DX認定事業者とは|メリット・申請の流れ・一覧の見方とDX銘柄・補助金との関係

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  • DX認定事業者の意味と対象がわかる
  • メリットと申請の流れ・審査期間がわかる
  • 認定事業者一覧の見方とDX銘柄との違いがわかる

DX認定事業者とは、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応し、DXを進める準備が整っていると国に認定された事業者のことです。DXの成果を表彰する制度ではなく「DXのスタートラインに立った」ことを示す認定で、法人も個人事業主も申請でき、申請や認定の維持に費用はかかりません。とはいえ、「取引先がDX認定事業者になったと聞いたが、何が認められたのか分からない」「DX銘柄やDXセレクション、DX白書、補助金の加点など似た言葉が多くて整理できない」「自社でも取れるのか、どう申請すればよいのか」と迷う方は少なくありません。本記事では、認定の意味とメリット、申請の流れと準備、認定事業者一覧の見方、DX銘柄・DXセレクション・補助金との関係、DX白書からDX動向への移行までを、経済産業省とIPAの公式情報をもとに1本で整理します。

DX認定、どこから読み進める?

Q1. いちばん知りたいことは?

目次

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  1. DX認定事業者とは|国に「DXの準備が整っている」と認められた事業者
  2. 認定を受ける準備|申請書に書ける「具体的な取組」を先に作る
  3. DX認定事業者になるメリット|経済産業省が整理する5つの支援措置
  4. DX認定の申請方法と流れ|2ステップ、準備を含めて約4か月が目安
  5. DX認定事業者の一覧と数|探し方と見方
  6. DX銘柄・DXセレクションとの連動|DX認定の次の選定制度
  7. DX補助金・助成金との関係|ものづくり補助金の加点と人材開発支援助成金
  8. DX白書からDX動向シリーズへの移行|2026年版はどれか
  9. 「DX大賞」は国の制度ではない|名前の似た表彰との見分け方
  10. 認定後に気をつけること|更新・変更届出・取消と、経済産業省・IPAの役割分担
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ
  13. 参考文献

DX認定事業者とは|国に「DXの準備が整っている」と認められた事業者

DX認定事業者とは、情報処理の促進に関する法律にもとづき、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応し、DXを進める準備が整っていると経済産業大臣の認定を受けた事業者のことです。

認定で審査されるのは、DXの成果ではなく「準備」です。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のFAQでは、ウェブサイトなどで公表している内容をもとに、「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」かどうかを審査すると説明されています。他の事業者との比較やDXの達成度合いを測るものではなく、業態・業種・規模も問われません。認定審査の事務はIPAが担当し、認定を受けた事業者は認定事業者一覧に公表されます。

項目内容
根拠法情報処理の促進に関する法律 第二十八条
認定の基準デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応していること
対象法人・個人事業主を問わず、すべての事業者
申請方法・時期DX推進ポータルのウェブフォームから随時(2025年8月27日からウェブフォームに切り替え)
標準処理期間60営業日(実際のカレンダーでは約3か月)
有効期間2年(更新は有効期限の60日前までに申請)
費用申請・認定・認定の維持に費用はかからない

対象になるかを確認する|見落としやすい4つの条件

対象は「すべての事業者」ですが、IPAのFAQには見落としやすい条件が示されています。まず、法人は日本国内で法人設立登記をしている法人に限られ、日本企業の海外現地法人は対象外です。次に、グループ会社をまとめて認定することはできず、法人番号単位で申請します。個人事業者は通常、屋号で申請し、審査を通過したあとに確定申告書などで営業の実態を確認されます。最後に、DX関連のサービスやITシステムを顧客に提供しているだけでは認定の対象とならず、自社でのDXの取組を示す必要があります。

認定を受ける準備|申請書に書ける「具体的な取組」を先に作る

DX認定の準備では、経営ビジョンとDX戦略を文書にして公表することに加えて、実際にデジタル化した業務の実例と、進捗を測る指標を示せる状態にしておくことが重要です。

申請では、デジタル技術による環境変化を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデル、それを実現する戦略、推進体制や人材育成、ITシステムの整備方針、進捗を測る指標、経営者による情報発信、サイバーセキュリティ対策などを示します。IPAのFAQにあるとおり、これらの準備状況は対外的な公表内容で示す必要があるため、社内資料にとどまっていないかも確認しましょう。DXに着手したばかりの企業ほど、「戦略は書けても、実際に何をデジタル化したのかを説明できない」という段階で手が止まりがちです。

その最初の題材として選びやすいのが、全社員が毎日関わる勤怠管理です。タイムカードやExcelでの集計をシステムに置き換えると、集計の手間が減るだけでなく、労働時間のデータが継続的にたまり、残業時間の推移などを成果指標として確認できます。申請書に「何をデジタル化し、どう変わったか」を書くための、小さくても具体的な実例になります。

勤怠管理のシステム化から始める場合の一例が、jinjer株式会社のジンジャー勤怠です。商品ページによると、PC・スマートフォン・タブレットなどから打刻でき、100種以上の集計項目から必要なデータを自動で集計できるほか、法定の労働時間や残業時間の超過、打刻漏れをアラートで知らせる機能があります。部署やチーム別に予実を管理でき、残業時間を早い段階で把握しやすい点も特徴です。注意したい点として、スマホアプリの申請・修正画面が分かりにくいという声があり、セキュリティ機能やサポートプランの一部はオプション料金になります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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ここが少し気になる…

  • スマホアプリだと申請や修正画面がわかりにくい
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  • ⚫︎自社ではエクセル管理からデジタルアプリへの移行だったため出退勤管理の手間や集計ミスの軽減につながり大幅な効率アップができた。 ⚫︎スマホ連携ができることで、営業の直行時や在宅勤務時もリアルタイムで打刻ができるようになった。(後修正の手間が省けた)

  • ジンジャー導入で、紙やエクセル管理に伴う打刻漏れや集計ミスを撲滅し、申請フローの停滞を解消できました。 スマホ打刻で外出先からの勤怠記録も漏れず、リアルタイムな勤怠可視化で残業超過や不正申告を防止できました。 多言語対応や柔軟な承認ルール設定でグローバル運用にも対応するなど、メリットは多岐にわたるなと思います。(当社はグローバル運用ではないですが…)

  • 打刻忘れや申請漏れに対するアラート機能があるため、従業員自身が気づきやすくなり、修正依頼が減少しました。管理側の確認作業も楽になり、ミスが少なくなったのを実感しています。

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導入事例として、社会福祉法人三重ベタニヤ(職員200名超)は、タイムカードとExcelでの勤怠の集計から給与計算までに毎月2営業日以上かかっていた作業を、ジンジャーで打刻情報をそのまま給与計算システムに連携できるようにして見直したと紹介されています(出典: ジンジャー導入事例|社会福祉法人三重ベタニヤ)。

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DX認定事業者になるメリット|経済産業省が整理する5つの支援措置

DX認定事業者になると、経済産業省が整理する5つの支援措置を活用できます。ロゴマークの使用、中小企業向けの金融支援、人材開発支援助成金、DX銘柄・DXセレクションへの応募、ものづくり補助金などでの加点です。支援の内容や条件は変わることがあるため、実際に使う際は最新の公式情報を確認してください。

支援措置内容活用の場面
1. ロゴマークの使用ホームページや名刺などで、自社がDXに取り組んでいる企業であることをPRできる取引先への信頼づくり、採用ページ
2. 中小企業向けの金融支援日本政策金融公庫の特別利率による融資と、信用保証協会による追加保証や保証枠の拡大(中小企業信用保険法の特例)設備投資などの資金調達
3. 人材開発支援助成金高度デジタル人材訓練の対象事業主の要件を満たし、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部の助成を受けられる(助成率や上限は厚生労働省の公式情報で確認)社員のデジタル人材の育成
4. DX銘柄・DXセレクション上場企業はDX銘柄の選定対象に、中堅・中小企業等はDXセレクションに自薦で応募できる対外的な評価を一段上げたいとき
5. 補助金の加点ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の申請で加点対象になる設備投資やシステム導入の補助金申請

経済産業省のDX認定事業者向けアンケートでは、回答した認定事業者のうち約70%がDX戦略の推進に効果があったと考えており、顧客との関係や人材の育成・確保でも良い効果を実感しているとされています。見落とされがちですが、申請準備そのものが「経営ビジョンとDX戦略を文書にし、決定し、社外に公表する」作業になるため、社内の方向性がそろうことも大きな利点です。

認定の費用とDX投資促進税制の終了

DX認定は、申請の手続き、認定の適用、認定の維持のいずれにも費用がかからないと、IPAのFAQに明記されています。一方で、DX認定事業者向けのメリットとして古い解説で紹介されることの多い「DX投資促進税制」は、DX認定とは別の制度です。産業競争力強化法にもとづく計画認定制度で、クラウド技術を活用したデジタル関連投資に対して税額控除(最大5%)または特別償却30%を認めるものでしたが、経済産業省のページのとおり、2025年3月31日をもって廃止されました。2024年度末までに計画認定を受けた事業者は、計画の終了まで実施状況の報告が必要です。これから認定を目指す企業は、税制優遇を前提にした投資計画を立てないよう注意してください。

認定事業者は増えている

経済産業省のページによると、2026年9月時点の直近1年間で、認定事業者の総数は約1.4倍に、中小企業等に限ると約1.6倍に増えました。業種別では情報通信業や製造業での取得割合が高い傾向にあるものの、さまざまな業種に広がっています。大企業だけの制度というイメージを持たれがちですが、実際には中小企業の取得が全体の伸びを引っ張っている状況です。

DX認定の申請方法と流れ|2ステップ、準備を含めて約4か月が目安

DX認定の申請は、STEP1で申請要件を満たしているか確認して回答を準備し、STEP2でDX推進ポータルのウェブフォームに入力して提出する、2ステップで進めます。

IPAの「DX認定制度の申請方法」によると、申請・届出には、認定されていない事業者が行う新規申請、認定中の事業者が2年ごとに行う更新申請、事業者名などが変わったときの変更届出の3種類があります。新規申請の流れは次のとおりです。

ステップやること確認先
1. 申請要項を確認する「DX認定制度 申請要項(申請ガイダンス)」で、新規申請のプロセスと認定基準を確認するIPA「DX認定制度の申請方法」
2. 回答を準備する申請書(Wordの様式)を下書きに使い、公表している内容に沿って回答を用意する。よくある不備と対処方法をまとめた資料も、申請要項の別添資料として公開されているIPA「DX認定制度 資料集」
3. ウェブフォームで申請するパソコンからDX推進ポータルにアクセスし、GビズIDでログインして入力・提出するDX推進ポータル利用者マニュアル、申請ウェブフォーム入力ガイド
4. 審査を受ける標準処理期間は60営業日。不備の連絡があれば修正して再申請できるIPA FAQ
5. 認定・公表認定事業者一覧に公表され、DX推進ポータルからロゴマークのデータをダウンロードできるIPA、経済産業省

審査期間と有効期間|約4か月以上で計画する

標準処理期間は、新規申請の受理から認定結果の通知まで60営業日(実際のカレンダーでは約3か月)です。申請内容に不備があるとさらに時間がかかるため、IPAのFAQは計画上は約4か月以上と考えるよう案内しています。認定の有効期間は適用日から2年で、更新するには有効期限の60日前までに更新申請が必要です。たとえば2021年4月1日に認定された場合、有効期限は2023年3月31日となり、更新申請の期限は60日前の2023年1月31日になります。法律上も、認定は二年ごとに更新を受けなければ効力を失うと定められています(情報処理の促進に関する法律 第二十九条)。

DX認定は難しいのか|取得の難易度

要件の水準そのものは高くありません。審査されるのは成果ではなく準備で、費用もかからず、規模や業種も問われないためです。ただし、ビジョン・戦略・体制・指標を具体的に文書にまとめ、公表するまでの準備には時間がかかります。IPAが「よくある不備」と対処方法をまとめた資料を公開し、不備の連絡を受けて修正・再申請することも想定されているため、最初から完璧を目指すよりも、公式の資料で記載内容を確認しながら進めるのが現実的です。

申請準備でよくある失敗4つ

DX認定は「準備が整っていること」の認定なので、要件自体はそれほど高くありません。それでも、申請の段階で差し戻しや遅れが生じる企業には共通点があります。

失敗パターンありがちな状態回避策
1. 公表していないビジョンや戦略が社内資料にしかなく、Webサイトなどで公表されていない経営層で決定したうえで、自社サイトや統合報告書などで公表する
2. 方策が抽象的「業務を効率化する」「データを活用する」など、何をするのかが読み取れない対象業務、使う仕組み、進捗を測る指標まで具体的に書く
3. 顧客向けサービスの説明だけDX関連のサービスを顧客に提供していることは書いてあるが、自社のDXの取組が示されていない自社の業務をどうデジタル化したかを書く
4. 補助金の締め切り直前に申請加点を狙ったが、審査期間の60営業日が考慮されておらず間に合わない公募スケジュールから逆算し、4か月以上前に申請を済ませる

とくに2つ目の「方策が抽象的」は、DXに着手したばかりの企業で起こりがちです。すでに1つでもデジタル化した業務があれば、「勤怠データを集計して残業時間の推移を月次で確認し、人員配置の見直しに使う」のように、対象業務と指標を具体的に書けます。DX推進の各段階で経営層・推進担当・現場がどう役割を分担するかは、「DX推進のステップ|6段階の進め方と役割分担・実行管理のコツ」も参考になります。ここまでの内容を、自社の状況に当てはめて確認してみましょう。

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DX認定事業者の一覧と数|探し方と見方

DX認定事業者は、IPAのDX推進ポータルにある「認定事業者一覧」で調べられます。事業者名・業種・従業員規模・認定の有効期間などを確認でき、詳細検索や全件のCSVダウンロードにも対応しています。

一覧のトップページには当月に認定された事業者が法人番号順に表示され、2026年10月15日の時点では、当月分として127件が掲載されていました。各事業者の行では、認定中かどうか、手続き番号、代表者名、従業員規模、業種、法人番号、所在地、有効期間(2年間)、認定の適用日、企業規模の区分などを確認できます。IPAは、認定事業者の申請書も一覧から閲覧できるとしています。目的別の使い方は次のとおりです。

知りたいこと一覧での調べ方
取引先がDX認定事業者か確認したい事業者名や法人番号で検索し、「認定中」であることと、有効期間がいつまでかを確認する
同業・同規模の申請内容を参考にしたい業種や従業員規模で絞り込み、公開されている申請書で記載の粒度を確認する(内容をそのまま写さず、自社の取組に置き換えて書く)
認定事業者の数を知りたい全件のCSVをダウンロードして集計する。増加の傾向は経済産業省のページで確認する

認定事業者の数について、経済産業省は直近1年間(2026年9月時点)で全体が約1.4倍、中小企業等が約1.6倍に増えたと公表しています。累計の件数は認定や更新のたびに変わるため、最新の数を知りたいときは、一覧のCSVを集計するのが確実です。

DX銘柄・DXセレクションとの連動|DX認定の次の選定制度

DX銘柄は上場企業、DXセレクションは中堅・中小企業等を対象とする選定制度で、どちらもDX認定を受けていることが応募の前提になります。「認定で準備が整ったことを示し、選定で成果を評価される」という段階的な仕組みです。

DX銘柄|上場企業向けの選定

DX銘柄は、経済産業省が東京証券取引所およびIPAと共同で、DXに取り組む上場企業を選ぶ制度です。経済産業省のページによると、2026年は「DX銘柄2026」30社(うちDXグランプリ3社)、「DX注目企業2026」17社、「DXプラチナ企業2026-2028」2社が選定されました。単に優れた情報システムの導入やデータの利活用にとどまらず、AIをはじめとしたデジタル技術を前提に、ビジネスモデルや経営そのものの変革に挑戦し続けている企業として選ばれたと説明されています。

DXセレクション|中堅・中小企業等向けの選定

DXセレクションは、デジタルガバナンス・コードに沿った取組で成果を出している中堅・中小企業等のモデルケースを選ぶ制度で、2022年から実施されています。地域内や業種内での横展開を目的としているのが特徴です。2026年は5月20日に最終選考・表彰式が行われ、グランプリ1者、準グランプリ2者、優良事例8者の計11者が選ばれました。応募の受付は年1回で、2026年版は2025年12月1日から22日まででした。上場していない企業が公的な評価を得られる機会といえます。

DX関連の言葉の位置づけを整理する

検索すると一緒に出てくることが多い言葉を、運営元と役割で並べると、次のように整理できます。DX認定がほかの制度の「入口」になっているという構造がポイントです。

名称運営役割DX認定との関係
DX認定制度経済産業省(審査事務はIPA)DXの準備が整った事業者を認定するすべての土台
DX銘柄経済産業省・東京証券取引所・IPADXに取り組む上場企業を選定するDX認定が選定対象の前提
DXセレクション経済産業省・IPA中堅・中小企業等のDX優良事例を選定するDX認定で自薦での応募が可能になる
補助金の加点各補助金の事務局(中小企業庁など)審査で加点を受けられる場合がある公募回ごとに加点項目を確認
DX白書・DX動向IPA日本企業のDXの実態を調査・分析する刊行物直接の関係はなく、申請内容を考える参考資料

DX銘柄やDXセレクションに選ばれた企業の取組を、企業規模別の事例として読みたい場合は、「DX事例|DXセレクション2026・DX銘柄から規模別に学ぶ中小企業の進め方」で詳しく紹介しています。本記事は制度同士のつながりの整理に絞り、個別の事例はそちらに委ねます。

DX補助金・助成金との関係|ものづくり補助金の加点と人材開発支援助成金

「DX補助金」という名前の単一の制度があるわけではなく、一般にDX補助金と呼ばれているのは、デジタル化やシステム導入に使える複数の補助金の総称です。その中で、DX認定と直接関係してくるのが、審査での「加点項目」としての扱いと、人材育成の助成金です。

加点は「採択を約束するもの」ではない

経済産業省は、DX認定を取得した事業者がものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)を申請した際に、加点対象になると案内しています。ただし、加点項目の種類や数、加点の条件は公募回ごとに見直されます。また、加点は審査の評価を上乗せするものであり、事業計画そのものの評価が低ければ採択にはつながりません。申請を検討する際は、応募する公募回の公募要領で、DX認定が加点項目に含まれているか、申請時点で認定を受けている必要があるかを必ず確認してください。

審査期間から逆算して準備する

DX認定の標準処理期間は60営業日で、不備があれば計画上は4か月以上かかります。補助金の締め切り直前に申請しても、加点に間に合わない可能性が高いということです。補助金の加点を目的の1つにするなら、公募スケジュールから少なくとも4か月以上前には申請を終えておく計画が現実的です。申請書に書く具体的な取組を準備する時間も考えると、さらに余裕を持っておくと安心です。補助金の申請書でも、DX認定の申請書でも、共通して評価されるのは「具体的に何をデジタル化し、どう変わったか(変わる見込みか)」です。

人材開発支援助成金は高度デジタル人材訓練の要件を満たす

経済産業省のページによると、DX認定を受けた事業者は、人材開発支援助成金(人への投資促進コース)の高度デジタル人材訓練の対象事業主としての要件を満たし、訓練経費(最大75%)や訓練期間中の賃金の一部(最大1,000円/時間)などの助成を受けることができます。助成の対象となる訓練や手続きの詳細は、厚生労働省の公式情報で確認してください。

ものづくり補助金のほか、DX補助金・DX加算・DX検定など名前の似た制度との違いは、「DX加算とは|医療・介護の加算と令和8年度改定、DX認定・補助金との違い」でも整理しています。

DX白書からDX動向シリーズへの移行|2026年版はどれか

DX白書は2023年版が最後で、2024年以降はIPAの「DX動向」シリーズに引き継がれています。2026年版にあたるのは「DX動向2026」で、2026年7月30日に公開されました。

DX白書は、IPAが日本企業のDXの実態を調査・分析してまとめた刊行物です。DX認定のような認定制度ではなく、申請や選定とは直接関係しません。ただし、制度の背景にある課題認識を知る資料として、あわせて名前が挙がることが多くなっています。「最新のDX白書」や「DX白書2026」を探しても見つからないのはこのためで、IPAのDX動向のページ(2026年10月時点)には、DX動向2024・2025・2026と、DX白書2021・2023が掲載されています。

刊行物副題
DX白書2021日米比較調査にみるDXの戦略、人材、技術
DX白書2023進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」
DX動向2024進む取組、求められる成果と変革
DX動向2025日米独比較で探る成果創出の方向性「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」へ
DX動向2026広がるAI導入、DXは変われるか

DX動向2026で調べられること

IPAによると、「DX動向2026」は、日本企業のDXの取組や成果といった定点的な観点に加えて、急激に導入が進んでいるAIについても調査しています。内容は、DXの取組と成果の状況、AI・データ利活用の状況、DX・AIに関する人材、DX関連施策の認知・活用状況などで構成され、本文とデータ集がPDFで公開されています。

DX白書2023の副題が示すように、日本企業ではデジタル化は進んできた一方で、ビジネスモデルや組織の変革にはつながりにくいという課題が繰り返し指摘されています。DX認定の申請書でビジョンや戦略を書く際に、こうした調査結果を読んでおくと、「自社はどこでつまずきやすいのか」を意識した具体的な計画を立てやすくなります。

「DX大賞」は国の制度ではない|名前の似た表彰との見分け方

DX関連の表彰を調べていると、「日本DX大賞」という名称もよく目にします。日本DX大賞は、日本デジタルトランスフォーメーション推進協会などで構成される日本DX大賞実行委員会が主催する、DX推進事例を発掘して共有するプロジェクトです。2026年のサミット&アワードにはデジタル庁が後援していますが、DX認定やDX銘柄のような経済産業省の制度ではありません。

民間の表彰にも、事例を広く共有したり、取組を社外に発信したりする意義は十分にあります。ただし、取引先や金融機関、補助金の審査などで「国の認定」として扱われるのはDX認定であり、民間の表彰を同じ扱いで説明すると誤解を招くおそれがあります。自社のPRで使う場合も、他社の実績を確認する場合も、次の観点で見分けると混同を防げます。

確認する観点国の制度の場合民間の表彰の場合
運営元経済産業省、IPA、東京証券取引所など業界団体、一般社団法人、企業などの実行委員会
根拠法律や国の指針(デジタルガバナンス・コードなど)主催者が独自に定めた審査基準
公式情報の掲載先meti.go.jp、ipa.go.jp など主催団体の独自サイト
支援措置との関係DX認定は、金融支援や補助金の加点などの支援措置と連動する連動の有無は、各表彰の公式ページや公募要領で個別に確認する

認定後に気をつけること|更新・変更届出・取消と、経済産業省・IPAの役割分担

認定後に注意したいのは、2年ごとの更新申請、事業者名や代表者名などが変わったときの変更届出、基準に適合しなくなった場合の取消しの3点です。

更新は、有効期限の60日前までに更新申請を行います。変更届出は、認定申請書の内容に変更があったとき(主に事業者名、代表者名、住所)に行います。取消しについて、情報処理の促進に関する法律 第三十一条は、認定事業者が認定の基準に適合しなくなったとき、報告をせず又は虚偽の報告をしたとき、不正の手段により認定や更新を受けたときに、経済産業大臣が認定を取り消すことができると定めています。認定は取得して終わりではなく、基準に適合し続けることが前提です。

DX認定制度は、経済産業省が制度を所管し、IPAが「DX認定制度事務局」として相談対応や認定審査の事務を担う形で運営されています。認定を行うのは国(経済産業大臣)ですが、申請の窓口や問い合わせ先はIPAです。

担い手主な役割事業者が確認する場面
経済産業省制度の所管、デジタルガバナンス・コードの策定・改訂、支援措置の整理制度の目的や支援措置、取得状況を知りたいとき
IPA(DX認定制度事務局)申請受付、審査事務、相談・問い合わせ対応、認定事業者一覧の公表申請方法、記載内容、審査状況を確認したいとき

デジタルガバナンス・コードは2020年11月に策定され、2022年9月に2.0、2024年9月に3.0へと改訂されています。DX認定制度は、2024年12月から3.0で定められた新基準にもとづく運用に切り替わりました。申請の直前には、最新版のコードとIPAの申請要項を必ず確認しましょう。過去の申請例や古い解説記事の内容をそのまま使うと、現在の要件と合わないことがあります。

認定後も、取組の状況を数字で追い続けられる運用が欠かせません。そのための仕組みとして、勤怠データの活用を続ける場合の一例が、株式会社カオナビのカオナビ勤怠です。商品ページによると、打刻・シフト・工数管理・テレワーク機能を備え、月次・日次の勤務データをCSVまたはPDFで出力でき、データはシステム上に5年間自動で保存されます。打刻忘れや残業の超過、休日出勤の未届けなどをアラートで知らせる機能もあり、CSV連携またはAPI連携で他のサービスとのデータ連携にも対応します。注意したい点として、タブレット端末では一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリでの動作保証はサポート対象外です。費用はカオナビのオプション扱いのため、資料や問い合わせで確認してください。

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出典:www.kaonavi.jp

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なお、本記事は制度の一般的な仕組みを紹介するもので、法的助言や申請の可否を保証するものではありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. DX認定事業者とは何ですか?

A. 経済産業省が定めるデジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応し、DXを進める準備が整っていると国に認定された事業者のことです。成果を表彰する制度ではなく、DXのスタートラインに立ったことを示す認定で、認定を受けるとIPAの認定事業者一覧に公表されます。

Q2. DX認定事業者になるのは難しいですか?

A. 要件の水準は高くありません。審査されるのはDXの成果ではなく準備で、費用はかからず、業態・業種・規模も問われません。ただし、ビジョン・戦略・体制・指標を文書にして公表する準備に時間がかかるため、標準処理期間の60営業日に不備への対応を加えて、4か月以上を見込んでください。

Q3. DX認定事業者の一覧や数はどこで確認できますか?

A. IPAのDX推進ポータルの「認定事業者一覧」で、事業者名・業種・従業員規模・有効期間などを検索でき、全件のCSVもダウンロードできます。数の推移は経済産業省のページで公表されており、2026年9月時点の直近1年間で、全体が約1.4倍、中小企業等が約1.6倍に増えています。

Q4. DX認定を取るとどんなメリットがありますか?

A. ロゴマークの使用、中小企業向けの金融支援、人材開発支援助成金の高度デジタル人材訓練の要件、DX銘柄・DXセレクションへの応募、ものづくり補助金などでの加点の5つの支援措置を活用できます。ただし補助金の加点は公募回ごとに変わり、採択を約束するものではないため、公募要領で確認してください。

Q5. DX認定の審査期間・有効期間・費用はどのくらいですか?

A. 標準処理期間は60営業日(約3か月)、有効期間は2年で、更新は有効期限の60日前までに申請します。申請、認定、認定の維持のいずれにも費用はかかりません。

Q6. 最新のDX白書(2026年版)はどこで読めますか?

A. DX白書は2023年版が最後で、2024年以降はIPAの「DX動向」シリーズに引き継がれています。2026年版にあたる「DX動向2026」は2026年7月30日に公開され、IPAのサイトで本文とデータ集を確認できます。

まとめ

DX認定事業者とは、デジタルガバナンス・コードに対応し、DXを進める準備が整っていると国に認められた事業者です。似た名前の制度が多いですが、次の5点を押さえれば、全体像と次の行動を整理できます。

  1. DX認定は成果ではなく準備を審査する制度で、対象は国内のすべての事業者、費用はかからず、有効期間は2年
  2. 申請はDX推進ポータルのウェブフォームから2ステップで行い、審査期間の60営業日に不備への対応を加えて、4か月以上で計画する
  3. 認定事業者の一覧と数は、IPAのDX推進ポータルと経済産業省のページで確認できる
  4. DX銘柄・DXセレクションはDX認定が応募の前提で、補助金の加点は公募回ごとに変わる。DX白書は2023年版で終わってDX動向に移行しており、日本DX大賞は民間の表彰である
  5. 申請書に書ける具体的な取組が少ないときは、勤怠管理のような身近な業務のデジタル化を1つ形にするため、勤怠管理システムの資料で機能を確認する

DX認定の申請内容に説得力を持たせるには、身近な業務で1つでもデジタル化の実例を作っておくことが近道です。なお、本記事は制度の一般的な仕組みを紹介するもので、法的助言や申請の可否を保証するものではありません。申請や補助金の要件は変更されることがあるため、最新の情報は経済産業省、IPA、各補助金事務局の公式情報で確認してください。

参考文献

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