中国オフショアBPOとは?特徴・リスクと国内BPOとの比較軸を解説

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  • 中国オフショアBPOの特徴とリスクがわかる
  • 国内BPOとの比較軸と国内回帰の進め方がわかる
  • 海外委託先との契約と個人データの確認点がわかる

中国BPOとは、日本企業が受付・入力・経理処理などの業務の一部を、中国にある委託先に任せる中国オフショアBPOのことです。日本語ができる人材の多さと1時間という時差の小ささから、長く最初の候補とされてきました。一方で近年は、人件費の上昇、データの取扱いに関する中国の法律、地政学リスクを理由に、委託を続けるか、国内や他の国へ移すかを見直す企業が増えています。この記事では、「bpo 中国」と検索した発注企業の担当者に向けて、中国オフショアBPOの特徴とリスク、国内BPOや他の国との比べ方、国内回帰の進め方、契約前に確認したいポイントを中立的に整理します。まず、トラブルの原因になりやすい契約の話から見ていきます。

中国オフショアBPOの契約まわりで、先に確認したいことを診断

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目次

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  1. 中国オフショアBPOで起きやすい契約トラブルと、海外委託先の契約書を確認する方法
  2. bpo中国とは|中国オフショアBPOの特徴
  3. オフショアBPOのリスク|中国ならではの論点
  4. 国内BPO・他国オフショアとの比較軸
  5. 国内回帰の動きと、移管を検討するときの進め方
  6. 導入時に確認すべきポイント
  7. よくある失敗パターン
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ
  10. 参考文献

中国オフショアBPOで起きやすい契約トラブルと、海外委託先の契約書を確認する方法

中国オフショアBPOのトラブルは業務そのものより契約の決め方から起きやすく、準拠法・紛争解決・再委託・データの返還と削除の4点が最初の確認項目です。

どの国の法律で契約を解釈するのか、争いになったらどこで解決するのか、委託先が別の会社に再委託してよいのか、契約が終わったときにデータをどう返してもらい、どう消してもらうのか。こうした点があいまいなまま業務を始めると、情報漏えいや撤退のときに打てる手が少なくなります。個人データを渡す場合は、日本の個人情報保護法で定められた外国にある委託先への提供の手続きも関わります(詳しくは外国にある委託先に個人データを渡す3つの道筋で整理します)。

ただ、委託先から渡された契約書の雛形は、外国語で書かれていたり、自社の過去の契約と条項の並びが違っていたりして、社内で突き合わせるのが簡単ではありません。そこで選択肢になるのが、過去の契約書や条項をAIで検索・比較して見直しを効率化する文書管理型のツールと、弁護士に契約書のレビューや法務相談を依頼するアウトソース型のサービスです。役割の違いを次の表で比べます。

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bpo中国とは|中国オフショアBPOの特徴

中国オフショアBPOとは、日本企業の業務の一部を、中国にある委託先(日系企業の現地拠点や現地のBPO事業者)に任せることです。日本語ができる人材の多さと、長年の取引で積み上がった運用の経験が、他の国にはない特徴として挙げられます。BPOそのものの意味や正式名称は、BPOの意味とは|正式名称・定義・関連用語をビジネス視点で整理の記事で説明しています。

中国が選ばれてきた理由

中国がオフショア先として広がった背景には、大きく3つの理由があります。1つ目は、大連や上海など、日本語教育に力を入れてきた都市に日本語人材が集まっていることです。日本語のままで業務を指示でき、日本語の帳票やメールを処理できる点は、英語圏のBPO拠点にはない強みでした。2つ目は、時差が1時間と小さく、日本の営業時間とほぼ同じ時間帯で業務を回せることです。3つ目は、1990年代から2000年代にかけて多くの日本企業が中国に拠点を置いたため、日本向けの業務のやり方が現地で蓄積されていることです。このほか、繁忙期に合わせて担当者の数を調整できるかどうかも委託先選びの論点になりますが、対応できる範囲は事業者や契約によって異なります。

中国に任されることが多い業務

業務の種類 具体例 中国に任せるときの論点
データ入力・書類処理 アンケートや申込書の入力、スキャンした帳票のデータ化 個人情報を含むかどうかで、必要な手続きと管理の重さが変わる
経理・財務処理 仕訳入力、請求書処理、経費精算のチェック 日本の会計・税務のルールを理解した人材が確保できるか
コールセンター・問い合わせ対応 メールやチャットの一次対応、受注受付 敬語や言い回しの品質、顧客の個人情報の取扱い
IT関連業務 システムの保守運用、テスト、ヘルプデスク システムへのアクセス権限と、ソースコードや設計情報の管理

人件費と人材の規模の変化

かつて中国オフショアBPOの最大の魅力は、人件費の安さでした。しかし経済成長にともなって都市部の賃金は上がり続け、特に日本語ができる人材は他の業界からも求められるため、単価の差は以前ほど大きくありません。コスト削減だけを目的にしている場合は、ベトナムやフィリピンなど他の国、あるいは地方拠点を使う国内BPOと比べ直す価値があります。一方で、日本語人材の厚みや運用ノウハウは今も大きな資産であり、単価の差が縮んでも、品質と引き継ぎのしやすさを理由に中国を選ぶ企業もあります。

オフショアBPOのリスク|中国ならではの論点

中国オフショアBPOの主なリスクは、データの取扱いに関する法律、地政学リスク、言語とコミュニケーションの3つです。海外委託全般に共通するものと、中国ならではのものに分けて考えると整理しやすくなります。ここでは特に影響の大きいこの3つを取り上げます。

データの取扱いに関する中国の法律

中国では、2017年施行のサイバーセキュリティ法、2021年施行のデータ安全法と個人情報保護法によって、データの取扱いに関するルールが整備されてきました。これらの法律では、重要なデータや一定量以上の個人情報を国外に移すときの手続きや、当局への協力に関する規定が置かれているとされています。日本企業が中国の委託先にデータを渡す場合、日本側だけでなく中国側の法律がどう適用されるのかも確認が必要です。法律の運用は改正や通達によって変わることがあるため、最新の情報は専門家やジェトロ(日本貿易振興機構)などの公的機関の情報で確認してください。

日本の個人情報保護法との関係

日本側にも注意点があります。個人情報保護法では、外国にある第三者に個人データを提供する場合のルールが定められており(第28条)、本人の同意を得るか、委託先が一定の体制を整えていることを確認するなどの対応が求められるとされています。本人の同意を得る場合は、移転先の国の名称や、その国の個人情報保護制度に関する情報を本人に伝えることも必要です。個人情報保護委員会は、中国を含む各国の制度をまとめた資料を公表しているので、同意取得の説明や社内の判断に使うことができます。委託の形によって必要な対応は異なるため、個別の判断は専門家に確認してください。

外国にある委託先に個人データを渡す3つの道筋

個人情報保護委員会のガイドライン(外国にある第三者への提供編)は、日本の事業者が外国の事業者に顧客データの入力業務を委託する場合を、典型的な事例の一つとして取り上げています。法令に基づく場合などの例外を除き、外国にある第三者に個人データを提供できるのは、次のいずれかに当たる場合です。

道筋 内容 中国の委託先に渡すときの確認点
1. 本人の同意 あらかじめ、外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得る。同意を得るときは、移転先の国の名称、その国の個人情報保護制度に関する情報、提供先が講じる保護措置に関する情報を本人に伝える 同意の取り方と情報提供の方法を、利用目的の説明とあわせて決める。移転先の国が特定できない場合や、保護措置の情報を提供できない場合の扱いもガイドラインに定められている
2. 基準に適合する体制を整えた提供先への提供 提供先が、日本の個人情報取扱事業者に求められる措置に相当する措置を継続的に講じる体制を整えている場合。外国の事業者に取扱いを委託する場合は、提供元と提供先の契約、確認書、覚書などで担保する例が示されている 契約書に、安全管理、再委託、漏えい時の報告、データの返還と削除などを盛り込む。提供後も、実施状況と相手国の制度の有無を定期的に確認し、支障が出たときは必要な措置を講じ、継続が難しければ提供を停止する
3. 同等水準と認められた国への提供 個人情報保護委員会が、日本と同等の水準の制度を持つ国として定めた国への提供。該当するのはEUと英国 中国は含まれないため、1か2のいずれかで対応する

2の道筋では、契約書の条項が体制を支える根拠になるため、前の章で触れた契約の確認と直接つながります。どの条項をどの程度そろえるか、提供後の確認をどの頻度で行うかは、扱うデータや委託の形によって変わります。本章の内容は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士などの専門家に確認してください。

地政学リスクと業務継続

国と国との関係が悪化したときや、感染症の流行、大規模な移動制限などが起きたときに、委託先の業務が止まるリスクもあります。実際に、移動制限によって委託先のスタッフが出社できず、在宅での業務もセキュリティ上の理由で認められなかったため、業務が滞ったという話は珍しくありません。オフショア先を1か国に集中させている場合は、代わりの拠点や国内での一時的な対応方法を、平時のうちに決めておくことが大切です。

言語・文化とコミュニケーション

日本語ができる人材が多いとはいえ、細かなニュアンスや業界特有の言い回し、「言わなくても分かるだろう」という前提は伝わりにくいことがあります。マニュアルに書かれていない判断を委託先に任せると、日本側の期待とずれた処理が続き、後から大量の修正が必要になることもあります。判断の基準を文書にし、例外が起きたときの確認の流れを決めておくことが、品質を安定させる近道です。

リスクの種類 起こりうること 主な備え
データの法規制 データの持ち出しや返還に制約がかかる 渡すデータを最小限にし、保存場所と返還・削除の方法を契約で決める
情報漏えい 委託先や再委託先から情報が流出する アクセス権限の管理、監査の権利、再委託の事前承認
地政学・災害 業務が長期間止まる 代わりの拠点の確保、業務継続計画の共有
言語・品質 期待とずれた処理が続き、やり直しが増える 判断基準の文書化、品質の指標と報告の頻度を決める

国内BPO・他国オフショアとの比較軸

中国に任せるかどうかは、単価だけでなく、日本語対応、法規制、業務継続、管理の手間を、国内BPOや他国のオフショアと並べて比べて決めます。大切なのは、見積もりの単価だけでなく、管理にかかる手間や、問題が起きたときの影響まで含めて比べることです。

比較軸 中国オフショア 他国オフショア(ベトナム・フィリピン等) 国内BPO(地方拠点を含む)
単価 以前より差が縮んでいる 低めに抑えやすいとされる 高めだが、地方拠点で抑える方法もある
日本語対応 人材の層が厚い 拠点や事業者によって差が大きい 問題になりにくい
データ・法規制 中国の法律への対応が必要 国ごとに制度を確認する必要がある 日本の法律の範囲で管理できる
業務継続 地政学リスクへの備えが論点になる 自然災害や通信環境も確認が必要 国内の災害への備えが中心
管理の手間 運用ノウハウが蓄積しており比較的少ない 立ち上げ時の教育に手間がかかりやすい 少ない

この表から分かるように、どの選択肢にも一長一短があり、「中国だから避ける」「国内だから安心」と単純には言えません。個人情報を多く含む業務は国内、個人情報を含まない定型の入力作業は海外、というように、業務ごとに委託先を分ける方法も現実的です。業務を分けるときは、それぞれの委託先と結ぶ契約の内容をそろえておかないと、管理の基準がばらばらになります。BPO全般のメリットとデメリットの整理は、BPOのメリット・デメリット完全解説|規模別の向き不向きまで整理の記事も参考になります。

見落としやすい総コスト|委託後も社内に残る作業

委託先の単価が下がっても、総コストが下がるとは限りません。委託後も、品質の確認、例外が起きたときの判断、委託先からの問い合わせへの回答などで、社内の担当者の時間が使われ続けていることがあるためです。委託先にどの作業がどこまで任されていて、どの作業が社内に残っているのかを書き出し、委託費と社内の工数を合わせて比べると、見積もりの単価だけでは見えない差が分かります。

もう一つ確認したいのが、委託先での作業の中身とコストの内訳が見えるかどうかです。作業の手順やツールの導入状況が共有されない状態が続くと、費用を見直したいときの交渉材料がなく、将来ほかの委託先や自社へ移すときにも引き継ぎが難しくなります。契約通貨が人民元の場合は、為替レートの動きで円換算の負担が変わる点も、見積もりの前提として確認しておきましょう。

委託先を複数に分けるほど、契約書の数も確認すべき条項も増えていきます。そこに中国語や英語の契約書が混ざると、社内の担当者だけで条項の意味と自社に不利な点を見極めるのは難しくなります。情報管理や再委託、データの返還といった条項を委託先ごとにそろえ、更新のたびに見直す作業を弁護士に任せたい会社の場合の一例が、MOLTON株式会社が提供するクラウドリーガルです。厳選された弁護士による契約書レビューは、基本1営業日以内にWordコメント付きで返答があり、チャット・リモート面談・電話での法務・労務相談、契約書の自動作成、英文契約書のレビューにも対応しています。注意点として、契約書レビューはサービス内の一部で1通あたり7ページ以下が対象となり、プランごとに相談時間やレビュー件数の上限があります。中国語の契約書への対応は商品ページに記載がないため、必要な場合は資料で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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国内回帰の動きと、移管を検討するときの進め方

国内回帰とは、中国などの海外に任せている業務を国内に戻すことで、人件費の差の縮小や地政学リスクを背景に、検討する企業が増えているとされています。ただし、移管には費用も手間もかかるため、検討を始めてから実行までに時間がかかるケースも少なくありません。ここでは、国内回帰が検討される理由と、移管を進めるときの確認事項を整理します。

国内回帰が検討される理由

1つ目の理由は、コスト面の前提が変わったことです。海外に任せる利点が人件費の安さだった場合、単価の差が縮めば、管理の手間やリスクへの備えにかかる費用のほうが目立つようになります。2つ目は、自動化の手段が増えたことです。紙の帳票を読み取るAI-OCRや、定型の操作を自動化するRPA、申請や承認を電子化するワークフローなどを使えば、これまで人手に頼っていた入力や照合の作業そのものを減らせる場合があります。人手が減れば、人件費の高い国内で処理しても総コストが見合う可能性が出てきます。3つ目は、委託したい業務の中身が変わってきたことです。単純な入力作業だけでなく、業務の流れの見直しやデータの活用まで含めて任せたいという要望が増えると、業務の背景を共有しやすい国内の委託先のほうが進めやすい場面があります。

注意したいのは、中国で行っている作業を今のやり方のまま国内に移すと、単にコストが上がるだけになりやすい点です。国内回帰を検討するときは、移管と同時に業務の流れを見直し、なくせる作業や自動化できる作業を先に洗い出すことが前提になります。また、すべてを戻す必要はなく、個人情報を含む業務だけを国内に移し、それ以外は中国に残すといった段階的な進め方もあります。

移管を進めるときの確認事項

移管でいちばん大切なのは、切り替えの前後で業務を止めず、処理のミスを増やさないことです。そのためには、今の委託先の協力が欠かせません。次の点を、移管を決める前に確認しておきましょう。

確認する項目 確認の内容 確認しないと起こりうること
解約の条項 解約の予告期間、途中解約の費用、引き継ぎへの協力義務の有無 想定外の費用が発生したり、引き継ぎの協力が得られなかったりする
引き継ぎの期間 新旧の委託先が並行して処理する期間をどれだけ取るか 切り替え直後に処理のミスや遅れが集中する
業務の現状把握 今の手順と判断基準が文書になっているか、委託先の担当者しか知らない処理がないか 移管先に業務を正しく伝えられない
自社の工数 手順の確認や受け入れテストを担当する社内の人員を確保できるか 移管の作業が進まず、予定が後ろにずれる
データと資産の帰属 データ、マニュアル、機器、ツールがどちらのものか。返還と削除の方法 必要なデータや資料を持ち帰れない
移管後の費用の見通し 業務の見直しや自動化を含めて、どの時点で費用が見合うか 移管しただけでコストが増えたままになる

移管先の形も、外部の国内BPO事業者に任せる方法だけではありません。自社やグループ内に業務を集約する部門を置く方法や、立ち上げと当面の運用を外部に任せ、安定した後に自社へ引き取る方法もあります。どの形を選ぶ場合でも、解約の条項と引き継ぎへの協力義務は、今の契約書にどう書かれているかが出発点になります。これから中国の委託先と契約する企業も、将来の移管を想定して、次の章の確認事項を契約の段階で決めておくと、後の選択肢を狭めずに済みます。

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導入時に確認すべきポイント

契約前の確認は、契約、情報管理、運用の3つに分けると抜け漏れを防げます。新しく契約する場合だけでなく、既存の契約を更新するときの見直しにも使えます。

契約で決めておきたいこと

  • 準拠法と紛争解決の方法(どの国の法律で解釈し、裁判と仲裁のどちらで、どこで解決するか)
  • 業務範囲と品質の基準(何をどこまで任せ、どの指標で品質を測るか)
  • 再委託の可否と、再委託する場合の事前承認の手続き
  • 契約終了時のデータの返還・削除の方法と、その証明の出し方
  • 解約の条件と、次の委託先や自社への引き継ぎへの協力義務

情報管理で確認したいこと

  • データをどの国のどのサーバーに保存するのか
  • 委託先のスタッフが閲覧できる範囲と、アクセス記録の保存
  • 日本側が監査や立入り確認を行う権利
  • 情報漏えいが起きたときの報告の期限と連絡の流れ
  • 個人情報保護法の外国第三者提供への対応(本人同意か、体制の確認か)

運用で決めておきたいこと

契約と情報管理が整っても、日々の運用があいまいだと品質は安定しません。判断基準をまとめたマニュアルの管理者、例外が起きたときの確認先、定例の報告の頻度と内容を決めておきましょう。あわせて、委託先がどの作業にどれだけの時間を使っているか、費用の内訳は何かを、定例の報告で見える形にしておくと、費用の見直しや将来の移管のときに役立ちます。また、委託先に業務を任せきりにすると、社内に業務の知識が残らず、将来ほかの委託先に移すときに引き継ぎができなくなります。業務の流れと判断基準は、自社側でも最新の状態を持っておくことが大切です。

なお、委託先のスタッフに日本側の社員が直接細かく指示を出す運用は、契約の形によっては問題になることがあります。国内の請負契約で同様の論点が指摘されており、指示の経路を契約で明確にしておくことが推奨されています。本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の契約内容については、弁護士などの専門家に確認してください。

ここまでの確認項目のうち、自社の委託契約にどれが当てはまるかを、次のセルフチェックで確かめられます。

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よくある失敗パターン

よくある失敗は、コストの安さを理由に契約を急ぎ、品質、情報管理、撤退の備えを後回しにしてしまうことです。代表的なパターンと、見直した後の形を並べます。

よくある失敗(Before) 見直した後(After)
単価の安さだけで委託先を決め、やり直しの手間で結局コストが増えた 管理の手間や品質のやり直しも含めた総コストで比べ、品質の指標を契約に入れた
再委託の条項がなく、知らない会社に業務が回っていた 再委託は事前承認制とし、再委託先にも同じ情報管理の基準を求めた
撤退を決めたが、データの返還方法や引き継ぎの協力が契約になく、移管に時間がかかった 契約時にデータの返還・削除と引き継ぎへの協力義務を定めた
個人情報を含むデータを渡していたが、外国第三者提供の手続きを確認していなかった 渡すデータを見直して個人情報を減らし、必要な手続きを専門家と確認した
相手が用意した契約書をそのまま使い、準拠法が中国法になっていた 契約前に外部の専門家に契約書を確認してもらい、紛争解決の方法を交渉した

表の最後の例のように、委託先が用意した契約書の雛形は、委託先にとって都合のよい内容になっていることがあります。とくに英語や中国語の契約書では、日本語の訳だけを見て判断すると重要な条項を見落とすおそれがあります。社内で読み込む時間や体制がない場合は、契約書のレビューを外部に任せるのも一つの方法です。その場合も、準拠法、紛争解決、再委託、データの返還・削除といった確認してほしい条項を先に決めておくと、レビューの目的がぶれません。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 中国オフショアBPOとは何ですか?

A. 日本企業の業務の一部を、中国にある委託先に任せることです。日本語ができる人材が多く、時差が1時間と小さいことから、データ入力や経理処理、問い合わせ対応などが多く任されてきました。

Q2. 中国に委託すると今も安くなりますか?

A. 中国の人件費は上がり続けており、以前ほど大きな差はなくなっています。単価だけでなく、管理の手間や委託後も社内に残る作業、将来の移管の費用も含めた総コストで、国内BPOや他の国と比べるのがおすすめです。

Q3. 中国の委託先に個人情報を渡すときに必要な手続きはありますか?

A. 日本の個人情報保護法では、法令に基づく場合などの例外を除き、外国にある第三者への個人データの提供について、本人の同意を得るか、提供先が基準に適合する体制を整えていることが必要とされています。同等水準の国として定められているのはEUと英国で、中国は含まれません。中国側の法律も関係するため、個別の判断は専門家に確認してください。

Q4. 中国のBPO事業者にはどのような種類があり、選ぶ前に何を確認すればよいですか?

A. 日系企業の現地拠点や現地のBPO事業者など、委託先の形はいくつかあります。知名度だけで選ばず、契約の相手が日本法人か現地法人か、実際に作業する拠点はどこか、再委託はないか、扱うデータの範囲と保存場所はどこかを確認しましょう。

Q5. 国内BPOや他の国とはどう使い分け、地政学リスクにはどう備えればよいですか?

A. 個人情報を多く含む業務や判断が多い業務は国内、個人情報を含まない定型の作業は海外、というように業務ごとに分ける方法があります。海外に任せる場合は、オフショア先を1か国に集中させず、代わりの拠点や国内での一時的な対応方法を平時のうちに決め、委託先ごとの契約で情報管理の基準と業務継続計画の共有をそろえておきましょう。

Q6. 海外の委託先との契約書は誰に確認してもらえばよいですか?

A. 社内に法務担当がいない場合や外国語の契約書を読む体制がない場合は、弁護士や、契約書のレビューと法務相談を請け負う企業法務アウトソーシング(ALSP)のサービスを利用する方法があります。過去の契約書や条項を検索・比較して見直しを進めるツールもあります。準拠法や紛争解決、再委託、データの返還などの条項を中心に確認してもらいましょう。

まとめ

中国オフショアBPOは、日本語人材の厚みと運用ノウハウという強みを持つ一方で、人件費の上昇、データの取扱いに関する法律、地政学リスクといった論点が大きくなっています。「中国だから避ける」「安いから選ぶ」ではなく、業務ごとの特性に合わせて判断することが大切です。検討を進めるための4つのステップを整理します。

  1. 任せたい業務を洗い出し、個人情報の有無や判断の多さで、国内と海外のどちらに向くかを分ける。
  2. 単価だけでなく、管理の手間、委託後も社内に残る作業、リスクへの備えを含めた総コストで、中国・他国・国内を比べる。
  3. 契約前に、準拠法、再委託、データの返還・削除、外国第三者提供の手続きを、手元の契約書で確認する。
  4. 確認の体制が足りないと感じたら、契約書の突き合わせや弁護士のレビューを支えるサービスの資料を取り寄せて比べる。

参考文献

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