SaaSショック(2022年)とは何だったか

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  • SaaSショックの意味と2022年の出来事がわかる
  • なぜSaaS株が見直されたかがわかる
  • 「SaaSの死」議論との違いがわかる

「SaaSショック」という言葉から、SaaS自体が終わったのではないかと心配になった方もいるかもしれません。この記事は投資助言ではなく、2022年に何が起きたのかを一次情報で整理するものです。本記事では、SaaSショック(2022年)とは何だったか、株価下落の背景と市場評価の変化を解説します。

目次

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  1. SaaSショックとは
  2. 2022年に何が起きたか
  3. なぜSaaS株は見直されたか
  4. 日本市場で見るときの注意点
  5. 「SaaSの死」議論との違い
  6. 企業担当者が学べること
  7. SaaSショックの前後で何が変わったか
  8. SaaSショックの理解でよくある失敗パターン3つ
  9. 一次情報にあたる際の具体的な確認先
  10. SaaS企業の評価に使われる代表的な指標
  11. 資金調達環境の変化がスタートアップに与えた影響
  12. 日本の上場SaaS企業への影響の伝わり方
  13. SaaSショックの教訓を自社の情報収集に活かす方法
  14. よくある質問(FAQ)
  15. まとめ|今日からできる3つのこと

SaaSショックとは

SaaSショックとは、2022年に起きたSaaS関連企業の市場評価の見直しを指す呼称です。SaaSサービス自体が消滅したわけではなく、金融環境の変化に伴う株式市場での評価の変化を指す言葉として使われています。

2022年に何が起きたか

2022年、それまでの低金利政策から金融引き締めへの転換が進み、成長企業の評価に影響を与えました。米国の政策金利は2022年初頭の0.25%から0.50%程度の水準から、同年末には4.25%から4.50%程度まで引き上げられています。

なぜSaaS株は見直されたか

成長率、収益性、資金調達環境の変化という要因が重なり、低金利下で高く評価されていた成長企業の株価が見直されました。将来の成長性を前提とした評価が、金利上昇に伴う資金調達環境の変化によって再検討された結果です。

日本市場で見るときの注意点

JPXが公開する資料等の一次情報を確認し、個別銘柄の評価と市場全体の傾向を明確に分けて見ることが、日本市場でSaaSショックを見る際の注意点です。SaaS関連企業の状況をさらに詳しく調べたい場合は、専門的な市場調査を活用する方法もあります。

「SaaSの死」議論との違い

SaaSショックは過去の株式市場での評価変化を指し、「SaaSの死」議論はAI時代における将来の事業変化を指すという違いがあります。両者を同じ文脈で語ってしまうと、時期や論点を混同することになります。「SaaSの死」議論の詳細は「SaaSの死」は本当かを整理した記事で解説しています。

企業担当者が学べること

導入側は契約先の事業継続性を確認するチェックポイントとして、提供側は資金調達環境の変化に応じた事業計画の見直しとして、この出来事から学べることがあります。いずれの立場でも、単発の出来事として捉えるのではなく、市場環境の変化に対する備えとして活用することが有効です。

SaaSショックの前後で何が変わったか

SaaSショックを経て、成長企業への投資家の視線は「成長率の高さ」を最優先する姿勢から、「成長率と収益性のバランス」を重視する姿勢へと変化したと語られることが多くあります。

低金利環境が続いていた時期は、将来の大きな成長を見込んで、目先の赤字が続いていても株価が高く評価される成長企業が少なくありませんでした。しかし金融引き締めへの転換を経て、遠い将来の成長性よりも、足元の収益性や資金効率を重視する評価軸へと市場の見方が変化したとされています。この変化を象徴する指標として、成長率と利益率(あるいはキャッシュフロー)を足し合わせた「Rule of 40」という考え方が、SaaS企業を評価する際の目安として以前にも増して注目されるようになりました。

事業運営の面でも、SaaS企業各社が人員採用のペースを見直したり、収益性の低い事業から撤退したりする動きが見られたとされています。それまで「まず成長、収益化は後回し」という考え方が主流だった一部のSaaS企業にとって、SaaSショックは事業運営の優先順位を見直す契機になったという見方が、業界内では複数語られています。ただし、こうした評価は事後的な解釈であり、個別企業の状況は一律ではないため、特定の企業について判断する際は、その企業の一次情報(決算資料等)を個別に確認することが重要です。

SaaSショックの理解でよくある失敗パターン3つ

SaaSサービス自体の終焉と誤解する、「SaaSの死」議論と同一視する、個別銘柄の評価と市場全体の傾向を混同するという3つが、SaaSショックの理解でよく見られる失敗の典型です。

失敗パターン1:SaaSサービス自体の終焉と誤解する。市場評価の見直しを、サービス自体の消滅と混同するケースです。金融環境の変化による評価の見直しであることを理解することが回避策になります。

失敗パターン2:「SaaSの死」議論と同一視する。2022年の出来事とAI時代の議論を同じ文脈で語り、時期を混同するケースです。両者の時期と論点の違いを理解することが回避策になります。

失敗パターン3:個別銘柄の評価と市場全体の傾向を混同する。特定企業の状況を市場全体の傾向として一般化してしまうケースです。一次情報で個別に確認することが回避策になります。

一次情報にあたる際の具体的な確認先

SaaSショックのような出来事について正確に理解するには、まとめサイトやSNSでの解説だけに頼らず、公的機関や取引所が公開する一次情報にあたる習慣が重要です。

日本国内の株式市場全体の動向を確認したい場合は、JPX(日本取引所グループ)が公開する統計資料や市場データが参考になります。個別の上場企業について確認したい場合は、その企業のIR(投資家向け情報)ページに掲載されている決算説明資料や有価証券報告書を直接確認することで、企業自身がどのように状況を説明しているかを一次情報として把握できます。米国市場の動向については、SEC(米国証券取引委員会)への提出書類や、各企業の決算発表資料が一次情報にあたります。

ニュース記事やSNSでの解説は、話を分かりやすくするために単純化されていたり、執筆者の解釈が強く反映されていたりすることがあります。「〇〇ショックでSaaSは終わった」といった刺激的な見出しを見た際は、その根拠となっている一次情報が何かを確認し、可能であれば自分自身でその一次情報にも目を通す習慣をつけることが、正確な情報収集につながります。本記事の内容も含め、断定的な表現があった場合は、そのまま鵜呑みにせず出典を確認する姿勢をおすすめします。

SaaS企業の評価に使われる代表的な指標

Rule of 40のほかにも、NRR(売上継続率)、LTV/CAC比率、バーンマルチプルといった指標が、SaaS企業の状況を評価する際によく参照されます。SaaSショックを機に、単一の指標だけで企業の健全性を判断するのではなく、複数の指標を組み合わせて見る姿勢が広まったと語られることがあります。

NRRは、既存顧客からの売上が時間の経過とともにどれだけ維持・拡大しているかを示す指標です。解約による売上減少を、既存顧客のアップセルやクロスセルがどれだけ上回っているかを見るもので、100パーセントを上回っていれば、新規顧客を獲得しなくても既存顧客だけで売上が伸びている状態を意味します。SaaSショック以降、新規顧客獲得のコストが相対的に意識されるようになったこともあり、既存顧客との関係を示すNRRは、投資家が重視する指標のひとつとして語られる機会が増えたとされています。

LTV/CAC比率は、顧客生涯価値(LTV)と顧客獲得コスト(CAC)の比率を示す指標で、営業・マーケティングにかけたコストに対してどれだけの価値を顧客から得られているかを表します。バーンマルチプルは、事業運営で消費した資金(バーン)に対して、どれだけ売上高が増加したかを示す指標です。低金利下では、これらの効率性を示す指標よりも成長率そのものが重視される傾向があったとされますが、金融引き締めへの転換後は、限られた資金をどれだけ効率的に成長へつなげられているかという視点が、あわせて重視されるようになったという見方が示されています。ただし、これらの指標の重み付けや解釈は業界・成長段階によって異なるため、個別企業の評価はその企業のIR資料を確認したうえで判断することが望まれます。

資金調達環境の変化がスタートアップに与えた影響

金融引き締めへの転換に伴い、未上場のSaaSスタートアップの資金調達環境も変化し、資金調達のペースや評価額の考え方に影響が及んだとされています。上場企業の株価評価が見直される動きと並行して、未上場企業の資金調達を取り巻く環境にも変化が生じたという指摘が複数見られます。

低金利環境が続いていた時期は、投資家が積極的にリスクを取り、将来の成長を見込んだ高い評価額での資金調達が成立しやすい環境だったと語られています。金融引き締めへの転換後は、投資家がより慎重な姿勢を取るようになり、資金調達のラウンドが成立するまでの期間が長期化したり、以前と同じ水準の評価額での調達が難しくなったりする事例が語られるようになりました。こうした環境の変化を受けて、スタートアップ側でも、資金調達に依存した急成長よりも、手元資金でどれだけ事業を継続できるかを示す「ランウェイ」を意識した経営判断を行う動きが広がったとされています。

企業のIT担当者やSaaS導入の意思決定に関わる立場から見た場合、こうした資金調達環境の変化は、契約先のSaaSベンダーがどのような資金基盤で事業を運営しているかを確認する重要性を再認識させる出来事でもあります。特に、事業継続性が業務に直結するようなシステムを導入する際は、契約前にベンダーの事業規模や公開されている経営情報を確認する、複数のベンダーを比較検討する、契約内容にサービス終了時のデータ移行条件が含まれているかを確認するといった対応が、リスクを抑える手段として挙げられます。

日本の上場SaaS企業への影響の伝わり方

米国市場で生じた評価の見直しは、時間差を伴いながら日本国内の上場SaaS関連企業の株価にも影響を及ぼしたとされています。グローバルに展開する機関投資家が、米国SaaS企業への評価軸の変化を、同様のビジネスモデルを持つ日本企業の評価にもあてはめて考える傾向があったという指摘が見られます。

ただし、影響の度合いは企業ごとに一様ではなかったとされ、収益性がすでに確保されていた企業と、成長投資を優先し赤字が続いていた企業とでは、市場からの評価の変化の度合いが異なっていたという見方も示されています。個別企業の株価がどのような要因で変動したかを正確に把握するには、その企業自身が開示する決算説明資料や有価証券報告書における経営陣のコメントを確認することが基本になります。まとめサイトやSNS上の解説だけを根拠に、特定の企業の状況を断定的に判断することは避け、必ず一次情報にあたる姿勢が重要です。

SaaSショックの教訓を自社の情報収集に活かす方法

SaaSショックのような市場全体の出来事を振り返ると、情報の受け取り方そのものを見直すきっかけとしても活用できます。特定の出来事が起きた直後は、断定的な見出しやセンセーショナルな解説が広まりやすく、実際の一次情報と論調にずれが生じることが少なくありません。

企業の情報システム部門や経営企画部門で、外部のSaaSサービスを継続的に利用・検討する立場にある場合、こうした市場の出来事を定点観測する習慣を持つことが有効です。具体的には、契約中または検討中のSaaSベンダーが上場企業であれば、四半期ごとの決算発表のタイミングで、経営陣が事業環境をどのように説明しているかを確認する、業界全体の資金調達動向について、業界団体や調査会社が公開するレポートを定期的にチェックする、といった対応が挙げられます。未上場のベンダーであっても、資金調達のニュースリリースやプレスリリースは一次情報として参考になります。

また、社内で「SaaSショック」のような市場用語が話題になった際は、その言葉が指している具体的な事象と時期を確認し、現在の状況にそのままあてはまる話なのか、それとも過去の一時的な出来事の話なのかを整理してから議論することも大切です。市場環境は継続的に変化するため、数年前の出来事に基づく印象だけで、現在のSaaS業界全体を判断してしまうことは避け、常に最新の一次情報を確認する姿勢を社内でも共有しておくと、外部環境の変化に振り回されにくい意思決定につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSショックとは何ですか?

A. 2022年に起きたSaaS関連企業の市場評価の見直しを指す呼称です。

Q2. 「SaaSの終わり」という意味ですか?

A. 異なります。SaaSサービス自体の消滅ではなく、株式市場での評価変化を指します。

Q3. この記事の内容を投資判断に使えますか?

A. 使えません。本記事は投資助言ではなく、出来事の背景を整理する目的で作成しています。

Q4. 導入企業が確認すべきことは何ですか?

A. 契約先の事業継続性を確認する視点として、この出来事の背景を知っておくことが参考になります。

Q5. 2022年に何が起きましたか?

A. 低金利政策から金融引き締めへの転換が進み、成長企業の評価に影響を与えました。

Q6. 日本市場を見る際の注意点は何ですか?

A. JPX資料等の一次情報を確認し、個別銘柄の評価と市場全体の傾向を分けて見ることが重要です。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. 市場評価の見直しと理解する:サービスの終焉と誤解しません。
  2. 「SaaSの死」議論と区別する:同一視しません。
  3. 一次情報で個別に確認する:個別と全体を混同しません。

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