SaaSとクラウドサービスの違いとは?種類・代表例と業務別の選び方

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  • SaaSとクラウドサービスの違いと3種類の関係がわかる
  • SaaSの代表例、3大クラウド、AWSの位置づけがわかる
  • 業務別の選び方と、失敗しない導入の進め方がわかる

SaaSは、クラウドサービスの中で「完成したソフトウェアをインターネット経由で使う」種類を指します。クラウドサービスはSaaS・PaaS・IaaSの3種類を含む大きな枠なので、両者は別物ではなく包含関係にあります。この記事では、違いの見分け方に加えて、SaaSの代表的なサービス、3大クラウド、「AWSはSaaSなのか」という疑問に、Google・Microsoft・AWSの公式説明をもとに答えます。あわせて、業務カテゴリ別のSaaSマップ、選定の5つの判断基準、導入の進め方、効果の試算方法までを、公的資料を交えて整理します。

自社はSaaSをどこから使い始める?2問で確認

Q1. いま一番知りたいのは?

目次

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  1. SaaSとクラウドサービスの違い|3種類の関係を表で整理
  2. SaaSの代表的なサービス|業務カテゴリ別マップ
  3. クラウドサービスの代表例|3大クラウドとAWSはSaaSか
  4. SaaSのメリットとデメリット|オンプレミスと比べた向き・不向き
  5. SaaS・PaaS・IaaSの使い分け|目的・スキル・期間で選ぶ
  6. クラウドサービスの利用状況と広がった背景|国内の動向
  7. SaaS選定の5つの判断基準
  8. SaaS導入の進め方|小さく始めて広げる4ステップ
  9. SaaS選定でよくある失敗パターン
  10. SaaS導入コストを数値で確認する
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ
  13. 参考文献

SaaSとクラウドサービスの違い|3種類の関係を表で整理

クラウドサービスは、インターネット経由でITの機能や資源を使うサービス全体の総称で、SaaSはその中でソフトウェアそのものを提供する種類です。クラウドサービスは、提供する範囲によってSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)の3種類に分けて説明されます。

種類 提供されるもの 利用者が管理する範囲 主な利用者
SaaS 完成したソフトウェア アカウント、データ、利用設定 業務部門の担当者
PaaS アプリケーションを動かす土台(OS、ミドルウェアなど) アプリケーションとデータ アプリケーション開発者
IaaS サーバー、ストレージ、ネットワーク OSから上のすべて インフラ担当者

見分けるコツは「利用者が自分で管理する範囲」です。SaaSは事業者がソフトウェアまで管理するため、アカウントを作ればすぐ使えます。責任範囲の線引きはSaaS・PaaS・IaaSの違いと責任分界で整理しています。

比べられる言葉 意味 クラウドサービスとの違い
オンプレミス 自社でサーバーや機器を用意し、社内に設置して運用する形態 設備は事業者側にあり、利用者は契約して使う
ASP インターネット経由でアプリケーションを提供する形態の呼び方 仕組みはSaaSとほぼ同じで、現在はSaaSが主流
ホスティング 事業者が持つサーバーを借りて使うサービス クラウドは必要に応じて構成を変えやすい
ハウジング データセンターの場所を借り、自社のサーバーを置くサービス クラウドは物理機器を自社で持たない

SaaSの代表的なサービス|業務カテゴリ別マップ

SaaSの代表的なサービスは、顧客管理・経理・人事労務・採用・情報共有といった業務カテゴリごとに整理すると見つけやすくなります。

業務カテゴリ 代表的なSaaSの種類 解決しやすい課題
顧客管理・名刺管理 CRM、SFA、名刺管理 顧客情報の属人化、引き継ぎ漏れ
経理 会計、請求書発行、経費精算 手作業の転記、法令改正への対応
人事・労務 勤怠管理、給与計算、人事評価 紙の書類、集計の手間
採用 採用管理、Web面接 応募者情報の分散、日程調整の負担
情報共有 グループウェア、ビジネスチャット、Web会議 メールの埋もれ、拠点間の連絡

顧客管理(CRM)・名刺管理

顧客管理のSaaSは、名刺管理(データの入口)、CRM(取引先との関係全体)、SFA(商談から受注まで)の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

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顧客管理のSaaS化の効果は、担当者の異動や退職があっても取引先との関係が途切れないこと、そして「あの会社の担当者はだれだったか」を探す時間がなくなることに表れます。CRMそのものを複数の製品で比べたい場合は、CRMツールのおすすめ比較記事もあわせてご覧ください。

経理・人事・採用

経理のSaaSは、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで仕訳の候補を作る機能や、請求書の発行・送付を一元化する機能が中心です。電子帳簿保存法やインボイス制度のような法令改正があっても、提供事業者がソフトウェアを更新してくれる点は、パッケージソフトにはない大きな利点です。

人事・労務では、勤怠管理と給与計算をつなげることで、毎月の集計や転記の手間を減らせます。採用では、複数の求人媒体から集まる応募者の情報を1か所にまとめる採用管理のSaaSが広く使われています。いずれも従業員や応募者の個人情報を扱うため、アクセス権限の設定やデータの保管先の確認は、顧客管理以上に慎重に行う必要があります。

業務カテゴリ別に見るときに注意したいのは、部門ごとにバラバラにSaaSを選ぶと、同じ従業員情報や取引先情報を複数のツールに登録する二重管理が起きやすいことです。全社で使うマスタデータ(顧客・取引先・従業員)をどのツールで管理するかを先に決めておくと、ツールが増えても混乱しにくくなります。具体的なサービスの例をさらに知りたい場合は、SaaSの具体例を業務ツール別に解説した記事が参考になります。

「日本の三大SaaS企業」に決まった定義はあるのか

「日本の三大SaaS企業」という呼び方に、公的な定義や公式の順位はありません。売上、時価総額、利用社数など、何を基準にするかで顔ぶれが変わります。SaaS企業を比べるときは、特定の順位を鵜呑みにせず、決算資料などの公開情報で基準をそろえて確認することが大切です。見方の考え方はSaaSランキングを公的データで見る記事で整理しています。

クラウドサービスの代表例|3大クラウドとAWSはSaaSか

クラウドサービスの代表例は、SaaSならGoogle WorkspaceやMicrosoft 365、PaaSならGoogleのApp EngineやAzure App Service、IaaSならGoogleのCompute EngineやAzureの仮想マシンです。以下は、各社の公式ページで例として挙げられているサービスです(2026年10月16日確認)。

種類 Google Cloud公式の例 Microsoft公式の例
SaaS Google Workspace Microsoft 365、Dynamics 365
PaaS App Engine、Cloud Run Azure App Service、Azure Functions、Azure SQL Database
IaaS Compute Engine Azure 仮想マシン、Azure Disk Storage、仮想ネットワーク

出典は、Google CloudのPaaS、IaaS、SaaS の違いと、Microsoft Learnのクラウドでの共同責任です。Microsoftの説明では、多くのソリューションが複数のサービスモデルを組み合わせていることも示されています。1つの事業者が、SaaS・PaaS・IaaSを並行して提供しているのが実態です。

3大クラウドとは

3大クラウドは、一般にAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudの3つを指す呼び方です。公的な定義はなく、使われ方も記事や立場によって異なります。3社とも、サーバーやストレージといった基盤から、アプリケーションを動かす土台まで幅広く提供しており、Google WorkspaceやMicrosoft 365のように、SaaSを同じ事業者が別に提供している点も共通しています。主要なサービスの業務領域は、主要SaaSサービスの業務領域マップでも整理しています。

AWSはSaaSですか

AWSは、一般にはサーバーやストレージなどの基盤を提供するIaaSやPaaSの文脈で語られることが多く、AWS全体を「SaaS」と呼ぶのは実態に合いません。ただし、AWS自身もクラウドコンピューティングのタイプの解説で、定義は会社によって異なること、IaaS・PaaS・SaaSは従来のグループ分けであり、AWSでは顧客のニーズに応えるソリューションに重点を置くため、サービスが多くのタイプにまたがる場合があることを説明しています。

個別のサービスがどのタイプにあたるかは、名前ではなく「利用者が何を管理するか」で判断するのが確実です。OSやアプリケーションまで自分で用意して運用するならIaaSに近く、完成したソフトウェアをアカウントで使うだけならSaaSに近い、と考えると迷いにくくなります。

SaaSのメリットとデメリット|オンプレミスと比べた向き・不向き

SaaSの主なメリットは、初期投資を抑えて早く使い始められること、常に最新の状態で使えること、場所を選ばないことです。一方で、カスタマイズの自由度が低いことや、障害・仕様変更の影響を自社で制御できないことがデメリットになります。

区分 内容 具体的には
メリット 初期投資を抑えて短期間で使い始められる サーバーの購入や構築が不要で、契約後すぐに利用できる
メリット 常に最新の状態で使える 機能追加やセキュリティ更新を提供事業者が行う
メリット 場所や端末を選ばない インターネットにつながればどこからでも同じデータにアクセスできる
デメリット カスタマイズの範囲が限られる 多くの利用者に共通の仕組みのため、独自の業務フローに合わない部分が残ることがある
デメリット 障害やメンテナンス中は使えない 復旧は提供事業者の対応を待つことになる
デメリット 仕様変更やサービス終了の影響を受ける 画面や機能の変更、提供終了時のデータ移行に備える必要がある

デメリットの多くは、契約前の確認で影響を小さくできます。カスタマイズについては、自社に欠かせない要件を先に書き出し、標準機能や設定変更、ほかのツールとの連携で満たせるかを無料トライアルやデモで確かめます。障害やメンテナンスについては、稼働率の目標や障害時の連絡方法、サポートの受付時間といったサービスレベルの取り決め(SLA)を確認しておくと、業務への影響を見積もりやすくなります。

見落とされやすいのが、特定のSaaSに依存しすぎて別のサービスへ移れなくなる「ベンダーロックイン」です。機能変更や料金改定、サービス終了が起きても業務を止めないよう、データを一括で書き出せる形式と手順、解約後のデータの扱いを事前に確認しておきましょう。画面や機能の変更は事前にお知らせされることが多いため、更新情報を確認して社内に共有する担当者を決めておくと、現場の混乱を防げます。

SaaSを選ばないほうがよい3つのケース

SaaSが向かない場面もあります。次の3つに当てはまる場合は、オンプレミスや、IaaS・PaaSを使った自社構築を比較対象に入れてください。

ケース 理由 代わりに検討するもの
業界特有の複雑な処理を細かく作り込みたい SaaSは共通の仕組みを多くの利用者で使うため、独自の業務フローを組み込める範囲に限りがある PaaSやIaaSでの自社開発、オンプレミス
社内規程により、データを社外に置けない 提供事業者のサーバーにデータを預けることになる オンプレミス、自社専用のクラウド環境
特殊な用途や高い負荷でも安定して動かしたい 性能や構成を利用者側で調整しにくい IaaSで構成を設計する、専用の基盤を使う

どのケースでも、判断の軸は「標準の仕組みに業務を合わせられるか」です。合わせられるなら、保守の負担が小さいSaaSが有力な選択肢になります。オンプレミスやASPとの違いを含めた包含関係の整理は、SaaSとクラウドの違いを整理した記事も参考になります。

SaaS・PaaS・IaaSの使い分け|目的・スキル・期間で選ぶ

SaaS・PaaS・IaaSは、「何を実現したいか」「扱える人のスキル」「かけられる期間と費用」の3つで使い分けます。一般的なメールや顧客管理のように、すでに完成した機能で足りるならSaaS、自社固有のアプリケーションを作るならPaaS、サーバー構成から設計したいならIaaSが候補になります。

見るポイント SaaS PaaS IaaS
向いている目的 標準的な業務をすぐ始めたい 自社専用のアプリケーションを開発したい 構成を細かく設計し、自由度を最大にしたい
必要なスキル 業務の担当者でも扱える 開発の知識が必要 インフラの専門知識が必要
立ち上がりの早さ 契約後すぐに使える 開発の期間が必要 構築と運用の設計から必要
自由度 低い(設定の範囲内) 中程度 高い

上の表は一般的な目安で、製品によって例外があります。複雑でない業務のアプリケーションなら、まずSaaSで足りないかを検討し、足りない部分だけをPaaSやIaaSで補う考え方にすると、開発にかかる工数と人件費を抑えやすくなります。

クラウドサービスの利用状況と広がった背景|国内の動向

総務省の情報通信白書(令和7年版)によると、全社での利用と一部の事業所・部門での利用を合計して、2024年は80.6%の企業がクラウドサービスを利用しています。利用は年々拡大しており、SaaSは一部の先進企業だけのものではなくなっています。

利用されるサービスは多岐にわたり、特に「ファイル保管・データ共有」「社内情報共有・ポータル」「電子メール」「給与、財務会計、人事」「スケジュール共有」の利用率が高く、徐々に増加する傾向にあります。つまり、業務カテゴリ別マップで見た経理・人事・情報共有は、すでに多くの企業がSaaSに置き換えている領域です。出典は、総務省令和7年版 情報通信白書「クラウドサービス」です。

働く場所の多様化

テレワークや複数拠点での勤務が広がったことで、社内のサーバーにしかデータがない状態では仕事が進まなくなりました。SaaSはインターネットにつながる環境であればどこからでも同じデータにアクセスでき、複数の人が同時に作業することもできます。この「場所を選ばない」という特徴が、普及を後押ししました。

人手不足と業務効率化

SaaSはサーバーの購入や自社開発が不要なため、専任のIT担当者がいない企業でも導入しやすく、少ない人数で回す業務の負担を減らす手段として選ばれています。

安全性を確かめる仕組みの整備

政府機関がクラウドサービスを調達する際の安全性評価の仕組みとして、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)が運用されており、ISMAPポータルでクラウドサービスリストが公開されています。民間企業にとっても、クラウドサービスを選ぶ際の判断材料の1つになります。

SaaS選定の5つの判断基準

SaaSを選ぶときは、目的・使いこなし・セキュリティ・連携・コストの5つの基準で候補を比べると、導入後の後悔を減らせます。機能表の比較だけで決めず、自社の状況に照らして確認することが大切です。

基準1:導入の目的が明確か

「顧客情報の引き継ぎ漏れをなくす」「毎月の請求書作成の時間を半分にする」など、SaaSで解決したい課題を1つの文で言えるかを確認します。目的があいまいなまま機能の多さで選ぶと、使わない機能に費用を払い続けることになります。

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基準2:社内のITリテラシーに合っているか

実際に毎日使う現場の担当者が、説明書を読まなくても操作できるかが定着の分かれ目です。無料トライアルがある場合は、IT担当者だけでなく現場の担当者にも試してもらい、スマートフォンから使う場面があるなら、その操作性も確認しておきましょう。

基準3:セキュリティと管理体制は十分か

SaaSでは、自社のデータを提供事業者のサーバーに預けることになります。通信の暗号化、ログイン時の多要素認証、閲覧権限の設定、操作記録の保存、データの保管場所などを確認しましょう。ISMAPに登録されているかどうかも判断材料の1つです。顧客や従業員の個人情報を扱う場合は、個人情報保護委員会の法令・ガイドライン等もあわせて確認し、必要に応じて専門家に相談してください(本記事は法的助言を目的としたものではありません)。

基準4:既存システムと連携できるか

すでに使っている会計ソフトやグループウェア、表計算ファイルとデータをやり取りできるかを確認します。API連携やCSVでの取り込み・書き出しに対応していれば、二重入力を避けられます。将来ほかのSaaSに乗り換える可能性も考え、データを丸ごと書き出せるかも見ておくと安心です。

基準5:総コストに見合う効果があるか

SaaSは初期費用が小さい反面、利用人数に応じた月額費用が継続して発生します。月額だけでなく、初期設定の支援費用、オプション機能、契約期間の縛りや自動更新の条件を含めた総コストで比較しましょう。効果は、削減できる作業時間に人件費をかけた金額で見積もると、社内で説明しやすくなります。具体的な料金は変動するため、必ず各社の公式情報で最新の内容を確認してください。

判断基準 確認のための質問
目的 解決したい課題を1つの文で言えるか
ITリテラシー 現場の担当者がトライアルで迷わず操作できたか
セキュリティ 多要素認証、権限設定、操作記録、保管場所を確認したか
連携 既存ツールとのデータ連携と、全データの書き出しができるか
コスト 契約条件を含む総コストと、削減時間の見込みを比べたか

個別のSaaSを比べる際の評価軸や、景品表示法に配慮した比較の考え方は、SaaS比較の正しい方法で解説しています。

SaaS導入の進め方|小さく始めて広げる4ステップ

SaaSは、対象業務の棚卸し、小規模な試行、ルールづくり、全社展開の4ステップで進めると、導入後の定着率を高められます。契約のしやすさに任せて一気に全社へ広げないことが大切です。

ステップ1:対象業務と現状の手間を棚卸しする

最初に、SaaS化の候補となる業務について、だれが、どのくらいの頻度で、どれだけの時間をかけているかを書き出します。名刺の入力、請求書の作成、勤怠の集計といった作業ごとに週あたりの時間を把握しておくと、後で導入効果を測る基準になります。この段階で「紙の書類がどこにあるか」「同じ情報を何か所に入力しているか」も確認しておくと、SaaSで解消すべき無駄がはっきりします。

ステップ2:一部の部署で小さく試す

候補を2、3製品に絞ったら、無料トライアルや少人数の契約で、1つの部署やチームに限定して試します。IT担当者だけでなく、実際に毎日使う現場の担当者を必ず参加させることがポイントです。操作に迷った場面、入力が面倒に感じた項目、既存の業務の流れと合わなかった点を記録しておくと、本導入の判断材料になります。試行期間は1か月から3か月程度を目安にし、ステップ1で把握した作業時間がどれだけ減ったかを比べましょう。

ステップ3:運用ルールと権限を決める

本導入の前に、入力する項目と入力のタイミング、閲覧・編集できる人の範囲、退職者のアカウントを停止する手順などを決めておきます。特に顧客情報や従業員情報を扱うSaaSでは、権限設定を初期状態のまま全員に公開してしまう事故が起きやすいため注意が必要です。ルールは細かく作りすぎると守られなくなるので、「名刺は受け取った当日中に取り込む」のように、現場が迷わない短い文にまとめるのがコツです。

ステップ4:効果を確認しながら全社へ広げる

試行した部署で効果が確認できたら、対象を段階的に広げます。展開の際は、試行部署の担当者に操作のコツや困ったときの対処を共有してもらうと、ほかの部署も抵抗なく使い始められます。全社に広げた後も、半年や1年といった区切りで利用状況と作業時間を見直し、使われていない機能やアカウントがあれば契約内容を調整しましょう。

ここまでの内容を、自社の状況に当てはめて確認してみましょう。次のセルフチェックは、顧客情報の管理を例に、SaaS化の優先度を確かめるものです。

顧客情報のSaaS化、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

SaaS選定でよくある失敗パターン

SaaS導入でよくある失敗は、機能の多さで選ぶこと、部門ごとにバラバラに導入すること、契約条件を見落とすことの3つです。スイッチを切り替えると、失敗例と回避策を見比べられます。

よくある失敗 回避策

失敗パターン1:機能の多さで選んだ。多機能な製品を選んだが設定が複雑で、現場が基本機能しか使わないまま高い月額を払い続けた。

失敗パターン2:部門ごとにバラバラに導入した。営業と経理が別々に顧客情報を管理し、取引先の住所変更が片方にしか反映されなかった。

失敗パターン3:契約条件を見落とした。年単位の自動更新に気づかず、使わなくなった後も解約できない期間が残った。

3つの失敗に共通するのは、「どのツールを入れるか」を先に考え、「どの業務をどう変えるか」を後回しにしている点です。SaaSは導入のハードルが低いぶん、目的や全社のルールを決めないまま契約できてしまいます。導入前に業務の流れとデータの持ち主を整理しておくことが、失敗を防ぐいちばんの近道です。

SaaS導入コストを数値で確認する

SaaSの費用対効果は、手作業にかかっている時間をどれだけ減らせるかを金額に置き換えると判断しやすくなります。次のシミュレーターで、顧客情報の入力・検索にかかる時間から年間の削減額の目安を確認できます。

顧客情報を扱う従業員数:10人

1人あたり週の入力・検索時間:2時間

1時間あたりの人件費:3000円

現在の年間作業時間:時間

半分を削減できた場合の金額:円/年

年間48週稼働、削減率50%を仮定した簡易計算です。実際の効果は業務内容やツール、運用によって異なります。

例えば顧客情報を扱う従業員が10人で、1人が週2時間を名刺の入力や顧客情報の検索に使っている場合、年間では960時間になります。その半分を減らせれば480時間、人件費を1時間3,000円とすると年間144万円相当の時間を、商談や顧客対応に回せる計算です。この金額と、利用人数分の月額費用や初期設定の費用を比べることで、導入の妥当性を社内で説明しやすくなります。なお、この試算には情報の探し直しによる機会損失や、引き継ぎ漏れによる失注は含まれていません。運用が定着しなければ、実際の効果が小さくなることもあります。

試算で出た作業時間の多くが名刺や顧客情報の入力・検索だった場合は、その入口を整えることが最初の一手になります。名刺管理SKYPCEは、名刺管理を軸に営業・マーケティング活動へ活用できるサービスです。自社の業種や運用に合うかどうかを、商品ページで確認してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSとクラウドサービスは同じ意味ですか?

A. 同じではありません。クラウドサービスはインターネット経由でIT資源を利用するサービス全体の総称で、SaaSはその中でソフトウェアを提供する種類を指します。クラウドサービスには、SaaSのほかにPaaSとIaaSがあります。

Q2. SaaSの代表的なサービスにはどのようなものがありますか?

A. Google WorkspaceやMicrosoft 365、Dynamics 365が、各社の公式説明でSaaSの例として挙げられています。国内でも顧客管理・会計・勤怠・グループウェアなど業務カテゴリごとに多くのサービスがあります。「日本の三大SaaS企業」に公的な定義や順位はなく、基準によって顔ぶれが変わります。

Q3. 3大クラウドサービスとは何ですか?

A. 一般に、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudの3つを指す呼び方です。公的な定義はありません。3社とも、サーバーやストレージなどの基盤から、アプリケーションの土台まで幅広く提供しています。

Q4. AWSはSaaSですか?

A. AWS全体をSaaSと呼ぶのは実態に合わず、一般にはIaaSやPaaSの文脈で語られます。ただしAWS自身が、IaaS・PaaS・SaaSは従来のグループ分けであり、サービスが多くのタイプにまたがる場合があると説明しています。個別のサービスは、利用者が管理する範囲で判断してください。

Q5. SaaSとオンプレミスはどちらを選ぶべきですか?

A. 初期投資を抑えて早く使い始めたい、保守の負担を減らしたい場合はSaaSが向いています。独自の要件に合わせた細かな作り込みが必要な場合や、データを社外に置けない事情がある場合はオンプレミスが候補になります。

Q6. 最初にSaaS化するならどの業務がよいですか?

A. 手作業が多く、効果が数値で見えやすい業務がおすすめです。顧客管理や名刺管理は、情報の探し直しや引き継ぎ漏れの解消という効果が分かりやすく、最初の一歩として選ばれやすい業務です。

まとめ

SaaSは、クラウドサービスの中でソフトウェアを提供する種類であり、業務部門が自分たちの課題を早く解決するための有力な選択肢です。自社に合うSaaSを選ぶために、次の5点を押さえておきましょう。

  1. クラウドサービスはSaaS・PaaS・IaaSの3種類で、違いは利用者が管理する範囲にあると理解する
  2. サービス名ではなく、利用者が何を管理するかで種類を見分ける
  3. ツール名ではなく、困っている業務カテゴリからSaaSを探し、5つの基準で候補を比べる
  4. 顧客や取引先などのマスタデータをどのツールで管理するかを全社で先に決める
  5. 顧客管理のSaaS化を検討するなら、名刺の取り込みなど入力の入口を整えるサービスの資料を取り寄せ、自社に合うか確認する

まずは、社内で手作業に時間を取られている業務を1つ選び、その業務を変えるSaaSを小さく試すところから始めてみてください。それが、SaaSとクラウドサービスを自社の力に変える確実な一歩になります。

参考文献

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