DX事例|経産省選定の業種別事例と身近な社内DX・失敗例
Check!
- 経産省の3制度と事例集から事例を探せる
- 製造・建設・訪問看護など業種別の事例がわかる
- 身近な社内DXの例と失敗例、進め方がわかる
DX事例を探すなら、経済産業省が公表している選定企業と事例集を見るのが基本です。中堅・中小企業なら「DXセレクション」、上場企業なら「DX銘柄」、DXを進める準備が整った事業者を国が認定する「DX認定」と、目的と対象規模の異なる3つの制度があります。この記事では、2026年の最新の選定結果と事例集をもとに、製造・建設・訪問看護・農業資材小売などの業種別の取組、勤怠管理のような身近な社内DXの例、生産管理システム導入の失敗例までを整理します。自社に近い事例の探し方と、自社の取組に落とし込む4ステップも紹介します。
自社に近いDX事例の探し方を診断
Q1. 事例を読む目的に近いのはどれですか?
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
身近なDXの事例|勤怠管理など社内業務のデジタル化から始めた取組
身近なDXの例は、紙や手作業で回していた社内業務をデジタル化した取組です。公的な事例でも、最初の一歩は現場のデータ化や全員が使う小さなアプリでした。
たとえば、DXセレクション2022でグランプリに選ばれた製造業の株式会社山本金属製作所は、変革の最初の取組として機械加工のさまざまなプロセスや作業内容のデータを計測し、自社の強みを把握しました。愛媛県の西機電装株式会社(従業員53名)は、弁当発注アプリや体温記録アプリのように全社員が使う場面のあるアプリで小さな実績を積み、社員の心理的な抵抗を和らげています(経済産業省「中堅・中小企業等における DX 取組事例集」)。
現状を数字でつかむ入口として取り組みやすいのが、従業員の出退勤と労働時間の記録です。紙のタイムカードや表計算ソフトをやめて勤怠管理システムに切り替えるだけでも、残業の偏りやシフトの過不足が数字で見えるようになります。お名前.comビジネスコンシェルジュから資料請求できる勤怠管理システムを、役割の違いで並べました。優劣を決める表ではなく、自社の状況に合うかを確かめるための表です。
社内DXの第一歩になる勤怠管理システムの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:ジンジャー勤怠。英語・インドネシア語・タイ語・ベトナム語など複数の言語で表示できます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:カオナビ勤怠。業務やプロジェクトにかかった時間と人件費から工数を算出できます。
資料を無料ダウンロード| サービス | ジンジャー勤怠 |
カオナビ勤怠 |
|---|---|---|
| 向いている会社 | 打刻方法を現場に合わせて選びたい会社、外国籍スタッフや海外拠点がある会社 | 作業時間と人件費を工数として見たい会社、他のシステムとデータ連携したい会社 |
| 特徴 | パソコン・スマートフォン・タブレットのほか交通系ICカードやChatwork・Slackで打刻でき、100種以上の集計項目から労働時間を自動集計できる。1か月の無料トライアルがある | パソコン・タブレット・スマートフォン・ICカードリーダーで打刻でき、打刻漏れや残業超過をアラートで通知する。工数管理・シフト管理・テレワーク機能、CSV・API連携を備える |
| 注意したい点 | 利用料金はユーザー数・サポートプラン・契約するプロダクトで変わり、見積もりが必要。口コミにはアプリの動作が遅いという声もある | タブレット端末では一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリの動作保証はサポート対象外。プランは人事DXプランとタレントマネジメントプランから選ぶ |
| 資料・詳細 |
2サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
紙のタイムカードを集計している現場の場合の一例が、jinjer株式会社が提供する「ジンジャー勤怠」です。商品ページによると、打刻はパソコン・スマートフォン・タブレットのほか、交通系ICカードやChatwork・Slackにも対応し、GPSやIPアドレスによる打刻制限、顔認証と検温を同時に行う打刻も用意されています。労働時間は100種以上の集計項目から設定して自動で集計でき、フレックスタイム制や裁量労働制といった勤務形態にも対応します。1か月の無料トライアルも案内されています。注意点として、利用料金はユーザー数・サポートプラン・契約するプロダクトによって変わるため、見積もりが必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
ここがおすすめ!
- 初期設定から定着まで電話・チャット・WEBなどでサポート
- 24時間365日お問い合わせ可能
- スマホアプリ対応で場所を問わず簡単に打刻ができる
- 月末の締め日に見直すだけで簡単に勤怠管理ができる
- 個人だけでなくチーム全体の勤怠管理ができる
ここが少し気になる…
- スマホアプリだと申請や修正画面がわかりにくい
-
打刻忘れや申請漏れに対するアラート機能があるため、従業員自身が気づきやすくなり、修正依頼が減少しました。管理側の確認作業も楽になり、ミスが少なくなったのを実感しています。
-
打刻の漏れや修正についての対応漏れが減った(対応率が向上した)また管理職としてメンバーの勤怠管理が容易になった。管理部門側での対応負荷も減ったようで業務時間が減少、効率化が実現できたため導入満足度は高かった
-
jinjer勤怠を利用することによって、取り急ぎ問題となっていた「社内システムでは不可能な日付を跨いだ打刻」に関する問題が解決しました。 また、個人個人で日勤・夜勤がバラバラになっているシフト管理も、あらかじめスケジュールを登録できることにより解決しました。現場の責任者からも「シフト表を作る手間が省けた!」と大変好評でした。 労務部の立場としても、無理なシフトになっていないかの連携がリアルタイムにできることは大きなメリットでした。
同社の導入事例ページでは、和菓子・洋菓子メーカーの株式会社十万石ふくさやが、紙のタイムカードの手計算と手入力から切り替えた結果を次のように紹介しています(個別の事例であり、効果は会社の規模や運用によって異なります)。
打刻データが自動的に蓄積され、給与計算システムにデータを取り込むことで正確な給与計算が実現できた。
出典:jinjer株式会社「株式会社十万石ふくさやの導入事例」
身近なDXの例を業務別に整理する
公的な資料やベンダーの事例ページで確認できる身近な取組を、業務ごとに並べます。どれも大がかりなシステムではなく、毎日の仕事の中で使う場面から始めている点が共通しています。
| 業務 | 事例 | 取組の内容 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 勤務時間の記録 | 株式会社十万石ふくさや(和菓子・洋菓子メーカー) | 紙のタイムカードの手計算と手入力をやめ、勤怠管理システムの打刻データを給与計算システムに取り込む形へ切り替えた | jinjer株式会社の導入事例 |
| 全員が使う小さなアプリ | 西機電装株式会社(愛媛県・製造業・従業員53名) | 弁当発注アプリや体温記録アプリなど、全社員が使う場面のあるアプリで小さな実績を積み、心理的な抵抗を和らげた | 経済産業省の事例集 |
| 手順書の共有 | プーラビダ株式会社(福岡県・訪問看護・従業員28名) | 全従業員にiPadを貸与し、手順書をサイト上で共有した | 北九州市の発表 |
| 製造工程の見える化 | 三行合成樹脂株式会社(新潟県・プラスチック製品製造業) | 二次元コードを活用したトレーサビリティ管理と、製造工程のリアルタイム監視を導入した | 新潟県の発表 |
| 業務アプリの内製 | 株式会社後藤組(山形県・建設業) | 専任のDXチームが技術面で支援し、現場の社員自身がノーコードツールで業務アプリを作成した | J-Net21 |
ただし、ツールを入れただけでDXが完了するわけではありません。経済産業省のデジタルガバナンス・コードは、DXを、データとデジタル技術を活用して製品・サービスやビジネスモデルを変革するとともに、業務や組織、プロセス、企業文化・風土まで変革し、競争上の優位性を確立することと定義しています(デジタルガバナンス・コード3.0)。勤怠のデジタル化は、その入口にあたる「データの土台づくり」です。DXの定義や業種別の始め方は、「DXとは?経産省の定義とデジタル化との違い、業種別・規模別の始め方」で詳しく整理しています。
DX事例を探せる経済産業省の3制度|DXセレクション・DX銘柄・DX認定
DX事例を探せる経済産業省の制度は、中堅・中小企業向けのDXセレクション、上場企業向けのDX銘柄、DXを進める準備が整った事業者を認定するDX認定の3つです。
| 制度 | 対象 | 目的・性格 | 最新の選定規模 |
|---|---|---|---|
| DXセレクション | 中堅・中小企業等 | DXで成果を上げたモデルケースを選び、地域や業種内への横展開を図る制度(2022年から実施) | 2026年はグランプリ1者、準グランプリ2者、優良事例8者の計11者 |
| DX銘柄 | 東京証券取引所の上場企業 | デジタル技術を前提としたビジネスモデルや経営の変革に取り組む企業を選定し、目標となる企業モデルを広く示す制度 | 2026年はDX銘柄30社(うちDXグランプリ企業3社)、DX注目企業17社、DXプラチナ企業2社 |
| DX認定 | すべての事業者(法人・個人事業主) | DXを進める準備が整っていると国が認定する制度。表彰ではなく、体制が整っているかの認定 | 1年を通していつでも申請でき、認定事業者はIPAのサイトで一覧が公開される |
3つの制度は段階的な関係にあります。IPAによると、DX認定を受けると、上場企業はDX銘柄の選定対象に、中堅・中小企業等はDXセレクションへの自薦での応募が可能になります(IPA「DX認定制度のご案内」)。つまり、DXセレクションやDX銘柄の選定企業を読むときは、DXの方針や体制を整えたうえで成果を評価された企業の事例を見ていることになります。
経済産業省のサイトで事例を読める場所
経済産業省のDXセレクションのページでは、2022年から2026年までの選定企業の一覧や最終選考のプレゼンテーション資料が公開されています。DX銘柄については、DX銘柄のページで選定企業の取組をまとめたレポートを読めます。中堅・中小企業の取組をまとめた「中堅・中小企業等における DX 取組事例集」には、DXセレクション2022に選ばれた山本金属製作所、リョーワ、樋口製作所、西機電装の4社と、伴走支援の事例として常陽銀行、ふくおかフィナンシャルグループ、NISSYO、みらい蔵の4社、あわせて8事例が載っています。
探し方は、まず自社と同じ規模の制度を選び、次に業種や地域で絞り込むのが効率的です。中小企業であればDXセレクション、上場企業やそのグループ会社であればDX銘柄の選定企業を見ます。DXセレクション2026の選定企業11者は、北海道から九州まで本社の所在地が公表されているため、同じ地域の企業から読むと、取引先や人材採用の環境が近い取組を見つけやすくなります。
全国の制度のほかに、地域の経済産業局が行う表彰もあります。東北経済産業局は2021年度から「TOHOKU DX大賞」を実施しており、自社のDXを対象とするビジネスイノベーション部門と、他社や地域のDXなどを対象とするソリューション部門の2部門で表彰し、受賞者の事例集も公開しています(東北経済産業局「TOHOKU DX大賞」)。自社が東北地域にある場合は、地域の事例として読むと参考にしやすくなります。
中堅・中小企業の事例に学ぶ|製造・建設・訪問看護・農業資材小売の実例
中堅・中小企業のDX事例は、従業員数十名の会社からも出ています。経済産業省や自治体が公表した内容を、業種と規模で整理します。
| 企業 | 業種・所在地・規模 | 取組の内容 | 選定区分と出典 |
|---|---|---|---|
| プーラビダ株式会社 | 訪問看護・福岡県・従業員28名 | 高コストな既存システムをGoogle Workspace有料版とGeminiに移行し、全従業員にiPadを貸与して手順書を共有 | DXセレクション2026グランプリ(北九州市) |
| 三行合成樹脂株式会社 | プラスチック製品製造業・新潟県 | 二次元コードを活用したトレーサビリティ管理と製造工程のリアルタイム監視 | DXセレクション2026準グランプリ(新潟県) |
| 株式会社後藤組 | 建設業・山形県 | 現場から経営層までが参加する「全員DX」。現場の社員がノーコードツールで業務アプリを作成 | DXセレクション2025グランプリ(J-Net21) |
| 株式会社リョーワ | 油圧メンテナンスと外観検査システム・福岡県・従業員24名 | 油圧装置の保守から、低価格なクラウド型AI外観検査システムや遠隔メンテナンスへ事業を広げた | DXセレクション2022準グランプリ(経済産業省の事例集) |
| 株式会社みらい蔵 | 農業資材小売業・大分県・従業員20名 | 土壌診断施肥設計システムを開発し、DX戦略を公開してDX認定を取得 | 伴走支援の事例(経済産業省の事例集) |
プーラビダ株式会社(福岡県・訪問看護)|DXセレクション2026グランプリ
北九州市で訪問看護事業を営む、従業員28名(2026年5月末時点)の企業です。北九州市の発表によると、高コストな既存システムを廃止してGoogle Workspace有料版とGeminiへ移行し、全従業員にiPadを貸与して手順書を共有しています。手当付きの「DXサークル」や「感謝アプリ」による組織づくりも進めました(北九州市)。
| 指標 | 取組前 | 取組後 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 1,500万円の赤字 | 1,400万円の黒字 |
| 離職率 | 83.3%(業界平均16%) | 7.7% |
| 生産性 | 基準 | 1.5倍 |
小規模な事業者でも、高価な専用システムではなく汎用的なクラウドサービスを組み合わせて成果を出せることを示した事例です。「DXは予算のある大企業のもの」という思い込みを見直すきっかけになります。
三行合成樹脂株式会社(新潟県・プラスチック製品製造業)|DXセレクション2026準グランプリ
「町工場からの脱却 スマートファクトリーへの変革」をテーマに、二次元コードを活用したトレーサビリティ管理や製造工程のリアルタイム監視を導入し、より高度な品質管理と生産効率の最適化を目指した企業です。新潟県の企業がDXセレクションで準グランプリを受賞したのは初めてです(新潟県)。
株式会社後藤組(山形県・建設業)|DXセレクション2025グランプリ
現場の作業員から経営層までが参加する「全員DX」を進めた建設会社です。専任のDXチームが技術面で支援し、現場の社員自身がノーコードツールで業務アプリを作成することで、業務の効率化、労働時間の短縮、コスト削減、新卒者の定着率向上につなげたことが評価されました(J-Net21)。IT専門の部署に頼らず、現場の困りごとを現場が解決する仕組みをつくった点が、人手不足に悩む建設業や製造業の参考になります。
従業員20名台の事例|株式会社リョーワと株式会社みらい蔵
経済産業省の事例集には、従業員が20名台の会社も載っています。福岡県北九州市の株式会社リョーワ(従業員24名)は、油圧装置のメンテナンスを祖業とし、本業の利益を新規事業の開発資金に充てながら、中小企業でも導入しやすい低価格のクラウド型AI外観検査システムを開発しました。大分県の株式会社みらい蔵(従業員20名)は、農業資材の販売で培った土壌分析のデータをもとに土壌診断施肥設計システムを開発し、DX戦略を公開してDX認定を取得しています。目標として、データを活かした農業を2027年までに50経営体、2,000ヘクタールに広げることを掲げ、毎年売上高の1%をIT化やデジタル化、人材育成に充てるとしています(経済産業省の事例集)。
これらの事例に共通する成功要因は、DX成功事例の共通要因|経産省DXセレクションから学ぶ3つのポイントで整理しています。この記事では、業種ごとに何をデジタル化したのかという取組の中身に絞って紹介しました。業種が違っても、人手不足や情報共有のように共通する課題は少なくありません。
2サービスの役割を比較表で見るDX銘柄との違い|上場企業向け選定制度
DX銘柄は、東京証券取引所に上場する企業の中から、デジタル技術を前提としたビジネスモデルや経営の変革に取り組む企業を選ぶ制度で、中小企業向けのDXセレクションとは対象規模が異なります。
2026年4月の発表では、DX銘柄30社が選ばれ、そのうちブリヂストン、ミスミグループ本社、三井住友フィナンシャルグループの3社がDXグランプリ企業となりました。ほかにDX注目企業17社、3年連続でDX銘柄に選ばれるなどの条件を満たしたDXプラチナ企業として日本郵船とソフトバンクの2社が選ばれています。特に今回の選定では、AIトランスフォーメーションの取組が一層評価されたと説明されています(経済産業省)。
| 比較の観点 | DXセレクション | DX銘柄 |
|---|---|---|
| 対象企業 | 中堅・中小企業等 | 東京証券取引所の上場企業 |
| 評価の重点 | デジタルガバナンス・コードに沿った取組で成果を創出していること、他社のモデルケースになること | ビジネスモデルや経営の変革、企業価値の向上につながるDXの仕組みと実績 |
| 主な読み手 | 同じ地域・業種の中小企業、支援機関 | 投資家、上場企業の経営層 |
中小企業がDX銘柄の事例を読むときは、そのまま真似するのではなく、「経営トップがDXの方針を示している」「成果を指標で管理している」といった考え方を取り入れるのが現実的です。取組の規模は小さくても、方針を決め、データで成果を測るという流れは共通しています。
DXの失敗事例|生産管理システムを導入して使われなくなった例
DXの失敗事例で多いのは、システムを導入したものの現場で使われなくなるケースです。経済産業省の事例集には、西機電装株式会社が生産管理システムの導入で失敗した経緯が記されています。
同社は、顧客ごとにカスタマイズした大型クレーン用の制御盤などを設計・製造しています。設計変更が多く、情報共有の抜け漏れや手戻りが起きていたため、生産管理システムのパッケージを導入しました。ところが生産管理システムは事前に計画することを前提としたシステムで、計画変更は例外として扱われます。同社のように計画変更が日常的に起きる製品では、変更のたびに最新情報を入力するのが煩雑で、結局は誰も使わなくなりました。それでも、これまでの投資を惜しんで改修を続ける「コンコルド効果」に陥っていたと事例集は記しています(経済産業省の事例集)。
その後、同社は2017年にkintoneと出会い、まず総務部の人事台帳アプリから自社で作り始めました。新しいシステムへの社員の心理的な抵抗に対しては、操作が簡単で効果がわかりやすく、全社員が使う弁当発注アプリや体温記録アプリで小さな実績を積み重ね、効果を体感してもらう方法で乗り越えています。
失敗事例から読み取れる原因と対応
| 失敗の原因 | 西機電装の事例での対応 | 自社で取り入れるときの考え方 |
|---|---|---|
| 業務の特性に合わないパッケージを前提にした | 計画変更が日常的な自社の業務に合う仕組みを、自社で作る方向へ切り替えた | 導入前に、自社の仕事の流れと例外の多さを書き出し、合う仕組みかを確かめる |
| 投資済みの金額を惜しんで改修を続けた | kintoneによる自社開発へ切り替えた | 撤退や見直しの基準を最初に決めておく |
| 社員の心理的な抵抗が大きかった | 全員が使う小さなアプリで効果を体感してもらった | 毎日使う身近な業務から始め、効果を目に見える形で示す |
| 成果を測れていない | 事例集には記載なし | IPAの調査では、日本企業でDXの成果が出ている割合は6割弱で、「わからない」とする回答が26.2%ある。成果を測る指標を設定している企業も3割以下にとどまる。指標を先に決める |
IPAの「DX動向2025」によると、DXの取組の割合は日本と米国・ドイツで大きく変わらない一方、DXによる成果が出ている割合は日本の方が低く、日本は個別の業務の最適化にとどまる傾向があると分析されています。成果を把握する指標を設定している企業の割合も、日本は3割以下で、米国とドイツの8割以上と大きな差があります(IPA「DX動向2025」)。失敗を避けるには、大きな仕組みを一度に入れるのではなく、小さく試して効果を測り、うまくいった範囲から広げるのが現実的です。
勤怠管理のように、全員が毎日使い、効果を数字で確かめやすい業務は、小さく試すのに向いています。ジンジャー勤怠は、商品ページによると1か月間の無料トライアルが案内されており、契約前に操作感や自社の勤務形態との相性を確かめられます。無料トライアル中の設定は契約後も引き継がれるとされています。
自社の事例研究をどう進めるか|4ステップ
事例を読んで終わりにせず、自社の取組につなげるには、次の4つのステップで進めると整理しやすくなります。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 課題を決める | 人手不足、残業、ミスの多さなど、自社で一番困っていることを1つに絞る | 課題が決まると、読むべき事例も絞り込める |
| 2. 近い事例を3つ集める | DXセレクションやDX認定の一覧から、規模・業種・課題が近い事例を選ぶ | 業種が違っても課題が同じ事例は候補に入れる |
| 3. 現状を数字で測る | 残業時間、離職率、作業時間など、改善したい指標の今の値を把握する | 勤怠データのように毎日取れる数字から始めると続けやすい |
| 4. 小さく試して測り直す | 1つの業務でツールや手順を変え、3か月ほどで数字の変化を確認する | 成果が出たら他の業務へ広げ、DX認定の申請も視野に入れる |
ステップ3でつまずく企業は少なくありません。紙のタイムカードや表計算ソフトで勤怠を管理していると、部署ごとの残業時間や交代勤務の偏りをすぐに集計できず、改善の前後を比べることも難しくなります。勤務データを自動で集める仕組みを先に整えておくと、事例研究で立てた計画の効果を数字で確かめやすくなります。
部署や拠点ごとの残業状況を早い段階で把握したい場合の一例が、「カオナビ勤怠」です。商品ページによると、打刻忘れ、残業時間の超過、休日出勤の未届け、申請の承認待ちなどをアラートで通知し、業務やプロジェクトにかかった時間と人件費から工数を算出する工数管理、シフト表の作成と人員が不足している日の募集、データのCSV・API連携に対応しています。注意点として、タブレット端末では一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリの動作保証はサポート対象外と案内されているため、導入前に推奨環境を確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
ここがおすすめ!
- 「アラート機能」搭載で管理画面で素早い確認と管理が可能
- その日のスケジュールにあわせて使える3つの打刻方法を提供
- 打刻だけでなく、シフトや工数管理・テレワーク機能なと機能充実
ここが少し気になる…
- カオナビのオプション扱いのため、詳細な費用は問い合わせで確認
事例研究の前に、勤務データの取り方をセルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
よくある質問(FAQ)
Q1. 信頼できるDX事例はどこで探せますか?
A. 経済産業省などが選定する公的制度の選定企業を見るのが基本です。中堅・中小企業ならDXセレクション、上場企業ならDX銘柄の選定企業の取組が公開されており、中堅・中小企業の取組は経済産業省の「中堅・中小企業等における DX 取組事例集」でも読めます。DX認定の認定事業者はIPAのサイトで一覧が公開されています。
Q2. DXの身近な例にはどのようなものがありますか?
A. 紙や手作業で回していた社内業務のデジタル化が身近な例です。公的な事例では、全社員が使う弁当発注アプリや体温記録アプリ、iPadでの手順書の共有、二次元コードによるトレーサビリティ管理、勤怠データの自動集計などがあります。
Q3. DXの失敗事例にはどのようなものがありますか?
A. 経済産業省の事例集には、西機電装株式会社が業務に合わない生産管理システムを導入し、計画変更のたびの入力が煩雑で誰も使わなくなった例があります。投資を惜しんで改修を続けてしまう状態に陥っていたとされ、その後は全員が使う小さなアプリから立て直しました。
Q4. 社内のDX化は何から始めればよいですか?
A. 毎日使う身近な業務から、小さく始めるのが現実的です。勤怠管理のように全員が使い、残業時間や作業時間を数字で測れる業務なら、導入前後の変化を確かめやすくなります。無料トライアルや資料で操作感を確かめてから決める方法もあります。
Q5. DXセレクションとDX銘柄の違いは何ですか?
A. 対象となる企業規模が違います。DXセレクションは中堅・中小企業等のモデルケースを選ぶ制度、DX銘柄は東京証券取引所の上場企業の中から経営変革に取り組む企業を選ぶ制度です。中小企業が参考にするなら、DXセレクションの事例が規模感を合わせやすいでしょう。
Q6. DXセレクション2026のグランプリはどの企業ですか?
A. 福岡県北九州市で訪問看護事業を営むプーラビダ株式会社です。既存の高コストなシステムをGoogle Workspace有料版とGeminiへ移行し、離職率を83.3%から7.7%に下げ、営業利益を赤字から黒字に転換したことが紹介されています。準グランプリには三行合成樹脂株式会社と株式会社ヒューマングループが選ばれています。
まとめ
DX事例は、経済産業省が関わる公的な制度と事例集から探すと、信頼性が高く、規模感の合う事例を見つけやすくなります。押さえておきたいポイントは次の4つです。
- 中小企業はDXセレクション、上場企業はDX銘柄、同じ地域・業種の取組を幅広く知るならDX認定の一覧や経済産業省の事例集から事例を探す。
- 事例は、ツール名ではなく、どの業務をどのようにデジタル化し、どの数字が変わったかに注目して読む。
- 失敗事例も読み、全員が毎日使う身近な業務から小さく試して、効果を数字で測る。
- 勤務時間のような毎日取れるデータを測る手段として、勤怠管理システムの資料を取り寄せて比べ、無料トライアルなどで自社に合うかを確かめる。
参考文献
- 経済産業省「DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定)」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection/dx-selection.html
- 経済産業省「中堅・中小企業等における DX 取組事例集」(PDF) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/tebiki2.0archives.pdf
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」(PDF) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc3.0.pdf
- 経済産業省「DX銘柄2026」「DX注目企業2026」「DXプラチナ企業2026-2028」を選定しました https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260410002/20260410002.html
- 経済産業省「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/dx_meigara.html
- 経済産業省 東北経済産業局「TOHOKU DX大賞」 https://www.tohoku.meti.go.jp/s_joho/index_dx.html
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX認定制度のご案内」 https://www.ipa.go.jp/digital/dx-nintei/about.html
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「日本・米国・ドイツ企業のDX推進状況を調査した「DX動向2025」を公開」 https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20250626.html
- 北九州市「経済産業省『DXセレクション2026』グランプリを受賞しました!」 https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/107_00011.html
- 新潟県「三行合成樹脂株式会社がDXセレクション2026において、新潟県初の『準グランプリ』を受賞しました!」 https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/sogyosuishin/inovedxline260527.html
- J-Net21(独立行政法人中小企業基盤整備機構)「DXセレクション2025 グランプリに後藤組を選定」 https://j-net21.smrj.go.jp/news/cek71k000000m0le.html
- jinjer株式会社「株式会社十万石ふくさやの導入事例」 https://hcm-jinjer.com/results/148952/
この記事に興味を持った方におすすめ

