BPOとアウトソーシング・派遣・BPRの違い|4つの軸と採用代行の例で整理

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  • BPOとアウトソーシングの違いを範囲・期間・費用・改善責任の4軸で見分けられる
  • 派遣は指揮命令、BPRは業務再設計という点でBPOと異なることがわかる
  • 偽装請負を避けるための3つの実態と導入時の失敗パターンがわかる

BPOとアウトソーシングは、どちらも「業務を外部に任せる」という点では同じです。しかし、任せる範囲、契約の期間、費用の決まり方、改善の責任を誰が持つかで比べると、中身はかなり違います。さらに派遣・請負・BPRといった近い言葉が混ざるため、「自社の課題にはどれが合うのか」と迷う担当者も多いでしょう。この記事では、厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)」と中小企業庁「小規模企業白書」の定義を土台に、BPO・アウトソーシング・派遣・BPRの4つの違いを整理します。あわせて、採用業務を例に「作業単位の委託」と「プロセス単位の委託」が実際のサービスでどう違うのかを具体的に確認し、偽装請負のリスクや導入時の失敗パターンまで実務目線で解説します。

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目次

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  1. 採用代行で見る「作業単位」と「プロセス単位」の違い|RPOサービスを比較
  2. アウトソーシング・BPO・BPR・派遣の違いを一覧で整理
  3. BPOとアウトソーシングの違いは4つの軸で見分ける
  4. BPOとBPRの違いは「外部委託」か「社内改革」か
  5. BPOとBPRを組み合わせる場合の進め方
  6. BPOとアウトソーシングのメリット・デメリットと向いている業務
  7. 偽装請負を避けるために確認したい3つの実態
  8. BPO・アウトソーシング導入でよくある失敗パターン
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 参考文献

採用代行で見る「作業単位」と「プロセス単位」の違い|RPOサービスを比較

BPOとアウトソーシングの違いは、言葉の定義だけを読むより、同じ業務領域のサービスを並べて見るほうがずっと理解しやすくなります。その題材として分かりやすいのが採用業務です。採用代行は「RPO(Recruitment Process Outsourcing)」とも呼ばれ、名前のとおりBPOの採用版にあたります。ところが実際のサービスを見ると、スカウト送信や面接官だけを頼めるスポット型から、採用戦略の立案から内定者フォローまでを継続して任せられる一括型まで、委託の単位に大きな幅があります。

スポット型は「決められた作業を外部に任せる」アウトソーシングに近く、一括型は「業務プロセスを設計・運用・改善ごと任せる」BPOに近い形です。つまり、同じ採用代行という言葉の中に、アウトソーシング寄りのものとBPO寄りのものが混在しているわけです。下の表は、お名前.comビジネスコンシェルジュの比較記事で紹介している採用代行サービスから、委託の単位が異なる4つを取り上げたものです。優劣を示すものではなく、料金や契約条件は変わることがあるため、最新の内容は各社の資料で確認してください。

サービス名(提供会社) 委託の単位 主な特徴 導入前に確認したい点
パーソルキャリア RPOサービス(採用代行)(パーソルキャリア株式会社) プロセス単位(BPO寄り) 採用の全工程をカバーし、状況や課題に合わせて担当者が伴走する 細かい内容や料金は問い合わせが必要
CASTER BIZ recruiting(株式会社キャスター) プロセス単位(時間数で調整) リクルーターや応募者対応など採用のプロが対応し、月の30時間から必要な時間数で利用できる 多人数を採用したい場合は必要な料金が増える
採用業務代行サービス(株式会社レイン) プロセス単位と作業単位の両方 リクルーター業務全般の代行に加え、スカウトのみ・面接官代行のみなどのスポット活用もできる 詳しい料金は問い合わせが必要
offerBrain(イノープ株式会社) 作業単位(アウトソーシング寄り) 採用要件の策定からスカウト送信までを代行し、申込みから最短1週間でスカウトを開始できる 面談調整業務には対応していない

表を見ると、「採用を外に出す」という同じ判断でも、どこまでを任せるかによって選ぶべきサービスが変わることが分かります。スカウトの送信数が足りないだけなら作業単位の委託で十分ですし、採用の進め方そのものに課題があるならプロセス単位の委託が向いています。BPOかアウトソーシングかという言葉の違いは、実務では「自社の課題がどの工程にあるか」という問いに置き換えると判断しやすくなります。採用代行の選び方や、ほかのサービスの特徴は次の記事で詳しく比較できます。

アウトソーシング・BPO・BPR・派遣の違いを一覧で整理

アウトソーシングは作業単位の外部委託、BPOは業務プロセス全体の継続的な外部委託、BPRは社内の業務の流れを作り直す改革、派遣は発注者の指揮命令のもとで働く労働力の受け入れです。4つを分ける軸は「何を動かすのか」と「現場の指揮命令を誰が持つのか」の2点に集約できます。

4つのうち、BPRだけは外部委託の形態ではない点に注意が必要です。BPRは業務の流れを見直す取り組みであり、社内だけで進めることも、外部の支援を受けて進めることもあります。一方、アウトソーシング・BPO・派遣は、いずれも社外の力を借りる方法ですが、借りるものが「作業」「業務プロセス」「人」と異なります。まずは全体像を表で確認しましょう。

比較軸 アウトソーシング BPO BPR 派遣
何を動かすか 特定の作業・タスク 業務プロセス全体(設計・運用・改善) 業務の流れそのもの(再設計) 労働力(人)
外部を使うか 使う 使う 社内でも外部支援でも可 使う
現場の指揮命令 受託側 受託側 自社(改革の推進体制) 発注側(派遣先)
主な契約 業務委託(請負・準委任) 業務委託(請負・準委任) 契約形態ではない(取り組み) 労働者派遣契約
期間の傾向 短期から中期、案件単位 中長期、数年単位が多い プロジェクト単位 期間制限あり、人手不足の補填が中心
向いている課題 一部の作業に手が回らない 部門の業務をまとめて任せたい 業務の進め方自体が非効率 自社の指示で動く人員が足りない

アウトソーシング:作業を外に出す広い概念

アウトソーシングは、社外の事業者に業務を依頼すること全般を指す広い言葉です。中小企業庁の「2022年版小規模企業白書」では、金額の大小・対応頻度・期間を問わず、外部企業に業務を依頼することをアウトソーシングと定義しています(出典:中小企業庁「2022年版 小規模企業白書」第2部第1章第2節)。この定義に従うと、BPOもアウトソーシングの一種になります。日常的に「アウトソーシング」と言うときは、記帳入力やデータ入力、発送作業など、手順が決まった作業を切り出して依頼するケースを指すことが多いでしょう。

BPO:業務プロセスごと継続的に任せる経営手法

BPOは「Business Process Outsourcing」の頭文字で、ある部門や機能の業務プロセスを、設計・運用・改善まで含めて外部の専門事業者に継続的に委ねる手法です。経理、人事労務、コールセンター、採用などが代表的な対象です。受託側は業務を処理するだけでなく、手順の標準化や効率化の提案まで担うことが多く、発注者は成果や業務水準で受託側を評価します。アウトソーシングの中でも「継続・包括型」と位置づけると整理しやすくなります。

BPR:業務の流れを作り直す改革の取り組み

BPRは「Business Process Re-engineering」の略で、既存の業務プロセスを根本から見直し、組み直す取り組みです。外部に何かを任せる手法ではなく、業務の流れそのものを変えることが目的です。そのため、BPOやアウトソーシングと並べて「どれを選ぶか」という比較をするよりも、「BPRで業務を整理したうえで、どの部分を外部に出すか」という順序で考えるほうが実務に合います。

派遣:自社の指示で働く人を受け入れる

派遣は、派遣会社と雇用関係にある労働者を受け入れ、自社の指揮命令のもとで働いてもらう形態です。業務の進め方は自社が決め、人手だけを外部から補うイメージです。BPOやアウトソーシングとの最大の違いは、現場で指示を出すのが発注側だという点にあります。この違いは偽装請負の問題と直結するため、後の章で詳しく解説します。

請負と準委任:業務委託の中身の違い

アウトソーシングやBPOの契約は、一般に「業務委託契約」と呼ばれますが、法律上は請負と準委任に分かれます。請負は仕事の完成(成果物の納品)に対して報酬を支払う契約、準委任は一定の事務処理を行うこと自体に対して報酬を支払う契約です。たとえば、ホームページ制作のように完成物がはっきりしている業務は請負、コールセンターの運営や経理処理のように継続的に業務を遂行するものは準委任として組まれることが多くあります。BPOは継続的な業務遂行が中心になるため、準委任の形をとるケースが目立ちます。ただし契約の区分は業務内容と契約書の定め方によって異なるため、個別の判断は専門家に確認してください。

BPOとアウトソーシングの違いは4つの軸で見分ける

BPOとアウトソーシングは「委託する範囲」「委託の期間」「費用の決まり方」「改善の責任を誰が持つか」の4つの軸で見分けられます。いずれも外部委託であることは共通しており、境目ははっきり一本の線で引けるものではありません。委託の単位が作業に近いほどアウトソーシング、プロセス全体に近いほどBPOと考えるのが実態に合っています。

比較軸 アウトソーシング(作業単位) BPO(プロセス単位)
1. 委託する範囲 手順が決まった特定の作業 業務の設計から運用・改善まで
2. 委託の期間 案件単位、繁忙期だけなど短期が多い 数年単位の継続契約が多い
3. 費用の決まり方 件数や作業量に応じた変動型が多い 月額固定など期間で区切る形が多い
4. 改善の責任 発注者が手順を決め、受託側は遂行する 受託側が手順の標準化や改善提案まで担う

範囲と期間:切り出すのか、まとめて任せるのか

アウトソーシングでは、社内の業務の一部を切り出して依頼します。請求書の発行作業だけ、データ入力だけ、といった単位です。業務の全体像や手順は自社が持ったままなので、依頼先を変えることも比較的簡単です。一方、BPOでは経理部門の定型業務一式のように、ひとまとまりの業務を移管します。受託側は業務を引き継ぐための準備期間を設け、業務マニュアルや体制を整えたうえで運用に入るため、短期間で解約・切替を繰り返す前提には向きません。数年単位の関係を前提に、互いのノウハウを積み上げていく形になります。

費用体系:変動費か固定費か

作業単位のアウトソーシングは、処理件数や作業時間に応じて費用が変わる形が一般的です。業務量が少ない月は費用も下がるため、繁忙期だけ外部の力を借りたい場合に使いやすい仕組みです。BPOは、一定期間の業務遂行に対して月額などで費用を決める形が多く、業務量が多少変動しても費用は一定になりやすい傾向があります。予算が立てやすい反面、業務量が想定より大きく減った場合でも費用が下がりにくい点には注意が必要です。どちらの形になるかはサービスや契約次第なので、見積もりの段階で料金の算定方法を必ず確認しましょう。

改善の責任:手順を決めるのは誰か

見落とされやすいのが、業務改善の責任の所在です。アウトソーシングでは、手順書を用意して依頼するのは発注者で、受託側はその手順どおりに作業を進めます。業務の進め方に問題があっても、改善するのは基本的に発注者の役割です。BPOでは、受託側が専門性を生かして手順を標準化し、ミスの削減や処理時間の短縮を提案する役割まで担うことが多くなります。「作業を減らしたい」のか「業務のやり方ごと良くしたい」のかで、選ぶべき形が変わるということです。

なお、BPOとアウトソーシングという2語だけの違いや、ITO・KPOなど関連する略語の整理を先に押さえたい場合は、BPOとアウトソーシングは何が違う?関連略語との比較整理もあわせて参考にしてください。本記事では、そこに派遣とBPRを加えた4概念の関係と、発注時の実務ポイントに重点を置いています。

採用業務に当てはめて考える

4つの軸を採用業務に当てはめると、違いがより具体的になります。「求人媒体のスカウトを週に数十通送ってほしい」という依頼は、範囲が狭く、件数で費用が決まり、送る相手の条件は自社が決めるため、作業単位のアウトソーシングです。一方、「採用計画の立案から、母集団形成、面接日程の調整、内定者フォローまでを年間を通して任せ、採用のやり方も改善してほしい」という依頼は、範囲が広く、継続契約で、改善の責任も受託側が持つため、BPOに近い形です。自社の採用担当者が何に困っているのかを書き出すと、どちらの委託が合うかが見えてきます。冒頭の比較表で取り上げた採用代行サービスも、この軸でどこに位置するかを見比べると選びやすくなります。

BPOとBPRの違いは「外部委託」か「社内改革」か

BPOは業務を外部に移す手段、BPRは業務の流れを作り直す取り組みです。名前が似ているため比較されがちですが、両者は選択肢として競合する関係ではなく、目的と手段の関係にあります。

BPRでは、現状の業務フローを洗い出し、重複している確認作業や、紙とシステムへの二重入力といった無駄を取り除いて、新しい流れを設計します。その結果として「この業務は社内に残す」「この業務は外部に任せる」「この業務はシステムで自動化する」という振り分けが決まります。外部に任せると決めた部分を実行する手段の1つがBPOです。

経済産業省の「DXレポート2.2(概要)」では、デジタルの活用を既存業務の効率化にとどめず、収益の向上につなげる取り組みへ転換していく方向性が示されています(出典:経済産業省「DXレポート2.2(概要)」)。業務の流れを見直すBPRと、ノンコア業務を外部に任せるBPOは、限られた社内人材を収益につながる業務へ振り向けるための組み合わせとしても位置づけられます。

比較軸 BPO BPR
位置づけ 手段(業務の外部移管) 目的・取り組み(業務の再設計)
主な担い手 外部の専門事業者 自社(必要に応じて外部支援)
成果の出方 社内工数の削減、業務品質の安定 業務フローの簡素化、無駄な工程の削減
終わり方 契約期間中は継続して運用 新しい流れが定着すればひと区切り

注意したいのは、業務の流れが整理されていない状態でBPOを始めると、非効率な手順がそのまま外部に移るだけになりやすい点です。外部に任せたのにミスが減らない、確認の往復が増えた、という不満の多くは、委託前の業務整理が不十分なことに原因があります。逆に言えば、BPOを検討するタイミングは、自社の業務を見直す絶好の機会でもあります。

BPOとBPRを組み合わせる場合の進め方

BPOとBPRを組み合わせる進め方には、「BPRから始めてBPOへ進む」流れと、「BPOを始めてからBPRが進む」流れの2つがあります。どちらが合うかは、社内に業務を見直す余力があるかどうかで決まります。

BPR起点:業務を整理してから外部に任せる

たとえば経理部門で「月次決算が遅い」「担当者に業務が集中している」という課題がある場合、まず業務フローを棚卸しし、判断が必要な業務と手順が決まった定型業務を分けます。そのうえで、定型業務のまとまりをBPOに移管する、というのが基本の流れです。委託範囲が明確になっているため、見積もりの比較がしやすく、受託側との役割分担も文書化しやすくなります。社内に業務を見直す担当者を置ける企業に向いた進め方です。

BPO起点:外部の知見を借りて業務を見直す

社内に業務を見直す余力がない場合は、BPOの受託側が業務を引き継ぐ過程で業務フローの可視化や標準化が進み、結果としてBPRが進むこともあります。受託側は多くの企業の業務を見ているため、他社で効果のあった手順を提案できる立場にあります。ただし、この進め方では委託範囲が曖昧なまま契約に入りやすいため、引き継ぎ期間中に業務の棚卸しを一緒に行い、範囲と役割を文書にまとめる工程を必ず契約に組み込んでおきましょう。

業務領域ごとに委託形態を組み合わせる:RPO・ITO・KPO

BPRで業務を整理すると、領域ごとに合う委託の形が違うことが見えてきます。BPOには業務領域による派生概念があり、代表的なものが次の3つです。

名称 対象領域 委託する業務の例
RPO(Recruitment Process Outsourcing) 採用 採用計画、母集団形成、応募者対応、面接調整、内定者フォロー
ITO(IT Outsourcing) IT システムの運用・保守、インフラ管理、ヘルプデスク
KPO(Knowledge Process Outsourcing) 知識業務 市場調査、データ分析、専門的なレポート作成

いずれも「業務プロセスを継続的に外部に任せる」というBPOの基本構造は共通で、違うのは対象となる業務領域です。たとえば、バックオフィスの定型業務はBPO、IT運用はITO、採用はRPOといった形で、領域ごとに最適な委託先を組み合わせる企業もあります。中でも採用は、繁忙期と閑散期の差が大きく、社内の担当者が他業務と兼任していることも多いため、業務を見直すと外部化の効果が見えやすい領域です。スポット型と一括型のどちらが合うかは、BPRで整理した「どの工程に負荷が集中しているか」によって判断できます。

企業規模による使い分けの目安

中小企業庁の「2022年版小規模企業白書」では、人材が不足している小規模事業者ほどアウトソーシングを実施している割合が高く、委託分野として多いのは生産・管理と経理・財務であることが示されています(出典:中小企業庁「2022年版 小規模企業白書」第2部第1章第2節)。規模ごとの使い分けは、次のように考えると整理しやすくなります。

  • 個人事業主・小規模事業者:経理や総務などの定型業務を作業単位で切り出すアウトソーシングから始め、クラウド型の業務ツールと組み合わせて負担を減らす。
  • 中小企業:経理処理や人事労務、採用など、毎月必ず発生する業務をまとめてBPOに移し、少ない社内人材を売上に直結する業務に集中させる。短期の人手不足には派遣を使い分ける。
  • 中堅・大企業:BPRで全社の業務を整理したうえで、領域ごとにBPO・RPO・ITOを組み合わせ、委託先の管理体制も含めて運用する。

BPOとアウトソーシングのメリット・デメリットと向いている業務

BPOは社内の人手と管理の手間を大きく減らせる一方、切り替えの準備や委託先への依存といった負担も生じます。アウトソーシングは小さく始めやすい反面、改善の手間は自社に残ります。どちらが得かは、任せたい業務の性質と、社内に何を残したいかで決まります。

BPOが注目されている背景には、人手不足と、限られた人員を売上に直結する業務へ振り向けたいというニーズがあります。ただし、外部に任せれば自動的に効率が上がるわけではありません。両者のメリットとデメリットを並べると、次のように整理できます。

項目 BPO(プロセス単位の委託) アウトソーシング(作業単位の委託)
主なメリット 業務の運用と改善をまとめて任せられ、社内の担当者をコア業務に振り向けやすい。専門事業者の手順や仕組みを取り入れられる 必要な作業だけを短期間から頼めるため、小さく始めて効果を確かめやすい。繁忙期の一時的な負荷にも対応しやすい
主なデメリット 業務の棚卸しや引き継ぎに準備期間がかかる。委託先への依存が強まり、社内にノウハウが残りにくい 手順の設計や品質管理、改善は自社に残るため、管理の手間は大きく減らない。依頼先が複数になると調整が増える
共通の注意点 顧客情報や従業員情報を扱う場合は、委託先の安全管理体制を確認し、契約で取り扱いを定めることが必要。個人情報の取扱いを委託する事業者には、委託先を監督する義務がある

個人情報保護法では、個人データの取扱いを委託する場合、委託元が委託先に対して必要かつ適切な監督を行うことが求められています(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。BPOは扱う情報の範囲が広くなりやすいため、契約前に委託先の管理体制や再委託の有無を確認しておくと安心です。

BPOに向いているのは、手順を定型化しやすく、毎月・毎日のように継続して発生するノンコア業務です。具体的には、経理(記帳・請求書処理・支払い)、人事労務(給与計算・勤怠集計・入退社手続き)、総務(備品管理・郵便物対応)、採用事務、問い合わせ窓口(コンタクトセンター)、社内ヘルプデスクなどのIT運用が代表例です。反対に、判断の基準が定まっていない業務や、自社の競争力の源泉となる業務は、まずBPRで整理するか社内に残すほうが適しています。単発の資料作成やデータ入力など、期間と成果物が明確な作業はアウトソーシングで十分なケースが多いでしょう。

偽装請負を避けるために確認したい3つの実態

BPOやアウトソーシングを選ぶ際に最も注意したいのが、偽装請負のリスクです。厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)は、契約の形式が業務委託や請負であっても、実態が労働者派遣に当たる場合は労働者派遣事業として判断する基準を定めています(出典:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」)。確認のポイントは次の3点です。

確認する実態 リスクが高まる状態 望ましい運用
1. 業務の指示 発注者の社員が受託側の労働者に直接指示を出している 指示は受託側の責任者を通して伝える
2. 労務管理 始業・終業時刻や休憩、服務を発注者が管理している 労務管理は受託側で完結させる
3. 業務の独立性 設備・資材をすべて発注者が用意し、判断も発注者に仰いでいる 受託側が自らの責任と専門性で業務を処理する

特に、受託側の担当者が自社のオフィスに常駐する形のBPOでは、日々のやり取りの中で発注者の社員がつい直接指示を出してしまうことがあります。指示は受託側の責任者を通して伝える、業務の水準や成果物は契約書と業務仕様書で定義する、という運用ルールを社内に共有しておきましょう。厚生労働省は、この基準に関する具体的な判断例を「疑義応答集」として公開しています(出典:厚生労働省「37号告示関係 疑義応答集」)。

なお、本記事の内容は37号告示の考え方を一般的に整理したものであり、個別の契約が労働者派遣に該当するかどうかを判断する法的助言ではありません。契約形態の適法性に不安がある場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に確認してください。

BPO・アウトソーシング導入でよくある失敗パターン

外部委託の失敗は、多くが契約前の設計不足から生まれます。BPOは継続契約が前提のため、途中で修正しにくい点にも注意が必要です。よくある失敗と対策を表にまとめました。

失敗パターン 起きること 対策
1. 委託範囲が曖昧なまま契約する 想定外の作業が対象外になり、社内に仕事が戻ってくる 業務フローを洗い出し、範囲と役割分担を文書にする
2. 作業単位の課題にBPOを選ぶ 必要以上に広い範囲の契約になり、費用がかさむ 負荷が集中している工程を特定し、委託の単位を決める
3. 現場の指示を発注者が握る 偽装請負と評価されるおそれがある 指示系統を受託側の責任者経由に統一する
4. 評価指標を決めずに任せきりにする 効果を検証できず、改善提案も出にくくなる 品質・速度・コストの指標を共有し、定期的に振り返る

2つ目の失敗は、BPOとアウトソーシングの違いを理解していないと起きやすいものです。「スカウトの送信が追いつかない」という課題に対して採用業務一式の委託を契約すると、社内で回せていた面接や内定者フォローまで外部に移すことになり、費用に見合った効果が出にくくなります。まず負荷の原因となっている工程を特定し、その工程だけを任せるのか、プロセスごと任せるのかを判断しましょう。

また、個人データを扱う業務を委託する場合は、個人情報保護法上の「委託」に当たり、委託元には委託先を必要かつ適切に監督することが求められます(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。応募者の情報を扱う採用代行や、従業員の情報を扱う給与計算などでは、委託先の安全管理体制も選定時の確認項目に入れておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. BPOとアウトソーシングの違いを一言でいうと?

A. アウトソーシングは作業単位で外部に依頼する広い概念、BPOは業務プロセスを設計・運用・改善まで含めて継続的に委ねる手法です。中小企業庁の小規模企業白書は、金額や期間を問わず外部企業に業務を依頼することをアウトソーシングと定義しており、BPOはその中の継続・包括型と整理できます。

Q2. BPOとアウトソーシングでは費用の決まり方も違いますか?

A. 一般的に、作業単位のアウトソーシングは件数や作業量に応じた変動型、BPOは月額など期間で区切る固定型が多い傾向があります。ただし実際の料金体系はサービスや契約によって異なるため、見積もりの段階で算定方法を必ず確認してください。

Q3. BPOと派遣で迷ったときの判断軸は?

A. 現場の指揮命令を誰が持つかで判断します。自社が直接指示を出して人手を補いたいなら派遣、業務の進め方ごと外部に任せたいならBPOです。BPOの契約なのに発注者が直接指示を出す運用をすると、偽装請負と判断されるおそれがあります。

Q4. BPRとBPOは併用できますか?

A. 併用できます。両者は目的と手段の関係にあり、BPRで業務の流れを整理したうえで、定型業務のまとまりをBPOに移す進め方が基本です。社内に見直す余力がない場合は、BPOの受託側の提案をきっかけにBPRが進むこともあります。

Q5. 採用代行(RPO)はBPOとアウトソーシングのどちらですか?

A. RPOは名前のとおりBPOの採用版ですが、実際のサービスには、スカウト送信や面接官だけを頼めるスポット型から、採用戦略から内定者フォローまで任せる一括型まで幅があります。スポット型はアウトソーシングに近く、一括型はBPOに近い形と考えると選びやすくなります。

Q6. 偽装請負と判断されないために発注者が気をつけることは?

A. 現場で直接指示を出さない、労務管理は受託側に任せる、業務の水準や成果物を契約書で定義する、の3点が基本です。厚生労働省の37号告示は契約の形式ではなく実態で判断するため、運用開始後も定期的に実態を確認する仕組みを持っておくと安心です。

まとめ

BPOとアウトソーシングは、どちらも外部委託ですが、委託する範囲・期間・費用の決まり方・改善の責任が異なります。派遣は指揮命令が発注側にある点で、BPRは外部委託ではなく業務の再設計である点で、それぞれ性質が違います。今日から始めるなら、次の4つを進めましょう。

  1. 自社の課題が「作業の手不足」「業務まるごとの負担」「人員不足」「業務の進め方の非効率」のどれに当たるかを切り分ける。
  2. 外部に任せる場合は、負荷が集中している工程を特定し、作業単位で任せるかプロセス単位で任せるかを決める。
  3. 契約前に、指示系統・労務管理・業務の独立性の3点を運用ルールとして確認し、偽装請負のリスクを避ける。
  4. 採用のように委託の幅が広い業務は、スポット型と一括型のサービスを実際に比較し、自社の課題に合う単位を選ぶ。

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