AI音声生成とは?仕組み・種類・作り方と商用利用の注意点を解説
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- AI音声生成の仕組みと3種類がわかる
- 無料と有料の違い・選ぶ軸がわかる
- 商用利用で確認する規約と権利がわかる
AI音声生成とは、入力したテキストや音声データをもとに、人が話しているような音声をAIが作り出す技術のことです。企業では、動画のナレーション、研修教材の読み上げ、店内放送や電話の音声案内、BGMや効果音づくりなどに使われています。一方で、「どのような仕組みで声が作られるのか」「無料のツールで作った音声を商用利用してよいのか」「社員の声を使っても問題ないのか」と迷い、使い始められない方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、AI音声生成は、テキストを読み上げる音声合成、特定の人の声を再現する音声クローン、BGMや効果音を作る音楽生成の3つに分けると整理しやすく、商用利用の可否は、技術そのものではなく、使うサービスの利用規約と声の持ち主の同意で決まります。この記事では、マーケティング・広報・研修担当の方に向けて、AI音声生成の仕組みと種類、無料と有料の違い、ナレーションの作り方、商用利用の注意点を、文化庁などの公的資料をもとに解説します。
あなたの場合、AI音声生成で先に確認したいことは?
Q1. 作りたい音はどちらに近いですか
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目次
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AI音声生成とは|ナレーションを作る前に知っておきたいこと
AI音声生成とは、入力したテキストをAIが読み上げ、人が話しているような自然な音声を作り出す技術の総称です。従来の機械的な読み上げと比べ、抑揚や間の取り方、感情の表現まで再現できるようになった点が大きな違いで、企業では販促動画やSNSの短尺動画、研修動画のナレーションとして使われる場面が目立ちます。
撮影した映像に声を入れる作業は、これまで社員が録音するか、ナレーターに依頼するのが一般的でした。AI音声生成なら、原稿を入力するだけで同じ声質のナレーションを何本でも作れます。ただ、実際に手間がかかるのは声を作る工程よりも、作ったあとです。制度や商品の仕様が変わるたびに原稿を直して音声を作り直す、社名や数字の読み間違いを確認する、複数の担当者で確認して公開するといった作業は、音声が自動で作れるようになっても残ります。
このため、AI音声生成を選ぶときは、声が自然かどうかに加えて、直しやすさ、読み方の指定のしやすさ、確認や共有の手段まで見ておくと、運用に入ってからの負担が変わります。確認したい軸は、のちほど「無料と有料の違い・選び方」の章で表にまとめています。
ナレーション付きの説明動画を撮影なしで内製したい場合の一例が、Video Craftです。PowerPointと同じような感覚でスライドを作り、入力した原稿をAI音声が読み上げる形で動画を作れます。音声は16種類から選べ、読み間違えやすい専門用語は辞書機能で読み方やアクセントを指定できます。作った動画は原稿を直すだけで修正でき、再撮影は不要です。MP4形式で書き出せるほか、動画ページやプレビューはパスコード付きのURLで関係者に共有できます。一方で、PowerPointの編集データを変換する場合は一部に対応していない要素があるため、変換後に反映内容を確認する必要があり、利用できる人数もプランによって異なります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社Stand Technologies
Video Craft
株式会社Stand Technologies
Video Craft
AIで簡単作成!効率的に高品質な動画を作成したい方におすすめ

おすすめ!
- 日本語AIアバターとAI音声により、撮影不要で高品質な動画を作成
- パワーポイントと同じ操作感覚で、研修やeラーニングなどに適した動画作成が可能
- ワンクリックで50ヶ国語に翻訳でき、翻訳作業の効率化を図れる
気になる…
- グループ共有できる人数はプランによって異なる
研修動画の作成にあたり、これまでPowerPointに音声を吹き込んでいましたが、録り直しが多く作業負荷が掛かっていました。
出典:PR TIMES「みずほ信託銀行株式会社様が研修動画の作成を目的にVideo Craftを導入」(株式会社Stand Technologies、2026年6月4日)
これは研修動画の例で、AI音声生成の用途全体を代表するものではありません。ただ、「録り直しの手間」と「内容が変わるたびの修正」は、ナレーションを繰り返し作る場面で共通する悩みです。
AI音声が作られる仕組みと音声認識AIとの違い
テキストから音声を作る処理は、テキスト解析、音響モデル、ボコーダの3段階に分かれます。仕組みを知っておくと、読み間違いが起きる理由や、どこを直せばよいかが分かります。
音声が作られる3段階の仕組み
最初の段階はテキスト解析で、入力された文章を単語に区切り、読み方やアクセント、文の区切りを判断します。日本語では「今日」を「きょう」と読むか「こんにち」と読むかのように、文脈で読みが変わる語が多いため、この段階の精度が仕上がりを大きく左右します。次の段階は音響モデルによる処理で、解析結果をもとに、声の高さや長さ、強さといった音の特徴を予測します。最後の段階では、ボコーダと呼ばれる仕組みが、予測された特徴から実際に耳で聞ける音の波形を作ります。
かつてはあらかじめ決めたルールや録音した音の断片をつなぎ合わせる方式が中心でしたが、現在はディープラーニングで大量の音声を学習したモデルが主流になり、人の声と聞き分けにくい水準の音声も作れるようになりました。この進歩が、ビジネスでの活用が広がった背景にあります。
音声認識AIとの違い
名前が似ているため混同されやすいのが音声認識AIです。音声生成AIが「声を作るAI」であるのに対し、音声認識AIは「声を聞き取って文字にするAI」で、会議の議事録作成や通話内容の記録に使われます。向きが逆の技術であり、たとえば研修動画を作るなら音声生成、会議の記録を残すなら音声認識と、目的によって使うツールが変わります。両方を組み合わせて、録音した説明を文字に起こし、整えた原稿をAI音声で読み上げ直すといった使い方もできます。「聞く」「話す」の仕組みや議事録での活用は、AI音声とは?「聞く」「話す」の仕組みと無料ツールの注意点、議事録・通話での活用で詳しく解説しています。
AI音声生成の3つの種類と用途の対応
AI音声生成は、音声合成(読み上げ)、音声クローン、音楽・効果音生成の3種類に分けると、用途とリスクの違いが整理しやすくなります。同じ「AIで音を作る」でも、権利の確認で見るべき点がそれぞれ異なるためです。
| 種類 | できること | 向いている用途 | 権利面で特に確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 音声合成(読み上げ) | テキストを、用意された声の中から選んだ声で読み上げる | 動画ナレーション、研修教材、店内放送、電話の自動音声案内 | 商用利用の可否、クレジット表記の要否、声のキャラクターごとの規約 |
| 音声クローン | 特定の人の声を録音して学習させ、その人の声で任意の文章を話させる | 代表者や社内講師の声での動画量産、多言語版ナレーション | 声の持ち主の同意、利用範囲と期間、退職後の扱い |
| 音楽・効果音生成 | 雰囲気や用途を文章で指示し、BGMや効果音を作る | 動画のBGM、展示会やイベントの音響、アプリの通知音 | 既存楽曲との類似、無料プランと有料プランでの権利の違い |
音声合成は、提供されている声の中から選んで使う方式のため、声の持ち主の権利処理はサービス提供者側で済んでいることが一般的です。その分、利用者が確認すべきなのは利用規約の範囲になります。音声クローンは自社で声を用意するため、規約に加えて、声の持ち主との取り決めが必要になります。音楽・効果音生成は、声ではなく楽曲の著作権が論点の中心になります。自社の用途がどれに当たるかを先に決めると、確認の漏れを防げます。
提供形態ごとの違い
同じ音声合成でも、提供形態によって向き不向きがあります。ブラウザで原稿を入力して音声ファイルをダウンロードするWebサービス型は、導入の手間が少なく、動画ナレーションを月に数本作る程度の使い方に向いています。パソコンにインストールするソフト型は、アクセントや間を細かく調整する機能が充実していることが多く、研修教材のように長い原稿を丁寧に仕上げたい場合に向いています。API型は、自社のシステムやアプリに組み込んで、問い合わせ内容に応じた音声案内を自動で作るような使い方に向いています。社内に開発担当がいない場合は、Webサービス型かソフト型から始めるのが現実的です。
BGM・効果音をAIで作る仕組みと使い方
BGMや効果音の生成は、大量の音楽や音のデータで学習したモデルが、「落ち着いた雰囲気のピアノ曲」「通知を知らせる短い音」といった文章の指示から、新しい音を作る仕組みです。声の読み上げとは異なり、読み方やアクセントではなく、雰囲気、楽器、テンポ、長さをどう指示するかが仕上がりを左右します。使い方はサービスによって異なりますが、一般的な流れは次のとおりです。
- 用途と長さを決める:動画の尺や、使う場面(冒頭、本編、締め)に合わせて、必要な長さを先に決めます。
- 雰囲気を文章で指示して複数案を作る:楽器、テンポ、明るさなどを具体的に書き、1つに決め打ちせず複数案を作って聞き比べます。
- 映像に合わせて調整する:ナレーションより目立たない音量にそろえ、場面の切り替わりに合わせて長さを整えます。
- 既存の曲に似ていないかを耳で確認する:公開前に、聞き覚えのある曲に似ていないかを確認します。著作権の考え方は「商用利用時の注意点」の章で説明しています。
無料と有料の違い・AI音声生成サービスの選び方
AI音声生成には無料で始められるサービスもありますが、選ぶときは無料かどうかよりも、商用利用の可否と、直しやすさ、動画までの工程を確認することが大切です。無料でも使える範囲に条件がある場合があり、有料でも自社の用途に合わないことがあります。確認したい軸を5つに整理しました。
| 確認する軸 | 見るポイント | 無料サービスで特に確認したい点 |
|---|---|---|
| 商用利用とクレジット表記 | 広告や販売促進に使ってよいか。動画の概要欄などへの表記が必要か | 商用利用の範囲が個別に決まっていないか。表記が利用の条件になっていないか |
| 声の種類と日本語の自然さ | 声の数、日本語の抑揚、話す速さや間の調整ができるか | 選べる声や調整できる範囲が限られていないか |
| 修正のしやすさ | 読み方やアクセントを辞書で登録できるか。原稿を直して再生成しやすいか | 辞書機能や、原稿の一部だけを直す機能があるか |
| 動画までの工程 | 音声ファイルを書き出すだけか、動画編集や書き出し、共有まで同じ画面でできるか | 別の編集ソフトへの取り込みが必要になり、受け渡しの手間が増えないか |
| 組織での管理 | 複数人で使うときの権限設定、確認用の共有、入力した原稿の扱い | 社外秘の原稿を入力してよいか。複数人での共有に対応しているか |
無料でも条件がある例として、無料で使えるソフトのVOICEVOXは、公式の利用規約で、商用・非商用を問わず利用できると定めています。一方で、作成した音声を利用する際は各音声ライブラリの規約に従うこと、VOICEVOXを利用したことがわかるクレジット表記が必要なことも示されています(2026年10月16日確認)。無料だから自由に使えるとは限らず、規約の確認が欠かせません。
動画までの工程の違いは、サービスごとに差が出る部分です。たとえばCanvaは、公式ページで、ブラウザやアプリから使え、125以上の言語とアクセントに対応し、音声の生成から動画編集までを1つのツールで完結できると案内しています(2026年10月16日確認)。音声ファイルだけを作るサービスと、動画の編集まで含むサービスでは、作ったあとの手間が変わります。具体的な機能や料金は変わることがあるため、各社の公式情報で最新の内容を確認してください。
業務でツールを選ぶ場合の確認点は、AI音声とは?業務利用のツール選びと著作権の注意点でも詳しく整理しています。
AI音声でナレーションを作る5つの手順
AI音声のナレーションづくりは、原稿を書く前の用途決めから、公開前の聞き直しまでを5つの手順で進めると失敗が減ります。ツールの操作そのものは数分で覚えられますが、仕上がりの差は手順の前後で生まれます。
- 用途と公開先を決める:社内研修だけで使うのか、SNSや広告で社外に公開するのかで、確認すべき規約の範囲が変わります。公開先の媒体と想定する期間もこの時点で決めておきます。
- 規約を確認してサービスを選ぶ:用途に合う声質があるかに加えて、商用利用の可否、クレジット表記、生成物の権利の扱いを確認します。確認の軸は前の章の表、詳しい確認項目は次の章で整理しています。
- 読み上げ用に原稿を整える:目で読む文章と耳で聞く文章は違います。1文を短くし、同音異義語や英字略語には読み方を補い、数字は読み方を指定しておくと、読み間違いが減ります。
- 生成して調整する:話す速さ、声の高さ、文と文の間を調整します。強調したい語の前に短い間を入れると、聞き手の注意を引きやすくなります。
- 通しで聞き直して記録を残す:映像と合わせて最後まで再生し、読み間違いや不自然なイントネーションを確認します。あわせて、使用したサービス名、プラン、生成日、原稿を記録として保存しておきます。
手順5の記録は見落とされがちですが、あとから規約が変わった場合や、権利について問い合わせを受けた場合に、どの条件で作った音声かを説明する根拠になります。動画の制作や運用を外部に依頼する場合も、この記録があれば受け渡しがスムーズです。一方で、手順3と4の読み方の修正や、内容が変わるたびの原稿の直しは、本数が増えるほど負担になります。今の進め方で足りているかを、次のセルフチェックで確認してみてください。
ナレーション制作、今のやり方で足りている?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
商用利用時の注意点|利用規約と声の権利
AI音声を商用利用できるかどうかは、使うサービスの利用規約と、声の持ち主の同意の2点で決まります。AI音声生成という技術を使うこと自体が違法になるわけではありませんが、使い方によっては著作権や、人の声に関わる権利の問題が生じる可能性があります。本章は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断が必要な場合は弁護士などの専門家に相談してください。
利用規約で確認したい5つの項目
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 商用利用の可否 | 無料プランでは商用利用が認められず、有料プランでのみ認められる場合がある。広告、販売する商品への同梱など、商用の中でも用途ごとに条件が分かれていないか |
| クレジット表記 | 動画の概要欄などにサービス名や声のキャラクター名の表記が求められるか。表記の書式が指定されているか |
| 生成物の権利の扱い | 生成した音声の権利が利用者に帰属するのか、提供者が利用を許諾する形なのか。解約後も使い続けられるか |
| 禁止されている用途 | 政治・宗教的な用途、公序良俗に反する用途、音声素材としての再配布などが禁止されていないか |
| 入力データの扱い | 入力した原稿や録音した声が、サービスの学習に使われるか。社外秘の情報を含む原稿を入力してよいか |
規約は予告なく改定されることがあるため、確認した日付と内容を残しておくと安心です。特に、声のキャラクターごとに個別の規約が設けられているサービスでは、サービス全体の規約だけを見て判断しないよう注意が必要です。
声そのものに関わる権利
日本の著作権法では、声そのものは著作物として保護される対象ではないと一般的に考えられています。ただし、だからといって他人の声を自由に使えるわけではありません。著名人の氏名や肖像などが持つ顧客を引きつける力を独占的に利用する権利はパブリシティ権と呼ばれ、判例で認められています。声がこの対象に含まれるかについては議論がありますが、著名人に似せた声で商品を宣伝すれば、権利侵害や、本人が推奨しているかのような誤解を招くおそれがあります。また、本人の同意なく声を学習させて使えば、人格的な利益を侵害したとして問題になる可能性もあります。
こうした理由から、音声クローンを使う場合は、相手が社員であっても書面で同意を得ておくのが望ましい対応です。同意書には、学習に使う録音の範囲、生成した音声を使う媒体と用途、利用できる期間、退職や契約終了後の扱い、本人が利用停止を求めた場合の対応を盛り込んでおくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。声の模倣や社員の声のクローンについては、AI音声とは?業務利用のツール選びと著作権の注意点でも整理しています。
BGM・効果音で注意したい著作権の考え方
AIでBGMや効果音を作る場合は、楽曲の著作権が論点になります。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」では、AIで生成したものであっても、既存の著作物との類似性と依拠性が認められれば、著作権侵害となりうるという考え方が示されています。また、AIが自律的に生成したものは著作物に当たらない場合があり、人が創作的に関与したかどうかで判断されるとされています。つまり、自社で生成したBGMでも、他社に同じものを使われた際に権利を主張できるとは限りません。特定の曲名やアーティスト名を指示して生成するのは避け、公開前には耳で聞いて既存の曲に似ていないかを確認する運用にしておくと安心です。
販促動画・SNS投稿での活用シーン
AI音声生成の効果が出やすいのは、同じ形式の音声を繰り返し作る業務です。1本だけの動画なら人が録音しても手間は変わりませんが、本数が増えるほど、声質をそろえたまま短時間で作れる利点が大きくなります。
| 活用シーン | AI音声が向いている理由 | 確認の厳しさの目安 |
|---|---|---|
| SNSの短尺動画 | 投稿頻度が高く、原稿の差し替えだけで次の動画を作れる | 社外公開のため規約とクレジット表記を必ず確認 |
| 商品紹介・広告動画 | 商品ごと、季節ごとに文言を変えた版を作りやすい | 広告用途の可否まで確認。表示内容の法令確認も必要 |
| 多言語版の動画 | 翻訳した原稿を読み上げるだけで、海外向けの版を用意できる | 翻訳の正確さをネイティブ話者などに確認 |
| 社内研修・マニュアル動画 | 制度変更のたびに該当部分だけ作り直せる | 社内利用でも入力する原稿の機密性に注意 |
| 店内放送・電話の音声案内 | 営業時間の変更などに合わせてすぐ更新できる | 設置先での利用が規約上認められているか確認 |
どの用途でも、公開前には、規約の範囲で使えているか、読み間違いがないかを、制作した本人以外の目でも確認する流れを決めておくと安心です。このとき、完成前の動画をファイルで送り合うと、どれが最新版か分からなくなりがちです。確認用のURLで共有できるか、複数人で編集するときに権限を分けられるかも、サービスを選ぶときの確認点になります。動画の作り方全体や、AI動画の権利面の注意点は、AI動画(AI Video)とは?作り方・ツールの選び方・無料プランと商用利用の注意点で解説しています。
なお、AI音声を使った動画をインフルエンサーに依頼して投稿してもらう場合や、自社の宣伝であることが分かりにくい形で発信する場合は、景品表示法のステルスマーケティング規制にも注意が必要です。消費者庁は2023年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示を、景品表示法の不当表示として規制しています。AIの声であるかどうかにかかわらず、広告であることが分かる表示を心がけてください。
よくある失敗パターン|権利と品質のリスク
AI音声生成の失敗は、規約や同意の確認不足による権利面の失敗と、聞き直し不足による品質面の失敗に大きく分かれます。いずれも、事前の手順を決めておけば防げるものです。
| よくある失敗 | 起きること | 防ぐための対応 |
|---|---|---|
| 無料プランで作った音声を広告に使った | 規約違反となり、動画の差し替えや公開停止が必要になる | 用途を決めてからプランを選び、商用利用の可否を確認する |
| 社員の声を口頭の了承だけでクローンした | 退職後に利用停止を求められ、過去の動画をすべて作り直すことになる | 利用範囲、期間、退職後の扱いを書面で取り決める |
| 著名人に似た声で商品を紹介した | 本人の推奨と誤解され、権利侵害を主張されるおそれがある | 実在の人物に似せる指示や学習をしない |
| クレジット表記を入れ忘れた | 表記が利用条件になっている場合、規約違反になる | 投稿前のチェック項目に表記の有無を入れる |
| 固有名詞や数字を読み間違えたまま公開した | 商品名や価格を誤って伝え、信頼を損なう | 読み方を指定し、映像と合わせて通しで聞き直す |
| 社外秘の情報を含む原稿をそのまま入力した | 入力内容がサービスの学習に使われ、情報管理上の問題になる | 入力データの扱いを確認し、機密情報は伏せて入力する |
また、AI音声は自然な声を作れる分、悪用のリスクも指摘されています。経営者や取引先の声をまねた電話で送金を指示するといったなりすましの手口も懸念されているため、音声だけで送金や重要な判断をしない、折り返しの電話や別の連絡手段で本人確認をするといった社内ルールもあわせて整えておくと安心です。
品質を高めるための使い方のコツ
AI音声の聞きやすさは、ツールの性能よりも、読み上げを前提にした原稿づくりと細かな調整で大きく変わります。次の4つを意識するだけでも、仕上がりが変わります。
1文を短くし、句読点で間をつくる
AI音声は句読点の位置で息継ぎや間を判断することが多いため、1文が長いと平板で聞き取りにくい音声になります。目安として1文に伝える内容を1つに絞り、意味の切れ目に読点を入れると、自然なリズムになります。短尺動画では、字幕と同じ区切りで原稿を書くと、映像との同期も取りやすくなります。
読み間違えやすい語は読み方を補う
社名や商品名などの固有名詞、英字の略語、数字と単位の組み合わせは、AIが読み間違えやすい代表例です。多くのツールには読み方を登録する辞書機能があるため、よく使う語は登録しておくと、毎回直す手間が省けます。辞書機能がない場合は、原稿のほうをひらがなで書いておくのが確実です。
用途に合う声と話す速さを選ぶ
同じ原稿でも、声質と話す速さで受け手の印象は変わります。研修動画では落ち着いた声でやや遅め、SNSの短尺動画では明るい声でやや速めといったように、用途に合わせて設定を決め、社内で共通の設定として残しておくと、担当者が変わっても動画の印象をそろえられます。
最後は人の耳で確認する
AI音声は文字で見れば正しくても、耳で聞くと不自然な箇所が残ることがあります。公開前には作った本人以外の人にも聞いてもらい、聞き取りにくい箇所や違和感のある抑揚がないかを確認してください。権利面のチェックと品質面のチェックを1枚のチェック表にまとめておくと、確認漏れを防ぎやすくなります。
確認を関係者に回す段階では、完成前の動画をどう共有し、誰が修正を入れるかが、運用の負担を左右します。ファイルをメールやチャットで送り合うと、最新版が分からなくなったり、修正のたびに音声を作り直したりする手間が増えます。共有用のURLで確認でき、原稿の修正だけで動画を直せる仕組みがあれば、この負担を減らせます。
Video Craft
ナレーション入りの動画を確認するたびに、ファイルを送り合っていませんか?
こんな会社に向いています
ナレーション入りの動画を、複数の担当者や部署で確認している
制度や製品の変更のたびに、動画の音声を直している
よくある質問(FAQ)
Q1. AI音声生成とは何ですか?
A. 入力したテキストや音声データをもとに、人が話しているような自然な音声をAIが作り出す技術の総称です。テキストを読み上げる音声合成、特定の人の声を再現する音声クローン、BGMや効果音を作る音楽生成の3種類に分けると、用途と確認すべき権利の違いが整理しやすくなります。
Q2. 無料でAIの声を生成できますか?
A. 無料で使えるサービスやソフトはあります。ただし、無料でも商用利用の範囲やクレジット表記などの条件があります。たとえばVOICEVOXは、公式の利用規約で商用・非商用を問わず利用できる一方、利用したことがわかるクレジット表記が必要と示されています。用途を決めたうえで、規約を確認してから使ってください。
Q3. 音声生成AIは違法ですか?
A. AI音声生成を使うこと自体が直ちに違法になるわけではありません。ただし、本人の同意なく他人の声を学習させて使う、著名人に似せた声で宣伝する、既存の楽曲に似たBGMを使うといった使い方は、権利侵害や誤解を招くおそれがあります。これは一般的な情報であり、個別の判断は専門家に相談してください。
Q4. AIで声を作る方法はありますか?
A. あります。用途と公開先を決め、規約を確認してサービスを選び、読み上げ用に原稿を整えて生成と調整を行い、通しで聞き直して記録を残すという5つの手順で進めます。読み間違えやすい語は、辞書機能で読み方を登録しておくと、直す手間を減らせます。
Q5. AIで作った音声は商用利用できますか?
A. 使うサービスの利用規約で商用利用が認められていれば利用できます。無料プランでは認められず有料プランでのみ認められる場合や、クレジット表記が条件になっている場合があるため、用途を決めたうえで規約を確認し、確認した日付と内容を記録しておくと安心です。
Q6. AIでBGMや効果音を作る仕組みと使い方は?
A. 大量の音のデータで学習したモデルが、雰囲気や用途を書いた文章の指示から新しい音を作る仕組みです。用途と長さを決め、楽器やテンポを文章で指示して複数案を作り、映像に合わせて調整します。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」では、既存の著作物との類似性と依拠性が認められれば侵害となりうるとされるため、公開前に既存の曲に似ていないかを耳で確認してください。
まとめ|AI音声生成で押さえたい4つのこと
AI音声生成は、音声合成、音声クローン、音楽・効果音生成の3種類に分けて考えると、用途と確認すべき権利が整理しやすくなります。導入にあたって押さえておきたいのは次の4つです。
- 用途と公開先を先に決め、無料か有料かではなく、商用利用の可否やクレジット表記を規約で確認する
- 音声クローンを使う場合は、声の持ち主と利用範囲、期間、退職後の扱いを書面で取り決める
- BGMや効果音は既存の曲に似ていないかを確認し、作った条件の記録を残す
- ナレーションを繰り返し作るなら、直しやすさや共有のしやすさまで比べ、Video Craftのようなサービスの資料で機能と対応範囲を確認する
AI音声生成で制作の手間は大きく減らせますが、運用に入ってからの負担は、直しやすさと確認の仕組みで変わります。権利の確認と、運用まで見据えたサービス選びをあわせて進めてください。
参考文献
- 文化庁「AIと著作権について」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html(2026年10月16日取得)
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf(2026年10月16日取得)
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/(2026年10月16日取得)
- 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html(2026年10月16日取得)
- VOICEVOX「ソフトウェア利用規約」 https://voicevox.hiroshiba.jp/term/(2026年10月16日取得)
- Canva「無料のAI音声読み上げ機能・音声生成ソフト」 https://www.canva.com/ja_jp/features/ai-voice-generator/(2026年10月16日取得)
- PR TIMES「みずほ信託銀行株式会社様が研修動画の作成を目的にVideo Craftを導入」(株式会社Stand Technologies) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000056192.html(2026年10月16日取得)
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