AIで「ジブリ風」デザイン・ロゴを業務に使う前に知るべき著作権論点

Check!

  • 作風の模倣と著作権侵害の線引きがわかる
  • 作り方・アイコン・ロゴで見る点がわかる
  • 規約・商標・社内ルールの確認手順がわかる

「ジブリ風」と指示してAIで画像を作り、SNSの投稿やアイコン、店舗のポスター、さらには自社ロゴにまで使いたいと考える企業が増えています。結論からいえば、日本の著作権法では作風や画風そのものは保護の対象ではなく、「ジブリ風」の雰囲気が似ているだけで直ちに侵害になるわけではありません。ただし、特定のキャラクターや場面に似た画像、作品名を前面に出した宣伝、既存の商標と紛らわしいロゴは、著作権法以外の法律も含めてリスクが高まります。この記事では、ChatGPTなどで「ジブリ風」画像を作る方法の基本から、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」にもとづく判断基準、アイコンやロゴで使うときの注意、社内で確認する手順までを整理します。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の案件についての法的助言ではありません。

「ジブリ風」AI画像を使う前に、確認の優先順位を診断

Q1. 「ジブリ風」の画像を、どんな用途で使う予定ですか?

目次

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  1. 「ジブリ風」のAI画像は違法?結論と、業務で迷ったときの相談先
  2. ChatGPTなどで「ジブリ風」画像を作る方法と、業務で使うときの前提
  3. 文化庁「AIと著作権に関する考え方」の基本|作風・画風の模倣は侵害ではない
  4. 類似性と依拠性|著作権侵害が問われるケースと、問われたときの措置
  5. 具体的なキャラクターの再現はリスクが高い
  6. 商標権・不正競争防止法のリスクにも注意
  7. 公開・配信方法にも注意|SNSアイコン・広告・ロゴで確認の深さは変わる
  8. 業務利用時の実務的な対応フロー
  9. 公開前の確認チェックリスト|社内ルールと契約は整っているか
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ
  12. 参考文献

「ジブリ風」のAI画像は違法?結論と、業務で迷ったときの相談先

「ジブリ風」と指示してAI画像を作ること自体は、作風が似ているだけなら著作権侵害になりません。ただし、特定のキャラクターや場面に似た画像は、侵害になる可能性があります。

画像の中身だけで話は終わりません。ロゴや看板に使うなら商標、外部の制作会社に頼むなら発注時の取り決め、社内で使うなら利用ルールと記録の整備が必要になります。いずれも担当者の感覚で判断すると、人によって結論がぶれやすい部分です。弁護士にオンラインで相談できる窓口や、契約書・社内規程を整えて見直せる仕組みを持っておくと、確認の質をそろえやすくなります。AI画像の権利確認まわりで使えるサービスを、役割の違いで並べると次のとおりです(各商品ページの記載を2026年10月15日に確認。優劣を示すものではありません)。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の案件についての法的助言ではありません。

ChatGPTなどで「ジブリ風」画像を作る方法と、業務で使うときの前提

ChatGPTなどの対話型AIでは、場面を文章で指示するか、自社で権利を持つ写真を添付して指示すると「ジブリ風」の画像を作れます。業務で使うなら、操作よりも先に入力する素材と利用規約を確認します。

画面の操作や無料で使える回数はサービスの更新に合わせて変わるため、具体的な手順は各サービスの公式ヘルプで確認してください。ここでは、業務で使う場合に共通する流れと確認事項をまとめます。

  1. 使うAIサービスを決め、利用規約で商用利用の可否と入力データの扱いを確認する。
  2. 場面を文章で指示するか、自社で撮影した写真など権利を整理できる素材だけを添付する。
  3. 作品名やキャラクター名ではなく、「やわらかい水彩調の色合い」「朝の光」「手描き風の線」のように、色合い・光・線の特徴で指示する。
  4. 出力を確認し、気になる点を言葉で直して再生成する。
  5. 採用した画像、指示文、サービス名、確認した人と日付を記録する。

「ジブリ風」の一言だけでも画像は作れますが、この言葉は特定の作品群を意識した指示になります。イメージを固める試作の段階で使うのは構いません。社外に出す画像は、手順3のように作品名を含まない指示で作り直しておくと、後から経緯を説明しやすくなります。

無料で使える?スマホアプリはある?

「ジブリ風」に変換できるWebサービスやスマートフォンアプリは数多くあり、無料で試せるものもあります。ただし、無料枠の回数や画質、商用利用の可否はサービスごと、時期ごとに異なります。「無料で作れる」ことと「業務で公開してよい」ことは別の話なので、使う前に規約の商用利用の条件を確認してください。無料ツールの選び方は、AI画像生成の無料ツールを比較|3つの無料枠タイプと選び方の5観点、商用利用の注意点で詳しく整理しています。

利用規約で確認する4つの点

AIサービスの規約は、画像を業務で公開する前に必ず読んでおきたい文書です。確認する点と、見るべき理由を表にまとめます。

確認する点 見るところ 業務で気をつける理由
生成物の権利 生成物の所有や利用について、規約がどう定めているか OpenAIの利用規約(日本語版)は、適用される法律で認められる範囲で、利用者がアウトプットを所有するとしています。同時に、アウトプットが他のユーザーのものと似る場合があること、本コンテンツが法令や規約に違反しないことの責任は利用者にあることも定めています。権利を認める規定があっても、第三者の権利を侵害していないことの保証にはなりません
入力データの扱い 入力した写真や文章が、サービスの改善や学習に使われるか。使わない設定にできるか OpenAIの利用規約は、本コンテンツをサービスの提供や改善などに使う場合があるとし、モデルの学習に使われたくない場合は使用停止(オプトアウト)を要求できるとしています。人物の写真を入力する場合は特に重要です
商用利用の条件 無料プランと有料プランで、商用利用の扱いが異なるか 無料枠で試作した画像を、そのまま広告や販促物に使ってよいとは限りません
責任の範囲 第三者の権利侵害が起きたとき、サービス側と利用者のどちらが対応するか 規約によっては、確認の責任を利用者に置いている場合があります。担当者が個人の判断で受け入れず、社内で確認してから使います

OpenAIの規約の内容は、2026年10月15日に確認した日本語版にもとづきます。規約は改定されるため、使う時点の最新版を確認してください。写真を入力する場合は、写真そのものの権利と、写っている人の扱いも確認が必要です。詳しくは、後述の手持ちの写真を「ジブリ風」に変換するときの注意点で整理します。

文化庁「AIと著作権に関する考え方」の基本|作風・画風の模倣は侵害ではない

作風や画風は表現に至らないアイデアにあたり、著作権の保護対象ではありません。作風や画風が似ているだけで、既存の著作物との類似性が認められない生成物は、著作権侵害にならないというのが文化庁の整理です。

文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月に取りまとめた「AIと著作権に関する考え方について」でも、作風や画風といったアイデア等が類似するにとどまる生成物は、生成・利用しても既存の著作物との関係で著作権侵害にならないとされています。2025年4月の衆議院内閣委員会でも、政府側から、作風やアイデアが似ているだけであれば著作権侵害にはあたらないとの見解が示されたと報じられています(FNNEWS JAPANの報道)。ただし、最終的に侵害かどうかを判断するのは裁判所であり、この見解が個別の画像の安全性を保証するものではありません。

作風・画風・「〇〇風」は、どこまでが保護されないのか

文化庁の考え方は、作風や画風といったアイデア等をひとまとめにして扱っています。水彩調の背景、やわらかな色合い、のどかな田園風景といった要素は、多くの作品に共通する作風や題材にあたります。一方、特定のキャラクターの顔立ちや衣装、印象的な場面の構図は、具体的な表現です。「ジブリ風」の雰囲気は前者、特定のキャラクターの描き方は後者に近づく、と整理すると判断しやすくなります。

同じ「考え方」では、AIと著作権の関係を「開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けて整理しています。企業がAI画像を業務で使う場面の多くは後者で、ここでは人が描いた絵と同じ基準、つまり既存の著作物との類似性と依拠性で侵害かどうかが判断されます。

段階 主に問題になる行為 基本的な考え方
開発・学習段階 AIに既存の画像などを学習させる 著作権法第30条の4により、情報解析のための利用は原則として許諾なく行えるとされる。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合などは例外になる
生成・利用段階 AIで画像を生成し、公開・販売・宣伝に使う 通常の著作権侵害と同じく、既存の著作物との類似性と依拠性で判断される
生成物の権利 AIで作った画像に自社の著作権が生じるか 簡単な指示だけで生成したものは著作物と認められにくい。人の創作的な関与の程度によって判断される

業務担当者にとって大切なのは、表の3段目です。同じ「考え方」は、指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合、生成物に著作物性は認められないとしています。短いプロンプトだけで生成した「ジブリ風」のロゴやイラストは、自社の著作物として認められにくいと考えられます。つまり、他社に同じような画像を使われても、著作権を根拠に止めるのは難しい可能性があります。ロゴのように会社の顔として使う画像は、著作権だけに頼らず、商標登録で守るという発想が必要になる理由がここにあります。

類似性と依拠性|著作権侵害が問われるケースと、問われたときの措置

著作権侵害は、生成した画像が既存の作品の創作的な表現に似ている「類似性」と、既存の作品をもとにして作られた「依拠性」の両方がそろったときに問題になります。どちらか一方だけでは侵害にはなりません。

類似性:似ているのは「雰囲気」か「表現」か

類似性は、既存の作品の表現上の本質的な特徴を、生成画像から直接感じ取れるかどうかで判断されます。水彩調の背景、やわらかな色合い、のどかな田園風景といった要素は、それだけで類似性が認められることは考えにくいとされています。一方、特定のキャラクターの顔立ちや衣装、印象的な場面の構図まで似ていれば、表現が似ていると判断される可能性が高まります。

依拠性:プロンプトと学習データの扱い

文化庁の「考え方」では、AIの利用者が既存の著作物を認識しており、その創作的表現を持つものを生成させた場合は、依拠性が認められ、著作権侵害が成立しうるとしています。例として、既存の著作物そのものを入力して画像を得る場合や、作品の題号などの固有名詞を入力する場合が挙げられています。作品名やキャラクター名をプロンプトに入れる、既存の画像を読み込ませて似た画像を作らせるといった使い方は、依拠性を裏付ける事情になりやすい点に注意が必要です。また、利用者が既存の作品を知らなかったとしても、AIの学習データにその作品が含まれていれば、依拠性が推認される場合があるとも整理されています。

ケース 類似性 依拠性 リスクの目安
やわらかい水彩調の風景を抽象的な言葉で生成 認められにくい 認められにくい 低い
「ジブリ風」と指示し、オリジナルの人物や風景を生成 出力次第 作品群を意識した指示になる 出力の確認が必要
作品名やキャラクター名を指定して生成 認められやすい 認められやすい 高い
作品の場面画像を読み込ませて加工 認められやすい 認められやすい 非常に高い

表の2段目のように「ジブリ風」という言葉を使うこと自体は直ちに違法ではありませんが、特定の作品群を思い浮かべた指示であることは否定しにくくなります。業務で使う場合は、最終的に採用する画像のプロンプトから作品や制作会社を連想させる言葉を外し、色合いや線のタッチなどの抽象的な特徴で指示し直すと、依拠性の面でも説明しやすくなります。

侵害になったときの措置|故意・過失の有無で変わる

文化庁の「考え方」は、侵害が認められた場合に受けうる措置として、差止請求、損害賠償請求、刑事罰を挙げています。差止請求は故意や過失がなくても可能です。これに対して、損害賠償請求には故意または過失が、刑事罰には故意が必要とされています。利用者が侵害の元になった著作物を認識していなかった場合は、受けうる措置は差止請求にとどまり、損害賠償や刑事罰の対象にならないと整理されています。ただし、著作物の使用料相当額などについて、不当利得の返還を求められる可能性は残ります。

「知らなかった」場合でも差止請求は受けうるため、公開後に指摘されれば、画像の公開停止や差し替えが必要になります。看板や印刷物に展開したあとでは、その手間と費用が大きくなります。公開前の確認で防ぐことが、いちばん現実的な対策です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の案件についての法的助言ではありません。

AI画像の権利確認を支える2サービスの役割を比較表で見る

具体的なキャラクターの再現はリスクが高い

作風の模倣と、特定のキャラクターの再現はまったく別の問題です。有名作品のキャラクターに似た画像は、たとえ細部が異なっていても、顔立ちや体型、衣装などの特徴が一致していれば類似性が認められる可能性があります。キャラクターは商品化によって大きな経済的価値を生むため、権利者が権利侵害に敏感であることも考慮しておく必要があります。

画像生成AIは、プロンプトに名前を入れなくても、学習した有名なキャラクターに近い姿を出力してしまうことがあります。「森の中の大きな生き物」「空を飛ぶ少女」のような抽象的な指示でも、結果として有名な場面に似た構図になる場合があるため、生成後の目視確認は欠かせません。確認する際は、担当者1人の感覚に頼らず、複数人で「特定の作品を思い出すか」を見ると判断のばらつきを抑えられます。

手持ちの写真を「ジブリ風」に変換するときの注意点

文章で指示して一から生成するのではなく、手持ちの写真をAIに読み込ませて「ジブリ風」のイラストに変換する使い方も広がっています。店舗の外観やスタッフの集合写真、イベントの様子をイラスト化してSNSや採用ページに使うといった場面です。この使い方では、作風の問題に加えて、読み込ませる写真そのものの権利と、写っている人の情報の扱いを確認する必要があります。

確認する対象 起こりやすい問題 事前に確認すること
写真の権利 外部のカメラマンや素材サイトの写真を、許諾の範囲を超えて加工してしまう 自社で撮影した写真か、加工や商用利用が契約や素材の利用規約で認められているか
写っている人 従業員や顧客の顔写真を、本人が知らないままイラスト化して公開する イラスト化して公開することについて本人の了承を得ているか
入力したデータの扱い 読み込ませた写真が、AIサービス側で学習などに使われる 入力データを学習に使わない設定や契約になっているか、削除の方法はあるか

このうち入力したデータの扱いについては、個人情報保護委員会が2023年6月に公表した「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」が参考になります。この中では、事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合は利用目的の達成に必要な範囲内かを確認すること、本人の同意なく入力した個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われると個人情報保護法に違反する可能性があるため、サービス提供者が機械学習に利用しないことなどを確認することが求められています。人物が写った写真を変換する場合は、試作の段階であっても、入力データを学習に使わない設定にできるサービスを選び、利用規約とプライバシーポリシーを先に確認しておきましょう。イラストにすれば本人だと分からなくなるとは限らないため、公開前に写っている本人へ仕上がりを見せて了承を得ておくと、後からの削除依頼やトラブルを避けやすくなります。

商標権・不正競争防止法のリスクにも注意

ロゴや名称として使う場合は、著作権よりも商標権が問題になりやすくなります。商標権は、登録された商標と同一または類似の標章を、指定された商品やサービスについて使うことを禁じる権利です。

法律 問題になりやすい使い方 確認すること
著作権法 特定のキャラクターや場面に似た画像を公開・販売する 既存の作品との類似性と依拠性
商標法 登録商標と紛らわしいロゴや名称を、同じか似た商品・サービスに使う 先行商標の有無と、使う商品・サービスの区分
不正競争防止法 有名な作品名やロゴを出して、公式の商品やコラボ企画のように見せる 出所の混同を招く表示や、著名な表示へのただ乗りになっていないか

AIで作ったロゴが偶然、他社の登録商標と似た形になることは十分に起こりえます。特に動物やキャラクターを図案化したロゴは似たデザインが多く、文字だけのロゴよりも類否の判断が難しくなります。

不正競争防止法では、広く知られた他人の商品表示と混同を生じさせる行為や、著名な表示を自分の商品表示として使う行為が問題になります。「ジブリ風ロゴをAIで作りました」のように有名作品の名前を宣伝文句に使うと、公式の関連商品であるかのように受け取られるおそれがあり、宣伝の仕方そのものがリスクになります。社外に向けては、参照した作品の名前を出さず、自社のオリジナルデザインとして案内するのが基本です。

先行商標の簡易的な確認は、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営する無料の特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」でも行えます。ただし、図形商標の類否は文字商標よりも判断が難しく、使う商品やサービスの区分によって結論が変わります。ロゴの作成から商標登録までの流れは、AIロゴ作成の手順|商標登録・著作権の注意点と6ステップで解説しています。

ロゴを店舗の看板や商品パッケージ、Webサイトなどに展開すると、あとから差し替えるときのコストは大きくなります。長く使うロゴは、公開や印刷の前に先行商標との類似を確認し、必要に応じて弁護士や専門士業に商標登録を相談する方法があります。先ほど触れたクラウドリーガルは、商標登録の手続きで、先行商標の調査や回避方法についてアドバイスを受けられるとされています。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の案件についての法的助言ではありません。

公開・配信方法にも注意|SNSアイコン・広告・ロゴで確認の深さは変わる

同じ画像でも、公開範囲が広く、差し替えが難しい用途ほど、確認を深くする必要があります。会社の業務での利用は、社内資料であっても私的使用にはあたりません。

著作権法は、個人的または家庭内など限られた範囲での利用を私的使用として認めています。社内資料であっても、業務で使う以上はこの範囲を外れるため、権利への配慮が必要です。

用途 見る人の範囲 差し替えのしやすさ 求められる確認の深さ
社内の企画書・イメージ共有 社内の関係者 容易 キャラクターに似ていないかの目視確認
SNS投稿・ブログの挿絵 不特定多数 削除はできるが拡散後は残る 複数人での類似確認と宣伝文句の確認
SNSのアイコン・プロフィール画像 不特定多数、長期間 変更は容易だが、使った期間の履歴は残る 類似確認に加え、人物写真の場合は本人の了承
広告・販促物・商品パッケージ 不特定多数、長期間 印刷後は難しい 類似確認に加え、法務担当や専門家の確認
会社や商品のロゴ 不特定多数、長期間 非常に難しい 商標調査と出願の検討まで含めた確認

SNSでは、画像が拡散されることで、投稿した企業が想定していなかった範囲にまで届きます。権利の問題に加えて、「有名作品の人気に便乗している」と受け取られると、法的な結論とは別に企業の評判が傷つくこともあります。公開範囲が広く、差し替えが難しい用途ほど、確認の段階を増やしておくのが現実的です。

ジブリ風のアイコンを作って使ってもよい?

SNSのプロフィール画像やアイコンは、不特定多数に表示される公開利用です。個人が家庭内などの限られた範囲で楽しむ私的使用とは異なります。作風が似ているだけであれば著作権侵害にはなりにくい一方で、特定のキャラクターに似た画像は避ける必要があります。自分や従業員の顔写真をイラスト化する場合は、写真の権利と本人の了承を確認し、入力データを学習に使わない設定のサービスを選んでください。企業アカウントのアイコンは、実質的に会社のロゴとして使われるため、長く使うなら商標の確認も検討しましょう。

業務利用時の実務的な対応フロー

業務で使うときは、試作と本番を分け、後から説明できるように記録を残すのが基本です。次の6つの順で進めると、確認の抜けを防げます。

  1. 用途を決める:社内共有、SNS、広告、ロゴのどれに使うかを最初に決め、必要な確認の深さを判断する。
  2. 試作する:イメージを固める段階では「ジブリ風」などの言葉を使ってもよいが、この段階の画像は社外に出さない。
  3. 抽象的な言葉で作り直す:気に入った要素を色合い、線のタッチ、光の表現などの言葉に置き換え、作品名や制作会社名を含まないプロンプトで作り直す。
  4. 類似を確認する:複数人で特定の作品を思い出さないかを確認し、必要に応じて画像検索でも似た画像がないかを調べる。
  5. 権利を確認する:ロゴや長く使う表示であれば、先行商標を調べ、必要に応じて専門家に相談する。
  6. 記録を残す:採用した画像、使ったプロンプト、AIサービス名、確認した人と日付を保存する。

6番目の記録は見落とされがちですが、依拠性を問われたときに、作品名を使わずに独自の指示で作ったことを示す材料になります。デザインを外部の制作会社に依頼する場合は、AIを使うかどうか、権利の確認をどちらが担うのかを、発注時の契約や発注書で取り決めておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

このフローを決めていない場合とルール化した場合とでは、1枚の画像を公開するまでの流れが大きく変わります。

ルールなしで利用 確認フローを決めて利用

担当者の感覚で公開まで進んでしまう状態

  • 「ジブリ風」で生成した試作画像を、そのままSNSに投稿する
  • 投稿文に作品名を入れ、閲覧者から便乗ではないかと指摘される
  • どのプロンプトで作ったか記録がなく、問い合わせに説明できない
  • ロゴに転用したあとで、似た登録商標があることに気づく

こうした取り決めは、口頭や担当者のメモで済ませると、担当者が替わったときに引き継がれません。利用ルールを社内規程や手順書として文書にし、制作会社との契約書に権利確認の分担を明記して、いつでも見直せる状態にしておくことが、確認の質を保つ土台になります。文書の作成やレビューをAIで支えるLAWGUEのようなツールは、過去の契約書や条項を検索して再利用できるため、ひな形づくりを進めやすくなります。

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公開前の確認チェックリスト|社内ルールと契約は整っているか

AI画像の確認を担当者任せにしていないかを、会社の備えの面から確認します。当てはまる項目が多いほど、仕組みづくりが必要な状態です。

AI画像を使う前の備えは、いまの体制で足りている?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

最後の2項目は、画像編集や社内の目視だけでは判断できない部分です。ロゴや店舗名、商品名と一緒に使うデザインは、公開後に類似を指摘されると看板や印刷物、Webサイトなど多くの媒体で差し替えが必要になります。自社で確認しきれない場合は、専門家に任せる方法も検討しましょう。AI画像の業務活用の全体像は、AI画像生成の業務活用ガイド|著作権3局面と安全な運用フローも参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「ジブリ風」のAI画像を作ることは違法ですか?

A. 作風や画風が似ているだけであれば著作権侵害にはあたらないとされており、「ジブリ風」と指示すること自体が直ちに違法になるわけではありません。ただし、生成された画像が特定のキャラクターや場面の表現に似ている場合や、既存の作品の画像を入力して作った場合は、侵害になる可能性があります。

Q2. ChatGPTでジブリ風の画像を作るにはどうすればよいですか?

A. 場面を文章で指示するか、自社で権利を持つ写真を添付して指示します。業務で使う場合は、作品名やキャラクター名を入れず、色合いや光、線のタッチなどの言葉で指示し、利用規約と入力データの扱いを先に確認してください。画面の操作や無料枠はサービスの更新で変わるため、公式ヘルプで確認しましょう。

Q3. ジブリ風のアイコンを作って使ってもよいですか?

A. 作風が似ているだけなら著作権侵害にはなりにくいですが、特定のキャラクターに似た画像は避けてください。SNSのアイコンは不特定多数に表示される公開利用で、私的使用の範囲には入りません。顔写真を変換する場合は本人の了承が必要で、企業アカウントのアイコンはロゴと同様に商標の確認も検討しましょう。

Q4. 「ジブリ風」のAI画像を商用利用してもよいですか?

A. 作風が似ているだけであれば、商用利用でも著作権侵害にはあたりにくいとされています。ただし、作品名を宣伝に使うと不正競争防止法上の問題になるおそれがあり、利用したAIサービスの規約も確認が必要です。広告や販促物に使う場合は、法務担当や専門家の確認を受けると安心です。

Q5. AIで作った「ジブリ風」ロゴを自社ロゴとして使えますか?

A. 使うこと自体は可能ですが、既存の登録商標と紛らわしくないかを事前に確認する必要があります。また、簡単な指示だけで生成したロゴは著作物と認められにくく、著作権では守りにくいため、長く使うなら商標登録も検討しましょう。

Q6. 似た画像を公開してしまったときはどうすればよいですか?

A. まず公開を停止し、使ったプロンプトや公開範囲を整理したうえで、社内の法務担当や弁護士・弁理士などの専門家に相談しましょう。記録が残っていれば、どのように作った画像かを説明しやすくなります。

まとめ

「ジブリ風」の作風をまねてAIで画像を作ること自体は、日本の著作権法では直ちに侵害にはあたらないとされています。一方で、特定のキャラクターや場面に似た画像、作品名を使った宣伝、既存の商標と紛らわしいロゴは、著作権法、不正競争防止法、商標法のそれぞれでリスクになります。業務で使う前に、次の5つを押さえておきましょう。

  1. 試作と本番を分け、本番用の画像は作品名を含まない抽象的な指示で作り直す。
  2. 使うAIサービスの規約と、入力データの扱いを先に確認する。
  3. 公開前に複数人で類似を確認し、宣伝文句から作品名を外す。
  4. プロンプトと確認者の記録を残し、利用ルールや制作会社との取り決めを文書にしておく。
  5. ロゴなど長く使うものは先行商標を調べ、文書の整備にはLAWGUE、商標や法務の相談にはクラウドリーガルのようなサービスの資料を確認して、自社に合う進め方を検討する。

参考文献

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