不動産SaaSとは?PropTechの全体像と宅建業法の電子化対応を解説
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- 不動産SaaSの3つのタイプと業務範囲がわかる
- 宅建業法で電子交付できる書面と手順がわかる
- ITリテラシー格差など導入の壁と失敗の防ぎ方がわかる
不動産SaaSとは、物件情報の管理、反響対応、内見、契約、入居後の管理といった不動産会社の業務を、インターネット経由のクラウドサービスとして利用できるようにしたものです。不動産に特化しているため、宅建業法に沿った書面の扱いなど、汎用のツールでは対応しにくい業界固有の業務まで支援の対象になります。この記事では、PropTech(不動産テック)との関係、仲介型・管理型・オールインワン型というタイプの違い、2022年5月から可能になった重要事項説明書などの電子交付のルール、不動産テック協会のカオスマップに見る業界動向、導入でつまずきやすいITリテラシーの格差とよくある失敗パターンを、不動産会社の経営者やDX担当者の方向けに解説します。
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重要事項説明書は電子で渡せる?不動産SaaSと書面の電子化|2022年の宅建業法改正
重要事項説明書や契約書は、2022年5月18日に施行された改正宅地建物取引業法により、相手方の承諾を得たうえで電子データで交付できるようになりました。不動産SaaSがカバーする業務の中で、この改正の影響をもっとも直接に受けるのが契約業務です。紙の書面を作成して郵送し、押印済みの書類を回収するという流れを、オンラインで完結できる環境が法律上整ったことになります。
ただし、電子データであれば何でもよいわけではありません。国土交通省のハンディガイドでは、電子書面に「改変されていないかどうかを確認することができる措置」(改変防止措置)を施すことが求められ、その例として電子署名とタイムスタンプが挙げられています。
選ぶときは、売買か賃貸か、既存の管理システムとの連携、紙の契約書が残るかによって、合うサービスが変わります。下の表は、役割の違いが分かりやすい5つの電子契約・契約書管理サービスを、資料請求ができる形で並べたものです。順位や優劣はつけていません。
書面の電子交付と契約書管理に使える5サービスの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:freeeサイン。契約相手がアカウント登録なしで署名でき、契約相手向けの電話サポートもあります
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Contract One。紙・PDF・電子の契約書をデータ化し、全文検索や期限アラートで管理できます
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:電子印鑑GMOサイン。立会人型と当事者型の署名方式に対応し、ワークフローや権限管理も備えています
資料を無料ダウンロード| サービス | Contract One |
SMBCクラウドサイン |
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|---|---|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 契約の重要度に応じて、署名の方式を使い分けたい会社 | ITに不慣れな社員や取引先が多い会社 | 紙と電子の契約書が混在し、一か所で管理したい会社 | 過去の紙・PDFの契約書も含め、検索と更新期限の管理を整えたい会社 | 法務面とセキュリティを重視し、契約書の管理も整えたい会社 |
| 特徴 | 立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の署名に対応。ワークフロー、権限管理、電子帳簿保存法に対応した文書管理、スマートフォンアプリも備える | 30種類以上の契約書フォーマットから作成できる。立会人型で、契約相手はアカウント登録なしで署名でき、契約相手向けの電話サポートもある | 作成、申請・承認、締結、保存、管理までをクラウドで完結。他社の電子契約サービスで締結した契約書も取り込める。ワークフローは標準機能 | 紙・PDF・電子の契約書を、AI-OCRと専門スタッフの確認で主要項目まで約99%の精度でデータ化(提供元の公表値)。全文検索と期限アラートに対応 | 日本の法律に特化した弁護士監修の電子契約サービス。AI契約書管理、紙で締結した書類のインポート機能(Corporateプラン以上)がある |
| 注意したい点 | 機能が豊富なぶん、画面操作に慣れるまで時間がかかる場合がある | 機能が多く、慣れるまで時間がかかる部分があるという声がある。サポート窓口の対象はプランによって異なる | 署名は立会人型。厳密な本人性の確認が必要な契約では、要件を確認したい | 契約書のデータ化と管理が中心。連携できる電子契約サービスが限られる | 契約締結前の相手方の本人確認・権限確認は自社で行う必要がある |
| 資料・詳細 |
5サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
表の内容は、各サービスの商品ページで確認できる情報に基づきます(2026年10月14日確認)。宅建業法の書面をそのまま電子で交付できるかどうかは、プランや運用によって異なるため、資料や提供会社に確認してください。
書面を電子で交付する場合の一例が、電子印鑑GMOサインです。メールで本人確認を行う立会人型の「契約印タイプ」と、電子証明書を用いる当事者型の「実印タイプ」の両方に対応しており、契約の重要度に応じて署名の方式を使い分けられます。ワークフローや権限管理、電子帳簿保存法に対応した文書管理、スマートフォンアプリからの署名も備わっています。一方で、機能が豊富なぶん画面操作に慣れるまで時間がかかる場合があるため、無料のお試しフリープランや導入支援を確認しておくと安心です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
オプションが豊富で自社にあった機能を選びたい方におすすめ

実際に使用してみたレビューはこちら

【レビュー】『GMOサイン』を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、GMOサインの利用経験ゼロの筆者が、ゼロからGMOサインの無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
おすすめ!
- スタンダードプランでも機能が充実しており、提供機能を無駄なく活用できる
- 立会人型電子署名は1件あたり100円で送信でき、他社と比較してほぼ半額で利用できる
気になる…
- 機能やオプションが豊富でマルチに使えるが、全て必要な場合はオプション料金が高額になってしまう
-
契約書の送付にかかる送信料が1件あたり110円と、他社と比較しても料金が安かったので、以前活用していたサービスと比較したときに料金を下げることができたと同時にワークフロー機能や権限管理機能がどのプランでも使えるので、内部統制を強化という目的も果たすことができました。
-
契約などの書類関係のアポが減り、移動時間が削減した。
-
このサービスを利用することにより契約書の管理そのものを本サービスに任せることが出来るので管理コストが削減できること、電子契約のため印紙代が不要となること、メールで全てが完了するために当社だけでなく相手方にも負担をかけない点がメリットです。
「紙ベースの契約から電子契約への切り替えにより、事務作業が大幅に削減されました。以前は、書類が戻ってくるたびに印鑑を押して再送する必要がありましたが、その手間が今では全くありません。」
出典:株式会社日本財託管理サービス(不動産管理業)、電子印鑑GMOサイン導入事例
電子化できる書面と、交付の条件
電子交付を始める前に、対象となる書面と、実務で押さえておきたい条件を確認しておきましょう。国土交通省の資料をもとに整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電子化できる書面 | 媒介契約書(第34条の2)、レインズ(指定流通機構)の登録証、重要事項説明書(第35条)、売買契約書・賃貸借契約書(第37条)の4種 |
| 相手方の承諾 | 電子で交付するには、あらかじめ相手方の承諾が必要。紙のほか、電子メールやWeb上での承諾など、書面に出力できる形式で取得できる。法定の様式はなく、署名・押印も必須ではない。承諾後に紙での交付を希望された場合は、紙で対応できる状態にしておく |
| 改変防止措置 | 電子署名やタイムスタンプなど、改変されていないかを確認できる措置が必要。スマートフォンでは確認できない仕様のこともあり、その場合はパソコンの利用を案内する |
| 交付のタイミング | 重要事項説明書は、重要事項説明の前に交付する。媒介契約書と契約書は契約の締結・成立後に遅滞なく、レインズの登録証は登録後に遅滞なく交付する |
| 押印 | 宅建業法上は不要 |
| IT重説との関係 | 書面の電子化とIT重説(オンラインでの重要事項説明)は別の制度。電子書面で対面説明をすることも、紙の書面でIT重説をすることもできる |
| 紙で交付する書面 | クーリング・オフができる旨などを記載した書面は、紙での交付が必要 |
ここまでは国土交通省の資料をもとにした一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の取引で電子交付できるかどうかは、国土交通省の相談窓口や所属する業界団体、専門家に確認してください。
書面を電子で交付するまでの手順
電子交付の準備は、大きく4つの段階に分けられます。
- 自社の環境を整える:改変防止措置を施せる電子契約システムなどを選び、売買か賃貸か、承諾の取り方、スマートフォンだけで受け取る相手への対応といった運用ルールを決めます。
- 相手方に案内し、承諾を得る:電子書面のメリットと留意点、対象となる書面の種類、交付の方法(電子メール、ダウンロード、CD-ROMなど)、承諾後も紙を選べること、改変の有無を確認してもらう必要があることを説明し、記録に残る形で承諾を得ます。
- 書面を作成し、改変防止措置を施す:電子署名やタイムスタンプを付けます。電子書面は紙よりも理解しづらいことがあるため、資料番号やページを付ける、重要な箇所にマーカーを引くといった工夫も有効です。
- 交付して、確認してもらう:事前に確認した方法で交付します。電子メールの場合は相手方のメールボックスに届いた時点、ダウンロード方式の場合は相手方のダウンロードが完了した時点で交付とされます。改変の有無の確認方法と、文字化けがないかを、相手方に確認してもらいます。
このうち、手作業だと漏れやすい箇所を、自社の運用に当てはめて確かめられるチェックを用意しました。
書面の電子交付、今の運用で足りていますか?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
不動産SaaS・PropTechとは
不動産SaaSとは、物件情報の管理や反響対応、契約、入居後の管理といった不動産業務を、インターネット経由で利用できるクラウドサービスのことです。会計や勤怠のように業種を問わず使うSaaSを「ホリゾンタルSaaS」と呼ぶのに対し、不動産のように特定業界の業務に特化したものは「バーティカルSaaS」と呼ばれます。不動産業でも、グループウェアや会計のような業種共通の業務はホリゾンタルSaaSで足り、宅建業法に基づく書面や物件ごとに異なる情報、ポータルサイトへの掲載など、汎用ツールでは対応しきれない業務をバーティカルSaaSが受け持つ、という役割分担で考えると整理しやすくなります。
PropTech(不動産テック)との違い
PropTechは、不動産(Property)と技術(Technology)を組み合わせた言葉で、不動産に関わる技術やサービス全体を指す広い呼び名です。不動産会社の業務を支援するSaaSのほか、VR・ARによる内見、IoT、不動産データベース、マッチング、スペースシェアリング、不動産クラウドファンディングなどが含まれます。不動産SaaSは、その中でも「不動産会社の業務を支援する、クラウドで提供されるサービス」にあたると整理できます。
不動産SaaSがカバーする業務範囲
不動産SaaSがカバーする主な業務範囲は次のとおりです。
| 業務の段階 | SaaSで効率化できる主な作業 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 物件情報 | 物件データの一元管理、複数のポータルサイトへの一括掲載、空室状況の更新 | 二重入力の削減、掲載情報の鮮度維持 |
| 反響・追客 | 問い合わせの自動取り込み、自動返信、顧客ごとの対応履歴の管理 | 初回対応の迅速化、追客漏れの防止 |
| 内見 | 内見予約の受付、スマートロックによる鍵の受け渡し、オンライン内見 | 鍵の受け渡しや立ち会いの負担軽減 |
| 申込・契約 | Web入居申込、IT重説、重要事項説明書や契約書の電子交付 | 郵送や来店の削減、契約までの期間短縮 |
| 入居後管理 | 入居者とのやり取り、家賃の入金管理、更新や解約の手続き、オーナーへの報告 | 管理業務の標準化、オーナー満足度の向上 |
| 経理・会計 | 家賃の入出金データと会計ソフトの連携、請求や督促の自動化 | 転記ミスや確認作業の削減 |
3つのタイプ|仲介業務特化型・管理業務特化型・オールインワン型
不動産SaaSは、大きく「仲介業務特化型」「管理業務特化型」「仲介と管理の両方の機能を持つオールインワン型」の3タイプに分けて考えると、サービスを探しやすくなります(分類はASPIC(アスピック)の不動産業務支援サービスの整理を参考にしました)。
| タイプ | 主な機能 | 向いている会社 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 仲介業務特化型 | 反響の取り込み、顧客管理(CRM)、追客の自動化、ポータルサイトとの連動 | 賃貸や売買の仲介が主力で、反響対応の取りこぼしを減らしたい会社 | 管理業務の機能が別のシステムになる場合がある |
| 管理業務特化型 | 入金管理、契約書の作成、修繕やクレームの履歴管理など、賃貸管理の実務 | 管理戸数が多く、入金や更新、オーナーへの報告の負担が大きい会社 | 仲介側の反響管理は別のサービスが必要になる場合がある |
| オールインワン型 | 仲介から管理、会計まで、社内の業務を一つにまとめて管理 | 複数の業務を同じデータでつなぎたい会社 | 使わない機能まで含まれて割高になる場合や、導入時のデータ移行の負担がある |
どのタイプを選んでも、契約書面の電子交付は共通の課題になります。すべての業務を一度にクラウド化する必要はなく、手作業の負担が大きい段階から導入するのが一般的です。
従来型のシステムとの違い
自社のサーバーにソフトウェアを入れて使う従来型(オンプレミス型・買い切り型)の業務システムと比べると、SaaSには次のような違いがあります。SaaSの仕組みそのものをもう少し詳しく知りたい場合は、SaaS・PaaS・IaaSの違いの解説も参考になります。
| 比較の観点 | 不動産SaaS(クラウド型) | 従来型(オンプレミス型・買い切り型) |
|---|---|---|
| 費用のかかり方 | 月額などの利用料が中心で、初期費用を抑えて始めやすい | 導入時にまとまった費用がかかり、サーバーの維持費も発生する |
| 法改正・機能の更新 | 提供会社が自動でアップデートするため、書式変更などに追随しやすい | 改修や入れ替えを自社で手配する必要がある |
| 利用場所 | インターネットがあれば店舗、外出先、自宅から同じ情報にアクセスできる | 社内ネットワークの中での利用が中心になりやすい |
| 注意したい点 | 利用料が継続して発生する。独自の業務に合わせた作り込みには限界がある | 自社の業務に合わせて作り込みやすい反面、保守の負担が大きい |
契約書の保管・管理も不動産SaaSの対象
不動産会社では、賃貸借契約書、管理委託契約書、媒介契約書、業務委託契約書など、契約書の種類と件数が多く、紙・PDF・電子が混在しがちです。更新期限や自動更新の有無を、契約書を1件ずつ開いて確認していると、確認の手間が増えるだけでなく、更新漏れにもつながります。こうした場面では、契約書をデータ化して検索や期限管理に使えるサービスが選択肢になります。
その一例がContract Oneです。紙・PDF・電子契約の契約書を、AI-OCRと専門スタッフの確認で主要項目まで約99%の精度でデータ化できると提供元が公表しており、全文検索や、契約期限が近づいた際のアラート通知に対応しています。紙の契約書はスキャン作業を代行してもらえるため、過去の契約書が多い会社でも取り込みやすくなっています。一方で、連携できる電子契約サービスが限られるため、すでに別の電子契約サービスを使っている場合は、連携できるかどうかを先に確認してください。料金は企業ごとに設定されるため、資料や公式サイトで確認してください。

おすすめ!
- あらゆる契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- Contract One内で生成AIを活用することで、法務部門に限らず全社での契約データの活用を促し、さまざまな部門の課題を解決
- 法改正への対応をサポート
気になる…
- 導入時、業務フローの見直しが必要な場合も
5サービスの役割を比較表で見る「同社は、Contract Oneの導入により、ワークスタイリング事業の契約書約2000件をデータ化しました。」「契約更新期限が近づくと営業担当者へ自動通知が届きます。」
出典:三井不動産株式会社(Sansan株式会社のニュースリリース、2026年8月10日)、三井不動産が契約AXサービス「Contract One」を導入
不動産テック協会「カオスマップ」から見る業界動向
一般社団法人不動産テック協会が毎年公開している「不動産テックカオスマップ」の第12版(2026年8月公開)には、592のサービスが掲載されています。カオスマップは、業界のテクノロジー系サービスを分野別に整理した図で、どの領域にどんなサービスがあるかを俯瞰するのに役立ちます。
近年の版を並べると、掲載サービス数は着実に増えています。
| 版 | 公開時期 | 掲載サービス数 | 前の版からの増減 |
|---|---|---|---|
| 第9版 | 2023年8月 | 463 | – |
| 第10版 | 2024年8月 | 499 | 36増 |
| 第11版 | 2025年8月 | 528 | 29増 |
| 第12版 | 2026年8月 | 592 | 64増 |
第12版の公表資料(PR TIMES)では、次のような動向が挙げられています。
- 生成AIの業務利用:試験的な利用から業務利用の段階に入り、画像編集、書類作成、顧客対応などで、AIが人の作業を支援するサービスが増えています。
- 不動産データの整備:価格や賃料の情報に加え、AIやデータ分析に使える不動産データを整備して提供するサービスが増えています。
- 業務効率化:管理、契約、顧客対応など、不動産会社の日常業務を支援するサービスが増えています。背景には人手不足や業務負担の増加があるとされています。
- 機能の一元化:個別に提供されていた機能を一つのサービスにまとめ、複数の業務を一元管理する動きが進んでいます。
- 淘汰と再編:新規サービスの増加と並行して、撤退や統合も進んでいます。導入時には、提供会社の継続性や、データを取り出せるかを確認しておくことが大切です。
カオスマップはあくまで業界の地図であり、掲載の有無がサービスの良し悪しを示すものではありません。自社の課題がどの領域にあるかを確かめ、候補を絞り込むための入り口として使うのがおすすめです。
不動産SaaS導入の課題|ITリテラシー格差
不動産SaaSの導入でつまずきやすい最大の要因は、機能の不足ではなく、社内や取引相手のITリテラシーの差です。不動産業界は、長年の経験を持つベテランが営業や管理の中心を担っている会社も多く、紙や電話、FAXを前提にした業務の進め方が定着しています。
ITリテラシーの格差は、社内だけの問題ではありません。オーナーや入居者、取引先の管理会社など、社外の関係者にも操作を求める場面があるのが不動産業の特徴です。
| 格差が生じる相手 | 起こりやすい問題 | 対策の例 |
|---|---|---|
| 社内のベテラン社員 | 新しいツールを使わず、紙やExcelでの管理が並行して残る | 操作が簡単なサービスを選び、社内で教える担当者を決める |
| オーナー | オンラインでの報告や電子契約に抵抗があり、紙での対応を求められる | 紙での対応も選べるようにし、希望者から段階的に切り替える |
| 入居者・購入者 | 電子書面の開き方が分からない、IT重説の通信環境が整っていない | 事前に接続テストや手順の案内を行い、承諾の意思を確認する |
特に重要事項説明書の電子交付は、相手方の承諾が前提です。国土交通省のハンディガイドでも、承諾後であっても紙での交付を希望された場合は紙で対応できるようにしておくこと、電子書面を受け取る端末がスマートフォンだと改変の有無を確認できない場合があり、パソコンの利用を案内する場合があることが示されています。電子化を望まない相手には紙で対応できる体制を残しておくことが、トラブルの予防になります。
ITに不慣れな社員や取引先が多い場合は、操作の分かりやすさと、契約相手へのサポートが選ぶときの軸になります。その一例がfreeeサインです。30種類以上の契約書フォーマットから選んで作成でき、立会人型の電子署名を採用しているため、契約相手はfreeeサインに登録しなくても、届いたメールに従って署名と合意まで進められます。契約相手が利用できる電話サポートも用意されています。一方で、機能が多く慣れるまで時間がかかる部分があるという声もあり、サポート窓口の対象はプランによって異なります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
freeeサイン株式会社
freeeサイン
freeeサイン株式会社
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弁護士監修の信頼感!freee既存ユーザーにおすすめ

実際に使用してみたレビューはこちら

【徹底レビュー】電子契約システム『freeeサイン』を実際に使ってみた!スムーズな契約フローを体験レポート【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、freeeサイン利用経験ゼロの筆者が、無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
おすすめ!
- リモートでも承認できるワークフローを搭載
- 従量課金制ではないため、送信件数が増えても料金が変わらない
- 契約相手も「電話サポート」が利用できる
気になる…
- シンプルで見やすい画面ではあるが、簡素化されすぎてしまい場所が分かりにくい機能もある
-
ペーパーレスで必要な印刷・郵送・署名を契約~保管まで一元管理できるのは最大のメリットだと思います。 書類に関わる事項のコスト削減もできるので、適切な管理できます。 オンラインで全ての契約をスムーズに締結したい!場所にとらわれたくない消え薬の締結が出来る事はメリットだと思います。
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採用時、契約時の手続きがとても簡単で時短であることがメリットかと思います。そしてなにより使いやすい。紙を持って行って契約していると時間と手間がかかりますが、これはその手間を省けることが良いと思います。
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契約締結までの時間と効率が紙媒体を利用してた時よりも早くすぐに締結したい時に時間効率よく出来るのが良かったです。そして、このサービスは送信前にAIが契約チェックをしてくれるのが他にないサービスで感動しました。 他にない機能が多く多彩に感じました。
「freeeサインで契約締結の90%を電子化することに成功」
出典:弘栄設備工業株式会社(注文書・注文請書)、freeeサイン導入事例
導入後のサポートを重視する場合は、問い合わせの手段や導入支援の有無も比べておきましょう。電子印鑑GMOサインでは、電話・メール・チャットの問い合わせ窓口に加え、導入から定着までの到達点に合わせて選べる導入支援プランが用意されています。
5サービスの役割を比較表で見る不動産SaaS導入でよくある失敗パターン
不動産SaaSの導入でよくある失敗は、目的を決めずに多機能なサービスを選ぶことと、法律上の手続きを後回しにすることです。代表的な失敗と改善策を整理します。
よくある失敗と改善策
| 失敗パターン | よくある失敗(Before) | 改善後(After) |
|---|---|---|
| 目的があいまい | 業界で話題のオールインワン型を導入したが、使う機能は一部だけで費用が割高になる | 反響対応、契約、管理のうち負担が大きい業務を一つ決めて小さく始める |
| 電子化の承諾漏れ | 相手方の承諾を記録せずに重要事項説明書をメールで送ってしまう | 承諾の取得と記録が手順に組み込まれた電子契約システムを使う |
| 既存システムとの非連携 | 物件管理と契約で別々のツールを使い、同じ情報を何度も入力する | 導入前に、既存の管理システムや会計ソフトと連携できるかを確認する |
| 現場への定着不足 | 導入しただけで説明会もなく、紙の運用に戻ってしまう | 無料トライアルで現場の担当者に試してもらい、運用ルールを文書にする |
| データの囲い込み | サービス停止や乗り換えの際に、契約データや顧客データを取り出せない | データの出力形式や、解約時の取り扱いを契約前に確認する |
特に「既存システムとの非連携」と「データの囲い込み」は、紙と電子の契約書が混在している会社で起きやすい失敗です。契約書を一か所で管理できるかどうかが、選ぶときの軸になります。その一例がマネーフォワード クラウド契約です。契約書の作成、申請・承認、締結、保存、管理までをクラウド上で完結でき、紙の契約書も一元管理できます。他社の電子契約サービスで締結した契約書を、締結後に取り込める機能(特許取得)も備わっており、ワークフロー機能は標準機能として使えます。一方で、署名の方式は立会人型のため、厳密な本人性の確認が必要な契約では、要件に合うかを事前に確認しておきましょう。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社マネーフォワード
マネーフォワード クラウド契約
株式会社マネーフォワード
マネーフォワード クラウド契約
電子契約書の送付料が従量課金制でないサービスをお探しの方

実際に使ってみたレビューはこちら

【正直レビュー】『マネーフォワードクラウド契約』のメリットや機能は?実際に導入してわかったリアルな感想【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、電子契約システム利用経験ゼロの筆者が、マネーフォワードクラウド契約の無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
おすすめ!
- 契約書の作成、申請・承認、締結、保存、管理までマネーフォワード クラウド契約ひとつで完結
- 契約書送信料・契約書保管料は0円だから契約書が増えても追加課金なし!
気になる…
- ハンコの印影にもう少し工夫ができると良い
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過去の給与明細がしっかり確認できます。開けば通勤手当などよくある手当だけでなく、様々な項目を自由に記載できるようでより企業それぞれに対応していると思われます。見る側も分かりやすいです。
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契約書を印刷して捺印してスキャンしてメールに添付して送付…という一連の手間を大幅削減できたこと。
-
過去の給与明細がしっかり確認できます。開けば通勤手当などよくある手当だけでなく、様々な項目を自由に記載できるようでより企業それぞれに対応していると思われます。 見る側も分かりやすいです。
「ペーパーレス化を実現。収入印紙税も不要になり大幅なコスト削減に繋がった」「郵送する必要性がなくなり、複数の関係者間の契約締結スピードが早くなった」
出典:株式会社第一住建ホールディングス(建設・不動産)、マネーフォワード クラウド契約導入事例
サービスを比較するときに確認したい4点
PropTechや不動産SaaSを導入する前に何を比べるべきかは、次の4点に整理できます。メリットや選び方をさらに詳しく知りたい場合は、不動産業がSaaSを導入するメリットと選び方の解説も参考にしてください。
- 業務への適合性:賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理など、自社の主力業務と業務フローに合った機能がそろっているか。書面を電子で交付する場合は、改変防止措置に対応しているかも確かめます。
- 使いやすさ:画面が見やすく、ITに不慣れな社員でも迷わず操作できるか。無料トライアルやデモで現場の担当者が確認する。
- 連携性:不動産ポータルサイト、既存の管理システム、会計ソフトなど、日常的に使うシステムとデータを連携できるか。
- セキュリティとサポート:顧客の個人情報を預けるため、提供会社のセキュリティ対策や、導入時の研修、問い合わせ対応の体制が整っているか。
Contract One
契約書が紙・PDF・電子に分かれ、更新期限の確認に時間がかかっていませんか?
こんな会社に向いています
紙の契約書も含めて、契約書を一か所で検索できるようにしたい会社
契約期限の確認を、手作業の管理表から切り替えたい会社
何から手をつけるか迷うときは
何から手をつけるか迷う場合は、法律上の要件がはっきりしていて効果も見えやすい、重要事項説明書や契約書の電子化から始めるのも一つの方法です。郵送や押印のやり取りが減るため、ITに不慣れな社員でも効果を実感しやすく、ほかの業務をクラウド化する足がかりになります。
電子化する書面が増えるほど、契約前の本人確認や権限確認、法務やセキュリティの確認が重要になります。その一例がSMBCクラウドサインです。日本の法律に特化した弁護士監修の電子契約サービスで、メガバンクのセキュリティ基準で定期的にモニタリングされていると、商品ページに記載されています。締結した契約書の情報をAIが自動で抽出して管理する「AI契約書管理」や、紙で締結した書類を取り込める書類インポート機能(Corporateプラン以上)も備わっています。一方で、契約締結前の相手方の本人確認や権限確認は自社で行う必要があります。無料のFreeプランは機能や操作性の確認向けとされているため、本格的に運用する場合は有償プランの検討が前提になります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

おすすめ!
- AI契約書管理機能搭載
- メガバンクの厳格なセキュリティ基準が採用されている
気になる…
- フォルダ管理の自由度が低い
「インポート時には後で検索しやすくなるように、取引先名称、契約日・期限、自動更新の有無を書類情報として登録しました。手間はかかりましたが、その甲斐あって過去の契約書も簡単に検索できるようになったので、やってよかったなと思います。」
出典:株式会社ピーエイ(人材・地域創生事業)、SMBCクラウドサイン導入事例
よくある質問(FAQ)
Q1. 不動産SaaSとは何ですか?
A. 物件情報の管理、反響対応、内見、契約、入居後の管理といった不動産業務を、インターネット経由で利用できるクラウドサービスです。不動産業界の業務に特化したバーティカルSaaSの一つで、PropTech(不動産テック)の中心的な分野です。
Q2. 重要事項説明書は電子データで渡してもよいのですか?
A. 2022年5月18日に施行された改正宅建業法により、相手方の承諾を得れば、重要事項説明書や契約締結時の書面を電子データで交付できます。電子書面には、電子署名やタイムスタンプなど、改変されていないかを確認できる措置が必要です。重要事項説明書は、重要事項説明の前に交付します。
Q3. 書面の電子化とIT重説は同じものですか?
A. 別の制度です。IT重説はオンラインで重要事項説明を行うことで、書面の電子化は書面を電子データで交付することです。電子書面を使って対面で説明することも、紙の書面を使ってIT重説を行うこともできます。
Q4. PropTechや不動産SaaSを導入する前に、不動産会社は何を比較すべきですか?
A. 自社の主力業務に合った機能があるか、現場の担当者が迷わず使えるか、既存の管理システムや会計ソフト、ポータルサイトと連携できるか、セキュリティと導入時のサポートが十分か、の4点です。無料トライアルやデモで現場に試してもらい、書面を電子で交付する場合は改変防止措置に対応しているかも確認します。
Q5. 不動産SaaSのランキングはありますか?
A. この記事では順位づけをしていません。賃貸か売買か、仲介か管理か、既存システムとの連携が必要かによって、適したサービスは変わるためです。まず仲介型、管理型、オールインワン型のうち自社の主力業務に合うタイプを絞り、複数のサービスの資料を取り寄せて比べるのが確実です。
Q6. ITが苦手な社員が多くても不動産SaaSを導入できますか?
A. 導入できます。操作が簡単なサービスを選び、負担の大きい業務から小さく始めることがポイントです。社内で教える担当者を決め、無料トライアルで現場に試してもらうと定着しやすくなります。取引先には、紙で対応できる選択肢を残しておくと安心です。
まとめ|不動産SaaSの導入前に確認したい5つのこと
不動産SaaSは、宅建業法の改正によって契約業務までオンラインで完結できるようになり、活用の幅が大きく広がっています。最後に、この記事のポイントを整理します。
- 不動産SaaSは、物件情報、反響、内見、契約、入居後管理までを支援する不動産業界特化のバーティカルSaaSで、仲介型・管理型・オールインワン型のうち自社の主力業務に合うタイプから探す。
- 2022年5月18日の改正宅建業法施行により、相手方の承諾を得れば、媒介契約書、重要事項説明書、契約書などを電子で交付できる。改変防止措置を施し、重要事項説明書は説明の前に交付する。
- 不動産テックカオスマップ第12版には592サービスが掲載され、生成AIの業務利用や機能の一元化が進んでいる。掲載の有無はサービスの良し悪しを示さず、淘汰や再編もあるため、提供会社の継続性を確認する。
- 導入の壁はITリテラシーの格差。社内外の関係者に配慮し、紙での対応も残しながら段階的に切り替え、目的を絞って小さく始める。
- 契約書面の電子化から始めるなら、改変防止措置への対応、売買・賃貸への対応、既存システムとの連携を基準に、電子契約サービスや契約書管理サービスの資料を取り寄せて比較する。
参考文献
- 国土交通省「ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」
- 国土交通省「書面電子化・IT重説マニュアル ハンディガイド(令和6年12月)」
- 国土交通省「IT重説本格運用(令和3年度から)」
- 一般社団法人不動産テック協会「不動産テックカオスマップ第12版を公開」
- 一般社団法人不動産テック協会「【最新版】不動産テックカオスマップ第11版公開!」(PR TIMES)
- 一般社団法人不動産テック協会「【最新版】不動産テックカオスマップ第10版公開!499サービス掲載」(PR TIMES)
- 一般社団法人不動産テック協会「不動産テックカオスマップ第9版公開」
- ASPIC「不動産業務支援サービス」


