DX人材とは|DSS-P ver.2.0の6類型と中小企業の育成・確保の進め方

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  • DX人材の定義とIT人材との違いがわかる
  • DSS-P ver.2.0の6類型と向いている人がわかる
  • 採用・育成・外部活用の選び方がわかる

DX人材とは、デジタル技術やデータを活用して、自社のビジネスや業務、組織のあり方を変革し、成果につなげる人材のことです。経済産業省とIPAのデジタルスキル標準では、全ビジネスパーソンが身につける「DXリテラシー標準(DSS-L)」と、推進役の役割を6つの類型で示す「DX推進スキル標準(DSS-P)」の2つで整理されています。IPAの「DX動向2025」では、DXを推進する人材の量が不足していると答えた日本企業が85.1%にのぼりました。本記事では、定義とIT人材との違い、2026年4月公開のver.2.0で6類型になったDSS-P、必要なスキルと向いている人、不足の背景、採用・育成・外部活用の比べ方、中小企業が育成でつまずきやすい失敗までを、公的資料に沿って解説します。

自社のDX人材の増やし方を2問で整理

Q1. DX人材を増やす方法として、いま検討しているのは?

目次

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  1. DX人材とは|経産省・IPAの定義とIT人材との違い
  2. DX人材の役割と職種|DSS-P ver.2.0の6類型
  3. DX人材に求められるスキルとマインド・向いている人
  4. DX人材が不足する背景|2025年の崖・IT人材不足・DX動向2025
  5. DX人材を確保する方法|採用・育成・外部活用の比べ方
  6. 中小企業がDX人材育成で陥りやすい3つの失敗
  7. 育成の実践例をどう積み上げるか
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|DX人材の確保で押さえたい5つのこと
  10. 参考文献

DX人材とは|経産省・IPAの定義とIT人材との違い

DX人材とは、デジタルを手段として事業や業務の変革を進める役割を担う人材です。ITに詳しいだけでなく、何を変えるかを考え、関係者を動かして成果につなげる点が特徴です。

「DX人材」の使い方は企業や解説によって幅があり、職種の分け方も記事ごとに違います。国の指針として参照されるのは、経済産業省とIPAのデジタルスキル標準です。経済産業省はデジタルガバナンス・コードで、DXを、データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、業務や組織、企業文化・風土も変革して競争上の優位性を確立することと位置づけ、2022年9月の2.0への改訂でデジタル人材の育成・確保を盛り込みました。DXそのものの定義はDXとは?経産省の定義とデジタル化との違い、業種別・規模別の始め方で整理しています。

IT人材との違い

観点 IT人材 DX人材
主な役割 情報システムの開発・運用で、既存業務を安定して支える デジタルで何を変えるかを考え、事業や業務の変革を推進する
求められる力 システムやインフラの技術知識 技術の知識に加え、業務や顧客の理解、関係者を巻き込む力

DX人材を社内で増やす学びの土台

DX人材は採用だけでは足りないのが実情です。外部から採れない部分は、今いる社員が学べる状態を整えて補うのが現実的です。そのための学習の仕組みとして、法人向けeラーニングの3サービスを、優劣ではなく役割の違いで並べます。

社内で学ぶ仕組みをつくる、3サービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:Smart Boarding。OJTで教えてきた内容を資料や動画の学習プログラムにして残せます

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この状況に合う一例:SAKU-SAKU Testing。テストの作成・配信と、受講状況のリアルタイム集計に対応しています

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この状況に合う一例:OneCompliance。情報セキュリティ、個人情報保護法、著作権などの学習コースがそろっています

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サービス Smart Boarding SAKU-SAKU Testing OneCompliance(ワンコンプライアンス)
向いている会社 OJTや研修のやり方が人によってばらつき、教える内容を標準化したい会社 理解度テストを組み込み、受講状況や結果をデータで追いたい会社 情報セキュリティや個人情報の基本ルールを全社で揃えたい会社
特徴 社員研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで実施。LMS機能で進捗や理解度を確認できる CBTの技術を活かしたテスト機能と、受講状況の集計。パソコン・スマホ・タブレットで受講できる 法務・労務・情報領域のコンプライアンス研修に特化。法改正に合わせてコンテンツが自動で更新される
注意したい点 自社の教育内容を学習プログラムにする手間がかかり、担当者との打ち合わせが必要 AIによるリモート監視などは有償オプション。日本国内仕様で、海外での利用はサポート対象外 掲載されている学習コースはコンプライアンス領域が中心で、DXスキルそのものを学ぶ教材ではない
資料・詳細

3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)

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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

社内に教える人が足りず、OJTのやり方が人によってばらつく場合の一例がSmart Boardingです。社員研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで進められ、OJTで教えていた内容を資料や動画の学習プログラムにして、いつでも何度でも学習と復習ができます。LMS機能で受講者の進捗や理解度を確認でき、テストの作成・配信、ユーザー別のリマインドも使えます。注意したいのは、自社独自の教育内容を学習プログラムにするのに一定の手間がかかり、担当者との打ち合わせが必要になる点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社FCE

Smart Boarding

Smart Boarding
出典:www.smartboarding.net

株式会社FCE

Smart Boarding

目指したい社員教育を実現!OJTや研修など社員教育に悩んでいる企業におすすめ

出典:Smart Boarding

LearnOとの比較はこちら

【2026年最新】LearnO vs Smart Boardingを徹底比較|どちらがあなたに合う?評判・機能・料金で検証!

今、eラーニングシステムを導入する企業が増えています。特に「LearnO」と「Smart Boarding」は2大人気サービスで、評価を見てもどちらが本当に自社に合うサービスなのか悩んでいる方も少なくありません。本記事では、徹底比較したビジコン編集部が目的別・使い方別に違いを明確に解説します。

GOOD

ここがおすすめ!

  • 内定者・新人教育からリーダー・管理職育成まであらゆるシーンで活用
  • 属人化を防いでいつでも何回でも学習できる環境を実現
  • 自社オリジナルコースの作成や学習進捗管理も行える
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ここが少し気になる…

  • 電話やメール相談、教育プログラム設計といった手厚いサポートを受けられるのは「充実サポートプラン」のみ

「管理職やマネージャー陣が、時間と工数をかけないと教育が進まない、というのが一番の課題でした。」

出典: Smart Boarding 導入事例(株式会社Road)

教えた内容が受講者に定着しているかを、テストと受講状況の集計で確かめたい場合の一例がSAKU-SAKU Testingです。ドリル、テスト、アンケートを組み合わせたコンテンツを配信でき、選択式、穴埋め、並び替え、記述などの問題形式に対応しています。受講状況や結果は組織やグループごとに把握でき、ダッシュボードで集計をグラフで確認できます。注意したいのは、AIによるリモート監視機能などが有償オプションである点と、日本国内仕様のため海外での利用はサポート対象外である点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社イー・コミュニケーションズ

SAKU-SAKU Testing

SAKU-SAKU Testing
出典:www.e-coms.co.jp

株式会社イー・コミュニケーションズ

SAKU-SAKU Testing

初心者にも◎受講者の管理をスムーズに行いたい方におすすめ

GOOD

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  • 不慣れな方でも作成・登録しやすいコンテンツ機能を多数搭載
  • あらゆる企業ですぐに役立つ実践的な内容のコンテンツを厳選して用意
  • ユーザー管理機能を備えているため、より細かな対象でカテゴリーやグループを紐づけられる
MORE

ここが少し気になる…

  • 事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合はオプション扱いとなる

「コンテンツの質の向上はもちろん、受講者への事前リマインドによる受講率向上や、受講状況・結果を容易に把握できるようになったことで、次の施策への展開が容易になった。」

出典: SAKU-SAKU Testing 導入事例(メディカル・データ・ビジョン株式会社)

DXやAIの活用が広がると、顧客情報や著作物の扱いなど、全社員が守る基本ルールの学び直しも欠かせません。その場合の一例がOneComplianceです。コンプライアンス研修に特化したeラーニングで、情報セキュリティ、個人情報保護法、ハラスメント予防、AIに関する著作権などの学習コースがあり、法改正に合わせて内容が自動で更新されます。ダッシュボードで受講状況を確認でき、自動リマインダーで受講を促せます。注意したいのは、掲載されているコースがコンプライアンス領域中心で、DXスキルそのものを学ぶ教材ではない点です。料金は人数などによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社Oyster

OneCompliance(ワンコンプライアンス)

OneCompliance(ワンコンプライアンス)
出典:onecompliance.jp

株式会社Oyster

OneCompliance(ワンコンプライアンス)

コンプライアンスに特化!上場準備中/IPO準備中、上場企業、大手グループ会社、監査法人、金融機関/フィンテック、中堅/中小企業の方に特におすすめ

GOOD

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  • 上場準備中/IPO準備中の企業にも最適
  • ダッシュボードや自動リマインダーなど管理工数を最小化
  • 初期費用なし、受講人数に合わせた料金体系のためコストを最適化
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ここが少し気になる…

  • 費用は人数に応じた課金体系のため、問い合わせで確認

「社内で法務専任担当や教育専任担当がいなかったので、様々なコンプライアンス研修を社内のみで実施することは難しいと感じていました。」

出典: OneCompliance 導入事例(株式会社プリメディカ)

DX人材の役割と職種|DSS-P ver.2.0の6類型

DX人材の職種は、DX推進スキル標準(DSS-P)ver.2.0で、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、データマネジメント、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの6類型に整理されています。2026年4月16日公開のver.2.0で、AIを業務で活用する前提となるデータの整備を担う「データマネジメント」が新たに加わりました。

人材類型 主な役割 中小企業での担い手のイメージ
ビジネスアーキテクト 変革で実現したい目的を定義し、ビジネスモデルや業務プロセスを設計して、関係者をまとめながら成果を生み出す DX推進の責任者。経営者や業務に詳しい管理職
デザイナー 顧客やユーザーの視点から、製品・サービスのあり方や顧客との接点を設計する 営業、企画、広報など顧客に近い部門の社員
データサイエンティスト データを収集・解析し、AIシステムの仕組みを設計・実装・運用して、業務変革や新たなビジネスにつなげる 数値分析が得意な社員。高度な分析は外部活用も選択肢
データマネジメント(ver.2.0で新設) データの安全性・信頼性を確保し、組織全体でデータを使える仕組みを設計・運用する 顧客情報や販売データを管理している管理部門の社員
ソフトウェアエンジニア デジタル技術を使った製品・サービスのためのシステムやソフトウェアを設計・実装・運用する 社内のIT担当者。開発そのものは外部に委託することも多い
サイバーセキュリティ 業務を支えるデジタル環境で、サイバー攻撃などのリスクの影響を抑える対策を担う IT担当者や総務担当者。専門的な監視は外部サービスの活用も有効

中小企業が6類型すべてを専任で揃えるのは現実的ではありません。まず社内で担うべきなのは、変革の目的を定めて全体を引っ張るビジネスアーキテクトの役割です。そのうえで、データを整えるデータマネジメントの素養を持つ人を育て、専門性の高い開発や分析、セキュリティ監視は外部の力を借りるという分担が考えられます。1人が複数の類型を兼ねることも珍しくありません。

解説記事ごとに分類が違って見える理由

検索すると、DX人材を7職種、5類型、4象限などに分ける解説が見つかります。切り口は違っても、事業を描く人、データを扱う人、システムをつくる人といった役割を分けている点は共通しています。国の標準として参照できるのはデジタルスキル標準で、2022年12月のver.1.0以降、2023年8月のver.1.1、2024年7月のver.1.2と改訂が重ねられ、2026年4月のver.2.0でデータマネジメントを加えた6類型になりました。自社の人材像を決めるときは、まずDSS-Pの類型に当てはめ、足りない役割を洗い出すと整理しやすくなります。

全社員に求められるDXリテラシー

デジタルスキル標準は、DXリテラシー標準(DSS-L)とDX推進スキル標準(DSS-P)の2種類で構成されます。DSS-Lはすべてのビジネスパーソンが身につけるべきスキルを、DSS-Pは推進役の役割と習得すべきスキルを定めたものです。DXは一部の専門人材だけでは進まず、現場の社員がデジタルを前向きに受け止め、業務の変化に対応できることが前提になります。少数の推進役を育てると同時に、全社員のリテラシーを底上げする両輪の取り組みが重要です。経済産業省は、研修事業者等が提供する学習コンテンツをDSS-Pと紐づけて探せるポータルサイトとして、IPAの「マナビDX」を紹介しています。

3サービスの役割を比較表で見る

DX人材に求められるスキルとマインド・向いている人

DX人材に求められるのは、技術の知識だけではありません。自社の業務や顧客の課題を理解する力、変革の必要性を周囲に説明して協力を得る力、小さく試して学ぶ姿勢といった、ビジネス面のスキルとマインドが類型を問わず重要です。

類型を問わず求められる力

自社の業務を深く知る社員がデジタルの基礎を学べば、業務の課題を具体的に捉えやすくなります。デジタルに詳しい外部人材に頼る場合も、自社の業務や顧客への理解を共有する時間が欠かせません。そのため、中小企業では現場を知る社員を推進役に据えて、必要な部分を外部で補う形が選ばれやすくなります。

DXリテラシー標準が示すマインド・スタンス

DXリテラシー標準(DSS-L)は「マインド・スタンス」として、変化への適応、コラボレーション、顧客・ユーザーへの共感、常識にとらわれない発想、反復的なアプローチ、柔軟な意思決定、事実に基づく判断の7項目を示しています。たとえば反復的なアプローチは、取り組みを小さな単位に分けて改善を繰り返し、その過程で得た学びも成果として扱う考え方です。これらは推進役だけでなく全社員に求められる姿勢とされており、スキル研修とあわせて社内で共有しておくと、育成の方向性がぶれにくくなります。

DX人材に向いている人の特徴

個人の適性を断定するものではありませんが、マインド・スタンスに照らすと、次のような人が推進役に向いていると考えられます。

  • 現場の業務や顧客の困りごとに関心があり、自分から課題を見つけようとする(顧客・ユーザーへの共感)
  • うまくいかなかった結果も学びとして受け止め、小さく試して改善を繰り返せる(反復的なアプローチ)
  • 部門や社外の人と協力して進められる(コラボレーション)
  • 数字や事実を根拠に判断し、状況が変われば方針を柔軟に見直せる(事実に基づく判断・柔軟な意思決定)
  • 新しいツールや仕事の進め方の変化に抵抗が少ない(変化への適応)

プログラミングの経験が無くても、こうした姿勢を持つ社員は推進役の候補になります。技術面は研修や外部の専門家で補えますが、課題を見つけて周囲を巻き込む姿勢は、日々の業務の中で育つ部分が大きいためです。

DX人材が不足する背景|2025年の崖・IT人材不足・DX動向2025

DX人材の不足は、個々の企業の努力不足ではなく、社会全体の構造的な課題です。背景を公的な資料から確認します。

DXレポートが示した「2025年の崖」

経済産業省は2018年の「DXレポート」で、老朽化・複雑化した既存システムが残り続けると、DXが進まないだけでなく、2025年以降に大きな経済損失が生じる可能性があると指摘し、これを「2025年の崖」と表現しました。同レポートでは、既存システムの維持に人材や予算が取られ、新たな取り組みに振り向けられないことも課題として挙げられています。2025年を過ぎた現在も、既存システムの刷新と、それを担う人材の確保は多くの企業にとって継続的な課題です。

IT人材の需給ギャップ

経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」では、IT需要の伸びや生産性の向上の度合いによって複数のシナリオが試算され、2030年にはIT人材が最大で約79万人(中位シナリオでは約45万人)不足する可能性が示されました。少子高齢化で労働人口そのものが減っていくなか、デジタル人材の需要は高まり続けており、採用だけで必要な人材をまかなうことは一層難しくなっています。

DX動向2025に見る人材不足と育成の現状

IPAの「DX動向2025」では、DXを推進する人材の量について「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた日本企業が85.1%にのぼり、米国(23.8%)やドイツ(44.6%)と比べて際立って高い結果になりました。日本企業の割合は2022年度調査(83.5%)、2023年度調査(85.7%)と同じ水準で、不足が一時的なものではないことがうかがえます。

この調査を整理したIPAのディスカッション・ペーパーによると、DXを推進する人材の育成施策について「とくに支援はしていない」と答えた日本企業は36.6%で、米国の1.0%、ドイツの1.9%を大きく上回ります。人材が足りないと感じながら、育成が十分に進んでいない状況がうかがえるという整理です(同ペーパーは執筆者の見解で、IPAの公式見解ではないと明記されています)。外部からの採用に頼るだけでなく、今いる社員を育てる取り組みが、企業規模を問わず重要になっています。

社内で学ぶ仕組みの3サービスを比較表で見る

DX人材を確保する方法|採用・育成・外部活用の比べ方

DX人材の確保方法は、社内育成、中途採用、副業・フリーランス人材の活用、外部パートナーへの委託の4つです。どれか1つが正解ではなく、社内育成を土台に、足りない部分を採用や外部で補う組み合わせが現実的です。それぞれに向き不向きがあるため、特徴を並べて比べます。

確保の方法 特徴 コストの傾向 スピード
社内育成 自社の業務を知る社員がデジタルを学ぶため、変革を現場に定着させやすい。ノウハウが社内に残る 教材費や学習時間が中心で、比較的抑えやすい 成果が出るまで時間がかかる
中途採用 即戦力を得られる可能性があるが、人材の奪い合いになりやすい 採用費と人件費が高くなりやすい 採用できれば早いが、採用活動自体が長期化しやすい
副業・フリーランス人材の活用 必要なスキルを必要な期間だけ借りられる 稼働量に応じて変動する 比較的早い
外部パートナーへの委託 コンサルやベンダーに戦略立案やシステム構築を任せられる。任せきりにするとノウハウが残らない 案件規模によっては高額になる 早い

採用や外部活用は即効性がある一方、DXを自社の業務に根づかせるには、最終的に社内の誰かが判断し、推進できる状態が欠かせません。外部の力を借りる場合でも、依頼内容を決めて成果を評価できる社員は必要です。

採用で押さえたいポイント

採用に踏み切る場合は、募集を出す前に、DSS-Pのどの類型の人材が必要かを決めておきます。全体を引っ張る役割なのか、データを整える役割なのかで、求める経験や面接で確認する点が変わるためです。募集要項には、担当する業務課題、任せる裁量の範囲、学び続けられる環境を具体的に書くと、応募者が仕事内容を想像しやすくなります。社内にDXの知識を持つ人がいない場合は、候補者の見極め自体が難しくなるため、評価に同席する外部の専門家を置く方法もあります。

外部人材・外部コンサルを活用する際の注意点

立ち上げ期や専門性の高い領域では、副業人材やコンサル、ベンダーなど外部の力を借りることも有効です。ただし、使い方を誤ると費用だけがかかり、社内に何も残らない結果になりかねません。外部人材を活用する際に押さえておきたい点を整理します。

  • 依頼する範囲と期待する成果を事前に文書で明確にする。「DXを進めてほしい」のような曖昧な依頼は避ける
  • 社内に窓口となる担当者を置き、外部人材と一緒に作業させて、知識やノウハウを社内に移す
  • 成果物だけでなく、判断の理由や手順を資料として残してもらう
  • 特定の外部人材やベンダーしか分からない状態を作らない。契約終了後に自社で運用できるかを確認する
  • 顧客情報などを扱わせる場合は、秘密保持契約やアクセス権限の範囲を取り決めておく

外部人材の活用は、社内育成の代わりではなく、社内育成を加速させる手段と位置づけるのがポイントです。外部の専門家と一緒に仕事をする経験そのものが、社員にとって実践的な学びの機会になります。契約の内容や個人情報の取り扱いについては、関係法令や社内規程に沿って判断してください(本記事は法的助言を目的としたものではありません)。

外部人材から得た知識や手順は、社内の教材として蓄積しておくと、契約が終わっても学びが残ります。OJTで教えてきた内容を学習プログラムにして、繰り返し学べる形に整えられるサービスもあります。

OJTで教えてきた内容を、学習プログラムにして残したい会社に

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中小企業がDX人材育成で陥りやすい3つの失敗

DX人材の育成がうまくいかない原因は、学ぶ社員の能力よりも、育成の進め方にあることがほとんどです。中小企業で特に起こりやすい3つの失敗と、その対策を整理します。

よくある失敗 起きること 対策
育成の目的が決まっていない 研修を受けても業務で使う場面がなく、学んだことが定着しない 解決したい業務課題を先に決め、そのために必要な役割とスキルから学ぶ内容を逆算する
一度きりの集合研修で終わる 研修直後は意欲が高まるが、日常業務に戻ると忘れてしまう 短時間で繰り返し学べる仕組みを用意し、学習と実務での実践を交互に行う
特定の1人に任せきりにする 担当者が孤立し、周囲の協力が得られない。退職すると取り組みが止まる 経営者が関与して目的を共有し、全社員のリテラシー教育と推進役の育成を並行して進める

3つの失敗に共通するのは、育成が「イベント」になっていて「仕組み」になっていないことです。研修を実施したことに満足せず、誰が、いつ、何を学び、それを業務でどう使ったかを継続して追える状態を作ることが、育成を成果につなげる鍵になります。育成計画の立て方や企業規模別の進め方は、DX人材育成とは|DSS-LとDSS-P・6つの人材類型・規模別の進め方を解説で詳しく整理しています。

自社の育成が3つの失敗に当てはまっていないか、次のセルフチェックで確認できます。

DX人材の育成、今の進め方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

育成の実践例をどう積み上げるか

DX人材の育成は、学んだ知識を実際の業務改善に使い、その成功例を社内に広げていくことで加速します。最初から大きな変革を狙うのではなく、次のような流れで小さな成功を積み上げるのが現実的です。

段階 やること 確認する指標の例
学ぶ 全社員向けのリテラシー教材と、推進役向けの専門教材を用意し、業務の合間に学習する 受講率、学習時間、理解度テストの結果
試す 学んだ内容を使って、紙の書類の電子化や集計作業の自動化など、身近な業務を1つ改善する 改善した業務の数、削減できた作業時間
共有する 改善の手順と結果を社内で発表し、教材や手順書として残して他部署に展開する 展開した部署の数、社内教材の数

育成にどれくらいの学習時間を確保できるかは、計画を立てるうえでの出発点になります。受講する人数と1人あたりの学習時間を入力すると、1年間で社内に蓄積される学習時間の目安を計算できます。

年間の学習時間シミュレーター

年間48週で計算した目安です。実際の学習時間は業務の状況によって変わります。

たとえば10人が週30分ずつ学ぶだけでも、1年間で約240時間の学習が社内に積み上がります。まとまった研修日を設けなくても、短時間の学習を継続できる仕組みがあれば、育成は十分に前へ進みます。学んだ内容の理解度をテストで確認し、受講状況をデータで追えると、次の施策を決めやすくなり、育成の成果を一部の社員にとどめず社内全体に広げやすくなります。

学んだ内容の理解度と受講状況を、データで確認したい会社に

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よくある質問(FAQ)

Q1. DX人材とはどのような人材ですか?

A. デジタル技術やデータを活用して、自社のビジネスや業務、組織のあり方を変革し、成果につなげる人材です。ITに詳しいだけでなく、デジタルを手段として事業の変革を進める役割を担います。

Q2. DX人材とIT人材の違いは何ですか?

A. IT人材は情報システムの開発や運用を担い、既存業務を安定して支えることが主な役割です。DX人材はデジタルを使って何を変えるかを考え、事業や業務の変革を推進することが主な役割です。

Q3. DX人材にはどんな職種がありますか?

A. DX推進スキル標準(DSS-P)ver.2.0では、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、データマネジメント、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの6類型に整理されています。2026年4月公開のver.2.0でデータマネジメントが新設されました。

Q4. DX人材に向いている人はどんな人ですか?

A. 現場の課題に関心があり、小さく試して改善を繰り返せる人や、周囲と協力して進められる人、事実を根拠に判断できる人が向いていると考えられます。DXリテラシー標準のマインド・スタンスに沿った整理で、プログラミングの経験は必須ではありません。

Q5. DX人材の年収はいくらですか?

A. 「DX人材」という区分で集計された公的な賃金統計は、本記事では確認していません。年収は担う職種、企業の規模、経験によって大きく変わります。目安を知りたいときは、厚生労働省の職業情報提供サイト(jobtag)や賃金構造基本統計調査で、データサイエンティストなど近い職業の統計を確認してください。

Q6. 中小企業はDX人材を育成と採用のどちらで確保すべきですか?

A. 自社の業務を知る社員を育てる社内育成を土台にし、専門性の高い開発や分析など足りない部分を採用や外部人材で補う組み合わせが現実的です。教える人や教材が足りない場合は、教材の配信や受講管理をサービスに任せられるeラーニングを活用する方法もあります。

まとめ|DX人材の確保で押さえたい5つのこと

DX人材は、デジタルを手段として事業や業務の変革を進める人材です。多くの企業で不足が続くなか、中小企業にとっては、今いる社員を育てる仕組みを持つことが確保の近道になります。最後に行動のポイントを整理します。

  1. DX人材は、IT人材と目的が違う。デジタルを使って何を変えるかを考え、変革を進める人材として捉える
  2. デジタルスキル標準のDSS-P ver.2.0の6類型に自社の役割を当てはめ、足りない役割を洗い出す
  3. 確保は社内育成を土台にし、採用や外部人材で足りない部分を補う。外部人材のノウハウは社内に残す
  4. 育成は目的を決め、短時間で継続でき、受講状況を追える仕組みにする
  5. 教材の作成や受講管理にeラーニングを使うなら、複数サービスの資料を取り寄せて、自社の進め方に合うかを比べる

まずは自社のDXで解決したい業務課題を1つ決め、その推進役となる社員の学習を始めるところから取り組んでみてください。

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