DXとペーパーレスの違いとは?定義・包含関係からDXにつなげる進め方まで解説

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  • DXとペーパーレスの違いが分かる
  • ペーパーレスの位置づけが3段階で分かる
  • 契約書から始める5ステップが分かる

DXとペーパーレスの違いは、目的と範囲にあります。DXはデータとデジタル技術を使って、業務やビジネスモデル、組織のあり方まで変える取り組み全体で、ペーパーレスは紙の書類を電子データに置き換える手段の一つです。ペーパーレスはDXに含まれる取り組みですが、紙をなくしただけではDXになりません。「ペーパーレス化を進めているからDXもできている」という認識のまま進めると、紙が消えたところで取り組みが止まりかねません。この記事では、定義と包含関係、デジタル化の3段階、ペーパーレスがDXの入口になる理由、つまずきやすい誤解、自社の現在地の見分け方、契約書から始める進め方、失敗パターン、効果の測り方、DXへの広げ方までを順に解説します。

DXとペーパーレス、自社はどこから確かめる? かんたん診断

Q1. いま、DXとペーパーレスについて確かめたいことは?

目次

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  1. DXとペーパーレスの違い|定義と包含関係を最初に整理
  2. デジタイゼーション・デジタライゼーション・DXの3段階|ペーパーレスの位置づけ
  3. ペーパーレスがDXの入口になる理由
  4. ペーパーレスがDXにつながらないと言われる理由|3つの誤解とデメリット
  5. 自社の取り組みはペーパーレス止まりかDXか|5つの問いで見分ける
  6. ペーパーレス化の進め方|契約書から始める5ステップ
  7. ペーパーレス化でよくある失敗パターン
  8. ペーパーレス化の効果測定の方法
  9. ペーパーレスから次のDXステップへの広げ方
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ
  12. 参考文献

DXとペーパーレスの違い|定義と包含関係を最初に整理

DXとペーパーレスの違いは、DXが業務や事業そのものを変える経営変革の取り組み全体であるのに対し、ペーパーレスは紙を電子データに置き換える手段の一つである点です。

DXとは|データとデジタル技術で、業務と事業を変えること

経済産業省のデジタルガバナンス・コード3.0は、DXを、企業がビジネス環境の変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、製品・サービスやビジネスモデルを変えるとともに、業務、組織、プロセス、企業文化・風土まで変革し、競争上の優位性を確立することと定義しています。重心はツールの導入ではなく、それを使って何を変えるかにあります。

ペーパーレスとは|紙の書類を電子データに置き換えて、紙を減らすこと

ペーパーレスは、紙で作って回して保管していた書類を電子データに置き換え、紙の使用を減らす取り組みです。契約書を電子契約に、請求書を電子発行に、稟議書をワークフローに、会議資料を画面共有やクラウド上のファイルに切り替えることが該当します。印刷や郵送、保管のコスト削減、書類を探す時間の短縮、テレワークへの対応が主な狙いです。

違いを5つの観点で比べる

観点 DX ペーパーレス
位置づけ 経営変革の取り組み全体(目的に近い) DXを進めるための手段の一つ
目的 業務プロセス、ビジネスモデル、組織文化を変え、競争力を高める 紙の使用を減らし、書類業務のコストと手間を減らす
対象範囲 全社の業務、顧客との接点、商品・サービス 契約書、請求書、稟議書など書類を扱う業務
主な担い手 経営層が方針を示し、全部門が関わる 総務、法務、経理など書類を扱う部門が中心
成果の測り方 売上・利益、顧客体験、意思決定の速さなど事業の指標 印刷枚数、郵送費、書類を探す時間など業務の指標

最初のペーパーレス対象になりやすい契約書|電子契約システム5サービスの役割の違い

違いがわかっても、実務で最初にぶつかるのは「どの紙から手をつけるか」です。社内文書は自社の判断で電子化できますが、取引先がいる契約書は、印刷、押印、郵送、返送、保管と工程が多く、紙が最後まで残りがちです。契約書を電子化できると、効果が日数や枚数で見えやすく、締結後のデータを検索や期限管理にも使えます。資料請求できる5サービスを、向いている会社の違いで並べました(優劣ではありません。商品ページ確認日は2026年10月16日)。

契約書のペーパーレス化に使える電子契約システム5サービスの役割の違い

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この状況に合う一例:電子印鑑GMOサインは、立会人型なら相手がアカウント登録をしなくてもメールから契約を締結できます。

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この状況に合う一例:freeeサインは、契約書ごとにワークフローを設定でき、承認の進み具合をステータスで確認できます。

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この状況に合う一例:Contract Oneは、紙・PDF・電子契約の契約書をデータ化して全文検索でき、紙の契約書はスキャン作業を代行してもらえます。

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サービス 電子印鑑GMOサイン freeeサイン マネーフォワード クラウド契約 Contract One SMBCクラウドサイン
向いている会社 取引先に負担をかけず、署名方式も使い分けたい会社 稟議から締結までを一つの流れで進めたい会社 紙と電子の契約書を一つで管理したい会社 過去の紙の契約書が多く、データ化から始めたい会社 契約書を検索しやすく保管し、更新管理まで整えたい会社
特徴 立会人型と当事者型に対応。ワークフロー機能あり 契約書ごとのワークフローと30種類以上の契約書フォーマット 作成から保管までを一つで完結。紙と電子の契約書を一元管理し、他の業務との連携も可能 紙・PDF・電子契約の契約書をデータ化し、全文検索と期限アラートを使える 検索機能が電子帳簿保存法の検索要件に対応。AI契約書管理と書類インポート
注意したい点 機能とオプションが豊富で、すべて使うとオプション料金が発生することがある 画面が簡素な分、機能の場所がわかりにくい場合がある ハンコの印影の表現にもう少し工夫がほしいという声がある 導入時に業務フローの見直しが必要な場合がある フォルダ管理の自由度が低い。書類インポートはCorporateプラン以上
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  • 契約が必要な書類の種類、必要な印鑑種類によっての承認フローの設定や、担当者印で進行する場合の設定、送付作業など、視覚的にシンプルでわかりやすい。 法務部門に所属していない、印鑑対応が1回/3ヶ月程度の現場担当であってもスムーズに対応ができる。

  • きちんとした審査をしたうえでの電子発行なので安心であることと、印紙税や郵送費の削減、契約締結にかかる手間の軽減や時間の大幅な短縮により、業務の効率化を実現することがメリットだと思います。 はじめての取引先クライアント様へも安心材料として提示できるので業務がスムーズに進みます。

  • 紙の契約業務から解放されたのが一番のメリットです。

契約件数や取引先の情報が可視化されるようになったことで、法務を統括するホールディングスカンパニーとして、契約管理の精度と効率が大きく向上しました。

日建レンタコム株式会社 出典:電子印鑑GMOサイン導入事例

デジタイゼーション・デジタライゼーション・DXの3段階|ペーパーレスの位置づけ

デジタル化の3段階で見ると、ペーパーレスは最初の段階であるデジタイゼーションにあたり、DXはその先にある最終段階です。

経済産業省のDXレポート2(中間取りまとめ)は、DXをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3つの段階に分けています。デジタイゼーションはアナログ・物理データの単純なデジタルデータ化で、典型的には紙文書の電子化です。デジタライゼーションは個別の業務・プロセスのデジタル化、デジタルトランスフォーメーションは全社的な業務・プロセスのデジタル化と、顧客起点の価値創造のための事業やビジネスモデルの変革とされています。契約業務に当てはめると、次のように整理できます。

段階 内容 契約業務に当てはめた例
1. デジタイゼーション 紙などのアナログ情報を、デジタルデータに置き換える 紙の契約書をPDFにする、電子契約で締結する(ペーパーレス)
2. デジタライゼーション 個別の業務・プロセスをデジタルで効率化する 契約の申請から承認、締結、更新通知までをシステム上でつなぐ
3. デジタルトランスフォーメーション データを使って全社の業務や事業のあり方を変える 契約データを分析して取引条件を見直し、提供の形そのものを設計し直す

表の右の列は、契約業務に当てはめた説明のための例です。この3段階で見ると、ペーパーレスは「DXの入口」であり「DXの一部」ですが、「DXそのもの」ではないことがはっきりします。同じ報告書は、ペーパーレスに使うクラウドストレージやOCR製品を、直ちに取り組む例として挙げる一方、こうしたツールの導入が完了したからといってDXが達成されるわけではないことにも留意が必要だと述べています。

ペーパーレス・電子化・デジタル化・DXの4つの言葉の違い

検索では「ペーパーレスと電子化とDXの違い」もよく調べられています。似た言葉を、本記事での整理として並べます。

言葉 意味の中心 範囲 具体例
電子化 紙などの情報をデータに変えること 書類単位 紙の契約書をスキャンしてPDFにする
ペーパーレス 紙を使わない運用に切り替え、紙の使用を減らすこと 書類を扱う業務 契約書を電子契約で締結し、紙の原本を作らない
デジタル化 業務にデジタル技術を取り入れること(電子化より広い) 個別の業務から全体まで 電子化したデータで承認や更新通知を自動化する
DX データとデジタル技術で業務・組織・事業を変え、競争上の優位性を確立すること 全社の業務と事業 契約データの分析をもとに取引条件や提供の形を見直す

電子化は紙をデータにする作業、ペーパーレスはそれを運用として定着させ紙を減らすこと、DXはその先で業務や事業の姿を変えることと捉えると、混同しにくくなります。

ペーパーレスがDXの入口になる理由

ペーパーレスはDXのすべてではありませんが、多くの企業にとって最初に取り組みやすい入口です。理由は大きく4つあります。

データがなければDXは始まらない

DXの中心はデータの活用です。契約条件や請求金額、顧客とのやり取りが紙の中にしかなければ、検索も集計も分析もできません。紙の書類をデータに置き換えるペーパーレスは、DXに必要な材料をそろえる作業です。データ化されていない業務に分析ツールやAIを入れても、読み込ませる情報がないため効果は出にくくなります。

効果が見えやすく、社内の理解を得やすい

DXは成果が出るまでに時間がかかり、途中で「何のためにやっているのか」が見えにくくなります。ペーパーレスは、印刷枚数や郵送費、締結までの日数といった数字で効果を示しやすく、小さな成功体験を積み上げて次の段階への協力を得やすい取り組みです。

場所に縛られない働き方の前提になる

押印や書類の受け取りのために出社が必要な状態では、テレワークや拠点をまたいだ業務が滞ります。書類が電子化されていれば、承認や確認を場所に関係なく進められます。

「5つのレス」の中核として取り組みやすい

東京都の「5つのレス徹底推進プロジェクト」は、ペーパーレス、はんこレス、キャッシュレスの3つのレスに、FAXレスとタッチレスを加えた5つを、都政のDX推進に向けて徹底するものです。同プロジェクトは、ペーパーレスやはんこレスを実現するだけにとどまらず、デジタルを前提とした仕事の仕方へ転換することを掲げています。契約書を電子化すれば、押印や郵送も同時になくせるため、複数のレスを一度に進められます。

ペーパーレスがDXにつながらないと言われる理由|3つの誤解とデメリット

ペーパーレスがDXにつながらないのは、電子化そのものを目的にする、IT部門だけで進める、紙の手順を変えない、といった進め方に原因があります。

誤解1「電子化できたからDXは完了した」

最も多いのが、紙をデータにした段階でDXが終わったと考えてしまう誤解です。先に触れたDXレポート2も、ツールの導入が完了しても、それだけでDXが達成されるわけではないと述べています。電子化したデータを使って業務の流れを組み替え、事業のあり方まで変えて初めて、DXと呼べる状態に近づきます。

誤解2「DXやペーパーレスはIT部門の仕事」

デジタルガバナンス・コード3.0は、経営者自らの意思でDXに取り組んで飛躍した企業と、周囲からの要請で取り組んだものの結果が出ない企業との差が大きくなっていると指摘しています。ペーパーレスも同じで、情報システム部門に任せきりにすると、書類を扱う現場の業務の流れが変わらず、紙の運用だけがデータに置き換わります。目的を決めるのは経営層と現場の責任者、書類を実際に扱うのは各部門、という役割分担が必要です。

誤解3「紙をなくせば、すべてがよくなる」

ペーパーレスにはデメリットもあります。ツールの利用料や端末の整備、過去の書類の電子化、操作の説明に費用と時間がかかること、慣れるまで作業が一時的に増えること、紙と電子が併存する間は管理が二重になること、情報漏えいや障害への備えが要ることです。大きな図面を広げて見比べるなど、紙の方が扱いやすい場面も残ります。また、業種や契約の種類によっては書面での交付が求められる場合もあるため、「何でも電子化する」ではなく、効果の大きい書類から順に、確認しながら進めるのが現実的です。

自社の取り組みはペーパーレス止まりかDXか|5つの問いで見分ける

ペーパーレス化を進めている企業でも、それがDXに向かっているのか、紙をデータに置き換えただけで止まっているのかは外から見分けにくいものです。次の5つの問いに答えると、自社の現在地がわかります。「DXに向かっている状態」に当てはまる数が多いほど、ペーパーレスがDXにつながっている状態です。

問い ペーパーレス止まりの状態 DXに向かっている状態
1. 電子化の目的を説明できるか 「紙を減らすため」で説明が終わる 「契約の締結を早めて受注を前倒しするため」など事業上の狙いがある
2. 業務の流れは変わったか 紙の手順をそのままPDFで再現している 不要な承認や転記をなくし、手順そのものを組み直した
3. データは検索・集計できるか スキャン画像が共有フォルダに並んでいるだけ 取引先や金額、期限で検索・集計できる
4. 他の部門・システムとつながっているか 一つの部門の中で完結している 営業、法務、経理が同じデータを使っている
5. 意思決定に使われているか 保管して終わり 更新判断や取引条件の見直しなど、経営判断の材料になっている

1と2は業務改善、3と4はデータ連携、5は経営の視点です。多くの企業は1から3のどこかで止まっています。「ペーパーレスは意味がない」と感じる声の多くは、紙をデータに置き換えただけで手順も使い方も変えていないことが原因です。どこで止まっているかがわかれば、次にやることも見えてきます。

とくに問い2は、紙の承認フローをそのまま画面に移すと「止まりやすい」ところです。稟議の申請から承認、契約書の作成、締結までを一続きの流れに組み直したい場合の一例がfreeeサイン(運営会社はfreeeサイン株式会社)です。商品ページでは、契約書ごとにワークフローを設定でき、作成中・進行中・差し戻し・完了などのステータスで承認の進み具合を確認できると説明されています。契約内容に合わせて選べる30種類以上の契約書フォーマットがあり、普段使っているWordファイルをテンプレートとして登録することもできます。注意点として、画面がシンプルな分、場所がわかりにくい機能があるとされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • シンプルで見やすい画面ではあるが、簡素化されすぎてしまい場所が分かりにくい機能もある
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  • freeeサインを導入することで、紙の契約書にかかっていた印刷・郵送・保管の手間やコストを大幅に削減できました。契約の進捗状況もオンラインで可視化でき、社内外とのやりとりがスムーズに。リモートワーク環境でも契約業務が止まらず、業務効率とコンプライアンスの両立を実現できた点が大きなメリットです。

  • ひな形テンプレートやAIサポートがあるので間違いが減ります。また、契約締結までの時間も短縮することができるので自然と作業効率があがり他の仕事へ時間をかけることができます。また、文章管理もされるので自分でフォルダに管理する必要がなくなったのも大きなメリットです。

  • 以前は紙での契約書でやり取りをしていたが、取引先によってfreeeサインを使用していて、取引先に合わせてfreeeサインでやり取りすることが可能になり、郵送などの業務や時間がなくなり、業務の効率化につながった。

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弘栄設備工業株式会社(注文書・注文請書の事例として掲載) 出典:freeeサイン導入事例一覧

ペーパーレス化の進め方|契約書から始める5ステップ

ペーパーレス化をDXにつなげるには、全部の紙を一度になくそうとせず、順番を決めて段階的に進めます。ここでは、効果が見えやすい契約書から始める進め方を5つのステップで紹介します。業務ごとの着手順や、紙の契約書を電子に置き換える工程はDXペーパーレスの進め方をまとめた記事で詳しく解説しています。

ステップ1:紙の書類を棚卸しし、優先順位を決める

社内にどんな紙の書類が、どの部門で、月に何件くらい発生しているかを洗い出し、件数が多い、取引先とのやり取りがある、保管や検索に手間がかかっている、といった基準で優先順位を付けます。一般的には、契約書、請求書、社内の申請・稟議書類の順に進めると、社外への効果と社内への効果をバランスよく得られます。

優先順位 対象書類 先に取り組む理由 主な手段
1 契約書 印刷・押印・郵送・保管の手間が大きく、締結の速さが受注に直結する 電子契約システム
2 請求書・領収書 件数が多く、電子データの保存ルールへの対応も必要になる 請求書発行・受領システム、会計ソフト
3 稟議書・申請書 承認の滞留が意思決定を遅らせている ワークフローシステム
4 会議資料・マニュアル 自社の判断だけで切り替えられ、共有の手間を減らせる クラウドストレージ、文書管理システム

ステップ2:電子化の目的と、変える業務の流れを決める

対象書類が決まったら、「なぜ電子化するのか」を事業の言葉で定めます。契約書であれば「締結までの日数を短くして受注計上を早める」「更新漏れをなくす」といった目的です。あわせて、いまの申請、承認、締結、保管の流れを書き出し、電子化を機に省ける承認や転記がないかを確認します。紙の手順をそのまま画面に移すと、ペーパーレス止まりになりやすいためです。

ステップ3:法令と社内ルールを確認する

電子化では関係する法令の確認が欠かせません。電子契約については、電子署名法が、本人による一定の電子署名が行われた電子文書は真正に成立したものと推定すると定めています。取引に関する電子データの保存には電子帳簿保存法の要件があり、国税庁の電子取引関係のページで、注文書・契約書・請求書・領収書などに相当する電子取引データを受領・交付した場合の保存方法を確認できます。業種や契約の種類によっては、書面での交付が求められる場合や、相手方の承諾が必要な場合もあります。ここで挙げた内容は一般的な情報で、法的助言ではありません。個別の契約や書類の扱いは、弁護士や税理士などの専門家に確認してください。あわせて、社内の押印規程や文書管理規程も電子化に合わせて見直します。

ステップ4:ツールを選び、小さな範囲で試す

ツールは、機能の多さよりも、目的に合っているか、取引先が使いやすいか、既存のシステムとつながるかで選びます。契約書の場合、相手方にアカウント登録を求めない方式かどうかは、取引先の協力を得られるかに大きく影響します。いきなり全社に広げず、一つの部門や特定の契約類型で試し、運用上の問題を洗い出してから広げるのが安全です。

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ステップ5:運用を定着させ、次の書類へ広げる

試行で効果が確認できたら、マニュアルや問い合わせ窓口を整えて全社に広げます。紙と電子が併存する期間は管理が二重になりやすいため、「新規の契約は原則電子」といった切り替えのルールと期限を決めておきます。一つの書類で定着したら、その経験をもとに請求書や社内申請へと対象を広げます。

ここまでの内容を、自社の現状に当てはめて確認してみましょう。

ペーパーレス止まりになっていないか、今のやり方をセルフチェック

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ペーパーレス化でよくある失敗パターン

ペーパーレス化がDXにつながらない原因は、ツールよりも進め方にあることがほとんどです。よくある失敗と改善策を整理します。

失敗パターン 起きること 改善策
紙をなくすこと自体がゴールになっている 印刷枚数は減ったが、業務時間も受注も変わらない 締結日数や更新漏れ件数など、事業につながる目標を最初に決める
紙の手順をそのまま電子化する 印刷して押印したPDFを再スキャンするなど、かえって手間が増える 電子化の前に承認経路と転記作業を見直し、省ける工程をなくす
スキャンしたファイルを共有フォルダに置くだけ ファイル名がばらばらで探せず、結局紙の原本を見に行く 取引先、日付、金額などの項目で検索できる仕組みで保管する
部門ごとに別々のツールを導入する データが分散し、部門をまたいだ活用ができない 全社で使うツールと管理ルールを決め、データの置き場所を統一する
現場や取引先への説明が不足している 使い方がわからず紙に戻り、紙と電子の二重管理になる 操作説明と問い合わせ窓口を用意し、切り替えの期限を明示する
法令要件を確認せずに紙を廃棄する 保存要件を満たさず、税務調査や紛争時に説明できない 電子帳簿保存法などの要件と保存期間を確認し、廃棄ルールを決める

これらの失敗に共通するのは、「紙をなくす」ことだけを見て、「データをどう使うか」まで考えていない点です。なかでも3つ目の、スキャンして置くだけの運用は、探せないデータがたまるだけでペーパーレス止まりになりやすいパターンです。契約書は、締結後に検索して更新時期を確認できるかどうかで、ペーパーレスの効果が大きく変わります。

契約書を検索できる形で保管したい場合の一例がSMBCクラウドサイン(運営会社はSMBCクラウドサイン株式会社)です。商品ページでは、組み合わせ検索や範囲指定検索など、電子帳簿保存法の検索要件を満たした検索機能で契約書を探せると説明されています。締結した契約書の情報をAIが自動で抽出・解析して管理する「AI契約書管理」もあります。注意点として、フォルダ管理の自由度が低いとされており、書類インポート機能はCorporateプラン以上が対象です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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リスク管理を徹底したい方向け

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  • フォルダ管理の自由度が低い

今は社内システムで稟議を回し、SMBCクラウドサインを利用して発注するという流れになったので、どんな発注をしているのかがシステム上ですぐにわかります。いきなり請求書が届いて混乱するようなこともなくなりました。

株式会社山一建設 経理部 平野陽一氏(発注書での利用事例) 出典:SMBCクラウドサイン導入事例

ペーパーレス化の効果測定の方法

ペーパーレス化をDXにつなげるには、効果を数字で確認して次の判断に生かすことが欠かせません。効果は「コスト」「時間」「リスク」「事業」の4つの観点で測ると整理しやすくなります。導入前の数字を記録しておかないと比較ができないため、ステップ1の棚卸しの段階で現状値を測っておきましょう。

観点 測る指標の例 測り方
コスト 印刷・用紙代、郵送費、書類保管スペースの費用 月ごとの経費と保管箱の数を導入前後で比べる
時間 契約締結までの日数、書類を探す時間、承認にかかる日数 送付日と締結日の差、担当者への聞き取りで比べる
リスク 更新漏れ件数、書類の紛失件数、閲覧権限の管理状況 年間の発生件数と、アクセス記録の有無を確認する
事業 受注計上までの期間、契約データを使った分析や判断の件数 営業・経営会議でデータが使われた場面を記録する

コストと時間の指標はペーパーレスの成果、リスクと事業の指標はDXに近い成果です。導入直後はコストと時間の改善が目立ちますが、半年から1年たった時点で事業の指標に変化が出ているかを確認すると、取り組みがDXに向かっているかを判断できます。数字が変わっていなければ、前述の5つの問いに戻り、どこで止まっているかを見直しましょう。

なお、収入印紙のコストについては、国税庁の質疑応答事例で、電子署名を付した電磁的記録を電子メールで送信する場合、その電磁的記録は文書にあたらず印紙税は課税されないとされています。紙で作成して交付した場合は扱いが異なり、個別の契約は税務署や税理士に確認してください。

リスクの指標のうち更新漏れ件数は、過去の紙の契約書がデータになっていないと測れません。過去分も含めて契約書をデータ化したい場合の一例がContract One(運営会社はSansan株式会社)です。商品ページでは、紙・PDF・電子契約といった形態の契約書をAI-OCRと専門スタッフの確認でデータ化でき、データ化した契約情報は全文検索や、契約期限が近づいた際のアラート通知に使えると説明されています。紙の契約書はスキャン作業を代行してもらえるため、書類が多い場合でも電子化の負担を抑えられます。注意点として、導入時に業務フローの見直しが必要な場合があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • 導入時、業務フローの見直しが必要な場合も

Contract Oneを導入したことで、契約書を一元管理できるようになり、全社統一の契約書管理マスターデータを構築でき、関連情報の把握や検索も容易になりました。

イオンマーケティング株式会社 総務部ご担当者様 出典:Sansan株式会社ニュースリリース(2026年1月22日)

ペーパーレスから次のDXステップへの広げ方

書類がデータになったら、そのデータを使って業務や事業を変える段階に進みます。契約業務を例に、デジタライゼーションからDXへ広げる道筋を紹介します。なお、DXの中でも業務の効率化に焦点を当てた考え方はDX効率化とは何かを解説した記事で整理しています。

契約データを業務プロセスにつなげる

まずは契約データを前後の業務とつなげます。顧客管理や営業支援のシステムと連携すれば、商談から見積、契約、請求までを一続きのデータで管理でき、転記ミスや確認の手間が減ります。更新期限が近づいたら担当者に自動で通知する仕組みを作れば、更新漏れや条件の見直し忘れも防げます。この段階がデジタライゼーションにあたります。

データを分析し、意思決定に使う

契約データがたまると、取引先ごとの契約金額の推移、更新の状況、契約条件の傾向などを分析できます。たとえば、更新されにくい契約類型を見つけて提供内容を見直す、取引条件のばらつきを把握して標準化する、といった判断にデータを使えます。勘や経験に頼っていた判断に根拠が加わることが、DXの重要な変化です。

他の業務・事業モデルの変革へ広げる

契約業務で得たやり方は、請求、購買、人事などの他の業務にも応用できます。さらに、データをもとに取引のあり方を変える、たとえば単発の売り切りから継続的な契約に切り替える、オンラインで申し込みから契約まで完結する仕組みを作る、といった事業モデルの変革につなげられれば、ペーパーレスから始まった取り組みがDXとして実を結びます。

DXへ広げるには、最初のペーパーレス化の段階で、後からデータとして使える形で書類を電子化しておくことが重要です。契約書を債務管理や人事管理など他のバックオフィス業務とつなげたい場合の一例がマネーフォワード クラウド契約(運営会社は株式会社マネーフォワード)です。商品ページでは、契約書の作成から保管までを一つのサービスで進められ、紙と電子の契約書をまとめて一元管理でき、契約データを債務管理や人事管理などに連携できると説明されています。注意点として、ハンコの印影の表現にもう少し工夫がほしいという声が紹介されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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【正直レビュー】『マネーフォワードクラウド契約』のメリットや機能は?実際に導入してわかったリアルな感想【使い方解説】

数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、電子契約システム利用経験ゼロの筆者が、マネーフォワードクラウド契約の無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。

GOOD

おすすめ!

  • 契約書の作成、申請・承認、締結、保存、管理までマネーフォワード クラウド契約ひとつで完結
  • 契約書送信料・契約書保管料は0円だから契約書が増えても追加課金なし!
MORE

気になる…

  • ハンコの印影にもう少し工夫ができると良い
評価・口コミ(一部抜粋)
3.8
  • 雛形利用により簡単に契約書フォームを作成する事が可能になった。 契約相手とも対面でなくインターネットを使ったワークフローで契約する事が可能となった。 対面では無い為、商談日時のネゴ取り等も不要になった。 契約書をペーパレスで管理する為、契約書管理が楽になった。

  • 過去の給与明細がしっかり確認できます。開けば通勤手当などよくある手当だけでなく、様々な項目を自由に記載できるようでより企業それぞれに対応していると思われます。 見る側も分かりやすいです。

  • 契約書紙で印刷し、さらに契約先に郵送するなどしていた。近頃は郵便料金が値上がりしているため、印刷から郵送までの工程のコストがかさんでいたという課題があった。ところが、このサービスを利用することで、これらのコストが全くかからなくなった。大変大きなメリットだと感じている。

営業活動においては見積書を出して、その後に注文書、そして最後に請求書と複数の書類が存在するため、それらをクラウド上で一元管理できるのは、非常に便利だなと感じています。

株式会社ワンオールシステム(IT・メディア、11-50名) 出典:マネーフォワード クラウド契約導入事例

よくある質問(FAQ)

Q1. DXとペーパーレスの違いは何ですか?

A. DXはデータとデジタル技術を使って業務やビジネスモデル、組織文化を変革する取り組み全体を指し、ペーパーレスは紙の書類を電子データに置き換える手段の一つです。ペーパーレスはDXに含まれますが、ペーパーレスを実現しただけではDXとはいえません。

Q2. ペーパーレスと電子化とDXの違いは何ですか?

A. 電子化は紙などの情報をデータに変えること、ペーパーレスはそれを運用として定着させて紙の使用を減らすこと、DXはそのデータを使って業務や事業のあり方を変えることです。経済産業省の3段階では、電子化とペーパーレスは最初のデジタイゼーションにあたります。

Q3. ペーパーレス化が進まない、意味がないと言われるのはなぜですか?

A. 紙の手順をそのまま電子化したり、スキャンしたファイルを保管するだけで終わったりして、業務時間や成果が変わらないケースが多いためです。電子化の目的を事業の言葉で決め、業務の流れの見直しとデータの活用まで進めることで、効果を実感しやすくなります。

Q4. DXは意味がないって本当ですか?

A. DXそのものに意味がないわけではありません。経済産業省のデジタルガバナンス・コード3.0は、全ての企業がDXに取り組む必要があるとする一方、周囲の要請で取り組んだものの結果が出ない企業との差が大きくなっていると指摘しています。ツールを入れるだけでは達成されないため、目的を決め、業務や事業の変革まで進めることが前提です。

Q5. ペーパーレス化はどの書類から始めるのがよいですか?

A. 取引先とのやり取りが多く、印刷・押印・郵送・保管の手間が大きい契約書から始めると効果が見えやすくなります。その後、請求書や領収書、社内の稟議書・申請書、会議資料の順に広げると、社外と社内の両方で効果を得やすくなります。

Q6. ペーパーレス化の効果はどのように測ればよいですか?

A. 印刷・郵送などのコスト、契約締結までの日数などの時間、更新漏れや紛失などのリスク、受注計上までの期間やデータ活用の件数などの事業の4つの観点で、導入前後の数字を比べます。コストと時間はペーパーレスの成果、リスクと事業はDXに近い成果として確認できます。

まとめ

DXとペーパーレスの違いと関係について、要点を6つに整理します。

  1. DXはデータとデジタル技術で業務や事業を変える取り組み全体、ペーパーレスは紙を電子データに置き換える手段の一つで、ペーパーレスはDXに含まれる
  2. 3段階で見ると、ペーパーレスは最初のデジタイゼーションにあたり、DXの入口ではあってもDXそのものではない。ツールを入れただけでDXが達成されるわけではない
  3. 3つの誤解と5つの問いで自社の取り組みを点検し、ペーパーレス止まりになっていないかを確認する
  4. 契約書から始め、目的を事業の言葉で決め、法令と社内ルールを確認して、小さな範囲で試してから広げる
  5. コスト・時間・リスク・事業の4観点で効果を測り、契約データを業務や意思決定に生かして次のDXステップにつなげる
  6. 契約書の電子化を検討するなら、資料請求できる電子契約システム5サービスの役割の違いを比べ、自社の取引先や承認の流れに合うものを選ぶ

ペーパーレスは、DXに向けて最も取り組みやすい第一歩です。紙をなくすことをゴールにせず、電子化したデータを何に使うかを最初に決めておくことで、ペーパーレスの取り組みをDXへと発展させられます。まずは社内の紙の書類を棚卸しし、どこから始めるかを決めるところから着手してみてください。

参考文献

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