SaaSを提供する日本企業とは?業種別マップと代表例を中立解説

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  • 日本のSaaS市場の全体像と業種別マップ
  • 水平型・垂直型それぞれの日本企業の代表的な顔ぶれ
  • 上場・非上場の違いとSaaS企業を見る基本的な観点

SaaSを提供する日本企業を調べると、会計、人事労務、営業、医療、製造業、建設、小売など多くの領域の企業が見つかります。ただし、企業名だけを並べても、自社の営業先候補、導入候補、取引候補としてどう見ればよいかは分かりにくいものです。この記事では、SaaSの基本を押さえたうえで、日本のSaaS企業を水平型・垂直型、業務別・業界別、上場・非上場という観点で整理します。ランキングや投資判断ではなく、個人事業主、中小企業、中堅・大企業が国内SaaS市場を俯瞰するための見取り図として実務で活用してください。

目次

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  1. SaaSを提供する日本企業をどう見るか
  2. 日本のSaaS市場の全体像
  3. 業種別の日本SaaS企業マップ
  4. 水平型SaaSの日本企業例
  5. 垂直型SaaSの日本企業例
  6. 上場SaaS企業と非上場SaaS企業の違い
  7. 日本SaaS企業を見るときの確認観点
  8. よくある質問
  9. まとめ|日本SaaS企業は業種別に整理すると見えやすい
  10. 出典一覧

SaaSを提供する日本企業をどう見るか

SaaSを提供する日本企業は、まず「クラウド経由でソフトウェアを使う企業」としてではなく、「どの業務や業界の課題を解く企業か」で見ると整理しやすくなります。SaaSの基本概念を確認したい場合は、先にSaaSとは何かを解説した記事を読むと、IaaSやPaaSとの違いも把握しやすくなります。

SaaSはクラウド経由で使うソフトウェアの提供形態

NIST SP 800-145では、クラウドコンピューティングを、ネットワーク経由で共有されたコンピューティング資源を必要に応じて利用できるモデルとして整理しています。その中でSaaSは、利用者がアプリケーションを使い、基盤となるインフラやプラットフォームの管理は主に提供側が担うサービスモデルです。つまり、日本のSaaS企業を見るときは、単に「クラウド企業」と見るだけでなく、どのアプリケーションを、どの顧客に、どの継続課金モデルで提供しているかを確認することが大切です。

日本企業一覧は「業務」「業界」「公開情報」で分ける

日本のSaaS企業を一覧で見るときは、会計や人事など多くの企業に共通する業務を支える水平型、医療や建設など特定業界の業務に深く入る垂直型、上場企業と非上場企業のように公開情報の量が異なる区分に分けると理解しやすくなります。SaaS企業の収益構造やビジネスモデルを深く知りたい場合はSaaS企業のビジネスモデルを解説した記事、導入先としての選び方を知りたい場合はSaaS会社の選び方を解説した記事も参考になります。

日本のSaaS企業を見る3つの軸 日本SaaS企業を見る3つの軸 1 業務 会計・人事・営業 2 業界 医療・製造・建設 3 公開情報 IR・会社情報・事例 企業名の羅列ではなく、分類軸を先に決めると候補整理がしやすくなります
図1:日本SaaS企業を見る3つの軸

日本のSaaS市場の全体像

日本のSaaS企業は、DX推進、クラウド活用、業務のデータ化の流れの中で広がっています。市場規模や成長率の細かな数値は民間調査に依存しやすいため、この記事では未検証の数値を使わず、総務省や経済産業省の公的資料が示すクラウド活用・DX推進の文脈から全体像を整理します。

SaaSはDX推進の実装レイヤーとして見られる

経済産業省のデジタルガバナンス・コード3.0では、企業がデータとデジタル技術を活用して経営や業務を変革することが重要な取り組みとして整理されています。SaaSはその実装手段の一つであり、会計、契約、人事、営業、顧客対応などの業務データをクラウド上で扱いやすくします。DX全体の意味を確認したい場合は、DXとは何かを解説した記事も合わせて読むと、SaaSがどこに位置づくかを理解しやすくなります。

水平型と垂直型で市場の見え方が変わる

SaaS企業は、業種を問わず使われる水平型と、特定業界に深く対応する垂直型に分けると見え方が変わります。水平型は会計、人事労務、名刺管理、ワークフロー、ID管理のように多くの企業に共通する業務を支えます。垂直型は医療、製造業、建設、不動産、小売など、業界ごとの業務ルールや商習慣に合わせて作られる傾向があります。

水平型SaaSと垂直型SaaSの違い 水平型と垂直型で俯瞰する 水平型SaaS 業種を問わず共通する業務 会計・人事・営業・情報共有 候補企業を横断比較しやすい 垂直型SaaS 特定業界の業務に深く対応 医療・製造・建設・小売 業界知識や規制対応も確認 日本企業を調べるときは、まずこの2分類で置き場所を決めます
図2:水平型SaaSと垂直型SaaSの見方

業種別の日本SaaS企業マップ

日本のSaaS企業を業種別に見る場合は、「バックオフィス」「フロントオフィス」「業界特化」の3つに分けると整理しやすくなります。IPAのクラウドサービス安全利用の手引きでも、財務会計、労務管理、文書作成、表計算、情報共有など、クラウドで扱われる業務の例が示されています。企業名を調べる前に、どの業務領域のSaaSかを決めることが候補整理の起点です。

バックオフィス系は会計・人事・法務・情シスに分かれる

バックオフィス系SaaSは、会計、請求、経費精算、給与、人事労務、契約、ID管理などに分かれます。中小企業では紙やExcelからの移行、中堅・大企業では部門ごとのデータ連携や権限管理が主な関心になりやすい領域です。経理領域を詳しく見る場合は、経理SaaSの記事も参考になります。

フロント系は営業・マーケティング・CSに分かれる

フロント系SaaSは、営業管理、名刺管理、顧客管理、マーケティング支援、問い合わせ対応、カスタマーサクセスなどに分かれます。個人事業主にとっては見込み顧客管理、中小企業にとっては営業活動の標準化、中堅・大企業にとっては部門横断の顧客データ管理が主な検討ポイントになります。

業界特化型は医療・製造・建設・小売などで見る

業界特化型SaaSは、特定業界の業務手順や法規制、現場のデータ入力方法に合わせて設計されることが多い領域です。たとえば医療では予約や診療周辺業務、製造業では図面・受発注・設備関連業務、建設では施工管理、小売ではPOSや店舗運営のように、業界ごとに見るべき機能が変わります。医療領域は医療SaaSの記事、製造業は製造業SaaSの記事で詳しく整理しています。

業種別の日本SaaS企業マップ 業種別の日本SaaS企業マップ 会計・経理人事・労務営業・顧客 法務・契約セキュリティ業界特化 請求・経費精算労務・評価・採用SFA・CRM・名刺 契約・文書管理ID管理・監査医療・製造・建設 共通業務から業界特化へ進むほど、現場理解や運用ルールの確認が重要になります
図3:業種別の日本SaaS企業マップ
日本SaaS企業を業種別に見るときの主な分類
分類主な業務領域確認したい観点
バックオフィス会計、請求、経費精算、人事労務、契約、ID管理既存業務との適合、権限管理、データ移行、監査対応
フロントオフィス営業、名刺管理、顧客管理、マーケティング、問い合わせ対応顧客データの一元化、入力負荷、既存ツールとの連携
業界特化医療、製造、建設、不動産、小売、店舗運営業界固有の業務、法規制、現場での使いやすさ

水平型SaaSの日本企業例

水平型SaaSは、業種を問わず使われるため、日本のSaaS企業を調べるときに最初に目に入りやすい領域です。ここで挙げる企業名やサービス名は、優劣を示すものではなく、業務分類を理解するための例です。具体的な製品機能や料金は変わるため、導入や取引を検討する際は各社の公式情報で最新状況を確認してください。

会計・経理・人事労務のSaaS企業

会計・経理領域では、freee、マネーフォワード、SansanのBill Oneなどが例として挙げられます。人事労務ではSmartHRのように、労務手続きや従業員データを扱うSaaSがあります。これらは個人事業主の経理、中小企業の管理部門、中堅・大企業のグループ管理など、規模により使われ方が変わります。

営業・情報共有・セキュリティのSaaS企業

営業や情報共有では、サイボウズのkintone、Sansan、Chatworkなどのように、顧客情報、社内情報、コミュニケーションを支えるサービスがあります。セキュリティやID管理では、HENNGE Oneのようにクラウド利用時のアクセス管理や情報保護を支えるサービスもあります。SaaSの代表的なプロダクト例をさらに見たい場合は、SaaSの代表例を整理した記事も参考になります。

水平型SaaSの日本企業例
領域企業・サービス例主な確認ポイント
会計・経理freee、マネーフォワード クラウド、Bill One会計処理、請求、経費精算、電子帳簿保存対応など
人事・労務SmartHRなど労務手続き、従業員データ、給与・評価関連機能
営業・顧客管理Sansan、kintoneなど顧客情報、商談管理、部門間共有、外部連携
情報共有・業務アプリkintone、Chatworkなどワークフロー、社内連絡、業務アプリ作成
セキュリティ・ID管理HENNGE Oneなど認証、アクセス制御、監査、クラウド利用の統制

垂直型SaaSの日本企業例

垂直型SaaSは、特定業界の業務に深く入り込む日本企業を理解するときに重要です。業界ごとの用語、現場の入力方法、法規制、既存システムとの連携が関わるため、水平型SaaSよりも「どの業界をどこまで理解しているか」が見られやすい領域です。

医療・建設・小売など業界特化型の見方

医療領域ではメドレーやカケハシのように、診療、薬局、医療周辺業務を支える企業が例になります。建設領域ではANDPAD、小売や店舗運営ではスマレジ、アプリ運用ではヤプリのように、現場業務に合わせたSaaSがあります。法務領域ではLegalOn Technologiesのように、契約や法務業務を支援する企業もあります。これらは同じSaaSでも、扱う業界知識が大きく異なります。

業界特化型では業務知識と規制対応を確認する

業界特化型SaaSを見るときは、単に機能数を見るのではなく、業界ごとの法令、商習慣、データの扱い、既存システムとの接続を確認します。医療、製造業、建設業のように現場の作業手順が強い業界では、導入後の運用体制や教育も重要です。BPO企業と外部委託を組み合わせる場合は、BPO企業との違いや比較観点を扱う記事も参照すると、SaaSで内製する業務と外部委託する業務を分けやすくなります。

垂直型SaaSの日本企業例
業界企業・サービス例確認したい観点
医療・薬局メドレー、カケハシなど患者情報、予約、薬局業務、医療広告・個人情報の扱い
建設ANDPADなど現場管理、図面、施工状況、協力会社との情報共有
小売・店舗スマレジなどPOS、在庫、店舗別データ、会計連携
アプリ運用ヤプリなどアプリ開発、運用、分析、顧客接点の管理
法務LegalOn Technologiesなど契約審査、文書管理、法務部門の業務分担

上場SaaS企業と非上場SaaS企業の違い

上場SaaS企業と非上場SaaS企業の違いは、企業の優劣ではなく、確認できる公開情報の種類にあります。上場企業は有価証券報告書や決算説明資料などで事業内容を確認しやすく、非上場企業は公式サイト、採用情報、導入事例、セキュリティ情報、資金調達リリースなどを見ることになります。

上場企業はIR資料で確認しやすい

上場しているSaaS企業は、事業セグメント、売上構成、顧客層、リスク情報などをIR資料で確認できます。ただし、株価や投資判断はこの記事の対象外です。上場SaaS企業の財務や銘柄観点を調べたい場合は、投資推奨ではなく業種整理としてSaaS銘柄の記事を参照してください。

非上場企業は会社情報・導入事例・セキュリティ情報を見る

非上場SaaS企業は、IR資料が限られる一方で、公式サイト、プロダクトサイト、導入事例、採用ページ、セキュリティページなどから事業の方向性を確認できます。取引候補として見る場合は、企業規模だけでなく、サポート体制、データの扱い、サービス継続性、連携可能な外部サービスを確認することが大切です。

上場SaaS企業と非上場SaaS企業の公開情報の違い 公開情報の確認ルート 上場企業 有価証券報告書 決算説明資料・IRニュース 投資判断ではなく事業確認 非上場企業 会社情報・採用情報 導入事例・セキュリティ情報 支援体制や継続性も確認 どちらも優劣ではなく、確認できる情報の種類が違うと捉えます
図4:上場SaaS企業と非上場SaaS企業の公開情報の違い

日本SaaS企業を見るときの確認観点

日本SaaS企業を営業先候補や取引候補として見るときは、企業名の知名度だけで判断せず、自社の業務、扱うデータ、セキュリティ、導入後の運用に合うかを確認します。IPAの手引きでも、クラウドサービスを使う前に、どの業務で利用するか、どの情報を扱うか、事業者の信頼性やデータの保存先を確認する観点が示されています。

自社業務との適合度を見る

最初に確認するのは、自社の業務課題とSaaSの対応領域が合っているかです。個人事業主なら請求・会計・顧客管理、中小企業なら労務・経理・営業管理、中堅・大企業なら部門間連携・権限管理・既存システム連携が論点になります。日本SaaS企業を一覧化するときも、企業名の横に「どの業務を支えるか」を書くと比較しやすくなります。

セキュリティとデータの扱いを見る

SaaSはクラウド上で業務データを扱うため、認証、権限管理、バックアップ、ログ、サポート体制、データ保存先、契約終了時のデータ取り扱いを確認します。公共調達や高いセキュリティ要件が関わる場合は、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAPの考え方も参考になります。取引先として見る場合も、セキュリティページや第三者認証の有無を確認すると確認材料を整理しやすくなります。

SaaSとBPOの役割を分けて考える

SaaSはシステムで業務を支える選択肢であり、BPOは業務そのものを外部へ委託する選択肢です。たとえば経理業務では、請求書管理をSaaSで内製する方法もあれば、経理処理の一部をBPOに委託する方法もあります。日本SaaS企業を調べるときは、ツールで内製する業務と、外部委託する業務を分けて考えると、候補企業の見方が明確になります。

よくある質問

Q. SaaSを提供する日本企業にはどのような業種がありますか?

A. 会計、経理、人事労務、営業、顧客管理、契約、セキュリティ、医療、製造、建設、小売などがあります。まず水平型と垂直型に分け、そのうえで業務別・業界別に整理すると見やすくなります。

Q. SaaSの有名企業を一覧で見るときの注意点は?

A. 有名企業や大手企業だけを見ると、特定業界に強い企業や成長途中の企業を見落とすことがあります。知名度ではなく、対象業務、導入対象の企業規模、セキュリティ、サポート体制、連携機能を確認することが大切です。

Q. 上場SaaS企業だけを見ればよいですか?

A. 上場企業はIR資料を確認しやすい一方、非上場企業にも特定領域に強いSaaS企業があります。導入候補や取引候補として見る場合は、上場・非上場で分けるよりも、対象業務や提供体制が自社に合うかを見るほうが実務的です。

Q. SaaS企業を取引先候補にする前に何を確認すべきですか?

A. 会社情報、提供サービス、導入事例、セキュリティ情報、サポート体制、料金体系、契約条件、データの取り扱いを確認します。営業先候補として見る場合も、相手企業の対象業界や顧客層を把握してから接点を設計すると、提案内容を合わせやすくなります。

まとめ|日本SaaS企業は業種別に整理すると見えやすい

日本のSaaS企業は、企業名の一覧だけで見るよりも、水平型と垂直型、業務別と業界別、上場と非上場という軸で整理すると理解しやすくなります。会計、人事、営業、セキュリティのような水平型は多くの企業で使われやすく、医療、製造、建設、小売のような垂直型は業界知識や運用ルールが重要になります。

今日からできることは、まず自社が知りたい領域を「業務」か「業界」かに分けること、次に候補企業を水平型・垂直型に置くこと、最後に公式情報やセキュリティ情報を確認することです。SaaSの基礎、企業のビジネスモデル、会社の選び方、代表例、上場企業の見方をそれぞれ確認しながら、日本SaaS企業の全体像を整理していきましょう。

出典一覧

本記事では、公的資料を主な出典にしています。出典の取得日は2026年6月14日です。

公的出典一覧
発行元資料名発行年月URL取得日
National Institute of Standards and TechnologyThe NIST Definition of Cloud Computing(SP 800-145)2011年9月https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/145/final2026-06-14
総務省令和7年版 情報通信白書2025年https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/2026-06-14
経済産業省デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~2024年9月https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc3.0.pdf2026-06-14
独立行政法人情報処理推進機構中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き2026年3月https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/sme_guideline_v4.0_app_7.pdf2026-06-14
ISMAP運営委員会ISMAP:政府情報システムのためのセキュリティ評価制度制度情報https://www.ismap.go.jp/csm2026-06-14

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