SaaSはオワコン?AI時代に言われる背景と今後の見方

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  • オワコン論はAI・市場評価・運用負荷が背景
  • SaaSは業務データと権限管理の基盤として残る
  • 今後はAI連携と業務実行基盤として見直す

「saas オワコン」という言葉は、AIの台頭、SaaS企業の市場評価の変動、従来型のサブスクリプション疲れが重なって広がった見方です。ただし、SaaSそのものが役割を終えたと見るより、画面を人が操作する道具から、AIや業務データとつながる実行基盤へ変わりつつあると捉える方が実態に近いです。本記事では、SaaSがオワコンと言われる背景、クラウド利用や業務基盤としての反論材料、今後の展望を中立的に整理します。

目次

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  1. オワコンと言われる背景|AIと市場評価で起きている変化
  2. 実際はどうなのか|クラウド利用と業務基盤から見る反論データ
  3. 今後の展望|SaaSは「画面の道具」から「業務の実行基盤」へ
  4. よくある質問(FAQ)
  5. まとめ|今日からできる3つのこと
  6. 関連記事
  7. 参考文献

オワコンと言われる背景|AIと市場評価で起きている変化

SaaSオワコン論は、ひとつの出来事だけで広がったものではありません。AIエージェントが画面操作や入力作業を肩代わりし始めたこと、複数のSaaSを契約している企業で費用や管理が重くなったこと、さらにSaaS企業の市場評価が大きく揺れたことが重なり、強い言葉として使われるようになりました。

ここで整理したいのは、「SaaSという提供形態」そのものと、「従来のSaaSの売り方・使い方」は分けて考える必要がある点です。AIが変えるのは、主に人が画面を開き、フォームに入力し、別のツールへ移す操作です。一方で、顧客情報、契約、請求、権限、監査ログなどを管理する仕組みは、事業運営の土台として残りやすい領域です。

図1:SaaSオワコン論が生まれる3つの背景AI台頭、市場評価、運用負荷の3要素がSaaSオワコン論につながる流れを示します。SaaSオワコン論が生まれる3つの背景AIAI台頭入力・検索・要約など人の操作が変わる市場評価株価や資金調達の変動が悲観的な見方を強める運用負荷契約・権限・データ分散で見直し需要が増える論点は「消滅」ではなく、SaaSの役割がどこへ移るか
図1:AI・市場評価・運用負荷が重なり、SaaSオワコン論が生まれやすくなっています。

海外VCの議論でも、SaaSやアプリ層が一律に不要になるというより、AIによって価値の位置が変わる点が論じられています。従来のUI中心のSaaSでは、人が画面に入り、入力や確認をすることが価値の一部でした。AIエージェントが操作を担う世界では、UIの優位性は弱まり、データモデル、権限、業務ロジック、コンプライアンス、実行結果の信頼性がより重要になります。

また、2022年前後の金利上昇や成長株の評価見直しを受け、SaaS企業の市場評価は大きく調整されました。この経緯を詳しく知りたい場合は、SaaSショック(2022年株価下落の経緯)で整理しています。市場評価の変化は重要なシグナルですが、利用企業にとっての業務価値と同じものではありません。

さらに、AI台頭前からSaaSの将来に疑問を投げかける議論はありました。背景を時系列で追いたい場合は、SaaSの死議論(AI台頭前の整理)をあわせて読むと、今回のオワコン論が突然出てきたものではないことが分かります。

背景何が起きているか注意して見る点
AIエージェント入力・検索・要約・転記などの操作を代替し始めている画面操作が減っても、業務データや権限管理は残る
市場評価の変動成長期待の見直しで悲観的な見方が広がった株価は市場動向の一指標として分けて見る
SaaS疲れ部門ごとの契約が増え、管理や費用が重くなる解約だけでなく統合・権限整理も選択肢になる

実際はどうなのか|クラウド利用と業務基盤から見る反論データ

SaaSオワコン論への反論として重要なのは、SaaSが単なる流行語ではなく、クラウドサービスの一形態として業務基盤に組み込まれている点です。メール、会計、CRM、勤怠、顧客対応、社内ナレッジなど、多くの業務はすでにクラウドを前提に設計されています。総務省の通信利用動向調査や情報通信白書では、企業のクラウドサービス利用が継続的に扱われており、SaaSはDXや情報通信利用の文脈で見られる領域になっています。

ここで「反論データ」として見るべきものは、市場での一時的な評価だけではありません。実務では、クラウド利用状況、業務データの集約度、セキュリティ要件、部門横断の利用状況、乗り換え時の業務影響などを合わせて確認します。経済産業省のデジタルガバナンス・コード3.0でも、企業価値向上に向けたDX経営の視点が整理されており、デジタル技術を経営と結びつけて活用する流れは続いています。

図2:SaaSを判断する4つの軸市場評価だけでなく、業務定着、データ、セキュリティ、AI連携の4軸でSaaSを判断する図です。業務定着日常業務に組み込まれているかデータ基盤記録・履歴・権限が整うかセキュリティ監査・ID管理・委託先管理AI連携操作ではなく実行結果を支えるか市場評価だけでなく、実務の利用価値を分けて確認する
図2:SaaSの見直しでは、価格や話題性だけでなく実務定着と管理基盤を確認します。

SaaSが古く見える場面の多くは、機能そのものより「同じ情報を複数の画面で扱う」「部門ごとに似たツールが増える」「権限や契約の管理が追いつかない」といった運用面にあります。この場合、必要なのは単純な解約ではなく、役割の整理です。顧客情報はCRM、請求情報は会計、契約情報は契約管理、社内ナレッジは情報共有基盤といったように、どのSaaSを記録の中心に置くかを決める必要があります。

一方で、SaaS企業の市場評価や株価は、将来の成長期待、金利、AI競争、投資家心理などの影響を受けます。導入企業が見るべきなのは、株価の上下そのものではなく、自社業務での継続性、データ移行性、セキュリティ、サポート体制、契約条件です。市場面の考え方は、SaaS銘柄の見方・評価指標で扱う領域と分けて理解すると混乱しにくくなります。

オワコン論の主張実務上の見方確認する指標
AIがSaaSを置き換える入力・検索など一部操作は変わるが、記録・権限・監査は残るAPI、権限管理、ログ、AI連携範囲
SaaS企業の評価が下がった市場評価と利用価値は分けて判断する契約継続性、サポート、データ移行性
ツールが多すぎる不要論ではなく整理・統合の課題として見る重複機能、利用部門、月額費用、管理者数

今後の展望|SaaSは「画面の道具」から「業務の実行基盤」へ

今後のSaaSを見るうえでは、「人が画面を操作するための道具」から「AIや人が業務を進めるための実行基盤」へ変わる流れを押さえると理解しやすくなります。Sequoia Capitalは、AIがサービス業務をソフトウェア化する見方を示しており、a16zも、水平的なAIツールだけではなく、業界や業務の文脈、規制、ワークフローを深く扱うアプリ層の余地を論じています。

つまり、AI時代に弱くなりやすいのは、単に既存画面の上にAIを薄く載せただけの機能です。反対に、顧客ごとの業務ルール、承認経路、監査、データ連携、例外処理まで支えるSaaSは、AIの実行結果を管理する基盤として役割を持ちやすくなります。業界特化型SaaSや、会計・医療・製造・人事などのVertical SaaSが注目されるのも、業務文脈と規制対応が価値になるためです。

図3:AI時代のSaaS見直しフロー既存SaaSを増やす・減らす前に、業務、データ、AI連携、統合可否を確認する流れを示します。AI時代のSaaS見直しフロー業務を棚卸し誰が何に使うかデータを確認記録の中心を決めるAI連携を見る自動化できる範囲統合・継続役割を再設計判断の軸増やす・減らすより、業務成果と管理可能性で見直す
図3:AI時代のSaaS見直しでは、解約か継続かの二択ではなく、役割の再設計が重要です。

導入側の個人事業主や中小企業では、まず契約中のSaaSを一覧化し、同じ用途のツールが重なっていないかを確認するとよいでしょう。中堅・大企業では、部門ごとの導入が進みやすいため、ID管理、監査ログ、データ連携、権限設計を含めて整理する視点が必要です。単に新しいAIツールを増やすのではなく、既存SaaSとAIをどう接続するかを考える方が、業務への影響を見通しやすくなります。

基礎から整理したい場合は、SaaSとは(基礎から理解する)で、クラウドサービスとしてのSaaSの仕組みや関連用語を確認できます。本記事の結論は、SaaSを流行か終わりかで二分するのではなく、「どの業務で、どのデータを、どの責任範囲で扱うか」を基準に見直すことです。

よくある質問(FAQ)

Q. SaaSは古い仕組みですか?

A. 古い仕組みと見るより、役割が変わっていると考える方が実態に近いです。画面操作や単純入力はAIで変わりやすい一方、業務データ、権限、契約、監査ログを管理する基盤としての役割は残ります。

Q. AIエージェントでSaaSは不要になりますか?

A. 一部の操作は減る可能性があります。ただし、AIが参照するデータ、実行結果の記録、承認、監査、権限管理には基盤が必要です。その基盤としてSaaSが使われる場面は多く残ると考えられます。

Q. SaaS企業の株価下落は導入判断に影響しますか?

A. 株価は市場動向を知る一指標ですが、導入判断とは分けて見る必要があります。自社にとっては、機能、契約条件、データ移行、セキュリティ、サポート、継続性の確認が中心になります。

Q. 中小企業はSaaSを新たに導入してよいですか?

A. 課題が明確で、運用できる体制があるなら選択肢になります。導入前には、既存ツールとの重複、月額費用、担当者、データ移行、解約条件を確認し、小さく始める設計が現実的です。

Q. SaaSを減らす判断軸はありますか?

A. 利用頻度、重複機能、部門横断の必要性、データの重要度、セキュリティ要件を見ます。利用頻度が低く、データ連携もなく、別ツールで代替できるものは見直し候補になります。

Q. この記事は投資判断に使えますか?

A. この記事はSaaS市場や業務利用の見方を整理するもので、投資判断を目的としていません。個別銘柄の売買や価格見通しは扱わず、導入・見直しの考え方に限定しています。

まとめ|今日からできる3つのこと

SaaSオワコン論は、AI台頭、市場評価の変動、SaaS運用の複雑化が重なって広がった見方です。ただし、実務ではSaaSが業務データや権限管理を担う場面が多く、単純に不要になったとは言えません。これからは、SaaSを増やすか減らすかではなく、業務成果と管理可能性を基準に整理することが重要です。

  1. 契約中のSaaSを一覧化し、用途と利用部門を整理する
  2. AIで置き換わる操作と、記録・承認・監査として残る機能を分ける
  3. 新規導入や解約の前に、データ移行・権限・セキュリティを確認する

関連記事

参考文献

  • 総務省「通信利用動向調査」2024年、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html、取得日:2026年6月6日
  • 総務省「情報通信白書 令和7年版」2025年、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/、取得日:2026年6月6日
  • 経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」2024年、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html、取得日:2026年6月6日
  • Andreessen Horowitz「Anish Acharya: Is SaaS Dead in a World of AI?」2026年、https://a16z.com/podcast/anish-acharya-is-saas-dead-in-a-world-of-ai/、取得日:2026年6月6日
  • Andreessen Horowitz「Is Software Losing Its Head?」2026年、https://a16z.com/is-software-losing-its-head/、取得日:2026年6月6日
  • Andreessen Horowitz「Avoiding Death on the Yellow Brick Road」2026年、https://a16z.com/avoiding-death-on-the-yellow-brick-road/、取得日:2026年6月6日
  • Sequoia Capital「Services: The New Software」2026年、https://sequoiacap.com/article/services-the-new-software/、取得日:2026年6月6日

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