AIモデルとは?仕組みと学習の種類、RAGとファインチューニングの違いをガイドライン第1.2版で解説

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  • AIモデルの基本構造と学習方法による種類がわかる
  • RAGとファインチューニングの違いと選び方がわかる
  • ガイドライン第1.2版の要点と業務のリスクがわかる

AIモデルとは、大量のデータから規則性(パターン)を学習し、新しい入力に対して予測・分類・生成などの結果を出力する仕組みのことです。IT分野ではAIの「頭脳」にあたる部分を指し、ChatGPTなどの生成AIサービスも、学習を終えたAIモデルを使いやすい形で提供したものです。一方で、「アルゴリズムやAIサービスと何が違うのか」「RAGとファインチューニングはどちらを選ぶのか」と迷う業務担当者も少なくありません。本記事では、AIモデルの基本構造と学習・推論の違い、学習方法による種類、作り方、業務での活用と選び方を整理したうえで、RAGとファインチューニングの違い、AI事業者ガイドライン(第1.2版)の要点、担当者が押さえるべきリスクまでを解説します。

AIモデルの解説を読む前に、社内でつまずきやすい点を診断

Q1. いま一番知りたいのは、どちらですか?

目次

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  1. AIモデルとは|定義とアルゴリズム・AIサービスとの違い
  2. AIモデルの基本構造|入力・モデル・出力と、学習・推論の違い
  3. 学習方法によるAIモデルの種類
  4. AIモデルの作り方|作成の流れと業務担当者が関わる場面
  5. AIモデルを業務で活用するメリットと限界
  6. 業務で使うAIモデルの選び方|大きさより目的とデータの扱い
  7. RAGとファインチューニングの違い|業務でのカスタマイズ手法
  8. AI事業者ガイドライン(第1.2版)の要点|AIエージェント・フィジカルAIの定義
  9. AI開発者・提供者・利用者の役割分担
  10. 業務担当者が知っておくべきリスク|情報漏洩・著作権・バイアス
  11. AIモデルの理解不足で起きやすい失敗パターン
  12. AIモデルの技術理解を深めるためのステップ
  13. よくある質問(FAQ)
  14. まとめ
  15. 参考文献

AIモデルとは|定義とアルゴリズム・AIサービスとの違い

AIモデルとは、大量のデータから規則性を学習し、新しい入力に対して予測・分類・生成などの結果を出力する仕組みです。ChatGPTなどの生成AIサービスの中核も、学習済みのAIモデルです。

実務では、業務の課題をデータで表し、AIが予測や分類を行えるモデルとして作り上げることを「AIモデル化」と呼ぶことがあります。なお、広告やECの分野では、AIで生成した人物をファッションモデルのように起用する例もあり、「AIモデル」がその意味で使われる場合もあります。本記事は、予測・分類・生成を行う仕組みとしてのAIモデルを扱います。

用語意味たとえ
アルゴリズムデータから規則性を見つけるための計算の手順料理のレシピ
AIモデルアルゴリズムでデータを学習させた結果、できあがった判断の仕組みレシピどおりに作った料理
AIサービス(AIシステム)AIモデルに画面や外部連携などを組み合わせ、利用者が使える形にしたもの店で提供される定食

AIモデルの理解を社内にそろえる|役割で選ぶeラーニング3サービス

AIモデルの仕組みやリスクを一部の担当者だけが理解していても、実際にAIを使う社員全員に伝わらなければ、情報漏洩などの事故は防げません。入力してよい情報や出力の確認といったルールを全員が同じ基準で学ぶ手段として、eラーニングがあります。本記事の内容と相性のよい3サービスを、役割の違いで並べます(内容は各サービスの商品ページで確認した情報にもとづきます。AIモデルそのものを解説する教材の有無と範囲は、資料で確認してください)。

AIモデルのルールと理解を社内にそろえる、eラーニング3サービスの役割の違い

優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

一例:OneCompliance(ワンコンプライアンス)(個人情報や情報セキュリティの研修)

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一例:Smart Boarding(自社の教材で研修コースを作成)

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一例:SAKU-SAKU Testing(確認テストと結果の集計)

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サービス OneCompliance(ワンコンプライアンス) Smart Boarding SAKU-SAKU Testing
向いている会社 個人情報保護法・情報セキュリティ・著作権などの研修を、全社でそろえたい会社 AIの使い方や社内ルールを、自社の資料や動画で研修コースにしたい会社 研修のあとに確認テストを出し、理解度を集計して確かめたい会社
特徴 コンプライアンス研修に特化。専門家が作成・レビューし、ダッシュボードと自動リマインダーで受講状況を管理できる 研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで運用でき、LMSで進捗や理解度を確認できる CBTの技術を活かしたテスト機能が中心。用意された設問と自社の設問を1つのテストにまとめられる
注意したい点 料金は受講人数に応じて変わり、詳細は問い合わせで確認する。AIモデルの仕組みそのものを学ぶ教材かは資料で確認が必要 電話・メール相談や教育プログラム設計などの手厚いサポートは「充実サポートプラン」のみ 事務局運営やカスタマーデスクの利用はオプション扱い
資料・詳細

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AIモデルの使い方で守るべき「入力してよい情報」「出力の確認」「著作権への配慮」といったルールを、全員に同じ基準で学ばせたい場合の一例が、OneCompliance(ワンコンプライアンス)です。コンプライアンス研修に特化したeラーニングで、全業界向けに個人情報保護法、情報セキュリティ、著作権などのコースを提供しています。専門家が作成・レビューしたコンテンツを、ダッシュボードと自動リマインダーで受講状況を把握しながら配信できる点が特徴です。一方で、料金は受講人数に応じて変わり、詳細は問い合わせで確認する必要があります。AIモデルの仕組みそのものを解説する教材かどうかは、資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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OneCompliance 導入事例(株式会社プリメディカ。導入の背景・課題感として掲載) 出典:導入事例ページ

AIモデルの基本構造|入力・モデル・出力と、学習・推論の違い

AIモデルの動きは「入力、モデル、出力」の3段階で考えると理解しやすく、モデルの一生は「学習」と「推論」の2つに分かれます。業務では、社内のデータがどちらの段階で使われるのかを区別することが、情報管理の出発点になります。

入力・モデル・出力の基本構造

文章や画像、音声、数値データなどを入力すると、モデルが学習した規則性に当てはめて処理し、分類結果や予測値、生成した文章などを出力します。たとえば問い合わせメールを分類するモデルなら、入力はメール本文、出力は「請求」「解約」「不具合」などの分類ラベルです。同じAIモデルでも、どのサービスから使うかによって、入力データの扱いや利用できる機能が変わります。社内で「どのAIを使うか」を議論するときは、モデルの名前だけでなく、どのサービス経由で使うのかまで確認することが大切です。

ここで押さえておきたいのは、AIモデルは入力の意味を人と同じように理解しているわけではなく、学習データに含まれていた傾向から、もっともらしい答えを計算しているという点です。学習データに偏りや誤りがあれば出力にも反映され、学習していない分野の質問には、それらしいが誤った答えを返すこともあります。

学習と推論の違い

AI事業者ガイドライン第1.2版では、学習と推論の定義が明確にされました。業務担当者にとっても、社内のデータがどちらの段階で使われるのかを区別することは、情報管理のうえで重要です。

段階何をするか業務での例データ面の注意点
学習データを使ってモデルの内部の設定(パラメータ)を調整し、規則性を身につけさせる過去の問い合わせ履歴でモデルを追加学習させる学習に使ったデータの内容がモデルに残り、後から取り除くのが難しい
推論学習済みのモデルに新しいデータを入力し、結果を出力させる生成AIに議事録を要約させる、社内文書を検索して回答させるモデル自体は変わらないが、入力内容がサービス側に保存・利用されるかは規約次第

日常的に生成AIへ指示を出して回答を得る使い方は、推論に当たります。一方で、サービスによっては入力した内容をモデルの改善(学習)に使う設定になっている場合があります。「推論として使っているつもりが、実は学習データとして提供していた」という事態を避けるため、利用規約や設定画面で、入力データが学習に使われるかどうかを必ず確認しましょう。

学習方法によるAIモデルの種類

AIモデルは、どのようにデータを学習するかによって、教師あり学習、教師なし学習、強化学習などに分けられます。現在の生成AIの土台になっている大規模言語モデル(LLM)は、大量の文章から自ら規則性を学ぶ方法で作られた「基盤モデル」の一種です。

学習方法仕組み業務での活用例
教師あり学習正解(ラベル)付きのデータを学習し、新しいデータの正解を当てる。数値を予測する回帰と、種類を判別する分類がある売上や需要の予測、不良品の画像判定、問い合わせの自動分類
教師なし学習正解のないデータから、似たもの同士のまとまりや特徴を見つける顧客のグループ分け、通常と異なる取引の検知
強化学習試行錯誤を繰り返し、よい結果に報酬を与えることで最適な行動を学ぶ倉庫ロボットの動作制御、配送ルートの最適化
自己教師あり学習(基盤モデル)大量の文章や画像の一部を隠し、前後から予測する作業を通じて汎用的な知識を身につける文章作成、要約、翻訳、質問応答など、幅広い業務に使える生成AI

従来のAIモデルは「需要予測専用」「画像判定専用」のように、特定の目的ごとに自社のデータで作るのが一般的でした。これに対し、生成AIの基盤モデルは、開発元が膨大なデータで学習した汎用のモデルを多くの企業が共通で使い、用途に応じて指示の出し方や追加の仕組みで調整するという使い方が主流です。そのため、業務担当者が向き合う課題も「モデルをどう作るか」から「既存のモデルをどう安全に使いこなすか」へと移っています。なお、生成AIの中には文章だけでなく、画像や音声、動画をまとめて扱えるマルチモーダルなモデルもあります。扱えるデータの種類が増えるほど、写真に写り込んだ個人情報や、音声に含まれる機密情報など、気を配るべき情報の範囲も広がります。

AI・機械学習・ディープラーニングとAIモデルの関係

AIは人の知的な作業をコンピューターで実現する技術全体を指し、その中でデータから規則性を学ばせる手法が機械学習、機械学習のうち人の脳の神経回路をまねた多層のニューラルネットワークを使う手法がディープラーニングです。つまりディープラーニングは、教師あり学習や教師なし学習と並ぶ分類ではなく、それらを実現するための手法の1つで、画像・音声・文章のように特徴を人が定義しにくいデータを得意とします。生成AIの基盤モデルも、ディープラーニングで作られたAIモデルです。

出力の形で分ける|識別・予測系と生成系、分類と回帰

AIモデルは出力の内容によっても整理できます。識別・予測系は「不良品かどうか」「来月の需要はいくつか」のように決まった形式の答えを返すモデルで、生成系は文章や画像など新しいコンテンツを作り出すモデルです。識別・予測系はさらに、「合格か不合格か」「どの種類か」のようにカテゴリを当てる分類モデルと、売上や時間のように連続する数値を当てる回帰モデルに分けられます。業務で検討する際は、求める結果が判定や数値なのか、文章などの成果物なのかを先に整理すると、選ぶべきモデルの方向性が定まります。

代表的なAIモデルの例|用途別に見る

代表的なAIモデルは、用途によって名前が変わります。文章を扱うLLMは、AIモデルの中でも文章の理解と生成に特化したものです。LLMの仕組みや生成AIとの違いは、LLMとは?生成AIとの違いと仕組み、業務で使う際の確認ポイントで詳しく解説しています。

用途代表的なAIモデルの例主な仕組み
文章の生成・要約・質問応答GPTシリーズ(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)、Llama(Meta)など大規模言語モデル(LLM)
画像の生成Stable Diffusionなど拡散モデルなど
音声の文字起こしWhisper(OpenAI)など音声認識モデル
画像の分類・物体検出ResNet、YOLOなどディープラーニング(畳み込みニューラルネットワークなど)
需要や売上の予測回帰モデル(線形回帰など)教師あり学習(回帰)

モデルの名前や性能は短い周期で入れ替わるため、特定のモデル名を覚えるより、「どの用途に向く仕組みか」「サービスとして提供されているのか、自社環境で動かすのか」という見方を身につけておくと、新しいモデルが出ても判断に迷いにくくなります(上の表は2026年10月16日時点の代表例で、網羅したものではありません)。

AIモデルの作り方|作成の流れと業務担当者が関わる場面

AIモデルは、目的の設定、データの収集と前処理、モデルの選択と学習、評価、運用と再学習という流れで作られます。開発そのものは専門家やツールが担いますが、目的の設定、データの準備、評価結果の判断は、業務を知る担当者が関わらなければ進まない工程です。

工程行うこと業務担当者が関わる点
1. 目的の設定AIで解決したい課題と、求める出力(判定、予測値、文章など)を決めるどの業務の何を改善したいのか、どの程度の精度があれば業務で使えるのかを示す
2. データの収集と前処理学習に使うデータを集め、欠損や表記のゆれを整え、必要に応じて正解ラベルを付ける社内のどこにどのようなデータがあるかを伝え、個人情報や機密情報が含まれないかを確認する
3. モデルの選択と学習課題とデータに合ったアルゴリズムを選び、データを学習させる一から作るのか、既存の学習済みモデルを利用するのかを、費用と期間の面から判断する
4. 評価学習に使っていないデータで試し、正解率などの指標で性能を確かめる見逃しと誤検知のどちらが業務上の影響が大きいかを伝え、合格の基準を決める
5. 運用と再学習業務に組み込み、精度を継続して確認し、必要に応じて新しいデータで学習し直す現場で気づいた誤りや違和感を記録し、開発側に伝える

評価の見方|正解率だけで判断しない

評価の工程では、全体のうちどれだけ正しく当てたかを示す正解率だけでなく、AIが「該当する」と判定したもののうち実際に該当した割合(適合率)と、本当に該当するもののうちAIが拾えた割合(再現率)を分けて確認するのが一般的です。正解と予測の組み合わせ(見逃しや誤検知など)を表にまとめた混同行列を見ると、誤りの内訳が分かります。たとえば不良品の検査では、多少の誤検知があっても見逃しを減らすことが重視されます。どちらを優先するかは技術ではなく業務の判断なので、担当者が基準を示す必要があります。あわせて、AIがなぜその結果を出したのかを人が確認できるかどうか(説明可能性)も、採用や与信のように理由の説明が求められる業務では確認しておきたい点です。

過学習・過小適合とデータドリフト

学習に使ったデータでは高い精度が出るのに、新しいデータでは精度が落ちる状態を「過学習(過剰適合)」と呼びます。学習データのノイズまで覚え込んでしまうことが原因で、学習に使っていないデータで評価すると見つけられます。反対に、学習が不十分でデータの特徴をとらえきれていない状態が「過小適合(学習不足)」です。さらに、運用を始めたあとに取引先や商品、顧客の行動が変わり、学習時のデータと実際に入力されるデータの傾向がずれていくこと(データドリフト)でも、精度は時間とともに下がっていきます。運用開始後も定期的に精度を確かめ、再学習の要否を判断する体制をあらかじめ決めておきましょう。

なお、現在はプログラミングをせずに画面操作でモデルを作成できるノーコード型のツールや、クラウド上の開発サービスも提供されており、開発の技術的なハードルは下がっています。ただし、ツールが代わりに行うのは主にモデルの選択と学習の部分です。目的の設定やデータの質の確保、評価基準の判断は人が担う工程として残ります。生成AIのように既存の学習済みモデルを利用する場合は、この流れのうち学習までを開発元が済ませているため、自社で行うのは目的の設定と、後述するカスタマイズ、そして出力の評価が中心になります。

AIモデルを業務で活用するメリットと限界

AIモデルを業務に取り入れる主なメリットは、大量のデータの高速な処理、予測や分類の自動化、文章などの下書きの生成の3つです。一方で、どのメリットにも、データの質への依存や誤りの可能性といった限界が伴います。

メリット業務での例あわせて知っておきたい限界
大量のデータを高速に処理できる過去の取引や問い合わせの履歴から傾向を見つける学習データの質と量に精度が左右される。偏りがあれば出力にも反映される
予測や分類を自動化できる需要の予測、問い合わせの振り分け、不良品の判定想定外の状況では精度が落ちる。運用後に再学習や見直しが要る
文章や画像などの下書きを素早く作れる議事録の要約、メール文案、資料のたたき台もっともらしい誤り(ハルシネーション)が起きる。最終確認は人が行う
判断の基準を属人化させずに残せる熟練者の判断をデータから再現する判断の理由が説明しにくい場合がある(説明可能性の確認が要る)

IPAの「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」は、生成AIが出鱈目を答える現象をハルシネーションと呼び、完全に防ぐ方法はまだ分かっていないと説明しています。AIモデルの出力は、そのまま使うのではなく、数値や固有名詞を一次情報で確認する前提で業務に組み込むことが大切です。

利用の広がりも、データで確認できます。総務省「令和8年版 情報通信白書」によると、2025年度の企業向け調査で、生成AIの活用方針を「積極的に活用する方針」または「活用する領域を限定して利用する方針」と答えた日本企業の割合は68.9%で、2024年度調査の49.7%から上昇しました。一方、リスク対策では「全社的な指針やガイドラインを整備している」と答えた割合が41.1%と最も高く、方針や指針を整えたあとに、それを全員が同じ理解で守れる状態にすることが、次の課題になっていることがうかがえます。出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの活用方針等」、同「懸念されるリスク及びリスク対策のための取組状況」。

業務で使うAIモデルの選び方|大きさより目的とデータの扱い

業務で使うAIモデルは、性能の高さだけでなく、目的に合うか、入力データがどう扱われるかを基準に選びます。大きなモデルが常に自社に合うとは限らず、任せたい業務の範囲と、データを社外に出せるかどうかで選ぶ視点が大切です。

判断の軸確認することなぜ重要か
目的判定・予測が必要か、文章などの生成が必要か目的によって向くモデルの種類が変わる
データの扱い入力内容が保存・学習に使われるか。法人向けの設定があるか情報漏洩のリスクと、利用規約への適合に直結する
提供形態クラウドのサービス・APIとして使うか、自社の環境で動かすか運用に必要な技術者と、データの置き場所が変わる
精度の確かめ方自社のデータや業務で試せるか。評価の基準を決められるか一般的な性能と、自社業務での精度は一致しない
管理機能利用者ごとの権限設定や、利用履歴を確認できるか誰が何を入力したかを後から確認できる
更新と継続性モデルの更新で出力の傾向が変わる可能性、提供条件の変更定期的に見直す仕組みが要る

提供形態は、開発企業がモデルの中身を公開せず、サービスやAPIを通じて提供する「独自開発型(クローズド型)」と、モデルの重みなどを公開し、条件の範囲内で自社環境に取り込んで使える「オープン型」に大きく分けられます。前者はすぐに使い始められる一方で、入力データの取り扱いは提供元の規約に依存します。後者は自社の環境で動かせるためデータを社外に出さない構成をとりやすいものの、計算資源と運用できる技術者が必要で、商用利用の可否などのライセンス条件もモデルごとに異なります。主要な対話型AIサービスの違いはAIチャットとは|4大サービスの違いと社内基盤から選ぶ方法で整理しています。

選定の基準や、入力してよい情報、出力の確認手順は、決めただけでは定着しません。自社の資料や動画で研修コースにまとめて配信し、受講の進み具合を確認する方法の一例が、Smart Boardingです。研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで運用でき、自社の資料や動画と、用意された動画を組み合わせたオリジナルの研修コースを作成できます。学習管理(LMS)機能で、受講者ごとの進捗や理解度を確認でき、小テストの作成や配信にも対応しています。一方で、電話・メール相談や教育プログラム設計などの手厚いサポートは「充実サポートプラン」のみで受けられます。AIモデルに関する教材の有無は資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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RAGとファインチューニングの違い|業務でのカスタマイズ手法

汎用のAIモデルを自社の業務に合わせる代表的な方法が、RAG(検索拡張生成)とファインチューニングです。RAGは回答のたびに社内文書などを検索して参照させる方法で、ファインチューニングは自社のデータでモデル自体を追加学習させる方法です。

比較項目RAG(検索拡張生成)ファインチューニング
仕組み質問に関係する社内文書を検索し、その内容をAIに渡して回答させる自社のデータでモデルのパラメータを追加で調整する
ガイドライン上の位置づけ推論に含まれる学習に含まれる
得意なこと最新の規程やマニュアルに基づく回答、回答の根拠となる文書の提示独自の文体や回答形式、専門用語の使い方をそろえること
情報の更新文書を差し替えればすぐ反映できる反映には再学習が必要
留意点検索対象の文書の質と閲覧権限の設定が回答の質と安全性を左右する学習用データの準備と費用がかかり、学習させた情報を後から消しにくい

社内規程や製品マニュアルをもとに回答させたい、情報が頻繁に更新されるといった用途では、RAGから検討するのが一般的です。一方、コールセンターの応対文を自社の言い回しにそろえたいなど、知識よりも「振る舞い」を変えたい場合はファインチューニングが向いています。両方を組み合わせることもできますが、中小企業がまず取り組むなら、準備の負担が小さいRAG、あるいはその前段階として指示文(プロンプト)の工夫から始めるのが現実的です。

AI事業者ガイドライン第1.2版では、プロンプトの中で例を示して回答させる「In-Context Learning」は学習に含めず、RAGによる参照は推論に含めると整理されました。つまり、RAGやプロンプトの工夫はモデル自体を変えるものではありません。ただし、RAGで検索対象にした文書は回答に直接使われるため、閲覧権限のない社員に人事情報が回答されてしまうといった事故が起きないよう、文書ごとのアクセス権限を設計することが欠かせません。

AI事業者ガイドライン(第1.2版)の要点|AIエージェント・フィジカルAIの定義

AI事業者ガイドラインは、総務省と経済産業省がAIの安全・安心な活用のために示している指針で、2026年3月31日に第1.2版が公表されました。法律ではなく事業者の自主的な取り組みを支援する文書ですが、AIを業務で使う企業にとって、社内ルールを作る際の共通のよりどころになります。

第1.2版は、2024年4月の第1.0版、2025年3月の第1.1版に続く改訂です。人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性、アカウンタビリティ、教育・リテラシー、公正競争確保、イノベーションという10の共通の指針や、AI開発者・AI提供者・AI利用者の3つの主体の区分といった骨格は維持されています。主な改訂点は次のとおりです。

  • AIエージェントとフィジカルAIについて、定義、便益、リスク、留意事項、サービス例を追記
  • AIによるリスクの記載を見直し
  • 各主体の役割についての補足や図表を更新
  • 学習やデータの種類など、多義的に捉えられる用語の定義を明記

AIエージェントとは

AIエージェントは、与えられた目標に向けて、AIモデルが自ら手順を考え、外部のツールやシステムと連携しながら作業を進める仕組みです。質問に答えるだけの生成AIと違い、メールの送信や予約の登録、データの更新など、実際の操作まで自律的に行える点が特徴です。複数のAIエージェントが協調して目標に向かう仕組みはエージェンティックAIとも呼ばれます。

便利な反面、AIに与える権限が大きくなるほど、誤った操作による影響も大きくなります。ガイドラインでは、権限を適切に設定すること、人間の判断を適切に介在させること、操作履歴を定期的に確認・報告することなどが留意点として整理されています。外部との連携が増えることで攻撃を受ける入り口が広がり、データの汚染や悪意のある指示文による攻撃のリスクが高まる点にも触れられています。

フィジカルAIとは

フィジカルAIは、センサーなどで周囲の物理的な環境の情報を取り込み、AIモデルで処理したうえで、目的を達成するための方策を自律的に判断し、モーターなどの駆動部を通じて実際の動作につなげるシステムです。自律走行する搬送ロボットや、作業を自動で行う産業用ロボットなどが該当します。画面の中で完結するAIと違い、判断の誤りが人やモノへの物理的な被害につながり得るため、より慎重な安全対策が求められます。

AIエージェントやフィジカルAIは、社員が意識しないうちに業務に組み込まれていく可能性がある技術です。どの業務でAIに何を任せ、どこで人が確認するのかというルールは、担当者だけが知っていても機能しません。ガイドラインの考え方は、全員が受講する研修の中で繰り返し伝えることで、社内の共通認識になります。

AI開発者・提供者・利用者の役割分担

AI事業者ガイドラインでは、AIに関わる事業者を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3つに分け、それぞれが担うべき役割を示しています。生成AIサービスを業務で使っているだけの企業も「AI利用者」に当たるため、自社がどの立場にあるかを把握しておくことが第一歩です。

主体主な立場主に求められること
AI開発者AIモデルを開発・学習させる事業者学習データの適切な収集、偏りへの配慮、安全性の検証、モデルの性能や限界についての情報提供
AI提供者AIモデルを組み込んだシステムやサービスを提供する事業者用途に応じたリスク対策、利用者への注意事項や使い方の説明、問題発生時の対応体制
AI利用者事業活動の中でAIシステムやサービスを使う事業者提供者が示す範囲での適切な利用、入力する情報の管理、出力の確認、社員への教育

1つの企業が複数の立場を兼ねることもあります。たとえば、外部の生成AIを使って自社の顧客向けチャットサービスを作る場合、生成AIの利用者であると同時に、顧客に対してはAI提供者の立場になります。さらに自社データでファインチューニングを行えば、開発者に近い役割も担うことになります。

RAGとファインチューニングの違いは、この役割分担にも関わります。RAGは推論の工夫であるため、基本的には利用者や提供者としての責任の範囲で考えますが、ファインチューニングはモデルの学習に踏み込むため、学習データの権利関係や偏りへの配慮など、開発者に近い責任が生じます。カスタマイズの方法を選ぶ際は、技術面だけでなく、自社が負う責任の範囲がどう変わるかも合わせて検討しましょう。

業務担当者が知っておくべきリスク|情報漏洩・著作権・バイアス

AIモデルを業務で使う際の主なリスクは、情報漏洩、著作権侵害、バイアス(偏り)、事実と異なる出力(ハルシネーション)、悪意のある指示文による攻撃の5つです。いずれもAIモデルの仕組みから生じるものなので、仕組みとセットで理解しておくと対策を立てやすくなります。

リスク起きる仕組み業務担当者の対策
情報漏洩入力した内容がサービス側に保存されたり、学習に使われたりする場合がある入力してよい情報の範囲を決める、学習に使われない設定や法人向けプランを選ぶ
著作権侵害出力が既存の著作物と似てしまう、他人の著作物を入力して加工する公開する前に類似性を確認する、他人の著作物を入力する際は利用目的を確認する
バイアス(偏り)学習データに含まれる偏りが、出力にもそのまま反映される採用や評価など人に関わる判断にAIの出力をそのまま使わず、人が最終判断する
ハルシネーションもっともらしい答えを計算する仕組みのため、事実と異なる内容を出力することがある数値や固有名詞、法令は一次情報で確認する、RAGで根拠文書を示させる
悪意のある指示文による攻撃外部の文書やWebページに隠された指示をAIが読み込み、想定外の動作をするAIエージェントに与える権限を必要最小限にする、重要な操作の前に人が確認する

情報漏洩については、個人情報保護委員会が生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しており、個人情報を入力する場合は利用目的の範囲内かどうかを確認する必要があるとしています。著作権については、文化庁が「AIと著作権について」で、AIの開発・学習段階と生成・利用段階を分けて考え方を示しています。いずれも一般的な考え方を示したものであり、法的助言ではありません。個別の事案の判断は専門家に相談してください。企業が知っておきたいAIリスクの全体像はAIリスクとは?企業が知るべき4分類と対策5ステップをEU AI Act・国内ガイドラインで解説でも整理しています。

これらのリスクの多くは、AIモデルの性能ではなく、使う人の行動で防げるものです。たとえば、ある部署では禁止されている顧客情報の入力が、別の部署では当たり前に行われているといった状態では、どれだけ優れたAIサービスを選んでも事故は防げません。個人情報や情報セキュリティ、著作権のルールを、全社員が同じ基準で学べるようにすることが、利用者としての基本的な対策になります。

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個人情報・情報セキュリティ・著作権のルールを、全社員が同じコースで学べるように

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AIモデルの理解不足で起きやすい失敗パターン

AIモデルの仕組みを知らないまま導入を進めると、次のような失敗が起きやすくなります。どれも技術的に難しい話ではなく、仕組みを正しく理解していれば避けられるものです。

失敗パターン原因となる誤解改善策
社内規程を覚えさせるためにファインチューニングを選び、規程改定のたびに作り直しが必要になった知識を与える方法と振る舞いを変える方法を区別していない更新が多い情報はRAGで参照させ、ファインチューニングは文体や形式の統一に限る
無料版の生成AIに顧客情報を入力していた推論として使うだけなら情報は残らないと思い込んでいた入力データの保存と学習利用の有無を規約で確認し、利用するサービスを会社で指定する
RAGで作った社内検索AIが、閲覧権限のない社員に人事資料の内容を回答した検索対象の文書をまとめて登録すればよいと考えていた文書ごとの閲覧権限をAI側にも引き継ぎ、機密文書は検索対象から外す
AIが出した市場規模の数値を、確認せずに提案資料へ載せたAIは事実を調べて答えていると思い込んでいた数値や出典は必ず一次情報で確認し、確認した人と日付を記録する

失敗の多くは、ルールが決まっていないことよりも、決めたルールが全員に伝わっていないことから起きます。自社の状況を、次のセルフチェックで確認してみてください。

自社のAI利用ルール、全員に伝わっている?セルフチェック

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AIモデルの技術理解を深めるためのステップ

業務担当者がAIモデルを理解するうえで、数式やプログラミングまで学ぶ必要はありません。仕組みの全体像、自社の使い方、リスクと責任の3つを順に押さえ、最後に社内全体へ広げることが目標です。

  1. 用語を整理する:AIモデル、アルゴリズム、AIサービス、学習と推論の違いを、自分の言葉で説明できるようにする
  2. 自社の使い方を棚卸しする:社内で使っているAIサービスと、入力しているデータ、RAGやファインチューニングの有無を一覧にする
  3. 自社の立場を確認する:ガイドラインの3つの主体のうち、自社がどれに当たるかを業務ごとに整理する
  4. リスクと対策を決める:情報漏洩、著作権、バイアスなどについて、入力のルールと出力の確認方法を決める
  5. 社内に広げて定着させる:決めたルールを研修で全社員に伝え、受講状況と理解度を確認し、ガイドラインの改訂に合わせて内容を見直す

特に見落とされやすいのが最後のステップです。AI事業者ガイドラインの10の共通の指針にも「教育・リテラシー」が含まれており、AIを使う側の社員が必要な知識を身につけることは、利用者に求められる取り組みの1つです。すでに情報セキュリティ研修を実施している企業なら、その中にAI利用のルールを加えるのが、新しい研修を一から作るよりも負担の小さい方法です。AIの教育・研修の考え方はAI教育とは?学校・企業での活用と文科省ガイドラインの要点も参考になります。

研修のあとに確認テストを出して、理解度を集計したい場合の一例が、SAKU-SAKU Testingです。CBTの技術を活かしたテスト機能が中心で、用意された設問と自社のオリジナル設問を1つのテストにまとめて配信できます。受講状況や結果はリアルタイムで管理でき、組織やグループを指定して配信することもできます。一方で、事務局運営やカスタマーデスクの利用はオプション扱いです。AIモデルに関する設問や教材の有無は資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社イー・コミュニケーションズ

SAKU-SAKU Testing

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初心者にも◎受講者の管理をスムーズに行いたい方におすすめ

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  • 事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合はオプション扱いとなる

よくある質問(FAQ)

Q1. AIモデルとは何ですか?(ITではどういう意味ですか)

A. 大量のデータから規則性を学習し、新しい入力に対して予測・分類・生成などの結果を出力する仕組みです。IT分野ではAIの頭脳にあたる部分を指し、ChatGPTなどの生成AIサービスも、学習済みのAIモデルを使いやすい形で提供しているものです。

Q2. 代表的なAIモデルにはどのようなものがありますか?

A. 文章を扱うLLMでは、GPTシリーズ(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)、Llama(Meta)などがあります。画像生成のStable Diffusion、音声認識のWhisper、画像分類のResNetなど、用途別にもさまざまなモデルがあります。名前や性能は短い周期で入れ替わるため、用途と提供形態で見るのが基本です。

Q3. AIモデル化とは何ですか?

A. 業務や現象をデータで表し、AIが予測や分類などを行えるモデルとして作り上げることを指します。目的の設定、データの収集と前処理、学習、評価、運用と再学習という流れで進めます。

Q4. AIモデルとアルゴリズム、LLMは何が違いますか?

A. アルゴリズムはデータから規則性を見つけるための計算の手順で、AIモデルはその手順でデータを学習させた結果できあがった判断の仕組みです。LLMは、AIモデルの中でも文章の理解と生成に特化したモデルです。

Q5. RAGとファインチューニングはどちらを選べばよいですか?

A. 社内規程やマニュアルなど、更新が多い情報をもとに回答させたいならRAG、回答の文体や形式を自社に合わせたいならファインチューニングが向いています。準備の負担が小さいRAGから検討するのが一般的です。

Q6. 生成AIを業務で使うだけでもAI事業者ガイドラインの対象になりますか?

A. 事業活動の中でAIサービスを使う企業は「AI利用者」に当たります。ガイドラインは法律ではありませんが、入力する情報の管理や出力の確認、社員への教育など、利用者として求められる取り組みを社内ルールに反映しておくと安心です。全社員への周知には、eラーニングなどの研修で受講状況と理解度を確認する方法があります。

まとめ

AIモデルは、データから規則性を学習し、新しい入力に対して結果を出力する仕組みです。業務担当者は、学習と推論の違い、学習方法による種類、RAGとファインチューニングの使い分けを押さえておくと、AI導入の議論で判断を誤りにくくなります。AI事業者ガイドライン第1.2版の考え方も踏まえ、次の4つから始めてみてください。

  1. 社内で使っているAIサービスと、入力データが学習に使われるかどうかを確認する
  2. ガイドラインの3つの主体のうち自社がどの立場に当たるかを整理し、情報漏洩・著作権・バイアスへの対策を決める
  3. 決めたルールを情報セキュリティ研修に組み込み、全社員に定着させる
  4. 研修や理解度の確認を社内に広げるため、eラーニングなどの資料を請求して比較する

参考文献

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