卸し(1〜2週間)

部署ごとに「現在のルーティン業務」を書き出し、「下調べ・たたき台・要約」の3用途に当てはまる業務を抽出します。機密性が低く、繰り返し頻度が高い業務から候補に挙げると、PoCの効果を測定しやすくなります。

候補業務の例:議事録の要約、営業メールの初稿、商品説明文の下書き、社内マニュアルのFAQ化、リサーチレポートの構造化など。

STEP2:PoC実証(1〜3ヶ月)

候補のうち1〜2業務に絞り、実際の業務で生成AIを併用して効果を測ります。測定の観点は次の3つです。

観点測定項目
時間1件あたりの作業時間(AI併用前後で何分短縮されたか)
品質担当者と上長の評価(10段階で何点か、エラー数の変化)
リスクハルシネーション発生件数、情報入力時の問題発生件数

PoC期間中は、生成物をそのまま社外に出さないことを徹底してください。試行段階での品質ブレが、社外に直接出るリスクを避けます。

STEP3:運用設計(継続)

PoCで効果が確認できた業務から、社内利用ガイドラインを整備して本格運用に入ります。ガイドラインに含めるべき項目は以下のとおりです。

  • 使用してよいツールと使用してよい業務
  • 入力してはいけない情報(個人情報・財務情報・未公開情報など)
  • 生成物の最終確認プロセス
  • インシデント発生時の報告フロー
  • 教育・周知のスケジュール

中堅・大企業の場合は、これに加えて情シス・法務・人事の連携体制を整える必要があります。個人事業主・中小企業の場合は、A4一枚程度のシンプルなガイドラインから始めても十分です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「AI生成」と「生成AI」はどう違うのですか?

A:意味は同じです。検索キーワードとしては「AI生成」「生成AI」「Generative AI」「ジェネレーティブAI」など複数の表記が混在していますが、いずれも「新しいコンテンツを生成するAI」を指します。本記事では英語表記「Generative AI」の日本語訳として広く使われている「生成AI」を主に用いています。

Q2. 無料の生成AIと有料プラン、業務利用ではどちらを使うべきですか?

A:業務での継続利用には法人向け・有料プランを推奨します。理由は2つあり、①入力したデータが学習に使われない設定が選べる、②利用ログの管理機能がある──という点で、情報漏洩リスクを大きく低減できるためです。料金は2026年5月時点で月3,000〜10,000円/ユーザーが目安で、個人事業主・中小企業でも導入しやすい価格帯です。

Q3. ハルシネーションはRAG(検索拡張生成)を使えばなくなりますか?

Aゼロにはできません。RAGは生成AIに最新の情報や社内データを参照させる仕組みで、ハルシネーションを大幅に減らすのに有効です。しかし、検索結果の解釈や要約の段階で誤りが混入する可能性は残ります。重要な数値・固有名詞は、生成AIの回答ではなく一次情報(公的機関・公式サイトなど)で必ず裏取りする運用を徹底してください。

Q4. 生成AIで作った画像や文章を商用利用してもいいですか?

Aツールごとの利用規約(商用利用条件)を必ず確認してください。多くの主要ツールは商用利用を認めていますが、無料プランと有料プランで条件が異なる場合があります。また、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)で示されているとおり、生成物が既存著作物と類似性・依拠性があれば、著作権侵害となる可能性があります。特定アーティストや特定作品の作風を意図的に模倣するプロンプトは避けるのが安全です。

Q5. 中小企業でも生成AIを導入できますか?

A:はい、十分可能です。総務省「令和7年版 情報通信白書」によると、業務での生成AI使用は55.2%、個人の生成AI利用率は26.7%と利用は急拡大しています。法人向けプランは月3,000〜10,000円/ユーザー(2026年5月時点)から導入可能で、初期投資もほぼ不要です。1部署・1業務から始めて段階的に拡大するのが現実的な進め方です。

Q6. AIエージェントは生成AIとどう違うのですか?

AAIエージェントは、生成AIをベースにしながら複数のステップを自律的に実行するAIです。たとえば「市場調査をして→競合分析を作って→社内チャットに投稿する」といった一連の業務を、人の介在なしに進めるイメージです。生成AIが「単発の生成」だとすれば、AIエージェントは「自律的な業務遂行」と整理できます。2026年は実用化が本格的に進む年として注目されています。詳細はAIエージェントとは|業務自動化の次の段階と導入ガイドで扱っています。

まとめ|今日からできる3つのこと

AI生成(生成AI)は、テキスト・画像・動画・音声・コードの5分野に広がり、業務では「下調べ・たたき台・要約」の3用途が安全で実用的な活用パターンです。情報漏洩・ハルシネーション・著作権の3リスクに対応しつつ、業務棚卸し→PoC実証→運用設計の3ステップで段階的に導入することが重要です。

今日からできる3つのこと

  1. 自分の業務を5分野×3用途で棚卸し:自分のルーティン業務のうち、「下調べ・たたき台・要約」に当てはまる業務をリストアップする
  2. 法人向け・有料プランで1〜2業務を試す:月数千円から始められる法人向けプランで、機密情報を入力しない範囲のPoCを1〜2週間試行
  3. 「入力禁止情報」を1枚のメモにまとめる:個人情報・財務情報・未公開情報など、入力してはいけない情報を1枚のメモに整理し、関係者で共有

なお、本記事は生成AIを技術側の分類(5分野)から整理した内容です。同じテーマを「業務改善・価値創出の2軸」と「業務領域別(営業/マーケ/人事/経理など)」から整理した兄弟記事 AI活用とは|業務改善・価値創出の2軸と業務領域別の使い方 と合わせてご覧いただくと、自社業務への落とし込みがよりクリアになります。

生成AIを業務で扱うためのスキルを「資格」として可視化する選択肢もあります。リテラシー型・業務利用型・開発型の3層で資格カテゴリを整理した記事は、こちらのAI資格マップをご参照ください。

参考文献

  1. 経済産業省・総務省 AI事業者ガイドライン(第1.2版) 2026年3月31日 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/ai_jigyosha_guideline.html 2026年5月21日
  2. 総務省 令和7年版 情報通信白書 2025年7月 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/ 2026年5月21日
  3. 個人情報保護委員会 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について 2023年6月2日 https://www.ppc.go.jp/news/press/2023/230602_AI_utilize_alert/ 2026年5月21日
  4. 文化庁 AIと著作権に関する考え方について 2024年3月15日 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html 2026年5月21日

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