DXとAXの違いとは?AI導入との違い・メリットとデメリット・アナログ業務からの始め方

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  • AXの意味とDXとの違い、AI導入との違いがわかる
  • AXのメリットと注意点、活用領域がわかる
  • 紙中心の職場が最初に取り組むことと5ステップがわかる

AX(AIトランスフォーメーション)とは、AIを業務や事業の中心に組み込み、仕事の進め方や価値の生み出し方を変えていく取り組みのことです。DXがデジタル技術とデータ全般で変革するのに対し、AXはAIに重心を置いた変革で、DXで整えた業務とデータの上に成り立つため、両者は対立せず段階的につながっています。本記事では、AXの意味とDXとの違い、AI導入との違い、メリット・デメリット、活用領域、紙やアナログ中心の職場がどこから始めればよいかを、総務省や経済産業省などの公的資料を使って、中小企業や個人事業主の目線で整理します。

自社はAXの前に何を整えるべき?かんたん診断

Q1. 社内の連絡・依頼・ファイルは、今どこにありますか?

目次

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  1. AX(AIトランスフォーメーション)とは|DXとの違いを先に整理
  2. AXとAI導入・業務効率化の違い
  3. AXが注目されるようになった背景
  4. IT化・DX・AXの段階的な関係
  5. AXのメリットとデメリット
  6. AXの活用領域|どの業務から使われているか
  7. アナログ変革との関係|中小企業・個人事業主の入口
  8. DXとAXは対立しない|「DXはもう古い」は誤解
  9. DXからAXへ進めるための5つのステップ
  10. DX・AX推進でよくある誤解パターン
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ|AXに向けて今日から始める5つのこと
  13. 参考文献

AX(AIトランスフォーメーション)とは|DXとの違いを先に整理

AXとは、生成AIなどのAIを業務や意思決定の中に組み込み、人が担ってきた判断や作業の一部をAIに任せることで、仕事の進め方そのものを変える取り組みです。AIツールを一つ入れるだけではAXとは呼べず、AIを前提に業務の流れや役割分担を見直すところまで含みます。

AXの公的な位置づけと、DXの定義

AXは、経済産業省やIPA(情報処理推進機構)が定義文を示した用語ではなく、民間企業の解説で広く使われている言葉です。ただし、経済産業省とIPAは2026年4月に公表したデジタルスキル標準ver.2.0の案内で「AX(AIトランスフォーメーション)の進展」に触れており、行政の資料でも使われ始めています(2026年10月16日に確認)。一方、DXの定義は、経済産業省のDX推進ガイドライン(2018年12月)で、データとデジタル技術を活用して製品・サービスやビジネスモデルを変革するとともに、業務、組織、プロセス、企業文化・風土も変革し、競争上の優位性を確立することと示されています。ポイントは、ツールを入れること自体ではなく、仕事の進め方や価値の生み出し方を変えることが目的になっている点です。

DXとAXの違いを比べる

比較項目 DX AX
中心となる技術クラウド、業務システム、データ基盤などデジタル技術全般生成AI、機械学習、画像認識などのAI技術
主なねらい業務の効率化、データの見える化、ビジネスモデルの変革判断の高速化・高度化、作業の自動化、新しい顧客体験
人とシステムの関係人が判断し、システムが記録・処理を支えるAIが提案・下書き・一次判断を行い、人が確認・最終判断する
前提条件業務の見える化と、紙・口頭の情報のデジタル化DXで整ったデータと、AI利用のルール・リテラシー
主なリスクツール導入だけで終わる、部署ごとにシステムが分断される誤った回答の見落とし、情報漏えい、著作権や個人情報の扱い
成果の現れ方作業時間の削減、情報共有のスピード向上判断にかかる時間の短縮、少人数で対応できる業務量の拡大

表の「前提条件」の行が、DXとAXを段階的な関係として捉える理由です。DXで情報がデジタルにそろっていなければ、AIは社内の事情を踏まえた回答を返すことができません。

AXの前に整えたい「連絡と情報の置き場所」

AIは、読み込める社内の情報があって初めて、自社の仕事に役立つ答えを返せます。予定は手帳、依頼は電話、資料は個人のパソコンという状態では、AIに渡す材料が散らばったままです。そのため、連絡・依頼・ファイルを一か所に集めることが、DXの入口であり、AXの準備にもなります。この「一か所に集める」役割を担うツールの一例が、ビジネスチャットのChatworkです。

Chatwork(運営会社は株式会社kubell)は、チャットに加えてビデオ通話・音声通話を標準で使え、タスク管理でタスクが完了すると自動でチャットに通知が届き、アップロードしたファイルをチャットの参加メンバーだけで共有できます。一方で、フリープランでは閲覧できるのが過去40日分・5,000件までとされているため、情報を蓄積していく用途ではプランの確認が必要です。また、商品ページにAI機能の記載はなく、ここでの位置づけはAIを載せる前の、連絡と情報の土台づくりです。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社kubell

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Chatworkの導入事例では、グランド印刷株式会社が、FAXや電話による情報伝達や手書き伝票の書き間違いによる対応の停滞といった課題を抱えていた状況から、情報の共有を進めた取り組みが紹介されています。同社はDXについて、次のように述べています(取材時点の情報)。

「DXは業務削減だけが目的ではありません。業務の効率化によって新たなビジネスを創出し、会社を成長させることが本当の目的だと考えています。」

出典:Chatwork導入事例 グランド印刷株式会社

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AXとAI導入・業務効率化の違い

AXとAI導入の違いは、AI導入が個別の業務にAIツールを取り入れることであるのに対し、AXはAIを前提に業務の流れや組織の役割まで変えていく点にあります。ChatGPTなどの生成AIを個人が使い始めるだけなら今日からでもできますが、それはAXの入口であって、AXそのものではありません。

取り組み 変える範囲 身近な例
業務効率化個別の作業のやり方表計算ソフトの関数やテンプレートで、集計や書類づくりを速くする
AI導入個人や一部の業務の作業社員が生成AIで文章の下書きや要約を作る
AX業務プロセス全体と、人とAIの役割分担問い合わせ対応の流れそのものを、AIが一次回答し人が確認する形に組み直す

総務省の令和8年版情報通信白書も、この二段構えで整理しています。段階的な取組の第一歩として、汎用的な生成AIを社員の個人作業に活用することを組織的に浸透させ、そのうえで人間と生成AIの協業のあり方を定め、業務プロセス全体をAI前提で変革していく、という流れです。同じ白書は、汎用AIを導入しても一部の積極的な社員が使うだけで全社的な効果に至らない可能性があることや、社員が個人の判断でAIを業務に使う「シャドーAI」には入力した機密情報が流出するリスクがあることも指摘しています。個人利用で終わらせず、利用ルールの整備と周知まで進めることが、AI導入とAXを分けるポイントです。

DXとAIそのものの関係を詳しく知りたい場合は、DXとAIの違いとは?関係性とDX推進でAIを活用する手順もあわせて確認してください。

AXが注目されるようになった背景

AXが注目される背景には、生成AIが専門知識なしで使えるサービスとして普及したこと、人手不足で少ない人数で同じ業務量をこなす手段が求められていること、DXで集めたデータを活かす段階に進む企業が増えていることの三つがあります。

総務省の令和8年版情報通信白書によると、日本企業のうち生成AIの活用方針を定めている(「積極的に活用する方針」または「活用する領域を限定して利用する方針」)と答えた割合は68.9%で、前年度調査の49.7%から大きく上昇しました。企業規模別では、大企業が74.0%、中小企業が58.1%で、中小企業の上昇が特に大きかったとされています。また、生成AIを一つ以上の業務で利用している企業は86.4%(「わからない」と答えた企業を除く集計)でした。活用の入口は広がっている一方で、同じ白書は日本が調査対象の他の3か国(米国、ドイツ、中国)に比べて活用方針の策定では低い結果だったとも示しており、方針や進め方の整備はこれからの課題です。

AIを使う環境が整う一方で、誤った回答や情報管理のリスクへの対処も欠かせません。経済産業省と総務省は、AIを開発・提供・利用する事業者向けの考え方を「AI事業者ガイドライン」としてまとめており、2026年3月に第1.2版が公表されています。AIを業務で使う側にあたる事業者も、このガイドラインを社内ルールづくりの参考にできます。

IT化・DX・AXの段階的な関係

IT化は個別の作業を道具で効率化すること、DXはデジタルとデータで業務や事業の仕組みを変えること、AXはその仕組みにAIを組み込み判断や作業の一部を任せることです。三つは置き換わる関係ではなく、下の段階が上の段階を支える積み上げの関係にあります。

経済産業省のDXレポート2(2020年12月)は、DXに至る過程を、紙の情報をデジタルに置き換える「デジタイゼーション」、個別の業務プロセスをデジタルでつなぎ直す「デジタライゼーション」、そして組織やビジネスモデル全体を変える「デジタルトランスフォーメーション」の三段階で説明しています。AXは、この三段階目で整った基盤の上に、AIによる知能化を重ねる段階と位置づけると整理しやすくなります。

段階 何が変わるか 身近な例(社内の情報共有の場合)
IT化(デジタイゼーション)紙や手作業を、個別にデジタルの道具に置き換えるホワイトボードの予定表を表計算ソフトに、回覧板をメールに変える
DX初期(デジタライゼーション)業務の流れ全体をデジタルでつなぎ、情報を一か所に集める予定・連絡・依頼・ファイルをチャットやグループウェアにまとめ、誰でも最新情報を見られるようにする
DX(トランスフォーメーション)集まったデータで、仕事の進め方や意思決定そのものを変える依頼や承認のデータから滞留を見つけ、決裁ルールを見直す。テレワークや拠点間連携を前提に働き方を組み直す
AXAIがデータを読み解き、提案・下書き・自動処理を担う過去のやり取りから質問に答える、会議の要約や議事録の下書きをAIが作る、申請内容の不備をAIが事前にチェックする

三段階の考え方やDX全体の進め方は、DXとは|経済産業省の公式定義から業種別・規模別の始め方までで詳しく解説しています。

段階を飛ばすと何が起きるか

段階は必ず一つずつ進めなければならないわけではなく、生成AIのチャットサービスのように、IT化の段階の職場でもすぐに使えるAIツールはあります。ただし、そうした使い方は「個人がAIを道具として使う」ところにとどまります。社内の規程、過去の対応履歴、顧客とのやり取りといった自社固有の情報がデジタルにまとまっていないと、AIは一般論しか返せず、業務の仕組みを変えるAXには届きません。段階を飛ばしたように見えても、結局は情報のデジタル化と一元化に戻ってくることになります。

日本企業のDXは「どの段階」まで進んでいるか

IPAのDX白書2023(2022年度調査)によると、DXの取り組みの領域別に「成果が出ている」と答えた企業の割合は、デジタイゼーションとデジタライゼーションでは日本も約80%で米国と大きな差がありません。一方で、新規製品・サービスの創出やビジネスモデルの根本的な変革では、日本が20%台、米国が約70%と開きがあります(いずれも成果が出ていると回答した企業が対象)。個別業務のデジタル化は進んでいても、組織全体の変革までたどり着いた企業は限られるという結果で、多くの企業にとっては、まずDX初期の段階を固めることが現実的な出発点になります。

自社がどの段階にいるかを見分ける目安

自社の段階は、次の三つの問いに答えると見当が付きます。社内の最新の予定や連絡事項を、誰でも場所を問わず確認できるか。依頼や承認がどこで止まっているかを、担当者に聞かずに把握できるか。過去の資料ややり取りを、検索ですぐに探し出せるか。三つがいずれも難しければIT化の段階、一部できていればDX初期の段階、すべてできていてデータを判断に使い始めているならAXへ進む準備が整いつつある段階です。

AXのメリットとデメリット

AXのメリットは、文書作成や問い合わせ対応などの定型的な知的作業を速くし、少人数でも扱える業務量を広げられることです。デメリットは、AIの誤りへの対処、情報管理、データ整備と教育の手間が必要になることです。

観点 メリット デメリット・注意点
業務議事録やメールの下書き、要約、問い合わせの一次対応を速くできるAIの回答には誤りが含まれることがあり、人の確認が欠かせない
情報・ナレッジ社内に散らばった情報を探しやすくなり、担当者への聞き返しが減る元になる情報が古い・不正確だと、AIの答えも不正確になる。データの整備と更新が必要
意思決定情報の整理や比較が速くなり、判断にかける時間を短くできるAIの出力を鵜呑みにすると、責任の所在があいまいになる
人手・体制人手が限られる小規模な組織でも、定型業務の負担を減らせる使い方の教育やルールづくりが必要。一部の社員だけが使う状態になりやすい
リスク管理利用ルールを整えれば、個人任せのAI利用より安全に使えるシャドーAIによる機密情報の流出、著作権や個人情報の扱いに注意が必要

効果の目安として、総務省の令和8年版情報通信白書では、生成AIを活用している業務類型のうち「議事録・メール作成補助」で導入効果を実感すると答えた割合が約7割と、他の類型に比べて顕著に高くなっています。まずは効果を確かめやすい定型的な業務から試し、デメリットに挙げた確認とルールをあわせて整えるのが、無理のない進め方です。

AXの活用領域|どの業務から使われているか

AXの活用は、議事録やメールの作成補助、営業・販売、社内のヘルプデスクといった、文章や情報を扱う業務から広がっています。総務省の令和8年版情報通信白書では、日本企業が生成AIを活用している業務類型として「議事録・メール作成補助」が約7割で最も高く、次に「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割と続きました。

部門・業務 AIが補助できること 前提として必要な社内の情報
営業・販売商談メモの要約、提案資料や見積文面の下書き過去の提案資料、商談記録、顧客とのやり取り
総務・経理などのバックオフィス規程や手続きに関する質問への回答案、書類の不備のチェック補助社内規程、申請書、手順書が最新の状態でデジタル化されていること
社内ヘルプデスク・情報システム定型的な社内問い合わせへの回答候補の提示、過去の対応履歴の整理問い合わせと回答の履歴、よくある質問の一覧
経営・管理職会議資料や報告書の要約、論点の整理会議の記録、報告書、数値データ

右の列を見ると分かるとおり、どの領域でも前提になるのは「社内の情報がデジタルで整っていること」です。白書は日本企業のAI活用事例を、研究・商品開発、調達、製造・生産、マーケティング、顧客との接点、経営・コーポレート業務の6領域に分けて紹介しています。自社の業務に近い領域の事例を見て、AIに任せたい業務の候補を決めておくと、次の章の棚卸しに役立ちます。

アナログ変革との関係|中小企業・個人事業主の入口

紙や口頭が中心の職場にとって、DXもAXも出発点は同じで、まず業務を見える化し、情報をデジタルで一か所に集めることです。いきなりAIを入れるより、アナログ業務を一つずつデジタルに移すほうが、結果的にAXへの距離は短くなります。

最初にやるのは業務の棚卸し

アナログ変革の第一歩は、どの業務が紙・電話・口頭・個人の記憶に頼っているかを書き出すことです。たとえば、予定の共有はホワイトボード、休暇や備品購入の申請は紙の書類に押印、顧客からの電話は受けた人がメモを机に置く、過去の見積書は担当者のパソコンの中、といった具合です。書き出してみると、「担当者がいないと分からない」「同じことを何度も聞かれる」「探すのに時間がかかる」業務がはっきりします。これらがデジタル化の優先候補であり、同時に、将来AIに任せたい業務の候補でもあります。

小さく始めて、一か所に集める

中小企業や個人事業主の場合、すべてを一度に変える必要はありません。最初は予定共有と連絡、次に依頼や承認、その次に文書の保管というように、影響が大きく抵抗が少ない業務から順に移していきます。このとき大切なのは、業務ごとに別々のツールを増やしすぎないことです。予定はAのアプリ、連絡はBのチャット、ファイルはCのストレージと分散すると、情報が再びバラバラになり、後からAIに渡すときも複数の場所を参照しなければなりません。連絡・依頼・ファイルをまとめられるツールを中心に据えると、情報の置き場所が一つに決まり、DX初期の段階を効率よく固められます。

人数規模別に見た入口の違い

規模 ありがちな状態 最初に取り組みたいこと
個人事業主・数名情報が経営者の頭と手帳に集中している予定・顧客対応の記録をクラウドに移し、外出先からも確認できるようにする
10名から50名程度口頭連絡と紙の申請が混在し、伝達漏れが起きる連絡・依頼・ファイルを一つの基盤にまとめ、伝達と決裁の流れを見える化する
複数拠点・部署がある組織部署ごとに別のツールや表計算ファイルがあり、情報が分断している全社共通の情報共有基盤をそろえ、データの置き場所と命名ルールを統一する

どの規模でも共通するのは、「誰が見ても最新の情報が一か所にある」状態をつくることがDXの入口であり、AXの準備でもあるという点です。自社の状況を、次のセルフチェックで確かめてみてください。

社内の情報の置き場所、AXの前に整っていますか?セルフチェック

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DXとAXは対立しない|「DXはもう古い」は誤解

DXとAXは、使う技術の重心が違うだけで、目指すものは同じです。変化に対応できる業務と組織をつくり、顧客により良い価値を届けることが目的であり、AXはそのための有力な手段の一つにすぎません。「これからはAXの時代だから、DXはもう古い」「DXは死語になった」という見方を耳にすることがありますが、これは誤解です。AIは、デジタル化された業務とデータという土台があって初めて力を発揮します。逆に、DXを進めた企業ほど、AIを組み込める業務やデータが多くなり、AXの効果も大きくなります。

DXの成果がAXで生きる三つのポイント

  • データ:DXで蓄積した予定、依頼、議事録、顧客対応の履歴は、AIが社内の事情を踏まえて答えるための材料になります。
  • 業務の流れ:DXで標準化した手順や承認ルートは、AIにどの作業を任せ、どこで人が確認するかを決めるときの設計図になります。
  • 人と文化:デジタルツールを日常的に使う習慣や、データで判断する文化は、AIを業務に定着させるうえでの下地になります。

つまり、AXで成果を出したいなら、遠回りに見えてもDXの土台である情報共有の仕組みを整えることが近道です。経済産業省とIPAがデジタルスキル標準をAXの進展に合わせて改訂したことからも、DXとAXが別々ではなく、つながった取り組みとして扱われていることが分かります。

DXからAXへ進めるための5つのステップ

DXからAXへは、現状の把握、情報の一元化、業務の標準化、小さなAI活用の検証、全社への展開という順で進めると無理がありません。各段階でルールと効果測定をセットにすることが、AI導入を一過性で終わらせないポイントです。DXの進め方全般はDXの活用・導入|小さく始めて定着させる実務手順も参考になります。

ステップ1. 現状を把握し、目的を一文で決める

前の章で紹介した棚卸しを行い、自社がIT化・DX・AXのどの段階にいるかを確認します。そのうえで、「問い合わせ対応の時間を減らしたい」「承認の待ち時間をなくしたい」のように、何のために変えるのかを一文で決めます。目的があいまいなままAIやツールを導入すると、使われずに終わる原因になります。

ステップ2. 情報をデジタルで一か所に集める

紙や口頭、個人のパソコンに散らばった情報を、共通の基盤に移します。予定、連絡、依頼、文書の置き場所を決め、ファイル名やフォルダの付け方などのルールもそろえます。この段階でデータの形がそろっていると、後からAIに読み込ませるときの手間が大きく減ります。

ステップ3. 業務の流れを標準化する

担当者ごとに違っていた手順を、誰がやっても同じ流れになるようにそろえます。依頼や承認のルート、問い合わせの受付から回答までの流れなどを決めておくと、どの作業をAIに任せ、どこで人が確認するかを設計しやすくなります。

ステップ4. 小さな範囲でAI活用を試す

議事録の要約、社内規程についての質問への回答、メール文面の下書きなど、失敗しても影響が小さく、効果を測りやすい業務から試します。同時に、入力してよい情報と禁止する情報、AIの出力を人が確認する手順など、利用ルールを定めます。AI事業者ガイドラインには、AIを利用する事業者に向けた事項も整理されているので、ルールづくりの参考になります。

ステップ5. 効果を測定し、全社へ広げる

試した業務について、作業時間や対応件数、ミスの件数などを導入前と比べます。効果が確認できた使い方をマニュアル化し、研修で共有しながら他の部署へ広げます。総務省の白書が指摘するとおり、環境を用意するだけでは一部の社員の利用で止まりやすいため、使い方の事例を集めて共有する場を設けると、全社への浸透が進みます。効果が出なかった場合も、データが足りなかったのか、ルールが合わなかったのかを振り返ることで、次の改善につなげられます。

DX・AX推進でよくある誤解パターン

DXとAXの関係を取り違えると、投資が成果につながらない原因になります。よくある誤解と、その見直し方を整理します。

よくある誤解(Before) 起きがちなこと 見直した考え方(After)
AXの時代だからDXは飛ばしてよいAIに読ませる社内データがなく、一般論しか返ってこないDXで整えたデータと業務の流れが、AXの効果を決める
ツールやAIを入れればDX・AXになる導入しただけで使われず、従来のやり方が残る目的と業務の変え方を先に決め、ツールはその手段として選ぶ
部署ごとに便利なツールを選べばよい情報が部署単位で分断され、全社で活用できない全社共通の情報基盤を決め、データの置き場所をそろえる
AIの回答はそのまま使える誤った内容がそのまま社外に出てしまうAIは下書き・提案役とし、最終確認と責任は人が持つ
各自が生成AIを使い始めれば十分一部の人しか使わない、またはシャドーAIで情報が流出する利用ルールを定めて周知し、使い方の事例を共有して広げる
DX・AXは大企業の話で、小規模には関係ないアナログ業務が残り、人手不足の影響を受けやすくなる少人数ほど情報の一元化とAIの補助の効果が大きい

六つの誤解に共通するのは、DXとAXを「技術の導入」として捉え、業務や組織を変えるという本来の目的が抜け落ちている点です。AIを使うことも、連絡と情報の置き場所を整えることも、変革の手段にすぎません。どの業務の何を変えたいのかを先に決め、そこから必要な基盤とAIの使い方を選ぶ順番を守ることが、遠回りを防ぐ一番の方法です。

とくに、六つのうち「部署ごとに便利なツールを選べばよい」と「各自が生成AIを使い始めれば十分」に当てはまる場合は、AIの前に、連絡・依頼・ファイルの置き場所を一つに決める見直しから始める価値があります。その選択肢として、Chatworkのサービス詳細を確認してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. AXとは何の略ですか?

A. AXは、AIトランスフォーメーション(AI Transformation)の略です。DXと同じく、transformation(変革)を「X」と表記するのが一般的です。AIを業務や事業の中心に組み込み、仕事の進め方や価値の生み出し方を変える取り組みを指します。

Q2. DXとAXの違いは何ですか?

A. DXはデジタル技術とデータで業務やビジネスモデルを変える取り組みで、AXはAIを業務や経営の中心に組み込み、判断や作業の一部をAIに担わせることで変革する取り組みです。AXはDXの中でもAI活用に重心を置いた発展形と考えると整理しやすくなります。

Q3. AXとAI導入の違いは何ですか?

A. AI導入は個別の業務にAIツールを取り入れることで、AXはAIを前提に業務の流れや組織の役割まで見直すことです。総務省の令和8年版情報通信白書でも、汎用的な生成AIを個人作業で使うことを第一歩として、その後に業務プロセス全体をAI前提で変革する段階的な流れが示されています。

Q4. DXはもう古い、死語になったのですか?

A. いいえ、DXは古くなっていません。AXはDXで整えた業務とデータの上に成り立つため、DXを飛ばしてAXに進むことはできません。経済産業省とIPAも、AXの進展を踏まえてデジタルスキル標準を2026年4月に改訂しており、DXとAXはつながった取り組みとして扱われています。

Q5. 紙やアナログ中心の会社は何から始めればよいですか?

A. まず、どの業務が紙・電話・口頭に頼っているかを書き出し、予定共有や連絡、依頼・承認など影響が大きく抵抗の少ない業務からデジタルに移すのがおすすめです。ツールを増やしすぎず、連絡・依頼・ファイルを一つの基盤に集めると、後のAI活用にもつなげやすくなります。

Q6. AXを進めるときに注意すべきことは何ですか?

A. AIの回答には誤りが含まれることがあるため、出力を人が確認する手順を決めることが重要です。あわせて、AIに入力してよい情報と禁止する情報を定め、個人情報や機密情報の取り扱いルールを整えます。社員が個人の判断でAIを使うシャドーAIは情報流出のリスクがあるため、利用環境とルールを組織として用意し、AI事業者ガイドラインも参考にしてください。

まとめ|AXに向けて今日から始める5つのこと

DXはデジタル技術とデータで業務やビジネスモデルを変える取り組み、AXはそこにAIを組み込み、判断や作業の一部をAIに任せることで変革を深める取り組みです。両者は対立するものではなく、IT化からDX、DXからAXへと、下の段階が上の段階を支える積み上げの関係にあります。次の5つを順に進めてみてください。

  1. DXとAX、AI導入の違いを押さえ、自社がIT化・DX・AXのどの段階にいるかを確かめる。
  2. 紙・電話・口頭に頼っている業務を書き出し、優先して移す業務を決める。
  3. 連絡・依頼・ファイルの置き場所を一つに決める。Chatworkなどのビジネスチャットの資料を取り寄せて、自社に合うかを検討する。
  4. 議事録の要約など影響の小さい業務から、AIを小さく試す。
  5. AIの利用ルールを定めて周知し、効果を測って他の業務へ広げる。

参考文献

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