AI展示会とは?参加前の準備・当日の見方・商談後フォローを解説
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- AI展示会の参加前に決めておきたい目的・質問リスト・名刺の記録方法がわかる
- 当日のブースの優先順位付けと、デモで確認すべきポイントがわかる
- 名刺・リードを放置しないためのフォローの手順とタイミングがわかる
AI展示会は、生成AI、AIエージェント、画像認識、AIを組み込んだ業務システムなどの製品・サービスを、デモと担当者との会話を通じて一度に比較できる場です。一方で、参加した営業・マーケティング担当者や情報システム担当者からは「名刺は大量に集まったのに、その後が続かなかった」「社内で共有しないまま候補が埋もれた」という声もよく聞かれます。本記事では、AI展示会に実際に参加を検討している方に向けて、参加前の準備、当日の回り方、そして成果を左右する商談後のフォローアップまでを、実務の流れに沿って整理します。展示会の開催日程や会場は年ごとに変わるため、参加前には必ず主催者の公式サイトで最新情報を確認してください。
なお、本記事のうち個人情報や広告メールに関する記述は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な判断が必要な場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。
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AI展示会、次の一歩は集めた名刺・リードの管理
AI展示会の成果は、会場で何社と話したかではなく、帰社後にどれだけの相手と次の会話につなげられたかで決まります。そして、その分かれ目になるのが、会場で受け取った名刺と会話のメモを、どれだけ早く、どれだけ正確に社内の共有できる形に置き換えられるかです。
AI展示会では、1日に数十枚の名刺を交換することも珍しくありません。来場者として参加する場合は、出展企業の営業担当者や技術担当者の名刺が集まり、出展者として参加する場合は、来場者の名刺やバーコードで読み取った来場者情報が大量に集まります。どちらの立場でも、名刺が紙のまま鞄や机の引き出しに残っていると、「あの会社のデモは誰が説明してくれたか」「どの課題に関心を示していたか」といった情報は数日で薄れていきます。名刺の束だけが残り、会話の中身が失われた状態では、フォローの連絡をしようにも何を書けばよいか分からず、結果として後回しになりがちです。
下の表は、展示会で集めた名刺・リード情報の代表的な管理方法を、帰社後のフォローのしやすさという観点で比べたものです。
| 管理方法 | 強み | 留意点 |
|---|---|---|
| 紙の名刺をそのまま保管 | 追加の費用や準備が不要で、その場ですぐ始められる | 検索や共有ができず、会話メモが残りにくい。担当者の異動や退職で情報が失われやすい |
| 表計算ソフトに手入力 | 関心度や次のアクションなど、自社独自の項目を自由に作れる | 枚数が多いと入力に時間がかかり、転記ミスや入力待ちでフォローが遅れやすい |
| 名刺管理ソフト(名刺管理に特化した型) | スマートフォンやスキャナーで読み取るだけでデータ化でき、社内で検索・共有しやすい | データ化の精度や、手入力による補正の有無はサービスごとに異なる |
| 名刺管理ソフト(営業支援機能も備えた総合型) | 名刺情報を起点に、商談の履歴やメール配信まで一つの画面で管理できる | 機能が多い分、社内で使い方を決めないと定着しにくく、費用も比較的高くなりやすい |
| 無料で使える名刺管理アプリ | 費用をかけずに個人単位ですぐ始められる | 組織での共有や管理者による権限設定に制限があることが多く、会社の顧客情報としての管理には向かない場合がある |
AI展示会に年に1回、数人で参加する程度であれば表計算ソフトでも回せますが、複数の展示会に継続的に参加する、部署をまたいで情報を共有したい、担当者が不在でも誰かがフォローできる状態にしたいという場合は、名刺管理ソフトで帰社当日にデータ化してしまうのが現実的です。名刺管理ソフトには、名刺のデータ化に特化した型、営業支援機能まで備えた総合型、個人向けの無料アプリといった種類があり、自社の参加頻度や、フォローを誰が担うかによって向き不向きが変わります。比較の際は、データ化の精度、社内での共有範囲の設定、既存の顧客管理システムとの連携可否を確認しておくと選びやすくなります。
AI展示会とは|技術比較と商談を同時に進められる場
AI展示会とは、AIに関連する製品、サービス、研究成果、導入支援、データ基盤などが一堂に集まり、来場者が実物のデモを見ながら比較・相談できるイベントです。Webサイトや資料では分からない操作感や応答の速さを自分の目で確かめられ、その場で担当者に自社の業務に当てはめた質問ができる点が最大の特徴です。
一口にAI展示会といっても、形式はさまざまです。AI全般を扱う大規模な専門展示会、製造・医療・物流など業界ごとの技術展の中に設けられたAIゾーン、営業・マーケティングやDXをテーマにした展示会の一部としてAI製品が並ぶもの、特定の企業が自社の顧客向けに開くプライベートショーなどがあります。大規模な専門展示会では出展社数が数百社規模になることもあり、限られた時間ですべてを見ることは現実的ではありません。そのため、自社がどの種類の展示会に参加するのかを把握したうえで、見る範囲を絞り込むことが準備の第一歩になります。代表的な展示会の一つについては、AI・人工知能EXPOとは|出展・来場の目的設定と見どころ整理でも詳しく扱っています。
| 展示会の種類 | 向いている目的 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| AI全般の大規模専門展示会 | 市場の全体像をつかむ、複数の候補を一度に比較する | 出展社が多く、事前に見る分野を絞らないと回り切れない |
| 業界別の技術展のAIゾーン | 自社の業界での具体的な導入例を知る | AI関連の出展は一部に限られ、選択肢が偏ることがある |
| 営業・マーケティング、DX系の展示会 | 既存の業務ツールにAIを組み込んだ製品を探す | AIの機能がどこまで独自のものかを見極める必要がある |
| 企業主催のプライベートショー | 特定の製品を深く知る、担当者とじっくり話す | 比較対象がなく、主催企業の製品に情報が偏る |
AI展示会に参加するメリット
AI展示会に足を運ぶ価値は、大きく3つあります。1つ目は、生成AIの業務活用やAIエージェント、AI-OCRなど、変化の速い分野の動向を1日でまとめて把握できることです。Web検索では自分が知っている言葉でしか調べられませんが、会場では想定していなかった製品や使い方に出会えることがあります。2つ目は、出展企業の担当者に自社の業務やデータの条件を伝え、その場で「できること・できないこと」を直接確認できることです。3つ目は、同じ課題を持つ他社の担当者や、導入を支援する企業との接点が生まれることで、帰社後の比較検討や社内提案の材料が増えます。一方で、得られる成果は準備とフォローの質に大きく左右されるため、本記事の後半で扱う流れとセットで考えることが大切です。
代表的なAI展示会と選び方
国内では、AIを専門に扱う展示会や、大型のIT展示会の中に設けられたAI関連の展示会が、東京をはじめ大阪や名古屋などでも開かれています。代表的なものとして、導入・実装段階のAIソリューションを扱うAI・人工知能EXPO NEO、生成AIの業務活用やAIエージェント、RPAなどの自動化を扱うAI・業務自動化 展、AI専門の展示とカンファレンスを組み合わせたAI博覧会、製造業の開発・設計向けの生成AIを扱う開発・設計生成AI展などがあります。開催時期、会場、名称は年ごとに変わることがあるため、参加を決める前に各公式サイトで最新の情報を確認してください。
どの展示会に行くかは、次の3つの軸で選ぶと判断しやすくなります。まず「テーマの専門性」で、AI全般を広く見たいのか、自社の業界や特定の業務に絞りたいのかを決めます。次に「開催規模」で、大規模な展示会は候補を一度に比較できる反面、事前に見る範囲を絞らないと回り切れません。最後に「開催エリアと日程」で、移動時間や参加できる人数、同時開催のセミナーや講演の予定まで含めて検討します。セミナーや講演は事前予約が必要なものも多いため、候補の展示会を決めた段階でプログラムも確認しておくと、当日の予定が組みやすくなります。
AI展示会に参加する前の準備|目的と質問を明確にする
AI展示会の準備で最も大切なのは、「何のために行くのか」を一文で言える状態にしておくことです。目的が曖昧なまま参加すると、目立つブースや話題の生成AIのデモに引き寄せられ、帰社後に「結局何を検討すべきか」が整理できないまま終わってしまいます。
目的を業務課題から一文で書く
目的は「AIの最新動向を知る」ではなく、「問い合わせ対応の一次回答をAIで自動化できる製品を3社まで絞る」「社内文書を検索できる仕組みの費用感をつかむ」のように、業務課題と持ち帰る成果物の形で書くのがおすすめです。こうしておくと、公式サイトの出展者一覧を見たときに、どのカテゴリのブースを優先すべきかが自然に決まります。優先して見る分野は3つから5つ程度に絞ると、当日に時間が足りなくなるのを防げます。
質問リストを立場ごとに作る
質問リストは、社内の立場ごとに分けて作ると漏れが減ります。現場の担当者は「毎日の作業がどれだけ楽になるか」、情報システム担当者は「既存システムとの連携やデータの保存先」、経営層や予算を決める責任者は「費用と効果の見込み」をそれぞれ気にします。参加者が1人の場合でも、事前に社内の関係者から聞きたいことを集めておくと、会場での会話が具体的になり、持ち帰る情報の質が上がります。
名刺とメモの記録ルールを先に決める
見落とされがちなのが、当日に受け取る名刺と会話メモを「どこに、どの項目で」記録するかを事前に決めておくことです。例えば、関心度(高・中・低)、相手の役割(営業・技術・責任者)、話した課題、次に約束したこと、の4項目をメモの型として決めておけば、帰社後の整理にかかる時間が大きく変わります。名刺管理ソフトを使う場合は、名刺を読み取った後にメモ欄やタグを付ける運用を、参加者全員で揃えておくと共有しやすくなります。
事前準備のチェックリスト
- 参加の目的を業務課題と成果物の形で一文にまとめたか
- 公式サイトで開催日時、会場、事前登録の方法を確認したか
- 出展者一覧から優先して見る分野を3つから5つに絞ったか
- 社内の立場ごとに質問リストを作ったか
- 名刺を十分な枚数用意したか
- 名刺と会話メモの記録方法、記録する項目を参加者で揃えたか
- 帰社後に誰が、いつまでに情報を整理して共有するかを決めたか
準備にかかる時間は企業ごとに差がありますが、目的の整理から質問リストの作成、社内の役割分担まで済ませるには、開催の1週間から2週間前には着手しておくと余裕を持って進められます。
当日の効率的な回り方|ブース訪問の優先順位付け
当日は、会場に着いてから考えるのではなく、事前に決めた優先順位に沿って回ることが基本です。大規模な展示会では、会場内の移動や人気ブースの待ち時間だけで想像以上に時間を使うため、すべてのブースを均等に見るのではなく、自社の課題に近い分野に時間を寄せる判断が求められます。
| 優先度 | 対象 | 当日の動き方 |
|---|---|---|
| 高 | 事前に候補として挙げた企業のブース | 混雑しにくい開場直後に訪問し、デモと質問に十分な時間を取る |
| 中 | 優先分野に含まれるが事前に調べていない企業 | 高優先のブースを回った後に、説明を短く聞いて資料を受け取る |
| 低 | 優先分野以外で気になった企業 | 時間が余った場合のみ立ち寄り、名刺交換と資料の受け取りにとどめる |
| 別枠 | セミナー、講演、個別相談の枠 | 事前予約が必要なものは先に予約し、その時間を基準に他の予定を組む |
デモは「自社の業務で使うと何が変わるか」で見る
展示会のデモは、見栄えの良い条件でうまく動くように準備されていることが多く、自社のデータや業務の流れで同じように動くとは限りません。デモを見るときは、画面の派手さよりも、入力から出力までの流れ、誤った結果が出たときの対応、管理者側の設定画面、自社の既存システムとの連携の範囲を確認します。担当者に「当社の業務に当てはめると、導入前に何を準備する必要がありますか」と聞くと、導入までの手間や社内の負担が具体的に見えてきます。
データの扱いは必ずその場で質問する
AI製品ならではの確認点として、入力したデータがどこに保存されるのか、AIの学習に使われるのか、社内の機密情報や個人情報を扱っても問題ないのか、という点は必ず質問しておきましょう。経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」でも、AIを利用する事業者に対して、安全性やプライバシー保護、セキュリティ確保への配慮が求められています。展示会の場で明確な回答が得られない場合は、「後日、資料で確認させてください」と伝え、次の連絡のきっかけにするとよいでしょう。
名刺交換の直後に30秒でメモを残す
ブースを離れた直後に、名刺の裏やスマートフォンに、事前に決めた4項目(関心度、相手の役割、話した課題、次の約束)を30秒程度で書き残します。名刺管理ソフトのアプリを使っている場合は、その場で名刺を撮影してメモを入力してしまうと、帰社後の整理がほとんど不要になります。「後でまとめて書こう」と考えると、10社を超えたあたりで記憶が混ざり始めるため、1社ごとにその場で記録するのが確実です。
商談後フォローが重要な理由|リードは放置されやすい
展示会で得た名刺やリードは、適切にフォローしなければ成果につながらないまま時間とともに価値が下がっていきます。民間企業のコラムなどでは「展示会で獲得したリードの多くが一度もフォローされていない」と指摘されることもありますが、調査元が明示されていないものも多いため、数字そのものより「放置が起こりやすい構造がある」ことに目を向けるのが実務的です。
フォローが止まる原因は、担当者のやる気の問題ではなく、仕組みの問題であることがほとんどです。典型的なのは次の4つです。
- 名刺が紙のまま参加者個人の手元に残り、社内の誰も存在を把握していない
- 名刺はデータ化したが、関心度や会話の内容が記録されておらず、どこから連絡すべきか判断できない
- フォローを誰が担当するのか決まっておらず、参加者も営業部門もお互いに相手が連絡すると考えている
- 通常業務に戻った後、フォローが後回しになり、連絡したときには相手が展示会で話した内容を覚えていない
AI展示会では、来場者側にとっても出展者側にとっても、この構造は同じです。来場者としては、比較検討したい候補の担当者と連絡が途切れれば、せっかく集めた情報を社内提案に活かせません。出展者としては、関心を示してくれた見込み客に連絡しないまま競合に先を越されることになります。つまり、フォローの成否は、名刺を一か所に集め、優先度を付け、担当者を決めるという3点を仕組みとして持っているかどうかで決まります。
この3点を人手だけで回すのは、参加する展示会の数や名刺の枚数が増えるほど難しくなります。名刺管理ソフトを使えば、読み取った名刺が自動的に社内で共有され、タグやメモで関心度を付け、担当者を割り当てるところまで一つの画面で管理できます。展示会ごとにタグを付けておけば、「どの展示会でどれだけの接点が生まれ、そのうち何件が次の商談につながったか」を後から振り返ることもできます。
フォローのスピード|翌日から1週間以内が鍵
展示会後のフォローは、早ければ早いほど効果が出やすいとされています。展示会の数日後には、相手はすでに通常業務に戻り、会場で話した内容の記憶も薄れていきます。お礼の連絡は翌営業日までに、具体的な資料送付や打ち合わせの提案は1週間以内に行うのが一つの目安です。
| タイミング | 主な行動 | ポイント |
|---|---|---|
| 展示会当日の夜 | 名刺をデータ化し、関心度とメモを入力する | 記憶が新しいうちに記録し、翌日の作業を減らす |
| 翌営業日 | お礼の連絡を送り、社内で担当者を割り当てる | 会場で話した内容に一言触れ、定型文だけで終わらせない |
| 3日以内 | 関心度の高い相手に資料送付や打ち合わせを提案する | 会場で約束したことを最優先で実行する |
| 1週間以内 | 社内で比較表をまとめ、次の検討段階に進める候補を決める | 関心度が中程度の相手にも情報提供の連絡をする |
| 1か月後 | 反応のなかった相手や時期未定の相手に改めて連絡する | 相手の検討時期に合わせ、無理に商談を急がない |
このタイムラインを守るうえで障害になりやすいのが、最初の「名刺のデータ化」です。100枚を超える名刺を手入力すると、それだけで1日以上かかることもあり、お礼の連絡が数日遅れる原因になります。データ化の作業を当日の夜か翌朝までに終わらせられる体制があるかどうかが、スピードの差として表れます。
フォローアップの具体的ステップ
ここからは、展示会後のフォローを実際に進める手順を、来場者・出展者のどちらの立場でも使える形で整理します。
| ステップ | 内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 1. データ化 | 名刺と会話メモを一か所にまとめ、展示会名のタグを付ける | 検索・共有できる接点リスト |
| 2. 優先度付け | 関心度、検討時期、相手の役割をもとにA・B・Cの3段階に分ける | 優先度付きのリスト |
| 3. 担当割り当て | 誰がどの相手に連絡するか、期限とあわせて決める | 担当者と期限の一覧 |
| 4. 個別の連絡 | 会場での会話内容に触れたお礼と、次の提案を送る | 送信記録と相手の反応 |
| 5. 社内共有 | 来場者側は候補の比較表、出展者側は商談化の状況を報告する | 比較表または進捗レポート |
| 6. 振り返り | 接点数、商談化数、次回の改善点を記録する | 次回参加の判断材料 |
優先度はA・B・Cの3段階で十分
優先度を細かく分けすぎると、判断に迷って手が止まります。例えば、Aは「具体的な課題があり、打ち合わせや資料送付を約束した相手」、Bは「関心はあるが検討時期が未定の相手」、Cは「情報収集段階で、名刺交換のみの相手」という3段階で十分です。Aには個別の連絡を最優先で行い、Bには情報提供を中心に定期的に連絡し、Cには展示会のお礼と資料の案内にとどめる、というように対応の濃さを変えると、限られた人手でも抜け漏れを防げます。
来場者側は比較表で社内提案につなげる
来場者として参加した場合、フォローのゴールは「社内で次の検討段階に進めるかどうかを判断できる状態」をつくることです。候補の企業ごとに、対象業務、主な機能、既存システムとの連携、費用の考え方、データの扱い、サポート体制を同じ項目で並べた比較表を作ると、社内での議論が具体的になります。展示会で確認しきれなかった点は、フォローの連絡の中で質問し、比較表の空欄を埋めていきます。
メールで案内を送るときの注意
展示会で交換した名刺のアドレスに、自社の製品やセミナーの案内などの広告・宣伝メールを送る場合は、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)のルールを確認しておく必要があります。総務省の迷惑メール対策のページでは、広告・宣伝メールは原則として事前に同意を得た相手に送ること、送信者の氏名や名称、受信拒否の連絡先などを表示することが説明されています。名刺交換により自分のアドレスを通知した相手は、同意の例外として扱われる場合があるとされていますが、表示義務や、受信を拒否された場合の配信停止は必要です。個別の運用に迷う場合は、総務省の案内を確認したうえで、必要に応じて専門家に相談してください。
AI活用によるフォローの効率化と注意点
AI展示会で見たAIの考え方は、実は展示会後のフォロー業務そのものにも応用できます。名刺の読み取り、会話メモの要約、お礼メールの下書き作成など、フォローの流れの中には、AIを使うと手間を大きく減らせる作業がいくつもあります。
| 作業 | AIで効率化できること | 人が確認・判断すること |
|---|---|---|
| 名刺のデータ化 | 文字認識で氏名、会社名、役職、連絡先を読み取る | 読み取りの誤り、特に氏名の漢字や部署名を確認する |
| 会話メモの整理 | 音声メモや箇条書きのメモを要約し、課題と次の約束を抜き出す | 要約で意味が変わっていないか、約束の内容が正しいかを確認する |
| お礼メールの作成 | 会話メモをもとに、相手ごとの下書きを作る | 事実と異なる記述や、約束していない内容が入っていないかを確認する |
| 優先度付け | メモの内容から関心度の候補を提示する | 最終的な優先度と担当者は人が決める |
生成AIに名刺情報を入力するときの注意
注意したいのは、名刺の情報や会話メモには個人情報が含まれるという点です。一般向けの生成AIサービスに名刺の画像や相手の氏名、連絡先をそのまま入力すると、そのデータがサービス提供者の環境に保存されたり、設定によってはAIの学習に使われたりする可能性があります。お礼メールの下書きをAIで作る場合は、社内で利用が認められたサービスを使う、氏名や連絡先を伏せて入力する、といった社内ルールを決めておくことが大切です。
また、名刺を検索できる形でデータベースにした時点で、その情報は個人情報保護法上の「個人データ」として安全管理措置の対象になると考えられています。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」では、組織的、人的、物理的、技術的な安全管理措置として、取扱い担当者の明確化、アクセス制御、従業者の教育などが示されています。展示会で集めた名刺を社内で共有する場合は、誰が閲覧・編集できるのかをあらかじめ決めておきましょう。
こうした点を踏まえると、名刺の読み取りから社内共有、権限の設定までをまとめて扱える名刺管理ソフトは、展示会後のフォローをAIで効率化する際の土台として使いやすい選択肢です。サービスによっては、読み取りの精度を高めるためにAIによる文字認識と人による確認を組み合わせているもの、営業支援機能と連携してフォローの進捗まで管理できるものもあります。データの保存場所や閲覧権限の設定方法は、比較の際に必ず確認しておきましょう。
AI展示会でよくある失敗パターン
最後に、AI展示会で起こりやすい失敗と、その対策をまとめます。いずれも、準備・当日・フォローのどこかで仕組みが欠けていることが原因です。
| 失敗パターン | 起こる理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 目的がないまま参加し、話題のブースを見て終わる | 業務課題と成果物を決めずに参加している | 目的を一文で書き、優先して見る分野を絞る |
| デモの印象だけで導入に前向きになる | デモは条件の良い環境で動くよう準備されている | 自社のデータ、業務の流れ、データの扱いで確認し直す |
| 名刺が個人の手元に残り、社内で共有されない | 記録と共有の方法が決まっていない | 当日中にデータ化し、展示会名のタグを付けて共有する |
| お礼の連絡が遅れ、相手が内容を覚えていない | データ化に時間がかかり、フォローが後回しになる | 翌営業日までにお礼を送れるよう、データ化の手段を用意する |
| 生成AIに名刺情報をそのまま入力してしまう | 個人情報の取扱いルールが共有されていない | 利用するサービスと入力してよい情報の範囲を社内で決める |
AI展示会で得た情報を、営業活動の中で継続的に管理していきたい場合は、SFA(営業支援ツール)おすすめ比較やCRMツールおすすめ比較もあわせて確認すると、名刺管理から商談管理までの全体像をつかみやすくなります。自社でAIセミナーやイベントを主催する側に回る場合は、イベント管理システムの選び方も参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q. AI展示会には誰が参加するとよいですか?
A. 業務課題を持つ現場の担当者、既存システムとの連携を確認できる情報システム担当者、予算や導入方針を判断する責任者のいずれかが参加すると役立ちます。1人で参加する場合は、事前に社内の関係者から確認したい点を集めておくと、会場での質問が具体的になります。
Q. 参加前に何を準備すればよいですか?
A. 参加の目的、優先して見る分野、立場ごとの質問リスト、名刺、名刺と会話メモの記録方法を準備します。開催日時、会場、事前登録の方法、出展社の情報は、主催者の公式サイトで最新の情報を確認してください。
Q. 展示会後のフォローはいつまでに行うべきですか?
A. お礼の連絡は翌営業日まで、資料送付や打ち合わせの提案は1週間以内が一つの目安です。時間がたつほど相手の記憶が薄れるため、名刺のデータ化を当日の夜か翌朝までに終わらせておくと、スムーズに連絡できます。
Q. 展示会で集めた名刺はどう管理すればよいですか?
A. 名刺と会話メモを一か所にまとめてデータ化し、展示会名のタグや関心度を付けて社内で共有するのが基本です。枚数が多い場合や複数の展示会に継続的に参加する場合は、読み取りと共有を効率化できる名刺管理ソフトの利用が現実的です。
Q. 展示会で名刺交換した相手に案内メールを送っても問題ありませんか?
A. 広告・宣伝を目的としたメールには特定電子メール法のルールが関わります。名刺交換でアドレスを通知した相手は同意の例外として扱われる場合があるとされていますが、送信者情報や受信拒否の連絡先の表示は必要です。詳しくは総務省の迷惑メール対策のページを確認してください。
Q. 展示会で気に入った製品は、その場で契約まで進めてよいですか?
A. 会場で関心が高まっても、契約条件、データの扱い、費用、サポート範囲、社内の承認手続きを確認してから判断するのが安全です。展示会は候補を見つける場と位置づけ、契約の判断はその後の個別の確認を経て行うのが基本の流れです。
まとめ
AI展示会を情報収集で終わらせず成果につなげるためのポイントは、次の4つです。
- 参加の目的を業務課題と成果物の形で一文にまとめ、見る分野を絞る
- 当日は優先順位に沿って回り、デモは自社の業務とデータの扱いで確認する
- 名刺と会話メモは当日中にデータ化し、優先度と担当者を決めて翌営業日からフォローする
- 名刺情報は個人情報として扱い、生成AIへの入力や社内共有のルールを決めておく
特に3つ目のフォローは、名刺の枚数が増えるほど人手だけでは回しにくくなります。展示会に継続的に参加する予定がある場合は、名刺管理の仕組みを先に整えておくと、次の展示会から成果を出しやすくなります。
参考文献
- 経済産業省「AI事業者ガイドライン」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240419_report.html
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
- 総務省「迷惑メール対策」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/m_mail.html