BPOのメリット・デメリット|向いている業務と企業規模別の考え方

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  • BPOのメリットとデメリット、それぞれの対策がわかる
  • BPOに向いている業務と社内に残す業務の切り分け方がわかる
  • 企業規模別の考え方とBPO事業者を選ぶ4つの基準がわかる

「人手が足りないので経理や給与計算を外に出したい」「BPOを勧められたが、本当に自社に得があるのか分からない」。業務の外部委託を考え始めたとき、多くの企業が最初に知りたいのがBPOのメリットとデメリットです。結論から言うと、BPOの最大のメリットは社員の時間をコア業務に振り向けられることで、最大のデメリットは業務のノウハウが社内に残りにくいことです。本記事では、業務アウトソーシングの形態の違い、BPOのメリットとデメリット、向いている業務と向かない業務の切り分け方、中小企業と大企業での考え方の違い、委託先を選ぶ4つの基準までを、厚生労働省や個人情報保護委員会などの公的情報を参照しながら解説します。

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目次

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  1. BPOを含む業務アウトソーシングの形態を比較する
  2. BPOのメリット
  3. BPOのデメリットと対策
  4. BPOに向いている業務と向かない業務
  5. 企業規模別に見るBPOの考え方
  6. BPO事業者を選ぶ4つの基準
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ
  9. 参考文献

BPOを含む業務アウトソーシングの形態を比較する

BPOのメリットとデメリットは、「何をどこまで任せるか」によって大きく変わります。そのため、まずは業務を外部に任せる方法の全体像を押さえておくと、判断がぶれにくくなります。業務アウトソーシングとは、自社の業務の一部を外部の専門事業者に委託することで、代表的な形態は次の3つです。

形態 委託する範囲 メリットが出やすい業務の例
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング) 業務プロセスを設計から運用までまとめて委託する 経理、給与計算、人事労務、受発注、コールセンターなど手順が決まった業務
ITO(ITアウトソーシング) IT関連の業務を委託する システムの運用・保守、ヘルプデスク、社内PCの管理
KPO(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング) 専門知識を要する分析・調査業務を委託する 市場調査、データ分析、法務・知財の調査

BPOと一般的なアウトソーシングの違いは、委託の範囲と委託先の役割にあります。一般的なアウトソーシングは、データ入力や書類の発送など特定の作業だけを切り出して依頼し、手順の決定や管理は自社が担うのが基本です。これに対してBPOでは、業務の設計や手順の見直し、運用の管理までを委託先が担い、改善の提案も受けられます。任せる範囲が広いぶん効果は大きくなりやすい一方、委託先との役割分担や管理の方法を事前に決めておく必要があります。

BPOは、単発の作業を頼むのではなく「業務の流れごと」任せる点が特徴です。そのぶん効果も大きい一方で、自社から業務が見えにくくなるという裏返しもあります。形態ごとのメリット・デメリットや、BPO以外の委託方法も含めて比べておきたい場合は、次の記事で全体像を確認できます。

BPOのメリット

BPOの主なメリットは、コア業務への集中、人手不足の解消、コストの変動費化、業務品質の安定、業務の見直しの5つです。それぞれ、どのような場面で効果が出るのかを見ていきます。

コア業務に人と時間を集中できる

請求書の発行や勤怠の集計といった定型業務は、欠かせない一方で売上を直接生むものではありません。これらを委託すると、社員は商品開発や営業、顧客対応など、自社の強みに直結する業務に時間を使えるようになります。BPOのメリットとして最もよく挙げられるのがこの点で、特に少人数で多くの業務を兼務している企業ほど効果を実感しやすくなります。

人手不足や採用の負担を軽くできる

経理や労務の担当者を新たに採用し、育てるには時間も費用もかかります。担当者が退職すれば、また一から採用をやり直さなければなりません。BPOを使えば、委託先が人員を確保して業務を回すため、採用や教育の負担、急な退職による業務停止のリスクを抑えられます。

固定費を変動費に近づけられる

社員を雇用すると、業務量が少ない月も人件費は変わりません。BPOは処理件数や業務範囲に応じた料金体系が多く、繁忙期と閑散期の差が大きい業務では、費用を業務量に合わせやすくなります。ただし、委託費が必ず社内人件費より安くなるわけではないため、後述するように事前の比較は欠かせません。

専門性を取り入れて品質を安定させられる

BPO事業者は、同じ種類の業務を多くの企業から受託しているため、手順やチェックの仕組みが整っていることが一般的です。法改正への対応や、ミスを防ぐための二重チェックなども含めて任せられれば、担当者個人の経験に頼っていた業務の品質を安定させることができます。

業務の見直しと標準化のきっかけになる

委託するには、業務の流れや判断基準を委託先に説明できる形にする必要があります。その過程で、誰も理由を説明できない手順や、重複しているチェックが見つかることも少なくありません。BPOの導入準備そのものが、属人化した業務を標準化するきっかけになる点も見逃せないメリットです。

BPOのデメリットと対策

BPOのデメリットは、業務を外に出すことの裏返しとして生じるものがほとんどです。事前に対策を決めておけば、多くは抑えることができます。

デメリット 起こりうること 主な対策
ノウハウが社内に残りにくい 業務の中身を知る社員がいなくなり、委託先の変更や内製化が難しくなる マニュアルと定期報告の提出を契約に入れ、社内に窓口担当を残す
情報漏えいのリスク 顧客情報や従業員の個人データを外部で扱うことになる 委託先の安全管理措置を確認し、契約で取扱方法と監査の方法を定める
コミュニケーションの手間が増える 例外的な処理や急な変更の依頼に時間がかかる 連絡窓口、依頼の締め切り、例外時の判断者をあらかじめ決める
初期費用と立ち上げ期間がかかる 業務の洗い出しや引き継ぎに数か月かかり、その間は二重の負担になる 範囲を絞って始め、並行運用の期間を計画に組み込む
柔軟な対応がしにくい 契約範囲外の作業は追加費用や再契約が必要になる 想定される追加業務と料金を事前に確認しておく

情報漏えいについては、法律上の義務も関わります。個人情報保護委員会のガイドラインでは、個人データの取扱いを委託する事業者は、委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければならないとされています。具体的には、適切な委託先の選定、安全管理措置を盛り込んだ契約の締結、委託先での取扱状況の把握が求められます。

また、委託先の作業者に社員が直接細かく指示を出すと、厚生労働省が注意を促している「偽装請負」にあたるおそれがあります。指示は委託先の責任者を通じて出す運用を、契約と社内ルールで決めておきましょう。こうしたデメリットの多くは、BPOに限らず業務アウトソーシング全般に共通します。BPO以外の委託方法とあわせて注意点を確認しておくと、自社に合う任せ方を選びやすくなります。

BPOに向いている業務と向かない業務

BPOのメリットを引き出せるかどうかは、どの業務を任せるかでほぼ決まります。基本的な考え方は、自社の競争力の源泉となるコア業務は社内に残し、手順が決まっているノンコア業務を委託するというものです。

判断の観点 BPOに向いている業務 社内に残したほうがよい業務
手順の明確さ 手順と判断基準を文書にできる 状況ごとに判断が変わり、経験に頼る部分が大きい
競争力との関係 どの会社でもやり方がほぼ同じ 自社独自のやり方が強みになっている
業務量 一定量が継続的に発生する、または繁閑の差が大きい 発生頻度が低く、そのつど内容が異なる
具体例 記帳、請求書発行、給与計算、社会保険の手続き、問い合わせの一次対応 経営方針の決定、商品企画、重要顧客との交渉、採用の最終判断

判断に迷う業務は、「その業務がなくなったら顧客は困るか」「そのやり方を他社がまねしても自社は困らないか」を考えると整理しやすくなります。後者に「困らない」と答えられる業務ほど、BPOで任せたときのメリットが大きく、デメリットは小さくなります。

企業規模別に見るBPOの考え方

BPOのメリットとデメリットは、企業規模によって現れ方が異なります。中小企業と大企業それぞれで、特に意識したい点を整理します。

観点 中小企業 大企業
期待できる主な効果 兼務の解消、担当者の退職による業務停止の防止 拠点や部署ごとの業務の集約と標準化、コストの最適化
注意したいデメリット 業務を知る社員が1人しかいない場合、委託後に社内の知見がゼロになる 委託範囲が広く、移行の手間や部署間の調整が大きくなる
始め方の目安 給与計算や記帳など1業務から小さく始める 業務の棚卸しを行い、優先順位をつけて段階的に移す
費用の考え方 処理量が少ないと割高になりやすく、最低料金の有無を確認する 処理量が多いため単価交渉の余地があり、品質指標とあわせて契約する

中小企業では、BPOが「コスト削減」よりも「業務を止めないための保険」として機能することが多くあります。担当者が1人で経理や労務を抱えている状態は、その人が休職や退職をした時点で業務が止まるリスクを抱えています。一方で、処理量が少ないと費用対効果が見えにくいため、まずは1業務に絞って効果を確かめるのが現実的です。どの業務から任せるべきか社内だけで整理しきれない場合は、国が中小企業基盤整備機構を通じて全国に設置している「よろず支援拠点」で、無料の経営相談を受けることもできます。

大企業では、グループ会社や拠点ごとにばらばらだった業務を集約し、標準化することでメリットを出すケースが中心です。その反面、委託範囲が広くなるほど移行の負担も大きくなるため、段階的に進める計画が欠かせません。いずれの規模でも、BPOだけにこだわらず、部分的な業務委託やITOなども含めて比べておくと、自社に合った範囲で任せられます。

BPO事業者を選ぶ4つの基準

BPOのメリットを得られるかどうかは、委託先の選び方にも左右されます。比較の際は、次の4つの基準で確認しましょう。

基準 確認すること
1. 対象業務の実績 委託したい業務と同じ種類の業務、同じくらいの規模の企業での受託実績があるか
2. セキュリティ体制 個人データの安全管理措置、アクセス権限の管理、事故発生時の報告体制が明確か
3. 料金体系と契約範囲 初期費用、月額料金、最低料金、範囲外の作業の料金、解約時の条件が明示されているか
4. 報告と改善の仕組み 処理件数やミスの件数を定期的に報告し、改善提案を行う仕組みがあるか

このうち、料金だけで比べて選ぶと、報告の仕組みがなく業務が見えなくなる、範囲外の作業で追加費用がかさむといった形で、デメリットが大きく出ることがあります。複数の事業者から見積もりを取り、4つの基準をそろえて比較するのが確実です。

よくある質問(FAQ)

Q. BPOの一番のメリットは何ですか?

A. 定型業務を委託することで、社員の時間を商品開発や営業などのコア業務に振り向けられる点です。あわせて、採用や教育の負担軽減、費用の変動費化、業務品質の安定といった効果も期待できます。

Q. BPOの主なデメリットは何ですか?

A. 業務のノウハウが社内に残りにくいこと、情報漏えいのリスク、コミュニケーションの手間、初期費用と立ち上げ期間がかかることなどです。マニュアルと定期報告の提出を契約に入れ、社内に窓口担当を残すことで多くは抑えられます。

Q. BPOに向いているのはどのような業務ですか?

A. 手順と判断基準を文書にでき、どの会社でもやり方がほぼ同じノンコア業務です。記帳、請求書発行、給与計算、社会保険の手続き、問い合わせの一次対応などが代表例です。

Q. 中小企業でもBPOのメリットはありますか?

A. あります。兼務の解消や、担当者の退職による業務停止を防ぐ効果が特に大きくなります。処理量が少ないと割高になりやすいため、最低料金を確認したうえで1業務から小さく始めるのが現実的です。

Q. 個人情報を扱う業務をBPOで委託しても大丈夫ですか?

A. 委託自体は可能ですが、委託元には委託先を監督する義務があります。個人情報保護委員会のガイドラインに沿って、適切な委託先の選定、安全管理措置を盛り込んだ契約の締結、取扱状況の把握を行いましょう。

Q. BPO事業者はどのような基準で選べばよいですか?

A. 対象業務の実績、セキュリティ体制、料金体系と契約範囲、報告と改善の仕組みの4つで比べるのが基本です。料金だけで選ばず、複数の事業者から見積もりを取って同じ基準で比較しましょう。

まとめ

BPOは、うまく使えば社員の時間を生み出し、業務を止めない体制をつくれる一方で、任せ方を誤るとノウハウの流出や費用の増加につながります。最後に、押さえておきたいポイントを整理します。

  • BPOの主なメリットは、コア業務への集中、人手不足の解消、費用の変動費化、品質の安定、業務の標準化
  • 主なデメリットは、ノウハウが残りにくいこと、情報漏えいのリスク、コミュニケーションの手間、立ち上げの負担
  • 手順が決まったノンコア業務を任せ、競争力の源泉となる業務は社内に残す
  • 中小企業は1業務から小さく始め、大企業は棚卸しをしたうえで段階的に移す
  • 委託先は、実績、セキュリティ、料金と契約範囲、報告の仕組みの4つで比べる

まずは社内の業務を書き出し、手順が決まっていて自社の強みに直結しない業務がどれかを確認するところから始めてみてください。

参考文献

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