SaaSの種類とは?Horizontal SaaSとVertical SaaSの違い・代表例・AI時代の変化

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  • 業界・業務・提供形態の3つの軸で種類がわかる
  • Horizontal・Verticalの違いと業務領域別の早見表がわかる
  • 種類選びの失敗を防ぎ、導入後の使い方を定着させる進め方がわかる

SaaSの種類は、対象とする業界の広さで分ける「Horizontal SaaS(業種横断型)」と「Vertical SaaS(業界特化型)」の2つが基本で、これに「どの業務を扱うか」という業務領域別の軸を重ねて整理するのが実務的です。Horizontalは経理・勤怠・チャットなど業種を問わない共通業務向け、Verticalは建設・医療・不動産など特定の業界に固有の業務向けのSaaSを指します。この記事では、3つの軸の使い分け、業務領域別の早見表、AI時代の分類の変化、選定でよくある失敗、導入効果の確かめ方までを順に整理します。あわせて、導入するSaaSの種類が増えるほど課題になる「使い方の教育」についても触れます。

あなたに合うSaaSの種類と、導入後の備えを診断

Q1. 導入したいSaaSのタイプはどれに近いですか?

目次

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  1. SaaSの種類は3つの軸で整理できる|業界・業務・提供形態
  2. SaaSの種類が増えるほど「使い方の教育」が課題になる|eラーニングの比較
  3. Horizontal SaaSとVertical SaaSの違い|業界の広さで分ける
  4. Horizontal SaaSの代表例と特徴
  5. Vertical SaaSの代表例と特徴
  6. AI時代のSaaS分類の変化
  7. SaaS選定でよくある失敗パターン
  8. SaaS導入効果をどう確認するか
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 参考文献

SaaSの種類は3つの軸で整理できる|業界・業務・提供形態

SaaSの種類は、業界の広さ(Horizontal・Vertical)、扱う業務、提供の仕組みの3つの軸で整理できます。実務では最初の2軸で候補を絞ります。

軸 分け方 使う場面
業界の広さ Horizontal SaaS(業種横断型)とVertical SaaS(業界特化型) 自社の業界に固有の要件があるかを判断する
扱う業務(業務領域別) 経理・会計、人事・労務、営業・顧客管理、社内コミュニケーション、人材育成など 解決したい業務から、探すカテゴリを選ぶ
提供の仕組み SaaS・PaaS・IaaS(クラウドの3つの層)、マルチテナント型とシングルテナント型 セキュリティやカスタマイズの自由度を確認する

「SaaS 種類」で調べると、この3つの軸の説明が混ざって出てきますが、どれも答えようとしている疑問が違うだけです。「どの会社向けか」ならHorizontal・Vertical、「何の業務に使うか」なら業務領域別、「どこまでを提供会社が管理するか」ならSaaS・PaaS・IaaSの区分が当てはまります。SaaSそのものの意味や読み方はSaaSとは?意味・読み方・具体例と選び方、PaaS・IaaS・ASPとの違いはSaaSとは|PaaS・IaaS・ASPとの違いと選び方で詳しく解説しています。

業務領域別の軸には、人事・労務や経理と並んで「人材育成」も含まれ、eラーニングはその代表的なSaaSです。SaaSの種類を選んで導入するほど、社員が使い方を覚える負担も増えるため、次の章では教育面の備えを整理します。

SaaSの種類が増えるほど「使い方の教育」が課題になる|eラーニングの比較

SaaSの種類が増えるほど、操作手順やセキュリティの理解を社員にそろえる教育の負担も増えます。eラーニングは、その教育を仕組み化する人材育成領域のSaaSです。

1社で複数のSaaSを使う状態になると、「導入したのに一部の社員しか使いこなせていない」「部署ごとに入力ルールがばらばら」といった定着の問題が表面化しやすくなります。SaaSは契約すればすぐ使える手軽さが強みですが、そのぶん導入時の研修が省かれがちです。ツールごとの操作説明に加えて、クラウドサービスを安全に使うためのITの基礎知識や情報セキュリティの考え方を社員全体で底上げしておくと、どの種類のSaaSを入れても効果を出しやすくなります。

そうした教育をまとめて運用する手段として、eラーニングシステムがあります。同じeラーニングでも、自社の教育内容を学習プログラムにしたい会社、テストで理解度を確かめたい会社、コンプライアンス研修を網羅したい会社では、合うサービスが変わります。商品ページで確認できた内容をもとに、3サービスの役割の違いを比べました(2026年10月14日確認。優劣や順位ではありません)。

SaaSの使い方を社内にそろえる教育サービス3つの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:Smart Boardingは、社内の教育内容をプログラム化して繰り返し学べます。

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この状況に合う一例:SAKU-SAKU Testingは、テストを作成し、結果を管理できます。

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この状況に合う一例:OneComplianceは、法務・労務・情報領域の研修を提供しています。

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サービス Smart Boarding SAKU-SAKU Testing OneCompliance
向いている会社 社内の教え方が人によって違い、教育を標準化したい会社。研修・OJT・eラーニングをまとめて運用したい会社 確認テストや合格点の設定を含め、学習の成果を測りながら運用したい会社 ハラスメント、個人情報保護法、情報セキュリティなどの研修を年間を通じて実施したい会社
特徴 社員研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで運用でき、自社の資料や動画と同サービスの動画を組み合わせた研修コースを作れます。LMS機能で受講者の進捗や理解度を確認できます CBTの技術を活かしたテスト機能が特徴です。動画やスライドでの学習、確認テスト、アンケートを組み合わせられ、選択式・穴埋め・並び替え・記述式の問題を配信できます コンプライアンス研修に特化し、ハラスメント予防、個人情報保護法、情報セキュリティ、著作権などの学習コースがあります。コースのアサインや自動リマインダーで管理の手間を抑えられます
注意したい点 自社の教育内容を学習プログラムにする際に一定の手間がかかり、担当者との打ち合わせも必要です AIを使ったリモート監視機能などは有償オプションの契約が必要で、日本国外での利用はサポート対象外です 料金体系は受講者の人数に応じて変わり、デモや無料トライアルの詳細は問い合わせで確認が必要です
資料・詳細

3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)

まとめて資料をダウンロード

表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

全社で使い方をそろえたい会社の場合の一例が、Smart Boardingです。商品ページによると、Smart Boardingは社員研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで運用できる社員教育プラットフォームで、OJTで教えていた内容を資料や動画にしてプログラム化し、いつでも何度でも学習と復習ができます。LMS機能で受講者の進捗や理解度を確認でき、自社の動画とSmart Boardingの動画を組み合わせた研修コースも作れます。注意したい点として、自社の教育内容を学習プログラムにする際に一定の手間がかかり、担当者との打ち合わせも必要になります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください(2026年10月14日確認)。

株式会社FCE

Smart Boarding

Smart Boarding
出典:www.smartboarding.net

株式会社FCE

Smart Boarding

目指したい社員教育を実現!OJTや研修など社員教育に悩んでいる企業におすすめ

出典:Smart Boarding

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【2026年最新】LearnO vs Smart Boardingを徹底比較|どちらがあなたに合う?評判・機能・料金で検証!

今、eラーニングシステムを導入する企業が増えています。特に「LearnO」と「Smart Boarding」は2大人気サービスで、評価を見てもどちらが本当に自社に合うサービスなのか悩んでいる方も少なくありません。本記事では、徹底比較したビジコン編集部が目的別・使い方別に違いを明確に解説します。

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アース環境サービス株式会社の担当者の声(Smart Boarding導入事例)。出典:アース環境サービス株式会社 導入事例

Horizontal SaaSとVertical SaaSの違い|業界の広さで分ける

Horizontal SaaS(業種横断型)とVertical SaaS(業界特化型)は、対象とする業界の広さで分けた種類です。Horizontalは「水平」、Verticalは「垂直」という意味で、業界を横に広く貫くか、1つの業界を縦に深く掘るかというイメージです。

SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアを自社のパソコンやサーバーにインストールせず、インターネット経由でサービスとして利用する提供形態のことです。この前提のうえで、2つの種類を比較項目ごとに整理します。

比較項目 Horizontal SaaS(業種横断型) Vertical SaaS(業界特化型)
対象 業種を問わず、どの会社にもある共通業務 特定の業界に固有の業務
代表的なカテゴリ 会計、勤怠管理、人事労務、SFA・CRM、ビジネスチャット、電子契約、オンラインストレージ 建設業向けの施工管理、医療機関向けの電子カルテ、保育施設向けの業務支援、不動産業向けの物件・賃貸管理、飲食店向けの予約・POS
強み 利用企業が多く、機能やノウハウが充実しやすい。他サービスとの連携先も豊富な傾向がある 業界の用語・帳票・商習慣・規制に沿って設計されており、現場の業務にそのまま合いやすい
弱み 汎用的なぶん、業界特有の要件には対応しきれないことがある 対象業界以外では使いにくい。提供会社の数が少なく、比較できる選択肢が限られることがある
主な利用者 管理部門や全社員など、業務の種類で利用者が決まる 現場の担当者や専門職など、業界の業務を担う人

表の代表的なカテゴリは一般的な例で、同じカテゴリでも提供会社によって業種横断型に近いものと業界向けの機能を強めたものがあります。分類はあくまで候補を絞り込むための目安と考えるとよいでしょう。

もう1つの軸|業務領域別の分類

HorizontalとVerticalが「どの業界向けか」という軸だとすると、もう1つよく使われるのが「どの業務を扱うか」という業務領域別の軸です。経理・会計、人事・労務、営業・顧客管理、マーケティング、社内コミュニケーション、情報セキュリティ、法務・契約といった業務ごとにSaaSを整理する方法で、比較サイトや製品カタログの多くもこの分け方を採用しています。業務領域ごとのカテゴリは、次の「Horizontal SaaSの代表例と特徴」の表にまとめています。

実務で自社に合うSaaSを探すときは、この2つの軸を掛け合わせて考えると整理しやすくなります。たとえば「経理(業務領域)で業種横断型」なら一般的な会計SaaS、「経理(業務領域)で建設業向け」なら工事ごとの原価管理まで扱える建設業向けの会計・原価管理SaaS、というように、同じ業務領域の中でも業界への特化度によって候補が変わるためです。

提供の仕組みによる分け方との違い

SaaSの種類という言葉は、提供の仕組みによる分類を指して使われることもあります。複数の企業が同じシステム基盤を共有するマルチテナント型と、企業ごとに環境を分けるシングルテナント型の違いや、IaaS・PaaSとの違いといった技術面の話です。これらは主に提供側の設計や、セキュリティ・カスタマイズの自由度に関わる論点で、利用者が「どの業務に何を入れるか」を考えるHorizontal・Verticalの分類とは視点が異なります。クラウドの3層の管理範囲はSaaS・PaaS・IaaSの違い|3層モデルの管理範囲とASPとの関係を解説で詳しく解説しています。

「SaaSの種類」を調べる際に、クラウドサービス全体の分類であるIaaS・PaaS・DaaSとあわせて説明されることも多いため、違いを簡単に整理しておきます。どこまでを提供会社が用意し、どこからを利用者が管理するかが主な違いです。DaaSを含めた4つの違いはIaaS・PaaS・SaaS・DaaSの違いを図解|住宅の例えと責任分担で整理もあわせてご覧ください。

区分 提供されるもの 主な利用者
SaaS そのまま使えるアプリケーション(会計、チャット、CRMなど) 業務を行う社員などのエンドユーザー
PaaS アプリケーションを開発・実行するための基盤(OS、ミドルウェア、開発環境など) アプリケーションの開発者
IaaS 仮想サーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラ インフラを構築・運用するIT部門
DaaS クラウド上の仮想デスクトップ環境 テレワークなどで社内と同じ画面を使いたい社員

どの種類にも共通するSaaSのメリットと注意点

SaaSはこの中で最も利用者側の管理範囲が小さく、すぐに使い始められる反面、種類を問わず共通するメリットと注意点があります。業種横断型でも業界特化型でも当てはまるため、種類を選ぶ前に整理しておくと判断がぶれにくくなります。

観点 メリット 注意点
導入・運用 サーバーの用意やインストールが不要で、早く使い始められる。保守やアップデートは提供会社が行う カスタマイズの自由度が、自社開発やPaaS・IaaSより低いことが多い
利用環境 場所や端末を選ばず使え、複数人で同時に編集・共有できるものが多い インターネットに接続できないと使えず、ネットワークや提供会社側の障害の影響を受ける
費用 月額・年額で契約する形が中心で、初期費用を抑えやすい 使い続ける間は費用が続く。利用者が増えるほど総額が増える
継続性 法改正や機能追加が提供会社のアップデートで反映される サービス終了や仕様変更の影響を受ける。他サービスへのデータ移行が難しい場合がある
セキュリティ 提供会社が基盤のセキュリティ対策を担う アカウントやアクセス権限の管理は利用者側の責任になる

総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」には、クラウドサービスの仕組みの解説や、クラウドに預けていた重要データが消えた事例の紹介が掲載されており、利用者側でも備えが必要なことがわかります。種類を選ぶ前に、こうした共通の特性を理解しておくと判断がぶれにくくなります。

Horizontal SaaSの代表例と特徴

Horizontal SaaSは、業界に関係なくどの企業にも存在する業務を対象にしたSaaSです。利用できる企業の母数が大きいため、市場規模が大きく、提供会社の数も多いのが特徴です。国内でも、SaaSといえばまずこのタイプを思い浮かべる人が多いでしょう。

業務領域 代表的なSaaSのカテゴリ 主な利用部門
経理・会計 クラウド会計、経費精算、請求書発行・受領 経理・財務
人事・労務 勤怠管理、給与計算、労務手続き、タレントマネジメント 人事・総務
人材育成 eラーニング、LMS(学習管理システム) 人事・総務
営業・顧客管理 SFA、CRM、名刺管理 営業・カスタマーサポート
マーケティング MA、アクセス解析、メール配信 マーケティング
カスタマーサポート ヘルプデスク、問い合わせ管理、FAQ管理 カスタマーサポート
社内コミュニケーション ビジネスチャット、Web会議、グループウェア、オンラインストレージ 全社員
プロジェクト・業務管理 プロジェクト管理、タスク管理、ワークフロー 各部署のチーム
基幹業務 ERP、販売管理、在庫管理 経営企画・経理・営業
データ分析 BI(ビジネスインテリジェンス)、ダッシュボード 経営企画・各部門
Web・EC CMS、ECプラットフォーム Web担当・マーケティング
法務・契約 電子契約、契約書管理 法務・総務

具体的なサービス名の例を挙げると、ビジネスチャットではSlackやChatwork、オフィスツール・グループウェアではGoogle Workspace、営業・顧客管理ではSalesforceがあります。いずれもあくまで一例で、順位や推奨ではありません。分野ごとの代表的なサービスをさらに詳しく知りたい場合は、SaaSの代表例|分野別の一覧とPaaS・IaaSの実例を解説が参考になります。

Horizontal SaaSの強み

Horizontal SaaSの強みは、利用企業が多いことから生まれます。多くの企業の要望を反映して機能改善が進みやすく、操作マニュアルや導入事例、使い方を解説する情報もインターネット上に豊富です。また、会計SaaSと経費精算SaaS、勤怠管理SaaSと給与計算SaaSのように、ほかのサービスとのデータ連携が用意されていることが多く、複数のサービスを組み合わせて業務全体をつなげやすいのも利点です。

もう1つの強みは、法改正への対応です。電子帳簿保存法やインボイス制度、社会保険の手続きのように、業種を問わず影響する制度改正があった場合、利用者の多いSaaSでは提供会社側がアップデートで対応することが一般的です。自社でシステムを改修する必要がない点は、IT担当者が少ない企業にとって大きな負担軽減になります。ただし、対応の範囲や時期はサービスごとに異なるため、制度対応が必要な場面では提供会社の案内を必ず確認してください。

Horizontal SaaSの注意点

一方で、Horizontal SaaSは「どの業種でも使える」ことを前提に作られているため、業界特有の業務には合わないことがあります。たとえば建設業の工事ごとの原価管理や、医療機関の診療報酬の請求のように、業界固有の計算方法や帳票が必要な業務は、汎用的な機能だけでは対応しきれない場合があります。無理にカスタマイズしたり、足りない部分をExcelや紙で補ったりすると、かえって運用が複雑になることもあります。

また、利用者が全社員や複数部署に広がりやすいのもHorizontal SaaSの特徴です。ビジネスチャットや勤怠管理のように全員が毎日使うサービスは、一部の人だけが使いこなしていても効果が出ません。導入時に使い方の説明会を開くだけでなく、入社した社員や異動した社員にも同じ水準で使い方を伝えられる仕組みを用意しておくことが、定着の鍵になります。

3サービスの役割を比較表で見る

Vertical SaaSの代表例と特徴

Vertical SaaSは、特定の業界の業務に特化したSaaSです。業界ごとの専門用語や業務の流れ、必要な帳票、関係する法令などをあらかじめ組み込んで設計されているため、現場の担当者が使い慣れた言葉と手順でそのまま操作できるのが特徴です。

業界 代表的なSaaSのカテゴリ 業界特有の要件の例
建設業 施工管理、工事原価管理、現場の写真・図面共有 工事ごとの原価の集計、協力会社との情報共有、現場ごとの工程管理
医療 電子カルテ、予約・問診、オンライン診療 診療報酬の請求、医療情報の安全管理に関するガイドラインへの配慮
介護・保育 介護記録、保育施設向けの登降園管理・連絡帳 介護報酬の請求、保護者との連絡、行政への提出書類
不動産 物件管理、賃貸管理、不動産取引の電子化 物件情報の管理、入居者対応、宅地建物取引業法を踏まえた書類の扱い
飲食・小売 POSレジ、予約管理、モバイルオーダー、在庫管理 店舗ごとの売上管理、席・予約の管理、食材や商品の在庫の把握
製造業 生産管理、品質管理、設備保全 部品表の管理、ロットの追跡、品質記録の保管

具体的なサービスの例として、建築図面・現場管理アプリのSPIDERPLUSのように、現場の図面や情報をアプリで管理する建設業向けのサービスがあります。ここでも一例であり、推奨ではありません。

Vertical SaaSの強み

Vertical SaaSの最大の強みは、業界の業務にそのまま合うことです。汎用的なシステムでは項目名を読み替えたり、足りない機能を別の方法で補ったりする必要がありますが、業界特化型では最初から業界の言葉と手順で画面が作られているため、現場の担当者が迷いにくくなります。業界の規制や商習慣の変化にあわせて機能が更新されることが多い点も、業界特化型ならではの利点です。

また、Vertical SaaSは業界のデータが1か所に集まりやすいという特徴もあります。予約・会計・顧客情報・在庫などを1つのサービスで扱えると、業務の流れ全体を見渡しやすくなり、経営判断に使えるデータがそろいます。紙や電話でのやり取りが多く残る業界ほど、デジタル化による業務改善の余地が大きいともいえます。

Vertical SaaSの注意点

注意したいのは、業界特化型であっても自社の業務に完全に合うとは限らないことです。同じ業界でも、企業の規模や扱う商材、地域によって業務の流れは異なります。導入前には、自社の業務の流れとサービスの標準機能を照らし合わせ、どこまで標準で対応でき、どこから運用の工夫が必要になるかを確認しておくことが大切です。

また、Vertical SaaSは提供会社の数が少ない分野も多く、比較できる選択肢が限られることがあります。乗り換え先が少ないと、将来サービス内容や料金が変わった場合の交渉力が弱くなるため、入力したデータを標準的な形式で書き出せるか、提供会社の事業の継続性はどうかといった点も確認しておくと安心です。さらに、業界特化型は現場の業務に深く入り込むぶん、操作を覚える現場担当者の負担が大きくなりがちです。現場の担当者が交代しても使い方が引き継がれるよう、操作手順を教材として残しておく工夫も役立ちます。あわせて、教材を見たあとに確認テストで習熟度を確かめると、引き継ぎの抜けを早く見つけられます。

操作手順を教材にして、理解度をテストで確かめたい会社に

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HorizontalとVerticalを組み合わせるのが一般的

実務では、どちらか一方だけで業務を完結させる企業は多くありません。経理や勤怠、社内コミュニケーションのように業種を問わない業務には業種横断型を使い、施工管理や電子カルテのように業界固有の業務には業界特化型を使うという組み合わせが一般的です。組み合わせる際は、顧客情報や取引先情報を複数のシステムに二重で入力しなくて済むよう、サービス同士のデータ連携の範囲を事前に確認しておきましょう。

AI時代のSaaS分類の変化

生成AIの普及によって、SaaSの種類の考え方にも変化が生まれています。これまでのHorizontal・Verticalという分け方自体はなくなりませんが、それぞれのSaaSにAIが組み込まれることで、選ぶときに見るべき点が変わりつつあります。ここでは、2026年時点でよく議論されている3つの変化を整理します。なお、いずれも業界で議論されている傾向であり、すべてのサービスや企業に当てはまるわけではありません。

AIの進化によってSaaSの料金モデルや役割そのものが変わるのではないかという、いわゆる「SaaSの死」をめぐる議論もあります。論点の整理は「SaaSの死」とは|年表と用語で読み解く論争の全体像で解説しています。この記事では、分類の考え方がどう変わるかに絞って見ていきます。

変化1|SaaSにAI機能が標準で組み込まれる

会計SaaSでの仕訳の自動提案、SFAでの商談内容の要約、ビジネスチャットでのやり取りの要約など、既存のSaaSにAI機能が追加される例が増えています。これにより、同じカテゴリのSaaSでも「AIでどこまで作業を減らせるか」が比較のポイントになりました。一方で、AIの出力をそのまま使うと誤りが混ざることもあるため、どの作業をAIに任せ、どこで人が確認するかという運用ルールを決める必要があります。

変化2|業界特化型のAI(Vertical AI)の広がり

Vertical SaaSが持つ業界固有のデータや業務知識は、AIと組み合わせると強みになります。業界の専門用語や帳票に合わせて学習・調整されたAIは、汎用的な対話型AIよりも現場の業務に合った提案をしやすいと考えられているためです。こうした業界特化型のAIはVertical AIと呼ばれることがあり、医療・法務・建設などの分野で活用が議論されています。業界特化型のSaaSを選ぶ際に、AIの活用方針や業界データの扱い方を確認する企業も出てきています。

変化3|複数のSaaSをまたいで動くAIの登場

もう1つの変化は、AIエージェントのように、複数のSaaSをまたいで作業を進める仕組みの登場です。たとえば、チャットで受けた依頼をもとにSFAの情報を調べ、請求書SaaSで書類を作るといった流れを、AIが複数のサービスを操作してつなぐ使い方が試されています。この場合、個々のSaaSの機能の多さよりも、APIなどで外部から連携できるか、権限を細かく管理できるかが重要になります。SaaSの種類を選ぶ段階から、将来のAI連携を見据えて連携のしやすさを確認しておくとよいでしょう。

こうした変化で共通するのは、ツールそのものより「社員がAIを含むSaaSを正しく使えるか」が成果を左右するようになっていることです。AIの出力を確認する力、入力してよい情報とそうでない情報を見分ける力、サービスの権限設定を理解する力は、どの種類のSaaSを使う場合にも必要になります。SaaSやAIを導入するだけでなく、社員全体のITリテラシーと情報の扱いへの理解を継続的に高める仕組みを持っておくことが、分類が変化する時代に対応する土台になります。

情報の扱いのルールを社員全体でそろえたい会社の場合の一例が、OneComplianceです。商品ページによると、OneComplianceはコンプライアンス研修に特化したeラーニングで、ハラスメント予防、個人情報保護法、情報セキュリティ、著作権(AIに関する著作権や肖像権、プライバシー権を含む)などの学習コースを提供し、法改正などに合わせてコンテンツが更新されます。コースのアサインや自動リマインダー、ダッシュボードによる受講状況の把握で、研修を運用する側の手間を抑えられる点も特徴です。注意したい点として、学習コースはコンプライアンス領域が中心のため、SaaSの操作手順そのものを学ぶ内容ではありません。また、料金体系は受講者の人数に応じて変わり、デモや無料トライアルの詳細も問い合わせで確認する必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください(2026年10月14日確認)。

株式会社Oyster

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OneCompliance(ワンコンプライアンス)
出典:onecompliance.jp

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  • 費用は人数に応じた課金体系のため、問い合わせで確認

時間や場所、デバイスを選ばずに研修を受けることができるEラーニングサービスなので、必要なコンプライアンス研修を実施することができます。

株式会社プリメディカのOneCompliance導入事例(株式会社Oysterのプレスリリース)より。出典:プリメディカがコンプライアンス研修サービス「OneCompliance」を導入(PR TIMES)

SaaS選定でよくある失敗パターン

SaaSの種類を理解していても、選び方や導入の進め方でつまずくケースは少なくありません。よくある失敗と、その改善策を整理しました。

よくある失敗(Before) 改善策(After)
業務領域だけで選び、業界特有の要件を見落とした結果、足りない部分をExcelで補う運用になった 業務領域と業界への特化度の2つの軸で候補を絞り、業界固有の帳票や計算が必要かを先に確認する
業界特化型なら自社に合うと考え、業務の流れを確認せずに契約した 自社の業務の流れを書き出し、標準機能で対応できる範囲を無料トライアルやデモで確かめる
部署ごとに別々にSaaSを契約し、同じ情報を複数のシステムに入力する手間が増えた 導入済みのSaaSを一覧にし、新しく入れるサービスとのデータ連携の範囲を確認する
導入時の説明会を1回開いただけで、一部の社員しか使いこなせない状態が続いた 操作説明に加えてITの基礎知識も学べる教材を用意し、新入社員や異動者にも同じ内容を届ける
使わなくなったSaaSの契約やアカウントが残り、費用と情報漏えいのリスクが増えた 契約中のSaaSと利用者を定期的に棚卸しし、退職者や不要になったアカウントを停止する

前半の3つは種類選びの段階の失敗、後半の2つは導入後の運用の失敗です。とくに後半は、どの種類のSaaSを選んでも起こりうる問題で、導入するサービスの数が増えるほど影響が大きくなります。情報処理推進機構(IPA)が公開しているDX推進指標は、DXの推進に向けて組織の現状と課題の認識を自己診断する枠組みで、経営者や社内の関係者が認識を共有するために使われます。SaaSの種類を選ぶ段階から、導入後に誰がどのように使い方を広めるかまで社内で共有しておくと、失敗を防ぎやすくなります。候補を比べる際の評価軸の作り方はSaaS比較の正しい方法|評価軸と比較サイトの見極め方・景表法の注意点を解説が参考になります。

3サービスの役割を比較表で見る

SaaS導入効果をどう確認するか

SaaSは月額や年額で費用がかかり続けるため、導入して終わりではなく、効果が出ているかを定期的に確認することが大切です。確認すべき指標は種類によって異なりますが、次の3つの観点で整理すると考えやすくなります。

観点 確認する指標の例 確認のしかた
利用状況 アカウントのうち実際にログインしている人の割合、主要機能の利用率 管理画面の利用ログやレポート機能で月ごとに確認する
業務の効率 対象業務にかかる時間、手作業での転記や二重入力の件数、処理のミスの件数 導入前に測った数値と、導入後の同じ時期の数値を比べる
定着度 社内からの操作に関する問い合わせの件数、紙やExcelでの運用が残っている業務の数 担当部署への聞き取りや社内アンケートで定期的に把握する

効果を正しく比べるには、導入前の状態を数値で残しておくことが欠かせません。導入前に対象業務の時間やミスの件数を測っておかないと、導入後に効果が出ているのかを判断できなくなります。

利用率が低いときは「使い方」から見直す

効果が出ていない場合、SaaSの種類の選び方が間違っていたとは限りません。多いのは、機能としては足りているのに、社員が使い方を知らない、または一部の機能しか使っていないというケースです。業種横断型のSaaSは利用者が多いため使い方にばらつきが出やすく、業界特化型のSaaSは現場の担当者の交代で使い方が引き継がれないことがあります。

このような場合は、別のサービスに乗り換える前に、社内の教育の仕組みを見直すのが近道です。操作手順を動画や教材にまとめて誰でも見られるようにする、ITの基礎知識を全社員で学べるようにする、受講状況を記録して理解度を確認する、といった取り組みで、導入済みのSaaSの活用度を高められることがあります。こうした社内教育を継続的に運用する手段として、eラーニングシステムを活用する企業もあります。

教育の成果を数字で追いたい会社の場合の一例が、SAKU-SAKU Testingです。商品ページによると、SAKU-SAKU TestingはCBTの技術を活かしたテスト機能を備えたeラーニングプラットフォームで、動画やスライドによる学習に確認テストやアンケートを組み合わせられます。受講状況や結果はリアルタイムで集計され、テストの統計情報の確認やデータ出力ができるため、先ほどの表の「利用状況」や「定着度」を教育の面から確かめる材料になります。注意したい点として、AIを使ったリモート監視機能などは有償オプションの契約が必要で、日本国外での利用はサポート対象外です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください(2026年10月14日確認)。

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出典:www.e-coms.co.jp

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よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSにはどのような種類がありますか?

A. 対象とする業界の広さで、業種を問わず使えるHorizontal SaaS(業種横断型)と、特定の業界に特化したVertical SaaS(業界特化型)の2つに大きく分けられます。Horizontalは会計や勤怠管理、ビジネスチャットのような共通業務、Verticalは建設業の施工管理や医療機関の電子カルテのような業界固有の業務が対象です。これに経理・人事・営業など業務領域ごとの軸と、SaaS・PaaS・IaaSという提供の仕組みの軸を加えた3つの軸で整理すると、候補を絞りやすくなります。

Q2. 自社にはどちらの種類が合いますか?

A. 業種を問わない業務には業種横断型、業界固有の帳票や計算が必要な業務には業界特化型が合いやすい傾向があります。1社でどちらか一方だけを使うことは少なく、業務ごとに使い分けて組み合わせるのが一般的です。組み合わせる際はデータ連携の範囲も確認してください。

Q3. 代表的なSaaSにはどのようなものがありますか?

A. 業務ごとに代表的なサービスの例があります。ビジネスチャットではSlackやChatwork、オフィスツール・グループウェアではGoogle Workspace、営業・顧客管理ではSalesforceがあります。業界特化型では、建築図面・現場管理アプリのSPIDERPLUSのように、特定の業界の業務に絞ったサービスがあります。いずれも一例で、順位や推奨ではありません。分野別の一覧は「SaaSの代表例|分野別の一覧とPaaS・IaaSの実例を解説」の記事で整理しています。

Q4. 「5大SaaS企業」「日本の三大SaaS企業」はどこですか?

A. 「5大」「三大」の顔ぶれは、売上、導入社数、時価総額などどの基準で見るかで変わり、広く認められた唯一の順位は見当たりません。そのため、この記事では特定の企業を順位づけしていません。自社に合うSaaSを探すときは、企業の知名度ではなく、解決したい業務、業界固有の要件、他サービスとの連携、サポート体制といった評価軸で比べるのが現実的です。

Q5. AIの普及でSaaSの種類はどう変わりますか?

A. 分類自体はなくなりませんが、既存のSaaSにAI機能が組み込まれる、業界特化型のAI(Vertical AI)が広がる、複数のSaaSをまたいで動くAIが登場する、といった変化が議論されています。選ぶ際には、AI機能の有無に加えて、外部との連携のしやすさや権限管理も確認するとよいでしょう。

Q6. 導入したSaaSが社内に定着しないときはどうすればよいですか?

A. まず利用状況のログで、どの部署やどの機能が使われていないかを確認します。機能が足りていても使い方が伝わっていないことが多いため、操作手順を教材にまとめる、ITの基礎知識を全社員で学べるようにするなど、社内教育の仕組みを見直すと活用度が高まることがあります。手段としては、eラーニングで教材を配信し、確認テストで理解度を確かめる方法があります。

まとめ

SaaSの種類は、業種を問わず使えるHorizontal SaaSと、特定の業界に特化したVertical SaaSの2つに大きく分けられ、業務領域別の軸と組み合わせると自社に合う候補を絞り込みやすくなります。AIの普及によって比較のポイントは変わりつつありますが、どの種類を選んでも、社員が使いこなせるかどうかが導入の成果を左右する点は変わりません。最後に、今日から取り組める4つのことを整理します。

  1. 導入したい業務を書き出し、業界の広さ・業務領域・提供の仕組みの3つの軸で、業種横断型と業界特化型のどちらが合うかを整理する。
  2. 業界特化型を検討する場合は、自社の業務の流れと標準機能を無料トライアルやデモで照らし合わせる。
  3. 導入済みのSaaSを一覧にし、新しく入れるサービスとのデータ連携やAI連携のしやすさを確認する。
  4. 使い方を全社員へ広める方法として、Smart Boarding・SAKU-SAKU Testing・OneComplianceなどのeラーニングの資料を取り寄せ、自社の教育内容に合うかを比べる。

参考文献

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