SaaSモデルとは|サブスクとの違い
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- SaaSモデルの3要素がわかる
- SaaSとサブスクの違いがわかる
- MRR・ARR・チャーンレートという成長指標がわかる
「SaaSモデル」と「サブスクリプション」は同じ意味だと思われがちですが、実際には異なる軸の概念です。SaaS企業の成長を測る指標も合わせて理解しておくと、業界の話題を正確に読み解けるようになります。本記事では、SaaSモデルの略・サブスクとの違い・代表企業の例を整理します。SaaS企業を取引先・投資対象として評価する視点はSaaS企業とは|ビジネス構造と業界マップの記事で整理しています。
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SaaSは何の略か
SaaSは「Software as a Service」の略で、ソフトウェアをサービスとしてインターネット経由で提供する形態を指します。この提供形態を実現する仕組みが、SaaSモデルと呼ばれています。
SaaSモデルの3要素
クラウド配信、マルチテナント、サブスクリプションという3つが、SaaSモデルを構成する要素です。クラウド上でサービスを配信し、複数の利用者が同一システムを共有し、継続課金で収益を得るという仕組みが組み合わさって成立しています。
SaaSとサブスクの違い
サブスクリプションは料金体系を指す概念、SaaSは提供形態を指す概念であり、両者は別の軸に属します。SaaSの多くがサブスクリプション型の料金体系を採用していますが、サブスクリプション型の料金体系すべてがSaaSというわけではなく、重なりつつもずれのある関係です。
代表的な業務カテゴリの例
CRM、会計、人事労務、コミュニケーション、プロジェクト管理という領域が、SaaSモデルが広く適用されている代表的な業務カテゴリです。コミュニケーション領域では、社内のスケジュール共有やファイル管理を担うグループウェアが代表的な位置づけにあります。
SaaSモデルの成長指標
MRR(月次経常収益)、ARR(年次経常収益)、チャーンレート(解約率)という3つが、SaaS企業の成長を測る代表的な指標です。継続課金モデルであるSaaSでは、新規契約数だけでなく、解約率を低く抑えられているかどうかが事業の健全性を示す重要な指標になります。
SaaSモデルが選ばれる理由|提供側と利用側それぞれのメリット
SaaSモデルは、ソフトウェアを提供する事業者側と、実際に利用する企業側の双方にメリットがある仕組みのため、従来のパッケージ販売型のビジネスモデルから移行する事業者が増えています。
提供事業者側から見ると、SaaSモデルは一度契約を獲得した後も継続的に収益を得られる点が大きな魅力です。パッケージ販売のように、都度新しいバージョンを開発して買い替えを促す必要がなく、既存顧客からの月額・年額課金が積み重なっていく収益構造を作れます。また、すべての利用者が同じシステム基盤(マルチテナント)を利用するため、機能改善やセキュリティ対応を一度実施すれば、全顧客に一斉に反映できるという開発・運用面での効率性も、SaaSモデルが支持される理由の一つです。
一方、利用企業側から見ると、SaaSモデルは大きな初期投資をせずに必要な機能を使い始められる点がメリットです。従来のパッケージソフトのように高額な買い切り費用を一度に支払う必要がなく、月額・年額の費用として分散して支払えるため、資金繰りの面でも導入しやすくなります。また、ソフトウェアのバージョンアップやセキュリティパッチの適用も提供事業者側が行うため、利用企業は自社でシステムを保守する専門人材を確保しなくても、常に最新の状態でサービスを使い続けられます。
SaaSモデルの理解でよくある失敗パターン3つ
SaaSとサブスクを同じ軸の概念と誤解する、MRRとARRを混同する、チャーンレートの重要性を見落とすという3つが、SaaSモデルの理解でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:SaaSとサブスクを同じ軸の概念と誤解する。提供形態と料金体系を混同し、説明が不正確になるケースです。両者が別の軸にあることを理解することが回避策になります。
失敗パターン2:MRRとARRを混同する。月次と年次の指標を取り違え、経営状況の把握を誤るケースです。それぞれの算出期間の違いを理解することが回避策になります。
失敗パターン3:チャーンレートの重要性を見落とす。新規契約数だけに注目し、解約による収益減少を見逃すケースです。チャーンレートも合わせて確認することが回避策になります。
SaaSモデル以外の類似ビジネスモデルとの比較
SaaSモデルと混同されやすいビジネスモデルとして、都度課金型のPay-as-you-goモデルや、フリーミアムモデルがあり、それぞれ収益構造や利用者へのアプローチが異なります。
Pay-as-you-goモデルは、利用した分だけ料金が発生する従量課金型のモデルで、クラウドインフラサービス(IaaS)などでよく採用されています。SaaSモデルの多くが「月額固定料金」であるのに対し、Pay-as-you-goモデルは利用量に応じて費用が変動するため、利用が少ない月は費用を抑えられる一方、利用が急増すると想定以上のコストがかかることもあります。SaaSの中にも、ユーザー数やデータ処理量に応じた従量課金の要素を組み合わせているサービスがあり、純粋な月額固定型と従量課金型の中間的な料金体系を採用するケースも増えています。
フリーミアムモデルは、基本機能を無料で提供し、高度な機能や利用量の拡大に応じて有料プランへ誘導するモデルです。多くのSaaSがフリーミアムモデルを採用しており、無料プランで多くのユーザーを獲得したうえで、一部のユーザーを有料プランへ転換させることで収益を確保する戦略が一般的です。フリーミアム自体はSaaS特有の仕組みではなく、モバイルアプリなど他の分野でも広く使われている手法ですが、SaaSモデルとの相性が良いため、両者が組み合わされる形でよく見られます。
SaaSモデルを導入する前に確認しておきたいポイント
データの保管場所、既存システムとの連携範囲、契約解除時のデータ移行方法という3点は、SaaSを導入する前に確認しておくべき代表的な論点です。SaaSはパッケージソフトと異なり、データの多くが提供事業者側のクラウド環境に保管される仕組みのため、導入後にトラブルが起きやすい部分をあらかじめ洗い出しておくと安心です。
まず確認したいのが、データの保管場所とセキュリティ体制です。国内のデータセンターで運用しているか、海外のサーバーを利用しているかによって、適用される法令や監査の考え方が変わることがあります。特に個人情報や取引先の機密情報を扱う業務でSaaSを利用する場合は、提供事業者のセキュリティ認証の取得状況や、障害発生時のデータバックアップ体制を契約前に確認しておくことが望ましいとされています。
次に重要なのが、既存の社内システムとの連携範囲です。SaaSは単体で完結するサービスもあれば、会計システムや人事システムなど他のSaaSと連携させて使うことを前提に設計されているサービスもあります。API連携やデータ出力形式(CSV等)に対応しているかどうかは、複数のSaaSを組み合わせて業務フローを構築する企業にとって、選定時の重要な判断材料になります。連携が想定通りに機能しない場合、複数のシステム間で手作業のデータ入力が発生し、SaaS導入によって期待していた業務効率化の効果が薄れてしまうこともあります。
最後に見落とされがちなのが、契約解除時のデータ移行方法です。SaaSはサブスクリプション型の契約が多く、解約や乗り換えを検討する場面が将来的に生じる可能性があります。その際、蓄積してきたデータをどのような形式でエクスポートできるのか、移行期間中のサポート体制はあるのかを、契約前の段階であらかじめ確認しておくことで、将来の乗り換えコストを見積もりやすくなります。
企業規模によるSaaS活用の違い
小規模企業ではオールインワン型のSaaSが選ばれやすく、中堅・大企業では業務領域ごとに専門特化したSaaSを組み合わせる傾向がある、という違いが企業規模によって見られます。これは、企業規模によって業務の複雑さや、システムを管理する情報システム部門の有無が異なるためです。
従業員数の少ない小規模企業では、専任の情報システム担当者を置いていないケースが多く、複数のSaaSを個別に契約して管理する負担が大きくなりがちです。そのため、会計・請求・顧客管理など複数の機能を1つのサービスでまとめてカバーできるオールインワン型のSaaSが選ばれやすい傾向があります。初期設定の手間が少なく、操作を覚えるサービスの数も限られるため、限られた人員でも運用を回しやすいという事情が背景にあります。
一方、従業員数が多く業務が部門ごとに分化している中堅・大企業では、各部門の業務に最適化された専門特化型のSaaSを個別に導入し、必要に応じて連携させる構成が一般的です。営業部門はCRMに特化したSaaS、人事部門は労務管理に特化したSaaSというように、それぞれの業務要件に深く対応した機能を持つサービスを選ぶことで、部門ごとの業務効率を高めやすくなります。ただし、この構成では導入するSaaSの数が増えるため、情報システム部門がアカウント管理やセキュリティポリシーの統一、連携設定の保守などを担う体制を整えておく必要があります。
どちらの構成が適しているかは、企業の規模だけでなく、業務プロセスの標準化がどこまで進んでいるかにも左右されます。自社の業務フローを整理したうえで、オールインワン型と専門特化型のどちらの考え方に近いかを見極めることが、SaaS選定における出発点になります。
SaaSモデルの料金プラン設計でよく見られるパターン
ユーザー数に応じた段階制、機能の範囲に応じた階層制、利用量に応じた従量課金の組み合わせという3つの設計パターンが、SaaSの料金プランでよく見られます。どのパターンを採用するかによって、企業側が支払うコストの見積もりやすさが変わってきます。
ユーザー数に応じた段階制は、利用するアカウント数(座席数)に比例して料金が増える仕組みです。少人数のチームから始めて、事業の成長に合わせて利用者を増やしていく企業にとっては、初期費用を抑えながら段階的にコストを積み上げられる点がメリットです。一方で、利用者数が多い企業ほど総コストが大きくなるため、実際にサービスを使う頻度が低いアカウントが放置されていないか、定期的に見直す運用が求められます。
機能の範囲に応じた階層制は、基本機能のみのプラン、高度な分析機能や連携機能を含むプランというように、利用できる機能の幅によって料金が分かれる仕組みです。この方式では、自社の業務に本当に必要な機能を見極めたうえでプランを選ぶことが重要になります。上位プランには魅力的な機能が並んでいることが多いものの、実際の業務では使わない機能のためにコストが上乗せされているケースも見られるため、契約前に自社の利用シーンを具体的に洗い出しておくことが望ましいとされています。
利用量に応じた従量課金は、データ保存容量や処理件数など、実際の利用実績に基づいて費用が変動する仕組みです。月額固定料金と組み合わせて、基本料金の中に一定の利用枠を含み、それを超えた分だけ追加費用が発生するハイブリッド型の設計を採用するSaaSも増えています。この方式は、利用量の変動が大きい事業にとっては無駄なコストを抑えやすい一方、繁忙期に想定以上の費用が発生する可能性もあるため、過去の利用実績をもとにおおよその費用感を試算しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSの正式名称は何ですか?
A. 「Software as a Service」です。
Q2. SaaSとサブスクの違いは何ですか?
A. サブスクは料金体系、SaaSは提供形態を指す、別の軸の概念です。
Q3. SaaSモデルの代表的な業務カテゴリは何ですか?
A. CRM、会計、人事労務、コミュニケーション、プロジェクト管理などです。
Q4. MRRとARRの違いは何ですか?
A. MRRは月次経常収益、ARRは年次経常収益を示す指標で、算出期間が異なります。
Q5. チャーンレートとは何ですか?
A. 解約率を示す指標で、SaaS企業の成長を測る重要な要素の一つです。
Q6. SaaSモデルはAIとどのように関係しますか?
A. AIエージェントの普及により、SaaSモデル自体が進化する方向性が議論されています。
まとめ|今日からできる3つのこと
- 提供形態と料金体系を分けて理解する:同じ軸と誤解しません。
- MRRとARRを区別する:算出期間を混同しません。
- チャーンレートも確認する:新規契約数だけを見ません。