BPO運営とは|委託先との役割分担とSLA・KPI管理、定期レビューの仕組み

Check!

  • BPO運営の体制と契約形態がわかる
  • SLAとKPIの違いと決め方がわかる
  • 定期レビューで運営を改善できる

BPO運営とは、外部の事業者に委託した業務が合意した品質で回り続けるように、発注企業と委託先が役割を分け、SLA(サービスレベル合意)とKPIで管理して改善していく活動のことです。「運営」という言葉は、BPO事業者が現場や拠点を運営する意味でも使われますが、発注企業にとって成果を左右するのは、稼働を始めたあとの運営管理です。この記事では、BPOを導入済み、または導入を決めた実務担当者に向けて、運営体制と契約形態、役割分担、SLAとKPIの違いと決め方、委託先とのコミュニケーション、よくある失敗、定期レビューの仕組みを、経理業務を例に整理します。

あなたの状況に合う読み進め方を診断

Q1. BPO運営で、今いちばん知りたいことは?

目次

開く

閉じる

  1. BPO運営とは?委託したあとに業務を回し続けるための管理の仕組み
  2. BPOの運営体制と契約形態|オンサイト・オフサイトと請負・準委任
  3. BPO運営の基本|委託先と発注企業の役割分担・SLA(サービスレベル合意)とは
  4. KPI管理の実務|品質・スピード・コストの3軸
  5. 委託先とのコミュニケーション設計
  6. BPO運営でよくある失敗パターン
  7. 運営を安定させるための定期レビューの仕組み
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ
  10. 参考文献

BPO運営とは?委託したあとに業務を回し続けるための管理の仕組み

BPO運営とは、委託した業務を合意した品質とスピードで回し続けるために、発注企業と委託先が役割を分け、SLAとKPIで管理しながら改善していく活動です。

検索で「BPO 運営」と調べると、事業者の運営体制を説明するページと、委託後の管理を説明するページが混ざって表示されます。同じ「運営」でも、見る立場によって中身が異なります。

見る立場「運営」の中身この記事の該当箇所
BPO事業者の側センターや拠点の運営体制、スタッフの管理、契約形態BPOの運営体制と契約形態の章
発注企業の側目的と品質水準の設定、SLAとKPIの確認、定例での改善依頼、委託範囲の見直し役割分担、SLAとKPI、コミュニケーション、定期レビューの章

BPOそのものの意味やアウトソーシングとの違い、対象業務は、BPOの意味とは|アウトソーシングとの違い・対象業務をわかりやすく解説で整理しています。この記事は、委託したあとの運営に絞って解説します。

どの業務でも運営の考え方は同じですが、数字で管理しやすい業務から考えるとイメージをつかみやすくなります。経理は、月次決算を締めるまでの営業日数、仕訳や請求書発行の処理件数と期限など、SLAやKPIにしやすい数字がそろった代表的な領域です。経理を委託する場合も社内で回す場合も、運営の確認に使う数字は会計データから出ます。委託先からの報告を待って確認するのではなく、同じデータで数字を確かめられる状態にしておくと、運営の確認が報告待ちになりません。

こうした状況で、数字の元になる会計データの入力や集計を減らす手段の一例が、クラウド型の会計ソフトのマネーフォワード クラウド会計です。商品ページでは、2,400社以上の金融機関との連携で取引明細を自動取得できること、AIが仕訳の内容を学習して勘定科目を提案すること、仕訳データから決算書やレポートが自動で生成され経営状況をリアルタイムで確認できること、経理担当者と税理士・会計士がクラウド上で同じデータを共有しつつ権限を細かく管理できることが紹介されています。注意点として、AIが誤った仕訳を学習する可能性があるため、入力内容の確認は欠かせません。委託先を同じ画面に加える場合の権限設定や、料金のプランによる違いは、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド会計

マネーフォワード クラウド会計

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド会計

他システムの移行や機能性重視の方におすすめ!

全体評価
4.2 (14件)
30秒で完了!かんたん入力 資料を無料ダウンロード
料金・機能をまとめて確認 サービス詳細はこちら
30秒で完了!かんたん入力 資料を無料ダウンロード
料金・機能をまとめて確認 サービス詳細はこちら

GOOD

おすすめ!

  • 面倒な帳簿・レポート・決算書を自動作成
  • 金融機関の入出金データを自動取得してリアルタイムで数字を共有
  • 他サービスとの連携で勤怠管理やマイナンバー管理が可能
MORE

気になる…

  • ある程度の簿記知識が必要な場合も
評価・口コミ(一部抜粋)
4.2
  • 年度繰り越しもあっという間にできるし、確定申告も決められた所に数字を入れれば簡単にできるので助かっています。 また分からないことがあっても、AIにはなりますが24時間いつでも聞けるのが魅力的です。だいたい聞いたら解決できます。

  • 日々の仕訳入力が大幅に削減され、手作業で行っていた会計処理が8割ほど減りました。特に銀行連携による自動仕訳、確定申告、年末調整、社会保険や給与計算までの連携が非常に強力で、人的ミスや作業時間の大幅な削減につながっています。

  • 銀行やクレジットカードから仕訳入力や取引データの取得が自動化され、会計業務にかかる時間を大幅に短縮できました。AIによる自動仕訳やレポート自動生成機能により、経営状況の可視化やミスの防止も実現。帳票を出力して提出書類として扱いやすいのがメリットです。

実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】

数ある会計ソフトの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド会計」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。

月次決算を締めるまでの営業日数は、経理のSLAやKPIとして使いやすい数字の一つです。ベンダーの導入事例には、マネーフォワード クラウドの会計・経費・請求書・債務支払を導入した企業について、次のように紹介されているものがあります。

課題:1ヶ月経っても月次決算が終わらず休日出勤。結果:月次決算が6営業日で対応できるようになった。

出典:株式会社マネーフォワード「株式会社HITOMIOテクノロジーズ」導入事例(2021年8月31日公開。公開当時の情報)
マネーフォワード クラウド会計

経理の入力を自動化し、数字をリアルタイムで確認したい会社に

マネーフォワード クラウド会計の資料を無料でダウンロードできます

無料・30秒で完了 資料を無料ダウンロード

BPOの運営体制と契約形態|オンサイト・オフサイトと請負・準委任

BPOの運営体制は、委託先のスタッフが発注企業の拠点で働くオンサイトと、委託先の拠点で処理するオフサイトに大きく分かれ、契約形態は請負契約か準委任契約で結ぶことが多くなっています。

体制業務を行う場所運営管理で押さえること
オンサイト発注企業のオフィス内に、委託先のスタッフが常駐して業務を行う作業者への直接指示が指揮命令にあたらないよう、責任者を窓口にする。社内の設備や情報へのアクセス権限を整理する
オフサイト委託先のセンターや拠点(国内のほか、ニアショア・オフショアの拠点を含む)に業務を持ち出して行う資料やデータの受け渡し経路を決める。委託先の拠点での情報管理の状況を確認する

どちらの体制でも、日々の作業は委託先が指揮して進め、発注企業は目的と品質水準を決めて結果を評価します。オンサイトは社内の担当者と顔を合わせて調整しやすい一方、指示の出し方に注意が必要です。オフサイトは件数の多い定型業務を効率よく処理しやすい一方、情報の受け渡しと拠点の管理状況の確認が運営の要になります。

契約形態は請負と準委任が中心

請負は、仕事を完成させることを約束し、その結果に対して報酬を支払う契約です(民法第632条)。準委任は、法律行為ではない事務の処理を委託する契約です(同法第656条)。成果物の完成を目的にする業務は請負、処理した件数や稼働した時間に応じて業務そのものを委託する形は準委任、といった整理が一般的です。どちらの形でも、運営中にSLAとKPIで品質を確認する点は変わりません(参考:e-Gov法令検索「民法」)。

契約形態ごとの違いと偽装請負の判断基準は、BPOと業務委託の違いとは?請負・準委任の契約類型と偽装請負の判断基準で詳しく解説しています。契約の形式や条項は個別の事情で判断が分かれるため、実際の契約は弁護士などの専門家に確認してください。この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。

BPO運営の基本|委託先と発注企業の役割分担・SLA(サービスレベル合意)とは

委託先と発注企業の役割分担の基本は、業務の実行を委託先が、目的の設定と結果の評価を発注企業が担うことで、SLAは委託先が守る品質水準を数値で合意したものです。分担の目安は次のとおりです。

項目発注企業の役割委託先の役割
目標設定BPOの目的と、達成すべき品質水準を決める目標を実現できる体制と手順を提案する
業務の実行必要な資料やデータを期限どおりに渡す手順書に沿って処理し、作業者を指揮・管理する
品質管理報告を受けてSLAの達成状況を評価する実績を集計して報告し、ミスの原因分析と再発防止を行う
判断・例外対応手順書にない判断や方針の変更を決める例外を見つけたら速やかに発注企業へ確認する
情報管理委託先の安全管理の状況を監督するアクセス権限と個人データを契約どおりに管理する

SLAは「委託先に約束してもらう品質水準」

SLA(Service Level Agreement)は、委託先が提供するサービスの水準を、発注企業との間で数値として合意したものです。「丁寧に」「なるべく早く」ではなく、「受け付けた依頼の95%以上を翌営業日までに処理する」のように、誰が見ても達成したかどうかを判断できる形で定めます。BPOのSLAで設定することが多い項目は次のとおりです。

  • 処理期限:受付から何営業日以内に処理を終えるか、締め日を守った割合
  • 正確性:処理件数に対するミスの件数や割合
  • 対応時間:問い合わせへの一次回答までの時間、電話の応答率
  • 報告:月次報告書の提出期限と記載項目
  • 測定方法:どのデータを使い、どの時点の数字で測るか
  • 免責:発注企業側の資料の遅れなど、SLAの対象から外す条件
  • 未達時の扱い:基準を下回ったときの原因報告、改善計画の提出、料金の調整

SLAとKPIの違い|SLO・OLAとの関係も整理

SLAが委託先への「約束」であるのに対し、KPIは運営の状態を把握するための「物差し」です。SLAの項目はすべてKPIとして追いかけますが、KPIには処理件数の推移や問い合わせの内容など、契約上の約束ではないものの運営の改善に役立つ指標も含めます。SLAと一緒に語られるSLO、OLAとの関係も整理すると、次のようになります。

用語意味取り決める相手BPOでの例
SLAサービスの品質水準を数値で合意したもの。未達時の扱いも定める発注企業と委託先受け付けた依頼の95%以上を翌営業日までに処理する
SLO委託先がSLAを守るために、自ら設定する内部の目標委託先の社内SLAが95%のとき、余裕を持たせて97%を内部の目標にする
OLASLAを守るための、委託先内の部門間・チーム間の運用上の取り決め委託先の社内判断に迷う案件は、一次担当から確認担当へ当日中に回す
KPI運営の状態を測る指標。SLAの項目を含み、契約上の約束ではないものも含む発注企業と委託先が共有処理件数の推移、差し戻し件数、1件あたりの処理日数

SLOとOLAは委託先の内部の取り決めのため、発注企業が日常的に管理するのはSLAとKPIです。ただしSLAの未達が続くときは、委託先の内部目標や連携の仕組みがどうなっているかを確認すると、原因に近づけます。

個人データを扱う場合は委託先の監督も発注企業の責任

BPOでは、顧客や従業員の個人データを委託先が扱うことが少なくありません。個人情報保護法では、個人データの取扱いを委託する場合、委託元は委託先に対して必要かつ適切な監督を行うことが求められており、委託先の選定、安全管理措置を盛り込んだ契約の締結、取扱状況の把握が挙げられています(参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。契約時だけでなく、運営中も定期的に取扱状況を確認することが発注企業の役割になります。具体的な対応は個別の事情で異なるため、専門家にも確認してください。この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。

KPI管理の実務|品質・スピード・コストの3軸

KPIは、品質・スピード・コストの3軸で各2、3個に絞り、基準値を導入前の実績から決めると、運営の状態を継続して確認できます。経理や事務処理のBPOを例にすると、次のように整理できます。

軸KPIの例確認のポイント
品質処理ミスの件数と割合、差し戻し件数、社内からの苦情件数件数だけでなくミスの種類を分類し、同じ原因が繰り返されていないかを見る
スピード期限内の処理率、平均処理日数、締め日の遵守率、月次決算を締めるまでの営業日数月末や繁忙期に遅れが集中していないか、月ごとの推移で確認する
コスト1件あたりの処理コスト、社内に残った対応工数、追加料金の発生額委託費だけでなく、確認や差し戻しにかかる社内の時間も含めて評価する

コールセンターのBPOでは、応答率や一次解決率などの指標も加わります。詳しくはコールセンターBPOとは|委託範囲とKPI・派遣との違いを整理で解説しています。

基準値は導入前の実績から決める

KPIの基準値は、理想の数字から決めるのではなく、社内で処理していたときの実績をもとに決めるのが現実的です。導入前のミスの件数や処理日数がわからないと、BPOで良くなったのか悪くなったのかを判断できません。導入前の実績が残っていない場合は、稼働後の最初の数か月を計測期間とし、その結果を踏まえて基準値を見直すと合意を取りやすくなります。

達成率は「何を何で割るか」まで決めて測る

同じ「期限内処理率」でも、数え方が違えば数字は変わります。たとえば、期限内処理率を「期限内に処理を終えた件数を、受け付けた件数で割った割合」と決めたとき、月に200件の依頼のうち190件が期限内に終わっていれば、達成率は95%です。このとき、受付時刻が遅い依頼を翌日扱いにするか、発注企業側の資料の遅れで処理が止まった件数を除くかをあらかじめ決めておかないと、月ごとの比較ができず、報告のたびに認識がずれます。測定方法の合意は、SLAの一部として契約書や仕様書に残しておきましょう。

「社内に残った工数」を必ず測る

見落とされやすいのが、発注企業側に残った工数です。委託先のSLAがすべて達成されていても、社内の担当者が確認や差し戻し、問い合わせ対応に多くの時間を使っていれば、BPOの効果は目減りしています。月に一度、社内の担当者がBPO関連の対応に使った時間を記録しておくと、委託範囲の見直しや費用対効果の説明に役立ちます。

ここまでの内容を踏まえて、経理業務の運営で数字をどう集め、確認しているかを振り返ってみましょう。当てはまる項目が多いほど、数字の集計や共有に手間がかかっている状態です。

経理業務の運営、数字の管理は今のやり方で足りる?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

委託先とのコミュニケーション設計

委託先とのコミュニケーションは、誰が何をどの経路でどの頻度で伝えるかを最初に決め、作業者への直接指示を避けて責任者を通すのが基本です。会議体と連絡経路の一例は次のとおりです。

場頻度主な内容
日常の連絡随時資料の受け渡し、例外案件の確認。チャットや管理表など経路を1つに決める
月次定例会毎月SLAとKPIの実績、ミスの原因と対策、翌月の業務量の見通し
エスカレーション発生時重大なミスや情報漏えいの疑い。連絡先と報告期限をあらかじめ決めておく
振り返り会四半期または半期目的の達成状況、委託範囲やSLAの見直し、改善提案の検討

作業者への直接指示は避け、責任者を通す

業務委託(請負)の契約でBPOを運営している場合、発注企業の社員が委託先の作業者に直接、細かな作業指示を出すことは避ける必要があります。発注企業が実態として指揮命令をしていると、契約の形式が請負であっても労働者派遣とみなされ、いわゆる偽装請負にあたるおそれがあるためです(参考:厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」)。運営が軌道に乗るほど、急ぎの依頼を作業者に直接伝えたくなりますが、依頼や改善の要望は委託先の責任者を通じて伝える流れを守りましょう。個別の判断は専門家にも確認してください。この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。

手順の変更は「変更記録」で共有する

法改正や社内ルールの変更、取引先の追加などで手順が変わるときは、口頭やチャットで伝えるだけでなく、変更内容・適用開始日・対象範囲を記録に残し、手順書を更新してもらいます。変更の履歴が残っていれば、ミスが起きたときに「伝わっていなかったのか」「手順が誤っていたのか」を切り分けられます。

経理を委託する場合は、証憑の提出期限、仕訳の判断に迷ったときの確認経路、月次報告の形式を最初に決めて運営するのが一般的です。締め日という明確な期限があるため、コミュニケーション設計の良し悪しが結果に表れやすい業務です。

BPO運営でよくある失敗パターン

BPO運営の失敗は、報告を見るだけで改善しない、窓口が複数ある、手順書が古いままになる、といった運営の仕組みの不備から起こります。稼働から時間がたつと、立ち上げ時には見えなかった問題が表に出てきます。運営段階で起こりやすい失敗と対策をまとめます。

失敗パターンよくある状況(Before)対策(After)
1. 報告を見ているだけ月次報告書は届くが、数字を確認するだけで改善の話し合いにつながらない定例会でSLA未達の項目は必ず原因と対策を確認し、次回に結果を振り返る
2. 窓口が複数ある部署ごとに委託先へ依頼を出し、優先順位が衝突して処理が遅れる社内の依頼はBPOの担当窓口に集約し、優先順位をつけてから伝える
3. 業務量の変化に追いつかない事業の拡大や繁忙期で件数が増え、期限遅れが続く翌月の業務量の見通しを定例会で共有し、増員や期限の調整を早めに相談する
4. 手順書が古いまま変更が口頭でしか伝わらず、担当者の交代をきっかけにミスが増える手順書の更新を委託先の業務に含め、変更記録と最新版を社内でも保管する
5. 費用対効果を説明できない委託費は把握しているが、社内の工数がどれだけ減ったかがわからない導入前の実績と社内に残った工数を記録し、半期ごとに効果を確認する
6. 業務がブラックボックス化する業務の中身を委託先しか把握しておらず、社内にノウハウが残らないため、委託先の変更や業務の内製化に踏み切れない最新の手順書・業務フロー・判断基準の記録を定期的に受け取り、社内の担当者も業務の流れを説明できる状態を保つ。契約終了時の引き継ぎ方法も契約更新のたびに確認する

これらの失敗に共通するのは、「任せたのだから委託先がうまくやってくれるはず」という姿勢です。BPOは業務の実行を任せる仕組みであって、業務への関心まで手放すものではありません。発注企業が運営の主体であり続けることが、失敗を防ぐいちばんの対策です。

運営を安定させるための定期レビューの仕組み

運営を安定させるには、月次・半期・年次の3つの周期でレビューを行い、SLAやKPIの確認と見直しを繰り返す仕組みが有効です。

運営は導入の流れの最後ではなく、見直しの起点

BPOの導入は、一般に「現状分析と課題の明確化」「委託範囲の決定」「委託先の選定と契約」「運用に移すための準備」「運用後のモニタリングと改善」の順に進みます。運営はこの最後のステップにあたりますが、そこで見つかった課題は、委託範囲やSLAの見直しという最初のステップに戻ります。定期レビューは、この見直しを計画的に行うための仕組みです。

周期確認すること決めること
月次SLAとKPIの実績、ミスと問い合わせの内容再発防止策、翌月の業務量への備え
半期KPIの推移、社内に残った工数、委託先からの改善提案KPIの基準値の見直し、手順の簡素化やシステム化
年次(契約更新時)BPOの目的の達成度、費用対効果、情報管理の状況委託範囲の拡大・縮小、料金体系とSLAの改定

レビューでは、委託先を評価するだけでなく、発注企業側の課題も確認します。資料の提出が遅れていないか、判断の回答に時間がかかっていないかなど、SLA未達の原因が社内にあることも少なくありません。双方の課題を同じ場で話し合うことで、委託先を単なる外注先ではなく、業務改善のパートナーとして活かせるようになります。

レビューの材料になるのは、毎月同じ条件で集めた数字です。経理業務であれば、月次決算を締めるまでの営業日数や仕訳の処理状況を会計データから確認できると、定例の議論が数字の読み合わせに終わらず、原因の確認と改善の相談に時間を使えます。クラウド型の会計ソフトで数字を確認する方法に関心がある場合は、マネーフォワード クラウド会計の商品ページで機能を確認できます。

会計データで月次の数字を確認する方法を知る

マネーフォワード クラウド会計の詳細を見る

よくある質問(FAQ)

Q1. BPOとは何ですか?BPO運営とは何が違いますか?

A. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、業務の一部または全体を、業務の流れごと外部の専門事業者に委託する手法です。BPO運営は、委託したあとに業務を合意した品質で回し続けるための管理を指します。実行は委託先が担い、発注企業は目的と品質水準の設定、必要な資料の提供、SLAの達成状況の評価、手順書にない判断や方針変更の決定を担います。

Q2. SLAとKPIの違いは何ですか?

A. SLAは委託先と数値で合意したサービスの品質水準で、契約上の約束にあたります。KPIは運営の状態を把握するための指標で、SLAの項目に加え、処理件数の推移など改善に役立つ指標も含めて追いかけます。SLOとOLAは、SLAを守るための委託先内部の目標と取り決めです。

Q3. BPOの運営体制や契約形態にはどのような種類がありますか?

A. 運営体制は、委託先のスタッフが発注企業の拠点で働くオンサイトと、委託先の拠点で処理するオフサイトに大きく分かれます。契約形態は、請負契約または準委任契約で結ぶことが多く、どちらの形でもSLAとKPIで品質を確認します。実際の契約は専門家に確認してください。

Q4. SLAを達成できなかった場合はどうすればよいですか?

A. 委託先に原因の報告と改善計画の提出を求め、次回の定例会で結果を確認します。資料の提出遅れなど発注企業側に原因があることもあるため、双方の課題を確認することが大切です。料金の調整などの扱いは、契約時にあらかじめ決めておきましょう。

Q5. 委託先の作業者に直接指示を出してもよいですか?

A. 業務委託(請負)の契約では、発注企業が委託先の作業者に直接指揮命令をすると偽装請負にあたるおそれがあります。依頼や改善の要望は、委託先の責任者を通じて伝える流れを守りましょう。

Q6. BPOで有名な会社は?運営の面からどう見ればよいですか?

A. BPOを提供する事業者には、総合系、人材系、通信・IT系、コールセンター系など多くの種類があります。有名かどうかよりも、委託したい業務での運営実績、運営体制、情報管理、SLAの設定と報告の仕組みを確認して選ぶことが大切です。事業者ごとの強みは、各社の公式情報や提案書で確かめてください。

まとめ

BPOを稼働させたあとの運営のポイントを解説しました。要点は次の6つです。

  1. 業務の実行は委託先、目的の設定と結果の評価は発注企業という役割分担を明確にする
  2. 運営体制(オンサイト・オフサイト)と契約形態(請負・準委任)を確認し、作業者への直接指示は避けて責任者を通す
  3. SLAは処理期限や正確性などを数値で合意し、測定方法と未達時の扱いまで決めておく
  4. KPIは品質・スピード・コストの3軸で絞り込み、社内に残った工数も測る
  5. 月次・半期・年次のレビューで、委託先と発注企業の双方の課題を改善し続ける
  6. 経理など数字で管理する業務では、数字の集計と共有を減らす手段として、クラウド会計ソフトなどの機能を資料で確認する

BPOは、業務の実行を任せたあとも、運営を通じて品質と費用対効果を保ち続ける取り組みです。まずは役割分担とSLA・KPIを整理し、数字を確認する仕組みを整えましょう。

参考文献

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top