【2026年最新】AIの法律とは|推進法・著作権・EU AI Actの全体マップ

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  • 日本のAI推進法(2025年6月公布/9月全面施行)は罰則なし・推進系の基本法
  • AI活用で実務上効くのは、著作権法・個人情報保護法・既存業法(薬機法等)の組み合わせ
  • EU AI Actは2026年8月に大部分が全面適用予定、域外適用で日本企業も対象になりうる

AIに関わる法律は、2025年6月に公布された日本の「AI推進法」をはじめ、著作権法、個人情報保護法、海外のEU AI Actなど複数の枠組みが重なり合っています。中身を一つひとつ追うのは大変ですが、全体マップで眺めると、それぞれが「どの場面で効いてくる法令か」が見えてきます。この記事では、お名前.comビジネスコンシェルジュ編集部が、内閣府・経済産業省・総務省・文化庁・個人情報保護委員会の公的資料をもとに、AIに関わる法律の全体像と、個人事業主から中堅大企業まで規模を問わず押さえたい実務対応の入り口を整理します。

目次

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  1. AIに関わる法律の全体マップ
  2. 日本のAI推進法(2025年施行)と関連法令
  3. 著作権・個人情報の論点
  4. 海外動向(EU AI Act・米国・中国)の概観
  5. 企業の実務対応
  6. よくある質問(FAQ)
  7. まとめ|今日からできる3つのこと
  8. 関連記事
  9. 参考文献

AIに関わる法律の全体マップ

AIに関わる主要法令は、日本のAI推進法と既存法令(著作権法・個人情報保護法など)、そしてEU AI Act等の海外規制の3つに大別できます。まずは全体像から押さえます。

AIに関わる法律の全体マップ 企業の AI活用 日本(推進法) ・AI推進法(2025年) ・AI事業者ガイドライン ・罰則なし/自主性重視 海外(規制法) ・EU AI Act ・米国(大統領令・州法) ・中国(生成AI管理弁法) 既存法令(用途に応じて適用) 著作権法/個人情報保護法/不正競争防止法 景品表示法/薬機法/金融商品取引法 など
図1:AIに関わる法律の全体マップ(出典:編集部作成)

日本のAI推進法は罰則を持たない「推進系」の基本法、EU AI Actは違反に制裁金が科される「規制系」のハードロー、そして著作権法や個人情報保護法といった既存法令はAIの利用シーンに応じて適用される、という三層構造で理解すると、それぞれの位置づけが整理しやすくなります。AIをめぐる制度の全体像と倫理的な枠組みは、AI事業者ガイドラインでも触れているとおり、政府の方針として「イノベーション促進とリスク対応の両立」が前提に置かれています。AIそのものの基本概念はAIとは何かを併せてご確認ください。

日本のAI推進法(2025年施行)と関連法令

日本のAI推進法は罰則を持たず、AI戦略本部の設置とAI基本計画の策定を柱に、研究開発・活用を推進する基本法の性格を持ちます。既存の著作権法・個人情報保護法などと組み合わさって機能する設計です。

日本(推進系)と海外(規制系)の対比 日本のAI推進法 タイプ 基本法/ソフトロー 罰則 なし 対象 国・自治体・事業者・国民 中核 AI戦略本部の設置 AI基本計画の策定 補完 AI事業者ガイドライン (経産省・総務省) 特徴 自主性重視・推進寄り EU AI Act タイプ 規制法/ハードロー 罰則 あり(制裁金) 対象 EU域内のAI提供者・ 利用者(域外適用あり) 中核 リスクベース4分類 (許容不可〜最小) 適用 2026年8月に大部分が 全面適用予定
図2:日本のAI推進法とEU AI Actの位置づけの違い(出典:内閣府・総務省資料をもとに編集部作成)

AI推進法の正式名称と施行スケジュール

日本のAI推進法の正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」です。内閣府の公表によれば、2025年(令和7年)6月4日に公布・一部施行され、同年9月1日にAI戦略本部の設置規定等を含めて全面施行されました(出典:内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_act/ai_act.html /取得日2026年5月31日)。条文上は内閣総理大臣を本部長とする「人工知能戦略本部」を設置し、AIに関する国の基本的な計画である「人工知能基本計画」を策定することが規定されています。

AI戦略本部とAI基本計画

AI戦略本部は、政府のAI政策を統括する司令塔として位置づけられます。全閣僚が参加することで省庁間の連携を強化し、AI基本計画として研究開発・人材育成・教育振興・国際連携・リスク対応などの方針を取りまとめる枠組みです。罰則を伴わない代わりに、国が事業者等に対して情報提供を求めたり、必要な指導・助言を行ったりする仕組みが定められています。

関連する既存法令

AI推進法そのものは罰則を持ちませんが、AIの利用シーンに応じて以下の既存法令が適用される可能性があります。

場面主な関連法令論点の例
AIの学習・生成・利用著作権法学習データ・生成物の著作権上の取扱い
個人情報を含むデータ個人情報保護法プロンプト・学習データへの個人情報混入
営業秘密・ノウハウ不正競争防止法機密情報の入力による情報漏えい
広告表示・コンテンツ景品表示法AI生成コンテンツの誤認表示
医療・ヘルスケア薬機法診断補助AIの医療機器該当性
金融商品金融商品取引法投資判断AIの法的位置づけ

これらは「AIだから新しいルールが追加された」というよりも、AIを使う際に既存ルールがどう当てはまるかという問題です。経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」では、開発者・提供者・利用者の3主体それぞれが押さえるべき観点が整理されています(出典:経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン 第1.1版」2025年3月28日/https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/pdf/20250328_2.pdf /取得日2026年5月31日)。

著作権・個人情報の論点

AI活用で実務上ぶつかりやすいのは、著作権法(学習・生成・利用の3段階)と個人情報保護法(プロンプトや学習データへの個人情報混入)の2つです。日本では既存法令の解釈で対応する設計のため、所管庁の考え方を押さえることが出発点になります。

著作権の3段階と個人情報の論点 1 学習段階 著作物をAIの 学習に使う場面 論点: 著作権法30条の4の 適用範囲 2 生成段階 AIが新しい コンテンツを作る場面 論点: 既存著作物との 類似性・依拠性 3 利用段階 生成物を公開・ 販売する場面 論点: 著作権侵害・ 商標・意匠等 個人情報保護法の論点 ・プロンプトに個人情報を入力 → 第三者提供・目的外利用に該当する可能性 ・学習データに個人情報が含まれる → 取得時の同意・利用目的の確認が必要
図3:著作権の3段階と個人情報の論点(出典:文化庁・個人情報保護委員会資料をもとに編集部作成)

著作権法の3段階アプローチ

文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」では、AIと著作権の関係を「学習段階」「生成・利用段階」に分け、それぞれの法的位置づけを整理しています(出典:文化庁「AIと著作権に関する考え方について」2024年3月/https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf /取得日2026年5月31日)。学習段階では著作権法30条の4が情報解析を目的とする利用を一定の条件下で認めていますが、生成・利用段階では既存著作物との類似性・依拠性が問題になりうる、というのが基本的な枠組みです。著作権の細かい論点はAIの著作権で深掘りしているため、本記事は全体像の整理にとどめます。

個人情報保護法の論点

個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用について事業者・行政機関等に向けた注意喚起を公表しています。論点は大きく2つで、1つは「プロンプトに個人情報を入力する場面」、もう1つは「学習データに個人情報が含まれている場面」です。前者では本人同意なしの第三者提供や目的外利用に該当しないか、後者では取得時の同意・利用目的の確認や、要配慮個人情報の取扱いに留意する必要があります。なお、個人情報保護法そのものの3年ごと見直しも進行中で、AI開発関連の取扱いに関する制度改正が検討されています。

実務でよくある誤解

「AIが学習に使うのはOKだから、生成物の公開もOK」という理解は誤りです。学習・生成・利用の各段階で適用される条文や論点が異なるため、生成物を商用利用する場合は別途、既存著作物との類似性・依拠性や、AIサービスの利用規約上の権利関係を確認する必要があります。個別の判断は弁護士など専門家への相談をおすすめします。

海外動向(EU AI Act・米国・中国)の概観

EU AI Actは2026年8月に大部分が全面適用される予定で、域外適用のため日本企業もEU向けサービスを提供する場合は対象になりえます。米国は連邦法ではなく大統領令・州法が中心、中国は生成AIに特化した個別規制という棲み分けです。

EU AI Actのリスクベース・アプローチ

EU AI Actはリスクの高さに応じてAIシステムを4分類するアプローチを採用しています。具体的には「許容できないリスク(禁止対象)」「高リスク(厳格な要件)」「限定的リスク(透明性義務)」「最小リスク(基本的に規制なし)」の4階層で、リスクが高いほど課される義務が重くなる構造です。汎用目的AIモデル(GPAI)への規制は2025年8月に適用が始まり、大部分の規制は2026年8月に全面適用される予定です。違反時には制裁金が科される点が、罰則のない日本のAI推進法と大きく異なります。

米国・中国の動向

米国は連邦レベルの包括AI法は2026年5月時点で成立していませんが、AIに関する大統領令や、州レベル(カリフォルニア州など)のAI規制法が個別に進んでいます。中国は2023年8月に「生成式人工智能服務管理暫行弁法(生成AIサービス管理暫定弁法)」を施行し、続いて2025年9月にはAI生成コンテンツへの識別子付与を義務付ける「人工知能生成合成内容識別弁法」を施行しました。海外の制度動向は、総務省「令和7年版 情報通信白書」のAI関連章でも概観されています(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」2025年7月/https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/ /取得日2026年5月31日)。

域外適用と日本企業への影響

EU AI Actは、EU域内のユーザーに対してAIシステムを提供したり、AIの出力がEU域内で利用されたりする場合、EU域外の事業者にも適用される設計です。たとえば日本企業が自社製品にAI機能を組み込んでEU圏で販売する場合は、対象となるAIシステムのリスク分類と、それに応じた要件への対応が必要になります。EU向けにサービスを展開していない企業でも、サプライチェーンを通じて間接的に影響を受ける可能性があるため、海外規制の動向は他人事と切り離せません。

企業の実務対応

企業が今すぐ着手したい実務対応は、①社内ガイドライン整備、②データ・著作物の取り扱いルール化、③契約・利用規約の確認、④記録・監査の4点です。規模ごとに優先順位は変わりますが、出発点は共通しています。

3層別の優先順位

規模まず着手したいこと次に検討したいこと
個人事業主・フリーランス利用するAIサービスの規約確認/クライアント情報の入力ルール納品物の著作権の取り扱いの明文化
中小企業社内AI利用ガイドラインの策定/個人情報・営業秘密の入力禁止リストAI事業者ガイドライン7観点での自己点検
中堅大企業AIガバナンス体制(責任者・委員会等)の整備/EU AI Act対応の要否判定監査ログ・継続的なリスク評価の運用化

AI事業者ガイドラインの7観点

経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」は、AIに関わる主体を「開発者・提供者・利用者」の3つに分け、それぞれが押さえるべき7観点(人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性、アカウンタビリティ)を整理しています。自社がどの主体に該当するかを最初に判定し、関係する観点について現状の対応を点検する流れが基本になります。詳細はAI事業者ガイドラインの記事を併せてご確認ください。AI活用全般の進め方はAI活用でも整理しています。

専門家への相談が必要な場面

本記事は法令の全体像を整理した一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。次のような場面では、弁護士など法律専門家への相談を検討してください。具体的には、自社のAIサービスが医療機器・金融商品等の規制対象に該当するかの判定、EU向けにAI製品を展開する際のAI Act対応の要否判定、AI生成物に関する第三者からの権利侵害クレームへの対応、業務委託契約・利用規約の改訂などが挙げられます。立法動向は速いため、本記事の内容も2026年5月時点の情報として参考にしていただき、最新の公的資料を併せてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q1:日本のAI推進法には罰則がありますか?

A. ありません。AI推進法は研究開発・活用の推進を目的とする基本法で、罰則規定を持たない自主性重視の設計です。ただし、AIの利用に伴って著作権法・個人情報保護法などの既存法令に違反した場合は、それぞれの法令の罰則が適用されます。

Q2:個人事業主もAI推進法の対象ですか?

A. AI推進法は国・地方公共団体・研究開発機関・活用事業者・国民を対象とする基本法で、個人事業主も活用事業者の一員として責務の対象になりえます。罰則はないため直接の制裁を受けることはありませんが、業務でAIを使う以上、著作権・個人情報・契約上の責任は規模を問わず発生します。

Q3:ChatGPTなど海外サービスを業務で使う場合、何の法律を確認すべきですか?

A. 日本の個人情報保護法、著作権法、利用先のサービス規約(多くは海外法準拠)、業務上の機密情報の取扱いに関する社内規程、の4点が主な確認対象です。サービス規約には入力データの学習利用可否や、出力の権利関係に関する規定が含まれているため、業務利用前の確認が出発点になります。

Q4:AIが生成した文章や画像の著作権はどうなりますか?

A. 日本の著作権法は「人間の創作的表現」を保護する設計のため、AIが完全自動で生成したものは著作物に該当しないと整理されることが一般的です。一方、人間の創作的寄与が認められる場合には、その寄与の範囲で著作物性が認められうるとされています。詳細は文化庁「AIと著作権に関する考え方について」をご確認ください。

Q5:EU AI Actは日本企業にも適用されますか?

A. EU域内のユーザーに対してAIシステムを提供する場合や、AIの出力がEU域内で利用される場合には、EU域外の日本企業にも適用される設計です。EUに製品やサービスを展開していない場合でも、サプライチェーン経由で間接的に影響を受ける可能性があるため、海外規制動向の確認は推奨されます。

Q6:社内でAI利用ガイドラインを作る時、まず何から始めれば良いですか?

A. ①利用中・検討中のAIサービスの棚卸し、②入力してはいけない情報(個人情報・機密情報・他者の著作物)の明示、③問題が起きた時の連絡先・対応フロー、の3点から始めるのが一般的です。経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」の3主体・7観点を骨格にすると、抜け漏れを抑えやすくなります。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. 自社で利用中・検討中のAIサービスをリスト化する(サービス名・用途・契約形態・入力データの種類)
  2. AI事業者ガイドラインの3主体・7観点で自社の状況を点検する(開発者/提供者/利用者のどれに該当するかを判定)
  3. 著作権・個人情報・機密情報の社内ルールをドキュメント化する(入力禁止リスト・問題発生時の連絡先を含む)

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