dx セキュリティとは?DX推進で見落としやすいリスクと対策
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- DX推進でセキュリティが重要な理由がわかる
- 見落としやすい3つのリスクがわかる
- 基本的なセキュリティ対策がわかる
DXを推進する中で、業務効率化やデータ活用の効果に注目が集まる一方、セキュリティ対策が後回しになってしまうケースは少なくありません。デジタル化が進むほど、攻撃を受ける可能性のある範囲(攻撃対象領域)も広がります。本記事では、DX推進で見落としやすいセキュリティリスクと、その対策を解説します。
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DX推進でセキュリティが重要な理由
DXの推進によってクラウドサービスの利用やデータ連携が増えると、攻撃者にとっての侵入経路も増えるため、業務効率化と同時にセキュリティ対策を進める必要があります。経済産業省は、企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織文化を変革することをDXと位置づけていますが(経済産業省「デジタルガバナンス・コード」、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html 2026年8月13日取得)、この変革を安全に進めるためには、セキュリティ対策が前提条件になります。
DX推進で見落としやすいリスク
クラウドサービスの設定不備によるデータ漏えい、レガシーシステムと新システムの接続部分の脆弱性、従業員のセキュリティ意識の不足という3つが、DX推進で見落としやすい代表的なリスクです。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| クラウドの設定不備 | アクセス権限の設定ミスによるデータ漏えい |
| レガシーシステムとの接続 | 古いシステムと新システムの接続部分の脆弱性 |
| 従業員の意識不足 | 新しいツールの使い方に慣れる中でのセキュリティ意識の低下 |
DX推進時のセキュリティ対策
クラウドサービスの権限設定を定期的に見直す、新システム導入時にセキュリティ診断を行う、従業員向けのセキュリティ研修を実施するという3点が、DX推進時の基本的な対策です。文書管理のように機密性の高い情報を扱うシステムを導入する際は、電子帳簿保存法等の法令対応とあわせて、アクセス権限の管理体制も事前に確認しておくことが重要です。
企業規模別に見る対策の優先順位
DX推進時のセキュリティ対策は、企業の規模によって優先順位が変わります。専任のセキュリティ担当者を置きにくい中小企業と、複数部門・複数拠点でシステムを運用する中堅・大企業とでは、リスクの現れ方も対応の仕方も異なるため、自社の規模に合わせた進め方を考えることが重要です。
個人事業主・小規模企業では、多くの場合クラウドサービスの初期設定をそのまま使い続けているケースが目立ちます。まずはアクセス権限を「必要な人だけが必要な範囲を見られる」状態に整理し、パスワードの使い回しをやめ、多要素認証を有効にするといった、費用をかけずにできる対策から着手すると進めやすくなります。
中小企業では、部署ごとに別々のクラウドサービスを契約し、誰がどのシステムにアクセスできるかを情報システム部門が把握しきれていない状態が起こりやすくなります。利用しているサービスとアカウントを棚卸しし、退職者や異動者のアカウントを速やかに停止する運用ルールを整えることが優先課題になります。
中堅・大企業では、レガシーシステムと新システムが混在し、システム間の連携部分が攻撃の起点になりやすい状態が課題になります。新システムを導入するたびにセキュリティ診断を行うだけでなく、既存システムとの接続部分についても定期的に脆弱性を確認する体制を作ることが求められます。また、複数拠点・複数部門にまたがる場合は、全社共通のセキュリティポリシーを整備し、部門ごとの対応のばらつきを防ぐことも重要です。
インシデント発生時の初動対応
どれだけ対策を講じても、情報漏えいや不正アクセスといったインシデントの発生をゼロにすることは難しいため、発生した際の初動対応をあらかじめ決めておくことも、DX推進時のセキュリティ対策の一部として位置づけられます。対応が遅れるほど被害が拡大しやすく、取引先や顧客への説明も後手に回りやすくなるためです。
初動対応では、まず影響範囲の特定と被害の拡大防止を優先します。不正アクセスが疑われるアカウントやシステムを一時的に停止し、ログを保全したうえで、社内の責任者への報告ルートを明確にしておくことが基本です。個人情報が関係する場合は、個人情報保護法に基づく報告義務が生じることもあるため、法務部門や顧問弁護士への相談ルートも事前に決めておくと、実際に発生した際に慌てず対応しやすくなります。あわせて、取引先への連絡が必要になる場合を想定し、誰がどのタイミングで連絡するかの役割分担も整理しておくと安心です。
セキュリティ対策でよくある失敗パターン3つ
業務効率化を優先しセキュリティを後回しにする、導入時だけ対策して終わりにする、従業員研修を実施しないという3つが、セキュリティ対策でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:業務効率化を優先しセキュリティを後回しにする。スピードを重視してセキュリティ診断を省略するケースです。導入前にセキュリティ診断を実施することが回避策になります。
失敗パターン2:導入時だけ対策して終わりにする。権限設定を導入時のまま放置し、組織変更後も見直さないケースです。定期的な見直しを仕組み化することが回避策になります。
失敗パターン3:従業員研修を実施しない。システムの対策は行っても、利用者側の意識向上を怠るケースです。定期的な研修を実施することが回避策になります。
業種別に見るDX推進時のセキュリティ対策の違い
DX推進時に見落としやすいリスクは共通していても、実際に優先すべき対策は業種によって異なります。取り扱う情報の種類やシステムの利用方法が業種ごとに違うため、自社の業種特性を踏まえて対策の優先順位を考えることが重要です。
製造業では、生産管理システムやIoT機器を通じて工場の設備をネットワークに接続する動きが進んでいます。従来は外部ネットワークから切り離されていた生産設備がインターネットに接続されることで、これまで想定していなかった経路からの侵入リスクが生じる点に注意が必要です。生産ラインの制御システムに不正アクセスがあった場合、情報漏えいだけでなく、生産の停止という事業継続に直結する被害につながる可能性もあるため、情報系システムと制御系システムのネットワークを適切に分離する、いわゆるセグメント分割の考え方が重要になります。
小売業・サービス業では、ECサイトや予約システムを通じて顧客の氏名・住所・決済情報などの個人情報を大量に扱うことが多く、これらのシステムがDX推進の中心になりがちです。カート機能や会員管理機能を外部のSaaSと連携させる場合、連携先のAPIキーやアクセストークンの管理が不十分だと、意図しない経路で顧客データが流出するおそれがあります。決済代行サービスを利用する場合は、自社でカード情報を保持しない構成(非保持化)を選び、決済まわりのセキュリティを専門事業者に委ねる考え方も有効です。
士業・専門サービス業では、顧客の契約書・財務情報・個人情報など機密性の高い書類を電子化してクラウド上で管理する場面が増えています。紙の書類であれば施錠したキャビネットで管理できていたものが、クラウド化によって「誰が」「どの端末から」「いつ」アクセスできるかという管理の考え方に変わるため、アクセスログを定期的に確認する運用や、外部から共有した書類の閲覧期限を設定できるサービスを選ぶといった工夫が、業務効率化と情報保護を両立させるポイントになります。
セキュリティ対策にかける予算の考え方
DX推進時のセキュリティ対策は、目に見える成果が分かりにくいため、予算の確保が後回しになりやすい分野です。ただし、対策にかかる費用は「コスト」としてだけでなく、インシデントが発生した場合に想定される被害(業務停止による機会損失、顧客対応や原因調査にかかる人件費、取引先からの信用低下など)を回避するための投資として捉える視点が重要になります。
予算配分を検討する際は、すべてのシステムに一律の対策を講じるのではなく、扱う情報の機密性や、そのシステムが停止した場合の事業への影響度に応じて優先順位をつける考え方が現実的です。たとえば、顧客の個人情報や決済情報を扱う基幹システムには手厚い対策を講じる一方、社内の一部門しか利用しない情報共有ツールについては、多要素認証の有効化やアクセス権限の定期的な見直しといった、費用をかけずにできる対策を徹底するといった配分が考えられます。
また、セキュリティ対策を自社の情報システム部門だけで抱え込まず、必要に応じて外部のセキュリティ専門事業者による診断・監視サービスを組み合わせることも選択肢になります。専任の担当者を置きにくい中小企業ほど、自社で対応する範囲と外部に委託する範囲を切り分けて考えることで、限られた予算の中でも実効性のある対策を進めやすくなります。
セキュリティ対策の進捗を確認する方法
セキュリティ対策は一度体制を整えて終わりではなく、対策が形骸化していないかを定期的に確認する仕組みが必要です。半年に1回程度のタイミングで、クラウドサービスのアクセス権限が現在の組織体制と一致しているか、退職者・異動者のアカウントが放置されていないか、多要素認証が全従業員で有効になっているかといった項目をチェックリスト化し、担当者を決めて棚卸しする運用が有効です。
あわせて、従業員向けの研修についても、実施した記録を残し、受講率や理解度を簡易的に確認しておくと、対策が実際に機能しているかどうかを経営層に説明しやすくなります。こうした振り返りの機会を定期的に設けることが、DX推進とセキュリティ対策を継続的に両立させるための土台になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. DX推進でセキュリティが重要なのはなぜですか?
A. クラウドサービスの利用やデータ連携が増えると、攻撃者にとっての侵入経路も増えるためです。
Q2. DX推進で見落としやすいリスクは何ですか?
A. クラウドサービスの設定不備、レガシーシステムとの接続部分の脆弱性、従業員のセキュリティ意識の不足という3つです。
Q3. DX推進時の基本的なセキュリティ対策は何ですか?
A. クラウドの権限設定の定期的な見直し、新システム導入時のセキュリティ診断、従業員向けの研修実施という3点です。
Q4. 文書管理システム導入時に確認すべきことは何ですか?
A. 電子帳簿保存法等の法令対応とあわせて、アクセス権限の管理体制を事前に確認することが重要です。
Q5. 導入時だけ対策すれば十分ですか?
A. 十分ではありません。権限設定は組織変更等に応じて定期的に見直す必要があります。
Q6. 従業員向けの対策は必要ですか?
A. 必要です。システム側の対策だけでなく、利用者のセキュリティ意識向上のための研修が重要です。
外部委託・クラウドサービス選定時の確認ポイント
DX推進では、自社ですべてのシステムを構築するのではなく、外部のクラウドサービスやSaaSを利用する場面が増えます。この場合、自社の対策だけでなく、委託先・利用先のセキュリティ体制も確認しておくことが重要になります。自社の管理下にないシステムであっても、そこで扱う情報が漏えいすれば自社の責任が問われる可能性があるためです。
確認ポイントとしては、提供事業者がどのようなセキュリティ認証(ISMS認証など)を取得しているか、データの保存場所や暗号化の有無、障害発生時のバックアップ体制、契約解除時のデータ削除方針などが挙げられます。特に、顧客情報や取引先情報など機密性の高いデータを扱うサービスを選ぶ際は、価格や機能だけでなく、こうしたセキュリティ面の情報を契約前に確認する習慣をつけることが望まれます。
また、複数のクラウドサービスを併用する場合、サービスごとにログイン方法やパスワードルールが異なると、従業員が管理しきれずに簡易なパスワードを使い回してしまうことがあります。可能であれば、シングルサインオン(SSO)の仕組みを導入し、認証情報を一元管理することで、利便性とセキュリティの両立を図りやすくなります。
まとめ|今日からできる3つのこと
- クラウドの権限設定を見直す:導入時のまま放置しません。
- 導入前にセキュリティ診断を行う:業務効率化だけを優先しません。
- 従業員研修を定期的に実施する:システム対策だけで終わりません。
参考文献
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html(2026年8月13日取得)
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