bpo 在宅とは?在宅BPOで任せられる業務と運用設計、セキュリティ対策を解説
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- 在宅型BPOの意味と、在宅で任せやすい業務・慎重に判断したい業務の範囲がわかる
- VDIや閉域網などの技術面の対策と、研修や誓約など人の面の対策の確認方法がわかる
- 発注企業側が整える体制と、稼働状況の確かめ方、効果測定の指標がわかる
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の受け皿は、事業者のセンターに人が集まる形だけではなくなりました。委託先のスタッフが自宅で業務を行う在宅型のBPOは、人手不足や災害時の事業継続を背景に選択肢として定着しつつあります。一方で、発注する企業の担当者にとっては「どこまでの業務を在宅で任せてよいのか」「自宅で扱われる自社の情報は守られるのか」「見えない場所での稼働をどう確かめるのか」という不安が残ります。この記事では、bpo 在宅の意味と任せられる業務の範囲を整理したうえで、仮想デスクトップや閉域網を使った技術面の対策、研修や誓約といった人の面の対策、発注企業側が整えるべき体制、よくある失敗、効果測定の方法までを順に解説します。
在宅BPOの進め方を診断
Q1. BPOを在宅体制で進めるうえで、いちばん不安な点はどれですか?
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在宅BPOの稼働・勤怠管理に役立つ勤怠管理システムの比較
在宅でBPOを運用するとき、業務の範囲やセキュリティと並んで早い段階で決めておきたいのが、離れた場所で働く人の稼働時間をどの記録で確かめるかです。センター型であれば入退室の記録や管理者の目で分かることが、在宅では打刻や作業記録のデータでしか分かりません。委託先のスタッフの勤怠を管理するのは雇用主である委託先ですが、発注企業にも、委託先がどのような仕組みで稼働を記録しているかを確かめる場面と、自社で在宅勤務をする窓口担当者や直接雇用の在宅スタッフの勤怠を管理する場面があります。
こうした記録の土台になるのが勤怠管理システムです。在宅での利用を考えるときは、自宅から打刻できるか、作業の内容や工数まで記録できるか、打刻漏れや長時間労働に気づく仕組みがあるかが比較の軸になります。在宅勤務の管理に関わる特徴を持つサービスを、強みと導入前に確認したい点に分けて整理しました。
| サービス名(提供会社) | 在宅の稼働管理で活きる強み | 導入前に確認したい点 |
|---|---|---|
| Kiroku(株式会社かなめ) | メンバーの業務を可視化でき、在宅勤務者の管理にも対応する。タイムカード機能に加えてプロジェクト管理や経費管理も行える | ICカードや生体認証による打刻には対応しておらず、打刻機能はシンプルなもののみ |
| freee勤怠管理Plus(freee株式会社) | GPSを使った勤怠管理に対応し、直行直帰やテレワークでの打刻に使える。同社の人事労務サービスと連携すると給与計算までつなげられる | 初期設定に手間がかかる。連携できるサービスの種類は多くない |
| カオナビ勤怠(株式会社カオナビ) | アラート機能により管理画面で素早く確認できる。打刻に加えてシフトや工数の管理、テレワーク向けの機能を備える | カオナビのオプション扱いのため、詳しい費用は問い合わせで確認する |
どのサービスにも得意な場面と確認が必要な点があり、在宅で働く人数や雇用形態、既に使っている給与計算の仕組みによって合うものは変わります。機能や料金体系は変更されることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。ここで挙げた以外のサービスも含めて、企業規模別の選び方や無料で使えるものまで比べたい場合は、次の記事が参考になります。
bpo 在宅とは|在宅型BPOの意味とできる業務の範囲
bpo 在宅とは、BPOで外部に任せた業務を、委託先のスタッフが事業者のセンターではなく自宅などのリモート環境で行う運用形態を指します。在宅型BPO、リモートBPOと呼ばれることもあります。発注企業から見ると、業務を任せる相手がBPO事業者である点はセンター型と同じで、変わるのは作業が行われる場所と、それに伴う管理の方法です。
なお、この言葉は在宅で働けるBPOの仕事を探す人にも使われますが、この記事では業務を発注する企業の立場から整理します。BPOそのものの仕組みや委託先の事業構造については、BPO事業の仕組みを体系的に解説した記事もあわせて参考にしてください。
在宅型BPOの3つの運用パターン
在宅型といっても、すべての業務を自宅で行うとは限りません。実際の運用は、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 完全在宅型:委託先のスタッフ全員が自宅で作業する。拠点の制約がなく、全国から人材を集めやすい
- ハイブリッド型:定型的な処理は在宅、原本の確認や例外対応はセンターで行う。在宅化の初期段階で選ばれやすい
- センター中心型:通常はセンターで運用し、災害や感染症の流行時に在宅へ切り替えられる体制を持つ
在宅でのコンタクトセンター運営を解説する事業者の情報でも、はじめからすべてを在宅に移すのではなく、センターと在宅を並行させ、問題が起きたときはセンター勤務に戻せるようにしておく進め方が紹介されています。発注企業としても、委託先がどのパターンで運用するのか、切り替えの条件は何かを最初に確認しておくことが大切です。
在宅で任せやすい業務と慎重に判断したい業務
在宅に向くかどうかは、業務の名前ではなく、手順と成果物を文書で決められるか、紙の原本や専用の機器が必要か、扱う情報の機微さはどの程度かで決まります。代表的な業務を3つの区分で整理しました。
| 区分 | 業務の例 | 発注時に確認すること |
|---|---|---|
| 在宅で任せやすい | データ入力、集計とレポート作成、メールやチャットでの一次対応、日程調整、FAQや手順書の作成 | 手順書と検収の基準、質問や例外を上げる経路 |
| 条件を整えれば可能 | 電話でのカスタマーサポート、経理の補助、採用事務、給与計算の補助 | 個人データを扱う範囲、通話や画面の記録方法、自宅の作業環境の基準 |
| 慎重に判断したい | 紙の原本の確認や保管、押印を伴う処理、専用端末でしか行えない処理、機微な情報を大量に扱う業務 | センターや社内に残す範囲、在宅に移す場合の追加の対策 |
同じカスタマーサポートでも、メールやチャットでの対応と、電話での対応では必要な条件が変わります。電話対応は、家族の声や生活音が入らない部屋を確保できるか、通話の内容を周囲に聞かれないかといった作業環境の基準が加わるためです。業務を一括りにせず、工程ごとに在宅に移せるかを判断すると、無理のない範囲が見えてきます。
在宅型BPOのメリットと課題
在宅型を選ぶかどうかを判断するには、センター型と比べて何が良くなり、何が難しくなるのかを把握しておく必要があります。発注企業の立場から見た主な点は次のとおりです。
| 観点 | メリット | 課題 |
|---|---|---|
| 事業継続 | 作業場所が分散するため、災害や交通機関の乱れで業務が一斉に止まりにくい | 自宅の通信障害や停電は個別に起こるため、代替の手段を決めておく必要がある |
| 人材の確保 | 通勤の制約がなく、育児や介護と両立したい人や遠方の人材にも任せられる。定着しやすく、担当者の入れ替わりが減る | 採用や研修をオンラインで行うため、立ち上がりの教育に工夫がいる |
| コスト | 座席や拠点にかかる費用を抑えやすい | セキュリティの環境整備や管理の工数が増え、全体では下がらない場合もある |
| 情報管理 | 仕組みを整えれば、接続や操作の記録がデータとして残る | 家庭の回線、画面ののぞき見、私物の端末など、センターにはないリスクが加わる |
| 品質と連携 | 成果物や指標で管理する運用に切り替えるきっかけになる | 管理者の目が届きにくく、相談の遅れや孤立による品質の低下が起こりやすい |
課題の多くは、委託先の運用設計と発注企業の関わり方で小さくできます。以降の章では、技術面の対策、人の面の対策、発注企業側の体制の順に、確認すべき内容を見ていきます。
運用設計|VDI・閉域網による技術的なセキュリティ対策
在宅でのBPOで最初に問われるのが、自宅という管理の行き届きにくい場所で情報をどう守るかです。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」は、VPN方式、リモートデスクトップ方式、仮想デスクトップ(VDI)方式など複数のテレワーク方式を示し、それぞれの特徴に応じた対策を整理しています。BPOの在宅運用でも、どの方式を採るかで情報の残り方と必要な対策が変わります。
仮想デスクトップ(VDI)で端末にデータを残さない
VDIは、サーバー上に用意したデスクトップ環境を、自宅の端末から画面だけ呼び出して操作する仕組みです。業務のデータやアプリケーションはサーバー側にあり、手元の端末には保存されません。端末の紛失や盗難があっても情報が外に出にくく、ファイルの持ち出しや印刷を一括して制限しやすい点が、個人データを扱うBPOで採用される理由です。記憶装置を持たないシンクライアント端末を貸与し、端末側には何も保存できないようにする運用も見られます。
閉域網やVPNで通信経路を守る
自宅からの通信は、家庭用のルーターや共用の回線を通ることがあります。そのため、インターネットから切り離された閉域網や、通信を暗号化するVPNを使い、業務システムへの経路を限定します。接続できる端末を登録済みのものに限る、接続元を制限するといった設定を組み合わせると、認証情報が漏れた場合でも不正な接続を防ぎやすくなります。
多要素認証とアクセス権限を最小限にする
IDとパスワードだけに頼らず、ワンタイムパスワードや生体認証を加えた多要素認証を使うことが基本です。あわせて、スタッフごとに見られる情報と行える操作を業務に必要な範囲に絞ります。担当の変更や退職があったときに、権限をすぐに外す手順が決まっているかも確認したい点です。
ログを取得し、定期的に確認する
誰がいつどの情報に触れたかを記録するアクセスログ、画面の操作を記録する操作ログは、問題が起きたときの調査だけでなく、不正を思いとどまらせる効果もあります。大切なのは、取得しているだけで終わらせず、決まった頻度で確認する担当と手順があることです。勤務時間外の接続や、通常より多い件数の閲覧といった兆候を見つける運用になっているかを、委託先に尋ねてみてください。
| 対策の層 | 主な内容 | 委託先への確認事項 |
|---|---|---|
| 端末 | 貸与端末の利用、私物端末の禁止、USBなど外部記憶媒体の制限、画面ロック、OSの更新 | 端末は貸与か、私物を認める場合の条件は何か |
| 通信 | 閉域網やVPN、接続元と接続端末の制限 | 公衆の無線LANや共用回線の利用を禁じているか |
| 認証と権限 | 多要素認証、最小限の権限付与、退職時の即時削除 | アカウントの共有を禁じ、棚卸しを定期的に行っているか |
| データ | VDIによる端末への保存の禁止、印刷や画面の写しの制限 | データの受け渡し方法と、契約終了時の返却や削除の手順 |
| 記録 | アクセスログと操作ログの取得、定期的な確認 | ログの保存期間、確認の頻度、発注側への報告の有無 |
委託先を選ぶ際、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証やプライバシーマークの有無は判断材料の1つになります。ただし、認証は管理の仕組みがあることを示すもので、在宅の現場で日々守られているかまでを保証するものではありません。認証の有無に加えて、上の表のような運用の実態を具体的に説明できるかどうかを確かめることが重要です。
人的セキュリティ対策|研修と誓約、作業環境のルール
技術面の対策を整えても、画面をスマートフォンで撮影する、家族がいる部屋で顧客の情報を表示するといった行為までは防ぎきれません。総務省のガイドラインも、ルール、人、技術のバランスが取れた対策の必要性を示しています。在宅でのBPOでは、次のような人の面の対策が運用に組み込まれているかを確認します。
定期的な情報セキュリティ研修
業務を始める前の研修に加えて、年に1回以上の定期的な研修を行っているかを確認します。内容は、情報の取り扱いルール、不審なメールへの対応、事故が起きたときの報告の手順などです。受講の記録と理解度の確認が残っているか、ルールを変更したときに全員へ周知する方法が決まっているかもあわせて尋ねると、形だけの研修かどうかを見分けやすくなります。
誓約書と秘密保持の取り決め
スタッフ一人ひとりから、秘密保持や情報の持ち出し禁止に関する誓約書を取得しているかを確認します。委託先が個人の在宅ワーカーに業務を再委託している場合は、発注企業から見ると再委託にあたるため、再委託を認めるかどうか、認める場合の条件を契約で決めておく必要があります。
自宅の作業環境の基準
自宅で作業するための基準として、次のような項目が定められているかを確認します。
- 家族や同居人から画面が見えない場所で作業すること
- 離席するときは必ず画面をロックすること
- 業務中の画面の撮影、メモの持ち出し、印刷をしないこと
- 電話対応では、通話の内容が周囲に聞こえない環境を確保すること
- カフェやコワーキングスペースなど、自宅以外での作業の可否を明確にすること
在宅でのコンタクトセンター運営では、Webカメラによる作業環境の確認や顔認証による本人確認を組み合わせる事業者もあります。どこまでの確認を行うかは、扱う情報の機微さとスタッフの負担のバランスで決まるため、委託する業務に見合った水準かどうかを話し合っておくとよいでしょう。
個人データを任せる場合の発注企業の責任
顧客や従業員の個人データを扱う業務を委託する場合、発注企業は任せて終わりにはできません。個人情報の保護に関する法律の第25条は、個人データの取扱いを委託する場合に、委託先に対する必要かつ適切な監督を行うことを求めています。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、その内容として、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先における個人データの取扱状況の把握が挙げられています。
在宅での運用では、取扱状況の把握がとくに重要になります。作業場所が自宅であること、そこで行われる対策の内容、事故が起きたときの報告の経路を契約前に確認し、契約後も定期的な報告や監査で実施の状況を確かめます。なお、本記事の法令に関する記述は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の契約や法的な判断についての助言ではありません。具体的な対応は、弁護士などの専門家に確認してください。
発注企業側が整えるべき体制
在宅型のBPOは、委託先の対策だけでは成り立ちません。発注企業の側にも、依頼の出し方、情報の渡し方、稼働の確かめ方について決めておくべきことがあります。
依頼の窓口を一本化し、委託先の責任者を通す
在宅ではチャットやオンライン会議で委託先のスタッフと直接つながりやすく、発注企業の担当者が個々のスタッフに作業の進め方や勤務時間を直接指示してしまうことがあります。請負や準委任の契約でこうした状態が続くと、実態は労働者派遣とみなされる、いわゆる偽装請負のおそれが生じます。厚生労働省は、労働者派遣か請負かは契約の名称ではなく、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に照らして実態で判断されるとしています。依頼や修正の要望は社内の窓口から委託先の責任者に伝え、責任者がスタッフに指示する流れを守ることが基本です。
渡す情報を最小限にし、受け渡しの方法を決める
業務に必要のない項目まで渡すと、万一のときの影響が大きくなります。委託する業務に必要な項目だけを渡し、メールへの添付ではなく、権限を管理できる場所を通じて受け渡します。業務が終わったデータの削除や返却の時期もあらかじめ決めておきます。
稼働状況を誰がどの記録で確かめるかを決める
稼働の可視化は、立場によって確かめる内容が異なります。ここを混同しないことが、適切な体制づくりの前提になります。
| 対象 | 勤怠を管理する主体 | 発注企業が行うこと |
|---|---|---|
| 委託先が雇用する在宅スタッフ | 委託先(雇用主) | 処理件数や稼働時間の集計を報告として受け取る。委託先が打刻や作業記録をどの仕組みで管理しているかを選定時に確認する |
| 自社で直接雇用する在宅スタッフ | 発注企業(雇用主) | 始業と終業の時刻を客観的な記録で把握し、長時間労働になっていないかを確認する |
| 委託先との窓口を担う自社の担当者(在宅勤務の場合) | 発注企業(雇用主) | 検収や問い合わせ対応にかかる時間を記録し、委託による負担の変化を確かめる |
委託先のスタッフについては、発注企業が一人ひとりの出退勤を直接管理するのではなく、委託先が責任を持って管理し、その結果を集計した形で受け取るのが適切な形です。そのうえで、委託先が自己申告だけに頼らず、打刻やシステムの利用記録といった客観的なデータで稼働を把握しているかを確かめておくと、請求の根拠となる稼働時間の信頼性が高まります。
一方、繁忙期の対応などで自社でも在宅スタッフを直接雇用している場合や、窓口の担当者が在宅で勤務している場合は、自社が雇用主として労働時間を把握する立場になります。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」でも、テレワークにおける労働時間の把握について、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎とする方法や、自己申告による場合の留意点が示されています。表計算ソフトへの自己申告だけでは、打刻の漏れや実態とのずれに気づきにくく、集計にも手間がかかります。自宅から打刻でき、作業の内容まで記録できる仕組みを先に整えておくと、委託の範囲を広げるときにも同じ土台を使えます。在宅勤務に対応した勤怠管理システムの選び方は、次の記事で詳しく比較しています。
導入でよくある失敗パターン
在宅型のBPOでつまずく原因は、仕組みが無いことよりも、決めたことが現場で守られないことにあります。よくある失敗と改善の方向を整理しました。
| 失敗パターン(Before) | 起きること | 改善の方向(After) |
|---|---|---|
| セキュリティポリシーの文書はあるが、在宅の現場で守られているかを誰も確かめていない | 私物端末の利用や画面の撮影が黙認され、事故が起きて初めて実態が分かる | 作業環境の自己点検と委託先による確認を定期的に行い、結果の報告を受ける |
| 認証の有無だけで委託先を選ぶ | 在宅での運用の実態を確認しておらず、想定と異なる環境で作業されている | 端末、通信、ログ、研修の運用を具体的に質問し、説明の内容で判断する |
| 稼働時間を自己申告だけで把握する | 請求される時間の根拠が曖昧になり、費用の妥当性を検証できない | 打刻や利用記録などの客観的なデータに基づく集計を報告の条件にする |
| 発注側の担当者が在宅スタッフに直接指示を出す | 偽装請負とみなされるおそれがあり、委託先の責任者も状況を把握できない | 依頼は窓口から委託先の責任者へ、という経路に統一する |
| 最初からすべての業務を在宅に移す | 例外処理や質問への対応が滞り、品質が安定しない | 定型的な業務から始め、センターとの併用を経て段階的に広げる |
1つ目の失敗は、在宅型でとくに起こりやすいものです。センターであれば管理者が歩いて見て回れば分かることが、在宅では確かめる手段を用意しない限り分かりません。ルールを作ることと、守られているかを確かめる手段を持つことを、必ず組にして設計してください。
効果測定の方法|稼働時間と生産性をどう測るか
在宅型に切り替えた効果は、費用だけでは判断できません。委託を始める前に測る指標を決め、センター型や社内で行っていたときの数値と比べられるようにしておきます。指標は次の4つの観点で整理すると考えやすくなります。
| 観点 | 指標の例 | 測り方のポイント |
|---|---|---|
| 生産性 | 稼働1時間あたりの処理件数、1件あたりの処理時間 | 処理件数を稼働時間で割って求める。分母となる稼働時間が正確であることが前提 |
| 品質 | 誤りの発生率、差し戻しの件数、問い合わせ対応の評価 | 件数だけを追うと品質が落ちやすいため、必ず生産性と組で見る |
| 安定性 | 納期の遵守率、欠員が出たときの代替までの時間、スタッフの定着の状況 | 通信障害や急な欠勤があった日の対応を記録しておく |
| 安全性 | ルール違反や事故の件数、研修の受講率、ログ確認の実施状況 | 件数が0であることより、確認が行われた記録があることを重視する |
このうち生産性の指標は、稼働時間の記録が正確でなければ意味を持ちません。処理件数が同じでも、実際の稼働時間が申告より長ければ、1時間あたりの生産性は見かけより低いことになります。逆に、短い時間で多くの件数を処理しているスタッフのやり方を手順書に反映できれば、全体の底上げにつながります。こうした分析は、打刻のデータと作業の記録がそろって初めて可能になります。
確認の頻度は、月ごとに指標を見て、四半期ごとに委託先と振り返りの場を持つのが1つの目安です。振り返りでは、在宅に移す業務を広げるか、センターに戻す工程があるかも話し合います。自社側でも、検収や問い合わせ対応に使った時間を記録しておくと、委託によって社内の負担が本当に減ったのかを確かめられます。稼働の記録を手作業の集計に頼らず仕組みとして残したい場合は、次の記事で勤怠管理システムを比較してみてください。
業種別に見る在宅BPOのポイント
在宅で任せる際に重視すべき点は、扱う情報と業務の性質によって変わります。代表的な業種での考え方を整理しました。
通信販売・小売業
注文の受付や問い合わせ対応など、時期によって量が大きく変わる業務が中心です。在宅型は、繁忙期に合わせて人数を増やしやすい利点があります。一方で、氏名や住所、購入の履歴を扱うため、画面に表示する項目を必要な範囲に絞る、決済に関わる情報は在宅の画面に出さないといった設計が求められます。
金融・保険業
口座や契約に関わる機微な情報を扱うため、在宅に移す工程を慎重に選ぶ傾向があります。申込書類の内容確認のうち定型的な照合だけを在宅で行い、判断を伴う工程や原本の取り扱いはセンターに残すといった分け方が現実的です。VDIや閉域網、操作ログの確認といった対策の水準を、業界の指針や社内の規程に照らして確認します。
IT・情報通信業
ヘルプデスクやシステムの監視など、もともとリモートで行いやすい業務が多い業種です。顧客のシステムに接続する権限を扱うため、アカウントの共有を禁じ、誰がいつ接続したかを追える状態にしておくことが要点になります。夜間や休日の対応を在宅で行う場合は、スタッフの労働時間が長くなりすぎていないかを委託先が管理しているかも確認しておきたい点です。
よくある質問(FAQ)
Q1. bpo 在宅とは何ですか?
A. BPOで外部に任せた業務を、委託先のスタッフが事業者のセンターではなく自宅などのリモート環境で行う運用形態です。在宅型BPO、リモートBPOとも呼ばれます。任せる相手がBPO事業者である点はセンター型と同じで、作業場所とそれに伴う管理の方法が変わります。
Q2. 在宅のBPOではどんな業務を任せられますか?
A. データ入力、集計とレポート作成、メールやチャットでの一次対応など、手順と成果物を文書で決めやすい業務が向いています。電話でのカスタマーサポートや経理の補助は、個人データの範囲や作業環境の基準を整えれば可能です。紙の原本や専用端末が必要な業務は、センターや社内に残すことを検討します。
Q3. VDIや閉域網はなぜ必要なのですか?
A. VDI(仮想デスクトップ)は業務のデータをサーバー側に置き、自宅の端末に残さないための仕組みです。閉域網やVPNは、家庭の回線を通る通信の経路を限定し、暗号化するために使います。多要素認証やログの確認と組み合わせ、複数の層で情報を守ります。
Q4. 委託先の認証取得を確認すれば十分ですか?
A. 十分とはいえません。ISMSの認証やプライバシーマークは管理の仕組みがあることを示しますが、在宅の現場で日々守られているかまでを保証するものではありません。端末、通信、ログ、研修の運用の実態を具体的に質問し、説明の内容で判断することが重要です。
Q5. 発注企業が委託先の在宅スタッフの勤怠を直接管理してもよいですか?
A. 委託先のスタッフの勤怠を管理するのは、雇用主である委託先です。発注企業が個々のスタッフに勤務時間や作業の進め方を直接指示すると、偽装請負とみなされるおそれがあります。発注企業は、委託先が客観的な記録で稼働を把握しているかを確かめ、集計した結果を報告として受け取ります。自社で雇用する在宅スタッフや在宅勤務の担当者については、自社が勤怠を管理します。
Q6. 在宅BPOの効果はどう測ればよいですか?
A. 稼働1時間あたりの処理件数などの生産性、誤りの発生率などの品質、納期の遵守率などの安定性、ルール違反の件数や研修の受講率などの安全性の4つの観点で指標を決め、委託前の数値と比べます。生産性の指標は、稼働時間の記録が正確であることが前提になります。
まとめ
在宅型のBPOは、人材の確保や事業継続の面で利点がある一方、情報の管理と稼働の把握をセンター型とは別の方法で設計する必要があります。bpo 在宅を進める際は、次の4つを押さえておきましょう。
- 業務を工程ごとに見て、手順と成果物を決めやすいものから在宅に移し、原本や専用端末が必要な工程は残す。
- VDIや閉域網、多要素認証、ログの確認といった技術面の対策と、研修や誓約、作業環境の基準といった人の面の対策を、運用の実態まで確認する。
- 依頼は窓口から委託先の責任者を通し、個人データを任せる場合は選定、契約、取扱状況の把握を通じて委託先を監督する。
- 稼働時間を客観的な記録で把握する仕組みを整え、委託先の管理方法の確認と自社の在宅担当者の勤怠管理の両方に活かす。
参考文献
- 総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/
- 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gigi_outou01.html
- 独立行政法人情報処理推進機構「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」 https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html