建設業のDXとは?BIM/CIM・ICT施工・CCUSの進め方
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- 建設業DXは現場・設計・事務・人材をつなぐ
- BIM/CIM・ICT施工・CCUSが主要な入口
- 現場管理の入口となる施工管理ソフト・アプリの選び方も要確認
建設業のDXは、単に紙の書類をシステム化する取り組みではありません。測量・設計・施工・検査・維持管理・契約・人材情報までをデータでつなぎ、現場と事務の判断を早くする取り組みです。国土交通省はi-ConstructionやBIM/CIMを通じて、ICT施工や3次元データ活用を進めています。一方で、日々の記録をどのツールでデータ化するか、なかでも現場管理の入口となる施工管理ソフト・アプリをどう選ぶかで悩む中小建設会社も少なくありません。本記事では、建設業DXの全体像と進め方を、現場・設計・事務・人材の4領域に分けて整理します。
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建設業のDXとは|現場・設計・事務をデータでつなぐ取り組み
建設業のDXとは、現場で起きている作業、設計で作られる図面やモデル、事務部門で扱う契約・請求・労務情報を、ばらばらの記録ではなく事業判断に使えるデータとしてつなぐ取り組みです。日報をアプリにする、図面をクラウドで共有する、請求書を電子化するといった個別のIT化も入口になりますが、DXではそれらを施工管理、原価管理、人材配置、品質管理の改善につなげます。
たとえば、現場写真、出来形、資材発注、職人の入退場情報が別々に管理されていると、確認や転記に時間がかかります。これらを共通のデータとして扱えるようにすると、現場代理人、管理部門、経営者が同じ状況を見ながら判断できます。多くの企業がこの入口として選ぶのが、日報・写真・工程表を一元管理できる施工管理ソフト・アプリです。製造業のように工程と品質をデータで見える化する考え方も参考になるため、隣接する業界視点は製造業のDX推進ガイドもあわせて確認すると理解しやすくなります。
図1:建設業DXは、現場・設計・事務・人材の情報をつなぐ取り組みです。
建設業でDXが求められる背景
建設業でDXが求められる背景には、人手不足、熟練者への依存、現場ごとの属人化があります。施工計画、工程調整、安全確認、写真整理、検査対応、請求処理などは担当者の経験に支えられている部分が多く、情報が紙や個人の端末に残ると会社全体で再利用しにくくなります。
国土交通省は、i-Construction 2.0で建設現場のオートメーション化を掲げ、施工、データ連携、施工管理の各領域で省人化を進める方針を示しています。これは大規模な自動化だけを意味するものではなく、日々の記録をデータ化し、現場と本社の確認回数を減らすことも含みます。個人事業主や小規模事業者では、まず写真管理、勤怠、安全書類、見積・請求のように効果を確認しやすい業務から始める方法が現実的です。
i-ConstructionとBIM/CIMから見る建設DXの中心領域
建設業DXを理解するうえで、i-ConstructionとBIM/CIMは外せない考え方です。i-Constructionは、ICT施工などを建設現場に導入し、生産性を高める国土交通省の取り組みです。測量、設計、施工、検査でデータを活用し、従来は人の確認に頼っていた作業を見える化します。
BIM/CIMは、建築物や土木構造物を3次元モデルと属性情報で扱う考え方です。設計段階だけでなく、施工計画、干渉確認、数量確認、維持管理にも活用できます。国土交通省はBIM/CIM関連の基準や実施方針を公開しており、直轄土木業務・工事ではBIM/CIMの適用に関する方針も整理されています。民間工事でも、発注者要件や協力会社の体制に合わせて、モデルの作成範囲、納品形式、更新責任を明確にすることが大切です。
図2:i-Construction、BIM/CIM、CCUSは、建設業DXの主要な入り口になります。
現場管理業務のデジタル化と施工管理ソフト・アプリの比較ポイント
i-ConstructionやBIM/CIMが扱う3次元データや測量情報は専門性が高い一方、多くの建設会社が最初に手を付けやすいのは、日報・写真・工程表・原価といった日常業務のデジタル化です。紙の日報や現場写真のフォルダ管理を続けていると、進捗確認のたびに現場へ電話をかけたり、写真を探すだけで時間がかかったりします。こうした業務をデータでつなぐ役割を担うのが施工管理ソフト・アプリです。
施工管理ソフト・アプリは製品によって提供機能が異なるため、導入前に自社の業務に必要な機能を確認することが重要です。基本的な機能として日報作成や工程表の管理、写真・図面の共有が挙げられますが、勤怠管理や原価管理、協力会社とのチャット機能まで含む製品もあります。下表に主な機能とその概要を整理しました。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| 日報作成 | 作業進捗や現場の状況を日ごとに記録し、作業内容や問題点を共有 |
| 案件管理 | 各プロジェクトの進捗状況や予算、関連情報を一元管理 |
| 工程表作成・管理 | 工程表をもとに予定と実績を比較して管理 |
| 写真・図面管理 | 現場の写真や施工図面をアップロード・共有・管理 |
| 勤怠管理 | 従業員ごとの勤務時間の記録や把握 |
| 原価管理 | プロジェクトごとの予算と実際の費用を比較 |
選定にあたっては、機能面だけでなく操作性と費用のバランスも確認しましょう。現場の従業員から事務担当者まで誰でも扱える操作性か、既存システムと連携できるか、社外とデータを共有する場合はアカウントごとに閲覧範囲を設定できるかも比較ポイントになります。料金体系は製品や契約条件によって大きく異なるため、本記事では具体的な金額には触れませんが、複数製品を比較検討し、公式サイトで最新の料金・機能情報を確認することをおすすめします。
CCUSと技能者・原価情報のデジタル化
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格や就業履歴を登録・蓄積し、能力評価につなげる仕組みです。現場ごとに人員が入れ替わる建設業では、誰が、どの現場で、どの技能を持って働いたかを把握することが、配置、育成、処遇、安全管理に関わります。国土交通省は建設キャリアアップシステムポータルで制度概要を公開しています。
CCUSを単独の制度対応で終わらせず、施工管理ソフト・アプリで扱う勤怠管理や協力会社管理、原価管理とつなげると、バックオフィスの負担を減らしやすくなります。たとえば、入退場記録と日報、資格確認、請求処理が分断されている場合、同じ情報を複数回入力することになります。中小企業のDXとして考える場合も、最初から大規模な基幹システムを入れるのではなく、現場で使われる情報を整理することが出発点です。
業種別に見る建設DXの優先領域
建設業は元請・専門工事業・個人事業主など事業規模や役割の幅が広く、DXで優先すべき領域も業種によって異なります。ここでは3つの業種区分に分けて、優先的に検討したい領域を整理します。
元請・ゼネコン(大規模・複数現場を統括する立場)
複数現場を同時に統括する元請では、BIM/CIMによる3次元データの一元管理と、施工管理ソフト・アプリによる現場横断の進捗・原価の可視化を組み合わせる検討が優先されます。協力会社が複数入るため、データの共有範囲やアクセス権限を設定できる機能の有無も確認したいポイントです。
専門工事業(電気・設備・内装など)
専門工事業では、元請から共有される図面・工程表を正確に受け取り、自社の作業進捗や写真を元請へ報告する双方向のやり取りが多くなります。施工管理ソフト・アプリのうち、元請システムとの連携やチャット機能、写真共有機能を重視すると、報告業務の負担を軽減しやすくなります。
個人事業主・小規模事業者
従業員数が少ない事業者では、大規模な基幹システムより、日報・写真管理・見積書作成など必要最小限の機能に絞ったシンプルな施工管理ソフト・アプリから始める方が運用しやすい傾向があります。無料プランや低コストの範囲で試せる製品から比較検討するのも一つの方法です。
建設業DXの進め方|小さく始めて横展開する
建設業DXは、全社一斉に大きなシステムを入れるより、課題が明確な業務から小さく試す方が進めやすいです。まず、紙・Excel・口頭連絡・写真フォルダなど、情報が分散している場所を洗い出します。次に、転記が多い、確認に時間がかかる、属人化している、ミスが利益に直結する業務を優先します。
経営方針と結びつける視点も大切です。経済産業省のDX施策は、デジタル技術を経営ビジョンや企業価値向上と結びつける考え方を示しています。建設業でも、現場の便利ツール導入だけで終わらせず、受注力、利益管理、安全、技能承継にどうつなげるかを決めておくと、投資判断がしやすくなります。制度面の考え方は経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」からも整理できます。
図3:建設業DXは、現場で使える小さな改善から広げると進めやすくなります。
進め方を誤ると、投資や工数をかけても定着しないことがあります。代表的な失敗パターンを3つ紹介します。
- 全社一斉に高機能なシステムを導入し、現場の従業員が使いこなせず紙管理に戻ってしまう
- 機能の豊富さだけで施工管理ソフト・アプリを選び、実際に使う機能が限られ運用コストが見合わなくなる
- データを記録するところまでは定着したが、原価分析や工程改善への活用まで手が回らず、記録が目的化してしまう
補助金・電子契約・建設業法で確認するポイント
建設業DXでは、補助金や制度を確認する場面もあります。IT導入補助金や中小企業向けのデジタル化支援策は年度ごとに名称、対象経費、申請枠、スケジュールが変わるため、導入を検討する段階で中小企業基盤整備機構の案内や公式サイトを確認する必要があります。建設業向けの施工管理ソフト・アプリ、会計、受発注、電子契約、勤怠、安全書類などのITツールを検討する場合も、補助対象になるかどうかは、年度の公募要領と登録ツールの条件で確認します。
電子契約を導入する場合は、建設業法で求められる契約内容の明確化や、注文者・請負人の合意、保存方法を確認します。電子帳簿保存法の観点からも、電子契約や電子請求書の保存要件を満たす形でデータを保管する必要があります。BIM/CIMの成果品についても、モデル、属性情報、図面、変更履歴の扱いを、発注者要件や契約条件に合わせて整理することが必要です。またCCUSで扱う技能者の資格・就業履歴は個人情報に該当するため、個人情報保護法に沿った取得目的の明示や管理体制も併せて確認しましょう。
※本記事の法令に関する記述は、公開情報に基づく一般的な整理であり、法的助言を目的としたものではありません。個別の契約内容や実務対応については、弁護士や社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 建設業DXとi-Constructionの違いは何ですか?
A. 建設業DXは、現場、設計、契約、人材、経営管理をデータでつなぐ広い取り組みです。i-Constructionは、国土交通省が進める建設現場の生産性向上施策で、ICT施工や3次元データ活用などが中心になります。
Q. 中小建設会社でもBIM/CIMは必要ですか?
A. すべての会社が同じ範囲で導入するものではありません。公共工事や発注者要件との関係を確認し、自社が関わる業務で必要なモデル作成、確認、共有の範囲から検討します。
Q. CCUSはDXに含まれますか?
A. CCUSは技能者の資格や就業履歴を蓄積する仕組みで、人材情報をデータとして扱う点で建設業DXと関係します。勤怠、安全書類、協力会社管理とつなげると実務改善に使いやすくなります。
Q. 施工管理ソフト・アプリはどう選べばよいですか?
A. 自社の業務に必要な機能(日報・写真管理・工程表・原価管理など)が揃っているか、現場の従業員でも操作しやすいか、既存システムと連携できるかを軸に比較するのがおすすめです。製品ごとに得意分野が異なるため、複数の候補を比較したうえで、自社の現場規模や運用体制に合うものを選びましょう。
Q. 建設業DXは何から始めるとよいですか?
A. まずは転記が多い業務、確認に時間がかかる業務、利益や安全に影響する業務を洗い出します。写真管理、日報、勤怠、安全書類、見積・請求などは、比較的始めやすい領域です。
Q. IT導入補助金は建設業でも使えますか?
A. 建設業かどうかだけで判断するのではなく、対象者、対象ツール、申請枠、導入目的などの条件で確認します。年度ごとに制度内容が変わるため、公式サイトと公募要領を確認してください。
Q. 電子契約を導入すれば建設業法の書面対応は不要ですか?
A. 電子契約を使う場合でも、契約内容の明確化、当事者の合意、保存方法などの確認が必要です。建設業法、発注者要件、社内規程を確認しながら運用を決めます。
まとめ|今日からできる4つのこと
建設業のDXは、BIM/CIMやICT施工のような技術導入だけでなく、現場、設計、契約、人材情報をつなぐ業務設計です。小さく始め、使い続けられる運用に落とし込むことが重要です。
- 現場・事務・人材情報のうち、転記や確認が多い業務を洗い出す
- i-Construction、BIM/CIM、CCUSのうち、自社に関係する領域を確認する
- 日報・写真・工程表の管理を効率化する施工管理ソフト・アプリを比較検討する
- 補助金、電子契約、成果品ルールを公式情報で確認してから試行導入する
参考文献
- 国土交通省「i-Construction 2.0」2024年、https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001085.html、2026年8月6日取得
- 国土交通省「i-Construction」掲載年不明、https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html、2026年8月6日取得
- 国土交通省「BIM/CIM関連基準要領等(令和5年3月)」2023年、https://www.mlit.go.jp/tec/tec_fr_000115.html、2026年8月6日取得
- 国土交通省「建設キャリアアップシステムポータル」掲載年不明、https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_fr2_000033.html、2026年8月6日取得
- 経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」2026年、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html、2026年8月6日取得
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026」2026年、https://it-shien.smrj.go.jp/、2026年8月6日取得
- デジタル庁「e-Gov法令検索 建設業法」1949年、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100、2026年8月6日取得