SaaSとAWSの違いとは?IaaS・PaaSとの関係と、自社に必要な方の判断フロー

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  • SaaSは提供形態、AWSは基盤とわかる
  • SaaSの代表例を業務領域別に確認できる
  • 自社に必要なのはAWSかSaaSか判断できる

SaaSとAWSは、同じ土俵で比べる言葉ではありません。SaaS(Software as a Service)は、完成品のソフトウェアをインターネット経由で使う「提供形態」の名前で、AWS(Amazon Web Services)は、サーバーやデータベースなどシステムの基盤(IaaS・PaaS)を中心に提供するクラウドサービスの名前です。AWSの公式ページでも、AWS自体がSaaSサービスを提供しているのではなく、SaaSアプリケーションを構築するための選択肢を用意していると説明されています。本記事では、両者の違いと位置づけ、SaaSの代表例、SaaSをAWS上で作る側の見方、自社に必要なのはAWSか既存のSaaSかを判断する流れ、よくある混同パターンまでを、業務担当者の目線で整理します。

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Q1. いま検討しているのは、どちらに近いですか?

目次

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  1. SaaSとAWSの違い|比べる対象のカテゴリーが異なる
  2. SaaSの代表例と業務領域|どんなサービスがSaaSなのか
  3. IaaS・PaaS・SaaSの利用形態による分類
  4. AWSの位置づけ|IaaS・PaaSを中心としたクラウド基盤
  5. AWSの上でSaaSを作る・提供する側の見方
  6. 自社に必要なのはAWSかSaaSか|判断フロー
  7. SaaSとAWSのよくある混同パターン4つ
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|SaaSとAWSを分けて考える5つのポイント
  10. 参考文献

SaaSとAWSの違い|比べる対象のカテゴリーが異なる

SaaSは「完成品のソフトウェアをネット経由で使う提供形態」、AWSは「Amazonのグループが提供するクラウドサービス群」の名前で、比べる軸が異なります。

SaaSとは|完成品をネット経由で使う提供形態

SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをインターネット経由で利用する形態です。AWSの解説では、サービスの保守や基盤の管理は事業者が担い、利用者はソフトウェアの使い方だけを考えればよいこと、料金はサブスクリプションや従量制で支払うことが特徴として説明されています(AWS「SaaS とは何ですか?」)。メール、チャット、会計、勤怠管理など、業務でふだん使っているクラウドツールの多くがSaaSです。

AWSでシステムを作り込む前に、完成品のSaaSで足りる業務があるかを確かめる場面で、身近な例が社内の連絡とタスク管理です。メールだけで連絡していると、大事な内容が大量のメールに埋もれたり、依頼したことを忘れられたりしやすくなります。こうした業務に向く完成品のSaaSの一例が、株式会社kubellが運営するビジネスチャットのChatworkです。商品ページで確認できる範囲では、チャットだけでなくビデオ通話・音声通話を標準で備え、タスク管理で完了したタスクが自動でチャットに通知され、アップロードしたファイルはチャット参加メンバーだけで共有できます。一方で、フリープランは過去40日分・5,000件までしか閲覧できないため、履歴を長く残したい場合は契約するプランを確認する必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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出典:go.chatwork.com

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Chatwork公式サイトの導入事例では、金属部品メーカーの株式会社モリチュウの代表取締役が、導入前の課題を次のように話しています(取材は2022年9月で、現在の機能やプランとは異なる場合があります)。

以前は社内のコミュニケーションツールとしてメールを使っていたのですが、大事な内容が大量のメールに埋もれることが多く、依頼しても忘れられてしまう事態が起きていました。

出典: Chatwork導入事例 株式会社モリチュウ

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AWSとは|システムを作るための基盤を提供するクラウドサービス群

AWS(Amazon Web Services)は、Amazonのグループが提供するクラウドサービスの総称です。仮想サーバーのAmazon EC2、ストレージのAmazon S3、データベースのAmazon RDSなど数多くのサービスで構成され、その中心はシステムを動かすための基盤(IaaS・PaaS)です。AWS自身も、AWSはSaaSサービスを提供するものではなく、SaaSアプリケーションを構築するための選択肢を提供するものと説明しています。

SaaSとAWSの違い早見表

観点 SaaS AWS
言葉の種類クラウドの提供形態の分類名特定の事業者が提供するクラウドサービス群の名前
提供されるものすぐに使える完成品のアプリケーションサーバー、ストレージ、データベースなど、システムを作る部品が中心
主な利用者業務部門の担当者、全社員エンジニア、情報システム部門、SaaSを開発する事業者
使い始めるまでアカウントを作成すれば当日から使える場合が多い設計、構築、設定、アプリの開発が必要
料金の考え方利用人数や契約プランに応じた月額・年額の定額制が主流使ったサーバーの時間やデータ量に応じた従量課金が基本
利用者が管理する範囲アカウント、権限、入力するデータOS、ミドルウェア、アプリ、ネットワーク設定などを含む広い範囲

つまり、正しい比較の組み合わせは「SaaSとIaaS・PaaS」、あるいは「AWSとGoogle Cloud・Microsoft Azure」です。「SaaSかAWSか」という問いは、実際には「完成品のツールを使うか、基盤を借りて自分で作るか」という問いに置き換えると整理しやすくなります。SaaSとクラウド全体の包含関係はSaaSとクラウドの違い|包含関係を整理で詳しく解説しています。

SaaSの代表例と業務領域|どんなサービスがSaaSなのか

SaaSの代表例は、メール・チャット・会計・人事・顧客管理・文書作成など、業務で使う完成品のクラウドツール全般で、業務領域ごとに探すと見つけやすくなります。

AWSの解説では、一般的に使われるSaaSアプリケーションの種類として、顧客関係管理(CRM)、企業資源計画(ERP)、メール配信、会計、人事、セキュリティ、コラボレーションツール、文書編集、通信、コンタクトセンターなどが挙げられています(AWS「SaaS とは何ですか?」)。身近な例は、ブラウザでメールを送受信するウェブメールです。メールを動かすサーバーやOSの保守を利用者が行わなくても、ログインするだけで使えます。業務領域ごとに整理すると、次のようになります。

業務領域 解決する主な業務 選ぶときに確認したい点
社内コミュニケーション(ビジネスチャット・グループウェア)連絡、予定の共有、タスクやファイルの共有履歴の保存期間、社外メンバーの招待、ビデオ通話の有無
会計・経理仕訳、請求書、経費精算法改正への対応、銀行や他システムとのデータ連携
人事・労務・勤怠勤怠管理、給与計算、入退社の手続き自社の就業ルールとの整合、閲覧権限の設定
顧客管理(CRM)・営業支援顧客情報、商談、問い合わせの管理入力の手間、他ツールとの連携
業務管理(ERP)販売、購買、在庫、会計をまたぐ管理既存システムからの移行、カスタマイズできる範囲
文書作成・共同編集資料や表計算の作成、複数人での同時編集共有範囲の設定、データの保存場所
ネットショップ(EC)運営商品の掲載、注文の受付、在庫・発送の管理対応する決済手段、デザインの自由度

業務領域が決まったら、同じ領域のサービスを比べて選びます。分野別の選び方はSaaSサービスの選び方|分野別カテゴリマップと5つの判断基準、メール・チャット・会計の身近な例はSaaS型の読み方と身近なサービス例が参考になります。

「5大SaaS企業」や「SaaSの代表企業」を知りたい場合は、注意したい点があります。公的な定義や統一された順位はなく、売上・導入社数・提供分野のどれで測るかによって顔ぶれが変わるためです。本記事では企業の順位づけは行わず、自社の業務領域から探す見方をすすめています。SaaS事業者の分類(ホリゾンタル・バーティカルなど)はSaaS業界とはで整理しています。

IaaS・PaaS・SaaSの利用形態による分類

IaaS・PaaS・SaaSは、クラウドサービスを「事業者がどこまで用意するか」で分けた3つの分類で、SaaSはクラウドサービスの一形態です。下に行くほど事業者の担当範囲が広がり、利用者の手間は減る一方で、自由に作り込める余地は小さくなります。

分類 事業者が提供するもの 利用者が用意・管理するもの たとえるなら
IaaS(Infrastructure as a Service)仮想サーバー、ストレージ、ネットワークOS、ミドルウェア、アプリ、データ土地と建物の骨組みだけを借りる
PaaS(Platform as a Service)IaaSに加え、OS、実行環境、データベースなどアプリ、データ内装と設備が整った部屋を借りる
SaaS(Software as a Service)アプリケーションまですべてアカウント、権限、データ家具付きの部屋にそのまま住む

ここで押さえておきたいのは、SaaSも裏側ではIaaSやPaaSの上で動いているという点です。AWSの解説でも、SaaSの事業者は自社のサーバーやデータベースでアプリケーションを動かす場合と、第三者のクラウド事業者のサーバーを利用する場合があるとされています。利用者からは基盤が見えないだけで、IaaS・PaaS・SaaSは「積み重なった層」の関係にあります。なお、クラウドに対して、自社でサーバーや機器を購入・設置して運用する形態はオンプレミスと呼ばれます。自由度は高い一方、機器の調達や設置、保守まで自社で担うため、準備に時間と費用がかかります。

IaaS・PaaS・SaaSそれぞれのメリットと注意点

3つの分類は、どれが優れているかではなく、自由度と手間のどちらを優先するかで選び分けるものです。AWSのような基盤(IaaS・PaaS)を選ぶか、完成品のSaaSを選ぶかを考える際は、それぞれの長所と注意点を並べて見ておくと判断しやすくなります。

分類 メリット 注意点
IaaSOSやスペックを自由に選べ、自社の要件に合わせて細かく構成できるOSの更新やセキュリティ対策まで自社で担うため、管理の手間と専門知識が必要
PaaS開発環境の準備や保守を任せられ、アプリの開発に集中できる使える言語や構成が事業者の用意したものに限られる
SaaS契約後すぐに使え、アップデートや保守の負担がほとんどない機能のカスタマイズには限りがあり、事業者のメンテナンスや障害の影響を受ける

業務担当者にとっての実務的な目安は、「自社で管理したい範囲が広いほどIaaSに近づき、手間を減らしたいほどSaaSに近づく」という点です。社内にインフラを管理する担当者がいない場合は、SaaSのカスタマイズの制約を受け入れ、業務の進め方をツールに合わせる方が現実的なことが多いでしょう。

3つの分類ごとの責任分界をさらに詳しく知りたい場合はSaaS・PaaS・IaaSの違いと責任分界を、DaaS(デスクトップ環境の提供)を含めた全体像はIaaS/PaaS/SaaS/DaaSの違いをあわせてご覧ください。本記事では、この分類の中でAWSがどこに位置するのかに焦点を当てます。

AWSの位置づけ|IaaS・PaaSを中心としたクラウド基盤

AWSは、仮想サーバーなどのIaaSとデータベースなどのPaaSを中心に、システムを作って動かすための部品を提供するクラウド基盤です。利用者は必要な部品を選んで組み合わせ、自社のシステムやサービスを作ります。代表的なサービスを分類に当てはめると、次のようになります。

主な分類 AWSのサービス例 何に使うか
IaaSAmazon EC2(仮想サーバー)、Amazon S3(ストレージ)、Amazon VPC(仮想ネットワーク)サーバーや保存領域を必要な分だけ借り、自由に構成する
PaaS・サーバーレスAWS Elastic Beanstalk(アプリ実行環境)、Amazon RDS(データベース)、AWS Lambda(サーバーを管理せずにプログラムを実行する仕組み)OSやデータベースの管理を任せ、アプリ開発に集中する
SaaSの流通AWS MarketplaceAWS上で提供されるソフトウェアやSaaSを探す

AWS公式のSaaS解説ページは、AWSはSaaSサービスを提供するものではなく、第三者のSaaSアプリケーションを構築するための多くのオプションを用意していると説明しています。AI関連のサービスなど、アプリケーションに近いサービスもありますが、主役はあくまで開発者向けの基盤であり、一般の業務担当者がAWSの管理画面を開いて日々の仕事をすることは多くありません。AWSのAIサービスについてはAmazonのAIとは?AWSのAIサービスをカテゴリ別に整理して解説で整理しています。

業務担当者から見たAWSとの関わり方

業務担当者がAWSと関わる場面は、大きく2つに分かれます。1つは、自社の情報システム部門や開発会社がAWS上で社内システムを作り、それを業務担当者が使うケースです。この場合、担当者から見れば「社内のWebシステム」であり、裏側がAWSであることを意識する必要はほとんどありません。もう1つは、契約しているSaaSの提供事業者がAWS上でサービスを動かしているケースです。こちらも利用者が直接AWSを操作することはなく、関わるとすれば「データがどの地域のデータセンターに保存されるか」「障害時にどのような対応をとるか」といった確認の場面です。

AWSの責任共有モデルとSaaS利用者の責任

AWSは、セキュリティについて「責任共有モデル」という考え方を示しています。AWSは「クラウドのセキュリティ」として、クラウドのサービスを動かすインフラストラクチャ(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、施設)を保護する責任を持ち、利用者は「クラウドにおけるセキュリティ」として、選んだサービスに応じた構成や、データ、アクセス権限の管理に責任を持つ、という整理です(AWS「責任共有モデル」)。

この考え方はSaaSにも当てはまります。SaaSでは、アプリまでを事業者が管理するため利用者の範囲は狭くなりますが、ゼロにはなりません。誰にどのアカウントを発行するか、退職者のアカウントを止めているか、共有リンクの公開範囲をどう設定するかは、利用者側の責任です。総務省も、クラウドサービスの設定ミスによる情報漏えいを防ぐため「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」を公表し、利用者と事業者それぞれの役割を示しています(総務省 報道資料)。AWSを使うかSaaSを使うかに関わらず、「自分たちが管理する範囲はどこか」を把握しておくことが大切です。

AWSの上でSaaSを作る・提供する側の見方

SaaSの提供事業者がAWSなどの基盤の上でSaaSを開発・運用することがあり、その場合も利用者が契約するのはAWSではなくSaaSそのものです。

「SaaS AWS」で検索すると、AWSの公式ページの多くはSaaSを提供する事業者向けの内容です。たとえばAWS SaaS Factoryプログラムは、AWSパートナーが新しいSaaS製品を構築したり、既存のアプリケーションをSaaSへ移行したりするのを支援するプログラムで、ベストプラクティスの資料やリファレンスアーキテクチャなどを提供しています(AWS SaaS Factory プログラム)。また、SaaSの基本要素を整理したAWSのホワイトペーパーは、SaaSという言葉がビジネスモデルと提供(デリバリー)モデルの両方を説明するために使われていると述べています(AWS「SaaS アーキテクチャの基礎」)。利用者の立場で「作る側」の話を深く知る必要はありませんが、次の3点を知っておくと、SaaSを選ぶときの確認項目が見えてきます。

マルチテナントとは|1つの仕組みを複数の契約者で共有する形

AWSの解説では、SaaS事業者は一般に「マルチテナント」のモデルを採用し、1つのバージョンのSaaSを事業者のサーバーで動かして、個々の契約者に提供するとされています。利用者にとっては、アップデートが事業者側でまとめて行われて手間がかからない一方、他の契約者と同じ仕組みを共有するため、個別の事情に合わせたカスタマイズには限りがある、という意味を持ちます。自社のデータが他社のデータと分けて管理されているかは、事業者の説明資料で確認したい点です。

AWS Marketplaceの位置づけ

AWS Marketplaceは、AWS上で提供されるソフトウェアを探せるサイトで、SaaSの区分もあります(AWS Marketplace)。SaaS提供事業者にとっては、AWS Marketplaceを通じてSaaSをお客様に提供する販売の窓口にもなります。掲載されている商品はそれぞれの事業者が提供するもので、機能や条件は個別に確認する必要があります。

SaaSを契約する前に事業者へ確認したい点

AWSの解説では、SaaSのサービスレベルアグリーメント(SLA)は、稼働率やセキュリティ、サポートなどについての期待事項と、利用者の責任を定めるものとされています。多くのSaaS事業者が99%や99.9%の稼働率を掲げているとも説明されていますが、契約内容は事業者ごとに異なります。SaaSを選ぶ際は、次の項目を各サービスの規約や説明資料で確認しておくと、導入後の想定外を減らせます。

確認項目 確認する理由 確認の仕方
稼働率とサポート(SLA)止まったときの影響と、問い合わせ先の対応範囲が変わる稼働率の目標、サポートの受付時間、障害の通知方法を規約で読む
データの所有と取得解約や乗り換えのときにデータを持ち出せるかで、将来の選択肢が変わるデータの出力形式、解約後のデータの扱いを確認する
データの保存場所と基盤社内規程や取引先の要件で、保存場所の確認が求められることがある利用しているクラウド基盤と、データを保存する地域を事業者に確認する
アカウントと権限の管理発行・停止・公開範囲の設定は利用者側の責任になる管理者権限の分け方、ログイン方法、退職者のアカウントを止める手順を決める

事業者がどの情報をどう開示しているかを比べる際は、総務省が公表している「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示指針」も参考になります(総務省 報道資料)。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の契約内容についての法的助言ではありません。契約条件は各事業者の規約で確認してください。

自社に必要なのはAWSかSaaSか|判断フロー

他社にもよくある業務なら既存のSaaS、独自のシステムを作る価値があり体制も確保できるならAWSなどの基盤、というのが基本の判断です。次の4つの問いに順番に答えていくと、どちらを先に検討すべきかが見えてきます。

問い 「はい」の場合 「いいえ」の場合
1. 解決したい業務は、他社にもよくある業務か(連絡、予定、申請、会計、勤怠など)既存のSaaSがある可能性が高い。問い2へ自社独自の業務。問い3へ
2. 既存SaaSの機能で、業務の8割程度をまかなえそうかSaaSを導入し、業務の進め方をツールに合わせる方向で検討するカスタマイズ性の高いSaaSや、ノーコードツールも含めて比較する。それでも不足すれば問い3へ
3. その業務のシステムが、自社の競争力や商品そのものに直結するか独自開発する価値がある。問い4へ作り込みの費用に見合わないことが多い。SaaSに戻って業務側の見直しを検討する
4. 設計・開発・運用を担える人材や委託先を確保できるかAWSなどのIaaS・PaaSで構築する選択肢が現実的になる体制づくりが先。当面はSaaSで運用しながら準備を進める

多くの中小企業では、問い1で「はい」、問い2でも「はい」となり、SaaSで十分という結論になります。AWSが本当に力を発揮するのは、自社のサービスをインターネット上で提供したい、独自の業務システムを作りたいといった、「作ること」自体に目的がある場面です。逆に、社内の情報共有をよくしたいという目的でAWSから検討を始めると、サーバーの構築やソフトの選定、保守まで自前で抱えることになり、遠回りになりがちです。

また、SaaSとAWSはどちらか一方を選ぶものでもありません。社内の連絡や依頼の管理はビジネスチャットなどのSaaSで整え、顧客向けの独自サービスだけをAWSで開発するというように、業務ごとに使い分けるのが一般的です。最初の一歩としては、全社員が毎日使う連絡の土台をSaaSで整えておくと、その後にどの業務をシステム化すべきかも見えやすくなります。問い1と問い2を日々の業務に置き換えた、次のセルフチェックも試してみてください。当てはまる項目が多いほど、AWSで作り込む前に既存のSaaSで足りる可能性が高いと考えられます。

AWSで作る前に、既存のSaaSで足りる業務かセルフチェック

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SaaSとAWSのよくある混同パターン4つ

SaaSとAWSを同じものとして捉えると、検討の順番や費用の見積もりがずれてしまいます。現場でよく見られる混同と、その整理の仕方をまとめました。

よくある混同(Before) 正しい整理(After)
1. 「クラウド化する=AWSを契約する」と考え、業務アプリの用意を後回しにするAWSを契約しただけでは業務に使えるアプリは手に入らない。解決したい業務に合う完成品のSaaSがあるかを先に確認する
2. 「SaaSとAWSはどちらが安いか」を月額料金だけで比べるAWSは使った分の料金に加え、構築・開発・保守の人件費や委託費がかかる。SaaSの利用料と比べるなら、運用にかかる総額で比べる
3. 「AWS上で動いているSaaSなら安全」と考え、設定を確認しない基盤の安全性と、利用者側のアカウントや共有設定の管理は別の問題。権限設定や退職者のアカウント停止は利用者の責任として運用する
4. 「AWSはIT部門の話」として、業務部門が要件を出さないAWSで作るかSaaSを使うかに関わらず、何の業務を、誰が、どう変えたいかは業務部門が決める。要件が固まってから手段を選ぶ

特に2つ目の費用の比較は誤解が生まれやすい点です。AWSは必要な分だけ使えて無駄が少ないといわれますが、それはシステムを作れる体制があることが前提です。社内にエンジニアがいない場合、構築と保守を外部に委託する費用が継続的に発生します。一方、SaaSは利用料の中に開発・保守・アップデートの費用が含まれていると考えられます。比較の際は、表面上の料金ではなく「その業務が回る状態を維持するための総額」で見ることが大切です。

3つ目の設定の問題については、総務省が設定ミスの具体例と対策をまとめた「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」も公表しています(総務省 報道資料)。SaaSの利用者向けの確認項目も含まれているため、導入時の社内ルールづくりの参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. AWSはSaaSですか?IaaSですか?

A. AWSはSaaSではなく、仮想サーバーなどのIaaSやデータベースなどのPaaSを中心としたクラウド基盤です。AWS公式の解説でも、AWSはSaaSサービスを提供するものではなく、SaaSアプリケーションを構築するための選択肢を提供するものと説明されています。完成品の業務アプリを使う形態であるSaaSとは、分類上の位置づけが異なります。

Q2. SaaSとAWSの違いを簡単にいうと何ですか?

A. SaaSは「完成品のソフトウェアをインターネット経由で使う」という提供形態の名前で、AWSはAmazonのグループが提供するクラウドサービス群の名前です。SaaSはすぐに業務で使え、AWSはシステムを作るための基盤として使う、という違いがあります。

Q3. SaaSの代表例にはどのようなものがありますか?

A. AWSの解説では、顧客関係管理(CRM)、企業資源計画(ERP)、メール配信、会計、人事、コラボレーションツール、文書編集、通信などが、一般的なSaaSの種類として挙げられています。社内連絡ならビジネスチャット、経理なら会計ソフトのように、業務領域ごとに考えると探しやすくなります。「5大SaaS企業」には公的な定義や統一された順位がなく、何で測るかによって顔ぶれが変わります。

Q4. SaaSはクラウドサービスですか?AWSの上で動いているのですか?

A. SaaSは、ソフトウェアをインターネット経由で提供するクラウドサービスの一形態です。提供事業者がAWSなどのクラウド基盤の上でSaaSを動かしている場合もありますが、自社のデータセンターや他の基盤を使っているSaaSもあります。利用者が直接AWSを操作することはなく、気になる場合はデータの保存場所や障害時の対応を事業者に確認します。

Q5. 中小企業がAWSを使う必要はありますか?

A. 社内の連絡、予定、申請、会計、勤怠のように他社にもよくある業務であれば、既存のSaaSで足りることがほとんどです。自社のサービスをインターネット上で提供したい、独自の業務システムを作りたいなど、開発すること自体に目的があり、開発・運用の体制を確保できる場合にAWSが候補になります。

Q6. SaaSを使えばセキュリティ対策は事業者に任せられますか?

A. 基盤やアプリの管理は事業者が担いますが、アカウントの発行・停止、権限の設定、共有リンクの公開範囲などは利用者の責任です。AWSの責任共有モデルや、総務省のクラウドサービスの設定に関するガイドラインでも、利用者側の管理の重要性が示されています。

まとめ|SaaSとAWSを分けて考える5つのポイント

SaaSとAWSは、比べる対象のカテゴリーが異なります。SaaSは完成品のソフトウェアをネット経由で使う提供形態で、AWSはIaaS・PaaSを中心にシステムを作るための基盤を提供するクラウドサービスです。本記事のポイントは次の5つです。

  1. 「SaaSかAWSか」は、「完成品のツールを使うか、基盤を借りて自分で作るか」という問いに置き換えて考える
  2. 他社にもよくある業務で、既存SaaSの機能で大半をまかなえるなら、SaaSから検討する
  3. 費用は月額料金だけでなく、構築・開発・保守を含めた総額で比べる
  4. AWSでもSaaSでも、アカウントや権限の管理は利用者の責任として運用し、SaaSを契約する前にSLAやデータの取得方法も確認する
  5. 社内連絡や依頼の管理のように完成品で足りる業務は、ビジネスチャットなどのSaaSを候補に入れ、資料で機能と条件を確認する

5つ目の第一歩として、メールに埋もれる連絡や依頼の管理をまず完成品のSaaSで整えたい場合は、チャット・タスク管理・ビデオ通話を1つのサービスで使えるChatworkのようなビジネスチャットを検討してみてください。サービスの特徴や注意点は、商品ページで確認できます。

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