SaaSランキング|公的データで見る選び方
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- ランキングを鵜呑みにできない理由がわかる
- 公的データで見るSaaS市場の規模感がわかる
- 選定で重要な7観点がわかる
SaaSランキングサイトの情報をそのまま信じて選定を進めてよいか、迷うことがあります。公的機関が公表しているデータを基準にすれば、より客観的な判断ができます。業務カテゴリ別のランキングの見方はSaaSランキングを鵜呑みにしない見方を解説した記事で整理しています。本記事では、それを踏まえたうえで「運営主体・メソドロジー・更新性」という透明性の観点と、公的データで見る選び方を解説します。
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「SaaSランキング」を鵜呑みにできない理由
運営主体、メソドロジー(調査方法)、更新性という3点を確認できないランキングは、鵜呑みにできないと判断すべきです。これらが明示されていないランキングは、広告目的で作られている可能性があり、客観的な判断材料としては不十分です。
公的データで見るSaaS市場の規模感
総務省「令和7年版情報通信白書」によれば、企業のクラウドサービス利用率は80.6%に達しており、同省「令和6年通信利用動向調査」では利用効果を実感している企業が88.2%とされています。また、公正取引委員会の報告書では、一部領域における市場の寡占構造も指摘されています。こうした公的データを基準にすることで、ランキングサイトへの依存から脱却した判断ができます。
SaaS選定で重要な7観点
業務適合性、セキュリティ、コスト構造、拡張性、サポート、法規制対応、事業継続性という7つが、SaaS選定における重要な観点です。IPA(情報処理推進機構)の手引きでは、セキュリティ確認のためのチェックリストが参考資料として公開されています。
| 観点 | 確認内容 |
|---|---|
| 法規制対応 | 個人情報保護法等への対応状況 |
| 事業継続性 | 提供事業者の事業の安定性 |
業務領域別の「型」で整理する
業種を問わず使えるHorizontal型と、特定業界に特化したVertical型という「型」で業務領域を整理すると、ランキング順位よりも実用的な絞り込みができます。Horizontal型のうちコミュニケーション領域では、社内のスケジュール共有やファイル管理を担うグループウェアが代表的な位置づけにあります。
比較情報の読み解き方
比較情報を読み解く際は、公的統計を土台としつつ、ランキング情報は補助的な参考情報として位置づけることが望ましい姿勢です。上場しているSaaS企業については、IR資料等の一次情報を確認することも判断材料になります。
法規制対応・事業継続性を具体的に確認する方法
7観点のうち特に見落とされやすい「法規制対応」と「事業継続性」は、機能一覧や料金表には載っていない情報のため、公式サイトの別ページや問い合わせを通じて能動的に確認する必要があります。
法規制対応については、個人情報保護法への対応方針(プライバシーポリシー)に加えて、業種によっては業法(医療・金融・建設等)特有の要件を満たしているかも確認が必要です。多くのSaaSベンダーは「セキュリティ」や「コンプライアンス」といった専用ページを公式サイトに設けており、ISMS認証やISMAP登録の有無、データの保存地域(国内か海外か)といった情報を公開しています。こうした情報が見当たらない場合は、営業担当者への問い合わせ時に直接質問し、書面での回答を求めることをおすすめします。
事業継続性については、提供事業者の設立年数や資本金、上場企業であればIR資料といった情報から、事業の安定性をある程度推測できます。特にスタートアップ企業が提供するSaaSを業務の基幹システムとして導入する場合、サービス終了時のデータ移行手順や告知期間が契約書・利用規約に明記されているかを確認しておくと、万が一の際のリスクを抑えられます。IPA(情報処理推進機構)が公開しているセキュリティ関連の手引きには、こうした確認観点がチェックリスト形式でまとめられている場合があるため、選定作業の参考資料として活用できます。
SaaS選定でよくある失敗パターン3つ
ランキングだけを判断材料にする、法規制対応・事業継続性を見落とす、公的データを確認せず選定を進めるという3つが、SaaS選定でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:ランキングだけを判断材料にする。運営主体やメソドロジーを確認せず、広告目的の情報に依存するケースです。3点を確認する習慣をつけることが回避策になります。
失敗パターン2:法規制対応・事業継続性を見落とす。機能やコストだけを見て、7観点のうち見落としやすい2点を確認しないケースです。7観点すべてを確認することが回避策になります。
失敗パターン3:公的データを確認せず選定を進める。市場規模や利用実態を把握せず、感覚だけで判断するケースです。総務省等の公的データを土台にすることが回避策になります。
公的データを社内資料に引用する際の注意点
総務省やIPAといった公的機関のデータを稟議書や社内提案資料に引用する際は、出典・調査時点・調査対象の範囲を正確に明記することが、資料の信頼性を高めるうえで重要です。
「クラウド利用率は80.6%」という数値だけを切り出して引用すると、いつの時点の、どの規模の企業を対象にした調査なのかが伝わらず、決裁者から根拠を問われた際に答えられなくなることがあります。引用する際は「総務省『令和7年版情報通信白書』によると」のように出典を明記し、調査年度や対象範囲(全業種か特定業種か、企業規模の内訳等)まで確認したうえで資料に反映することをおすすめします。
また、公的データは毎年更新されることが多いため、過去に作成した資料を使い回す際は、最新のデータに差し替えられているかを確認する習慣も大切です。特に市場規模や普及率といった数値は年々変化するため、古い数値のまま社内稟議を進めると、後から「情報が古い」と指摘され、資料の信頼性そのものが疑われかねません。公的データを引用する際は、資料作成時点でその都度最新の公表資料を確認するプロセスを、社内のルールとして定めておくと安心です。
「運営主体・メソドロジー・更新性」を実際に確認する手順
ランキングサイトを開いたら、まずページ最下部やフッター、「運営会社」「当サイトについて」といったページを探し、運営主体が誰かを確認することから始めます。運営主体が個別のSaaSベンダー、あるいはベンダーから広告出稿を受けるメディア企業である場合、ランキングの上位表示は評価の客観性よりも広告契約の有無を反映している可能性があります。運営主体が独立した調査機関や公的性格を持つ団体であるかどうかで、ランキングの位置づけは大きく変わります。
次に確認すべきはメソドロジー(調査方法)です。「利用者アンケートの回答数と回収期間」「評価項目とその配点」「順位算出のロジック」が明記されているランキングは、少なくとも再現性のある方法で作られていると判断できます。一方、「編集部が独自に選定」といった曖昧な記述しかない場合、どのような基準で順位が決まったのかを外部から検証できません。特に、上位に表示されている製品の評価項目と、実際に自社が重視したい業務適合性やセキュリティといった観点が一致しているかも合わせて確認しておくと、ランキングの評価軸をそのまま自社の判断基準に流用してしまう失敗を避けられます。
最後に更新性です。SaaS市場は機能追加や料金改定、事業者の統合・撤退が頻繁に起こる領域のため、「最終更新日」が古いランキングは、実態と乖離した情報を含んでいるおそれがあります。更新日の記載がない、あるいは1年以上前から数値が変わっていないランキングは、参考情報としての鮮度が低いと考えたほうが安全です。この3点をチェックリスト化し、複数のランキングサイトを横断的に見比べる習慣をつけることで、特定サイトの偏りに左右されない選定が可能になります。
業種・企業規模によるSaaS選定基準の違い
同じ業務カテゴリのSaaSであっても、業種や企業規模によって重視すべき選定基準は異なります。Horizontal型・Vertical型という「型」の分類に加えて、自社の属性を踏まえた基準の重み付けを行うことが、ランキング順位に頼らない実務的な絞り込みにつながります。
従業員数十名程度の中小企業では、導入・運用にあてられる人員が限られているため、初期設定の容易さやサポート体制の手厚さが優先度の高い観点になりやすい傾向があります。一方、数百名規模以上の企業では、既存の基幹システムとの連携可否や、部門ごとに異なる権限設定への対応可否など、拡張性・カスタマイズ性の比重が相対的に高くなる場合があります。前述の7観点はどの規模の企業にも共通して当てはまる項目ですが、限られた検討時間の中でどの観点を先に深掘りするかという優先順位は、企業規模によって変えたほうが効率的です。
業種による違いも見逃せません。医療・金融・建設など個別の業法規制がある業種では、前述の「法規制対応」の確認がほかの観点よりも優先度の高い必須項目になります。業法上の要件を満たしていないSaaSを導入してしまうと、後から入れ替えが必要になり、データ移行や業務フローの再構築という二重のコストが発生しかねません。逆に、業法上の規制が比較的少ない業種では、業務適合性やコスト構造といった観点により重点を置いた比較検討が可能です。自社の業種特有の規制の有無を最初に整理したうえで、7観点の優先順位を決めていく進め方が、遠回りの少ない選定につながります。
社内の合意形成にランキング以外の材料をどう使うか
SaaS選定の稟議では、担当者個人が納得しているだけでは決裁が下りず、経営層や関連部門を説得できる材料が必要になります。ランキング順位は一見わかりやすい説得材料に見えますが、前述のとおり運営主体やメソドロジーが不透明な場合、決裁者から「この順位の根拠は何か」と問われた際に答えに窮する原因になります。公的データと7観点に基づく自社評価をあらかじめ資料化しておくことで、こうした質問にも具体的に答えられる状態を作れます。
具体的には、候補となる複数のSaaSについて、業務適合性・セキュリティ・コスト構造・拡張性・サポート・法規制対応・事業継続性の7観点を一覧表にまとめ、それぞれの確認結果(公式サイトでの確認済み事項、問い合わせ回答の要点等)を記録しておく方法が有効です。ランキング順位のような単一の指標に頼るのではなく、複数観点を並べて比較することで、なぜその候補を選んだのかという意思決定の過程そのものを説明できるようになります。特に法規制対応や事業継続性のように機能一覧だけでは見えにくい観点を明示的に記録しておくと、後から「その点は検討したのか」と問われた場合にも、確認済みであることを示せます。
また、比較表を作成する段階で、業種・企業規模に応じた優先順位(前述)をあらかじめ関係者間ですり合わせておくと、比較検討の途中で評価軸がぶれるのを防げます。稟議資料には、参照した公的データの出典と調査時点、参照したランキングサイトがあればその運営主体もあわせて明記しておくと、後から資料を見返す際にも判断の根拠をたどりやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSランキングはなぜ鵜呑みにできませんか?
A. 運営主体、メソドロジー、更新性が確認できないランキングは、広告目的の可能性があり客観的な判断材料として不十分です。
Q2. 企業のクラウド利用率はどれくらいですか?
A. 総務省「令和7年版情報通信白書」によれば80.6%とされています。
Q3. SaaS選定で重要な観点は何ですか?
A. 業務適合性、セキュリティ、コスト構造、拡張性、サポート、法規制対応、事業継続性の7点です。
Q4. 業務領域別の「型」とは何ですか?
A. 業種を問わないHorizontal型と、特定業界に特化したVertical型という2つの分類です。
Q5. 上場SaaS企業の情報はどう確認しますか?
A. IR資料等の一次情報を確認することが判断材料になります。
Q6. IPAのセキュリティチェックリストは活用できますか?
A. 活用できます。情報処理推進機構が公開する手引きが参考資料になります。
まとめ|今日からできる3つのこと
- ランキングの3点を確認する:鵜呑みにしません。
- 7観点すべてを確認する:法規制対応・事業継続性を見落としません。
- 公的データを土台にする:感覚だけで判断しません。