SaaSおすすめの選び方|導入前チェックリスト10項目
Check!
- SaaSのおすすめを探す入口の使い分けがわかる
- 5つの判断基準とチェックリスト10項目で選べる
- 後回しの採用の見極めと導入後の効果の確かめ方がわかる
「SaaSのおすすめ」と検索すると、分野別の代表例、比較サイト、SaaS企業のランキングなどが並びます。ただ、どれほど評判のよいSaaSでも、自社の業務・人数・既存システムに合わなければ、導入後に「使われない」「結局Excelに戻った」という結果になりがちです。SaaSのおすすめは、サービス名の一覧ではなく、自社の課題と条件から決まります。この記事では、おすすめを探す入口の使い分け、5つの判断基準、システム導入前に使えるチェックリスト10項目を、社内準備・候補比較・契約前の3段階で解説します。あわせて、検討が後回しになりやすい採用の見極めを例に、適性検査SaaSの選び方と、導入後の効果の確かめ方も整理します。
SaaS選びの進め方と、後回しになりやすい採用の見極めを診断
Q1. SaaS選びで、いまの自社に一番近い段階はどれですか?
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SaaSのおすすめは業務の課題から探す|後回しにされやすい採用の見極めを例に
SaaSのおすすめは、サービス名ではなく業務の課題から決めます。会計や勤怠より検討が遅れがちな採用の見極めを例に、適性検査SaaSを2つ並べます。
全社員が毎日使う会計・勤怠・チャットから導入が進む一方、採用の面接や選考は、担当者と面接官の経験や印象に頼ったまま残りがちです。面接官ごとに評価がばらつく、社風に合うかが感覚で語られるといった課題には、Web受検型の適性検査SaaSが使われます。同じ適性検査でも、判断の物差しをどう作るかが2つで異なります。
採用の見極めを仕組みにする適性検査SaaSの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:ミキワメAI 適性検査は、社員の受検結果から採用基準を作り、面接官の目線をそろえる軸にできます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:テキカクは、現在の組織に加え、目指す組織との相性も確認できます。
資料を無料ダウンロード| サービス | ミキワメAI 適性検査 |
|
|---|---|---|
| 向いている会社 | 自社の社員の受検結果から採用基準を作り、面接官の目線を合わせたい会社 | 現在の組織だけでなく、目指す組織との相性も見て採用したい会社 |
| 特徴 | 候補者が自社で活躍する可能性を14段階で表示。社内受検は受検し放題 | ハイパフォーマーとの類似度や適性部署も確認でき、社員向けの無料プランがある |
| 注意したい点 | 受検から分析までシステム上で行うため、紙や会場での受検は不可 | 候補者への利用は有料プランで要見積もり。合否を自動判定するものではない |
| 資料・詳細 |
2サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。商品ページの公開情報(2026年10月15日確認)をもとにしています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
面接官ごとに判断がばらつく場合の一例が、株式会社リーディングマークが提供するミキワメAI 適性検査です。分析したい社員が受検すると、システムが性格傾向から自社独自の採用基準を作り、候補者が自社で活躍する可能性を「S」から「E」の14段階で示します。結果を面接官の共通の資料にでき、配属やオンボーディングにも使えます。一方、受検から分析までシステム上で完結するため、紙や会場での受検には対応しません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社リーディングマーク
ミキワメAI 適性検査
株式会社リーディングマーク
ミキワメAI 適性検査
採用時だけでなく従業員に◎部署単位で社風を分析したい企業におすすめ
おすすめ!
- 14段階で自社とのマッチ度を提示するため、一目で判断しやすい
- カスタマーサクセスチームが丁寧にサポートしてくれるため安心
- 自動で社員や組織の分析し、見える化してくれる
気になる…
- 紙ベースでの受験ができない
データと主観を切り分け、双方から判断するようになり、根拠を持った採用が出来るようになった
株式会社フレッシュハウスの導入事例(ミキワメAI公式サイト)
社風との相性や、これから目指す組織に合うかも見たい場合の一例が、株式会社ラフールが提供するテキカクです。候補者の価値観や性格特性を、現在の社員・組織とのマッチ度に加え、企業が目指す理想の組織への貢献度としても確認でき、社内のハイパフォーマーとの類似度や適性部署も見られます。社員向けには期間・人数の制限がない無料プランがあるため、まず自社社員の傾向を確かめてから採用への利用を検討する進め方もとれます。一方、候補者への利用は有料プランで要見積もりとなり、合否を自動で判定するサービスではありません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
ビッグデータを活用したAIによる分析で、人材の未来における貢献度に加え、現在の組織へのフィットも把握するなら、テキカクの導入がおすすめです。
おすすめ!
- 革新人材や社内ハイパフォーマー類似チェックが行え、よりよい人材確保が可能
- 人間関係や組織風土との相性を確認でき、離職防止にも効果的
- 無料でテストを行えて、従業員が適した職についているかがわかる
気になる…
- 現在使用している採用サービスにプラスして使うため、機能は少なめ
価値観特性や組織とのマッチ度を主観ではなくデータで客観的に把握できるようになった
株式会社五味八珍の導入事例(テキカク公式サイト)
2つを並べると、同じ適性検査でも、社員の受検結果から採用基準を作るもの、現在と目指す組織の両方との相性を見るものと、役割が異なることがわかります。どちらにも留意点があり、万人にとっての正解はありません。これはSaaS全般に共通する考え方で、「おすすめ」は自社の条件と照らし合わせて初めて決まります。この後で解説する判断基準とチェックリストは、採用に限らず、どの業務のSaaSを選ぶ場合にもそのまま使えます。
SaaSのおすすめを見極める5つの判断基準
SaaSを選ぶときの判断基準は、機能適合・セキュリティ・コスト・拡張性・運用の5つに整理できます。ランキングの順位や知名度ではなく、この5つの観点で候補を並べると、自社に合うかどうかを客観的に比べやすくなります。
| 判断基準 | 確認する内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 機能適合 | 自社の業務手順のうち、どこまでを標準機能でまかなえるか | 機能の多さで選び、実際に使う機能が一部だけになる |
| セキュリティ | データの保存場所、アクセス権限の設定、認証方式、第三者認証の取得状況 | アカウント管理や共有設定は利用企業側の責任になる |
| コスト | 初期費用・月額費用・オプション費用・人数が増えたときの総額 | 契約更新時の料金改定や、必要な機能が上位プランにしかないこと |
| 拡張性 | 既存システムとの連携、API、データの書き出し、将来の人数増への対応 | 解約時にデータを取り出せる形式かどうか |
| 運用 | 操作のわかりやすさ、サポート体制、管理者の負担、社内への定着のしやすさ | 導入担当者だけが使いこなし、現場に広がらない |
5つの基準のうち、どれを重く見るかは企業によって変わります。専任のIT担当者がいない少人数の企業では運用とコストの重みが大きく、既存の基幹システムを持つ企業では拡張性とセキュリティが判断の中心になります。規模によるメリット・デメリットの違いはSaaSのメリット・デメリット|規模別の導入判断ガイドで、システムの性能や可用性などを事前に確認する観点はSaaSの非機能要件とは?選定前に見る5分類とチェックリストで詳しく解説しています。
セキュリティについては、提供会社がサーバーやソフトウェアを管理する一方で、誰にどのアカウントを発行するか、ファイルをどこまで共有するかは利用企業が決めるという責任分担を理解しておくことが大切です。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインでは、クラウドサービスを安全に利用するための確認事項も示されています。政府機関向けには、クラウドサービスのセキュリティを評価する制度としてISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)があり、登録されているサービスの一覧は民間企業が候補を確認する際の参考にもなります。
2つの適性検査SaaSの役割を比較表で見るシステム導入前に使えるSaaS選定チェックリスト10項目
SaaSを含むシステム導入のチェックリストは、10項目を社内準備・候補比較・契約前の3段階に分けて確認するのが基本です。5つの判断基準を実際の選定作業に落とし込むと、次の10項目になります。社内準備が終わらないうちに候補比較を始めると、比較の物差しがないまま資料の印象で選ぶことになります。
| 段階 | チェック項目 | 確認しないと起きやすいこと |
|---|---|---|
| 社内準備 | 1. 解決したい業務課題を1文で言えるか | 目的があいまいなまま多機能なサービスを選ぶ |
| 2. 現在の業務手順を書き出したか | 必要な機能と不要な機能の区別がつかない | |
| 3. 利用する人数と部署を決めたか | アカウント数の見積もりが外れ、費用が膨らむ | |
| 4. 導入と運用の担当者を決めたか | 導入後に設定や問い合わせ対応をする人がいない | |
| 候補比較 | 5. 必須機能をすべて標準機能で満たせるか | オプション追加で想定より高額になる |
| 6. 既存システムと連携できるか | 二重入力が残り、手間がかえって増える | |
| 7. 無料トライアルで実務担当者が操作したか | 導入後に「使いにくい」と現場に敬遠される | |
| 契約前 | 8. セキュリティと個人情報の取り扱いを確認したか | 社内規程や取引先の要件を満たせない |
| 9. 契約期間・更新条件・料金改定の扱いを確認したか | 更新時の値上げや、途中解約できない契約に縛られる | |
| 10. 解約時にデータを取り出せるか | 乗り換えたくてもデータ移行ができない |
社内準備の4項目:比較の物差しを先に作る
最も省略されやすく、最も効果が大きいのが社内準備です。「面接官ごとに合否の判断がそろわない」「請求書の作成に毎月丸1日かかっている」のように、解決したい課題を具体的な1文で書けるかどうかを確認します。次に、現在の業務手順を、誰が、何を見て、何に入力しているかという単位で書き出します。この書き出しがあると、サービスの機能一覧を見たときに、自社に必要な機能かどうかをすぐに判断できます。利用人数と担当者を決めておくことも欠かせません。SaaSは導入して終わりではなく、アカウントの追加や削除、設定の見直しといった運用作業が続くためです。
候補比較の3項目:実務担当者に触ってもらう
候補を2つか3つに絞ったら、必須機能が標準機能で満たせるか、既存システムと連携できるかを資料で確認します。そのうえで、無料トライアルやデモを使い、導入を決める人ではなく日々操作する実務担当者に触ってもらいます。管理画面の見やすさや入力のしやすさは、資料だけでは判断できません。トライアル期間中に、実際の業務データに近いサンプルで一連の作業を試し、つまずいた点を記録しておくと、候補同士の比較がしやすくなります。
機能や料金と並んで確認しておきたいのが、提供会社そのものの安定性と実績です。SaaSは一度導入すると業務データが提供会社のサービス上に蓄積され、数年単位で使い続けることになります。提供会社がサービスを終了したり、開発や改善が止まったりすると、別のサービスへ乗り換える手間が発生します。サービスの提供開始からの年数、導入企業の数や自社と近い業種・規模の導入事例、機能の更新が継続的に行われているか、問い合わせへの対応の速さや丁寧さを、公式サイトやトライアル中のやり取りで確かめておきましょう。トライアル期間中に実際に質問を送ってみると、導入後のサポートの質を具体的に判断できます。
テキカク
候補を絞っても、資料だけでは自社に合うか判断できず、迷っていませんか?
こんな会社に向いています
まず自社の社員で試し、組織の傾向を確かめてから採用に使いたい会社
現在の組織に加え、目指す組織との相性も見たい会社
契約前の3項目:やめるときのことまで確認する
契約前には、セキュリティと個人情報の取り扱い、契約条件、解約時のデータの扱いを確認します。顧客や応募者の個人情報を扱うSaaSでは、個人情報保護法に沿った管理ができるかも確認が必要です。個人情報の取り扱いに関する法令やガイドラインは個人情報保護委員会の法令・ガイドライン等のページで確認できます。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や法令の解釈については、専門家や提供会社に確認してください。
横断型か業種特化型か|自社に合うタイプの見極め方
SaaSは大きく、業種を問わず使える横断型(ホリゾンタルSaaS)と、特定の業種向けに作られた業種特化型(バーティカルSaaS)に分けられます。会計、勤怠、チャット、採用の適性検査などは横断型の代表例で、飲食店向けの予約管理や、医療機関向けの電子カルテ、建設業向けの工事管理などが業種特化型にあたります。
| タイプ | 向いているケース | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 横断型 | 業務手順が業種を問わず似ている業務(会計・勤怠・採用など)。利用企業が多く、情報や連携先が豊富 | 業種固有の慣習や帳票には、設定の工夫や別サービスの併用が必要な場合がある |
| 業種特化型 | 業界特有の手順・用語・法令対応が業務の中心になる場合。初期設定の手間が少ないことが多い | 提供会社の数が限られ、他のSaaSとの連携先が少ないことがある |
見極めの目安は、自社の業務手順が同業他社とどの程度似ているかです。社内準備の段階で書き出した業務手順を見て、業界特有の工程が多ければ業種特化型から、どの会社でも同じような手順であれば横断型から候補を探すと効率的です。また、1つの業務に横断型と業種特化型の両方の候補がある場合は、既存システムとの連携のしやすさを決め手にするのが現実的です。分野別にどのようなSaaSがあるかはSaaSサービスの選び方|分野別カテゴリマップと5つの判断基準で一覧にしています。
SaaSのおすすめを探す入口|分野別の代表例・比較サイト・企業ランキングの使い分け
SaaSのおすすめを探す入口は、分野別の代表例、比較サイト、企業ランキングの3つで、わかることが異なります。候補を集める段階と、自社に合うかを判断する段階で使い分けるのが基本です。
| 入口 | わかること | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 分野別の代表例 | 会計・勤怠・チャットなど、業務分野ごとにどのようなサービスがあるか | 掲載は例であり、優劣ではない。自社の業務に合うかは別に確認が必要 |
| 比較サイト | 複数のサービスの機能や掲載情報、口コミを並べて見られる | 掲載順や「おすすめ」表示の基準がサイトごとに異なり、広告掲載などの影響を受ける場合がある |
| 企業ランキング | 売上高や成長性など、提供会社の規模や業績 | 会社の規模と、自社の業務に合うかは別の話。順位はサービスの使いやすさを示さない |
分野別の代表例はSaaSの代表例|分野別の具体サービスとPaaS・IaaSの実例まで、比較サイトの見極め方と表示に関する法令上の注意点はSaaS比較の正しい方法|景表法に配慮した選び方と評価軸、企業ランキングの読み方はSaaSランキングの記事で詳しく解説しています。ここでは、どの入口でも共通して押さえたい点に絞ります。
比較サイトは、候補を知るための入口として使い、最終的な判断材料にはしないことが基本です。集めた資料は社内の検討資料としても使えますが、順位そのものより、各サービスの強みと留意点がどのように書かれているか、自社の条件に近い企業の導入事例があるかに注目すると、情報を選定に生かしやすくなります。また、サイトごとに得意な分野や掲載数が異なるため、2つか3つのサイトを見比べ、共通して挙がるサービスを候補にする方法も有効です。
口コミや評判を参考にする場合は、投稿者の企業規模や利用している機能が自社と近いかを確認します。大企業の担当者が「機能が足りない」と評価したサービスが、少人数の企業にとってはちょうどよいこともあれば、その逆もあります。口コミの評価の高低ではなく、書かれている理由が自社にも当てはまるかどうかで読むことが大切です。
5大SaaS企業・40%ルール・今後の成長性の読み方
「5大SaaS企業」や「日本一のSaaS企業」といった言い方には、決まった定義がありません。売上高、導入社数、利用者数など、どの基準で見るかによって顔ぶれが変わるため、企業名の数や順位よりも、自社の業務分野で実績のあるサービスを5つの判断基準で比べるほうが、導入後のミスマッチを防げます。
SaaS企業の成長性を見る指標の1つに、「40%ルール」があります。売上の成長率と利益率を足した値が40%以上なら健全とみなす考え方で、たとえば成長率が20%なら利益率も20%、成長率が40%なら利益はゼロでもよい、という目安です。投資家のBrad Feld氏が2015年2月のブログで、ある投資家から聞いた考え方として紹介しています。成長率や利益率に何を使うかは企業や調査ごとに異なり、法的な基準でもないため、提供会社の安定性を見る参考のひとつとして扱います。
今後どの企業が伸びるかは予測できませんが、市場全体の動きは公的な統計や調査で確かめられます。富士キメラ総研(富士経済グループ)の企業向けソフトウェア53品目の調査では、2029年度の国内SaaS/PaaS市場が3兆3,975億円、2024年度比で73.0%増と推計されています(PaaSを含む数字です)。総務省の令和7年通信利用動向調査では、クラウドサービスを一部でも利用している企業は83.5%、全社的に利用している企業は60.0%でした。市場が広がっているからこそ、流行や企業の勢いではなく、自社の課題に合うかで選ぶことが大切です。
SaaS選定時に見落としがちな社内課題
SaaSの導入は、全社で毎日使う業務から検討が進むのが一般的です。その一方で、担当者が限られていて普段は目立たないものの、判断のばらつきや対応漏れが影響を生む業務が、SaaS選定の議論から外れたまま残りがちです。代表的なのが、取引先審査、営業リストの作成、採用の見極めの3つです。
| 業務 | よくある現状 | 放置した場合のリスク |
|---|---|---|
| 取引先審査 | 担当者がインターネット検索などで個別に確認し、結果を記録として残していない | 確認の漏れや判断のばらつきが起き、後から経緯をたどれない |
| 営業リスト作成 | 担当者ごとに別々のExcelファイルで作成・更新している | 重複連絡や更新漏れが起き、担当者の異動や退職で情報が失われる |
| 採用の見極め | 面接官それぞれの経験や印象で判断し、評価の根拠が記録に残らない | 面接官によって合否が変わり、入社後の社風や職場とのミスマッチにつながる |
3つに共通するのは、「件数が少ない時期は個人の頑張りでも回るため、課題として認識されにくい」という点です。特に採用の見極めは、応募が増えて面接官が増えるほど、判断の基準が人によってずれやすくなります。ずれの影響を受けるのは社外の応募者であり、入社後の定着にも関わります。判断の物差しを、個人の感覚ではなく共通の資料にそろえることは、採用人数の多い企業に限らず必要な仕組みです。
こうした業務をSaaS化するときも、先に紹介したチェックリストの考え方はそのまま使えます。採用の見極めであれば、候補者の何を、どの選考段階で、誰が見るのかを決めたうえで、受検方法がWebで完結するか、結果を面接でどう使うか、採用基準を自社の社員のデータから作れるかが、機能適合・拡張性・運用の具体的な確認項目になります。なお、適性検査の結果だけで合否を決めず、面接や職務経歴と合わせた判断材料の1つとして使うことが前提です。全社的なSaaS選定のついでに、こうした後回しの業務も棚卸ししておくと、仕組み化の抜け漏れを防げます。
SaaS選定でよくある失敗パターン
SaaS選定の失敗は、チェックリストのどこかを飛ばしたときに起きることがほとんどです。代表的な失敗パターンと、事前にできる対策を整理します。
| 失敗パターン | 原因 | 事前の対策 |
|---|---|---|
| ランキング上位を選んだが、機能を持て余した | 自社の業務手順を書き出す前に候補を決めた | チェック項目1と2を終えてから候補を探す |
| 導入後に既存システムと連携できないと判明した | 連携の可否を資料の記載だけで判断した | トライアル期間中に実際のデータで連携を試す |
| 現場が使わず、Excelでの管理に戻った | 導入担当者だけで操作性を評価した | 日々操作する実務担当者にトライアルを依頼する |
| 部署ごとに別のSaaSを契約し、費用と管理が膨らんだ | 全社での利用状況を把握する担当者がいなかった | 契約中のSaaSの一覧と管理担当を決めておく |
| 更新時に料金が上がり、乗り換えもできなかった | 契約条件と解約時のデータの扱いを確認しなかった | チェック項目9と10を契約前に書面で確認する |
とりわけ多いのが、現場が使わずにExcelに戻ってしまうパターンです。SaaSを導入しても、入力の手間が以前と変わらない、あるいは増えたと感じられると、現場は慣れた方法に戻ります。導入前に「入力する人の手間がどれだけ減るか」を確認し、導入直後は旧来の方法を併用せずに一本化する期限を決めておくと、定着しやすくなります。
2つの適性検査SaaSの役割を比較表で見る導入後の効果をどう確認するか
SaaSの導入効果は、導入前に決めた課題がどれだけ解消されたかで確認します。社内準備の段階で課題を1文で書いておけば、その課題に対応する指標を導入後に追うだけで済みます。確認する指標は、作業時間、対応漏れや入力ミスの件数、SaaSの利用率の3つに絞ると把握しやすくなります。
| 指標 | 確認方法の例 | 確認のタイミング |
|---|---|---|
| 作業時間 | 対象業務にかかる時間を、導入前と導入後で担当者に記録してもらう | 導入から1か月後と3か月後 |
| 対応漏れ・ミスの件数 | 返信漏れ、二重登録、入力ミスなどの件数を数える | 業務の繁忙期を1回経験した後 |
| 利用率 | 発行したアカウントのうち、実際にログインしている人の割合を管理画面で確認する | 毎月 |
利用率が低い場合は、SaaSそのものより、操作の説明や社内ルールの整備が不足していることが多いものです。使われていない機能やアカウントを整理し、よく使う操作の手順を社内で共有すると、定着度が上がります。また、効果の確認は繁忙期を経験した後に行うのがポイントです。作業量の波が大きい業務では、落ち着いた時期だけを見ても効果を正しく判断できません。
採用の見極めのように、効果が入社後にしか見えにくい業務もあります。この場合は、面接官ごとの評価のばらつきが減ったか、面接で確認する点が事前にそろったかといった、選考の途中で確かめられる変化を指標にします。適性検査SaaSを検討するなら、判断の物差しの作り方や、結果を面接でどう使えるかを、2つの資料で見比べておくと、導入後に何を確認するかも決めやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 結局、おすすめのSaaSはどれですか?
A. すべての企業に共通するおすすめのSaaSはありません。同じ業務のSaaSでも、無料で始めやすいもの、他ツールとの連携に強いもの、大規模な利用に向くものと特徴が異なります。機能適合・セキュリティ・コスト・拡張性・運用の5つの基準で、自社の条件に合うものを選ぶのが基本です。
Q2. 5大SaaS企業はどこですか?
A. 「5大SaaS企業」や「日本一のSaaS企業」に決まった定義はなく、売上高、導入社数、利用者数などの基準によって顔ぶれが変わります。企業名の数や順位で選ぶのではなく、自社の業務分野で実績のあるサービスを5つの判断基準で比べるのが基本です。
Q3. SaaSの40%ルールとは何ですか?
A. 売上の成長率と利益率を足した値が40%以上なら健全とみなす、SaaS企業の成長性を見る目安です。成長率が高ければ利益が小さくてもよく、成長が止まっていれば高い利益率が求められる、という考え方です。法的な基準ではなく、使う指標も調査ごとに異なります。
Q4. 今後伸びるSaaSの分野や企業はどこですか?
A. どの企業が伸びるかを断定することはできません。市場全体は、富士キメラ総研が2029年度の国内SaaS/PaaS市場を3兆3,975億円(2024年度比73.0%増)と推計しており、拡大が見込まれています。流行ではなく、自社の課題に合うかどうかで選びましょう。
Q5. 比較サイトやランキングは参考にしてもよいですか?
A. 候補を知る入口としては役立ちます。ただし、掲載順位の決め方はサイトによって異なるため、順位だけで選ぶのは避けましょう。各サービスの強みと留意点、自社に近い企業の導入事例に注目し、2つか3つのサイトを見比べるのがおすすめです。
Q6. 採用の見極めにもSaaSは使えますか?
A. Web受検型の適性検査SaaSがあります。面接官の判断をそろえたい会社には社員の受検結果から採用基準を作るタイプ、社風や目指す組織との相性も見たい会社には組織とのマッチ度を確認できるタイプなど、見たいものによって選びます。結果だけで合否を決めず、面接と合わせて使い、個人情報の取り扱いも契約前に確認してください。
まとめ
SaaSのおすすめは、ランキングの順位ではなく、自社の条件との相性で決まります。選定を進めるときは、次の4つを押さえておきましょう。
- 分野別の代表例・比較サイト・企業ランキングで候補を集め、自社の業務の課題から選ぶ
- 5つの判断基準で候補を比べ、チェックリスト10項目を社内準備・候補比較・契約前の3段階で確認する
- 採用の見極めなど後回しの業務も棚卸しし、適性検査SaaSの資料を取り寄せて役割の違いを比べる
- 導入後は繁忙期を経て、作業時間・ミスの件数・利用率で効果を確認する
まずは解決したい業務課題を1文で書き出すところから始めてみてください。それが、自社にとってのおすすめのSaaSを見極める一番の近道です。
参考文献
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html
- ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)ポータル https://www.ismap.go.jp/csm
- 個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/
- 総務省「令和7年通信利用動向調査」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/260529_1.pdf
- 富士キメラ総研(富士経済グループ)「企業向けソフトウェア53品目の国内市場を調査」(2025年9月3日)https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=25089&view_type=2&la=ja&la=en
- Brad Feld「The Rule of 40% For a Healthy SaaS Company」(2015年2月3日)https://feld.com/archives/2015/02/rule-40-healthy-saas-company/
- ミキワメAI 導入事例「株式会社フレッシュハウス」https://mikiwame.com/casestudy/fresh-house.html
- テキカク 導入事例「株式会社五味八珍」https://tekikaku.lafool.jp/case-study/gomihattin/