ERPの価格・費用とは?クラウド型・オンプレミス型に分けて解説

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  • ERPはクラウド型・オンプレミス型に分かれ、価格の幅は広く料金体系も複雑である
  • クラウド型は比較的コストが抑えられ、費用対効果を計測しやすいメリットがある
  • オンプレミス型は月額費用はないものの導入時には数百〜数千万円のコストがかかる

ERPは、あらゆる業務効率化システムを一元管理できるツールとして、多くの企業で導入されていますが、価格の幅が広く料金体系は導入形態によって異なります。本記事では、ERPの導入や運用にかかるコストをクラウド型・オンプレミス型に分けて詳しく解説します。

目次

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  1. ERPの価格・費用とは
  2. ERP導入の費用算出における注意点
  3. まとめ

ERPの価格・費用とは

ERPとは、企業の持つ資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元管理し、有効活用する取り組みと実行するためのシステムを指します。ERPは「Enterprise Resource Planning」の略称で、日本語で「企業資源計画」と訳されます。

会計・人事・生産・販売など、業務に必要な機能を搭載した基幹業務システムであるERPは、経営戦略に重要な役割を受け持つシステムとして注目されています。

また、データサーバーをどのように設置するかによって、ERPは導入形態としてクラウド型とオンプレミス型の2種類に分類され、導入費用・ランニングコストなどに違いがあります。ここでは、クラウド型とオンプレミス型の概要と費用の特徴を解説します。

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ERPの価格・費用とは

  1. クラウド型
  2. オンプレミス型

クラウド型

クラウド型ERPとは、クラウド上で活用できるERPを指します。クラウド型は初期費用を抑えた導入が可能で、ランニングコストは基本的に月額費用で設定されており、ユーザー数に応じて変動します。

そのため、毎月のコストが固定され、費用対効果を計測しやすいメリットがあります。以下では、クラウド型のERPにかかる費用について解説します。

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初期導入費用

初期導入費用とは、ERPシステムの導入にかかるコストを指します。クラウド型ERPはハードウエアを準備する必要がなく、カスタマイズの範囲も小さいため、比較的初期導入費用を低く抑えられます。

クラウド型の初期導入費用は10万円程度が目安ですが、ベンダーによっては無料の場合もあります。ただし、初期導入費用は契約内容により変動します。

例えば、コンサルティング・トレーニングや導入サポートサービスなどを契約した場合は、その分だけ初期導入費用は増えます。

ライセンス費用

ライセンス費用とは、契約1件あたりにかかる費用です。ライセンス費用は、1契約(1事務所)ごとに毎月数万円〜100万円程度かかります。また、ユーザー数に応じてかかるサブスクリプション費用もあり、この費用をライセンス費用と呼ぶベンダーも存在します。

クラウド型ERPのライセンス費用は、オンプレミス型よりも安いことがほとんどであるため、初期コストの削減ができますが、ライセンス費用は契約内容によって変動します。

そのため、社員のアカウント数だけでなく、アルバイトやパートのユーザーアカウント数も考慮し、ゆとりのある契約内容にしておくのが大切です。

サブスクリプション費用

サブスクリプション費用は、ユーザー1人あたりにかかる費用です。ランニングコストとして、ライセンス数(ユーザーライセンス)に応じた毎月の費用が変動します。

費用単位として、生産管理機能は1人あたり数万円/月、統計管理機能は1人あたり数千円/月などのように設定される場合が通例です。また、ベンダーによってはライセンス費用に含まれています。

費用を計算する場合は、マスタ数やデータ数の上限設定をおすすめします。例えば、取引先マスタ数は20件まで、月間の会計仕訳伝票は10件までなど、必要とするユーザー数をもとに見積もりを算出しておくと整理しやすいでしょう。

保守費用

保守費用は、システムを正常な状態で利用する際に必要となる、メンテナンスや管理にかかる費用です。具体的には、バージョンアップ・復旧作業・セキュリティ対策・災害発生時の復旧・ヘルプデスクへの問い合わせといった、保守作業に対して料金が発生します。

オンプレミス型ERPは必要に応じて費用が随時発生しますが、クラウド型ERPの保守管理は基本ベンダーが行うため、月額料金に含まれていることがほとんどです

オンプレミス型

オンプレミス型ERPは、社内で運用するタイプのERPを指します。社内のサーバーにERPのシステムをインストールし、社内ネットワークを通して利用します。

オンプレミス型ERPは初回のインストール時に費用を一括で支払うため、ランニングコストが発生しないのがメリットです。初回にまとまった費用が必要になるものの、利用においては費用がかからないため、長期的に考えるとリーズナブルな利用ができます。

また、カスタマイズ性が高いことから、自社のニーズに合わせた柔軟な利用ができるのもオンプレミス型ERP独自のメリットと言えます。以下では、オンプレミス型のERPにかかる費用について解説します。

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ハードウェア費用

オンプレミス型では、ハードウェアの準備に莫大な費用がかかります。自社にどの程度ハードウェア資産があるかによって大きく異なりますが、まずは見積もりを依頼する必要があります。

ハードウェアとしては、最低でも開発用サーバー・本番用サーバー・回線・接続機器などが必要であり、導入費用は数十万円〜数千万円になることもあります。なお、現在のハードウェア資産を利用できれば、ハードウェア費用を低く抑えられます。

ライセンス費用

オンプレミス型のライセンス費用については、ユーザー数で決められたりデータ使用量で決められたりと、ベンダーによって料金体系はさまざまです。金額としては数百万円〜数千万円と幅広いものの、1回きりの支払いで継続的な料金ではありません。

しかし、アップデートを行う際は料金が発生します。オンプレミス型ERPはライセンス費用がイニシャルコストにもなるため、初めに多額の料金がかかるように感じますが、継続した支払いがないため、結果として出費が抑えられることもあります。

導入サポート費用

オンプレミス型ERPの導入費用の中でも多くのコストがかかるのが導入サポート費用です。ベンダーによっては費用全体の50%を占めることがあり、オンプレミス型ERPの導入サポート費用は数百万〜数千万円かかることが多いです。

ユーザー数や導入期間によって導入サポート費用も変動しますが、無駄なコストの出費を避けるためには、正確な導入期間を算出しておくことが大切です。また、費用に対して実際のサポート内容が見合っているかも十分に確認しましょう。

カスタマイズ費用

カスタマイズ費用は、システムを自社に合わせてカスタマイズするための費用を指します。カスタマイズ費用はライセンスや導入費用と異なり、確実に発生する費用ではありませんが、機能の追加や調整によって使いやすさに大きく影響する可能性があります。

クラウド型のように継続的にかかる費用ではなくても、機能を1つ追加するだけで多額の費用が必要です。カスタマイズ費用の相場は、1つの機能につき数万〜数百万円程度かかります。

拡張する機能が多いほど、開発に多額の費用がかかる仕組みです。そして、オンプレミス型ERPは、カスタマイズや拡張機能を付加しないと使えるシステム領域が少ないこともあるため、購入前によく比較しましょう。

オンプレミス型の保守費用

オンプレミス型における保守費用は、システムの障害やトラブルの発生時に対応するための費用、メンテナンス・管理にかかる費用を指します。クラウド型ERPとは異なり、保守・メンテナンス費用に関してオンプレミス型ERPでは必要に応じて随時費用が発生します。

また、セキュリティ対策・サポート体制に関する費用もすべて自社負担となるため、人材の確保に加えてトラブル発生の度に追加費用がかかる点には留意しなければなりません。

トレーニング費用

トレーニング費用は、従業員がシステムを操作できるようにするための教育にかかる費用です。システムを利用するユーザーが多いほどコストも増加し、オンプレミス型のトレーニング費用としては、従業員の教育に総額で10万〜100万円以上かかることがあります。

このように、オンプレミス型ERPの導入にあたっては、全体的な費用感だけの比較ではなく、自社にマッチしたシステム、自社にマッチしたベンダーなど、あらゆる方向から検討する必要があります

ERP導入の費用算出における注意点

クラウド型ERP・オンプレミス型ERPそれぞれの費用を把握した上で、導入における費用を算出する際にはいくつかの注意点を確認しておきましょう。主に挙げられる注意点は2つです。

必要とする機能をすべて網羅できているか

ERPをはじめシステムの導入を検討する際には、なるべくかかる費用を抑えたいと考えるのが一般的です。そのため、導入においてどの部分でコスト削減ができるかを考慮しなければなりません。

例えば、必要ではない機能を限りなく減らすことでコスト削減が実現するでしょう。しかし、本来必要である機能まで排除してしまうと、導入後に実用的な運用ができなくなってしまいます。

よって、自社が必要とする機能をすべて網羅できているか、導入時には十分に注意するようにしましょう。

利用人数・スケジュールを把握しているか

ERPはライセンス費用において、ユーザー数・利用人数で費用が増減することがほとんどです。したがって、導入時の利用人数を事前に把握しておく必要があります。また、将来的な利用人数も考慮しつつ、どの程度の費用範囲があるのかも確認しておくことが大切です。

つまり、クラウド型ERP・オンプレミス型ERPどちらにおいても、導入検討時にはしっかりとスケジュール管理を行い、どのくらいの期間で運用開始をしたいのか、運用開始まで・運用開始後にはどのくらいの費用がかかるのかを算出しておくことがおすすめです。

まとめ

クラウド型ERPとオンプレミス型ERPでは、導入に必要なコストや種類に大きな違いがあります。そのため、長期的な視野で相違点を把握し、従業員数や業務内容だけでなく、予算の面でも自社に合ったERPの検討が大切です。

クラウド型ERPは、必要なシステムだけ部分的に導入できるコンポーネント型ERPもあり、出費を抑えたい企業に向いています。オンプレミス型ERPは月額費用がかからないものの、導入時には数百〜数千万円のコストがかかる点に注意が必要です。

自社に必要な機能を検証し、ベンダーに見積もりを依頼した上で価格の比較をすることが大切です。興味がある製品の資料請求を行い、自社に適した製品を見つけましょう

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