SaaS比較の正しい方法|評価軸を解説
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- SaaS比較で先に決める3つの前提がわかる
- 比較表の4つの評価軸がわかる
- ランキングサイト利用時の注意点がわかる
複数のSaaSを比較する際、単に候補を並べただけでは、公平な判断材料になりません。特に社外向けに比較情報を発信する場合は、景品表示法への配慮も必要になります。本記事では、SaaS比較の正しい方法を、景表法に配慮した選び方と評価軸として解説します。
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SaaS比較とは
SaaS比較とは、単に候補を並べる作業ではなく、同じ条件で判断できる状態を作る選定作業を指します。条件を揃えずに並べただけの比較は、実態と異なる印象を与えるリスクがあり、景品表示法上も配慮が必要です。
先に決める3つの前提
比較の目的、対象とする業務領域、評価する期間という3つの前提を先に決めることが、公平な比較の出発点になります。前提を決めずに比較を始めると、途中で評価軸がぶれてしまいます。
比較表の評価軸
機能、費用、連携、セキュリティという4つの軸を、同じ条件で評価することが比較表作成の基本です。機能面だけでなく、導入後の運用支援まで含めて評価軸に加えることが推奨されています。
| 評価軸 | 確認内容 |
|---|---|
| 機能 | 自社業務に必要な機能があるか |
| 費用 | 料金体系・追加費用の有無 |
| 連携 | 既存システムとの連携可否 |
| セキュリティ | 認証・ログ・バックアップ等 |
コミュニケーション領域のSaaSを例に比較を進める場合、社内のスケジュール共有やファイル管理を担うグループウェアが、評価軸を実際に確認しやすい対象の一つになります。
ランキングサイト利用時の注意点
評価基準と調査条件が明示されているかを確認することが、ランキングサイトを参考にする際の注意点です。基準が不明なランキングは、社内資料や社外発信の根拠として使わないことが望ましいです。
社外向けに比較コンテンツを発信する際の景表法の考え方
自社のブログやオウンドメディアで「おすすめSaaS◯選」のような比較コンテンツを発信する場合、景品表示法(景表法)の優良誤認・有利誤認に該当しないよう、比較の根拠を明確にしておくことが求められます。
優良誤認とは、実際よりも著しく優良であると誤解させる表示のことで、根拠のないまま「業界No.1」「最も高機能」といった表現を使うことがこれに該当しうるとされています。比較記事を作成する際は、「何を基準に」「いつ時点の情報で」比較したのかを明記し、自社が提供するサービスと他社サービスを比較する場合は特に、客観的な根拠(公表されている機能一覧、料金プラン等)に基づいて記載することが重要です。
有利誤認とは、価格や取引条件について実際よりも著しく有利であると誤解させる表示のことです。「業界最安値」といった表現を使う場合、実際に比較対象とした他社の料金プランや、比較した時点を明示しておかないと、誤認を招く表示とみなされるリスクがあります。SaaSは料金プランの改定が頻繁に行われるサービスも多いため、比較記事を公開した後も定期的に情報を更新し、古い料金情報のまま放置しないことも、誤認防止の観点で重要です。なお、本項目は一般的な留意点の整理であり、個別の表現が景表法に抵触するかどうかの法的判断は、必要に応じて弁護士等の専門家にご確認ください。
SaaS比較でよくある失敗パターン3つ
前提を決めずに比較を始める、機能面だけで評価する、根拠不明なランキングをそのまま引用するという3つが、SaaS比較でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:前提を決めずに比較を始める。比較の途中で評価軸がぶれ、結論が出ないケースです。目的・業務領域・期間を先に決めることが回避策になります。
失敗パターン2:機能面だけで評価する。導入後の運用支援やセキュリティを見落とし、後から困るケースです。4軸すべてを同じ条件で評価することが回避策になります。
失敗パターン3:根拠不明なランキングをそのまま引用する。社外向け資料に根拠のない比較を掲載し、景品表示法上のリスクを負うケースです。評価基準・調査条件を確認したうえで引用することが回避策になります。
比較検討を効率化するトライアル活用の進め方
比較表で候補を絞り込んだ後は、無料トライアルを活用して実際の操作感を確認するプロセスを、比較検討の最終ステップとして組み込むことをおすすめします。
比較表上のスペックだけでは、実際に使ってみたときの操作性や、自社の業務フローとの相性までは分かりません。候補を2社から3社程度まで絞り込んだら、それぞれの無料トライアルに申し込み、実際に業務で使う担当者に触ってもらうことが有効です。この際、あらかじめ「比較表に基づいて確認したい項目」をチェックリスト化しておくと、担当者ごとに評価がバラバラになるのを防ぎやすくなります。
トライアル期間中は、自社が実際に運用する業務データに近いサンプルデータを使って試すことで、より実態に近い評価ができます。架空のダミーデータだけで試すと、実際の運用で発生する細かな課題(データ量が増えた際の動作速度、既存システムとの連携時の挙動等)を見落としがちです。複数の候補を同じ条件・同じ期間でトライアルすることで、比較表だけでは見えなかった使い勝手の差を客観的に把握でき、最終的な意思決定の精度を高められます。
部門・業種によって変わる評価軸の重み付け
機能・費用・連携・セキュリティという4つの評価軸は共通していても、部門や業種によって、どの軸を重く見るかは変わります。同じ比較表を使っていても、営業部門とバックオフィス部門とでは優先順位が異なることが少なくありません。
営業部門では、外出先からの利用や、モバイル端末からの操作性が重視される傾向があります。商談の合間にスマートフォンで情報を確認したり、外出先から資料を共有したりする場面が多いため、連携のしやすさや操作の分かりやすさが評価の中心になりやすいです。一方、経理・総務など社内データを扱う部門では、権限管理の細かさやログの保存期間、アクセス履歴の追跡可否など、セキュリティ面の確認項目が相対的に重くなります。同じ比較表のフォーマットを使う場合でも、部門ごとに「特に重視する軸」を明示したうえで比較すると、後から評価結果の食い違いを説明しやすくなります。
業種による違いも見逃せません。個人情報や機密情報を多く扱う業種では、セキュリティ認証の有無や、データの保管場所(国内か海外か)を評価軸に加える必要が生じる場合があります。逆に、少人数のスタートアップなどでは、費用面の柔軟さや、契約期間の縛りの有無が比較の決め手になりやすい傾向があります。自社の業種特有の制約(業法上の要件、取引先から求められるセキュリティ水準等)がある場合は、汎用的な比較表をそのまま使うのではなく、自社向けに評価軸を追加・調整したうえで比較を進めることが望ましいです。
比較結果を社内稟議に通すための資料化のポイント
比較検討の結果を社内稟議に通すには、比較表そのものだけでなく、選定理由と却下理由をセットで文書化しておくことが有効です。決裁者が知りたいのは「どれが良いか」だけでなく「なぜ他の候補ではないのか」という点であることが多いためです。
資料化の際は、まず比較の前提(目的・対象業務・評価期間)を冒頭に明記し、次に評価軸ごとの採点結果を一覧化します。そのうえで、最終候補として選んだサービスについては選定理由を、除外した候補については除外理由を、それぞれ1行程度で簡潔に添えると、決裁者が短時間で判断しやすくなります。特に費用面については、初期費用・月額費用に加えて、利用人数が増えた場合の追加費用や、契約更新時の条件変更の可能性についても触れておくと、後から想定外のコストが発覚するリスクを減らせます。
また、無料トライアルを実施した場合は、その結果(担当者の評価コメント、確認できた点・確認できなかった点)も資料に添付しておくと、比較表の数値情報だけでは伝わらない実際の使用感を決裁者と共有できます。稟議の段階で運用開始後の見直しタイミング(半年後・1年後等)をあらかじめ明記しておくことも、導入後に「本当にこのサービスで良かったのか」を振り返る仕組みとして有効です。
乗り換え検討時に見落としがちなデータ移行の論点
既存のツールから新しいSaaSへ乗り換える場合、比較表の評価軸に加えて、データ移行にかかる工数と移行後の運用体制を確認しておく必要があります。移行作業そのものを比較の判断材料から抜け落としたまま契約を進めてしまうと、導入後に想定外の工数がかかることがあります。
確認すべき点としては、まず既存データのエクスポート形式が、移行先のインポート形式と互換性があるかどうかが挙げられます。形式が異なる場合、変換作業が別途必要になり、その分の工数や外部委託費用が発生する可能性があります。次に、移行作業中の業務停止期間をどの程度見込む必要があるかも重要な確認事項です。特に取引先や顧客とのやり取りに直結するデータ(顧客情報、案件履歴等)を扱うSaaSの場合、移行期間中に情報の参照や更新ができなくなると、日常業務に影響が及びます。移行スケジュールを立てる際は、繁忙期を避け、比較的余裕のある時期に設定することが望ましいです。
また、移行後の一定期間は、旧システムと新システムを並行稼働させ、データの整合性を確認するプロセスを設けることも有効です。並行稼働の期間中に、旧システム側のデータ更新を停止するタイミングをあらかじめ社内に周知しておかないと、どちらのデータが最新か分からなくなる混乱が生じることがあります。移行支援や導入後のサポート体制がベンダー側にどの程度用意されているかも、比較表の評価軸の一つとして加えておくと、乗り換え後のトラブルを減らしやすくなります。
比較検討を進める体制づくり
比較検討を1人の担当者だけで完結させると、評価軸への理解や好みに偏りが出やすいため、複数人でのレビュー体制を組んでおくことが望ましいです。実際に日々の業務で使う現場担当者と、費用対効果を判断する管理職とでは、着目するポイントが異なることが多いためです。
体制づくりの一例としては、比較表の作成自体は1人が担当しつつ、評価軸ごとの採点は現場担当者と管理職の双方が独立して行い、その後すり合わせる進め方があります。独立して採点することで、一方の意見に引きずられずに、それぞれの立場からの評価を反映できます。すり合わせの際に評価が大きく割れた項目があれば、その理由を掘り下げることで、比較表だけでは見えていなかった懸念点が明らかになることもあります。情報システム部門が別にある場合は、セキュリティや既存システムとの連携に関する項目について、早い段階から意見を求めておくと、後工程での手戻りを防ぎやすくなります。
比較検討にかける期間についても、あらかじめ社内で目安を共有しておくと進めやすくなります。候補の洗い出しから比較表作成、トライアル実施、稟議提出までを漫然と進めると数か月単位で長引くことがあるため、各工程にかける期間の目安を最初に決めておくことが、比較検討を停滞させないための工夫の一つです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 比較表作成で優先すべき項目は何ですか?
A. 機能だけでなく、導入後の運用支援も含めて評価項目に加えることが推奨されます。
Q2. ランキングを参考にする際に確認すべきことは何ですか?
A. 評価基準と調査条件が明示されているかを確認することが重要です。
Q3. セキュリティ確認の範囲はどこまでですか?
A. 認証、ログ管理、バックアップ体制など、複数の項目を確認することが望ましいです。
Q4. 複数部門で使う場合はどう比較すればよいですか?
A. 各部門の要件を洗い出し、共通する評価軸で比較することが望ましいです。
Q5. 前提を決めずに比較を始めるとどうなりますか?
A. 比較の途中で評価軸がぶれてしまい、結論が出にくくなります。
Q6. 企業規模によって重視すべき点は変わりますか?
A. 変わります。個人事業主から大企業まで、組織規模により重視するポイントが異なります。
まとめ|今日からできる3つのこと
- 3つの前提を先に決める:評価軸をぶれさせません。
- 4軸を同じ条件で評価する:機能面だけで判断しません。
- ランキングの根拠を確認する:そのまま引用しません。