ノーコードAI機能組み込みツールとは?できることとAIアシスタントとの違い

Check!

  • 自動処理はAI Builder、対話はCopilot
  • 終了するのはクレジットで機能は継続
  • 請求書は自作か既製サービスかを比べる

ノーコードAI機能組み込みツールとは、プログラミングの専門知識がなくても業務アプリや業務フローにAIの機能を組み込める仕組みで、代表例がMicrosoft Power Platformの「AI Builder」です。AI BuilderはPower AppsとPower Automateから使える機能で、請求書や名刺の読み取り、予測、文章の要約といったAIモデルを画面操作で作り、業務に組み込めます。一方で「Copilotと何が違うのか」「料金やライセンスはどうなるのか」「AI Builderは終了するのか」と迷う方も多く、2025年から2026年にかけてはクレジットの仕組みも変わりつつあります。この記事では、仕組み、Copilotとの違い、できること、基本ステップ、ライセンス、失敗パターンをMicrosoftの公式ドキュメントをもとに整理し、請求書の読み取りを自社で作るか既製サービスにするかの判断材料も示します。

請求書の読み取り、自作か既製サービスかを診断

Q1. 読み取りたい請求書の書式はどのくらいそろっていますか?

目次

開く

閉じる

  1. AI Builderとは|自社でAIモデルを作る前に確かめたいこと
  2. ノーコードAI機能組み込みツールの仕組み|3種類のモデルとPower Platformの関係
  3. ノーコードAI機能組み込みツールとCopilotの違い
  4. できること|フォーム処理・予測モデルの活用例
  5. 使い方の基本ステップ|モデル選択から公開まで
  6. ライセンスとクレジットの仕組み|終了するもの・無料の範囲・試算方法
  7. 導入でよくある失敗パターン
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|今日からできる4つのこと
  10. 参考文献

AI Builderとは|自社でAIモデルを作る前に確かめたいこと

AI Builder(AIビルダー)とは、Microsoft Power Platformに含まれる、ビジネスプロセスを最適化するAIモデルを作成して使うための機能です。請求書や名刺のような一般的な書類を読み取る「事前構築済みモデル」はすぐに使え、自社のデータで学習させる「カスタムモデル」や、生成AIに指示を与える「プロンプト」も画面操作で作れます。できあがったモデルは、Power AppsやPower Automateから呼び出して業務に組み込みます。

ただし、AIモデルが担うのは請求書の項目を読み取る部分だけで、受け取った請求書の承認、仕訳、支払い、保管までを含めた業務そのものではありません。請求書の処理が目的なら、AI Builderと業務フローを自社で組み立てるのか、受領から保管までを一括で扱う既製の請求書受領サービスを使うのかを、導入前に見比べておくと手戻りを防げます。AI Builderの詳しい解説に入る前に、既製サービス2つの役割の違いを表で整理します。

請求書の受領から支払いまでを任せられるサービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:Bill One請求書受領。取引先は送付先を変えるだけで、郵送の請求書も含めてまとめて受け取り、データ化から保管まで一つで管理できます

資料を無料ダウンロード

この状況に合う一例:マネーフォワード クラウド債務支払。支払依頼の承認から、銀行振込APIによるワンクリックの振込まで進められます

資料を無料ダウンロード
サービス Bill One請求書受領 マネーフォワード クラウド債務支払
向いている会社 月次決算を早めたいなど、社内全体の請求書業務を加速させたい企業 振込まで対応させ、請求書の支払い業務をオンラインで完結したい企業
特徴 あらゆる請求書をオンラインで受け取り、クラウド上で一元管理。申請・承認、仕訳、支払い管理、保管まで一つの画面で進められ、法改正にも都度対応する AI OCR機能で請求書のデータを自動入力し、支払依頼の下書きを作成。承認経路は自社に合わせて設定でき、銀行振込APIでワンクリックの振込にも対応
注意したい点 価格を確認するには問い合わせが必要 請求書の開封・受領・保管の代行はオプション
資料・詳細

2サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)

まとめて資料をダウンロード

表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

請求書の受領から保管までを一つの仕組みで進めたい場合の一例が「Bill One請求書受領」(運営会社:Sansan株式会社)です。商品ページによると、郵送の請求書もメールで届くPDFも、取引先の負担なくオンラインで受け取り、データ化、申請・承認、仕訳、支払い管理、保管までを一つの画面で進められます。電子帳簿保存法やインボイス制度などの法改正にも都度対応するとされています。注意点として、価格を確認するには問い合わせが必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

Sansan株式会社

Bill One請求書受領

Bill One請求書受領

Sansan株式会社

Bill One請求書受領

月次決算が加速!社内全体の請求書業務を加速させたい企業におすすめ

全体評価
5 (1件)
30秒で完了!かんたん入力 資料を無料ダウンロード
料金・機能をまとめて確認 サービス詳細はこちら
30秒で完了!かんたん入力 資料を無料ダウンロード
料金・機能をまとめて確認 サービス詳細はこちら

評判・口コミを紹介

Bill Oneであれば紙の請求書でもオンラインで受領・データ化することが可能なため、それらの作業を行うことなく、請求書をオンラインで簡単に確認できるようになり、業務時間を3000時間程度削減できました。また、テレワークの前に請求書をスキャンするための残業がなくなり、経理担当者1人あたりのテレワーク実施時間が月44時間から月84時間へと増加しました。

ニュース(株式会社ボディワークホールディングス)|Sansan株式会社
GOOD

おすすめ!

  • あらゆる請求書をオンラインで受け取れて、クラウド上で一元管理できる
  • 申請や承認などのさまざまな請求書業務をデジタル上で完結でき、生産性が向上する
  • インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正に都度対応し、請求書業務の負担を軽減できる
MORE

気になる…

  • 価格を確認するには問い合わせが必要
評価・口コミ(一部抜粋)
5
  • 支払請求書の管理漏れを防げるようになりました。紙で届いた請求書もスキャンして取り込めるうえ、電子帳簿保存法に対応しているため、紙の保管・管理の手間が大幅に削減。業務効率が格段に向上しました。さらに、300件/月まではずっと無料で利用できる点もコストめんで大変ありがたく、導入しやすかったです。

公式サイトの導入事例一覧には、次の見出しの事例が掲載されています。

Bill One導入で実現した月次決算の早期化と月約600時間の業務削減

株式会社コメリの導入事例(出典:Bill One請求書受領 導入事例)

請求書の承認から銀行振込までを同じ流れで進めたい場合の一例が「マネーフォワード クラウド債務支払」(運営会社:株式会社マネーフォワード)です。商品ページによると、AI OCR機能で受け取った請求書から支払先、合計金額、支払期日、適格請求書発行事業者登録番号を自動で入力し、支払依頼の下書きを作成できます。銀行振込APIでワンクリックの振込に対応し、承認経路は自社に合わせて設定できます。注意点として、請求書の開封・受領・保管の代行はオプションです。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド債務支払

マネーフォワード クラウド債務支払

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド債務支払

振込み対応!請求業務をオンラインで完結したい方におすすめ

30秒で完了!かんたん入力 資料を無料ダウンロード
料金・機能をまとめて確認 サービス詳細はこちら
30秒で完了!かんたん入力 資料を無料ダウンロード
料金・機能をまとめて確認 サービス詳細はこちら

AI OCR機能や承認フローの効率化により、請求書の電子保存や自動入力で請求書管理を効率化するなら、マネーフォワード クラウド債務支払の導入がおすすめです。

評判・口コミを紹介

導入後の最大のメリットは、やはりペーパーレス化により紙にまつわる作業や手間がすべてなくなったことです。経費や支払の問い合わせの際に毎回紙を探す手間、ファイリングする手間、会計監査や税務調査の際に紙の資料を収集する手間がなくなりました。

経費の導入事例(マックス株式会社)|株式会社マネーフォワード
GOOD

おすすめ!

  • 銀行振込APIと連携しているため、ワンクリックで振込みができる
  • AI-OCRにより、適格請求書の判定業務を効率化
  • ワークフローは自社にあわせて柔軟に申請経路の設定が可能
MORE

気になる…

  • 開封や受領・保管の代行はオプションとなる

マネーフォワード クラウド債務支払 では、請求書をアップロードすると、OCR機能によって請求書のデータを自動的に読み取り・入力してくれるので効率的に対応できています。

宇都宮ヤクルト販売株式会社の導入事例(出典:マネーフォワード クラウド債務支払 導入事例)

ノーコードAI機能組み込みツールの仕組み|3種類のモデルとPower Platformの関係

ノーコードAI機能組み込みツールで使えるAIモデルは、AI Builderの場合、事前構築済みモデル、カスタムモデル、プロンプトの3種類です。目的に応じて使い分けます。

1つ目は、Microsoft側があらかじめ用意した「事前構築済みモデル」です。請求書や領収書、名刺、身分証明書など、よくある書類の読み取りや、テキストの感情分析などが該当し、学習データを用意せずにすぐ使い始められます。2つ目は、自社のデータを使って作る「カスタムモデル」です。自社独自の書式の書類から特定の項目を抜き出したい、過去の取引データから結果を予測したい、といった場合に、画面の案内に沿ってデータを登録し、モデルを学習させます。

3つ目が、生成AIを使う「プロンプト」です。生成AIのモデルに「このメールを3つの箇条書きで要約する」のような指示を与え、決まった形式で回答させる機能で、Microsoftの公式ドキュメントでは、質問への回答、文書の要約、翻訳、テキストからのタスクやアクションアイテムの抽出などに使えると説明されています。Power AppsやPower AutomateのAIハブから作成して、アプリやフローの1つの処理として組み込めます。学習データを用意しなくても、書式が決まっていない文章から必要な情報を取り出せるのが特徴ですが、生成AIの出力には誤りが含まれることがあるため、重要な処理では人が確認する工程をフローに組み込むことが前提になります。

作ったモデルは単体で使うのではなく、Power Platformの各サービスから呼び出して使います。関係を整理すると次のとおりです。

サービス 役割 AI機能の使われ方の例
Power Apps 業務アプリをノーコード・ローコードで作る アプリの画面で撮影した名刺から、会社名や氏名を自動入力する
Power Automate 業務フローを自動化する メールで届いた請求書PDFから金額や日付を抜き出し、承認フローに回す
Dataverse 業務データを保存・管理する 予測モデルの学習データや予測結果を保存する
AI Builder AIモデルを提供・作成する 上記のアプリやフローから呼び出され、読み取りや予測を実行する

つまり、ノーコードAI機能組み込みツールは「AIそのものを使うための画面」ではなく、業務アプリや業務フローの中の1つの処理としてAIを動かすための部品と考えると理解しやすくなります。利用者が意識しないまま、アプリやフローの裏側でAIが読み取りや判定を行う、というのが典型的な使われ方です。ノーコードで業務アプリを作るツール全般については、おすすめのノーコードツール10選も参考になります。

ノーコードAI機能組み込みツールとCopilotの違い

AI Builderは決まった処理を業務フローの裏側で自動実行する機能、Copilotはチャットで人の作業を支援するAIアシスタントです。前者は自社データで作ったモデルを動かし、後者は既製のAIに自然言語で話しかけて使う、という役割の違いがあります。

比較の観点 ノーコードAI機能組み込みツール(例:AI Builder) 対話型AIアシスタント(例:Copilot)
使い方 アプリやフローに組み込み、条件がそろうと自動で実行される 利用者がチャットで指示や質問を入力して使う
AIモデル 事前構築済みモデルか、自社データで学習させたカスタムモデル 提供元が用意した大規模言語モデル
得意なこと 同じ種類の処理を大量に、決まった形式で繰り返す 文章作成や要約、調べものなど、毎回内容が異なる作業
出力 項目ごとの値や分類結果、予測値など構造化されたデータ 自然な文章による回答
準備 対象業務の選定、カスタムモデルなら学習データの準備が必要 ライセンスがあればすぐ使えるが、使い方の社内ルールは必要
向かない場面 判断基準が毎回変わる、書式がばらばらな業務 大量の書類を同じ形式で処理し、システムに登録する業務

判断に迷ったら「その処理を手順書に書けるか」で考えると整理しやすくなります。「請求書から金額と支払期日を抜き出して経理システムに登録する」のように手順として書ける処理はAI機能組み込みツールの領域、「取引先へのお詫びメールの文面を考える」のように毎回の状況で内容が変わる作業は対話型AIアシスタントの領域です。

一方で、両者の境界は近年あいまいになりつつあります。Microsoftは、Copilot Studioで作るエージェントからAI Builderのモデルやプロンプトを呼び出せるようにしており、ライセンス面でも後述のとおりCopilotと共通のクレジットへ統合が進んでいます。そのため「どちらを選ぶか」ではなく、「業務のどの部分をどちらに任せるか」という役割分担で考えるのが現実的です。例えば請求書処理なら、書類からの項目抽出と承認フローへの登録はAI機能組み込みツールに任せ、承認者が内容を確認するときの補足説明や、例外的な書類への対応方法の相談は対話型AIアシスタントに聞く、という組み合わせ方ができます。Copilotの種類や業務での使い方は、AIコパイロットとは?Copilotの種類・業務活用・導入時の注意点で、Copilotを含む対話型AIアシスタント同士の違いは、AIチャットの4大サービスの違いで整理しています。

AI BuilderとAzureの開発者向けAIサービスの使い分け

AI Builderは、業務部門の担当者がPower AppsやPower Automateの画面から、決まったAI処理を組み込むための機能です。一方、高度な分析や大量データの処理、独自の細かな制御が必要な場合は、プログラミングを前提にAzureなどクラウドが提供する開発者向けのAIサービスを使う、という分担が考えられます。まずAI Builderで小さく試し、精度や処理量の面で限界が見えた業務だけを開発者向けのサービスに移す、という順序にすると、無駄な開発を避けやすくなります。

請求書業務を任せられる2サービスの違いを表で見る

できること|フォーム処理・予測モデルの活用例

ノーコードAI機能組み込みツールでできることは、書類からのデータ抽出、画像や文章の分類、過去データに基づく予測の3つに大きく分けられます。Microsoftの公式ドキュメントが示す、業務シナリオとモデルの種類の対応は次のとおりです。

業務シナリオ 使うモデルの種類 ビルドの種類
請求書の項目を読み取る 請求書処理 事前構築済み
領収書から経費精算の入力を自動化する 領収書処理 事前構築済み
契約書から主要な項目を抜き出す コントラクト処理 事前構築済み
名刺から取引先の連絡先を登録する 名刺リーダー 事前構築済み
自社独自の書式の書類から項目を抜き出す ドキュメント処理 カスタム
顧客のフィードバックを肯定・否定に分類する 感情分析 事前構築済み
過去データから結果を予測する 予測 カスタム
棚卸しで画像から物を数える 物体検出 カスタム

代表的な活用例を、業務ごとに整理します。

請求書・領収書の処理

最も導入しやすいのが、請求書や領収書からの項目抽出です。メールで届いた請求書PDFを業務フローが受け取り、事前構築済みの請求書処理モデルで取引先名、請求金額、支払期日などを読み取って、会計システムへの登録や承認フローに回します。取引先ごとに書式が大きく異なり、事前構築済みモデルでは読み取り精度が安定しない場合は、主要な取引先の書式を学習させたカスタムモデル(ドキュメント処理モデル)を作る選択肢があります。

ただし、請求書の業務は項目の読み取りで終わりません。AI Builderで作る場合と、請求書受領サービスを使う場合では、読み取り以外の部分の担い方が異なります。2026年10月14日時点で各商品ページと公式ドキュメントから確認できた内容を整理します。

観点 AI Builderで作る場合 請求書受領サービスを使う場合
項目の読み取り 事前構築済みの請求書処理モデルで、取引先名や金額、期日などを読み取る サービスがデータ化まで提供する(マネーフォワード クラウド債務支払はAI OCR機能で自動入力)
請求書の受け取り メール受信やファイル取り込みのフローを自分で組む Bill One請求書受領は、取引先が送付先を変えるだけで、郵送の請求書も含めてサービスがまとめて受け取る
承認・仕訳・支払い 承認の流れや登録先の設計、修正を自社で行う サービス上で申請・承認、仕訳、支払い管理を進められる(銀行振込APIに対応するサービスもある)
法改正への対応 電子帳簿保存法などに沿った保存・検索の仕組みは、AI Builderの機能とは別に検討する 電子帳簿保存法やインボイス制度に対応するとされている
向く場面 書式や渡し先が自社独自で、既存のアプリやフローに組み込みたい 経理の請求書業務全体を、標準的な流れで効率化したい

請求書受領サービスそのものの選び方は、請求書受領サービスの選び方で詳しく解説しています。

名刺・身分証明書の読み取り

業務アプリの画面で名刺を撮影すると、会社名、氏名、役職、連絡先が入力欄に自動で入る、という使い方も代表的です。展示会や営業訪問で受け取った名刺をその場で登録できるため、後からまとめて手入力する手間を減らせます。本人確認書類の読み取りも事前構築済みモデルが用意されていますが、個人情報を扱うため、保存先やアクセス権限の設計を先に決めておく必要があります。

問い合わせやアンケートの分類

問い合わせメールの内容から「請求」「故障」「解約」などのカテゴリに振り分けたり、アンケートの自由記述から肯定的・否定的な傾向を判定したりする使い方です。分類結果に応じて担当部署に自動で振り分けるフローを組めば、一次仕分けの作業を減らせます。

予測モデルによる判定

過去の業務データから、ある結果が起きるかどうかを予測するモデルも作れます。例えば、過去の取引データから支払いが遅れそうな請求を予測する、過去の顧客データから契約を更新しない可能性が高い顧客を見つける、といった使い方です。予測モデルは、結果がわかっている過去データが一定量たまっていることが前提になるため、データが少ない業務では精度が出にくい点に注意が必要です。

向いていない業務と、人の確認が必要な場面

AIの判定は、同じ入力でも結果が少し変わることがあり、読み取りや予測が常に正しいとは限りません。そのため、1件の誤りが大きな損失につながる業務や、毎回まったく同じ結果が求められる業務は、AI機能だけに任せるのに向きません。金額が一定額を超える場合やAIの信頼度が低い場合は人の確認に回す、決まったルールで判定できる部分は通常のフローの条件分岐で処理する、といった併用が現実的です。

業種ごとに見ると、経理・バックオフィスでは請求書や納品書の処理、製造業では検品画像からの不良検出や設備データの分析、小売・サービス業では問い合わせの分類やアンケート分析が中心になりやすい傾向があります。どの業種でも共通するのは、書式や判断基準がある程度決まっていて、同じ処理が繰り返し発生する業務から適用すると効果が出やすいという点です。請求書の受領から承認、支払いまでを標準的な流れで済ませたい場合は、読み取りだけでなく業務全体を扱うサービスも、あわせて比較対象にするとよいでしょう。

Bill One請求書受領のロゴ

郵送もPDFも、請求書の受け取りと保管を一つにまとめたい会社に

Bill One請求書受領の資料を無料でダウンロードできます

無料・30秒で完了 資料を無料ダウンロード

使い方の基本ステップ|モデル選択から公開まで

ノーコードAI機能組み込みツールの導入は、対象業務の選定、モデルの選択、学習データの準備と学習、精度確認、アプリやフローへの組み込みと公開、という5つのステップで進めると失敗のリスクを抑えやすくなります。

ステップ やること 判断のポイント
1. 対象業務の選定 処理件数が多く、読み取る項目や判断基準が決まっている業務を選ぶ 手順書に書ける処理か、月にどれくらい発生するか
2. モデルの選択 事前構築済みモデルで足りるか、カスタムモデルが必要かを決める まず事前構築済みモデルで試せるか
3. 学習データの準備と学習 カスタムモデルの場合、書類のサンプルや過去データを集めて登録し、学習させる 実際の業務で出てくるばらつきを含んだサンプルがそろっているか
4. 精度確認 本番に近いデータでテストし、誤りの件数と業務への影響を確認する 許容できる誤りの水準と、誤ったときの人の確認方法
5. 組み込みと公開 モデルを公開し、Power AppsやPower Automateから呼び出す 例外時の処理と、運用後の精度チェックの担当者

ステップ2では、いきなりカスタムモデルを作らず、まず事前構築済みモデルで実際の書類を読み取らせてみるのが効率的です。事前構築済みモデルで十分な精度が出れば、学習データの準備という最も手間のかかる工程を省けます。精度が足りない場合にだけ、読み取りに失敗しやすい書式に絞ってカスタムモデルを作ると、準備の負担を抑えられます。

ステップ3の学習データは、実際の業務で出てくるばらつきを含めて集めることが大切です。きれいに印刷された書類だけで学習させると、スキャンが傾いた書類や手書きの追記がある書類で精度が落ちます。ステップ4では、誤りをゼロにすることを目標にするのではなく、どの項目がどれくらい誤るのか、誤ったときに人がどう気づいて直すのかを決めておきます。例えば、読み取った金額が一定額を超える場合や、AIの信頼度が低い場合は人の確認に回す、といったルールをフローに組み込むと、誤りが業務に与える影響を小さくできます。

ステップ5で公開した後も、書式の変更や新しい取引先の追加で精度が少しずつ下がることがあります。月1回などの頻度で抽出結果をサンプリングして確認し、誤りが増えていれば学習データを追加して再学習する、という運用ルールを公開時点で決めておきましょう。承認フローそのものを整備したい場合は、おすすめのワークフローシステム9選も参考になります。

マネーフォワード クラウド債務支払

請求書の承認や支払いの流れまで、自社でフローを組むのは負担になっていませんか?

こんな会社に向いています

請求書の承認から振込までを同じ流れで進めたい会社

会計システムとAPIでデータをつなぎたい会社

マネーフォワード クラウド債務支払の資料を無料で見る

始める前に確認する環境と権限

AI Builderを使う前提として、Dataverseを使ったMicrosoft Power Platformの環境が必要です。モデルやプロンプトを作成できるのは、システム管理者、システムカスタマイザー、環境作成者のロールを持つユーザーで、Basicユーザーは作成できず、共有されたモデルを使う側になります。作ったモデルは既定では所有者だけが使えるため、他のメンバーが使うには共有の設定が必要です。また、予測モデルを初めて公開するには、システムカスタマイザー以上の権限が必要とされています。担当者を決める前に、自社の環境でどのロールを誰に割り当てるかを管理者と確認しておきましょう。

効果を測る指標

公開後は、導入前と同じ期間で「1件あたりの処理時間」「人が手で入力した件数」「読み取りの誤りの件数」の3つを比べると、効果と課題を数字で把握できます。このように、ノーコードAI開発は「作って終わり」ではなく、データ準備、精度確認、再学習という工程が継続的に発生します。担当者が本来業務と兼務している場合は、各工程にかかる時間を記録しておくと、次のモデルを作るときの見積もりや、人員を追加すべきかの判断に役立ちます。

ライセンスとクレジットの仕組み|終了するもの・無料の範囲・試算方法

AI Builderの機能は終了せず、終了するのはAI Builderクレジットです。AI Builderをアプリやフローで実行するには、AI BuilderクレジットかCopilotクレジットが必要になります。

AI Builderはいつ終了するのか

Microsoftの公式ドキュメントでは、2025年10月に発表されたAI Builderクレジットの段階的な終了は「AI Builderの機能には影響しない」とされ、機能はCopilotクレジットを使って引き続きサポートされると説明されています。主な日程は次のとおりです。

時期 内容
2025年11月1日 AI Builder容量アドオンの新規販売が終了。新しい利用者はCopilotクレジットを購入して機能を実行する。既存の利用者は更新などが可能
2026年11月1日 新規または更新されたPower PlatformやDynamics 365のライセンスに、AI Builderクレジットが付帯しなくなる。それ以前に購入・更新したライセンスの付帯分は、契約期間が終わるまで使える
移行期間中 AI BuilderクレジットがCopilotクレジットに自動で変換されることはない。アプリやフローのAI Builder機能は、まずAI Builderクレジットを消費し、ない場合や使い切った場合にCopilotクレジットを消費する(デュアルモード)。Copilot Studioのエージェントは、Copilotクレジットのみを消費する

AI Builderは無料で使えるのか

公式ドキュメントでは、AI Builderの試用版は廃止されたと案内されています。一方で、カスタムモデルやプロンプトの作成・テストの段階ではクレジットは消費されず、アプリやフロー、エージェントで実際に実行したときに消費されると説明されています。つまり、作成と動作確認までは費用をかけずに進められますが、本番で実行するにはクレジットが必要です。クレジットは月ごとにリセットされ、未使用分は翌月に繰り越されません。

料金はいくらか|クレジットで試算する

AI Builderはユーザーごとではなく、処理した量に応じて消費するクレジットで管理されます。具体的な金額はライセンスや契約によって異なるため本記事には記載しませんが、公式ドキュメントのレート表にあるクレジット数を使えば、月の処理量から必要なクレジットを試算できます。

処理の種類 1ページあたりのAI Builderクレジット 月1,000ページの場合 月3,000ページの場合
領収書・請求書・ID文書の分析 32 32,000 96,000
カスタムのドキュメント処理 100 100,000 300,000
テキスト認識(OCR) 3 3,000 9,000

公式ドキュメントのライセンス別の一覧では、Power Automate Premiumに付帯するAI Builderクレジットは1ライセンスあたり5,000で、機能を評価できる量とされています。請求書を1ページあたり32クレジットで処理すると、5,000クレジットで読み取れるのは約156ページです。月に数百から数千ページの請求書を処理する運用では、付帯分だけでは足りず、AI BuilderクレジットかCopilotクレジットを追加で確保する必要があると読み取れます。レートや付帯数は変更されることがあるため、必ず最新の公式ドキュメントで確認してください。

クレジットはテナント全体で共有されるため、ある部署のフローが想定以上に処理件数を増やすと、ほかの部署のAI機能が使えなくなる可能性もあります。管理者はPower Platform管理センターで消費量を確認し、環境ごとにクレジットを割り当てることができます。

なお、AI Builderのアクションを使う場合に必要なライセンスは、公式ドキュメントのページごとに表現が異なる箇所があります。ライセンスの概要のページでは、AI Builderのアクションを使うPower Automateのフローはプレミアムフローで、Power Automate Premiumライセンスが必要とされています。一方、クレジット管理のページには、Power Automateではフローに追加してもPremiumフローには変換されないという記述もあります。Power Appsでは、AI Builderのアクションを追加するとPremiumアプリになるとされています。契約や予算化の前には、自社の利用形態に当てはまる条件をMicrosoftや販売代理店で必ず確認してください。

請求書業務を任せられる2サービスの違いを表で見る

導入でよくある失敗パターン

ノーコードAI機能組み込みツールの導入でよく見られる失敗は、ライセンス消費の見誤り、業務要件との不一致、対話型AIアシスタントとの役割の混同、運用後の精度管理の不在の4つです。失敗しやすい進め方と、見直した後の進め方を比べると次のとおりです。

失敗パターン Before(失敗しやすい進め方) After(見直した進め方)
ライセンス消費の見誤り ライセンスに含まれる分で足りると考え、処理件数を見積もらずに全社展開する 月間の処理ページ数から必要なクレジットを試算し、2026年11月以降の確保方法も決めておく
業務要件との不一致 書式がばらばらで判断基準も人によって違う業務に、いきなり適用する 書式と項目が決まった業務から始め、例外は人が処理する範囲として切り分ける
役割の混同 チャットで相談できるAIを期待して導入し、想定した使い方ができない 決まった処理の自動化はAI機能組み込みツール、相談や文章作成は対話型AIアシスタントと役割を分ける
精度管理の不在 公開後は誰も結果を確認せず、書式変更で誤りが増えても気づかない 定期的なサンプリング確認と、再学習の担当者・基準を公開時に決める

4つに共通するのは、ツールの機能ではなく導入の進め方に原因があるという点です。対象業務、必要なクレジット、精度確認のルール、担当者の役割を導入前に書き出しておくだけでも、多くの失敗は避けられます。また、AIの出力をそのまま業務の判断に使う場合は、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」が示すように、AIを利用する側にも出力の確認や適切な利用範囲の設定が求められる点を意識しておきましょう。

請求書の処理では、クレジットの試算、精度の確認、承認の流れの保守といった運用の負担が、AI Builderで自作するほど自社に残ります。請求書の受領から支払いまでを標準的な流れで済ませたい場合は、2つのサービスの資料で対応範囲を見比べてから、自作する範囲を決めると判断しやすくなります。

自作する範囲と、サービスに任せる範囲を比べるなら

2サービスの資料をまとめて見る

よくある質問(FAQ)

Q1. ノーコードAI機能組み込みツールとは何ですか?

A. プログラミングの専門知識がなくても、業務アプリや業務フローにAIの機能を組み込める仕組みです。Microsoft Power Platformの「AI Builder」が代表例で、事前構築済みモデルを使う方法と、自社データでカスタムモデルを作る方法があります。

Q2. AI BuilderとCopilotはどう違いますか?

A. AI Builderはアプリやフローに組み込んで、書類の読み取りや予測などの決まった処理を自動で実行する機能です。Copilotは利用者がチャットで指示や質問を入力し、文章作成や要約などを支援してもらう対話型AIアシスタントです。

Q3. AI Builderはいつ終了しますか?

A. Microsoftの公式ドキュメントでは、AI Builderクレジットの段階的な終了はAI Builderの機能には影響しないと説明されています。終了するのはクレジットで、容量アドオンの新規販売は2025年11月1日に終了し、2026年11月1日以降の新規・更新ライセンスには付帯クレジットがつきません。日程は変更されることがあるため、最新の公式情報を確認してください。

Q4. AI Builderは無料で使えますか?料金はいくらですか?

A. 試用版は廃止されています。モデルの作成とテストにはクレジットは消費されませんが、アプリやフローで実行するとクレジットを消費します。料金はライセンスや処理量によって異なるため、本記事に金額は記載していません。月の処理ページ数にレート表のクレジット数を掛けて必要量を試算し、公式ドキュメントや販売代理店で確認してください。

Q5. 請求書や名刺の読み取りに学習データは必要ですか?

A. 請求書や名刺などの事前構築済みモデルを使う場合は、学習データは不要です。自社独自の書式の書類から項目を抜き出すカスタムモデルの場合は、モデルの種類によって必要な量が異なるため公式ドキュメントで確認が必要ですが、実際の業務で出てくる書式や状態のばらつきを含めたサンプルを用意することが精度を左右します。

Q6. 請求書の読み取りは、AI Builderで作るのと既製サービスのどちらがよいですか?

A. 書式や渡し先が自社独自で、既存のアプリやフローに組み込みたい場合はAI Builderが向きます。受領から承認、支払い、保管まで標準的な流れで済ませたい場合は、請求書受領サービスも比較対象になります。Bill One請求書受領やマネーフォワード クラウド債務支払のように、対応範囲が異なるサービスの資料を取り寄せて見比べると判断しやすくなります。

まとめ|今日からできる4つのこと

ノーコードAI機能組み込みツールを効果的に使うためのポイントは次の4つです。

  1. 手順書に書ける決まった処理はAI Builder、毎回内容が変わる作業は対話型AIアシスタントと役割を分ける
  2. 書式と項目が決まった業務から始め、まず事前構築済みモデルで試す
  3. 2026年11月のクレジット移行を踏まえ、月間の処理ページ数から必要なクレジットを試算し、最新の公式情報を確認する
  4. 請求書の処理は、AI Builderで作る範囲と請求書受領サービスに任せる範囲を、資料を取り寄せて比べてから決める

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供です。製品の機能やライセンス条件は変更されることがあるため、最新の情報はMicrosoftの公式ドキュメントで確認してください。

参考文献

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top