DXの活用・導入|小さく始めて定着させる中小企業の実務手順
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- DXの最初の題材は、変えやすさと効果の見えやすさで経費精算などの定型業務から選ぶとよいことがわかる
- 1業務を選ぶ、試す、型として残す、横展開するという4ステップとPoCの進め方がわかる
- 関係者全員の作業時間や差し戻し件数で導入効果を確かめる方法がわかる
DXの活用は、全社のシステムを一度に入れ替えることではなく、毎週くり返している手作業を1つ選び、デジタルの仕組みに置き換えて成果を確かめ、その型を他の業務へ広げていくことから始めるのが現実的です。とくに人も予算も限られる中小企業では、最初の題材選びで成否の大半が決まります。この記事では、最初の一歩として取り組みやすい経費処理の仕組み化から始め、着手業務の選び方、小さく始めるべき理由、4つのステップ、Excel運用を活かした整理方法、型化と横展開、PoC(試験導入)の進め方、効果の確かめ方までを、実務の順番に沿って整理します。
DX活用の最初の一歩を診断
Q1. DXで最初に手をつけたい業務はどれですか?
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最初のDX活用は経費処理から|着手業務と経費精算システムの比較
最初に着手する業務は、見積・請求・経費精算のように「毎月くり返し発生し、手順が決まっていて、ミスや差し戻しが起きやすい」事務作業が狙い目です。効果の大きさだけでなく、現場の抵抗が少なく変えやすいかどうかも合わせて評価すると、最初の一歩で失敗しにくくなります。
下の表は、中小企業でDXの題材として挙がりやすい業務を「変えやすさ」と「効果の見えやすさ」の2軸で整理したものです。評価は一般的な傾向であり、自社の業務量や体制によって変わるため、社内で同じ表を作って点数をつけ直す使い方を想定しています。
| 着手候補の業務 | 変えやすさ | 効果の見えやすさ | 着手時の注意点 |
|---|---|---|---|
| 経費精算(申請・承認・仕訳) | 高い(流れが定型) | 高い(処理時間・差し戻し件数で測れる) | 経費規程と承認ルートを先に整理する |
| 見積書・請求書の作成 | 中程度(取引先ごとの書式差がある) | 高い(作成時間・送付漏れで測れる) | 取引先側の受け取り方法も確認が必要 |
| 日報・点検・報告 | 高い(紙やExcelをフォームに置き換えやすい) | 中程度(集計時間の削減が中心) | 現場のスマートフォン環境を確認する |
| 顧客管理・営業管理 | 低め(入力習慣の定着に時間がかかる) | 中程度(成果が売上に出るまで時間差がある) | 入力項目を絞ってから始める |
| 基幹システムの刷新 | 低い(影響範囲が全社に及ぶ) | 高いが時間がかかる | 最初の題材には向かない。型ができてから検討する |
この中で経費精算は、申請者・承認者・経理担当という関係者が社内で完結し、紙の領収書の回収、Excelへの転記、承認の催促、会計ソフトへの仕訳入力と、手作業が連続している業務です。仕組み化すると処理時間や差し戻し件数の変化を数字で示しやすく、「DXでこう変わった」という社内向けの実例になります。電子帳簿保存法への対応を見直すきっかけにもなるため、経理の負担軽減とコンプライアンスの両面で意味があります。
経費精算を仕組み化する場合、中小企業では次のようなクラウド型の経費精算システムがよく比較されます。いずれも特徴が異なるため、自社の規模、会計ソフトとの連携、現場のスマートフォン利用の有無を踏まえて選ぶことが大切です。
| サービス名(提供会社) | 主な特徴 | 導入前に確認したい点 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード) | オンライン上でまとめて経費申請でき、不備入力防止アラート機能で差し戻しの手間を軽減できる | OCR機能の精度について指摘があるため、領収書の読み取りは試用で確認したい |
| ジョブカン経費精算(株式会社DONUTS) | 通知機能で承認漏れを防げ、低コストで従業員10人以下の企業でも導入しやすい | 初期設定が複雑で、使い始めるまでに時間を要する場合がある |
| BIZUTTO経費(アルプスシステムインテグレーション株式会社) | 10名ごとの価格体系で小規模企業でも導入しやすく、マスタ設定の支援がある | 使わない機能を非表示にできない |
表に挙げたのは一部で、ほかにも承認フローの柔軟さやペーパーレス化の支援体制に強みを持つサービスがあります。中小企業向けの経費精算システムを、使いやすさ、会計システムとの連携、サポート体制、スマートフォン対応といった観点でまとめて比べたい場合は、次の記事が参考になります。
DXを「小さく始める」が正解な理由|公的資料から読む失敗パターン
DXを小さく始めるべき理由は、限られた人員と予算の中で「成果が出る前に取り組みが止まる」ことを防ぐためです。最初から全社導入を狙うと、要件定義や社内調整に時間がかかり、効果が見える前に現場の負担だけが増えて頓挫しやすくなります。
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」は、DXを経営のビジョンや戦略と結びつけ、成果指標を設けて継続的に見直すことを企業に求めています。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023」では、日本企業の取り組みの多くがアナログ情報のデジタル化や個別業務の効率化の段階にとどまり、顧客価値やビジネスモデルの変革まで進んでいる企業は限られる傾向が示されています。ここから読み取れるのは、個別業務の効率化そのものが悪いのではなく、それを「次につなげる設計」がないまま単発で終わってしまうことが課題だという点です。
中小企業の現場で見られる失敗パターンは、おおむね次の3つに整理できます。
| 失敗パターン | 起きやすい状況 | 小さく始めた場合の回避策 |
|---|---|---|
| ツール導入が目的化する | 「DXをやる」ことが先に決まり、解決したい課題が曖昧なまま製品選定に入る | 対象業務と測る数字を1つずつ決めてからツールを選ぶ |
| 範囲が広すぎて止まる | 複数部署の業務を一度に変えようとして、調整と教育が追いつかない | 1部署1業務に絞り、期間を区切って試す |
| 担当者の退職で元に戻る | 詳しい人が1人で設定・運用を抱え、手順が残っていない | 手順書と判断ルールを残し、2人以上で運用する |
小さく始めることは、失敗したときの損失を小さく抑えるだけでなく、成功したときに「何が効いたのか」を特定しやすくする効果もあります。範囲が狭いほど、処理時間の短縮が仕組みのおかげなのか、単に担当者が慣れたからなのかを見分けやすくなり、次の業務に持ち込むべき要素がはっきりします。
中小企業向けDXの実務手順|4ステップ
中小企業がDXを活用する手順は、1業務を選ぶ、仕組みに置き換えて効果を測る、手順を型として残す、型を他の業務に広げる、という4ステップで進めると迷いにくくなります。ポイントは、各ステップの終わりに「次に進む条件」を決めておくことです。
ステップ1:毎週くり返す手作業を1つ選ぶ
まず、社内で「毎週、または毎月必ず発生し、担当者が面倒だと感じている手作業」を書き出します。候補が出そろったら、前章の表のように変えやすさと効果の見えやすさで評価し、両方が高いものを1つだけ選びます。この段階で、現在その業務にかかっている時間を概算でよいので記録しておくと、後の効果測定の基準になります。
ステップ2:仕組みに置き換えて1か月から3か月試す
選んだ業務を、クラウドサービスやフォーム、ワークフローなどの仕組みに置き換えて試します。いきなり全員で使うのではなく、協力的なメンバーがいる1部署から始め、1か月から3か月程度の期間を区切るのが目安です。試行中は「困ったこと」「元のやり方に戻したくなった場面」を記録してもらい、設定や運用ルールの見直しに使います。
ステップ3:効いた手順を型として残す
試行で効果が確認できたら、何をどの順番で行ったか、どの設定が効いたか、どこで現場がつまずいたかを手順書にまとめます。操作マニュアルだけでなく、「承認者が不在のときは誰が代わりに承認するか」といった判断ルールまで書いておくと、担当者が変わっても運用が続きます。
ステップ4:同じ型を別の業務や部署に広げる
型ができたら、流れの似た業務や他の部署に同じ進め方を当てはめます。たとえば経費精算で作った「申請、承認、記録」の流れは、備品購入の申請や休暇申請などにも応用できます。この段階で、社内に「自分たちで考えて直せる人」を育てておくことが、外部に頼り切らないDXにつながります。
| ステップ | 主な作業 | 次に進む条件の例 |
|---|---|---|
| 1. 1業務を選ぶ | 手作業の洗い出し、評価、現状の作業時間の記録 | 対象業務と測る数字が1つずつ決まった |
| 2. 仕組みに置き換えて試す | 1部署での試行、困りごとの記録、設定の調整 | 処理時間や差し戻し件数が試行前より改善した |
| 3. 型として残す | 手順書、判断ルール、設定内容の記録 | 担当者以外でも手順書を見て運用できた |
| 4. 横展開する | 似た業務・他部署への適用、社内の推進役の育成 | 2つ目の業務でも同じ型で効果が出た |
小さく始めるDXを支える推進体制・予算・セキュリティ
小さく始めるDXでも、誰が決め、誰が動かし、どこまで費用をかけ、情報をどう守るかを最初に決めておかないと、試行の途中で止まりやすくなります。専任の担当者を置けない中小企業ほど、この3点を簡単な取り決めとして文書にしておくことが大切です。
推進体制:経営者・現場の推進役・外部支援の3者で役割を分ける
体制づくりでは、経営者が目的と優先順位を示し、現場の推進役が日々の試行と記録を担い、足りない知識は外部の支援で補う、という役割分担が基本になります。経営者が関与しないまま現場任せにすると、部署をまたぐ調整や予算の判断ができず、試行が1部署で止まってしまいます。推進役にはITに詳しい人よりも、業務の流れを理解していて周囲に声をかけられる人を選ぶほうが、現場の協力を得やすくなります。外部の支援は、ツールの提供会社の導入サポートや、商工会議所・自治体の相談窓口などから、必要な部分だけを使う形でも十分です。
予算:クラウド型サービスと公的支援で初期負担を抑える
最初の題材が経費精算のような1業務であれば、自社でシステムを開発するよりも、月額課金のクラウド型サービスを使うほうが初期費用を抑えやすく、合わなかったときにやめる判断もしやすくなります。また、中小企業のITツール導入を支援する補助金として、IT導入補助金のような制度が設けられてきました。ただし、補助金の名称・対象・補助率・申請期間は年度ごとに見直されるため、検討する際は必ず最新の公募要領を確認し、申請前に契約・導入すると対象外になる場合がある点にも注意してください。
セキュリティ:アカウント管理とバックアップを試行前に決める
クラウドに経費や取引先の情報を載せる以上、試行段階でも最低限のルールは必要です。具体的には、利用者ごとにアカウントを分けて共有しない、推測されにくいパスワードや多要素認証を設定する、退職者や異動者のアカウントをすぐに止める、閲覧・承認できる範囲を役割ごとに分ける、データのバックアップや出力の方法を確認しておく、といった点です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」には、経営者が認識すべき指針と社内で実践する手順がまとめられているため、ルールを決める際の土台として活用できます。
既存のExcel運用を活かした段階的な整理方法
DXの活用は、今使っているExcelを捨てることから始める必要はありません。むしろ、現在のExcel運用を整理し直すことが、システム導入をスムーズにする下準備になります。多くの中小企業では、業務の実態がExcelのファイルに記録されているため、そこから手をつけるのが近道です。
整理は次の3段階で進めると、無理なくシステムへ移行できます。
- ファイルの置き場所と名前をそろえる:個人のパソコンやメール添付に散らばったファイルを共有フォルダやクラウドストレージに集め、「年月_業務名_担当」のように命名ルールを決めます。これだけでも最新版の取り違えが減ります。
- 入力項目と書式を統一する:同じ経費申請でも人によって列の並びや勘定科目の書き方が違う状態を解消し、1つのテンプレートにそろえます。プルダウンで選択肢を固定すると表記ゆれが防げます。
- 統一した項目をそのままシステムに移す:項目がそろっていれば、システム側の設定やCSVでの取り込みが容易になります。移行後もしばらくはExcelと並行して記録し、数字が一致するかを確かめてから切り替えると安心です。
この進め方の利点は、2段階目までの整理だけでも効果が出る点です。システム導入の予算がすぐに確保できない場合でも、ファイルと項目の統一は今日から始められ、その成果が後のシステム選定で「自社に必要な項目は何か」を判断する材料になります。逆に、Excelの項目が人によってばらばらなままシステムを入れると、移行作業で手戻りが発生しやすくなります。
なお、経費精算や請求書のように税務に関わる書類をデジタルで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を確認する必要があります。保存方法や検索要件などの詳細は国税庁が公表している情報を確認し、判断に迷う場合は税理士などの専門家に相談してください。本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的・税務的な助言ではありません。
型化・横展開で定着させるコツ
DXを定着させるコツは、最初の成功を「その部署だけの話」で終わらせず、他の業務にも当てはめられる型として言葉にすることです。うまくいった理由が担当者の頑張りに依存していると、横展開した先で同じ効果は出ません。
型化の際に書き残しておきたいのは、対象業務の選び方、試行期間と参加メンバーの決め方、測った数字と測り方、つまずいた点と対処、元のやり方に戻さないための工夫の5点です。これがそろっていれば、次の業務では「前回の型のどこを変えればよいか」から議論を始められます。
下のスイッチで、型化する前と後の横展開の様子を切り替えて比べてみてください。
・経費精算はうまくいったが、手順は担当者の頭の中にしかない
・他部署から「うちでもやりたい」と言われても、何から始めるか説明できない
・担当者の異動後、承認ルートの設定変更ができず紙の申請に戻る
横展開の順番は、最初の業務と流れが似ているものから選ぶのが基本です。経費精算で「スマートフォンで申請し、上長が承認し、経理がまとめて処理する」流れが定着していれば、同じ流れの仕事は抵抗なく移行できます。また、最初の部署で効果が出た経費精算そのものを他部署に広げることも、横展開の分かりやすい第一歩です。全社で同じ経費精算の仕組みを使えるようになると、経理側の集計作業がまとめて楽になり、効果が全社単位で見えるようになります。
他部署に広げる段階では、部署ごとに異なる承認ルートや費目、利用者数に応じた料金体系に対応できるかが、システム選びの重要な確認点になります。規模が大きくなったときの運用まで見据えて比べたい場合は、中小企業向けの経費精算システムの比較記事で、承認フローの柔軟さやサポート体制を確認しておくと判断しやすくなります。
なお、経費精算以外の業務へ広げる際に、自社の業務に合わせたアプリを現場で作りたい場合はおすすめのノーコードツールを、申請や稟議の流れ全体を電子化したい場合はワークフローシステムのおすすめも参考になります。
PoCを活用した導入フロー
PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、本格導入の前に限られた範囲で仕組みを試し、期待した効果が出るかを確かめる工程です。中小企業のDXでは、大がかりな検証ではなく、無料トライアルや短期契約を使った「小さな試験導入」として取り入れると、判断の精度を上げながらコストを抑えられます。
PoCを形だけで終わらせないためには、始める前に「何が確認できたら本格導入するか」を決めておくことが欠かせません。期間が終わってから判断基準を考えると、「なんとなく便利だった」「使いにくい人もいた」といった印象論になり、導入するかどうかを決めきれなくなります。
| 段階 | やること | 経費精算での具体例 |
|---|---|---|
| 1. 目的と判断基準を決める | 検証したいこと、合格ラインを文書にする | 「1件あたりの処理時間が半分程度になるか」「差し戻しが減るか」 |
| 2. 範囲と期間を絞る | 参加部署、人数、期間を限定する | 営業部の10人程度で、月末締めを2回含む期間 |
| 3. 試行と記録 | 数字と現場の声の両方を記録する | 処理時間、差し戻し件数、操作で迷った点 |
| 4. 評価と判断 | 基準と比べて導入、改善して再試行、中止を決める | 合格なら全社展開の計画へ、未達なら原因を整理して設定を見直す |
PoCでは、複数のサービスを同時に比べたくなりますが、少人数の中小企業では検証の負担が大きくなりがちです。候補は事前の資料確認で2つから3つに絞り、実際の試行は本命の1つに集中するほうが、現場の負担を抑えながら判断に必要な情報を集められます。また、「中止」も立派な結論です。合わなかった理由が記録されていれば、次の候補を選ぶときの判断材料になります。
導入効果をどう確認するか
導入効果は、導入前に記録した作業時間と導入後の作業時間を同じ条件で比べることで確認します。時間の削減に加えて、差し戻しや入力ミスの件数、締め処理の完了日といった数字も合わせて見ると、効果を多面的に説明できます。
効果の確認で押さえたい指標は、次の3つです。
- 作業時間:申請者、承認者、経理担当のそれぞれが1件あたり、または1か月あたりにかけている時間
- 品質:差し戻し件数、入力ミスの件数、承認漏れの件数
- スピード:申請から精算完了までの日数、月次の締め処理が終わる日
経理担当の時間だけを測ると、申請者側の手間が増えていても見落としてしまいます。関係者全員の時間を合計して比べることが、正しく効果を評価するコツです。下のシミュレーターでは、月の申請件数と1件あたりの短縮時間から、削減できる作業時間の目安を計算できます。
経費処理の削減時間シミュレーター(簡易計算)
月の経費申請件数:100件
1件あたりの短縮時間(申請・承認・経理の合計):10分
月あたりの削減時間の目安:16.7時間
年あたりの削減時間の目安:200.0時間
※件数と短縮時間を掛け合わせただけの簡易計算です。実際の効果は業務内容や運用ルールによって異なります。
算出した削減時間は、そのまま「浮いた時間を何に使うか」の議論につなげることが大切です。経理担当が月末の入力作業から解放された時間を、資金繰りの確認や経営層への数字の報告に回せれば、DXは単なる効率化から経営に役立つ取り組みへと一歩進みます。効果を数字で示せると、次の業務への横展開に必要な予算や協力も得やすくなります。
効果を社内に広げていく段階では、全社で同じ仕組みを使えるか、利用人数が増えたときの料金や管理機能が自社に合うかを改めて確認しておくと安心です。経費精算を起点に効果を全社に広げたい場合は、中小企業向けの経費精算システムの比較記事で、機能と導入しやすさを見比べておくと次の検討がスムーズになります。
よくある質問(FAQ)
Q. DXの活用とは具体的に何をすることですか?
A. デジタル技術を使って業務の進め方や提供する価値を変えることです。中小企業では、経費精算や請求書作成のような手作業の多い業務を仕組みに置き換え、その成果を他の業務に広げていく進め方が現実的です。
Q. DXは何から始めればよいですか?
A. 毎週や毎月くり返す手作業を書き出し、変えやすさと効果の見えやすさの両方が高い業務を1つ選ぶところから始めます。経費精算や見積・請求の作成は、流れが決まっていて効果を数字で示しやすいため、最初の題材に向いています。
Q. なぜDXは小さく始めるのがよいのですか?
A. 範囲を広げすぎると調整や教育が追いつかず、成果が出る前に止まりやすいためです。範囲を絞ると失敗時の損失を抑えられるうえ、成功したときに何が効いたのかを特定しやすくなり、他の業務へ広げる型を作りやすくなります。
Q. 今使っているExcelはどうすればよいですか?
A. すぐに捨てる必要はありません。ファイルの置き場所と名前をそろえ、入力項目と書式を統一してから、その項目をシステムに移すと移行がスムーズです。移行後もしばらく並行して記録し、数字が一致するか確かめてから切り替えると安心です。
Q. PoCではどのような点に注意すればよいですか?
A. 始める前に、何が確認できたら本格導入するかという判断基準を決めておくことです。参加部署と期間を絞り、処理時間などの数字と現場の声の両方を記録すると、導入、改善して再試行、中止のいずれかを根拠を持って判断できます。
Q. DXの効果はどのように測ればよいですか?
A. 導入前に記録した作業時間と導入後の作業時間を同じ条件で比べます。申請者、承認者、経理担当など関係者全員の時間を合計し、差し戻し件数や締め処理の完了日なども合わせて見ると、効果を多面的に説明できます。
まとめ
DXの活用は、1つの業務を小さく変え、その成果と手順を型として残し、他の業務へ広げていく積み重ねです。最後に、今日から取り組める3つのことを整理します。
- 毎週くり返す手作業を書き出し、経費精算のように変えやすく効果が見えやすい業務を1つ選んで、現在の作業時間を記録する。
- 1部署で期間を区切って仕組みを試し、判断基準に沿って処理時間や差し戻し件数の変化を確かめる。
- 効いた手順と判断ルールを型として残し、流れの似た業務や他部署へ広げながら、社内で直せる人を育てる。
参考文献
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2023」 https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2023.html
- 中小企業庁「中小企業白書」 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」 https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html
- 国税庁「電子帳簿保存法関係」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm
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