dx 自治体とは?推進計画・事例・進め方を職員と住民目線で解説
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- 自治体DX推進計画の基本方針がわかる
- 住民目線で見る自治体DXの変化がわかる
- 職員目線で見る自治体DXの変化がわかる
「自治体DX」という言葉を聞いても、住民の立場からは何が変わるのか、職員の立場からは何をすべきなのかが分かりにくいことがあります。本記事では、総務省の「自治体DX推進計画」に基づいて、自治体DXの内容を職員目線・住民目線の両方から整理し、進め方を解説します。
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自治体DXとは
自治体DXとは、総務省が2020年12月に策定した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、自治体が情報システムの標準化・共通化やオンライン化等に重点的に取り組む一連の取り組みを指します。(総務省「自治体DXの推進」、https://www.soumu.go.jp/denshijiti/index_00001.html 2026年8月13日取得)。この計画は、自治体が個別に取り組むのではなく、国が主導しつつ自治体全体で足並みを揃えて進めることを重視しています。
住民目線で見る自治体DX
住民にとっての自治体DXは、窓口での行政手続きがオンラインで完結できるようになる、マイナンバーカードを活用したサービスが利用できるようになるという変化として現れます。これまで窓口に出向く必要があった手続きが、自宅からオンラインで完結できるようになることは、住民が直接体感できる自治体DXの代表的な成果です。
職員目線で見る自治体DX
職員にとっての自治体DXは、情報システムの標準化・共通化によって自治体間でシステムが統一され、紙の文書管理や手作業の事務処理が削減されるという変化として現れます。紙の申請書類を電子化し、検索・共有しやすい形で管理する取り組みは、職員の事務負担を軽減する着手しやすい取り組みの一つです。
自治体DXで実際に進められている取り組み例
抽象的な「標準化・共通化」という言葉だけでは実感が湧きにくいため、実際に自治体で進められている代表的な取り組みを知っておくと、自治体DXの中身を具体的にイメージしやすくなります。
情報システムの標準化・共通化の取り組みでは、住民基本台帳・税務・福祉といった主要な業務を扱う情報システムについて、自治体ごとにバラバラだった仕様を、国が示す標準仕様に統一する作業が進められています。これにより、自治体間でのシステムの共同利用や、事業者間の競争を通じたコスト削減が期待されています。マイナンバーカードを活用したサービスの拡充では、コンビニエンスストアでの証明書交付、オンラインでの各種申請手続きなど、住民が窓口に出向かなくても手続きを完結できる仕組みが各地で整備されています。
また、AI・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した業務効率化も、多くの自治体で試行されています。たとえば、問い合わせ対応の一部をAIチャットボットに任せる、定型的なデータ入力作業をRPAで自動化するといった取り組みは、職員数が限られる自治体にとって、限られた人員で行政サービスの質を維持するための実践的な手段として位置づけられています。こうした取り組みは、いずれも「住民サービスの向上」と「職員の業務負担軽減」の両方につながることを目指して進められており、自治体DXが目指す方向性を具体的に表しているといえます。
規模の異なる自治体での進み方の違い
自治体DXは国が主導する共通の枠組みですが、都道府県・政令指定都市のような大規模自治体と、人口の少ない町村とでは、実際の進み方や直面する課題に違いがあります。
大規模な自治体では、専門のIT担当部署や一定の予算規模を確保できることが多く、標準化・共通化の取り組みを比較的計画的に進めやすい傾向があります。一方で、扱う住民データの規模が大きく、既存システムも複雑化していることが多いため、移行作業そのものに時間と調整コストがかかりやすいという課題もあります。人口の少ない町村では、専任のIT担当者を置くことが難しく、限られた人員で日常業務と並行してDXの取り組みを進めなければならないという事情があります。このため、近隣の自治体と共同でシステムを利用したり、都道府県が音頭を取って複数の市町村を支援する枠組みを活用したりすることが、現実的な進め方として重視されています。
いずれの規模の自治体においても共通しているのは、住民サービスの窓口となる職員自身が、デジタル化のメリットを実感できる形で取り組みを進めることの重要性です。規模の大きな自治体であっても、現場の職員を置き去りにしたトップダウンの導入を進めると、システムが定着しないという同じ課題に直面することがあります。規模を問わず、住民目線・職員目線の両方を踏まえながら、着実に取り組みを積み重ねていく姿勢が求められます。
自治体DXの理解でよくある失敗パターン3つ
住民向けサービスの変化だけに注目する、職員の業務負担軽減の視点を見落とす、自治体単独の取り組みだと考えるという3つが、自治体DXの理解でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:住民向けサービスの変化だけに注目する。オンライン化された手続きだけを自治体DXの成果と捉えるケースです。職員側の業務改善もあわせて捉えることが回避策になります。
失敗パターン2:職員の業務負担軽減の視点を見落とす。システム導入だけを進め、実際の事務処理の負担軽減につながっていないケースです。紙の文書管理の電子化等、現場の負担軽減を意識することが回避策になります。
失敗パターン3:自治体単独の取り組みだと考える。国主導の標準化・共通化という前提を理解せず、独自の仕組みを構築してしまうケースです。総務省の推進計画に沿って進めることが回避策になります。
自治体DXの推進体制とスケジュールの考え方
自治体DX推進計画では、標準化・共通化を含む重点取り組み事項について、自治体が単独で期限を設定するのではなく、国が示すスケジュールに沿って段階的に進めることが前提とされています。特に住民基本台帳・税務・福祉など、住民生活に直結する主要な業務を扱う情報システムについては、国が示す標準仕様への移行が重点取り組み事項として位置づけられており、自治体はこの標準仕様に沿ってシステムを整備していくことが求められます。
この移行作業は、既存システムの調査、標準仕様との差分の洗い出し、データ移行、職員向けの操作研修、住民への周知といった複数の工程を経て進められます。工程の途中で既存システムに独自のカスタマイズが多く加えられていることが判明し、想定より作業が長引くケースも見られます。こうした事情もあり、自治体DXの担当者には、システム移行そのものだけでなく、庁内の関係部署や住民への説明・調整を並行して進める役割が求められます。移行のスケジュールは自治体ごとの事情によって前後することがあり、進捗を定期的に確認しながら計画を見直す姿勢が重要になります。
推進体制としては、首長や幹部職員が方針を示すトップの関与に加えて、各部署の実務を理解した職員が横断的に関わる体制を整えることが望ましいとされています。情報システム部門だけに任せきりにすると、現場の業務実態と合わないシステムになってしまうことがあるため、住民対応や事務処理の実務を担う部署の職員が計画段階から関わることが、実際に使われるシステムを作るうえでの重要なポイントになります。
自治体DXで押さえておきたい情報セキュリティの視点
自治体DXでオンライン化やシステムの共同利用が進むほど、住民の個人情報を扱う情報システムのセキュリティ対策の重要性も高まります。行政手続きのオンライン化やマイナンバーカードを活用したサービスの拡充は、住民の利便性を高める一方で、扱う個人情報の範囲や、外部からアクセスされる接点が広がることを意味します。このため、自治体DXを進める際には、利便性の向上とあわせて、情報セキュリティ対策を計画の初期段階から組み込んでおくことが欠かせません。
具体的には、住民の個人情報を扱う基幹系のネットワークと、インターネットに接続する情報系のネットワークを分離する、アクセス権限を業務に必要な範囲に限定する、定期的な研修を通じて職員のセキュリティ意識を高めるといった取り組みが、多くの自治体で進められています。システムの標準化・共通化が進むことで、個々の自治体が独自にセキュリティ対策を検討する負担が軽減される面がある一方、共通のシステム基盤を利用する自治体が増えるほど、一つの脆弱性が広範囲に影響しうるという指摘もあります。こうした特性を踏まえ、国と自治体が連携しながら、継続的にセキュリティ対策を見直していく必要があるとされています。
職員にとっては、セキュリティ対策は業務の妨げになるものと捉えられがちですが、パスワード管理や不審なメールへの対応など、日常業務の中で無理なく実践できる基本的な対策を積み重ねることが、住民の信頼を保つうえでの土台になります。自治体DXを進める担当者は、システムの利便性だけでなく、セキュリティ面の説明も住民・職員の双方に対して丁寧に行うことが望ましいといえます。
住民への周知で意識したいこと
自治体DXは、システムを整備するだけでは十分な効果につながらず、住民に新しいサービスの存在と使い方を知ってもらう周知の取り組みが欠かせません。オンラインで手続きが完結できるようになっても、住民がその存在を知らなければ、これまでどおり窓口に足を運ぶことになり、システム整備の効果が住民に届かないままになってしまいます。広報誌やホームページでの案内に加えて、窓口の掲示や職員による声かけなど、複数の手段を組み合わせて周知することが実際の利用につながりやすいとされています。
特に、デジタル機器の操作に不慣れな高齢者などへの配慮も重要な観点です。オンライン化を進める一方で、これまでどおり窓口や電話での手続きも選択できる形を残し、住民が自分に合った方法を選べるようにすることが、自治体DXを円滑に浸透させるうえでの実践的な工夫として挙げられます。窓口に来た住民に対して、次回からオンラインでも手続きができることを職員が案内する、操作方法を説明する簡単な案内を窓口に用意しておくといった取り組みも、周知の効果を高める手段の一つです。
住民への周知は一度行えば終わりというものではなく、サービスの追加や変更があるたびに継続的に行っていく必要があります。自治体DXの担当者は、システムの整備状況だけでなく、住民の認知度や利用状況も定期的に把握し、周知の方法を見直していくことが望ましいといえます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 自治体DXとは何ですか?
A. 総務省が2020年12月に策定した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、自治体が情報システムの標準化・共通化やオンライン化等に重点的に取り組む一連の取り組みです。
Q2. 住民にとって自治体DXはどのような変化として現れますか?
A. 窓口での行政手続きがオンラインで完結できるようになる、マイナンバーカードを活用したサービスが利用できるようになるという変化として現れます。
Q3. 職員にとって自治体DXはどのような変化として現れますか?
A. 情報システムの標準化・共通化や、紙の文書管理・手作業の事務処理の削減という変化として現れます。
Q4. 自治体は独自の仕組みを構築してよいですか?
A. 国主導の標準化・共通化という前提があるため、総務省の推進計画に沿って進めることが望ましいです。
Q5. 職員が着手しやすい取り組みは何ですか?
A. 紙の申請書類を電子化し、検索・共有しやすい形で管理する取り組みは、事務負担を軽減する着手しやすい取り組みの一つです。
Q6. 自治体DX推進計画はいつ策定されましたか?
A. 2020年12月に策定されました。
まとめ|今日からできる3つのこと
- 住民目線・職員目線の両方で捉える:一方だけに注目しません。
- 職員の業務負担軽減を意識する:システム導入だけで終わりません。
- 国の推進計画に沿って進める:自治体単独で独自に進めません。
参考文献
- 総務省「自治体DXの推進」 https://www.soumu.go.jp/denshijiti/index_00001.html(2026年8月13日取得)
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