BPOとRPOの違い|採用BPO・採用代行との関係、選び方と法的区分
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- BPOとRPOの違いを3つの軸で理解できる
- 採用BPO・採用代行・人材派遣との違いがわかる
- 委託前に確認する法的区分と選び方がわかる
BPOとRPOの違いは、外部に任せる業務の範囲です。BPO(Business Process Outsourcing)は経理・総務・人事労務・採用など企業の業務プロセス全般を外部に委託することで、RPO(Recruitment Process Outsourcing)はそのうち採用プロセスに特化したものを指すため、RPOはBPOの一種にあたります。実務では「採用BPO」「RPO」「採用代行」がほぼ同じ意味で使われることも多く、人材紹介や人材派遣との違い、職業安定法上の手続きの要否で迷う人事担当者は少なくありません。この記事では、対象範囲・目的・関与度の3軸で違いを整理し、呼び方、関連用語、法的区分、委託したい範囲から逆算する選び方を、厚生労働省の資料をもとに解説します。採用BPOの業務範囲は採用BPOとは?委託できる業務範囲・派遣や人材紹介との違いと法的注意点で詳しく説明しています。
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BPOとRPOはどちらを選ぶべきか|委託したい範囲から逆算する
採用を含む業務全般を任せたいならBPO、採用活動に絞って成果まで伴走してほしいならRPO(採用BPO)が基本の選び方です。用語の定義から入るより、「自社は何を外に出したいのか」から逆算すると判断がぶれません。
判断の手順は、次の3段階で整理できます。まず、委託したい業務を「採用」と「採用以外(給与計算・労務手続き・経理など)」に分けます。次に、採用部分について「作業を減らしたいのか」「採用成果を上げたいのか」を決めます。最後に、委託内容に候補者の紹介や、委託先スタッフへの指示出しが含まれるかを確認し、法的な区分を確かめます。
| 自社の状況 | 向いている委託の形 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 採用も含めて、バックオフィス全体の人手が足りない | BPO(業務範囲を広く設計) | 採用部分は職業安定法上の確認点が別にある |
| スカウト送付・日程調整・書類選考の作業に追われている | RPO(事務・運用の代行) | 応募者の個人情報の扱い、対応文面のルール |
| 応募は来るが返信率や内定承諾率が低い | RPO(採用要件の整理やスカウト改善まで伴走) | 採否の判断は社内に残す設計になっているか |
| 自社で候補者を探す余力がなく、紹介してほしい | 人材紹介(有料職業紹介) | 委託先が有料職業紹介事業の許可を持っているか |
このうち、近年とくに相談が増えているのが「スカウトや書類選考に時間を取られ、採用の質を高める検討まで手が回らない」というケースです。ダイレクトリクルーティング(企業から候補者に直接アプローチする採用手法)は、候補者ごとにスカウト文を書き分けるほど返信率が上がりやすい一方、担当者1人で送れる通数には限りがあります。作業の効率化と採用成果の向上を同時に狙えるのが、採用に特化したRPOの強みです。
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BPOとRPOの違い|対象範囲・目的・関与度の3軸で比較
RPOとBPOの違いは、対象範囲(業務全般か採用のみか)、目的(効率化中心か採用成果中心か)、関与度(業務処理か戦略から実行までか)の3点にあります。どちらも「業務の一部を継続的に外部の専門家へ任せる」点は共通で、RPOはBPOの一種です。
| 比較軸 | BPO | RPO |
|---|---|---|
| 正式名称 | Business Process Outsourcing | Recruitment Process Outsourcing |
| 対象範囲 | 経理・総務・人事労務・コールセンター・IT運用・採用など業務全般 | 採用計画、母集団形成、応募者対応、選考運用、内定者フォローなど採用業務 |
| 主な目的 | コスト削減、業務の標準化、コア業務への集中 | 採用工数の削減に加え、採用数・採用の質の向上 |
| 関与度 | 定型業務の処理が中心になりやすい | 作業代行から採用戦略の立案・改善提案まで幅がある |
| 成果の測り方 | 処理件数、処理時間、ミス率、コスト | 応募数、返信率、選考通過率、内定承諾率、採用単価 |
| 法的な確認点 | 請負か派遣か(偽装請負の回避) | 上記に加え、委託募集・職業紹介に当たるかどうか |
対象範囲の違い|委託できる業務の例
BPOは「業務プロセス」という大きな単位で外部化を考えます。たとえば経理BPOなら請求書処理から仕訳、月次決算の補助まで、人事労務BPOなら入退社手続きや給与計算、社会保険の手続きまでを一連のプロセスとして任せます。RPOは、その中の採用という1つの領域を深く扱い、求人票の作成、スカウト送付、応募者との連絡、面接日程の調整、選考結果の通知、内定者フォローまでをカバーします。採用以外の人事労務もあわせて任せたい場合は、給与計算代行(アウトソーシング)とは?依頼できる内容や費用相場で紹介しているような人事労務系のBPOと組み合わせる考え方もあります。BPOの正式名称や定義そのものはBPOの意味とは|アウトソーシングとの違い・対象業務をわかりやすく解説で整理しています。
| 領域 | BPOで委託する業務の例 | RPOで委託する業務の例 |
|---|---|---|
| 経理・総務・人事労務 | 請求書処理、仕訳、入退社手続き、給与計算、社会保険の手続きなど | 対象外(採用以外の人事労務はBPO側で扱う) |
| 問い合わせ・営業まわり | コールセンター、カスタマーサポート、営業事務など | 対象外 |
| 採用の計画と設計 | 対象外(採用はBPOの一領域として扱う) | 採用計画・採用要件の整理、採用チャネルの選定 |
| 母集団形成から選考 | 対象外 | 求人票の作成、スカウト送付、応募者との連絡、書類選考の一次整理、面接日程の調整 |
| 内定後と振り返り | 対象外 | 内定者フォロー、応募数・返信率・内定承諾率などの数値報告と改善提案 |
目的の違い
BPOの主な目的は、定型業務を専門事業者に集約してコストと手間を下げ、社内の人材を本来の業務に集中させることです。RPOも工数削減の効果はありますが、それだけでなく「採用したい人材を、必要な時期に、必要な人数採用できるか」という成果が問われます。採用は相手(候補者)がいる活動のため、作業を早く正確にこなすだけでは成果につながらず、スカウト文の訴求力や選考のスピードといった質の部分が結果を左右します。
関与度の違い
BPOは、あらかじめ決めた手順どおりに業務を処理する形が中心です。RPOは委託の深さに幅があり、日程調整などの事務だけを任せる形から、採用要件の言語化、採用チャネルの選定、選考フローの見直しといった戦略面まで伴走する形まであります。関与が深くなるほど効果も期待できますが、社内に残す判断(採用要件の最終決定、採否の判断など)と委託する作業の線引きを契約時に明確にしておくことが欠かせません。
BPO・RPOのメリットとデメリット|料金体系の違いも確認
BPO・RPOに共通するメリットは社内の工数削減と専門ノウハウの活用で、共通するデメリットは社内にノウハウが残りにくいことと、情報管理の手間が増えることです。違いを理解したうえで、良い面と注意点の両方を見てから委託範囲を決めると、導入後の「思っていたのと違う」を減らせます。
| 区分 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| BPO | 定型業務の負担を減らせる。手順が標準化され品質が安定しやすい。社内の人材をコア業務に回せる | 業務の進め方が社内に蓄積されにくい。委託範囲の設計次第で、想定した費用対効果が出ないことがある。情報漏えいへの備えが必要 |
| RPO | 採用担当者の工数を減らせる。採用の専門知識や他社での運用経験を活用できる。応募者対応が早くなり、選考を進めやすい | 自社の社風や求める人物像が伝わらないと、合わない採用活動になる。委託先との情報共有に手間がかかる。委託しても採用できるとは限らない |
デメリットのうち、とくに対策しておきたいのが「ノウハウが社内に残らない」点です。スカウトの返信率が上がった理由や、選考で辞退が減った理由が委託先の中だけにとどまると、契約を終えた時点で採用力が元に戻ってしまいます。定例の報告会で数値だけでなく「何を変えたら結果が動いたか」まで共有してもらう、スカウト文面や対応マニュアルを成果物として受け取る、といった取り決めを契約時に入れておくと、委託期間中の経験を自社の資産にできます。また、RPOでは応募者の氏名や経歴といった個人情報を委託先に預けることになります。個人情報保護法第25条では、個人データの取扱いを委託する場合、委託元が委託先に対して必要かつ適切な監督を行うことが求められており、委託先の安全管理措置の確認、契約での取扱いルールの明記、取扱状況の把握が基本になります。BPO全般のメリット・デメリットは、向いている業務と企業規模別の考え方まで整理したBPOのメリット・デメリット|向いている業務と企業規模別の考え方もあわせてご覧ください。
料金体系にも違いがあります。BPOは、処理件数や対応時間に応じた従量課金か、業務範囲を決めたうえでの月額固定が一般的です。RPOはこれに加えて、採用が決まった時点で費用が発生する成果報酬型を用意している事業者もあり、大きく「月額固定型」「従量課金型」「成果報酬型」の3つに分かれます。月額固定型は予算を立てやすい反面、採用人数が少ない月も費用は変わりません。従量課金型は必要な業務だけを頼める一方、依頼が増えると総額が読みにくくなります。成果報酬型は初期の負担を抑えられますが、採用人数が多いと割高になることがあります。金額は委託範囲や採用の難易度によって大きく変わるため、同じ業務一覧を示して複数社から見積もりを取り、どの料金体系が自社の採用計画に合うかを比べるのが確実です。BPO全般の費用の見方はBPO費用・相場の目安|業務別の費用感と見積もり項目を解説で整理しています。
採用BPOとRPOは同じもの?呼び方の違いを整理
採用BPOとは、採用業務を外部の専門事業者に委託するサービスのことで、RPOや採用代行とほぼ同じ意味で使われます。呼び方の違いにすぎないケースが大半で、日本語では「採用アウトソーシング」とも呼ばれます。
呼び方が複数ある背景には、サービスを提供する事業者の出自の違いがあります。もともとBPO事業を手がけていた事業者は、採用領域のサービスを「採用BPO」と呼ぶ傾向があり、人材サービスや採用コンサルティングから出発した事業者は「RPO」や「採用代行」と呼ぶ傾向があります。名称よりも、実際に何を任せられるのかを確認するほうが重要です。
| 呼び方 | 使われ方の傾向 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 採用BPO | 業務プロセス全体の一部として採用を扱う文脈で使われやすい | 事務処理中心か、採用成果まで見るのか |
| RPO | 採用プロセス全体の設計・運用を任せる文脈で使われやすい | 戦略立案まで含むか、運用のみか |
| 採用代行 | 一般向けの日本語表現。一部業務だけの委託も含めて広く使われる | スポット対応か、継続的な運用か |
同じ「RPO」という名称でも、ある事業者は面接日程の調整だけを指し、別の事業者は採用計画の立案から内定者フォローまでを指すことがあります。見積もりを比較するときは、名称ではなく「委託する業務の一覧」と「成果物(レポートや改善提案の有無)」で横並びにしましょう。業務の一覧を自社で先に作っておくと、見積もりの前提がそろい、価格の比較もしやすくなります。採用BPOで委託できる業務の線引きや料金体系の型は、採用BPOとは?委託できる業務範囲・派遣や人材紹介との違いと法的注意点で詳しく扱っています。
関連用語の整理|HRO・RTO・人材派遣・人材紹介との違い
BPOとRPOの周辺には、HRO(人事業務全般の外部委託)、RTO(採用研修の外部委託)などの関連用語があります。対象範囲の広さで並べると、BPOが最も広く、その中に人事領域のHRO、さらに採用領域のRPOが含まれる関係として整理できます。
| 用語 | 正式名称 | 対象範囲 |
|---|---|---|
| BPO | Business Process Outsourcing | 企業の業務プロセス全般 |
| HRO | Human Resource Outsourcing | 給与計算・労務管理・人材育成・採用など人事業務全般 |
| RPO | Recruitment Process Outsourcing | 採用業務 |
| RTO | Recruitment Training Outsourcing | 面接官トレーニングなど採用に関わる研修 |
HROは、採用に限らず人事部門の業務を広く外部化する考え方です。給与計算や社会保険の手続き、研修の運営などを一括で任せる場合に使われます。RTOは採用担当者や面接官のスキルを高める研修の外部委託を指し、採用業務そのものを代行するRPOとは役割が異なります。面接官による評価のばらつきが課題の場合、RPOで運用を任せつつ、RTOで社内の面接官を育成するといった組み合わせも考えられます。
RPOと人材派遣・人材紹介・採用コンサルティングの違い
RPOは採用業務の運用を任せる業務委託、人材派遣は人を受け入れて自社が指示を出す仕組み、人材紹介は候補者の紹介を受ける仕組みです。契約の形が違うため、指示の出し方と関係する法令も変わります。
| 区分 | 委託・利用する内容 | 業務の指示の出し方 | 主な法令 |
|---|---|---|---|
| RPO(採用代行) | 採用業務の運用(スカウト送付、応募者対応、選考運用など) | 業務の遂行は委託先が管理し、自社は成果物と報告で確認する | 民法(業務委託)、個人情報保護法。内容により職業安定法(委託募集・職業紹介) |
| 人材紹介 | 紹介会社が集めた求職者の紹介を受ける。採用決定時に手数料(成功報酬)を支払う形が一般的 | 採用後は自社の従業員として雇用する | 職業安定法(有料職業紹介事業の許可) |
| 人材派遣 | 派遣元が雇用する人材を受け入れ、自社の指揮命令のもとで働いてもらう | 派遣先である自社が業務の指示を出す | 労働者派遣法 |
| 採用コンサルティング | 採用戦略や選考設計の助言 | 助言が中心で、運用作業は自社が行うのが一般的 | 民法(業務委託) |
人材紹介は、紹介会社が自社で集めた求職者を企業に紹介し、採用が決まったときに成功報酬を受け取る形が一般的で、企業の採用業務そのものを代わりに運用するわけではありません。採用コンサルティングは助言が中心で、実際の運用作業までは担わないのが一般的です。RPOはその中間にあり、運用作業を担いながら、必要に応じて改善提案も行う位置づけといえます。
人材派遣は、業務を任せるのではなく「人」を受け入れる仕組みです。派遣スタッフには自社の社員が直接指示を出せますが、業務の成果に対する責任は自社にあります。BPO・RPOは業務の遂行を委託先に任せるため、委託先スタッフに直接指示を出すことはできません。「細かく指示を出しながら採用事務を手伝ってほしい」のか「業務ごと任せたい」のかで、派遣とRPOのどちらが合うかが分かれます。なお、人材派遣会社や人材紹介会社がRPOを提供している例もあります。その場合も、会社の種類ではなく、契約が業務委託か、派遣か、紹介かで区分を確認しましょう。
BPO・RPO導入の法的区分|職業安定法・労働者派遣法との関係
RPOを導入するときは、委託内容が「委託募集」や「職業紹介」に当たるか、委託先スタッフへの指示が「偽装請負」にならないかを確認する必要があります。一般的なBPOでは請負と派遣の区分が主な論点ですが、採用領域では職業安定法の確認点が加わるのが大きな違いです。
なお、ここでの説明は一般的な制度の整理であり、個別の契約が許可・届出の対象になるかどうかの法的助言ではありません。判断に迷う場合は、所轄の都道府県労働局や社会保険労務士・弁護士に確認してください。
RPOは違法?結論は委託内容による
RPOというサービスそのものが、一律に禁止されているわけではありません。ただし、委託する内容によって、委託募集の許可・届出、有料職業紹介事業の許可、偽装請負の回避といった確認が必要になります。契約前に、次の3点を委託先に確かめておくと整理しやすくなります。
- 応募を勧める行為(スカウトの送信など)を委託先が行うか
- 候補者の紹介・あっせんが含まれるか
- 委託先スタッフに自社の社員が直接指示を出す運用になっていないか
委託募集に当たる場合は許可または届出が必要
厚生労働省の「募集・求人業務取扱要領」では、委託募集を、労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして労働者の募集に従事させる形態で行われる労働者募集と定義しています。「労働者の募集」とは、職業安定法第4条第5項で、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することと定められています。報酬を与えて委託募集を行う場合は厚生労働大臣の許可が、報酬を与えずに行う場合は厚生労働大臣への届出が必要です(職業安定法第36条。窓口は募集事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長になる場合があります)。採用代行の委託先が、自社に代わって求職者に応募を勧める行為を行う場合は、この委託募集に該当する可能性があります。
一方、日程調整や書類の整理、選考結果の通知など、応募の勧誘を伴わない事務の補助は、委託募集の定義(勧誘を委託する形態)に当たりにくいと考えられます。ただし、どこまでが事務の補助で、どこからが勧誘にあたるかは、契約内容と実際の運用によって判断が分かれます。契約前に、委託先が許可・届出の要否をどう整理しているかを確認しておくと安心です。
候補者の紹介を受けるなら有料職業紹介事業の許可を確認
委託先が自社で保有する求職者を紹介し、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんする場合は「職業紹介」に当たり(職業安定法第4条第1項)、手数料を受け取るなら同法第30条にもとづく有料職業紹介事業の許可が必要です。RPOのサービスの中に「候補者紹介」が含まれている場合は、委託先がこの許可を持っているかを必ず確認しましょう。許可の有無は、厚生労働省の人材サービス総合サイトで検索できます。
スカウトを外部に任せる場合は、もう1点押さえておきたい点があります。同要領は、求人者に紹介するため求職者を探したうえで就職を勧奨し、求職の申込みをした人をあっせんする、いわゆるスカウト行為を事業として行う場合は職業紹介事業に含まれ、許可が必要としています。そのうえで、許可を受けた人材スカウト型の職業紹介事業者に募集を委託する場合は、その事業者に求人を申し込んだものと解され、委託募集の許可は基本的に不要とされています。スカウト送付を任せるRPOでは、委託先がどの立場(運用の代行か、職業紹介か)でスカウトを行うのかを、契約前に確認しておくと安心です。
常駐型は偽装請負に注意(37号告示)
委託先のスタッフが自社のオフィスに常駐して採用業務を行う形では、自社の社員が委託先スタッフに直接細かな作業指示を出すと、契約上は請負(業務委託)でも実態は労働者派遣とみなされる「偽装請負」になるおそれがあります。厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号、いわゆる37号告示)では、請負と認められるには、委託先が自ら労働者の業務遂行や労働時間を管理し、業務を自己の責任で処理することなどが求められています。
| 委託内容 | 関係する主な法令 | 契約前の確認ポイント |
|---|---|---|
| 日程調整・書類整理などの事務補助 | 民法(業務委託)、個人情報保護法 | 応募者情報の取扱いルール、再委託の有無 |
| 自社に代わって応募を勧める募集行為 | 職業安定法(委託募集) | 許可・届出の要否と、その整理の根拠 |
| 候補者の紹介・あっせん | 職業安定法(有料職業紹介事業) | 有料職業紹介事業の許可番号 |
| 委託先スタッフの常駐運用 | 労働者派遣法、37号告示 | 指揮命令を誰が行うか、窓口担当者の設置 |
求人票・スカウト文の内容の責任は自社に残る
求人情報を広告などで出す場合は、職業安定法にもとづき、虚偽や誤解を生じさせる表示をしないことや、労働条件を明示することが求められます。委託先が求人票やスカウト文を作成する場合でも、募集を行う主体として内容を確認する責任は自社に残ると考えておきましょう。AIを使ってスカウト文を作成するサービスを利用する場合も、送信前に内容を確認できる運用になっているかを確かめておくと安心です。
RPOが使われる背景と、向いている企業・向かない企業
RPOが選ばれるのは、採用業務の工数が担当者に集中しやすく、手順の決まった作業ほど外に出しやすいためです。一方で、すべての企業に向くわけではありません。
募集をかける側の環境を示す目安として、厚生労働省が2026年10月2日に公表した「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同水準でした。求職者1人に対して求人が1.18件ある計算です。ハローワークの求人・求職をまとめた指標であり、民間の求人媒体やスカウトの動きまでは含みませんが、候補者との接点づくりに手間と工夫が要る状況をみる目安のひとつになります(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」)。
向いているケース
- 採用担当者が少人数で、スカウトの送付や応募者との連絡、日程調整に時間を取られている
- 採用要件は社内で決められるが、実行する工数が足りない
- 年間を通じて採用が続き、件数が多く手順の決まった作業が定常的に発生する
向かない・先に見直したほうがよいケース
| 状況 | 向きにくい理由 | 先にやることと代わりの手段 |
|---|---|---|
| 採用が年に数名程度で、継続的な運用が発生しない | 運用を外部化しても減らせる工数が小さく、設計や情報共有の手間のほうが大きくなりやすい | 自社運用を基本に、必要なときだけ人材紹介などを使う |
| 採用要件や求める人物像が固まっていない | 委託先が判断の基準を持てず、スカウトや書類選考の精度が定まらない | 先に現場と要件をすり合わせる。要件の言語化まで支援する事業者を選ぶ方法もある |
| 応募者の情報を社外に預けられない社内規程がある | 個人データの取扱いを委託する場合は、委託先の監督が必要になる(個人情報保護法第25条) | 規程と、委託先の安全管理措置を先に確認する |
| 候補者の紹介そのものを任せたい | RPOは運用の代行が中心で、候補者の紹介は職業紹介の領域になる | 有料職業紹介事業の許可を持つ人材紹介会社を使う |
自社の採用業務の中に、手作業のまま残っている部分がどれだけあるかを数えると、外に出す範囲を決めやすくなります。次のセルフチェックで確認してみてください。
自社の採用業務、手作業が残っていないかセルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
BPO・RPO選定でよくある失敗パターン3つ
BPO・RPOの導入でつまずく原因は、「委託範囲があいまい」「判断まで丸投げする」「法的区分を確認しない」の3つに集約されます。いずれも契約前の整理で防げるものです。スイッチを切り替えると、それぞれの回避策を確認できます。
失敗パターン1:「採用まるごと」で契約した。委託範囲が決まっておらず、内定者フォローが対象外だったことに後から気づいた。
失敗パターン2:採用要件の決定まで任せきりにした。現場の求める人物像とずれた候補者ばかりが面接に進んだ。
失敗パターン3:常駐スタッフに社員が直接指示を出していた。実態が派遣に近くなり、契約の見直しが必要になった。
3つの失敗に共通するのは、「外部に任せれば採用がうまくいく」と考えてしまうことです。BPO・RPOはあくまで業務の実行を担う仕組みであり、どんな人材を採用したいのか、最終的に誰を採用するのかは、自社が決める必要があります。委託先が優秀でも、採用要件があいまいなままでは、スカウトの精度も書類選考の基準も定まりません。
もう1つ見落とされやすいのが、成果の確認方法です。契約時に「毎月どの数値を報告してもらうか」(スカウト送付数、返信率、面接設定数、内定承諾率など)を決めておかないと、委託の効果を判断できず、契約更新の是非も感覚で決めることになります。導入前の数値を記録しておき、3か月程度で比較する計画を立てておくと、見直しの判断がしやすくなります。
BPO・RPO導入効果を数値で確認する
RPOの効果は、まず「採用担当者の工数がどれだけ減るか」を数値にすると検討しやすくなります。下のシミュレーターで、現在の採用業務にかかっている時間と、委託によって削減できる時間の目安を試算できます。
現在の作業時間は毎月約33.3時間です。
委託すると、毎月約20時間、年間で約240時間の削減が見込めます。
※入力値と削減割合をもとにした簡易計算です。委託費用は含んでいません。実際の効果は委託範囲や運用方法によって異なります。
試算で出た時間は、そのまま採用担当者の工数です。削減した時間を、面接での見極めや候補者との面談、現場の部門との採用要件のすり合わせといった「人にしかできない仕事」に振り向けられるのが、RPOを導入する本当の価値といえます。費用対効果を判断するときは、削減時間に担当者の時間単価を掛けた金額と委託費用を比べるだけでなく、返信率や内定承諾率の変化による採用単価の改善もあわせて見るようにしましょう。
試算で出た作業時間の中に、スカウト文の作成・送信や書類選考の一次判定が多く含まれているなら、その部分だけを切り出して外部に任せる選択肢があります。エースジョブは、AIでスカウトと書類選考の運用を効率化し、専任チームが伴走するサービスで、プランや機能は商品ページで確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. BPOとRPOの一番大きな違いは何ですか?
A. 対象範囲です。BPOは経理・総務・人事労務・採用など業務プロセス全般の外部委託を指し、RPOはそのうち採用業務に特化した外部委託を指します。RPOはBPOの一種であり、対立する概念ではありません。目的も、BPOは効率化・コスト削減が中心、RPOは工数削減に加えて採用成果の向上が問われる点が異なります。
Q2. 採用BPOとRPO、採用代行は同じ意味ですか?
A. 実務上はほぼ同じ意味で使われることが多く、呼び方の違いにすぎないケースが大半です。ただし、事業者によって委託できる範囲は大きく異なるため、名称ではなく委託する業務の一覧と成果物(レポートや改善提案の有無)で比較することが大切です。
Q3. RPOは違法ですか?許可や届出は必要ですか?
A. RPOというサービスそのものが違法というわけではありません。ただし、委託内容によっては手続きが必要です。委託先が自社に代わって応募を勧める場合は職業安定法の委託募集に当たる可能性があり、報酬を与えるなら許可、報酬がなければ届出が必要とされています。候補者の紹介を受ける場合は、委託先に有料職業紹介事業の許可が必要です。個別の判断は都道府県労働局や専門家に確認してください。
Q4. RPOと人材派遣・人材紹介はどう違いますか?
A. RPOは採用業務の運用を業務委託として外部に任せる仕組みです。人材派遣は派遣元が雇用する人材を受け入れて自社が指示を出す仕組み、人材紹介は紹介会社が集めた求職者の紹介を受け、採用決定時に手数料(成功報酬)を支払う形が一般的です。人材派遣会社や人材紹介会社がRPOを提供する場合もあるため、会社の種類ではなく、契約が業務委託か、派遣か、紹介かで区分を確認してください。
Q5. RPOとは何ですか?どのような業務を任せられますか?
A. RPO(Recruitment Process Outsourcing)は、採用業務を外部の専門事業者に委託することで、日本語では採用代行とも呼ばれます。任せられる業務は、採用要件の整理、求人票の作成、スカウト送付、応募者との連絡、日程調整、書類選考の一次整理、内定者フォロー、数値の報告と改善提案などで、事業者や契約によって範囲が異なります。
Q6. RPOに任せず社内に残すべき業務はありますか?
A. 採用要件の最終決定と、採否の判断は社内に残すのが基本です。委託先には、採用要件の言語化の支援、スカウト送付、日程調整、書類選考の一次整理、数値レポートなどの作業と改善提案を任せ、判断に必要な材料をそろえてもらう形にすると、採用のミスマッチを防ぎやすくなります。
まとめ|BPOとRPOを選ぶ前にやっておきたい5つのこと
BPOは業務プロセス全般の外部委託、RPOは採用に特化した外部委託であり、RPOはBPOの一種です。どちらを選ぶかは用語の違いではなく、自社が何を外に出したいかで決まります。検討を始める前に、次の5つを整理しておきましょう。
- 委託したい業務を「採用」と「採用以外」に分け、業務の一覧を作る
- 採用部分について「作業を減らしたい」のか「採用成果を上げたい」のかを決める
- 採用要件の決定と採否の判断を社内に残す前提で、委託する作業の範囲を決める
- 委託募集・職業紹介・偽装請負に当たらないか、委託先の許可・届出の整理と指揮命令の窓口を確認する
- 範囲が決まったら、エースジョブのように採用の運用を任せられるサービスの資料を取り寄せ、同じ業務の一覧で提供範囲・プラン・報告内容を比べる
採用の外部委託は、人手不足を補う手段であると同時に、採用活動の質を見直すきっかけにもなります。法令の解釈に迷う場合は所轄の都道府県労働局や専門家に相談しつつ、自社の採用課題に合った委託の形を選んでいきましょう。
参考文献
- 厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領(令和7年6月)」、2026年10月19日確認
- 佐賀労働局「委託募集について」、2026年10月19日確認
- 厚生労働省「募集情報等提供事業について」、2026年10月19日確認
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」、2026年10月19日確認
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」、2026年10月19日確認
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」、2026年10月19日確認
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)」、2026年10月19日確認
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年10月19日確認
- e-Gov法令検索「職業安定法」、2026年10月19日確認
- e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、2026年10月19日確認
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」、2026年10月19日確認
- エースジョブ「導入事例(miive事例)」、2026年10月19日確認