SaaSとIaaSの違いとは?技術構造・責任範囲とXaaSの全体像を解説

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  • XaaSの全体像と、SaaS・IaaSの技術構造の違いがわかる
  • 責任共有モデルに基づき、SaaS・IaaSそれぞれで利用者が管理する範囲がわかる
  • 併用のパターンやよくある誤解、責任範囲を社内に浸透させる方法がわかる

「SaaSとIaaSは、技術的にはどこが違うのか」「どちらを使うと、自社はどこまで管理しなければならないのか」。クラウドサービスの導入や見直しを進めると、こうした疑問に必ず行き当たります。SaaSとIaaSの違いは、サービス事業者が提供する範囲、言い換えれば「利用者が自分で管理する範囲」の違いです。本記事では、XaaSと呼ばれるクラウドの全体像から、SaaSとIaaSの技術構造・責任範囲の違い、併用のパターン、理解不足から起きやすい誤解、AIエージェントとの関係までを順に整理します。

SaaSとIaaSの技術構造で、いちばん気になることは?

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目次

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  1. 技術構造の理解を社内に浸透させる仕組み|eラーニングシステムの活用
  2. XaaSとは|クラウドの全体像
  3. SaaS・IaaSの技術構造の違い
  4. 責任範囲の違い|ユーザーが管理する範囲
  5. SaaSとIaaSを併用するケース
  6. 技術構造を理解する際によくある誤解
  7. 今後の技術動向|AIエージェントとの関係
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ
  10. 参考文献

技術構造の理解を社内に浸透させる仕組み|eラーニングシステムの活用

SaaSとIaaSの違いを情報システム部門だけが理解していても、クラウドの事故は防げません。アカウント管理や共有設定など、利用部門が担う範囲があるためです。技術構造の理解を全社に広げるには、eラーニングシステムで学習の仕組みを作る方法が有効です。

総務省のガイドラインでも、クラウドの設定ミスを防ぐには、事業者と利用者が責任を分担する「責任共有モデル」を前提に、利用者側が自分の責任範囲を把握しておく必要があるとされています。ところが実際には、「クラウドだから事業者が全部守ってくれる」と考えている利用部門の担当者は少なくありません。社内説明会を一度開くだけでは知識が定着しにくく、異動や新入社員のたびに説明し直す負担も残ります。

社内教育の手段ごとに、クラウドの基礎知識を浸透させる際の向き・不向きを整理しました。

教育の手段 強み 留意点
集合研修・説明会 質疑応答ができ、その場の理解度を確かめやすい 欠席者や新入社員への再実施が必要。講師役の負担が大きい
社内マニュアル・ポータル 作成すれば費用がほとんどかからない 読まれたかどうかを確認できず、内容が古くなりやすい
eラーニングシステム(LMS) 動画やテストで学習させ、受講状況と理解度を一覧で管理できる。既製のIT・セキュリティ講座を使える製品もある 月額費用がかかる。自社のクラウド運用ルールに合わせた教材は別途用意が必要

eラーニングシステムを使えば、「SaaSで利用者が管理する範囲」「IaaSでOSのパッチ適用を誰が担うか」といった基礎知識を短い講座にまとめ、全社員に受講させて理解度テストで確認できます。IT系の講座を豊富にそろえた製品もあれば、自社で作った教材を配信・管理することに強い製品もあります。社内教育の仕組み化を考えている方は、主要なeラーニングシステムを比べてみると選びやすくなります。

XaaSとは|クラウドの全体像

XaaS(X as a Service)とは、ITの機能を「所有せず、サービスとして利用する」形態の総称です。SaaS・PaaS・IaaSはその代表で、事業者がどの層まで提供するかによって区別されます。

米国国立標準技術研究所(NIST)が2011年に公表した「The NIST Definition of Cloud Computing(SP 800-145)」は、クラウドのサービスモデルをSaaS・PaaS・IaaSの3つに分類しました。この定義は日本の政府機関のガイドラインでも参照されており、クラウドの分類の基本になっています。XaaSのXには、提供されるものの頭文字が入ります。

名称 提供されるもの 代表的なサービス例
SaaS(Software as a Service) 完成したアプリケーション Microsoft 365、Google Workspace、会計・勤怠クラウド
PaaS(Platform as a Service) アプリを動かすための実行環境・開発基盤 Google App Engine、Azure App Service、Heroku
IaaS(Infrastructure as a Service) 仮想サーバー・ストレージ・ネットワーク Amazon EC2、Azure Virtual Machines、Google Compute Engine
その他のXaaS 特定の機能や基盤 DaaS(仮想デスクトップ)、IDaaS(認証基盤)、CaaS(コンテナ基盤)、FaaS(関数実行環境)など

クラウドの全体像は、ITシステムを「ネットワーク・ハードウェア」「仮想化」「OS」「ミドルウェア・ランタイム」「アプリケーション」「データ」という層の積み重ねとして見ると理解しやすくなります。IaaSは下の層だけを提供し、PaaSは中間の層まで、SaaSはアプリケーションまでを提供します。上に行くほど利用者の手間は減り、その代わりに自由度も小さくなります。

SaaS・IaaSの技術構造の違い

IaaSは、仮想化されたサーバーやストレージを貸し出す「土台」のサービスで、OSから上は利用者が自分で構築します。SaaSは、その土台の上にアプリケーションまで作り込んだ「完成品」のサービスで、利用者はブラウザなどから機能を使うだけです。

IaaSの中核にあるのは仮想化技術です。事業者はデータセンターの物理サーバーをハイパーバイザーで分割し、利用者ごとに仮想マシンとして切り出して提供します。利用者は管理画面やAPIからCPU・メモリ・ディスク容量を選んで仮想マシンを起動し、OSやミドルウェアをインストールして使います。一方のSaaSは、多くの場合「マルチテナント」という構造を取っています。1つのアプリケーションとデータベースを複数の利用企業で共有し、企業ごとのデータを論理的に分けて管理する仕組みです。

技術要素 SaaS IaaS
提供される層 インフラからアプリケーションまで 物理設備・仮想化基盤まで(仮想サーバー・ストレージ・ネットワーク)
基本となる構造 マルチテナント(アプリとDBを複数企業で共有) 仮想マシン単位で利用者ごとに環境を切り出す
利用者の操作手段 ブラウザ、専用アプリ、設定画面 管理コンソール、API、SSHなどでサーバーに接続
カスタマイズの自由度 低い(提供される設定項目の範囲内) 高い(OSやソフトウェアを自由に選べる)
アップデート 事業者が全利用者に一斉に適用する OSより上は利用者が計画して適用する
必要な専門知識 業務と設定の知識が中心 サーバー・ネットワーク・セキュリティの知識が必要
課金の単位 ユーザー数・プランごとの月額が中心 CPU・メモリ・ストレージ・通信量などの使用量に応じた従量課金が中心

PaaSは、この両者の中間に位置します。OSやミドルウェアの管理は事業者に任せ、利用者は自分で開発したアプリケーションのコードとデータだけを管理します。自社でアプリを開発するならPaaSやIaaS、既製の業務機能を使うならSaaS、というのが大まかな使い分けです。

SaaS・IaaSのメリット・デメリットと選び方の目安

読み方は、SaaSが「サース」(「サーズ」とも)、IaaSが「イアース」(「アイアース」とも)、PaaSが「パース」と読むのが一般的です。技術構造の違いは、そのまま導入時のメリット・デメリットの違いになります。

項目 SaaS IaaS
メリット 契約してすぐ使える。サーバーやソフトウェアの保守が不要で、専門の担当者がいなくても運用しやすい OSやソフトウェアを自由に選べ、自社独自のシステムも動かせる。必要な分だけ資源を増減できる
デメリット 機能のカスタマイズに限りがある。事業者の仕様変更やサービス終了の影響を受ける サーバーやセキュリティの専門知識が必要。OSから上の運用・監視の負担が残る
向いているケース メールや会計など、標準的な機能で足りる業務をすぐに効率化したい 既存システムの移行や独自開発など、構成を自社で細かく決めたい。運用できる技術者がいる

選ぶ際は、「既製の機能で要件を満たせるか」「自社に基盤を運用できる人員がいるか」の2点から判断すると整理しやすくなります。前者を満たせばSaaS、満たせず後者の体制があればIaaSやPaaSが候補になります。

責任範囲の違い|ユーザーが管理する範囲

クラウドでは、事業者と利用者がセキュリティや運用の責任を分け合う「責任共有モデル」が基本です。IaaSでは利用者がOSから上の広い範囲を管理し、SaaSでは主にデータとアカウント、設定を管理します。どのモデルでも、データとアクセス権限の管理は利用者の責任として残ります。

管理する層 オンプレミス IaaS PaaS SaaS
データ・アカウント・アクセス権限 利用者 利用者 利用者 利用者
アプリケーション 利用者 利用者 利用者 事業者(設定は利用者)
ミドルウェア・ランタイム 利用者 利用者 事業者 事業者
OS 利用者 利用者 事業者 事業者
仮想化・サーバー・ストレージ・ネットワーク 利用者 事業者 事業者 事業者
データセンター(建物・電源) 利用者 事業者 事業者 事業者

上の表は一般的な目安です。総務省の「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」は、事業者と利用者の責任範囲は一律に決まるものではなく、サービスの内容や利用条件ごとに異なるため、契約や利用規約で責任分界を確認する必要があるとしています。

IaaSで利用者が担う主な作業

  • OSやミドルウェアのセキュリティパッチの適用
  • ファイアウォールやアクセス制御の設定
  • ウイルス対策やログの監視
  • バックアップの取得と復旧手順の整備
  • 負荷に応じたサーバーの増減(スケーリング)の設計

SaaSで利用者が担う主な作業

  • 利用者アカウントの発行・削除と、退職者のアカウント停止
  • 多要素認証やパスワードポリシーの設定
  • ファイルやデータの共有範囲の設定
  • 入力するデータの正確さと、必要に応じたデータの書き出し・保管

SaaSは管理範囲が狭い分、アカウントや共有設定の管理が各部署の担当者に任されがちです。情報システム部門が関与しないまま利用部門が独自にSaaSを契約する、いわゆるシャドーITも起きやすいため、全社で最低限のルールを共有しておくことが重要です。

SaaSとIaaSを併用するケース

実際の企業では、SaaSかIaaSかの二者択一ではなく、両方を組み合わせて使うのが一般的です。標準的な業務はSaaSで、自社固有のシステムはIaaSで動かし、両者をAPIやID管理でつなぐ形が多く見られます。

併用のパターン SaaSの役割 IaaSの役割
業務システムの使い分け メール、グループウェア、会計、勤怠など標準的な業務 基幹システムや独自開発の業務アプリ
データ連携・分析 販売管理やCRMでデータを蓄積 各SaaSのデータをAPIで集め、分析基盤で集計
オンプレミスからの移行 置き換えられる機能から順にSaaSへ移す 置き換えられないシステムをサーバーごとIaaSへ移す
認証の統合 IDaaSで複数SaaSへのログインを一元化 IaaS上の自社システムにも同じIDでログインさせる

併用すると、サービスごとに責任範囲が異なるため、管理の抜け漏れが起きやすくなります。「このシステムのOSは誰がパッチを当てるのか」「このSaaSのアカウントは誰が棚卸しするのか」を一覧にし、担当部署を決めておきましょう。デジタル庁の「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」でも、まずSaaSの利用を検討し、要件に合わない場合にPaaSやIaaSを検討する考え方が示されています。

技術構造を理解する際によくある誤解

SaaSとIaaSの違いについてよくある誤解は、「クラウドなら事業者がすべて守ってくれる」「SaaSならバックアップは不要」「IaaSはサーバーを借りるだけで管理は楽」の3つです。いずれも責任範囲の理解不足から生まれ、情報漏えいやデータ消失の原因になります。

よくある誤解 実際の技術構造・責任範囲 起こりうるトラブル
1. クラウドなら事業者がセキュリティをすべて担う どのモデルでも、データとアクセス権限の管理は利用者の責任 共有設定のミスで、社外から資料が閲覧できる状態になる
2. SaaSならバックアップは不要 事業者の障害対策は設備側の冗長化が中心で、利用者の誤削除の復元まで保証されるとは限らない 誤って消したデータが保存期間を過ぎて戻せない
3. IaaSはサーバーを借りるだけで管理が楽 OSから上は利用者の管理で、オンプレミスと同等の運用が必要 パッチ未適用のまま公開したサーバーが攻撃を受ける
4. IaaSは使った分だけなので必ず安い 従量課金のため、停止し忘れや通信量の増加で費用が膨らむ 検証用のサーバーを止め忘れ、想定外の請求が届く
5. SaaSは契約すればすぐ全社で使える 権限設計や既存システムとの連携、利用ルールの整備が必要 部署ごとに使い方がばらばらになり、データが分散する

これらの誤解は、担当者個人の知識不足というより、「誰が何を知っておくべきか」を組織として決めていないことから生まれます。情報システム部門はIaaSの運用ルールを、利用部門はSaaSのアカウントと共有設定のルールを、それぞれ役割に応じて学ぶ必要があります。役割ごとに受講させる講座を分け、定期的に理解度を確認できるeラーニングシステムは、こうした誤解を防ぐ社内教育の仕組みとして使いやすい選択肢です。

責任範囲の誤解によるトラブルを、教育の仕組みで防ぐ

誤解を防ぐ社内教育の進め方|eラーニングシステム比較 →

今後の技術動向|AIエージェントとの関係

生成AIの普及により、SaaSには業務を自動で進めるAIエージェント機能が組み込まれ、IaaSはそのAIを動かすGPUなどの計算資源を提供する基盤としての役割を強めています。技術構造の層の考え方自体は変わりませんが、各層で扱う対象が広がっています。

SaaSの側では、文章の要約や問い合わせへの回答、データ入力といった作業を、AIが利用者の代わりに実行する機能が増えています。AIエージェントが複数のSaaSをAPI経由で操作し、業務を横断して処理する使い方も広がりつつあります。IaaSの側では、大規模言語モデルの学習や推論に使うGPUインスタンスの提供が拡大し、AIモデルそのものをAPIで利用できるサービスも登場しています。

こうした変化で、利用者の責任範囲にも新しい論点が加わります。AIエージェントにどのSaaSのどのデータまで操作を許可するか、AIに入力した社内データが学習に使われるかどうか、といった点は、事業者ではなく利用者が設定し、判断しなければなりません。技術構造の理解は、AI時代のクラウド活用でも前提になる知識です。

よくある質問(FAQ)

Q. SaaSとIaaSのいちばん大きな違いは何ですか?

A. 事業者が提供する範囲の違いです。IaaSは仮想サーバーやストレージなどの基盤だけを提供し、OSから上は利用者が構築・管理します。SaaSはアプリケーションまで提供し、利用者は機能を使うだけで済みます。

Q. XaaSとは何ですか?

A. ITの機能を所有せず、サービスとして利用する形態の総称です。SaaS・PaaS・IaaSのほか、仮想デスクトップのDaaSや認証基盤のIDaaSなど、提供されるものに応じてさまざまな種類があります。

Q. SaaSでも利用者が管理しなければならないことはありますか?

A. あります。利用者アカウントの発行・削除、多要素認証などの認証設定、データの共有範囲の設定、入力したデータの管理は利用者の責任です。事業者の責任範囲は契約や利用規約で確認しましょう。

Q. IaaSとPaaSはどう違いますか?

A. IaaSではOSやミドルウェアを利用者が管理しますが、PaaSではそれらを事業者が管理し、利用者は自分で開発したアプリケーションとデータだけを管理します。PaaSはアプリ開発に集中したい場合に向いています。

Q. SaaSとIaaSは併用できますか?

A. できます。標準的な業務はSaaS、自社固有のシステムはIaaSで動かし、APIやID管理でつなぐ形が一般的です。サービスごとに責任範囲が異なるため、管理の担当部署を一覧で決めておきましょう。

Q. クラウドの責任範囲を社内に浸透させるにはどうすればよいですか?

A. 情報システム部門と利用部門で、学ぶべき内容を役割ごとに分けて教育するのが効果的です。eラーニングシステムを使うと、講座の配信と受講状況・理解度の管理をまとめて行え、異動者や新入社員にも同じ内容を届けられます。

まとめ

SaaSとIaaSは、どちらもXaaSと呼ばれるクラウドサービスの一種で、違いは事業者が提供する層の範囲にあります。IaaSは仮想化された基盤を提供し、OSから上は利用者が管理します。SaaSはアプリケーションまで提供し、利用者はデータやアカウント、設定を管理します。どのモデルでもデータとアクセス権限の管理は利用者の責任として残るため、技術構造と責任範囲を組織全体で理解しておくことが、クラウドを安全に使う前提になります。まずは次の3つから始めてみてください。

  1. 自社で使っているクラウドサービスを、SaaS・PaaS・IaaSに分類して一覧にする
  2. サービスごとに、利用者側で管理すべき項目と担当部署を決める
  3. 利用部門を含めた全社員に、責任範囲の基礎知識を学ぶ機会を設ける

参考文献

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