DX事業とは|2つの意味と産業レイヤー、進め方をわかりやすく整理

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  • DX事業には、自社の変革活動と、DXを支援する提供事業の2つの意味がある
  • 産業レイヤーで捉えると、自社で担う部分と外部に任せる部分を切り分けやすい
  • DX事業を進めるには、定義や方針を全社員の共通言語にする研修の仕組みが欠かせない

「DX事業」という言葉は、会議資料や求人票、企業の中期経営計画など、さまざまな場面で使われています。ところが、この言葉には「自社がデジタル技術で事業を変革する取り組み」と「他社のDXを支援する事業(産業)」という2つの意味があり、どちらを指しているのかが分からないまま話が進んでしまうことが少なくありません。この記事では、DX事業の2つの意味を整理したうえで、経済産業省によるDXの定義、IT化との違い、取り組むメリットと注意点、DXを提供する側の産業レイヤー、進め方の5ステップ、業界別の重点テーマ、よくある失敗までを順に解説します。

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目次

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  1. DX事業の理解を社内の共通言語にする|DX研修向けeラーニングの比較
  2. DX事業とは|2つの意味を整理する
  3. 経済産業省「デジタルガバナンス・コード」によるDXの定義
  4. DXとIT化の違い|目的の違いを整理
  5. DX事業に取り組むメリットと注意点
  6. 産業レイヤーとは|縦割り構造からレイヤー構造への転換
  7. DX事業を提供する産業の構造|コンサル・SI・SaaS・インフラの位置づけ
  8. DX事業の進め方|5つのステップ
  9. 業界別に見るDX事業の重点テーマ
  10. DX事業でよくある失敗パターン
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ
  13. 参考文献

DX事業の理解を社内の共通言語にする|DX研修向けeラーニングの比較

DX事業という言葉を調べている方の多くは、社内の会議や資料でこの言葉に出会い、「結局、何を指しているのか」を確かめたいと考えているはずです。裏を返せば、社内で言葉の意味がそろっていないということでもあります。経営層は事業モデルの変革を思い描き、現場は業務ツールの入れ替えを想像し、情報システム部門は外部ベンダーへの発注を考えている。この状態のまま計画を立てても、議論はかみ合いません。

そのため、DX事業を理解した次の一歩は、担当者ひとりの理解を社内全体の共通言語に広げることです。集合研修を何度も開くのは負担が大きいため、時間や場所を選ばずに同じ内容を学べるeラーニングがよく使われます。DX研修向けのeラーニングには、国のスキル標準に沿って成果を見える化できるもの、幅広い動画で基礎から学べるもの、自社の教材を作って配信できるものなど、性格の異なるサービスがあります。代表的な3つを、強みと導入前に確認したい点に分けて整理しました。

サービス名(提供会社) 主な特徴 導入前に確認したい点
SIGNATE Cloud(株式会社SIGNATE) デジタルスキル標準に対応し、研修の成果を可視化できる。社員それぞれのレベルに合わせたプログラムがあり、事業企画からデータ分析まで学んだことを実践につなげやすい スマホやタブレットで利用できるかは問い合わせでの確認が必要
Schoo for Business(株式会社Schoo) 7,000本以上とされる動画が見放題で、スマホからも視聴できる。全社員の基礎づくりに使いやすい 基礎的な内容の動画が多く、専門的に学びたい人には浅く感じられる可能性がある
Cloud Campus(株式会社サイバー大学) 月額固定でユーザー登録数に制限がなく、従業員が多いほど割安になる。動画・スライドの教材を自社で作成でき、自社のDX事業の方針を教材にして配信しやすい 受講者数が少ない場合は割高になる可能性がある

どれが優れているかは一概にいえず、目的によって向き不向きが分かれます。DX推進の中核人材を育てたいのか、全社員の基礎知識をそろえたいのか、自社独自の方針を浸透させたいのかを先に決めると選びやすくなります。動画本数や料金体系は変更されることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。ほかのサービスも含めて、学べる内容や選定のポイントを詳しく比べたい場合は、次の記事が参考になります。

DX事業とは|2つの意味を整理する

DX事業とは、データとデジタル技術を使って製品・サービスやビジネスモデルを変革する取り組み、またはその変革を支援する事業のことです。法令や公的な文書で定義された用語ではなく、使う人の立場によって指すものが変わります。大きく分けると、次の2つの意味があります。

比較項目 意味1:変革活動としてのDX事業 意味2:提供事業としてのDX事業
誰の話か DXに取り組む企業自身(利用側) 他社のDXを支援する企業(提供側)
指している内容 デジタル技術で自社の事業や業務を変える取り組み、またはデジタルを前提に立ち上げた新しい事業 コンサルティング、システム開発、クラウドサービスなどを提供して対価を得る事業
使われる場面 中期経営計画、社内の方針説明、事例紹介 企業の事業紹介、求人票、業界・市場の解説
使われ方の例 「当社のDX事業の一環として受発注の仕組みを刷新する」 「当社はDX事業を主力とするIT企業である」

どちらの意味かを見分ける3つの手がかり

検索結果の上位にある解説の多くは、意味1(変革活動)だけを前提にしています。しかし実際の会話や資料では意味2で使われることも多く、混同すると話がかみ合いません。次の3点を確かめると、どちらの意味かを判断しやすくなります。

  • 主語は誰か:自社の取り組みを語っているなら意味1、顧客に提供するサービスを語っているなら意味2です。
  • 売上の出どころはどこか:変革した本業から売上が生まれるなら意味1、DXの支援そのものが売上になるなら意味2です。
  • 部署名や事業名として使われているか:「DX事業部」「DX事業本部」は、社内変革を担う部署の場合と、顧客向けの支援サービスを担う部署の場合の両方があります。会社案内や組織図で担当範囲を確かめるのが確実です。

なお、2つの意味は対立するものではありません。自社の変革で培った仕組みやノウハウを、他社向けのサービスとして提供し始める企業もあり、その場合は意味1から意味2へと事業が広がっていきます。大切なのは、いま話題にしているのがどちらなのかを、話し手と聞き手の間でそろえておくことです。

経済産業省「デジタルガバナンス・コード」によるDXの定義

DX事業を理解する土台になるのが、DXそのものの定義です。経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。ポイントは、変える対象が製品やサービスだけでなく、組織や企業文化まで含まれている点です。

この考え方を、経営者に求められる対応として整理した文書が「デジタルガバナンス・コード」です。経済産業省の公表資料によると、2020年11月に取りまとめられ、2022年9月に「デジタルガバナンス・コード2.0」へ、2024年には「デジタルガバナンス・コード3.0」へと改訂されています。3.0には「DX経営による企業価値向上に向けて」という副題が付き、DX経営に求められる3つの視点と5つの柱が示されています。

5つの柱 DX事業(変革活動)で考えること
経営ビジョン・ビジネスモデルの策定 デジタル技術による変化を踏まえて、自社がどんな価値を提供する会社になるかを決める
DX戦略の策定 ビジョンを実現するために、データとデジタル技術をどう使うかを決める
DX戦略の推進 組織づくり、デジタル人材の育成・確保、ITシステムとサイバーセキュリティを整える
成果指標の設定・DX戦略の見直し 達成度を測る指標を決め、結果を見て戦略を見直す
ステークホルダーとの対話 取り組みの内容と成果を、社内外に分かりやすく発信する

デジタルガバナンス・コードは、主に意味1(自社が取り組む変革活動)を想定した文書です。このコードの基本的な事項に対応する企業を国が認定する「DX認定制度」もあり、認定を受けた企業は、DXに取り組む準備が整っていることを対外的に示せます。制度の要件や手続きは改定されることがあるため、申請を検討する際は経済産業省と情報処理推進機構(IPA)の公式情報を確認してください。本記事は制度の概要を紹介するもので、個別の申請可否を判断するものではありません。

DXとIT化の違い|目的の違いを整理

DXとIT化の違いは、目的にあります。IT化は既存の業務を効率よくすることが目的で、DXは事業や組織そのものを変えて競争力を高めることが目的です。IT化はDXを進めるための手段のひとつ、と捉えると関係が分かりやすくなります。

比較項目 IT化 DX
目的 既存業務の効率化・省力化 製品・サービス・ビジネスモデルの変革と競争優位の確立
変わる範囲 特定の業務や部署 事業全体、組織、企業文化
成果の測り方 作業時間やコストの削減 新しい売上、顧客への提供価値の向上
例 紙の申請書を電子申請に置き換える 蓄積した利用データをもとに、売り切りの製品を月額サービスに変える

中小企業庁の解説でも、既存業務を電子化するデジタル化の先に、ビジネスモデルそのものが変わるDXがあると説明されています。つまり、IT化を積み重ねただけではDX事業とは呼べませんが、IT化を飛ばしてDXに進むこともできません。「うちのDX事業は進んでいる」と言うときに、実際にはIT化の段階にとどまっているケースは多いため、自社の取り組みがどちらに当たるかを一度確かめておくとよいでしょう。両者の違いを項目ごとにさらに詳しく確認したい場合は、DXとIT化の違い|比較表で確認も参考になります。

DX事業に取り組むメリットと注意点

DX事業(変革活動)に取り組むメリットは、変化への対応力、生産性、事業継続性の3つに整理できます。一方で、成果が出るまでに時間がかかるなどの注意点もあります。

  • 市場や顧客の変化に対応しやすくなる:販売や利用のデータを継続的に把握できるようになり、需要の変化に合わせて商品や提供方法を見直しやすくなります。
  • 生産性が上がる:手作業や転記が減ってミスが少なくなり、判断に必要な情報が早く集まるため、意思決定も速くなります。
  • 緊急時にも事業を続けやすくなる:業務の仕組みやデータをクラウド上に置き、場所を問わず働ける体制にしておくと、災害や感染症の流行時にも事業が止まりにくくなります。

注意点としては、初期の投資と学習の負担がかかること、成果が売上として表れるまでに時間がかかること、推進できる人材が社内に不足しがちなことが挙げられます。とくに人材については、外部から採用するだけでなく、いまいる社員が基礎知識を身につけることが欠かせません。メリットとデメリットを踏まえた判断の仕方は、DXのメリット・デメリットを中立解説|導入前に見る判断軸と小さく始める進め方で詳しく扱っています。

産業レイヤーとは|縦割り構造からレイヤー構造への転換

産業レイヤーとは、ひとつの製品やサービスを成り立たせている機能を、役割ごとの階層(レイヤー)に分けて捉える考え方です。DX事業のもうひとつの意味である「提供する側の産業」を理解するうえでも、自社の変革を設計するうえでも、鍵になる概念です。

従来の産業は、企画から製造、販売、アフターサービスまでを1社または1つの系列が一貫して担う、縦割り(垂直統合)の構造が中心でした。これに対してレイヤー構造では、機能ごとに専門の事業者が存在し、利用する側が必要な層を選んで組み合わせます。たとえば飲食店の出前は、かつては調理から配達までを店が自前で行っていましたが、いまは注文の受付や配達を専門の事業者が担い、店は調理に集中するという分業が広がっています。

比較項目 縦割り構造 レイヤー構造
機能の持ち方 1社または系列がすべての機能を自前で持つ 機能ごとに専門の事業者が担い、組み合わせて使う
強み 品質や納期を自社で管理しやすい 変化に合わせて層ごとに入れ替えやすい
弱み 一部を変えるにも全体の作り直しが必要になりやすい 層の境目で責任の所在があいまいになりやすい
経営の問い 自社でどこまで抱えるか どの層を自社が担い、どの層を誰と組むか

DXが進むと、業務の仕組みがデータとソフトウェアで表現されるようになり、機能を層として切り出しやすくなります。その結果、「自社はどの層で価値を出すのか」という問いが経営課題として浮かび上がります。DX事業を考えることは、自社の事業をレイヤーに分解し、強みを発揮できる層を見定める作業でもあります。

DX事業を提供する産業の構造|コンサル・SI・SaaS・インフラの位置づけ

DXを提供する側の産業も、レイヤー構造で捉えると全体像がつかめます。大まかには、戦略を描く層、仕組みを作り込む層、完成したサービスを提供する層、土台となる基盤を提供する層の4つに分けられます。

レイヤー 主な役割 依頼する場面 選ぶときの確認点
コンサルティング層 経営課題の整理、DX戦略や計画の策定支援 何から着手すべきかが定まっていないとき 自社に近い規模・業種での支援実績があるか
SI(システムインテグレーション)層 自社の業務に合わせたシステムの設計・開発・導入 既製のサービスでは対応できない固有の業務があるとき 既存システムとの連携、稼働後の保守・運用体制
SaaS(クラウドサービス)層 会計、勤怠、顧客管理など、完成した業務機能をインターネット経由で提供 一般的な業務を早く、小さく始めたいとき 自社の業務の流れに合うか、他のサービスとデータを連携できるか
インフラ層 サーバー、ネットワーク、データ基盤などの土台を提供 データの保管や処理の基盤を整えるとき データの保存場所、セキュリティの基準、料金体系の分かりやすさ

かつては、大手のシステム会社が戦略の相談から開発、運用までを一括で請け負う形が主流でした。いまはSaaSの普及によって、利用する企業が層ごとにサービスを選び、組み合わせられるようになっています。提供側の企業も、複数の層をまたいで手がける総合型と、特定の層に特化した専門型に分かれています。求人票や会社案内で「DX事業」と書かれている場合は、その企業がどの層を担っているのかを見ると、事業の中身が具体的に分かります。

規模別に見る、提供側との付き合い方

個人事業主や小規模な企業では、層を細かく区別する必要はあまりなく、必要な機能がまとまったSaaSを直接契約する形が現実的です。中小企業では、社内の情報システム担当者が少ないことが多いため、SaaSを中心にしつつ、設定や運用の相談に乗ってくれる支援先を1社持っておくと管理の手間を抑えられます。中堅・大企業では、専任の推進部門が全体方針を固めたうえで、層ごとに強みを持つ事業者を使い分ける発注がしやすくなります。

どの規模でも共通する原則は、経営の方向性を決める部分は外部に任せきりにしないことです。戦略の整理を手伝ってもらうことはあっても、最終的に何を目指すかは自社で決める必要があります。支援企業の比較の仕方は、DX屋とは?支援企業の選び方と比較軸で詳しく解説しています。

DX事業の進め方|5つのステップ

DX事業(変革活動)は、現状の把握から社内への定着まで、5つのステップで進めると整理しやすくなります。デジタルガバナンス・コードの5つの柱とも対応する流れです。

  1. 現状を把握する:業務の流れ、使っているシステム、たまっているデータを洗い出し、どこに手間や機会損失があるかを確かめます。
  2. 目指す姿を決める:デジタル技術を使って、顧客にどんな価値を提供する会社になるのかを経営層が言葉にします。
  3. 戦略と優先順位を決める:すべてを一度に変えようとせず、効果が見えやすく着手しやすいテーマから順番を付けます。あわせて達成度を測る指標も決めます。
  4. 体制と仕組みを整える:推進の責任者と窓口を決め、産業レイヤーの考え方を使って、自社で担う部分と外部に任せる部分を切り分けます。
  5. 社内に浸透させ、見直す:方針と用語の意味を全社員に共有し、指標の結果を見ながら戦略を見直します。

このうち、後回しにされやすいのが5つ目の浸透です。経営層と推進担当者の間で方針が固まっても、現場の社員が「DX事業とは何をすることなのか」「自分の仕事はどう変わるのか」を理解していなければ、新しい仕組みは使われません。中小企業庁の解説でも、経営者が方針を示すトップダウンと、現場の意見を聞くボトムアップの両方が必要だとされています。

浸透の方法としては、全社員が同じ基礎知識を学ぶ機会を設けるのが確実です。DXの定義やIT化との違い、データの扱い方といった基礎は、本記事で整理したような内容を教材にして共有できます。国が示すデジタルスキル標準も、全社員が身につけたい基礎と、推進を担う人材に求められる専門スキルを分けて整理しており、研修の内容を決める際の目安になります。受講の進み具合や理解度を管理者が把握できるeラーニングを使うと、拠点や勤務時間が異なる社員にも同じ内容を届けられます。

各ステップの具体的な作業やロードマップの作り方は、DX化の進め方|6ステップとロードマップの作り方、よくある失敗5つもあわせて確認してください。

業界別に見るDX事業の重点テーマ

DX事業で優先されるテーマは業界によって異なり、それに応じて関わりの深い産業レイヤーも変わります。代表的な3つの業界で整理します。

業界 重点になりやすいテーマ 関わりの深いレイヤーと確認点
製造業 設備の稼働データの収集・分析、受発注や在庫の流れの可視化 SI層。長年使ってきた生産管理の仕組みとつなげた実績があるかを確かめる
小売業 店舗とオンラインの購買データの統合、在庫管理や販促への活用 SaaS層とインフラ層。複数の店舗から同時に使っても処理が滞らないかを確かめる
サービス業 予約や顧客とのやり取りの効率化、利用履歴にもとづく提案 SaaS層。既製のサービスを直接契約して小さく始める例が多い

他業界の成功事例は参考になりますが、そのまま当てはめてもうまくいくとは限りません。自社の業務の流れに照らして、どの層の支援が必要なのかを考えることが大切です。また、どの業界でも、新しい仕組みを現場で使いこなせるかどうかが成果を分けるため、導入とあわせて社員が学ぶ機会を用意しておく必要があります。

DX事業でよくある失敗パターン

DX事業の失敗は、技術の問題よりも、言葉の理解のずれや役割分担のあいまいさから起こることが多くあります。よくあるケースと改善策を整理しました。

よくある失敗(Before) 改善策(After)
2つの意味を区別せずに使い、自社の変革の話と業界の話が混ざって議論がかみ合わない 資料や会議の冒頭で、どちらの意味で使うかを明示する
ツールを導入しただけでDX事業が完了したと考え、IT化の段階で止まる 顧客への提供価値や事業モデルがどう変わるかを目標に含める
レイヤーを意識せずに発注し、戦略から運用までを1社に任せきりにして判断の主体性を失う 方向性は自社で決め、どの層を外部に任せるかを切り分けてから依頼する
層ごとに別の事業者へ発注し、境目で責任の所在があいまいになる データの受け渡し方法や連携の条件を、契約前に関係する事業者とすり合わせる
経営層と推進担当者だけが理解し、現場の社員には目的が伝わらず、新しい仕組みが使われない 全社員が基礎知識と自社の方針を学べる研修の仕組みを用意する

5つのうち、最初と最後は「言葉と考え方が社内で共有されていない」ことが原因です。DX事業は一部の担当者だけで完結するものではなく、関わる社員全員の理解があって初めて動き出します。計画やツールの検討と並行して、社内の学びの場をどう作るかも決めておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. DX事業とは何ですか?

A. データとデジタル技術を使って製品・サービスやビジネスモデルを変革する取り組み、またはその変革を支援する事業のことです。自社が取り組む変革活動という意味と、他社のDXを支援する提供事業(産業)という意味の2つがあり、文脈によって指すものが変わります。

Q. DX事業の2つの意味はどう見分ければよいですか?

A. 主語が誰か、売上の出どころがどこかを確かめます。自社の取り組みを語り、変革した本業から売上が生まれるなら変革活動の意味です。顧客に提供するサービスを語り、DXの支援そのものが売上になるなら提供事業の意味です。

Q. DX事業とIT化はどう違いますか?

A. IT化は既存業務の効率化が目的で、DX事業は製品・サービスやビジネスモデル、組織そのものを変えて競争力を高めることが目的です。IT化はDX事業を進めるための手段のひとつに当たります。

Q. 経済産業省はDXをどのように定義していますか?

A. 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することと定義しています。経営者に求められる対応は「デジタルガバナンス・コード」にまとめられています。

Q. 産業レイヤーとは何ですか?

A. 製品やサービスを成り立たせている機能を、役割ごとの階層に分けて捉える考え方です。DXを提供する産業は、コンサルティング層、SI層、SaaS層、インフラ層に分けて整理でき、利用する企業は必要な層を選んで組み合わせます。

Q. DX事業を社内に浸透させるにはどうすればよいですか?

A. 経営層が方針を示したうえで、全社員が同じ基礎知識を学べる機会を設けることが有効です。DXの定義やIT化との違い、自社の方針を教材にし、受講状況や理解度を把握できるeラーニングなどの仕組みを使うと、拠点や勤務時間が異なる社員にも同じ内容を届けられます。

まとめ

DX事業には、自社が取り組む変革活動と、他社のDXを支援する提供事業という2つの意味があります。どちらの意味で使われているかを見分け、産業レイヤーの考え方で自社が担う部分と外部に任せる部分を切り分けることが、取り組みの出発点になります。最後に、今日から取り組める4つのことを整理します。

  1. 社内の資料や会議で「DX事業」がどちらの意味で使われているかを確かめ、使い方をそろえる。
  2. 自社の取り組みがIT化の段階なのか、事業や組織の変革まで含んでいるのかを見直す。
  3. コンサルティング・SI・SaaS・インフラのうち、どの層を自社で担い、どの層を外部に任せるかを書き出す。
  4. DXの基礎知識と自社の方針を全社員が学べる研修の仕組みを決める。

参考文献

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