AIワークフローとは?RPAとの違いと設計手順4ステップ|対象業務の選び方から効果測定まで

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  • AIワークフローとRPAなどとの違いがわかる
  • 対象業務の選び方と人の確認の設計がわかる
  • パイロットから効果測定までの進め方がわかる

AIワークフローとは、業務の一連の流れ(ワークフロー)の中に、生成AIによる分類・要約・文章生成などの判断の工程を組み込み、複数の作業をつなげて自動で処理する仕組みのことです。ツールの名前ではなく、受信から確認、記録までの工程をどう設計するかという考え方を指し、手順が決まった作業を再現するRPAや、目標に向けて自分で手順を決めるAIエージェントとは役割が異なります。問い合わせメールの振り分け、請求書の読み取り、日報の要約などに使われますが、導入を任された担当者がつまずくのはツールの操作よりも「どの業務から、どの順番で自動化するか」という設計の段階です。この記事では、AIワークフローの仕組みと活用例、設計手順4ステップ、メリットと失敗パターン、効果測定、申請・承認ワークフローへの組み込み方までを順に解説します。

AIワークフローの設計で、先に整えることを診断

Q1. AIワークフローで自動化したい業務はどちらに近いですか?

目次

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  1. AIワークフローの設計は、作業時間と承認の記録を整えるところから始まる
  2. AIワークフローとは|仕組み・構成要素とRPA・AIエージェントとの違い
  3. 設計手順1|自動化する対象業務を選ぶ
  4. 設計手順2|業務を工程に分解し、AIと人の役割を決める
  5. 設計手順3|ツールを選定する
  6. 設計手順4|パイロット導入と検証
  7. AIワークフロー導入のメリットと、効果が出にくいケース
  8. AIワークフロー導入でよくある失敗パターン
  9. AIワークフローの効果測定の方法
  10. 申請・承認ワークフローにAIを組み込むときの考え方
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ
  13. 参考文献

AIワークフローの設計は、作業時間と承認の記録を整えるところから始まる

AIワークフローを設計するときは、最初に「誰が、どの作業に、どれだけ時間を使っているか」と「誰が、どの基準で承認しているか」の記録をそろえます。

設計でもっとも時間がかかるのは、AIの設定ではなく、今の業務の実態を把握する作業です。業務の流れがメールや口頭のやり取り、個人のメモの中に散らばっていると、自動化すべき作業の候補を挙げることすらできません。担当者、期限、所要時間、繰り返しの頻度が記録されていれば、その記録がそのまま対象業務を選ぶ材料になり、導入後に効果を測るときの「導入前」の基準値にもなります。

承認の記録も同じです。AIが作った回答案や申請のチェック結果を誰がどの基準で確認し、差し戻したのかが残っていなければ、誤判定の傾向をつかめず、プロンプトや分岐条件を改善できません。

案件ごとに工数と原価を記録する必要があるIT、広告、コンサルティングなどのプロジェクト型ビジネスでは、この記録を表計算ソフトではなく業務システムに集約する会社があります。お名前.comビジネスコンシェルジュで紹介している2つのサービスを、役割の違いで並べます。どちらもAIワークフローを構築するツールではなく、記録の土台として検討するサービスです。

作業時間と承認の記録を整える業務管理システム2サービスの役割の違い

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注意したい点 導入完了まで最短で3か月、平均で半年ほどかかる。ZACのパラメータで対応しきれない場合は上位版での対応になる 工数管理に特化しているため、工程管理には対応していない可能性があり、必要な場合は対応範囲の確認が要る
資料・詳細

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エクセルを用いて、それぞれのプロジェクトごとに管理をしていましたが、労務時間データと、それを金額換算するために必要な会計データがバラバラに管理されているため、集計作業が非常に大変でした。

株式会社カヤックのZAC Enterprise導入事例(インタビュー掲載時点の内容) 出典:ZAC導入事例 株式会社カヤック(株式会社オロ)

もう1つのMA-EYESは、申請・承認ワークフローにAIを組み込む考え方を説明する後半の見出しで紹介します。

AIワークフローとは|仕組み・構成要素とRPA・AIエージェントとの違い

AIワークフローとは、業務の流れの中にAIによる分類・要約・文章生成などの判断の工程を組み込み、複数の作業を自動でつなげて処理する仕組みのことです。ツールの名前ではなく、業務の流れをどう設計するかという考え方を指す言葉として使われています。

なお「ワークフロー」には、稟議や経費精算などの申請・承認を電子化する仕組み(ワークフローシステム)を指す使い方もあり、「AIワークフロー」の検索結果にはこちらの意味で書かれたページも混在しています。本記事では、前半で業務を自動化する仕組みとしてのAIワークフローの設計を、後半で申請・承認ワークフローにAIを組み込むときの考え方を扱います。

AIワークフローの仕組み|入力・判断・処理・確認の流れ

AIワークフローは、業務を入力、判断、処理、確認という流れに分解し、判断の工程にだけ生成AIを組み込んで作ります。工程を部品(ノード)としてつなぎ、順番に処理を進めるツールが多く、AIが今どの工程にいるのかが分かるため、エラーが起きたときにどこでつまずいたのかも追いやすくなります。

工程担うもの具体例
入力・取り込み 連携ツール、API、OCR メールやフォームの内容を受け取る。紙やPDFの書類は、OCR(画像から文字を読み取る技術)で文字データにする
判断・生成 生成AI 内容の分類、緊急度の判定、項目の抽出、要約、回答文の下書き
分岐・繰り返し 条件分岐、ループ クレームなら上席に通知し、一般的な質問ならFAQを参照して回答する。基準を満たさない出力は、AIにやり直させる
処理・記録 連携ツール、API 顧客管理システムや台帳への登録、通知、あとから検証できるログの保存
確認・承認 人 金額や契約内容、顧客に届く文面など、影響の大きい内容を確認して承認する。誤りがあれば差し戻す

分岐と繰り返しの仕組みがあるため、状況に応じた処理ができますが、工程の順番と分岐の条件は人が設計します。AIに任せるのは各工程の中の判断だけで、全体の流れは人が決める点が、あとで説明するAIエージェントとの違いにつながります。

RPAなど従来の自動化との違い

従来の業務自動化の代表であるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、人が画面上で行うクリックや入力の操作を記録し、決められた手順どおりに再現する仕組みです。手順が完全に決まっている作業には強い一方で、「このメールは見積依頼か、クレームか」といった判断や、決まった形式を持たない文章の読み取りは苦手です。また、操作対象の画面のデザインが変わると止まってしまうことがあります。

AIワークフローは、この「判断」と「非構造データ」の部分をAIに担わせる点が異なります。メール本文や手書きの申込書、会議の録音など、形式がそろっていない情報を読み取り、分類し、要約や返信文の下書きを作ったうえで、次の工程に渡せます。システム同士はAPIで直接つなぐことが多く、画面操作に依存しない分、変更に強い構成にしやすいのも特徴です。

比較項目RPA(ルールベース)AIワークフロー
得意な作業 手順が決まった転記、入力、集計 分類、要約、文章生成、判断を含む処理
扱えるデータ 形式がそろった構造化データが中心 メール本文、PDF、画像など非構造データも扱える
動き方 画面操作を記録して再現することが多い APIでシステムをつなぎ、AIの判断結果で分岐する
結果のばらつき 同じ入力なら同じ結果になる AIの出力に揺れがあり、確認の仕組みが必要
止まりやすい場面 画面や手順の変更 想定外の入力、AIの誤判定、利用上限の超過

重要なのは、AIワークフローがRPAの上位互換ではないという点です。結果が毎回同じであることが求められる転記作業は、AIを挟むとかえって確認の手間が増えることがあります。実際の現場では、定型部分はRPAや連携ツールで確実に処理し、判断が必要な部分だけをAIに任せる組み合わせがよく採られます。RPAの特徴や代表的なツールについては、RPAツールのおすすめを紹介した記事も参考になります。

AIエージェントとの違い

AIワークフローとよく並べて語られるのがAIエージェントです。両者の違いは、処理の流れを誰が決めるかにあります。AIワークフローでは、受信、分類、下書き、確認といった工程の順番と分岐の条件を人があらかじめ設計し、AIはその中の決められた工程だけを担当します。これに対してAIエージェントは、一般に、与えられた目標に対して、どの手順で進めるか、どのツールを使うかをAI自身が判断しながら進める仕組みを指します。

この違いは、そのまま向いている業務の違いになります。請求書の処理や問い合わせの一次分類のように、進め方が決まっていて結果を検証しやすい業務はAIワークフローが向いています。流れが固定されている分、どの工程で誤りが起きたかを追いやすく、処理にかかる費用も見積もりやすいためです。一方、競合サイトの巡回や日程調整のように、調べる対象や手順そのものが状況で変わる業務は、AIエージェントの要素が必要になります。ただし自由度が高い分、動きの予測や検証は難しくなります。

両者は対立するものではありません。基本のルートは人が決めたワークフローに従わせ、各工程の中の細かい判断やツールの選択だけをAIに任せる「ワークフロー型のAIエージェント」と呼ばれる形もあります。はじめて取り組む場合は、流れを人が決めるAIワークフローから始め、手順を固定しきれない工程が見つかった段階でエージェントの利用を検討すると、設計と検証の負担を抑えられます。AIエージェントそのものについては、AIエージェントの特徴と導入手順を解説した記事で整理しています。

部門別の活用シーン

AIワークフローが使われる場面を部門別に整理すると、次のようになります。いずれも「形式がそろっていない情報を読み取り、分類や要約をして、次の担当やシステムに渡す」という共通の型を持っています。自社の業務に当てはめるときは、AIに任せる工程と、人が確認する地点をセットで考えるのがポイントです。

部門活用シーンの例AIに任せる工程人が確認する地点
カスタマーサポート 問い合わせメールの振り分けと回答文の下書き 内容の分類、緊急度の判定、回答案の作成 送信前の内容確認
営業・マーケティング 商談メモの要約と顧客管理システムへの登録、問い合わせの担当者割り当て 要約、項目の抽出、優先度の判定 登録内容と優先度の確認
経理 請求書や領収書の読み取りと経費申請のチェック 書類からの項目の読み取り、申請内容との突き合わせ 金額と勘定科目の確認、承認
人事・総務 社内規程に関する問い合わせへの一次回答、申請内容の不備チェック 社内文書の参照、回答案の作成、不備の指摘 個別の事情を含む相談への回答
情報システム ヘルプデスクへの依頼の分類と担当の割り当て 依頼内容の分類、過去の対応記録の検索 権限の付与など影響の大きい操作の実行

活用シーンを眺めるだけでは、自社でどこから着手すべきかは決まりません。同じ問い合わせ対応でも、件数が少ない会社や、判断の基準が担当者ごとに異なる会社では効果が出にくいためです。次の見出しからは、こうした候補の中から最初の対象業務を選び、設計していく手順を順に説明します。

設計手順1|自動化する対象業務を選ぶ

対象業務は、頻度、1回あたりの作業時間、判断の言語化しやすさの3つの基準で候補を評価して選びます。ここで対象を誤ると、どれだけ優れたツールを使っても効果は出ません。よくある失敗は、「一番大変な業務」や「経営層が気にしている業務」から手を付けることです。大変な業務ほど例外が多く、判断の基準が担当者の頭の中にしかないことが多いため、最初の題材としては難易度が高すぎます。

1つ目の基準は頻度で、毎日や毎週のように繰り返し発生する業務ほど、自動化による削減効果が積み上がります。2つ目は1回あたりの作業時間で、1回数分の作業でも件数が多ければ対象になりますし、1回に長い時間がかかる作業も候補になります。3つ目が、AIワークフローならではの基準である「判断の言語化しやすさ」です。担当者が「このキーワードがあれば見積依頼」「金額が一定以上なら上長確認」のように判断の理由を言葉で説明できる業務は、AIへの指示(プロンプト)や分岐の条件に落とし込みやすく、成功しやすい傾向があります。

評価の基準高く評価できる状態低く評価すべき状態
頻度 毎日や毎週発生し、件数が安定している 年に数回しか発生しない、件数の波が大きい
作業時間 1件あたりの時間と件数をかけた合計が大きい 合計しても月に数時間程度にとどまる
判断の言語化しやすさ 判断の理由を担当者が言葉や条件で説明できる 「経験で」「なんとなく」としか説明できない
誤りの影響 誤っても人の確認で気づけ、社内で完結する 誤りが直接顧客や取引先に届く、法的な影響がある

実務では、候補の業務をタスク一覧から書き出し、各基準を3段階などで評価して並べると、社内で合意を取りやすくなります。表に「誤りの影響」を加えているのは、最初の対象を社内で完結する業務にしておくと、AIの誤判定が起きても大きな問題にならず、改善の経験を積みやすいためです。たとえば、社内問い合わせの一次分類、日報や議事録の要約、経費申請の添付書類の読み取りなどは、3つの基準を満たしやすく、最初の題材によく選ばれます。AI自動化の全体像と導入手順は、AI自動化とは何かを解説した記事でも整理しています。

なお、この評価をするには、業務ごとの頻度と作業時間がある程度分かっていなければなりません。記録がない場合は、1週間から2週間だけでもタスク管理ツールや簡単な表で作業時間を記録してもらうと、感覚ではなく数字で対象を選べるようになります。この記録は、後の効果測定で「導入前」の基準値としても使えます。手順の説明はここまでです。次のチェックで、今の記録の状況を確認してみてください。

対象業務を選ぶ前に、今の記録の状況をセルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

設計手順2|業務を工程に分解し、AIと人の役割を決める

対象業務が決まったら、その業務を工程に分解し、AI、連携ツール、人のどれが担うかを工程ごとに決めます。人が確認する地点と、例外が起きたときの対応も、この段階で先に決めます。

たとえば「問い合わせメール対応」であれば、受信、内容の分類、担当部署への振り分け、回答文の作成、送信、対応記録の保存という工程に分けられます。こうして並べると、分類と回答文の作成はAIが得意な工程、受信や記録の保存は連携ツールで定型処理できる工程、送信の前の最終確認は人が担うべき工程というように、役割の違いが見えてきます。

ここで必ず決めておきたいのが、人が確認する地点です。AIの出力は同じ入力でも揺れることがあり、事実と異なる内容をもっともらしく書いてしまうこともあります。そのため、AIの判断結果をそのまま顧客に届けるのではなく、人が確認・承認してから次に進む工程を設計に組み込むのが基本です。こうした考え方はHuman-in-the-Loop(人が判断の輪の中に入る設計)と呼ばれます。経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」(第1.2版)も、公平性の項目で、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討すること、その際は人間の判断が自動化バイアスに左右されないような対策を講じることを示しています。確認者が出力をうのみにして承認するだけにならないよう、確認の観点を決めておきましょう。

工程(問い合わせ対応の例)担い手設計で決めておくこと
受信・取り込み 連携ツール(定型処理) どの受信箱・フォームを対象にするか
内容の分類 AI 分類の種類と、判断に迷ったときの「その他」の扱い
回答文の下書き AI 参照してよい社内資料、書いてはいけない内容
確認・承認 人 誰が、どの基準で確認し、差し戻すか
送信・記録 連携ツール(定型処理) 記録の保存先と、あとから検証できる項目

もう1つ事前に決めておきたいのが例外処理です。AIが分類できなかった場合、連携先のシステムが応答しなかった場合、ツールの利用上限に達した場合に、処理を止めるのか、人に通知して手作業に切り替えるのかをあらかじめ決めておきます。例外時の連絡先と手作業の手順が決まっていないと、止まっていることに誰も気づかず、翌朝に問い合わせが大量に滞留していたという事態になりかねません。

AIワークフローに入力してはいけない情報|社内ルールで決めておくこと

AIワークフローには、問い合わせメールや申請書類など、さまざまな情報が自動で流れ込みます。入力してよい情報と、入力してはいけない情報を設計の段階で決めておかないと、担当者が気づかないうちに、外部のAIサービスへ情報が流れてしまいます。

個人情報保護委員会の注意喚起は、個人情報取扱事業者に対して、個人情報を含むプロンプトを生成AIサービスに入力する場合は、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内かを十分に確認することを求めています。あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答結果の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性があるため、サービスを提供する事業者が個人データを機械学習に利用しないことなどを確認するよう示しています。あわせて、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認することも促しています。

情報の種類注意すること設計で決めておくこと(例)
氏名・連絡先などの個人データ 利用目的の範囲内か、入力した内容が機械学習などに使われないかを確認する 入力してよい項目と、マスキングや除外の方法
取引先から預かった情報 契約上の秘密保持の対象になっていないかを確認する 対象の取引先や書類の区分と、AIに流してよいかを判断する担当者
未公開の経営・財務情報 外部サービスに保存されることが、社内の規程で許容されているかを確認する 社内限定の環境で運用するか、外部サービスへの入力を禁止するか
ログイン情報・APIキーなど 入力した内容が保存されたり、別の出力に現れたりするおそれがある プロンプトやフローに直接書かず、専用の管理方法を使う

どの情報を入力してよいかは、業種や契約内容によって変わります。個別の判断が必要な場合は、社内の法務担当者や専門家に確認してください。本記事は法的助言を目的としたものではありません。

設計手順3|ツールを選定する

工程と役割が決まってはじめて、ツールを選ぶ段階に入ります。AIワークフローを構築できるツールは数多くありますが、得意分野がそれぞれ異なります。代表的なツールの特徴を整理すると、次のようになります。料金体系や機能は変更されることがあるため、導入前に必ず各公式サイトで最新の情報を確認してください。

ツール特徴向いているケース留意点
Dify 生成AIを組み込んだアプリやワークフローを画面上で構築できる。社内文書を参照させる仕組み(RAG)を作りやすい 社内資料に基づく回答や文書作成など、AIの判断が中心の業務 多数の外部システムをつなぐ複雑な処理は、他ツールとの併用を検討する
n8n 多数の連携部品を持ち、分岐、繰り返し、エラー処理を視覚的に設計できる 複数のSaaSやシステムをつなぎ、処理を確実に実行したい業務 自由度が高い分、設計や運用に一定の技術的な知識が求められる
Copilot Studio Microsoftが提供し、Microsoft 365の各アプリと連携したAIエージェントを作れる Microsoft 365を中心に業務を行っている組織 既存のライセンス体系との関係を事前に確認する必要がある
Power Automate・Zapierなどの連携ツール SaaS同士の連携を手軽に設定でき、AIの機能を部分的に組み込める 定型の連携が中心で、AIは一部の工程だけに使う業務 処理件数に応じた利用上限や課金の仕組みを確認しておく

ツール選定では、機能の多さよりも次の観点で比べると失敗しにくくなります。まず、手順2で分解した工程のうち、AIの判断が中心なのか、システム連携が中心なのかという業務の性質です。判断が中心ならDifyのようなAIアプリ構築型、連携が中心ならn8nや連携ツールが候補になり、両方の性質を持つ業務では、判断をDify、実行をn8nという形で組み合わせる構成も見られます。次に、社内で誰が作り、誰が保守するのかという体制です。現場の担当者が自分で修正したいのか、情報システム部門が管理するのかによって、求められる操作性は変わります。さらに、データを社外のクラウドに置いてよいかというセキュリティ要件、処理件数が増えたときの費用の増え方も確認しておきましょう。無料プランの実行回数の上限に達して処理が止まる、というのはパイロットでよく起きるトラブルです。

Pythonなどのプログラミングで作り込む方法もありますが、コードで作る場合は、AIの回答エラーを防ぐ処理、利用量に応じた費用の管理、AIモデルの仕様変更への対応といった保守の負担が加わります。技術的な担当者が限られている場合は、まず画面上で組み立てられるツールから始めるほうが、運用を続けやすくなります。

2サービスの役割を比較表で見る

設計手順4|パイロット導入と検証

ツールが決まったら、いきなり全社に展開するのではなく、1つの業務、1つのフロー、少人数のチームでパイロット(試験導入)を行い、成功の基準を満たしたら段階的に広げます。期間は1か月から2か月程度を目安にし、開始前に「どうなったら成功とみなすか」を数字で決めておくことが大切です。たとえば「問い合わせの分類の正答率が一定以上」「1件あたりの対応時間が導入前より短くなる」といった基準です。基準がないまま始めると、評価が担当者の印象に左右され、続けるかどうかの判断ができません。

パイロット期間中は、AIの出力を人が確認した結果を記録しておきます。どの種類の入力で誤判定が多いのか、どの指示を変えたら改善したのかを残しておくと、プロンプトや分岐条件の改善がしやすくなり、次の業務に展開するときの設計資料にもなります。現場の担当者からは「どこが使いにくいか」「確認の手間はどれくらいか」を定期的に聞き取り、作業時間が減った分が確認作業で相殺されていないかも見ておきましょう。

パイロットで基準を満たしたら、同じ部署の似た業務、次に他部署の業務という順で段階的に広げていきます。このとき、手順1で作った業務の一覧と評価の表に戻り、次の候補を選び直すと、展開の優先順位を社内で説明しやすくなります。自動化の対象を広げるほど、どの作業が自動化済みで、どの作業がまだ人の手に残っているかを把握し続けることが重要になります。

AIワークフロー導入のメリットと、効果が出にくいケース

AIワークフロー導入のメリットは、判断を含む業務の処理時間の短縮、確認漏れの抑制、手順の見える化と属人化の緩和にあります。ただし、どれも設計と運用が前提で、導入しただけで得られるものではありません。

メリット何が変わるか効果が出るための前提
作業時間の短縮 分類や下書きなど、判断を含む作業をAIが先に処理し、人は確認に集中できる 人の確認にかかる時間を差し引いても、導入前より短くなること
確認漏れの抑制 入力内容や添付書類の不備を、処理の早い段階で検知できる チェックの観点をプロンプトや条件に落とし込めること
属人化の緩和 判断の基準と手順が、工程として文書に残り、担当者が変わっても引き継げる 判断基準を言語化し、複数人でフローを保守できる体制があること
対応時間の拡大 夜間や休日の受付でも、分類や一次対応まで進められる 例外時の通知先と、翌営業日の確認手順が決まっていること
処理の記録の蓄積 誰が何を確認し、どう判断したかがログとして残り、改善や監査に使える ログの保存先と、保存する項目が決まっていること

一方で、効果が出にくいのは、年に数回しか発生しない業務、判断の理由を言葉で説明できない業務、誤りが顧客に直接届いて人の確認を省けない業務です。手順1の表で低く評価した業務は、無理にAIワークフローにせず、RPAや手作業のまま見直す判断も必要です。効果の大きさは業務の内容や導入の条件によって異なるため、数字は自社のパイロットで確かめましょう。

AIワークフロー導入でよくある失敗パターン

AIワークフローの導入が頓挫するケースには、いくつかの共通点があります。もっとも多いのは、一度に多くの業務を自動化しようとして、設計も検証も中途半端に終わるパターンです。代表的な失敗と、その改善の方向をBefore/Afterで整理します。

失敗パターンBefore(よくある進め方)After(改善の方向)
一度に全業務を自動化しようとする 部署の業務をまとめて対象にし、要件が膨らんで試作が完成しない 評価の高い1業務に絞り、成功基準を決めてパイロットから始める
ツールから選んでしまう 話題のツールを導入してから、使い道を探す 業務を工程に分解し、AIと人の役割を決めてからツールを選ぶ
人の確認を省く AIの出力をそのまま顧客に送り、誤りが発覚して利用停止になる 確認者と差し戻しの基準を決め、確認の記録を改善に使う
例外処理を決めていない 想定外の入力や利用上限で処理が止まり、誰も気づかない 停止時の通知先と手作業への切り替え手順を先に決める
作った人しか直せない 担当者の異動でフローの仕組みが分からなくなる フローの目的、工程、プロンプト、例外対応を文書にして共有する
入力する情報を決めていない 個人情報や取引先の情報が、気づかないうちに外部のAIサービスへ流れる 入力してよい情報と禁止する情報を、設計の段階で決めて周知する

これらの失敗に共通するのは、ツールの問題ではなく設計と運用の問題だという点です。特に「作った人しか直せない」状態は、AIワークフローが属人化した新しい業務を生んでしまう典型例です。業務の自動化は、人に依存した作業を減らすことが目的の1つであるはずなので、フローの設計書と修正履歴を残し、複数人で保守できる体制をつくっておきましょう。

AIワークフローの効果測定の方法

AIワークフローの効果は、導入前後の数字を同じ条件で比べて測ります。基本となる指標は作業時間の削減で、1件あたりの短縮時間に、チーム全体の月の処理件数をかけると、月あたりの削減時間を概算できます。たとえば1件あたり5分短縮できる作業が月に400件あれば、月に約33時間の削減という計算になります。ここから、人による確認に新たにかかった時間を差し引くことを忘れないでください。

作業時間のほかに、次のような指標もあわせて見ると、効果を多面的に説明できます。処理件数(同じ人数で処理できた件数が増えたか)、処理のリードタイム(受付から完了までの時間が短くなったか)、AIの判断の正答率や人による修正の割合、例外処理が発生した件数、そして現場の担当者の負担感です。数字だけでなく、「空いた時間を何に使えたか」という質的な変化も記録しておくと、次の投資判断の材料になります。

指標測り方確認のポイント
作業時間 導入前後の1件あたりの時間と件数を記録する 人による確認にかかる時間を差し引いて評価する
処理件数・リードタイム 一定期間の処理件数と、受付から完了までの時間を比べる 繁忙期と閑散期を比べないよう、期間をそろえる
品質 AIの判断の正答率、人による修正や差し戻しの割合 誤りの多い入力の種類を特定し、改善につなげる
安定性 例外処理や停止が発生した件数 停止から復旧までの時間もあわせて記録する

効果測定を続けるうえで欠かせないのが、導入前の基準値と、自動化の後に人の手に残った作業の管理です。自動化によって空いた時間は、放っておくと別の雑務で埋まってしまい、効果が見えなくなります。導入前の基準値と導入後の数字を同じ区分(案件別、工程別など)で比べるには、作業時間を記録する形をそろえておく必要があります。案件ごとの作業時間を同じ形で集計したい場合は、勤怠管理と工数管理を一元化できるZACの資料も確認できます。

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申請・承認ワークフローにAIを組み込むときの考え方

申請・承認ワークフローにAIを組み込む場合は、AIが申請内容の要約や不備のチェックまでを担い、承認の判断と承認の記録は人と既存のシステムに残すのが基本です。

稟議、経費精算、見積の承認などを電子化したワークフローシステムでも、AI機能の搭載が進んでいます。決裁では、長い起案理由や添付資料の要約、社内規程に照らした確認項目の抽出、類似する過去案件の提示などが、AIの担当として考えられています。経費精算では、領収書や請求書の読み取り、申請金額と添付書類の突き合わせ、二重申請の検知、勘定科目の候補の提案などが挙がります。

場面AIが担う工程の例人が担う地点
決裁・稟議 起案理由や添付資料の要約、確認すべき項目の抽出、類似する過去案件の提示 承認・否認の判断、例外的な事情の評価
経費精算・請求書処理 書類の文字の読み取り、申請金額と添付書類の突き合わせ、二重申請の検知、勘定科目の候補の提案 金額と勘定科目の最終確認、承認
社内の問い合わせ 申請方法に関する質問への回答、該当する申請フォームの案内 個別の事情を含む相談への対応

どの場面でも、AIの役割は人が判断しやすい状態をつくるところまでです。最終的な承認は人が行い、その履歴を残すという前提は、前の見出しで説明した設計手順2の考え方と同じです。稟議書そのものの書き方は稟議書の書き方とDXとの関係を解説した記事、押印の扱いは押印と署名の違い、脱ハンコの進め方を解説した記事で詳しく紹介しています。

AI機能つきのワークフローシステムを選ぶときの観点

観点確認すること
外部のAIサービスやツールとの連携 チャットツールや外部のAIとAPIなどでつなげるか。AI機能が内蔵されていても、AIの進歩が速いため、あとから別のAIに差し替えられるか
確認画面の見やすさ AIが抽出した項目や警告を、承認者が一目で確認できる画面か。最終判断をするのは人であり、見づらい画面では現場に定着しない
データの扱い 申請データや稟議の内容が、AIの再学習に使われない設定か。個人情報が含まれる場合の扱いを含め、提供事業者のセキュリティポリシーを確認する

承認の判断材料と履歴を同じ場所に残す

AIが申請内容を要約したり不備を指摘したりしても、承認者が判断する材料(案件の原価予算、過去の工数、承認の履歴)が別々の場所にあれば、確認の手間は減りません。案件ごとに工数と原価を管理する会社では、申請・承認の履歴と案件の数字を同じシステムで持つ選択肢があります。前半で紹介したZACは、見積作成や発注などの業務処理に応じて電子申請・ワークフローが動き、承認履歴と操作ログが自動で保存されます。もう1つの選択肢が、承認の判断材料を案件の原価と同じ場所で確認したい場合の一例となる、株式会社ビーブレイクシステムズの「MA-EYES」です。

MA-EYESは、予算や企業規模、運用ニーズに合わせて導入できるオールラウンドなERPです。クラウドでありながら標準機能へのカスタマイズが柔軟で、分析設定にも独自の項目を追加できるとされ、導入前から導入後までのフルサポート体制も備えています。一方で、工数管理に特化しているため、工程管理には対応していない可能性があります。必要な機能が含まれるかは、資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社ビーブレイクシステムズ

MA-EYES

MA-EYES

株式会社ビーブレイクシステムズ

MA-EYES

自社に合った柔軟なプロジェクト管理を実現したい方におすすめ

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出典:MA-EYES
GOOD

おすすめ!

  • 予算や企業規模、運用ニーズに合わせて導入できるオールラウンドなERPシステム
  • 導入前から導入後まで充実したフルサポート体制を完備
  • クラウドでありながら標準機能へのカスタマイズも柔軟で、分析設定にも独自の項目追加が可能
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気になる…

  • 工数管理に特化しているため、工程管理には対応していなそう

案件受注後のプロジェクト計画の申請時に、承認者はアサイン計画や購買計画など原価予算を詳細に把握できる。

テックファーム株式会社のMA-EYES導入事例(2016年5月現在のインタビュー。効果は各社の導入条件によって異なります) 出典:ERP導入事例 テックファーム様(株式会社ビーブレイクシステムズ)

ZACもMA-EYESも、AIワークフローを構築するためのツールではありません。ここまで説明した設計のうち、作業時間と承認の記録を整える部分で検討する選択肢で、案件単位の工数や原価を持たない会社には必要がないこともあります。自社の業務が案件を単位としているかを確認したうえで、必要な場合に資料を比べてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. ワークフロー型のAI(AIワークフロー)とは何ですか?

A1. 業務の一連の流れの中に、生成AIによる分類・要約・文章生成といった判断の工程を組み込み、複数の作業をつなげて自動で処理する仕組みです。工程の順番と分岐は人があらかじめ決め、AIは各工程の中の判断を担当します。ツールの名前ではなく、業務の流れをどう設計するかという考え方を指します。

Q2. AIワークフローとAIエージェントの違いは何ですか?

A2. 処理の流れを誰が決めるかが違います。AIワークフローは、工程の順番と分岐を人が設計し、AIは決められた工程だけを担当します。AIエージェントは、目標に対してどの手順で進めるか、どのツールを使うかをAI自身が判断します。進め方が決まっていて検証しやすい業務はAIワークフロー、手順そのものが状況で変わる業務はAIエージェントの要素が必要になります。

Q3. AIワークフローに入力してはいけない情報はありますか?

A3. 入力の可否は社内で決めておきます。個人データは、利用目的の範囲内か、入力した内容がサービス側で機械学習などに使われないかを確認します。取引先から預かった秘密情報、未公開の経営情報、ログイン情報やAPIキーなども、入力してよいか事前にルール化しておきましょう。個別の判断は社内の法務担当者や専門家に確認してください。

Q4. AIワークフローの具体例にはどのようなものがありますか?

A4. 問い合わせメールの分類と回答文の下書き、請求書や領収書の読み取りと経費申請のチェック、商談メモの要約と顧客管理システムへの登録、社内規程に関する問い合わせへの一次回答、ヘルプデスクへの依頼の分類などがあります。いずれも、AIが判断を担い、人が確認する地点を残す形で設計します。

Q5. AIワークフローとRPAは何が違いますか?

A5. RPAは決められた画面操作を再現する仕組みで、手順が決まった定型作業に向いています。AIワークフローはメール本文やPDFなどの非構造データを読み取り、判断や文章生成まで担える点が異なります。実務では、定型部分をRPAや連携ツール、判断部分をAIに任せる組み合わせがよく使われます。

Q6. どの業務からAIワークフローを始めるべきですか?

A6. 頻度が高い、1件あたりの時間と件数の合計が大きい、判断の理由を言葉で説明できる、という3つの基準を満たす業務が向いています。最初は誤りが社内で完結する業務を選ぶと、改善の経験を積みやすくなります。社内問い合わせの一次分類や議事録の要約などがよく選ばれます。

まとめ

AIワークフローは、判断や文章生成を含む業務を自動化できる一方で、対象業務の選び方と人の確認の設計を誤ると、現場で使われずに終わってしまいます。ツールから選ぶのではなく、業務の可視化から順番に進めることが成功の近道です。最後に、今日から取り組める5つのことを整理します。

  1. 業務ごとの頻度と作業時間、申請・承認の履歴を記録し、置き場所を決める。
  2. 頻度、作業時間、判断の言語化しやすさの3つの基準で、最初の対象業務を1つ選ぶ。
  3. 業務を工程に分解し、AI、連携ツール、人の役割と例外時の対応、入力してよい情報を決めてからツールを選ぶ。
  4. 成功基準を決めてパイロットを行い、導入前後の数字で効果を測ってから段階的に広げる。
  5. 案件ごとの工数や承認履歴を一元管理する仕組みが必要か検討し、必要な場合はZACやMA-EYESの資料で確認する。

参考文献

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