DXは何の略?経産省の公的定義とデジタルガバナンス・コードへの変遷を確認

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  • DXの正式名称と「X」の由来の扱い方がわかる
  • 経産省の定義文を5つの問いで読み解ける
  • 定義の原典と現行の参照先を区別できる

DXは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略です。経済産業省は2018年12月のDX推進ガイドライン Ver.1.0で、データとデジタル技術を活用して、製品・サービスやビジネスモデルだけでなく、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土まで変革し、競争上の優位性を確立することと定義しています。「DT」ではなく「X」と書く理由は、英語で接頭辞の「Trans」を「X」と略記する慣習によるとする説明が一般的で、公的資料では説明を確認できていません。社内資料でDXを使うなら、どの文書の、どの版の定義かまで押さえる必要があります。本記事では、正式名称と「X」の理由、定義文の読み方、デジタルガバナンス・コードへの統合の経緯、日本企業の現在地、定義を実務に落とし込む手順とよくある誤解を、公的資料に沿って整理します。

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目次

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  1. DXは何の略?|正式名称と「X」の理由を先に整理
  2. 経済産業省のDXの定義|定義文を5つの問いに分解して読む
  3. 日本企業の「X」はどこまで進んでいるか|DX白書2023で見る現在地
  4. 「デジタルガバナンス・コード」への統合の経緯
  5. DXレポートからデジタルガバナンス・コード3.0までの変遷
  6. 公的定義を実務にどう落とし込むか
  7. 定義理解でよくある誤解
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|DXの略と定義で押さえる5つのこと
  10. 参考文献

DXは何の略?|正式名称と「X」の理由を先に整理

DXは、英語の「Digital Transformation」の略で、日本語ではデジタルトランスフォーメーションと表記し、「ディーエックス」と読みます。

正式名称と読み方

IPA(情報処理推進機構)のDX推進ポータル「DX SQUARE」は、DXを「Digital Transformation」の略称とし、デジタル技術によってビジネスや社会、生活の形・スタイルを変えることと説明しています。「Digital」はデジタル技術、「Transformation」は形を変える、変革するという意味の語です。つまりDXは「変革」まで進めることを表す言葉で、紙をなくす、システムを入れるといった「デジタル化」とは範囲が違います。

なぜ「DT」ではなく「DX」と書くのか

頭文字をそのまま並べれば「DT」になりますが、実際には「DX」と書きます。広く知られている説明は、英語で「Trans」を「X」と略記する慣習があり、「Transformation」を「X」で表したというものです。ただし、この由来は経済産業省・IPA・総務省の資料では説明を確認できず(2026年10月15日時点)、民間の解説で広く説明されている内容です。社内資料では「慣習による表記」とし、公的な見解のように断定しない書き方が安全です。由来や身近な例の詳細は、DXは何の略?意味と身近な例を解説をご覧ください。

経済産業省はDXをどう定義しているか|要点

経済産業省は、2018年12月のDX推進ガイドライン Ver.1.0で、DXを次のように定義しました。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0」(2018年12月)。同じ文言はIPA「DX SQUARE」でも引用されています。

要するにDXは、効率化にとどまらず、製品・サービスから業務、組織、企業文化まで変えて競争上の優位性をつくることです。詳しい読み方は次の章で説明します。

定義の「業務そのもの」と「組織」を動かす最初の一歩

定義が示す変革の対象は広く、製品・サービスやビジネスモデルから業務、組織、企業文化・風土までを一度に動かすのは現実的ではありません。取りかかりやすいのは、日々の連絡、依頼、ファイルの受け渡しといった社内の情報の流れです。連絡手段がメール、電話、口頭に分かれていると、誰が何を知っているかが見えにくく、業務や組織を変える土台が整いにくいためです。

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グランド印刷株式会社は、FAXと電話中心だった情報伝達を2011年にChatworkへ切り替えた企業で、導入事例でDXについて次のように述べています(取材時点の情報で、現在の機能やプランとは異なる場合があります)。

DXは業務削減だけが目的ではありません。業務の効率化によって新たなビジネスを創出し、会社を成長させることが本当の目的だと考えています。

出典:Chatwork導入事例 グランド印刷株式会社

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経済産業省のDXの定義|定義文を5つの問いに分解して読む

経済産業省のDXの定義は、2018年12月のDX推進ガイドライン Ver.1.0にある1文です。変革の対象を「製品・サービス・ビジネスモデル」と「業務・組織・企業文化」の2層に分けて読むと、引用するときにぶれません。

定義文は1文に多くの要素が詰め込まれているため、そのまま読むと焦点がぼやけがちです。「なぜ」「何を使って」「何を基に」「何を変えて」「何を目指すのか」という5つの問いに分解すると、構造が見えてきます。

問い 定義文の該当部分 読み取れるポイント
なぜ(背景) ビジネス環境の激しい変化に対応し DXは流行ではなく、環境変化への対応策として位置づけられている
何を使って(手段) データとデジタル技術を活用して 技術だけでなく「データ」が明記されている
何を基に(起点) 顧客や社会のニーズを基に 自社の都合ではなく、外部のニーズが出発点
何を変える(対象1) 製品やサービス、ビジネスモデル 顧客に提供する価値そのものの変革
何を変える(対象2) 業務そのもの、組織、プロセス、企業文化・風土 社内の働き方や意思決定のあり方まで含む
何を目指す(目的) 競争上の優位性を確立すること 効率化そのものではなく、競争力の確立がゴール

この分解で押さえたいのは、変革の対象が「対象1(提供価値)」と「対象2(社内の仕組み・文化)」の2層になっている点と、ゴールが「競争上の優位性の確立」に置かれている点です。ツールを導入して作業時間が減った、という成果だけでは、定義上のDXの一部にしか当たりません。逆に、定義を引用するときに「データとデジタル技術を活用して」の部分だけを抜き出すと、DXの本来の範囲を大きく狭めて伝えてしまいます。

IT化・デジタル化とDXの違い

IT化・デジタル化はDXを進める手段であり、DXと同じ意味ではありません。IT化やデジタル化は、紙の書類を電子データにする、手作業をシステムに置き換えるといった「既存の業務をデジタルで効率化すること」を指すのが一般的です。これに対してDXは、定義のとおり、その先で製品・サービスやビジネスモデル、組織や企業文化まで変え、競争上の優位性を確立することが目的です。経済産業省のDXレポート2(2020年12月)の整理では、アナログ・物理データのデジタル化(デジタイゼーション)、個別の業務・製造プロセスのデジタル化(デジタライゼーション)、組織横断・全体の業務やビジネスモデルの変革(デジタルトランスフォーメーション)という段階に分けられています。「紙をなくした」「システムを入れた」段階で止まっているなら、DXの入口に立った状態と考えると、社内での言葉の使い分けがぶれにくくなります。

デジタイゼーションやデジタライゼーションなど関連用語との関係を体系的に整理したい場合は、DXの意味とは|経産省定義と3段階モデルでデジタル化との違いを整理も参考にしてください。DXと略語の似たDXリテラシーやGXとの違いは、DXの略とDXリテラシー・GXとの違い|経産省資料で整理で扱っています。

定義を引用するときの確認事項

社内資料や提案書で定義を引用するときは、資料名、公表年月、引用箇所を明記してください。経済産業省の資料は改訂や統合が行われるため、どの版を参照したかが分からないと、数年後に資料を見直す際に混乱します。とくにDX推進ガイドラインは、経済産業省のサイトで現在「デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)」という題名のPDFとして公開されており、2018年12月のVer.1.0の原文そのものとは限りません。2018年版の定義文を引用する場合は、版が2018年12月のVer.1.0であることを書き添え、同じ文言を載せているIPAの解説などと照合しておくと確実です。

日本企業の「X」はどこまで進んでいるか|DX白書2023で見る現在地

IPAのDX白書2023によると、日本企業はデジタル化や業務効率化の成果では米国との差が小さい一方、新規製品・サービスの創出やビジネスモデルの変革では差が大きいとされています。DXの「X」の部分が、日本企業の主な課題です。

「D」と「X」に分けて読む

DX白書2023の冒頭でIPAは、DXには大きく二つの要素があるとして、一つ目の「D」であるデジタル化は危機意識とともに推進が進みつつある一方、二つ目の「X」つまりトランスフォーメーションは、意味そのものがまだ十分に理解されていない現状があると述べています。そのうえで、X=トランスフォーメーションとは組織の文化が変わることであり、ビジネスのあり方を含めた経営の問題で、デジタルはその経営変革の重要なリソースでしかない、という趣旨を示しています(DX白書2023、序文)。略語の「DX」を「D」と「X」に分けて読むと、定義の対象1・対象2のうち、どちらの変革が進んでいないのかを説明しやすくなります。

成果が出ている領域と出ていない領域

DX白書2023では、DXの取組の成果が「出ている」と答えた日本企業は、2021年度調査の49.5%から2022年度調査の58.0%に増えた一方、米国は89.0%で、成果の創出には日米で大きな差が残っているとされています。さらに、成果が出ていると答えた企業に取組領域ごとの成果を聞いた結果は、次のとおりです。

取組領域 段階 成果が出ている割合(日本)
アナログ・物理データのデジタル化 デジタイゼーション 約80%(米国との差はなくなっている)
業務の効率化による生産性の向上 デジタライゼーション 約80%(米国との差はなくなっている)
新規製品・サービスの創出 デジタルトランスフォーメーション 20%台(米国は約70%)
顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革 デジタルトランスフォーメーション 20%台(米国は約70%)

出典はDX白書2023(第1部第3章)で、数値は同白書の本文に基づく概数です。調査時点は2022年度のため、最新の状況は後継の白書や調査で確認してください。この結果は、定義の「対象1」にあたる製品・サービスやビジネスモデルの変革が、デジタル化や効率化ほどには進んでいないことを示しています。定義を理解することは、手元のツール導入で止まらず、「X」まで進めるための出発点といえます。

なぜ今DXが求められるのか|定義の冒頭と2018年のDXレポート

定義文の冒頭は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し」で始まります。DXが求められる背景は、ひとことで言えば、環境変化に合わせて変わり続けられる企業になるためです。2018年9月に経済産業省が公表したDXレポートは、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムが残り続けるリスクを「2025年の崖」として指摘し、DXという言葉が広まるきっかけになりました。その後のDXレポート2(2020年12月)では、DXの本質は企業文化の変革にあると整理し直されています。背景を知っておくと、定義の「企業文化・風土」の変革という部分が、なぜ強調されているのかが理解しやすくなります。

「デジタルガバナンス・コード」への統合の経緯

DX推進ガイドラインは、2022年9月にデジタルガバナンス・コードと統合され、「デジタルガバナンス・コード2.0」となりました。現在DXの定義や経営者向けの指針を確認する際の参照先は、2024年9月19日に策定された「デジタルガバナンス・コード3.0」です。

デジタルガバナンス・コードは、経済産業省が2020年11月に、企業のDXに関する自主的取組を促すため、経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を取りまとめたものです。2022年9月にはデジタル人材の育成・確保をはじめとした時勢の変化に対応するために「2.0」へ改訂され、このときDX推進ガイドラインが統合されました。2024年6月に「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」が開かれ、その議論を踏まえて2024年9月19日に「3.0」が策定されています。

2024年9月のニュースリリースによると、3.0では、DXを通して得られる企業価値向上に焦点を当てた副題が付き、名称・構成の見直し、データ活用・連携、デジタル人材の育成・確保、サイバーセキュリティの重要性の強調などが行われました。また「DX戦略」を「データとデジタル技術を活用する戦略」と明記する見直しも行われています。

項目 DX推進ガイドライン Ver.1.0 デジタルガバナンス・コード
公表時期 2018年12月 2020年11月策定、2022年9月に2.0へ改訂、2024年9月19日に3.0を策定
位置づけ DXの定義を明文化し、経営のあり方と仕組みを示した 企業のDXに関する自主的取組を促す、経営者向けの指針
現在の扱い 2022年9月に統合。旧DX推進ガイドラインとして公開 現行の参照先は3.0。DX認定制度の基準もこのコードに対応

DX認定制度は、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応する企業を国が認定する制度で、IPAが事務局として申請の相談や審査事務を担っています。経済産業省のDX認定制度のページによると、DX認定制度についても3.0の新基準に基づく運用が2024年12月から始まっています。定義文の原典としてのDX推進ガイドライン Ver.1.0と、現行の指針としてのデジタルガバナンス・コードは、役割が違うため、社内資料でも区別して示すと正確です。

中堅・中小企業向けには、経済産業省の「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」のページに「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き」やDXセレクションが紹介されています。自社の規模に近い取組例を確認する際の入り口になります。

DXレポートからデジタルガバナンス・コード3.0までの変遷

経済産業省のDX関連文書は、2018年の「システム刷新への警鐘」から、2020年以降の「経営と組織文化の変革」へと強調点が移ってきました。公表時期によって同じDXという言葉でも焦点が異なるため、資料を読む際は年代を確認することが大切です。

時期 文書・制度 強調された論点
2018年9月 DXレポート 老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムが残り続けることのリスク(いわゆる「2025年の崖」)
2018年12月 DX推進ガイドライン Ver.1.0 DXの定義の明文化と、経営のあり方・ITシステム構築の両面での実践事項
2020年5月 DX認定制度の開始(IPAの案内ページの公開日は2020年5月15日) DXに取り組む準備が整った企業を国が認定する仕組み
2020年11月 デジタルガバナンス・コード策定 経営者が取り組むべき事項とステークホルダーとの対話
2020年12月 DXレポート2 DXの本質は企業文化の変革にあること、多くの企業がまだ取り組みを始められていない現状
2022年9月 デジタルガバナンス・コード2.0 DX推進ガイドラインとの統合、デジタル人材の育成・確保への言及
2024年9月 デジタルガバナンス・コード3.0 DX経営による企業価値向上、データ活用・人材・サイバーセキュリティなどへの対応

2018年のDXレポートは、既存システムの問題を放置すると2025年以降に大きな経済損失が生じうると指摘し、その影響もあって、当時は「DX=レガシーシステムの刷新」と受け止められることも少なくありませんでした。その後のDXレポート2では、DXの本質はシステムの刷新ではなく、変化に素早く対応し続けられる企業文化への変革にあると整理されました。デジタルガバナンス・コードの改訂も、経営戦略や人材、情報開示へと論点を広げる方向で進んでいます。定義文そのものは2018年から変わっていませんが、「どこに重点を置いて読むか」が時代とともに移ってきたと理解すると、古い資料と新しい資料の説明の違いに戸惑わずに済みます。

実務上の注意点として、2018年前後に書かれた解説記事や社内資料は、システム刷新の文脈に偏っていることがあります。参考にする場合は、公表時期を確認したうえで、現行のデジタルガバナンス・コードとあわせて読むことをおすすめします。

公的定義を実務にどう落とし込むか

公的定義を実務に落とし込むには、定義の構成要素を自社の言葉に置き換え、「どの対象を、どの順番で変えるか」を決めることが近道です。定義文を社内資料に転記するだけでは、現場の行動にはつながりません。

手順1|定義の構成要素を自社の業務に置き換える

前述の分解表の「何を基に」「何を変える」の欄を、自社に当てはめて書き出します。たとえば「顧客や社会のニーズ」は自社にとってどの顧客のどんな不満か、「業務そのもの」はどの部署のどの作業か、というように具体化していきます。経営層と現場が同じ表を見ながら話せるようにしておくと、DXという言葉の解釈が人によってばらつくのを防げます。

手順2|変える対象の順番を決める

定義にある変革の対象を一度にすべて動かすのは、特に人員の限られた中小企業では現実的ではありません。一般的には、社内の業務や情報共有の仕組みを先に整え、蓄積されたデータを使って製品・サービスやビジネスモデルの見直しに進む順番が取り組みやすいとされています。社内の情報が紙やメールに分散したままでは、顧客ニーズを分析するためのデータもそろわないためです。

手順3|「組織・企業文化」の変化を測れる形にする

定義の中で最も見落とされやすいのが、組織・企業文化・風土の変革です。文化の変化は目に見えにくいため、「部署をまたいだ情報共有の件数」「申請から承認までにかかる日数」「会議資料を事前に共有した割合」など、行動の変化として測れる指標に置き換えておくと、取り組みが形だけで終わっていないかを確認できます。

この3つの手順のうち、手順2の「社内の業務と情報共有の仕組みを先に整える」部分を支える選択肢の1つが、ビジネスチャットです。連絡、タスク、ファイルを1か所に集めると、手順3で挙げたような行動の変化も記録として残りやすくなります。自社の現在地は、次のセルフチェックで確認できます。

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定義理解でよくある誤解

DXの正式名称や定義は一見シンプルですが、略語の由来、定義の範囲、参照する資料の3点で誤解が起きやすい傾向があります。代表的な誤解と、正しい理解を表にまとめました。

よくある誤解 正しい理解
「X」はTransformationの頭文字である 英語で「Trans」を「X」と略す慣習による表記とする説明が一般的で、頭文字ではない。公的資料では説明を確認できていない
DXとはITツールを導入することである ツールは手段。定義上は業務・組織・企業文化まで変革し、競争上の優位性を確立することが目的
DXとはレガシーシステムを刷新することである 2018年のDXレポートの印象が強い理解。DXレポート2以降は企業文化の変革が本質とされている
IT化・デジタル化とDXは同じ意味である IT化やデジタル化はDXを進める過程の一部。業務の置き換えだけではDXの定義には届かない
DX推進ガイドラインが現在の最新の指針である 2022年にデジタルガバナンス・コード2.0へ統合済み。現行の参照先はデジタルガバナンス・コード3.0
DXは大企業だけの取り組みである 定義は企業規模を問わない。DX認定制度でも中小企業等の認定が増えている(経済産業省、2026年9月時点)

このうち実務で最も影響が大きいのは、「DXとはITツールを導入することである」という誤解です。ツールの導入が決まった時点で「DXを実施した」と報告してしまうと、本来の目的である業務や組織の変化が検証されないまま取り組みが終わってしまいます。DX白書2023が示すように、日本企業ではデジタル化の成果に比べて「X」の成果が伸びていません。ツール導入はあくまで出発点であり、導入後に業務の進め方や社内の情報の流れがどう変わったかまで確認して初めて、定義に沿ったDXといえます。

その出発点の1つとして、社内の連絡と情報共有をビジネスチャットに集約する方法があります。ChatworkはChatwork導入事例のとおり、FAXや電話に頼っていた情報伝達を置き換えた企業の例がありますが、導入しただけで業務が変わるわけではありません。運用ルールを決め、どの連絡をチャットに集めるかを部署ごとに試してから広げるのが現実的です。無料で使えるフリープランには閲覧できる期間と件数の上限があるため、運用の想定に合うか、資料で条件を確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. DXは何の略ですか?

A. 英語の「Digital Transformation」の略で、日本語では「デジタルトランスフォーメーション」と表記します。読み方は「ディーエックス」です。

Q2. なぜ「DT」ではなく「DX」と書くのですか?

A. 英語で接頭辞の「Trans」を「X」と略記する慣習があるためとする説明が一般的です。「X」はTransformationの頭文字ではありません。ただし、この由来は経済産業省・IPA・総務省の資料では確認できず、民間の解説で広く説明されている内容です。

Q3. 経済産業省はDXをどのように定義していますか?

A. DX推進ガイドライン Ver.1.0(2018年12月)で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること、と定義しています。

Q4. DXとデラックスの「DX」は違うのですか?

A. 別の意味です。デジタル大辞泉(小学館)には、「DX」の項にdigital transformationとdeluxe(デラックス)の2つの語義が載っています。製品名や型番の「DX」はデラックスを指すことがあり、ビジネスの文脈で使われる「DX」はデジタルトランスフォーメーションを指します。

Q5. DX推進ガイドラインは今も使われていますか?

A. 2022年9月にデジタルガバナンス・コードと統合され、デジタルガバナンス・コード2.0になりました。現在の参照先は、2024年9月19日に策定されたデジタルガバナンス・コード3.0です。

Q6. 定義を理解したら、中小企業は何から始めればよいですか?

A. ITツールを入れるだけでは、経済産業省の定義上のDXとはいえません。定義の構成要素を自社の業務に置き換えたうえで、社内の連絡や申請・承認といった日常業務の仕組みから整えるのが取り組みやすい進め方です。ビジネスチャットなどで情報を1か所に集めると、その後のデータ活用にもつなげやすくなります。

まとめ|DXの略と定義で押さえる5つのこと

DXは「Digital Transformation」の略です。経済産業省の公的な定義を正しく使うために、押さえておきたい行動は次の5つです。

  1. 「X」の由来は公的資料に明記がないため、「慣習による表記」として書く
  2. 定義の原典は2018年12月のDX推進ガイドライン Ver.1.0、現行の参照先はデジタルガバナンス・コード3.0と区別して引用する
  3. 変革の対象を、製品・サービス・ビジネスモデルと、業務・組織・企業文化・風土の2層に分けて自社に当てはめる
  4. 組織・企業文化の変化を、連絡件数や承認日数など行動の数で測れる形にする
  5. 小さな一歩として社内の連絡と情報共有の仕組みを見直し、Chatworkなどビジネスチャットの資料で機能と条件を確認する

定義を正確に理解すること自体はゴールではありません。社内で同じ定義を共有したうえで、小さな業務の変化から積み上げていくことが、定義にある「組織・企業文化の変革」への確かな一歩になります。

参考文献

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