AIで何ができる?得意な5分野・苦手なこと・活用事例をやさしく解説

Check!

  • AIが得意な5分野と苦手なことがわかる
  • 部門別と企業の活用事例がわかる
  • 入力してはいけない情報と始め方がわかる

AIで何ができるかを一言でいうと、画像や音声を判別する認識、データから先を見積もる予測、文章や画像を作る生成、条件の組み合わせから最適な答えを探す最適化、人と言葉でやり取りする対話の5つが得意です。一方で、前例のない発想、感情や場の空気を読むこと、責任を伴う最終判断、事実の正確さの保証は苦手で、人の確認が欠かせません。この記事では、得意な5分野と苦手なことを表で整理し、機械学習・LLM・RAGなどの基本用語、部門別の活用例と総務省「情報通信白書」に載った企業の事例、仕事で使う前に決めておきたい入力のルール、社内で使い始める手順までを、はじめての方にもわかる言葉で解説します。

AIの解説を読む前に、社内で次に整えたいことを診断

Q1. いま一番知りたいのは、どちらですか?

目次

開く

閉じる

  1. AIでできること一覧|得意な5分野(認識・予測・生成・最適化・対話)
  2. AIが苦手なこと・できないこと|創造性や責任ある判断が求められる領域
  3. 知っておきたいAIの基本用語(機械学習・LLM・RAG)
  4. AIの活用事例|部門別の使いどころと、企業の取り組み
  5. これからAIにできるようになること|可能性と注意したい落とし穴
  6. 日本企業のAI活用状況|総務省「情報通信白書」のデータ
  7. 仕事でAIを使う前に決めておくこと|入力してはいけない情報とルール
  8. 社内でAIを使い始める手順|総務省の白書に見る段階的な進め方
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 参考文献

AIでできること一覧|得意な5分野(認識・予測・生成・最適化・対話)

AIが得意なのは、大量のデータからパターンを見つけ、判断や出力を素早く繰り返すことです。できることを分野ごとに分けると、次の5つに整理できます。

分野AIがしていること身近な例
認識画像・音声・文字から、何が写っているか、何と言っているかを判別する顔認証、文字起こし、書類の読み取り(OCR)、製品の外観検査
予測過去のデータから、この先どうなりそうかを数値で見積もる売上や来店数の予測、在庫の需要予測、設備の故障予兆の検知
生成指示に沿って文章・画像・プログラムなどを新しく作るメールや資料の下書き、要約、翻訳、画像やコードの作成
最適化多くの条件の組み合わせから、最も効率のよい答えを探す配送ルートの設計、シフト表の作成、ロボットや設備の動作制御
対話人の言葉を理解し、自然な言葉で受け答えする問い合わせ対応のチャットボット、社内ヘルプデスク、音声アシスタント

「異常検知」や「機械制御」のように別の名前で紹介されることもありますが、多くは5分野の組み合わせで説明できます。たとえば異常検知は、認識と予測を使って、普段と違う状態を見つける使い方です。

AIでできることを、社内の全員が同じ水準で使うには

AIでできることを知っても、成果が出るかどうかは使い方の差で決まります。指示の出し方、出力を疑う場所、入力してよい情報の範囲は、手を動かして身につける部分で、一部の詳しい社員だけが使える状態では活用が広がりません。使い方を社内に広める方法には、独学、外部講師による集合研修、eラーニングなどがあり、複数の社員に同じ内容を届けて受講状況まで確認したい場合は、eラーニングが選択肢になります。本記事の内容と相性のよい3サービスを、役割の違いで並べます(内容は各サービスの商品ページで確認した情報にもとづきます。AIに関する用意済みの講座や設問の有無と範囲は、資料で確認してください)。

AIの使い方を社内にそろえる、eラーニング3サービスの役割の違い

優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

一例:Smart Boarding(自社の資料や動画で研修コースを作成)

資料を無料ダウンロード

一例:SAKU-SAKU Testing(確認テストと結果の集計)

資料を無料ダウンロード

一例:OneCompliance(ワンコンプライアンス)(個人情報や情報セキュリティの研修)

資料を無料ダウンロード
サービス Smart Boarding SAKU-SAKU Testing OneCompliance(ワンコンプライアンス)
向いている会社 AIの使い方や社内ルールを、自社の資料や動画で研修コースにしたい会社 研修のあとに確認テストを出し、理解度を集計して確かめたい会社 個人情報・情報セキュリティ・著作権などの基礎を、全社で同じコースで学ばせたい会社
特徴 研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで運用でき、LMSで進捗や理解度を確認できる CBTの技術を活かしたテスト機能が中心。用意された設問と自社の設問を1つのテストにまとめられる コンプライアンス研修に特化。専門家が作成・レビューし、ダッシュボードと自動リマインダーで受講状況を管理できる
注意したい点 自社の教育内容を学習プログラムにする際に一定の手間がかかり、担当者との打ち合わせが必要 AIによる不正受講の防止機能などは有償オプション。日本国内仕様で、海外での利用はサポート対象外 料金は受講者数で変わる。AIの使い方そのものを学ぶ教材かは資料で確認が必要
資料・詳細

3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)

まとめて資料をダウンロード

料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

AIの使い方や社内のルールを、自社の資料や動画で研修コースにしたい場合の一例が、Smart Boardingです。研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで運用でき、自社の資料や動画と、用意された動画を組み合わせたオリジナルの研修コースを作成できます。学習管理(LMS)機能で受講者ごとの進捗や理解度を確認でき、学習の成果を確かめる小テストも作成できます。一方で、自社の教育内容を学習プログラムにする際には一定の手間がかかり、担当者との打ち合わせも必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社FCE

Smart Boarding

Smart Boarding
出典:www.smartboarding.net

株式会社FCE

Smart Boarding

目指したい社員教育を実現!OJTや研修など社員教育に悩んでいる企業におすすめ

出典:Smart Boarding

LearnOとの比較はこちら

【2026年最新】LearnO vs Smart Boardingを徹底比較|どちらがあなたに合う?評判・機能・料金で検証!

今、eラーニングシステムを導入する企業が増えています。特に「LearnO」と「Smart Boarding」は2大人気サービスで、評価を見てもどちらが本当に自社に合うサービスなのか悩んでいる方も少なくありません。本記事では、徹底比較したビジコン編集部が目的別・使い方別に違いを明確に解説します。

GOOD

ここがおすすめ!

  • 内定者・新人教育からリーダー・管理職育成まであらゆるシーンで活用
  • 属人化を防いでいつでも何回でも学習できる環境を実現
  • 自社オリジナルコースの作成や学習進捗管理も行える
MORE

ここが少し気になる…

  • 電話やメール相談、教育プログラム設計といった手厚いサポートを受けられるのは「充実サポートプラン」のみ

【自社オリジナルコンテンツ】と【FCEプログラム】を活用した自社独自の学習コースを作成

Smart Boarding 導入事例(株式会社ミツハシ)の見出し 出典:導入事例ページ

従来のAIと生成AIの違い

5分野のうち、認識・予測・最適化は、以前から工場や物流、金融などで使われてきた分野です。特定の目的のために専用のデータで学習させるものが中心で、用途ごとに使い分けが必要だったため、導入には専門の知識やシステム開発が伴うことが一般的でした。

ここ数年で一気に身近になったのが、生成と対話を得意とする生成AIです。IPA(情報処理推進機構)の「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」は、従来のAIは用途別の使い分けが必要なのに対し、生成AIはひとつで複数の用途に対応できるため、しばしば汎用AIとも言われると説明しています。ふだんの言葉で指示を出すだけで文章の作成や要約、アイデア出しなどをこなせるので、専門知識がなくても使い始められます。「AIで何ができるか」がこれほど話題になっているのは、AIが一部の専門家の道具から、誰でも使える道具に変わったからだといえます。

得意分野に共通する3つの特徴

  • 速さ:人が数時間かける資料の読み込みや集計を、数秒から数分で処理できる
  • 量:大量の画像や文書を、疲れや集中力の低下なく同じ基準で処理し続けられる
  • 型の再現:一定の型やルールがある作業なら、安定した品質で繰り返せる

言い換えると、AIは「たたき台を速く大量に作る」「決まった基準で見落としなく処理する」仕事に向いています。平均点のまともな文章をすぐに作ることは得意でも、読み手の心を動かす文章に仕上げるには人の手が必要になる、というのが実際の使用感に近いでしょう。

AIが苦手なこと・できないこと|創造性や責任ある判断が求められる領域

AIが苦手なのは、前例のない発想、感情や場の空気を読むこと、責任を伴う最終判断、事実の正確さの保証です。AIは過去のデータから学んだパターンをもとに答えを出すため、データの外側にあることや、正解が決まっていないことには弱くなります。

苦手なこと理由人が担う部分
ゼロからの独創的な発想既存のデータの組み合わせで答えを作るため、前例のない発想は生まれにくい事業の方向性や、ブランドの核となるコンセプトを決める
感情や空気を読むこと言葉の裏にある感情や、その場の関係性までは正確に捉えられないクレーム対応や交渉、部下との面談など信頼関係が関わる対応
責任を伴う最終判断AIは結果に責任を負えず、判断の根拠を説明できないこともある採用、契約、投資など、会社として責任を持つ意思決定
事実の正確さの保証もっともらしい誤りを出力することがある(ハルシネーション)数値・固有名詞・法令などの裏付けを一次情報で確認する
データの少ない分野学習データが少ない社内固有の事情や最新の出来事には弱い自社の事情を踏まえた判断や、情報を補ってAIに渡す作業

特に注意したいのが、事実の正確さです。IPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」は、生成AIを「知識豊富だが経験不足の新人」にたとえ、知識はあっても正誤の判断ができず、時々とんでもない間違いをしてしまうと説明しています。出鱈目を答える現象はハルシネーションと呼ばれ、完全に防ぐ方法はまだ分かっていないとされています。社外に出す資料や数字を扱う業務では、AIの出力をそのまま使わず、必ず人が確認する手順を組み込んでおきましょう。

AIが間違える場面と、確認のしかた

「AIはおかしな答えを返す」と感じる場面には、いくつかの典型があります。原因を知っておくと、どこを確認すればよいかがわかります。

間違えやすい場面起きる理由確認のしかた
固有名詞・数値・出典を求めたとき正解を調べているのではなく、学習したパターンから自然な続きを選んでいるため、もっともらしい誤りが出ることがある一次情報(公的機関や公式サイト)で裏付けを取る
学習した後の出来事や、社内の規定を聞いたときAIは学習済みの知識に基づいて答えを組み立てるため、学習外の情報はそのままでは答えられない(IPAの説明)必要な情報を、入力してよい範囲で渡す。検索機能つきのサービスは参照元を確認する
指示があいまいなとき目的や前提が読み取れず、意図と違う答えになる目的・前提・出力形式を具体的に書き、結果を見て指示を直す

AIが絶対にできないことは何か

「AIにできないこと」を調べると、絶対にできないことを挙げた一覧が見つかりますが、できるかどうかはAIの性能の更新や使い方で変わります。現時点で苦手とされることが、将来はできるようになる可能性もあります。一方、AIは結果に責任を負えないため、「責任を持って決める」「信頼関係を築く」「状況をふまえて最後に判断する」といった部分は、技術が進んでも人に残ります。できるかどうかより、どの工程までAIに任せ、どこから人が確認するかを決めておくことが、実務では大切です。

知っておきたいAIの基本用語(機械学習・LLM・RAG)

AIの基本用語は、機械学習・ディープラーニング・生成AI・LLM・プロンプト・RAG・ハルシネーションの7つを押さえれば、説明や記事の内容が読み取りやすくなります。ビジネスで使う場面に沿って整理します。

用語意味押さえておきたいポイント
機械学習データからパターンやルールをコンピューターに自動で学ばせる技術現在のAIの多くは機械学習がベース。学習に使うデータの量と質が精度を左右する
ディープラーニング(深層学習)人間の脳の神経回路を模した仕組みを何層も重ねた機械学習の手法画像認識や音声認識の精度を大きく高め、生成AIの土台にもなっている
生成AI文章・画像・音声などを新しく作り出すAIの総称ふだんの言葉で指示できる。出力は確認してから使う
LLM(大規模言語モデル)膨大な文章を学習し、言葉を理解・生成できるようにしたAIのモデルChatGPTなど文章系の生成AIの中核。学習時点より新しい情報は知らない場合がある
プロンプト生成AIに出す指示文のこと目的・前提・出力形式を具体的に書くほど、意図に近い答えが返りやすい
RAG(検索拡張生成)生成AIが知らない情報を検索して知識を補い、その内容を踏まえて回答させる仕組み社内マニュアルに基づく問い合わせ対応などに使われる。どのデータを検索の対象にするかはセキュリティも考えて決める
ハルシネーションAIが事実と異なる内容を、もっともらしく出力してしまう現象完全には防げないため、重要な情報は人が裏付けを取る

用語の関係を整理すると、「AI」という大きな枠の中に「機械学習」があり、その手法の1つが「ディープラーニング」です。ディープラーニングを使って文章を扱えるようにしたのが「LLM」で、LLMを使って文章を作るサービスが文章系の「生成AI」にあたります。「RAG」は、その生成AIに社内の情報を参照させるための仕組みです。AIの基本的な意味や中小企業が安全に始める進め方はAIとは?中小企業が安全に始める3ステップ、LLMと生成AIの違いや仕組みはLLMとは?生成AIとの違いと仕組み、業務で使う際の確認ポイントで詳しく解説しています。

AIの活用事例|部門別の使いどころと、企業の取り組み

AIは、文章・画像・音声・数値を扱うどの部門にも使いどころがあります。得意分野を業務に当てはめると、規模を問わず取り組みやすい活用例が部門別に見えてきます。

部門AIでできること活かしている得意分野
全社共通会議の文字起こしと議事録の作成、メール文面の下書き、長い資料の要約認識・生成
営業・販売提案書のたたき台作成、商談前の企業情報の整理、売上見込みの予測生成・予測
カスタマーサポートよくある質問へのチャットボット対応、問い合わせ内容の分類、回答文の下書き対話・生成
経理・事務請求書や領収書の読み取りとデータ化、入力内容のチェック認識
マーケティング広告文やSNS投稿の案出し、アンケート自由回答の分析、画像素材の作成生成・認識
製造・物流製品の外観検査、需要予測に基づく在庫調整、配送ルートの最適化認識・予測・最適化
人事・総務社内規程の問い合わせ対応、求人票の下書き、研修資料の作成対話・生成

総務省の白書に見る企業の事例|製造・店舗・金融・システム開発

総務省の「令和8年版 情報通信白書」は、日本企業の先進的なAI活用事例を業務領域ごとに紹介しています。そのうち、製造・店舗・金融・システム開発の4例を、白書の記載にもとづいて要約します(取り組みの内容の紹介であり、効果の数字は転記していません)。

業務領域企業白書が紹介している取り組み
製造・生産ダイキン工業熟練エンジニアの減少を見込み、作業映像をもとに空調機の点検・修理作業の抜け漏れを自動でチェックし、結果を作業者のスマートフォンに通知するAIエージェントを自社開発。設備の点検で異常を見つけたとき、タブレットなどで質問すると、故障かどうかや原因・対策を示すAIエージェントも日立製作所と共同で導入
顧客との接点(店舗)イオンリテール従業員向けにマニュアル等を学習させたAIを搭載した端末「AIアシスタント」を開発し、一部の店舗で導入。免税対応、商品の配送、落とし物の管理など幅広い業務のマニュアルを学習し、音声入力にも対応
顧客との接点(金融)明治安田生命「デジタル秘書」をほぼ全従業員に提供し、面談記録の作成やデータ蓄積を支援。今後はAIエージェントが過去の面談情報や社内情報を参照し、次の提案内容の検討や提案書の作成を支援する構想
製造・生産(システム開発)NTTデータシステム開発の工程そのものをAI中心に変革する「AIネーティブ開発」に取り組むとしている。AIが要件定義書を作成し、別のAIがプログラミングを行い、人は点検と工程全体の管理に特化する

4つの事例に共通するのは、AIを導入して終わりにせず、人がどこを確認し、どこをAIに任せるかの役割分担を設計している点です。白書も、先進企業では「どのタスクはAIを人間の思考や判断の補助として用い、どのタスクはAIに自律的に実行させるべきか」を検討していると紹介しています(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書 製造・生産」、同「顧客との接点」、同「AI導入・活用を効果的に進めていくために重要となる要素」)。AI活用の進め方や業務改善の考え方はAI活用とは?業務改善・価値創出の2軸と事例・進め方でも整理しています。

AIを使うメリットと、あらかじめ知っておきたいデメリット

メリットとデメリットは、日本企業の回答にもとづくと整理しやすくなります。総務省の白書では、生成AIの活用で生じうる影響として「作業時間の短縮などによる業務の効率化」が61.6%と最も高く、「製品・サービスの質の向上」が32.2%、「人員不足の解消」が26.8%でした。一方、懸念されるリスクでは「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が最も高く、次いで「出力結果の精度に問題がある」「著作権等の権利を侵害する可能性がある」の順でした(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの活用により生じうる影響」、同「懸念されるリスク及びリスク対策のための取組状況」)。

観点日本企業の回答(白書)使う側の対応
メリット:業務の効率化活用による影響で最も多い(61.6%)議事録・メールの下書きや要約など、身近な作業から試す
メリット:質の向上・人員不足の解消質の向上は32.2%、人員不足の解消は26.8%定型の確認や下準備をAIに任せ、人は判断と仕上げに時間を使う
デメリット:社内情報の漏洩懸念されるリスクで最も多い入力してよい情報の範囲を先に決める(後述)
デメリット:出力の精度懸念されるリスクの2番目数値や固有名詞は、人が一次情報で確認する
デメリット:著作権等の侵害懸念されるリスクの3番目生成物が他者の著作物に似すぎていないかを確認する

最初に取り組むなら「文章の下書き」と「要約」から

はじめてAIを業務に取り入れるなら、議事録やメールの下書き、資料の要約など、生成AIですぐに試せる作業から始めるのがおすすめです。専用のシステムを開発する必要がなく、効果を実感しやすいうえに、最終的に人が目を通すため失敗の影響も小さく抑えられます。

反対に、外観検査や需要予測のように専用のデータ整備が必要な活用は、成果が大きい一方で準備に時間と費用がかかります。まずは身近な作業で「AIに任せると何が楽になるか」を社内で体験し、その手応えをもとに次の活用を検討する流れが現実的です。

これからAIにできるようになること|可能性と注意したい落とし穴

AIでできることは今も広がっており、現時点で注目されている変化は、マルチモーダル化とAIエージェントの2つです。可能性が広がる一方で、任せ方を誤ると新しい落とし穴も生まれます。

変化どういうことか業務への影響と注意点
マルチモーダル化文章だけでなく、画像・音声・動画をまとめて理解し、出力できるようになる写真付きの報告書の読み取りや、会議の録画からの要点整理など、扱える資料の幅が広がる。扱う資料が増えるほど、入力してよい情報の確認も増える
AIエージェント1回の指示に答えるだけでなく、目的に向けて調べる・まとめる・ツールを操作するといった複数の手順を自ら進める情報収集から資料作成までの一連の作業を任せられる範囲が広がる一方、途中の判断をどこで人が確認するかの設計が必要になる

AIが任せられる作業が増えても、前の章で整理した「苦手なこと」がすぐになくなるわけではありません。目的や方針を決めること、AIの出力が正しいかを見極めること、結果に責任を持つこと、顧客や同僚との信頼関係を築くことは、引き続き人が担う部分です。AIでできることが増えるほど、社員一人ひとりの使いこなし方の差が成果の差につながりやすくなる点も押さえておきましょう。

人間がAIに勝てるもの|「AIに取られない仕事」は決まっているのか

「AIに取られない職業は何か」「人間がAIに勝てるものは何か」という疑問もよく見かけますが、職業の名前を並べて「残る」「なくなる」と言い切ることは、本記事ではしません。職業の中には、AIに任せやすい作業と、人が担う作業が混ざっているためです。実務では、職業単位でなく、業務を作業(タスク)に分けて考えるのが現実的です。

  • AIに任せやすい作業:決まった基準での判別、大量の資料の整理、文章や資料のたたき台づくり
  • 人が担う作業:結果に責任を持つ判断、顧客や同僚との信頼関係づくり、自社の事情を踏まえた最終的な意思決定
  • 一緒に取り組む作業:AIが案を出し、人が事実と目的に照らして選び、仕上げる

AIの出力を見極め、適切な指示を出し、結果に責任を持つ力が、これからの仕事で価値を持つと考えられます。

日本企業のAI活用状況|総務省「情報通信白書」のデータ

日本でも、個人・企業ともにこの1年で生成AIの利用が大きく進みました。総務省の「令和8年版 情報通信白書」で示されたデータを見てみましょう。

項目2025年度調査の結果前年度との比較
生成AIサービスの利用経験がある個人の割合58.8%2024年度調査の26.7%から大きく上昇
生成AIを活用する方針の企業の割合(「積極的に活用」と「領域を限定して利用」の合計)68.9%(大企業74.0%、中小企業58.1%)2024年度調査の49.7%から上昇。米国・ドイツ・中国と比べると引き続き低い
何らかの業務で生成AIを利用している企業の割合86.4%2024年度調査から大幅に上昇

個人の利用経験率は58.8%で、前年度の26.7%から倍以上に伸びました(参考:総務省「令和8年版 情報通信白書 個人における生成AIサービスの利用経験」)。なお、2025年度調査からは15歳から19歳も対象に加わっており、前年度と同じ20歳以上で比べた場合の割合は52.2%です。

企業では、生成AIを活用する方針をとる企業の割合が68.9%となり、中小企業で特に大きく上昇しました(参考:総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの活用方針等」)。業務類型ごとに見ると、日本で最も多い活用先は「議事録・メール作成補助」で約7割、次いで「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割でした。導入効果を実感している割合も「議事録・メール作成補助」が約7割と、他の業務より顕著に高くなっています(参考:総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの業務利用状況」)。

このデータからは、2つのことが読み取れます。1つは、先に紹介したとおり文章の下書きのような身近な作業から始めた企業が、実際に効果を感じているということです。もう1つは、利用が広がる一方で、海外に比べると日本は活用方針の策定がまだ遅れているということです。使い始めた社員がいても、会社として使い方や学び方をそろえられていない状況は珍しくありません。

白書は、汎用的なAIツールが導入されても、一部の積極的な社員が使うだけで全社的な活用と効果に至らない可能性があると指摘しています。AI活用の先進企業は、活用環境を整えて終わりにせず、活用ユースケースの収集や社内展開、定期的なワークショップの開催などで、具体的な活用シーンと効果を実感できる場をつくり、会社全体への浸透を進めているといいます(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書 AI導入・活用による効果創出のステップ」)。使い方のひな形や研修の内容を、社員がいつでも見返せる形にしておくと、こうした取り組みを続けやすくなります。

Smart Boarding

AIの使い方を、自社の資料で研修コースにしたい会社に

Smart Boardingの資料を無料でダウンロードできます

無料・30秒で完了 資料を無料ダウンロード

仕事でAIを使う前に決めておくこと|入力してはいけない情報とルール

AIに入力してはいけないのは、社外に出ると困る情報です。営業秘密、個人情報、取引先から預かった秘密情報などが当たります。使うサービスの規約と設定を確認し、入力してよい範囲を社内で決めてから使います。

IPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」は、インターネット経由で使うクラウド型のチャットAIに営業秘密を話すと、運営企業に渡ってしまうと注意しています。やりとりが将来のAI改良のための学習データとして流用される場合もあり、サービスの規約や利用時の設定を確認することで、入力内容を保存やAIの学習の対象から除外できる場合があるとされています。

情報の種類入力前に確認すること
営業秘密(未公開の事業計画・原価・開発中の情報など)入力しない、または学習に使われない設定とサービスの規約を確認したうえで、入力してよい範囲を決める(IPAの注意)
個人情報(顧客や従業員の氏名・連絡先など)社外のサービスに入力してよいかを、社内の個人情報の取り扱いルールに照らして確認する。判断に迷う場合は専門家に相談する
取引先から預かった情報秘密保持契約などで第三者への提供が制限されていないかを確認する
ログイン情報・パスワード入力しない
社外から届いたメール・Webページ・資料を読み込ませる場合AIブラウザやRAGで外部由来のデータを読み込ませると、不正な指示が紛れ込むおそれがある(IPAの注意)。重要な情報にアクセスできる環境と分ける

社員が個人の判断でAIを業務に使う「シャドーAI」にも注意が必要です。総務省の白書は、シャドーAIは入力した機密情報の流出などのリスクをはらむとし、企業内に情報漏えい対策などを施した生成AIの活用環境を整え、利用時のルールやガイドラインを整備して周知することで、安全に活用できるようになると説明しています(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書 AI導入・活用による効果創出のステップ」)。

ルールを決めるときの手がかり|公的なガイドラインと法律

社内のルールを決める際の手がかりとして、経済産業省と総務省の「AI事業者ガイドライン」があります。第1.2版が公表されており、AIを使う事業者に、安全性やプライバシー保護、透明性などへの配慮を求めています。また、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI推進法、令和7年法律第53号)の第7条は、AIを事業活動で活用しようとする者を「活用事業者」とし、活用による事業活動の効率化・高度化に努めるとともに、国や地方公共団体の施策に協力しなければならないと定めています。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の判断が必要な場合は専門家に相談してください。

入力のルールを決めても、個人情報や情報セキュリティ、AIに関する著作権の基礎を社員が知らないままでは、守られにくくなります。こうした基礎を全員が同じ内容で学ぶ手段として、コンプライアンス研修に特化したeラーニングのOneCompliance(ワンコンプライアンス)があります。法務・労務・情報領域の研修を提供しており、個人情報保護法と情報セキュリティのコースは役員から一般従業員までを、著作権(AIに関する著作権を含む)のコースは役員・管理職を対象にしています。ダッシュボードと自動リマインダーで受講状況を把握でき、法改正などに合わせてコンテンツが更新される点も特徴です。一方で、料金は受講者数に応じて変わり、デモや無料トライアルの期間・内容は問い合わせで確認する必要があります。AIの使い方そのものを教える教材かどうかは、資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社Oyster

OneCompliance(ワンコンプライアンス)

OneCompliance(ワンコンプライアンス)
出典:onecompliance.jp

株式会社Oyster

OneCompliance(ワンコンプライアンス)

コンプライアンスに特化!上場準備中/IPO準備中、上場企業、大手グループ会社、監査法人、金融機関/フィンテック、中堅/中小企業の方に特におすすめ

GOOD

ここがおすすめ!

  • 上場準備中/IPO準備中の企業にも最適
  • ダッシュボードや自動リマインダーなど管理工数を最小化
  • 初期費用なし、受講人数に合わせた料金体系のためコストを最適化
MORE

ここが少し気になる…

  • 費用は人数に応じた課金体系のため、問い合わせで確認

社内に法務専任担当や教育専任担当がおらず、社内のみでの実施が困難

OneCompliance 導入事例(株式会社プリメディカ。導入の背景・課題感として掲載) 出典:導入事例ページ

自社のAI利用、ルールと周知は足りている?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

社内でAIを使い始める手順|総務省の白書に見る段階的な進め方

AIを社内で使い始めるときは、まず個人の作業で安全に使える環境とルールを整え、次に使い方を社内に広げ、そのうえで業務の進め方そのものを見直す、という段階で進めるのが現実的です。総務省の白書も、同じ段階的な取り組みを紹介しています。

段階やること確認したいこと
1. 環境とルールを整える情報漏えい対策などを施した活用環境を用意し、利用時のルールやガイドラインを整備して周知する入力してよい情報の範囲、出力の確認者、使ってよいサービスが決まっているか
2. 使い方を社内に広げる活用ユースケースの収集、社内展開、定期的なワークショップなどで、具体的な活用シーンと効果を実感できる場をつくる一部の積極的な社員だけの利用で止まっていないか
3. 業務の進め方を見直す経営の方針に基づき、人とAIの協業のあり方を検討し、業務プロセス全体をAI前提で設計するどのタスクをAIの補助に使い、どのタスクをAIに実行させるか。人が負う責任の範囲はどこか

白書は、日清食品グループの例として、生成AIの活用効果を見込める対象業務を部門ごとに選び、プロンプトのテンプレート(ひな形)を作成して効果を測定する取り組みを少しずつ社内展開した結果、社内の生成AI利用率が直近では7割超にも到達しているという同社の資料の記載を紹介しています(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書 AI導入・活用による効果創出のステップ」)。ひな形づくりと展開を、特定の担当者の頑張りに頼らず、仕組みとして続けている点が参考になります。

つまずきやすいのは「周知したあとの確認」

ルールを決めて周知し、ワークショップを開いても、全員が同じ理解になったかは別の問題です。参加できなかった社員や、あとから加わった社員にも同じ内容が届いているか、理解が足りない点は何かは、確かめなければわかりません。確認の方法として、研修のあとに確認テストを出し、結果を集計する方法があります。

そうした確認テストを運用したい場合の一例が、SAKU-SAKU Testingです。CBTの技術を活かしたテスト機能が中心のeラーニングプラットフォームで、選択式・穴埋め・並び替え・記述の問題を配信できます。1つのテストの中に、あらかじめ用意された設問と自社のオリジナル設問をまとめられるため、自社のAI利用ルールを問う設問を加えて、管理・集計できます。受講状況や結果はリアルタイムで集計され、組織やグループごとに把握できます。一方で、AIによる不正受講の防止機能などは有償オプションで、日本国内仕様のため海外での利用はサポート対象外です。AIに関する用意済みの設問の有無は、資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社イー・コミュニケーションズ

SAKU-SAKU Testing

SAKU-SAKU Testing
出典:www.e-coms.co.jp

株式会社イー・コミュニケーションズ

SAKU-SAKU Testing

初心者にも◎受講者の管理をスムーズに行いたい方におすすめ

GOOD

ここがおすすめ!

  • 不慣れな方でも作成・登録しやすいコンテンツ機能を多数搭載
  • あらゆる企業ですぐに役立つ実践的な内容のコンテンツを厳選して用意
  • ユーザー管理機能を備えているため、より細かな対象でカテゴリーやグループを紐づけられる
MORE

ここが少し気になる…

  • 事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合はオプション扱いとなる

よくある質問(FAQ)

Q1. AIで何ができますか?

A. 大きく分けて、画像や音声を判別する認識、過去のデータから先を見積もる予測、文章や画像を作る生成、条件の組み合わせから最適な答えを探す最適化、人と言葉でやり取りする対話の5つが得意です。仕事では、議事録やメールの下書き、資料の要約、問い合わせ対応の補助などに使われています。

Q2. AIが絶対にできないこと、苦手なことは何ですか?

A. 前例のない独創的な発想、感情や場の空気を読むこと、責任を伴う最終判断、事実の正確さの保証などが苦手です。「絶対にできない」と言い切れることは少なく、性能の更新で変わりますが、結果に責任を持つ部分は人に残ります。AIには下準備や大量処理を任せ、判断と仕上げは人が担う役割分担が基本です。

Q3. AIに入力してはいけない情報は何ですか?

A. 営業秘密、個人情報、取引先から預かった秘密情報、ログイン情報などです。IPAは、クラウド型のチャットAIに営業秘密を話すと運営企業に渡ってしまうと注意しています。サービスの規約と設定を確認し、入力してよい範囲を社内で決めてから使いましょう。

Q4. 人間がAIに勝てるもの、AIに取られない仕事はありますか?

A. 職業の名前を挙げて「残る」「なくなる」と言い切ることはできません。職業の中には、AIに任せやすい作業と人が担う作業が混ざっているためです。結果に責任を持つ判断、顧客や同僚との信頼関係づくり、AIの出力を見極めて仕上げる作業は、引き続き人が担う部分です。

Q5. 仕事でAIを使うなら何から始めればよいですか?

A. 議事録やメールの下書き、資料の要約など、生成AIですぐに試せる文章作業から始めるのがおすすめです。総務省の白書でも、日本企業で最も多い活用先は議事録・メール作成補助で、効果を実感する割合も約7割と高くなっています。先に入力してよい情報のルールを決めておきましょう。

Q6. 社員にAIの使い方を身につけてもらうにはどうすればよいですか?

A. 独学や無料の学習サイト、集合研修、eラーニングなどの方法があります。複数の社員に同じ内容を届けて受講状況や理解度も確認したい場合は、eラーニングが選択肢になります。自社の資料で研修コースを作る、確認テストで定着を確かめる、ルールの基礎を専門家作成のコースで学ぶ、といった役割の違うサービスがあるため、資料で比較してください。

まとめ

AIで何ができるか、得意なこと・苦手なことと基本用語、活用事例と使い始める手順を解説しました。ポイントは次の5つです。

  1. AIが得意なのは認識・予測・生成・最適化・対話の5分野で、たたき台を速く大量に作る仕事に向いている
  2. 独創的な発想、感情の理解、責任ある判断、事実の保証は苦手なため、判断と仕上げは人が担う
  3. 営業秘密や個人情報など、入力してはいけない情報を先に決め、サービスの規約と設定を確認する
  4. 議事録やメールの下書きなど身近な作業から始め、環境とルール、社内への展開、業務の見直しの順で進める
  5. 使い方と入力のルールを全員にそろえるため、研修コース・確認テスト・コンプライアンス研修のeラーニングの資料を請求して比べる

AIは、得意と苦手を理解して使えば、日々の業務を確実に軽くしてくれる道具です。まずは身近な作業で試しながら、社員みんなが同じ理解とルールで使える環境を整え、自社に合った使い方を広げていきましょう。

参考文献

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top