BPO企業ランキングの見方と選び方|鵜呑みにしない7つの観点

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  • ランキングの種類と読み方がわかる
  • 契約前に確認すべき項目がわかる
  • 4タイプと7つの観点で絞り込める

BPO企業のランキングには、売上高で並べたもの、コールセンターなど業務領域別に並べたもの、世界市場のシェアで並べたもの、比較サイトが独自の基準で紹介するものなど、いくつもの種類があり、並べる基準はそれぞれ異なります。順位の高い会社が、自社の任せたい業務や会社の規模に合うとは限りません。この記事では、ランキングの種類と読み方、候補にした会社の契約前の確認、4つのタイプと7つの観点による絞り込み、Pマーク・ISMSなどセキュリティ体制の確認方法、業務領域別の委託しやすい領域、よくある失敗と効果測定までを順に整理します。

BPO企業ランキングを見る前に、あなたの状況を2問で整理

Q1. いま知りたいのはどちらですか?

目次

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  1. BPO企業ランキングの種類と読み方|売上高・世界シェア・比較サイトの違い
  2. ランキングで見つけた候補は契約前に確認する|実在性・認証・反社チェック
  3. BPO企業は4タイプに分けて見る|選び方の7観点
  4. タイプ別おすすめの選び方|自社規模に合わせる
  5. セキュリティ体制の確認方法|Pマーク・ISMS
  6. 業務領域別・業種別に見るBPOの委託しやすい領域
  7. BPO企業選びでよくある失敗パターン
  8. 発注後の効果測定と定期的な見直し
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 参考文献

BPO企業ランキングの種類と読み方|売上高・世界シェア・比較サイトの違い

BPO企業ランキングは、売上高、業務領域別の売上、世界市場シェア、比較サイトの掲載順など、並べる基準によって中身が変わります。順位は会社の規模や掲載数の目安であり、自社に合うかどうかを示すものではありません。

同じ「ランキング」でも、集計の対象や基準はまったく異なります。代表的な4種類を整理します。

種類 並べる基準 読むときの注意
国内の売上高ランキング 有価証券報告書などの公開資料にもとづく売上高 全社の売上高かBPO事業の売上高かが会社ごとに異なる。上場企業が中心で、未上場の会社は載りにくい
業務領域別の売上高ランキング コールセンターなど、特定の業務領域の事業の売上高 調査の年度と対象企業の範囲を確認する。通販新聞の調査(2021年度)は、コールセンター事業を手がける上位35社が対象
世界市場シェアランキング 各社の売上高を、調査会社が公表する世界の市場規模で割った試算 市場規模の値が調査会社で異なり、シェアも試算に左右される。海外企業が中心で、国内の発注先選びにはそのまま使いにくい
比較・おすすめ紹介サイト 編集部が選んだ会社を、業務例・強み・導入企業などで紹介 掲載基準や並び順の決め方がサイトごとに異なり、掲載の事情が反映される場合もある

公開されている売上高ランキングは、注記まで読みましょう。たとえば業界動向サーチの「BPO業界 売上高ランキング(2021-2022年)」は、集計元を有価証券報告書または公開資料とし、掲載企業は全企業を網羅したものではないと断っています。パソナグループはBPOサービス事業、SCSKはITソリューション事業、TISはBPO事業というように、売上高に使う事業の範囲も会社ごとに異なります。公開から時間がたったランキングも検索結果に残っているため、最新の売上高は金融庁のEDINETで各社の有価証券報告書を確認してください。

大手各社の事業内容を個別に知りたい場合は、「BPOとアクセンチュア・NTTデータ・トランスコスモス|大手5社の事業内容整理」も参考になります。この記事では、ランキングの読み方と、候補を選ぶ基準を扱います。

ランキングで見つけた候補は契約前に確認する|実在性・認証・反社チェック

候補にした会社は、契約前に実在性、認証、取引先としての健全性を確認します。ランキングの順位や規模だけでは、委託先として問題がないかは分かりません。

BPOでは、顧客情報や取引データを委託先に預け、業務の運用まで任せます。法務省が公表する「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(2007年6月19日、犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)は、取引先の審査を行うこと、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入することを、平素からの対応として挙げています。法令そのものではなく、企業が取り組む際の基本的な考え方と具体的な対応をまとめた指針で、BPOの委託先も取引先の1つとして考えられます。

ただし、確認の手間は候補を広げるほど増えます。法人名と代表者名にネガティブな言葉を組み合わせて報道やWebの記事を検索する作業が中心になり、同名の会社や無関係な記事が混ざるため、担当者が兼務の会社では負担になりがちです。

こうした取引先調査の実務工程だけを切り出して任せる方法の一例が、ソーシャルワイヤー株式会社が提供するRISK EYESです。商品ページでは、取引先調査の実務工程に特化し、ネガティブ情報を確認・判断できる状態を整えるBPOとして紹介されています。代表者名を含む人物起点の調査結果を整理して同一性の確認や情報の取捨選択を効率化できるほか、一括検索で件数の多い取引先調査にも対応し、スポット(1回のみ)の依頼も可能です。一方で、BPOのみを利用する場合は通常の利用と料金設計が異なり、内容や件数に応じた個別設計になるため、事前の確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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出典:www.riskeyes.jp

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多くの上場・上場準備企業が利用 ネガティブ情報を効率的に調査したい企業におすすめ

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  • 一括検索により、件数の多い取引先調査でも確認作業に集中できる環境を構築
  • スポット(1回のみ)の依頼も対応可能
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ここが少し気になる…

  • RISK EYESの通常利用と、BPOのみを利用する場合では料金設計が異なります。 BPOプランは内容や件数に応じた個別設計となるため、事前確認が必要です。

(前略)反社チェックを行って取引先マスタに登録をするようにしています。万が一、ここで不審な情報が見つかった場合は、次の承認者・決裁者にエスカレーションしていくような仕組みです。

出典: 株式会社トラストバンク「RISK EYES」導入事例(RISK EYES公式サイト。公開当時の情報。個別の事例であり、同様の結果を保証するものではありません)
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候補企業のネガティブ情報確認を任せたい会社に

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確認する項目と方法は、次のように整理できます。

確認する項目 確認の方法 見るポイント
法人の実在 国税庁 法人番号公表サイトで、商号・所在地・法人番号を検索 契約書に書く商号・所在地・法人番号と一致するか
事業内容と財務 上場企業は、EDINETで有価証券報告書を確認 BPO事業の位置づけ、事業セグメント、事業等のリスク
認証 Pマーク・ISMSの認証状況(次の章で詳しく解説) 認証の範囲に、自社の業務を担当する部門が含まれるか
ネガティブ情報 法人名・代表者名と、逮捕や不祥事などの言葉を組み合わせた報道・Web記事の確認 反社会的勢力や犯罪、不祥事に関する記事の有無。同名の別会社を取り違えていないか
契約条項 契約書・取引約款の確認 暴力団排除条項、再委託の条件、契約終了時のデータ返却と消去

確認した日付と範囲は、記録に残しておきます。判断に迷う情報が見つかった場合は、担当者だけで決めず、管理部門や弁護士などの専門家に相談できる体制をつくりましょう。指針も、平素から警察、暴力追放運動推進センター、弁護士などの外部専門機関と連携関係を築くことを挙げています。

※法令や指針の適用は個別の事情によって異なります。本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。

BPO企業は4タイプに分けて見る|選び方の7観点

BPO企業は、大手総合型・業務特化型・中小企業向け・オンライン完結型の4タイプに分け、実績・対応範囲・セキュリティ体制など7つの観点で比べると、自社に合う会社を絞り込めます。

契約前の確認が済んだ候補は、タイプと観点で比べます。ランキングに並ぶ会社は性格の異なるタイプが混在しているため、タイプで分けてから7つの観点で比べると、自社が比べるべき相手が見えてきます。

比べる前に|BPOの意味とメリット・注意点

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、業務の一部の作業だけを頼む一般的なアウトソーシングと違い、業務プロセスをまとめて外部の専門企業に任せ、運用や改善まで継続的に担ってもらう委託の形です。ランキングに並ぶ会社はこの「業務ごと任せる」ことを前提にしているため、得られる効果と注意点を先に押さえておくと、各社の説明を比べやすくなります。業界の産業構造から知りたい場合は、「BPO企業・業界とは|産業構造と大手総合型・特化型の違いを公的データで整理」も参考になります。

主なメリット 主な注意点
定型業務を任せ、社員が本業や企画業務に時間を使える 顧客情報などを外部に預けるため、情報漏えいへの備えが必要になる
専門企業のノウハウで、業務の品質や処理の速さを高めやすい 任せきりにすると、社内に業務の知識が残りにくくなる
繁忙期の増量や人員の欠員に対応しやすく、採用・教育の負担も減らせる 委託先の選定や管理、業務の切り出しに一定の手間がかかる

自社に合わない会社を選ぶと、社内で対応するより費用がかさむこともあります。注意点をどこまで抑えられるかは委託先によって大きく異なるため、次のタイプ整理と7つの観点で見極めましょう。

BPO企業は4つのタイプに分けて見る

タイプ 強み 留意点 向いているケース
大手総合型 多くの業務領域に対応し、大量処理や拠点運営の体制が整っている 最低契約規模や初期費用が大きくなりやすく、小規模案件は対象外のこともある 複数部門の業務をまとめて委託したい中堅・大企業
業務特化型 経理、給与計算、コールセンターなど特定領域の専門知識とノウハウが深い 対象外の業務は別の会社に頼む必要があり、委託先が増えやすい 任せたい業務がはっきり決まっている会社
中小企業向け 少量からの委託や、業務整理からの相談に柔軟に応じやすい 処理量が急に増えたときの対応力は事前に確認が必要 担当者が兼務で、業務の切り出しから相談したい会社
オンライン完結型 チャットやクラウドツールで依頼が完結し、月額制で始めやすい 紙の書類や対面を伴う業務は対応範囲外のことが多い クラウドツールを使っている会社、少量の業務を試したい会社

ランキングに頼らず選ぶための7つの観点

タイプで候補を絞ったら、次の7つの観点で比べます。どれもランキングの順位からは読み取れない情報なので、見積もり依頼や打ち合わせの場で直接確認しましょう。発注先タイプと選定観点をさらに詳しく整理した「BPO大手と業務特化型の違いは?発注先の選び方と比較のポイント」もあわせてご覧ください。

観点 確認すること
1. 委託したい業務での実績 会社全体の実績ではなく、自社が任せたい業務領域・同程度の規模での支援実績があるか
2. 対応範囲 業務の設計から運用・改善まで任せられるか、作業の代行のみか
3. セキュリティ体制 Pマーク・ISMSの取得状況、再委託の有無、情報へのアクセス管理の方法
4. 品質基準と報告 処理期限や正確性などの品質基準(SLA)を合意できるか、報告の頻度と形式
5. 料金体系 月額固定か従量課金か、初期費用、最低契約期間、追加費用が発生する条件
6. 柔軟性 繁忙期の増量、業務内容の変更、契約の縮小や解約に応じられるか
7. 引き継ぎと終了時の対応 立ち上げ時の移管計画、契約終了時のデータ返却・消去と業務の引き継ぎ方法

7つのうち、特に見落とされやすいのが7番目の「終了時の対応」です。委託を始める時点では契約終了を考えにくいものですが、委託先の変更や内製化に戻す際に、業務手順やデータが自社に残らないと身動きが取れなくなります。契約前に確認しておきましょう。

また、7つの観点は1社だけを見ても良し悪しを判断しにくいものです。候補を2社から3社に絞り、委託したい業務の範囲と量を同じ条件で伝えたうえで見積もりと提案を受けると、料金の妥当性や対応範囲の違いが見えやすくなります。相場より極端に安い見積もりは、対応範囲が狭い、品質基準が緩いなどの理由がないか内訳を確認しましょう。契約形態や収益モデルの違いは、「BPO会社のビジネス構造を整理|3類型・4収益モデル・契約の要点」で整理しています。

見積もりを依頼するときに伝えておく情報

候補を比べるときは、同じ条件で見積もりと提案を依頼します。次の情報をそろえて伝えると、各社の回答を横並びで比べやすくなります。

  • 委託したい業務の範囲と、1か月あたりの件数や作業量
  • 繁忙期の時期と、そのときの処理量の増え方
  • 業務で使っているシステムやツール、受け渡しの方法
  • 扱う情報の種類(個人情報の有無など)と、求めるセキュリティの水準
  • 希望する開始時期と、最初の契約期間の考え方

タイプ別おすすめの選び方|自社規模に合わせる

自社規模に合うタイプは、従業員数名の会社ならオンライン完結型や業務特化型、複数拠点・大量処理があるなら大手総合型が目安です。

同じ業務を委託する場合でも、会社の規模や社内の体制によって合うBPO企業のタイプは変わります。目安は次のとおりです。

自社の状況 合いやすいタイプ 選ぶときのポイント
個人事業主・従業員数名 オンライン完結型、業務特化型 月額が明確で、最低契約期間が短いものから試す
従業員数十名で管理部門が兼務 中小企業向け、業務特化型 業務の棚卸しや手順書づくりから相談できるかを確認する
管理部門があり、複数業務を見直したい 業務特化型を複数、または大手総合型 窓口を一本化するか、領域ごとに専門企業を選ぶかを先に決める
複数拠点・大量処理がある 大手総合型 処理能力、拠点の分散、事業継続の体制を比較する

規模が小さい会社ほど、「大手なら安心」という理由だけで選ぶと、費用や最低契約規模が合わずに検討が止まりがちです。反対に、規模の大きな会社が小回りのきく会社だけに頼ると、繁忙期の処理量に対応しきれないことがあります。自社の業務量と、社内で委託先を管理できる人員の両方から考えるのがポイントです。

セキュリティ体制の確認方法|Pマーク・ISMS

セキュリティ体制は、Pマーク・ISMSの認証の有無に加えて、認証の範囲、再委託の管理、事故時の報告ルールまで確認します。

BPOでは、顧客情報や従業員の個人情報、取引データなどを委託先に預けることになります。個人情報保護法では、個人データの取扱いを委託する場合、委託元は委託先を必要かつ適切に監督しなければならないとされています(個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。委託先の選定、契約の締結、取扱状況の把握まで、委託元にも責任があると理解しておきましょう。

PマークとISMSの違い

認証 対象 運営団体 確認のポイント
プライバシーマーク(Pマーク) 個人情報の取扱い。事業者単位で付与される 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC) 個人情報を多く扱う業務(給与計算、顧客対応など)で重視する
ISMS認証(ISO/IEC 27001) 情報資産全般のセキュリティ管理。部門や拠点単位で取得されることもある 一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)が認定する制度 認証範囲に、自社の業務を担当する部門・拠点が含まれているかを確認する

認証の有無だけで判断しない

認証は体制が整っていることの目安になりますが、それだけで安心はできません。あわせて、再委託先の有無と管理方法、情報にアクセスできる担当者の範囲、事故発生時の報告ルートと期限、契約終了時のデータ消去の方法を確認しましょう。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」でも、委託すべき範囲を明確にし、委託先を管理することが対策の1つとして挙げられています。

確認項目が多く負担に感じる場合は、扱う情報が比較的限られる業務から委託を始めるのも1つの方法です。たとえば、個人情報を含まない定型的なデータ入力や書類整理であれば、セキュリティの確認ポイントを絞りやすくなります。

また、認証の確認と並んで、委託先そのものの評判や取引先としての健全性も確認の対象です。候補が複数あると、1社ずつ報道や口コミを調べるだけで時間がかかり、確認の抜け漏れも起こりやすくなります。

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業務領域別・業種別に見るBPOの委託しやすい領域

業務領域別では、経理・人事労務・コールセンター・総務事務などが委託の中心で、順位よりも、任せたい領域での実績と対応範囲で比べることが大切です。

BPOで委託できる業務は幅広く、会社ごとに得意な領域が分かれます。業務領域ごとの委託例と、確認したいポイントを整理します。

業務領域別の委託例と確認ポイント

業務領域 委託できる業務の例 確認したいポイント
経理 請求書の受領・確認、支払処理、債務管理(買掛金や未払金の管理)、仕訳入力、経費精算 締め日と承認フローを合わせられるか、使っている会計ソフトに対応できるか
人事労務 給与計算、社会保険の手続き、勤怠の集計、採用事務 個人情報の取扱い体制、法改正への対応方法
コールセンター・問い合わせ対応 電話・メール・チャットの一次対応、受注受付 対応時間、回答できる範囲とエスカレーションの基準
総務・事務 受付、書類の入力・整理、営業事務、データ入力 紙書類の扱い、機密書類の保管方法
取引先調査・審査 取引先のネガティブ情報の確認、検索結果の整理 調査の範囲、最終判断を誰が行うか、結果の記録の残し方

このうち債務管理は、請求書にもとづいて支払うべき金額と期日を管理する業務で、経理BPOの中でも件数が多く、締め日に集中しやすい領域です。委託するときは、支払の承認権限を自社に残すのか、振込の実行まで任せるのかを先に決め、支払ミスや二重払いが起きたときの対応を契約で確認します。債務管理のBPOを探す場合も、会社ごとの違いは請求書の受領から支払までのどこまでを担うかにあらわれるため、ランキングの順位ではなく、委託する範囲で比べましょう。

AIやRPAを組み合わせて定型業務を自動化するBPOもあります。その設計の考え方は、「BPOへのAI活用ガイド|RPAとの役割分担とAI-BPOの考え方」で解説しています。

業種別に委託しやすい領域

どの業務を委託すると効果が出やすいかは、業種によって傾向があります。ランキングを見る前に、自社の業種で負担になりやすい業務を確認しておくと、比べるべきBPO企業のタイプが見えてきます。

業種 委託しやすい領域の例 委託で期待できること
士業・コンサルティング 電話受付、日程調整、請求書発行 面談や業務中の電話対応を減らし、専門業務に集中できる
建設・工務店 事務所の電話受付、経理、書類作成 現場に出ている間の問い合わせの取りこぼしを防げる
EC・通信販売 問い合わせ対応、受注処理、発送業務 セールや繁忙期の処理量の増減に対応しやすくなる
医療・介護 予約受付、請求事務 受付や事務の負担を減らせる。要配慮個人情報の取扱いは特に慎重な確認が必要
IT・Web制作 カスタマーサポート、経理、労務 少人数でも管理業務を回し、開発や制作に人員を振り向けられる

業種ごとに、専門用語への対応、受付時間、折り返しのルールなど求められる条件が異なります。自社の業種での対応実績があるかを確認してから選ぶことが大切です。

BPO企業選びでよくある失敗パターン

よくある失敗は、ランキングや知名度で先に会社を決め、業務範囲・品質基準・契約条件を詰めないまま始めてしまうことです。

BPO企業選びの失敗は、多くの場合、自社側の準備が追いつかないことから生じます。代表的なパターンと対策を整理します。

よくある失敗(Before) 対策(After)
ランキング1位の会社に決めたが、最低契約規模が大きく費用が合わなかった 委託する業務量と予算を先に決め、条件に合うタイプの会社から候補を選ぶ
業務範囲があいまいなまま始め、「それは対象外」と追加費用が発生した 業務の開始から完了までを書き出し、委託する範囲と社内に残す範囲を契約前に文書で合意する
丸投げした結果、社内に業務の知識が残らず、委託先を変えられなくなった 手順書の共有と定期報告を契約に盛り込み、社内に業務の責任者を置き続ける
品質の基準を決めておらず、ミスが起きても改善を求めにくかった 処理期限や正確性などの品質基準と、未達時の対応をSLAとして決めておく
認証の有無だけを見て、委託先そのものの確認をしないまま契約した 実在性、認証の範囲、ネガティブ情報、契約条項を契約前に確認し、結果を記録に残す
自社の社員が委託先のスタッフに直接細かく指示を出していた 請負契約の場合、指示は委託先の責任者を通す。指示・報告の経路を事前に決める

最後の失敗は、法令面のリスクにもつながります。請負契約なのに発注側が委託先のスタッフへ直接指揮命令をしている状態は、実態として労働者派遣とみなされる、いわゆる偽装請負にあたるおそれがあります。厚生労働省は「請負を適正に行うために」で、労働者派遣と請負を区分する基準や疑義応答集を公開しています。

発注後の効果測定と定期的な見直し

効果測定は、委託前の工数・コスト・品質の現状値を記録し、最初の3か月程度で比較します。契約後も、委託先の状況を定期的に見直します。

BPO企業を選んで終わりではなく、委託によって何が改善したかを測ることで、契約の継続や範囲の拡大を判断できます。委託前に次の指標の現状値を記録しておくと、比較がしやすくなります。

指標 測り方の例
社内工数の削減 対象業務にかけていた社員の作業時間を、委託前後で比較する
コスト 委託費用と、削減できた人件費・残業代・採用費などを比べる
品質 処理期限の遵守率、ミスや差し戻しの件数、問い合わせの応答率
本業への効果 空いた時間で取り組めた営業活動や企画業務の量、取りこぼしていた機会の減少

効果測定は、最初の3か月程度で一度振り返るのが目安です。受注件数や問い合わせ件数のように、毎回記録が残る業務であれば、委託前後の変化を数字で追いやすくなります。範囲が明確な小さな業務で効果測定の型をつくっておくと、範囲の広い業務を委託するときにも同じ考え方で評価できます。

委託先の状況は契約後も確認する

委託先の状況は、契約後も変わります。あらかじめ決めた時期に、契約内容、品質、認証の更新状況、委託先に関する報道の有無を見直しましょう。先ほど紹介した導入事例でも、既存の取引先を年1回、一括でスクリーニングし直す運用が紹介されています。

委託先や取引先の数が増え、見直しを担当者の手作業で続けるのが難しい場合は、取引先調査をBPOとして任せられるRISK EYESの商品ページで、対応できる範囲を確認してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の契約や個人情報の取扱いに関する判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. BPO企業ランキングはどこまで参考にしてよいですか?

A. 候補となる会社を知るための入口として参考にするのがよいでしょう。売上高ランキングは規模の目安、世界市場シェアは業界の勢力図、比較サイトは業務領域ごとの候補探しに向くなど、並べる基準が違います。自社が任せたい業務や規模に合うかまでは示していないため、対象年度と集計範囲を確認したうえで、最終的には委託したい業務での実績やセキュリティ体制など、自社の基準で比較することが大切です。

Q2. BPOで有名な企業や、代表的な大手ベンダーにはどんな会社がありますか?

A. 出自で分けると、コールセンターなどのコンタクトセンター事業を軸にする会社、人材サービス会社、IT・システム会社、コンサルティング会社などがあります。通販新聞が2021年度のコールセンター事業の売上高を調べたランキングでは、トランスコスモスが1位でした。世界市場のランキングでは海外のコンサルティング会社やIT企業が上位に並び、国内の発注先選びとは様子が異なります。大手5社の事業内容は、関連記事「BPOとアクセンチュア・NTTデータ・トランスコスモス|大手5社の事業内容整理」で確認できます。上場企業のBPO事業の売上は、EDINETの有価証券報告書で確認できます。

Q3. BPO企業を選ぶときに確認すべき観点は何ですか?

A. 委託したい業務での実績、対応範囲、セキュリティ体制、品質基準と報告、料金体系、繁忙期や契約変更への柔軟性、契約終了時の引き継ぎとデータの扱いの7つが目安です。いずれもランキングの順位からは読み取れないため、見積もりや打ち合わせの場で直接確認しましょう。

Q4. 候補にしたBPO企業は、契約前に何を確認すればよいですか?

A. 国税庁の法人番号公表サイトでの実在確認、上場企業は有価証券報告書での事業内容の確認、Pマーク・ISMSの認証範囲、法人名と代表者名でのネガティブ情報の確認、契約書の暴力団排除条項や再委託・終了時の条件が目安です。法務省の指針も、取引先の審査と暴力団排除条項の導入を平素からの対応として挙げています。候補が多い場合は、取引先調査を担うBPOやツールの利用も検討し、判断に迷う情報は弁護士などの専門家に相談してください。

Q5. PマークとISMSはどちらを重視すればよいですか?

A. 給与計算や顧客対応など個人情報を多く扱う業務ではPマーク、情報資産全般の管理体制を見たい場合はISMSが目安になります。ISMSは部門や拠点単位で取得されることもあるため、自社の業務を担当する範囲が認証に含まれているかも確認してください。認証に加えて、再委託の有無や事故時の報告ルールの確認も必要です。

Q6. BPO業界の将来性はどのように見ればよいですか?

A. 市場規模の予測は、調査会社によって幅があります。deallabの記載では、世界のBPO市場について、2022年の規模を2619億ドル(Grand View Research)あるいは2923億ドル(Research and Markets)とし、2030年にかけての年平均成長率を9.4%あるいは6.3%と見込む調査が紹介されています。調査ごとに範囲の定義が異なるため、1つの数字に頼らず複数の予測を比べるのが安全です。自社にとっては、市場の伸びよりも、任せたい業務の担い手と品質を委託先が保てるかが現実的な判断軸になります。

まとめ

BPO企業ランキングは候補を知るには便利ですが、順位が高いことと自社に合うことは別の話です。自社に合うBPO企業を選ぶために、次の4点を意識しましょう。

  1. ランキングは売上高・業務領域別・世界シェア・比較サイトで基準が違うことを踏まえ、対象年度と集計範囲を確認して、候補を知る入口として使う。
  2. BPO企業を大手総合型・業務特化型・中小企業向け・オンライン完結型の4タイプに分け、委託したい業務での実績、セキュリティ体制、品質基準、終了時の対応など7つの観点で、順位ではなく自社の基準で比較する。
  3. 契約前に、法人の実在、認証の範囲、ネガティブ情報、契約条項を確認する。候補が多い場合は、取引先調査を担うBPOであるRISK EYESの資料も確認し、任せられる範囲を検討する。
  4. 範囲が明確な業務から小さく始め、効果を測ったうえで、委託の範囲と委託先の見直しを続ける。

参考文献

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