DX活用とは?意味と身近な具体例、中小企業の事例、小さく始める進め方
Check!
- DX活用の意味と正しい言い方がわかる
- 身近な活用例と中小企業の事例がわかる
- 小さく始める4ステップと補助金がわかる
DX活用とは、デジタル技術とデータを使って、業務のやり方や顧客への価値の届け方を見直し、会社の競争力を高めていく取り組みのことです。経済産業省の定義ではDXそのものが「変革」を指すため、「DX活用」は公式の用語ではなく、実務では「DXを進めるためにデジタルを使いこなすこと」という意味で使われます。経産省の「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」は、成功のポイントの1つに「まずは身近なところから始め、成功体験を重ねる」ことを挙げており、中小企業にとっては経費精算のように毎月くり返す事務作業が最初の題材になりやすいといえます。この記事では、DX活用の意味と言い方、身近な活用例、経産省が選んだ中小企業の事例、小さく始める進め方、体制・補助金・セキュリティ、効果の確かめ方までを整理します。
DX活用の最初の一歩をかんたん診断
Q1. DX活用で、まず変えたいのはどちらですか?
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
DX活用とは|意味と、最初の一歩に経費精算が選ばれる理由
DX活用とは、デジタル技術とデータを使って業務と価値提供のしかたを見直し、競争力を高めていく取り組みの総称です。ツールを入れること自体が目的ではありません。
経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています(デジタルガバナンス・コード3.0)。中堅・中小企業向けの手引きは、これを「単にデジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、企業経営の変革そのもの」と簡潔に表現しています。この定義に照らすと、「DX活用」は変革のためにデジタルを使いこなすことを指す通称、と考えると実務では迷いません。
では、何から使い始めるのか。同じ手引きによると、DXに取り組む企業の多くは、紙の台帳のデジタル化やグループウェアでのスケジュール・勤怠管理のような「身近なところ、取りかかりやすいところ」から着手しています。毎月必ず発生し、手順が決まっていて、紙・Excel・転記が続く事務作業がその条件に合い、代表的なのが経費精算です。処理時間や差し戻し件数を数字で測れるため、「DXでこう変わった」という社内向けの実例にもなります。
次の表は、本サイトに掲載している経費精算システム5つを、役割の違いで並べたものです。自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣や順位を示すものではなく、商品ページの記載にもとづいて整理しています。
DX活用の最初の題材になる経費精算:5つのサービスの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:楽楽精算。申請項目・レイアウト・承認フローを自由に設定でき、今のルールのままシステム化できます
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:マネーフォワード クラウド経費。同じクラウドシリーズの会計・給与などと連携して、バックオフィスの業務をまとめて効率化できます
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:バクラク経費精算。領収書の使い回しや重複申請などを知らせるミス防止のアラートを、複数設定できます
資料を無料ダウンロード| サービス | マネーフォワード クラウド経費 |
ジンジャー経費 |
Bill One経費 |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 経費精算のペーパーレス化と入力・確認の効率化を進めたい会社 | オンラインでミスなく経費精算を完結したい会社 | 経費精算をペーパーレス化し、人事労務のデータもまとめたい会社 | OCRの読み取りで作業の効率を上げたい会社 | 社員の立替経費をなくしたい会社 |
| 特徴 | 領収書やICカードをスマホで読み取れ、会計ソフト連携まで機能が幅広い | 不備入力防止のアラートで差し戻しの手間を軽減。クラウドシリーズと連携できる | シンプルな画面と簡単な操作が特徴。勤怠・給与・人事などと一括管理できる | 複数枚の領収書を自動で読み取り、ミス防止機能を複数搭載 | 専用カードで支払い、領収書から保管までオンラインで一元管理 |
| 注意したい点 | 外国語対応は英語のみ | OCR機能の精度に改善を求める声がある | 導入までに最長3ヶ月ほどかかる | 導入前のサポートは有償での対応 | 初期費用が発生し、支払いは年額。無料トライアルはない |
| 資料・詳細 |
5サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。内容は2026年10月16日時点の商品ページの記載にもとづきます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
今ある申請ルールを変えずに、紙やExcelの経費精算をシステムに置き換えたい場合の一例が、楽楽精算(株式会社ラクス)です。商品ページによると、申請項目やレイアウト、承認フローを自由に設定でき、使い慣れた申請書に近い形で運用を始められます。ICカードやクレジットカードの連携、自動仕訳や会計ソフトとの連携など、入力を減らす機能も備えています。一方で、外国語対応は英語のみとされているため、海外拠点がある場合は対応言語を確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- 領収書やICカードはスマホで読み取れ、社外からでも申請や精算が可能
- 経費精算から会計ソフト連携まで便利な機能が充実している
ここが少し気になる…
- 外国語対応は英語のみ
-
コマーシャルでも流れている通り、経費精算締日の残業が無くなったことが一番のメリットです。 確認事項が多く、従業員目線では計上科目も複雑でわかりにくい「経費」をここまで明瞭に可視化できるのはさすがの一言でした。 利用者が多いことから、インターネット上に使用上の経験談や解決法が多く存在することも助かっています。
-
スマートフォン対応により時間と場所にとらわれない承認が可能となり、交通系ICカードとの連携により入力工数の削減ができるのがメリットとなります
-
スマートフォンでの利用もしやすい・領収書の自動入力機能の充実など、経費が発生した時にその場で精算作業ができる
15-16分かかっていた精算が2-3分に短縮。
楽楽精算 導入事例(株式会社毎日新聞社。コーポレートカードと交通系ICカードの連携を利用した事例) 出典:導入事例ページ
DXの身近な活用例|業務別の具体例と、DXの3段階
DXの身近な活用例には、経費精算や請求書の電子化、勤怠のクラウド管理、紙の台帳のデジタル化などがあります。どれも毎月くり返す事務作業から始められます。
経済産業省の手引き2025は、スマートフォンやパソコンとインターネット接続があれば簡単に安く使えるツールが増えており、財務会計、勤怠・スケジュール管理、在庫管理、顧客対応、工場や店舗のモニタリングといった現場業務の効率化につながると説明しています。DXの取り組み例としては、紙の台帳のデジタル化、グループウェアによるスケジュール調整や勤怠管理、SaaSやノーコードツールで属人化していた作業を自動化することが挙げられています。次の表は、こうした例を業務別に整理し、最初の題材としての向き不向きを加えたものです。向き不向きは一般的な傾向であり、自社の業務量や体制で変わります。DXそのものの定義や始め方の全体像は、DXとは?経産省の定義とデジタル化との違い、業種別・規模別の始め方の記事にまとめています。
| 業務 | デジタルで変えること | 効果の測り方の例 | 最初の題材としての向き |
|---|---|---|---|
| 経費精算 | 領収書の読み取り、申請・承認のオンライン化、仕訳の自動化 | 1件あたりの処理時間、差し戻し件数 | 向く(流れが定型で、数字で測れる) |
| 請求書・見積書 | 作成と送付の電子化、書式の統一 | 作成時間、送付漏れの件数 | 向く。取引先の受け取り方法の確認は必要 |
| 勤怠・シフト管理 | 打刻とスケジュールのクラウド管理 | 集計にかかる時間、入力ミスの件数 | 向く(全員が毎日使うため、定着を確かめやすい) |
| 紙の台帳・帳票 | 紙で管理していた情報をデジタル化し、検索・共有できるようにする | 探す時間、共有にかかる時間 | 向く(現場の抵抗が少ない) |
| 社内の情報共有 | グループウェアやチャットで連絡・スケジュールを一元化 | 連絡の行き違い、会議調整の手間 | 中程度(効果が数字に出にくい) |
| 顧客対応・問い合わせ | 問い合わせ履歴の共有、よくある質問の自動応答 | 対応にかかる時間、一次回答までの時間 | 中程度(運用ルールづくりが必要) |
| 在庫・発注管理 | 在庫数の見える化、発注の自動化 | 欠品や過剰在庫の件数 | 業種による(現場の入力習慣が前提) |
デジタル化とDXの違い|3段階で見る
デジタル化とDXの違いは、「どこまで変えるか」の深さで整理できます。経済産業省のDXレポート2は、DXをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3つの段階に分けて示しており、DXはその最終段階にあたります。用語の詳しい整理は、DXの意味とは|経産省定義と3段階モデルでデジタル化との違いを整理の記事でも扱っています。経費精算を例にすると、次のようになります。
| 段階 | 内容 | 経費精算での例 |
|---|---|---|
| デジタイゼーション | アナログ・物理データを、単純にデジタルデータにする(典型は紙文書の電子化) | 紙の領収書をスマートフォンで撮影し、画像データとして残す |
| デジタライゼーション | 個別の業務・プロセスをデジタル化する | 申請・承認・仕訳をシステム上で行い、会計ソフトに連携する |
| デジタルトランスフォーメーション(DX) | 全社的な業務・プロセスをデジタル化し、顧客起点の価値創造のために事業やビジネスモデルを変革する | 立替精算そのものを減らし、集まった支出データを部門別の予算管理や経営判断に使う |
2段目まで進めば、毎月の事務作業は減らせます。ただ、3段目のDXに進めるかどうかは、浮いた時間とデータを何に使うかで決まります。立替精算そのものを減らす仕組みを取り入れると、あとから申請書を作る工程がなくなり、支出のデータをほぼリアルタイムで集められるようになります。その考え方に沿った選択肢の1つが、次のBill One経費です。
中小企業のDX活用事例|経産省DXセレクション2026から5社
中小企業のDX活用事例は、経産省の「DXセレクション」で公表されています。2026年は11者が選ばれ、訪問看護、内装、宿泊、土木など業種も幅広い結果でした。
DXセレクションは、中堅・中小企業等のDX優良事例を選定する経済産業省の取り組みで、選定企業のレポートが公開されています。2026年はグランプリ1者、準グランプリ2者、優良事例8者の計11者です。レポートに載っている企業のうち、取り組みの出発点が異なる5者を表にまとめました。成果の数字は、レポートに記載された各社の発表内容です。
| 企業(業種・所在地) | 取り組み | 公表されている成果 |
|---|---|---|
| プーラビダ株式会社(訪問看護・福岡県。グランプリ) | 高い離職率をきっかけに、経営者の意思決定と現場の提案をつなぐ「全員参加型のDX体制」を構築。生成AIを使った内製のプラットフォームで報告書の作成を支援 | 報告書の作成時間を90%削減(1時間から5分)。離職率は83.3%から7.7%に |
| コマツ株式会社(内装・大阪府) | 職人の勘や判断を形式知にする壁紙AI識別アプリ「かべぴた」を、大学との産学連携で開発 | 識別精度は90%以上。会員数は37,000人以上。年間休日数は100日から127日に |
| 株式会社川六(宿泊業・香川県) | 全店舗で毎週RAG(検索拡張生成)の活用検討会議を開き、60代の社員やパートを含む全従業員がRAGを開発 | 離職率は13.9%から6.5%に。人時生産性は44.0%増(2023年と2025年の比較) |
| 株式会社加藤工務店(土木・舗装・愛知県) | 地域課題を起点にDX戦略を策定し、ICT活用工事やクラウド化から着手。受発注のプラットフォーム「GOzai」を開発 | 出荷トンベースで、予約の約7割がアプリ経由 |
| 株式会社三城(オフィス用品販売・北海道) | 社長が責任者となり、営業日報や顧客情報をデータ化して営業のプロセスを可視化 | 移動工数を年約2,000時間削減 |
これらの事例から読み取れることは、次の3点です。1つ目は、出発点が自社にとって切実な課題だったことです。離職率、職人の勘の継承、地域の受発注の手間など、ツールの導入より先に解くべき課題がありました。2つ目は、経営者が旗を振っていることです。三城は社長が責任者、プーラビダは経営者の意思決定と現場の提案を合わせた体制をとっています。3つ目は、取り組みの前後を数字で比べていることです。離職率、作業時間、会員数、移動工数など、測るものは違っても、成果を数字で確かめる点は共通しています。
公表されている成果は、各社の事業や体制のもとでの結果であり、同じ成果を保証するものではありません。経費精算のような身近な業務から小さく始め、前後の数字で確かめるやり方は、事例に共通する進め方と同じ型です。個々の事例を業種別に詳しく知りたい場合は、DX事例|経産省選定の業種別事例と身近な社内DX・失敗例の記事も参考になります。
DX活用は小さく始める|公的資料から読む失敗パターン
DXを小さく始めるべき理由は、限られた人員と予算の中で「成果が出る前に取り組みが止まる」ことを防ぐためです。最初から全社導入を狙うと、要件定義や社内調整に時間がかかり、効果が見える前に現場の負担だけが増えて頓挫しやすくなります。
経済産業省の手引き2025は、DXは組織やビジネスモデルの変革であり、新たなクラウドサービスを導入しただけで業務上の課題が立ちどころに解決するものではない、と述べています。そのうえで、DXに取り組む企業の多くは、身近なところから着手してノウハウと人材を蓄積しながら、徐々に取り組みを広げているとしています。DXレポート2も、重点部門を見極めて小さく始め、段階的に全社的な取り組みへ広げることを推進戦略として示しています。デジタルガバナンス・コードも、DXを経営のビジョンや戦略と結びつけ、成果指標を設けて継続的に見直すことを企業に求めています。個別業務の効率化そのものが悪いのではなく、それを次につなげる設計がないまま単発で終わることが課題だと読み取れます。
小さく始める場合に起こりやすい失敗は、おおむね次の3つに整理できます。これは公的資料の考え方をもとにした整理で、特定の調査結果ではありません。
| 失敗パターン | 起きやすい状況 | 小さく始めた場合の回避策 |
|---|---|---|
| ツール導入が目的化する | 「DXをやる」ことが先に決まり、解決したい課題が曖昧なまま製品選定に入る | 対象業務と測る数字を1つずつ決めてからツールを選ぶ |
| 範囲が広すぎて止まる | 複数部署の業務を一度に変えようとして、調整と教育が追いつかない | 1部署1業務に絞り、期間を区切って試す |
| 担当者の退職で元に戻る | 詳しい人が1人で設定・運用を抱え、手順が残っていない | 手順書と判断ルールを残し、2人以上で運用する |
小さく始めることは、失敗したときの損失を小さく抑えるだけでなく、成功したときに「何が効いたのか」を特定しやすくする効果もあります。範囲が狭いほど、処理時間の短縮が仕組みのおかげなのか、単に担当者が慣れたからなのかを見分けやすくなり、次の業務に持ち込むべき要素がはっきりします。失敗の原因や注意点をさらに詳しく知りたい場合は、DXのデメリット7選|根本原因と対処法、失敗パターンを公的資料で解説や、DXのメリット・デメリットを中立解説|導入前に見る判断軸と小さく始める進め方も参考になります。
DX活用の進め方|小さく始める4ステップ
DX活用を小さく始める手順は、1業務を選ぶ、仕組みに置き換えて効果を測る、手順を型として残す、型を他の業務に広げる、という4ステップで進めると迷いにくくなります。ポイントは、各ステップの終わりに「次に進む条件」を決めておくことです。
ステップ1:毎週くり返す手作業を1つ選ぶ
まず、社内で「毎週、または毎月必ず発生し、担当者が面倒だと感じている手作業」を書き出します。候補が出そろったら、前章の表のように変えやすさと効果の見えやすさで評価し、両方が高いものを1つだけ選びます。この段階で、現在その業務にかかっている時間を概算でよいので記録しておくと、後の効果測定の基準になります。
ステップ2:仕組みに置き換えて1か月から3か月試す
選んだ業務を、クラウドサービスやフォーム、ワークフローなどの仕組みに置き換えて試します。いきなり全員で使うのではなく、協力的なメンバーがいる1部署から始め、1か月から3か月程度の期間を区切るのが目安です。試行中は「困ったこと」「元のやり方に戻したくなった場面」を記録してもらい、設定や運用ルールの見直しに使います。
ステップ3:効いた手順を型として残す
試行で効果が確認できたら、何をどの順番で行ったか、どの設定が効いたか、どこで現場がつまずいたかを手順書にまとめます。操作マニュアルだけでなく、「承認者が不在のときは誰が代わりに承認するか」といった判断ルールまで書いておくと、担当者が変わっても運用が続きます。
ステップ4:同じ型を別の業務や部署に広げる
型ができたら、流れの似た業務や他の部署に同じ進め方を当てはめます。たとえば経費精算で作った「申請、承認、記録」の流れは、備品購入の申請や休暇申請などにも応用できます。この段階で、社内に「自分たちで考えて直せる人」を育てておくことが、外部に頼り切らないDXにつながります。
| ステップ | 主な作業 | 次に進む条件の例 |
|---|---|---|
| 1. 1業務を選ぶ | 手作業の洗い出し、評価、現状の作業時間の記録 | 対象業務と測る数字が1つずつ決まった |
| 2. 仕組みに置き換えて試す | 1部署での試行、困りごとの記録、設定の調整 | 処理時間や差し戻し件数が試行前より改善した |
| 3. 型として残す | 手順書、判断ルール、設定内容の記録 | 担当者以外でも手順書を見て運用できた |
| 4. 横展開する | 似た業務・他部署への適用、社内の推進役の育成 | 2つ目の業務でも同じ型で効果が出た |
経産省が示す成功のポイント7つと、4ステップの関係
経済産業省の手引き2025は、DXに取り組む企業にみられる成功のポイントとして、次の7つをまとめています。上の4ステップは、このうち「身近なところから始め、成功体験を重ねる」「人材を育成する」「継続的に変革を続け、取り組みを拡大する」を、中小企業が1業務で実践しやすい形にしたものです。
- 経営者がリーダーシップを取ってDXを推進する
- 中長期的な視点を持って取り組む
- まずは身近なところから始め、成功体験を重ねる
- データを分析・活用し、新たな価値を創出する
- DX推進の過程で人材を育成する
- 継続的に変革を続け、DXの取り組みを拡大する
- 支援機関等による伴走支援を活用する
ステップ1で書き出した手作業のうち、申請・承認・転記が続く業務は、システムに任せられる範囲が広い業務です。この作業を毎回手でやっている場合に、どれだけ手作業が残っているかを、次のチェックで確かめてみてください。当てはまる数が少なければ、今のやり方で足りるという結果になります。
経費精算の手作業、どれくらい残っていますか?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
小さく始めるDX活用を支える推進体制・予算・補助金・セキュリティ
小さく始めるDX活用でも、誰が決め、誰が動かし、どこまで費用をかけ、情報をどう守るかを最初に決めておかないと、試行の途中で止まりやすくなります。専任の担当者を置けない中小企業ほど、この3点を簡単な取り決めとして文書にしておくことが大切です。
推進体制:経営者・現場の推進役・外部支援の3者で役割を分ける
体制づくりでは、経営者が目的と優先順位を示し、現場の推進役が日々の試行と記録を担い、足りない知識は外部の支援で補う、という役割分担が基本になります。経済産業省の手引き2025も、中堅・中小企業では推進する人材を内部で確保しにくい場合が多いため、経営者の強い意志のもとで外部の支援機関を適切に使うことを求めています。経営者が関与しないまま現場任せにすると、部署をまたぐ調整や予算の判断ができず、試行が1部署で止まってしまいます。推進役にはITに詳しい人よりも、業務の流れを理解していて周囲に声をかけられる人を選ぶほうが、現場の協力を得やすくなります。外部の支援は、ツールの提供会社の導入サポートや、商工会議所・自治体の相談窓口などから、必要な部分だけを使う形でも十分です。
推進役が現場に定着させる段階では、操作のわかりやすさが効いてきます。操作が難しいと、新しい仕組みが使われず、紙やExcelに戻ってしまうためです。現場への定着を重視する場合の一例が、ジンジャー経費(jinjer株式会社)です。商品ページによると、シンプルな画面と簡単な操作を特徴とし、ITツールに不慣れな従業員が多い企業でも使いやすいとされています。承認ルートや勘定科目を細かく設定でき、スマートフォンアプリでの領収書の読み取りにも対応します。一方で、導入までに最長3ヶ月ほどかかるとされているため、導入時期には余裕を持たせてください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- 社内に散らばる勤怠・給与・人事・経費などを1つに集約できる
- 担当者の面倒の原因を解決し、効率的な経費精算業務を実現可能
- さまざまな企業規模に対応し、特にペーパーレス化したい企業にぴったり
ここが少し気になる…
- 導入までに最長3ヶ月ほどかかる
-
ジンジャー経理を導入したことで、経費精算や支払申請のフローが一元化され、紙やメールでの申請・承認の手間が解消されました。仕訳の自動化や承認ルートの設定により、確認ミスや処理の抜け漏れも減少。経理部門だけでなく、現場の申請者にとっても操作が簡単で、業務全体の効率化につながっています。
-
オンラインで申請ができるので、どこからでも精算できることが魅力です。また、シンプル操作ゆえに高齢の方でも1人で操作でき、高齢の方だけ、代理で精算をする手間もかかりませんでした。大きな業務効率につながりました。
-
トップページが見やすく、検索がしやすいので、見たいページがすぐに見つかり、対象月の表をすぐ表示することができた。毎月の給与の欄と賞与の欄があり、見たいものが探しやすかった。
紙ベースの経費精算や領収書管理が中心で、書類の量が多く管理や保管に手間がかかっていた。
ジンジャー経費 導入事例(富永物産株式会社。導入前の課題として掲載) 出典:導入事例ページ
予算と補助金:クラウド型サービスと公的支援で初期負担を抑える
最初の題材が経費精算のような1業務であれば、自社でシステムを開発するよりも、月額課金のクラウド型サービスを使うほうが初期費用を抑えやすく、合わなかったときにやめる判断もしやすくなります。中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する補助金としては、「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)があります。事務局のサイトでは2026年版が公開されており、2026年10月9日には「第7次公募回以降における制度変更」のお知らせも出ています。対象や補助率、申請期間は公募回ごとに見直されるため、検討する際は必ず最新の公募要領を確認してください。交付決定の前に契約や導入を進めると対象外になる場合があるため、申請の前に事務局や支援事業者へ確認することも大切です。
補助金は経営の見通しを立てる助けになりますが、補助が出るかどうかでDXの方針を決める進め方は避けたいところです。投資としての考え方や費用対効果の測り方は、DX投資とは|ROIの計算方法と評価の落とし穴、KPI設計・公的指標の使い方の記事で扱っています。
セキュリティ:アカウント管理とバックアップを試行前に決める
クラウドに経費や取引先の情報を載せる以上、試行段階でも最低限のルールは必要です。具体的には、利用者ごとにアカウントを分けて共有しない、推測されにくいパスワードや多要素認証を設定する、退職者や異動者のアカウントをすぐに止める、閲覧・承認できる範囲を役割ごとに分ける、データのバックアップや出力の方法を確認しておく、といった点です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」には、経営者が認識すべき指針と社内で実践する手順がまとめられているため、ルールを決める際の土台として活用できます。
既存のExcel運用を活かした段階的な整理方法
DXの活用は、今使っているExcelを捨てることから始める必要はありません。むしろ、現在のExcel運用を整理し直すことが、システム導入をスムーズにする下準備になります。多くの中小企業では、業務の実態がExcelのファイルに記録されているため、そこから手をつけるのが近道です。
整理は次の3段階で進めると、無理なくシステムへ移行できます。
- ファイルの置き場所と名前をそろえる:個人のパソコンやメール添付に散らばったファイルを共有フォルダやクラウドストレージに集め、「年月_業務名_担当」のように命名ルールを決めます。これだけでも最新版の取り違えが減ります。
- 入力項目と書式を統一する:同じ経費申請でも人によって列の並びや勘定科目の書き方が違う状態を解消し、1つのテンプレートにそろえます。プルダウンで選択肢を固定すると表記ゆれが防げます。
- 統一した項目をそのままシステムに移す:項目がそろっていれば、システム側の設定やCSVでの取り込みが容易になります。移行後もしばらくはExcelと並行して記録し、数字が一致するかを確かめてから切り替えると安心です。
この進め方の利点は、2段階目までの整理だけでも効果が出る点です。システム導入の予算がすぐに確保できない場合でも、ファイルと項目の統一は今日から始められ、その成果が後のシステム選定で「自社に必要な項目は何か」を判断する材料になります。逆に、Excelの項目が人によってばらばらなままシステムを入れると、移行作業で手戻りが発生しやすくなります。
なお、経費精算や請求書のように税務に関わる書類をデジタルで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を確認する必要があります。保存方法や検索要件などの詳細は国税庁が公表している情報を確認し、判断に迷う場合は税理士などの専門家に相談してください。本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的・税務的な助言ではありません。
型化・横展開で定着させるコツ
DXを定着させるコツは、最初の成功を「その部署だけの話」で終わらせず、他の業務にも当てはめられる型として言葉にすることです。うまくいった理由が担当者の頑張りに依存していると、横展開した先で同じ効果は出ません。
型化の際に書き残しておきたいのは、対象業務の選び方、試行期間と参加メンバーの決め方、測った数字と測り方、つまずいた点と対処、元のやり方に戻さないための工夫の5点です。これがそろっていれば、次の業務では「前回の型のどこを変えればよいか」から議論を始められます。
下のスイッチで、型化する前と後の横展開の様子を切り替えて比べてみてください。
・経費精算はうまくいったが、手順は担当者の頭の中にしかない
・他部署から「うちでもやりたい」と言われても、何から始めるか説明できない
・担当者の異動後、承認ルートの設定変更ができず紙の申請に戻る
横展開の順番は、最初の業務と流れが似ているものから選ぶのが基本です。経費精算で「スマートフォンで申請し、上長が承認し、経理がまとめて処理する」流れが定着していれば、同じ流れの仕事は抵抗なく移行できます。また、最初の部署で効果が出た経費精算そのものを他部署に広げることも、横展開の分かりやすい第一歩です。全社で同じ経費精算の仕組みを使えるようになると、経理側の集計作業がまとめて楽になり、効果が全社単位で見えるようになります。
他部署に広げる段階では、部署ごとに異なる承認ルートや費目に対応できるか、経費のデータを会計や給与にもつなげて使えるかが確認点になります。会計・給与とのデータ連携を重視する場合の一例が、マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)です。商品ページによると、クレジットカードや電子マネーの明細から経費を登録でき、スマートフォンアプリでの申請・承認にも対応しています。同じ「マネーフォワード クラウド」シリーズの会計や給与などのサービスと連携して、バックオフィス業務全体の効率化を図れるとされています。一方で、OCR機能の読み取り精度に改善を求める声があるため、領収書の読み取りを重視する場合は、資料や無料トライアルで確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- オンライン上でまとめて経費申請できる
- 従業員や費目ごとに経費利用額が自動でグラフ化
- 不備入力防止アラート機能で入力ミスが減るため、差し戻しの手間が軽減
ここが少し気になる…
- OCR機能の精度があまりよくない
-
申請から承認まで全て紙を使わずオンライン上で完結できるため、ペーパーレスかつ整理がしやすい
-
マネーフォワード経費の導入で、領収書の紛失防止や経費申請の手間が大幅に減りました。スマホから簡単に申請でき、経理処理も効率化。少人数でも正確かつスピーディに経費管理ができるようになり、本業に集中できる環境が整いました。
-
ICカードで移動した記録をスマホで読み取り、そのまま経費として申請できるため、電車移動のルートや金額など、わざわざ入力の必要がありません。

実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド経費を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある経費精算システムの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド経費」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。
他システムとの比較記事はこちら
\気になるサービスをClickして比較!/
複数パターンあった当社の経費精算フローを1つのシステムに集約できるかどうかを重視しました。
マネーフォワード クラウド経費 導入事例(シャープファイナンス株式会社。システム選定で重視した点として掲載) 出典:導入事例ページ
なお、経費精算以外の業務へ広げる際に、自社の業務に合わせたアプリを現場で作りたい場合はおすすめのノーコードツールを、申請や稟議の流れ全体を電子化したい場合はワークフローシステムのおすすめも参考になります。
PoCを活用した導入フロー
PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、本格導入の前に限られた範囲で仕組みを試し、期待した効果が出るかを確かめる工程です。中小企業のDXでは、大がかりな検証ではなく、無料トライアルや短期契約を使った「小さな試験導入」として取り入れると、判断の精度を上げながらコストを抑えられます。
PoCを形だけで終わらせないためには、始める前に「何が確認できたら本格導入するか」を決めておくことが欠かせません。期間が終わってから判断基準を考えると、「なんとなく便利だった」「使いにくい人もいた」といった印象論になり、導入するかどうかを決めきれなくなります。
| 段階 | やること | 経費精算での具体例 |
|---|---|---|
| 1. 目的と判断基準を決める | 検証したいこと、合格ラインを文書にする | 「1件あたりの処理時間が半分程度になるか」「差し戻しが減るか」 |
| 2. 範囲と期間を絞る | 参加部署、人数、期間を限定する | 営業部の10人程度で、月末締めを2回含む期間 |
| 3. 試行と記録 | 数字と現場の声の両方を記録する | 処理時間、差し戻し件数、操作で迷った点 |
| 4. 評価と判断 | 基準と比べて導入、改善して再試行、中止を決める | 合格なら全社展開の計画へ、未達なら原因を整理して設定を見直す |
PoCでは、複数のサービスを同時に比べたくなりますが、少人数の中小企業では検証の負担が大きくなりがちです。候補は事前の資料確認で2つから3つに絞り、実際の試行は本命の1つに集中するほうが、現場の負担を抑えながら判断に必要な情報を集められます。また、「中止」も立派な結論です。合わなかった理由が記録されていれば、次の候補を選ぶときの判断材料になります。
試行の判断基準に「不備や差し戻しの確認がどれだけ減るか」を入れる場合の一例が、バクラク経費精算(株式会社LayerX)です。商品ページによると、スマートフォンアプリで複数枚の領収書を自動で読み取って一括でアップロードでき、領収書の使い回しや重複申請を知らせるミス防止のアラートを複数設定できます。無料トライアルがあるとされているため、操作性や自社との相性を試行で確かめられます。一方で、導入前のサポートを受けたい場合は有償での対応となるため、必要なサポートの範囲を資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- 差戻しや確認に時間をかけずに済む「ミス防止機能」を複数搭載
- アプリやチャットツールから承認が行え、社内にいなくても承認時間の確保が可能
- 複数枚の領収書でも自動で読み取れる
ここが少し気になる…
- 導入前のサポートを受けたい場合は有償での対応となる
-
自社での利用時、経費申請だけでなく、バクラクではさまざまな申請機能を自由に作ることができ、その点が非常に魅力的だった。稟議関係の申請機能を各種作ったり、その他社内的な決済が必要な事前申請を作ることができ、意思決定プロセスをスムーズに行う上で役立った。
-
役員の出張旅費精算が多く、紙の出張精算では溜め込みがちで、処理が滞ることが多かったが、移動先でも経費を利用した直後にスマホから簡単に申請できるようになり、申請作業が迅速化された。
-
スマホ撮影した領収書をAI‑OCRが数秒で読取・タイムスタンプ付与し、原本破棄が可能に。入力ミス/差戻しアラートで承認スピードが向上し、経理の月末突貫作業を削減。会計ソフトへワンクリック仕訳連携でき、集計から振込データ作成までを同一画面で完結できた。
従来6名で行っていた経費精算業務の工数を2名分へと大幅に圧縮できた
バクラクシリーズ「バクラクAI申請承認」導入事例(株式会社ストライクグループ。経費精算の承認の一次チェックを自動化した事例で、効果として掲載) 出典:導入事例ページ
導入効果をどう確認するか
導入効果は、導入前に記録した作業時間と導入後の作業時間を同じ条件で比べることで確認します。時間の削減に加えて、差し戻しや入力ミスの件数、締め処理の完了日といった数字も合わせて見ると、効果を多面的に説明できます。
効果の確認で押さえたい指標は、次の3つです。
- 作業時間:申請者、承認者、経理担当のそれぞれが1件あたり、または1か月あたりにかけている時間
- 品質:差し戻し件数、入力ミスの件数、承認漏れの件数
- スピード:申請から精算完了までの日数、月次の締め処理が終わる日
経理担当の時間だけを測ると、申請者側の手間が増えていても見落としてしまいます。関係者全員の時間を合計して比べることが、正しく効果を評価するコツです。下のシミュレーターでは、月の申請件数と1件あたりの短縮時間から、削減できる作業時間の目安を計算できます。
経費処理の削減時間シミュレーター(簡易計算)
月の経費申請件数:100件
1件あたりの短縮時間(申請・承認・経理の合計):10分
月あたりの削減時間の目安:16.7時間
年あたりの削減時間の目安:200.0時間
※件数と短縮時間を掛け合わせただけの簡易計算です。実際の効果は業務内容や運用ルールによって異なります。
算出した削減時間は、そのまま「浮いた時間を何に使うか」の議論につなげることが大切です。経理担当が月末の入力作業から解放された時間を、資金繰りの確認や経営層への数字の報告に回せれば、DX活用は単なる効率化から経営に役立つ取り組みへと一歩進みます。効果を数字で示せると、次の業務への横展開に必要な予算や協力も得やすくなります。効率化とDXの違いは、DX効率化とは?業務効率化との違いを経費精算の例で解説、進め方と課題もの記事で詳しく扱っています。
効果の確認では、領収書の回収や立替精算にかかる手間そのものを減らせるかも見ておきたい点です。その点に重きを置く場合の一例が、Bill One経費(Sansan株式会社)です。商品ページによると、全社員が専用のBill Oneビジネスカードで経費を支払うことで社内の立替経費をなくし、領収書の受け取りから承認、仕訳、保管までをオンライン上で一元管理できます。カードの利用は即時に反映され、領収書の提出もスマートフォンで撮影するだけで済むとされています。一方で、初期費用が発生し、支払いは年額となり、無料のトライアル期間は設けられていないため、見積もりの段階で自社の業務フローと費用対効果を確かめてください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- ビジネスカードで経費を支払うため、社員の立替経費をなくせる
- 領収書の受取から仕訳・保管までオンラインで一元管理
- 経費精算に関するさまざまな課題を解決でき、社員の負担を軽減
ここが少し気になる…
- 初期費用が発生し、月払いではなく年額での支払い
-
経費立替からの精算という流れを変えたことで業務効率化がはかれました。領収書をメールやチャットで提出したりする必要がなく、クラウドにアップロードすれば共有できるのでとにかく楽です。本来の業務に時間を使えるのがメリットです。
-
簡単に領収書を撮影しすぐに経費申請ができることが一番ありがたかった。導入前の経費申請は領収書をPDF化してシステムから申請、という古いタイプだったためかなり利便性が向上した(使用していたほぼすべての社員が満足していた印象)
-
テレワークに伴い、こちらのサービスを導入した経緯があります。今まで紙で届いた請求書に上長の押印、明細などを添えて経理に提出していましたが、一気にペーパレスできましたし、経理担当者の処理時間も大幅に減ったのではないでしょうか。請求書を受理する現場担当者も入力作業がありますが、データをアップロードすればAIが読み取ってある程度データ化してくれるのでとても便利だと思いました。
よくある質問(FAQ)
Q1. DXの身近な活用例には、どのようなものがありますか?
A. 経費精算や請求書のデジタル化、勤怠やスケジュールのクラウド管理、紙の台帳の電子化、グループウェアでの情報共有、問い合わせ対応の自動化などがあります。経済産業省の手引き2025も、紙の台帳のデジタル化やグループウェアでのスケジュール・勤怠管理から始める例を挙げています。DX化の具体的な例としても、毎月くり返す事務作業から始めるのが一般的です。
Q2. DXの面白い事例はありますか?
A. 経済産業省のDXセレクション2026に、内装会社のコマツが職人の勘や判断を壁紙AI識別アプリ「かべぴた」にした事例(会員数37,000人以上)や、宿泊業の川六が60代の社員やパートを含む全従業員でRAGを開発した事例などがあります。詳しくは本記事の事例の章を参照してください。
Q3. DX活動とは何ですか?
A. 公的な定義がある用語ではなく、DXを進めるための取り組み全般を指す通称です。推進チームの設置、業務の洗い出し、ツールの試行、成果の測定、社内への共有といった活動が含まれます。経済産業省の手引きは、DXの進め方を意思決定、全体構想・意識改革、本格推進、DX拡大・実現の4段階で示しています。
Q4. 「DX活用」という言い方は間違いですか?
A. 経済産業省の定義ではDXは「変革」そのものを指すため、「DXを活用する」は厳密な表現ではありません。ただ、実務では「DXを進めるためにデジタル技術を使いこなす」という意味で広く使われており、社内の会話や検索では通じます。文書では「DX推進」「デジタル活用」と書き分けると、誤解が減ります。
Q5. DX活用は何から始めればよいですか?
A. 毎週・毎月くり返す手作業を書き出し、変えやすさと効果の見えやすさが高い業務を1つ選ぶところから始めます。経費精算や請求書の作成は、流れが決まっていて効果を数字で示しやすいため、最初の題材に向いています。現在の作業時間を記録してから試すと、後で効果を比べられます。
Q6. DX活用に使える補助金はありますか?
A. 中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)があります。対象や補助率、申請期間は公募回ごとに変わり、交付決定の前に契約や導入を進めると対象外になる場合があるため、最新の公募要領を確認し、申請の前に事務局や支援事業者へ相談してください。
まとめ:DX活用で今日から取り組める3つのこと
DX活用は、1つの業務を小さく変え、その成果と手順を型として残し、他の業務へ広げていく積み重ねです。最後に、今日から取り組める3つのことを整理します。
- 毎週くり返す手作業を書き出し、経費精算のように変えやすく効果が見えやすい業務を1つ選んで、現在の作業時間を記録する。
- 経費精算システムなどの資料を取り寄せて、自社の承認ルートや会計ソフトに合うかを比べ、1部署で期間を区切って試して、処理時間や差し戻し件数の変化を確かめる。
- 効いた手順と判断ルールを型として残し、流れの似た業務や他部署へ広げながら、社内で直せる人を育てる。
参考文献
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」(DXの定義) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc3.0.pdf
- 経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chukenchushotebiki/dx-chukenchushotebiki.html
- 経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」(PDF) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chukenchushotebiki/dx-chukenchushotebiki_2025.pdf
- 経済産業省「DXセレクション」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection/dx-selection.html
- 経済産業省「DXセレクション2026 選定企業レポート」(PDF) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection/dxselection2026_report.pdf
- 経済産業省「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 中間とりまとめ(DXレポート2)」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation_kasoku/20201228_report.html
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」 https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html
- デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金) https://it-shien.smrj.go.jp/
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
- 株式会社ラクス「楽楽精算 導入事例(株式会社毎日新聞社)」 https://www.rakus.co.jp/rakurakucloud/seisan/case/casestudies_mainichi.php
- 株式会社マネーフォワード「マネーフォワード クラウド経費 導入事例(シャープファイナンス株式会社)」 https://biz.moneyforward.com/case/10842/
- 株式会社LayerX「バクラク 導入事例(株式会社ストライクグループ)」 https://bakuraku.jp/case/strike/
- jinjer株式会社「ジンジャー経費 導入事例(富永物産株式会社)」 https://hcm-jinjer.com/results/163057/
この記事に興味を持った方におすすめ









