AI税務調査とは?国税庁のAI活用と準備
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- 国税庁のAI活用(基幹システム刷新)の動向がわかる
- 納税者側で準備すべき3つのことがわかる
- 記帳の質を高める方法がわかる
国税庁は、税務行政の基幹システムをAI活用も含めて刷新する取り組みを進めています。「AIによる税務調査の厳格化」が話題になることもありますが、実際にどのような変化が起きているのかを正しく理解し、準備しておくことが重要です。本記事では、AI税務調査とは何か、国税庁のAI活用の動向と、納税者側の準備を解説します。
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国税庁のAI活用の動向
国税庁は、税目横断的なデータ管理を行う基幹システム(KSKシステム)を刷新し、2026年9月から次世代システムへの移行を進めています。この刷新には、書面で提出された申告書等をAI-OCRで読み取り、デジタル化する取り組みが含まれています。
国税庁は、システム更改に関する情報提供ページで、AI-OCRによる申告書等のデジタル化を含む基幹システムの刷新内容を公表しています(国税庁「基幹システム刷新に伴うe-Tax仕様書等の情報提供について」、https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2024/topics_20241031_ksk2_shiyo.htm 2026年8月13日取得)。データの一元化・デジタル化が進むことで、申告内容の不整合等をより効率的に把握できる体制が整っていくと見込まれています。
納税者側で準備すべきこと
日々の記帳・証憑管理の徹底、電子帳簿保存法への対応、申告内容の整合性確認という3点が、納税者側で準備すべきことです。
| 準備事項 | 内容 |
|---|---|
| 記帳・証憑管理の徹底 | 請求書・帳簿等を適切に管理し、求められた際に迅速に提示できる状態を保つ |
| 電子帳簿保存法への対応 | 電子データの保存要件に対応した記帳体制を整える |
| 申告内容の整合性確認 | 売上計上のタイミングや経費区分に不自然な点がないか、申告前に確認する |
データの一元化が進むことは、脱税行為に対する監視強化という側面だけでなく、正確な記帳を続けている事業者にとっても、日頃の記帳の質がより重要になるという側面があります。日々の会計処理を正確かつ効率的に行うには、会計ソフトを活用して記帳の抜け漏れやミスを防ぐことが実務的な対応になります。
「AI税務調査」という言葉の受け止め方
「AI税務調査」という表現は、AIが自動的に脱税を判定して調査対象を決めているかのような印象を与えますが、実際に公表されている取り組みは、書面申告のデジタル化やデータの一元管理といった、税務行政の基盤整備が中心です。言葉の印象と実際の取り組み内容を区別して理解しておくことが、過度な不安や誤った対応を避けるうえで重要です。
国税庁が公表している情報は、AI-OCRによる申告書のデジタル化を含む基幹システムの刷新であり、この記事の内容は一般的な情報整理であって、個々の税務調査の実施基準や運用の詳細を示すものではありません。税務調査の対象選定の具体的な基準や運用方法は公表されておらず、AIがどのように活用されているかについて断定的に述べることはできません。「AIによって脱税が即座に見抜かれる」といった過度に断定的な情報に接した場合は、その情報の出所が国税庁等の一次情報源にあるかを確認し、根拠のない噂話と公的な発表を区別する姿勢が重要です。
むしろ重要なのは、データの一元化・デジタル化が進む環境において、申告内容と実際の取引記録との整合性がこれまで以上に確認されやすくなる可能性がある、という点です。これは「AIに監視される」という受け止め方ではなく、「日頃から正確な記帳を続けていれば特段恐れる必要はない」という受け止め方が実務的です。逆に、記帳や証憑管理が不十分な状態を放置していると、システムの効率化が進むほど、その不備が明らかになりやすくなるとも考えられます。なお、個別の税務対応や申告内容の判断については、本記事の内容を一般的な参考情報にとどめ、必要に応じて税理士等の専門家にご確認ください。
規模別に見る記帳体制の整え方
個人事業主と中小企業、それぞれの体制に応じて、無理のない範囲で記帳の正確性を高めていくことが現実的な対応です。
個人事業主のように経理担当者を専任で置けない場合、日々の取引を都度記録せず、確定申告の時期にまとめて処理しようとすると、レシートや請求書の紛失、記帳内容の記憶違いといった問題が起きやすくなります。クラウド型の会計ソフトを使い、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む仕組みを活用すれば、日々の入力負担を抑えながら記帳の抜け漏れを防ぎやすくなります。まずは取引の都度、最低限のメモ(取引先・金額・目的)を残す習慣をつけることが、後からの記帳作業を大きく楽にします。
中小企業のように複数人で経理業務を担う場合は、担当者ごとに記帳のルールが異なると、後から整合性を確認する際に手間がかかります。勘定科目の使い分けや証憑の保存方法について、社内で統一したルールを文書化しておくと、担当者が変わっても記帳の質を維持しやすくなります。また、電子帳簿保存法に対応した保存要件(タイムスタンプの付与や検索性の確保等)は、システムの仕様によって対応状況が異なるため、利用している会計ソフトが自社の求める保存要件を満たしているかを、契約前に確認しておくことが望ましいといえます。
AI税務調査への対応でよくある失敗パターン3つ
記帳を後回しにする、証憑の管理が不十分になる、申告内容の確認を省略するという3つが、AI税務調査への対応でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:記帳を後回しにする。日々の記帳をまとめて行い、不整合や漏れが発生しやすくなるケースです。日次での記帳を習慣化することが回避策になります。
失敗パターン2:証憑の管理が不十分になる。請求書等の保管が整理されておらず、求められた際に迅速に提示できないケースです。電子帳簿保存法に対応した管理体制が回避策になります。
失敗パターン3:申告内容の確認を省略する。売上計上のタイミング等を確認せずに申告し、後から不整合を指摘されるケースです。申告前の整合性確認が回避策になります。
業種別に見る記帳上の注意点
業種によって取引の発生パターンや証憑の種類が異なるため、記帳の勘所も業種ごとに変わってきます。データの一元化・デジタル化が進む環境では、業種特有の記帳の抜け漏れを事前に把握しておくことが実務上の備えになります。
小売業や飲食業のように現金取引が多い業種では、レジの現金過不足や、日々の売上集計と実際の入金額とのズレが生じやすい傾向があります。POSレジと会計ソフトを連携させ、売上データを自動で取り込む仕組みを整えておくと、手入力によるミスや集計漏れを減らせます。また、仕入れの際に受け取る納品書や領収書は、日付・金額・取引先が読み取れる状態で保管し、電子データとして受け取ったものはそのまま電子的に保存する運用に統一しておくと、後から証憑を探す手間を抑えられます。
建設業やIT業のようにプロジェクト単位で長期にわたる取引を扱う業種では、売上の計上タイミング(工事の進捗に応じた計上か、完了時の一括計上か等)が事業者によって異なり、期をまたぐ取引の処理が複雑になりがちです。契約書・発注書・検収書といった一連の証憑を、案件ごとに紐づけて保管しておくと、申告時に売上計上の根拠を説明しやすくなります。外注費や業務委託費が多い業種では、支払先が個人事業主か法人かによって源泉徴収の要否が変わる場合があるため、支払前に確認しておく体制を整えることも重要です。
ECサイトを運営する事業者のように複数の決済手段(クレジットカード、電子マネー、後払いサービス等)を扱う業種では、決済代行会社からの入金額と実際の売上額との間に手数料分の差異が生じるため、この差異を正しく経費(支払手数料等)として計上できているかを確認しておく必要があります。決済手段ごとに入金サイクルや手数料率が異なることも多く、月次で売上と入金の突合を行う習慣をつけておくと、期末にまとめて確認する負担を減らせます。
AI-OCRによる申告書デジタル化の仕組みと実務への影響
AI-OCRとは、画像として読み込んだ書面の文字情報を、AI技術を用いて高い精度でデジタルデータに変換する技術のことです。国税庁の基幹システム刷新においても、書面で提出された申告書等をデジタル化する目的でAI-OCRが活用される方針が示されています。この仕組みが実務に与える影響を理解しておくことは、申告書の作成方法を見直すうえでの参考になります。
従来、書面で提出された申告書は、職員が手作業でデータ入力を行う工程が含まれていましたが、AI-OCRの活用によってこの工程が効率化されると、申告書に記載された数値や項目の突合作業もあわせて効率化されていく可能性があります。これは、書面の記載内容に誤りや不整合があった場合に、それが把握されるまでの時間が短縮される方向に働くと考えられます。したがって、申告書を作成する側としては、手書き・印字を問わず、数値の記載を明瞭にし、訂正箇所を残さないよう心がけることが、これまで以上に意味を持つようになります。
また、e-Taxを利用した電子申告であれば、そもそも書面のOCR処理を経由せず、データとして直接送信されるため、入力段階での読み取り誤差が生じません。書面提出からe-Taxへの移行を検討することは、申告データの正確性を高めるという観点でも、事務負担を軽減するという観点でも、あわせて検討する価値のある選択肢です。会計ソフトの多くはe-Tax連携機能を備えているため、日々の記帳データをそのまま申告書作成に活用できる体制を整えておくと、書面作成や転記作業そのものを減らすことにつながります。
企業規模の違いが記帳体制に与える影響
創業間もない個人事業主と、従業員を抱える中小企業とでは、記帳体制を整える際に直面しやすい課題が異なります。自社の規模に応じた無理のない体制づくりを意識することが、長期的に記帳の質を保つポイントです。
創業間もない個人事業主の場合、経理業務に割ける時間が限られているため、初期段階から複雑な仕組みを導入するよりも、まずは取引を漏れなく記録する習慣を優先することが現実的です。銀行口座やクレジットカードを事業用とプライベート用で分けておくだけでも、後から取引を仕分ける手間を大きく減らせます。一方、従業員数が増えて経理担当者を専任で配置できるようになった中小企業では、承認フローや証憑の保管ルールを明文化し、複数人が関わっても記帳の質にばらつきが出ない体制を整えることが課題になります。会計ソフトの権限管理機能を活用し、入力担当者と承認担当者を分けることも、記帳の正確性を高める一つの方法です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 国税庁のAI活用とはどのような取り組みですか?
A. 基幹システム(KSKシステム)の刷新に伴い、AI-OCRによる申告書のデジタル化等が進められています。
Q2. 次世代システムはいつから稼働しますか?
A. 2026年9月からの移行が予定されています。
Q3. AI活用は正確に申告している事業者にも影響しますか?
A. データの一元化・デジタル化が進むことで、日頃の記帳の質がより重要になる可能性があります。
Q4. 納税者側で最も重要な準備は何ですか?
A. 日々の記帳・証憑管理を徹底し、求められた際に迅速に提示できる状態を保つことです。
Q5. 電子帳簿保存法への対応は必要ですか?
A. 必要です。電子データの保存要件に対応した記帳体制を整えることをおすすめします。
Q6. 記帳の質を高めるにはどうすればよいですか?
A. 会計ソフトを活用して記帳の抜け漏れやミスを防ぐことが実務的な対応になります。
まとめ|今日からできる3つのこと
- 日次での記帳を習慣化する:まとめて処理せず、不整合を防ぎます。
- 証憑管理を電子帳簿保存法に対応させる:迅速に提示できる体制を整えます。
- 申告前に整合性を確認する:売上計上のタイミング等をチェックします。
参考文献
- 国税庁「基幹システム刷新に伴うe-Tax仕様書等の情報提供について」 https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2024/topics_20241031_ksk2_shiyo.htm(2026年8月13日取得)
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