SaaSを提供する日本企業の業種別マップ

Check!

  • 日本のSaaS企業を業種別に見る視点がわかる
  • 水平型・垂直型SaaSの企業例がわかる
  • 上場・非上場の違いと確認観点がわかる

「SaaSを提供する日本企業」と言われても、業種や分野が幅広く、どう整理して理解すればよいか分かりにくいことがあります。「どの業務や業界の課題を解く企業か」という視点で見ると、整理しやすくなります。本記事では、SaaSを提供する日本企業を、業種別マップと代表例で中立的に整理します。AWS・Google・Microsoftのような海外メガベンダーとの位置づけの違いを知りたい場合は主要SaaSサービスの業務領域マップの記事もあわせてご覧ください。

目次

開く

閉じる

  1. SaaSを提供する日本企業をどう見るか
  2. 業種別の日本SaaS企業マップ
  3. 水平型・垂直型SaaSの日本企業例
  4. 上場SaaS企業と非上場SaaS企業の違い
  5. 日本SaaS企業を見るときの確認観点
  6. 日本のSaaS企業が成長してきた背景
  7. 日本SaaS企業の理解でよくある失敗パターン3つ
  8. 海外SaaS企業と国内SaaS企業を組み合わせて使う考え方
  9. SaaS導入検討から契約までの一般的な流れ
  10. 中小企業がSaaS企業を選ぶ際に直面しやすい課題
  11. 業界特化型(垂直型)SaaSが広がってきた理由
  12. SaaS企業の分類を社内共有する際のポイント
  13. よくある質問(FAQ)
  14. まとめ|今日からできる3つのこと

SaaSを提供する日本企業をどう見るか

「どの業務や業界の課題を解く企業か」という観点で見ると、SaaSを提供する日本企業を整理しやすくなります。バックオフィス系(会計・人事・法務)、フロントオフィス系(営業・マーケティング)、業界特化型という分類が代表的な整理の視点です。

業種別の日本SaaS企業マップ

バックオフィス系ではfreeeやマネーフォワード(会計)、SmartHR(人事)、フロントオフィス系ではSansan(名刺管理・営業支援)、業界特化型ではメドレー(医療)やANDPAD(建設)といった企業が例として挙げられます。これらは優劣を示すものではなく、業務分類を理解するための具体例です。

分類 扱う業務・業界の例
バックオフィス系(水平型) 会計・人事・法務
フロントオフィス系(水平型) 営業・マーケティング
業界特化型(垂直型) 医療・建設等の特定業界
図1:業種別SaaS企業マップ

水平型・垂直型SaaSの日本企業例

水平型SaaSは業種を問わず使える業務機能を提供し、垂直型SaaSは特定業界の業務慣行に合わせて設計されているという違いがあります。水平型のコミュニケーション領域では、社内のスケジュール共有やファイル管理を担うグループウェアが代表的な位置づけにあります。

上場SaaS企業と非上場SaaS企業の違い

上場企業はIR資料等の一次情報を確認しやすく、非上場企業は情報開示の範囲が限られる傾向があります。取引を検討する際は、上場・非上場に関わらず、事業の継続性や実績を確認することが重要です。

日本SaaS企業を見るときの確認観点

取引前には、自社の業務課題との適合性、セキュリティ対応、サポート体制、契約条件を確認することが基本的な観点です。企業の知名度だけで判断せず、これらの観点を個別に確認する姿勢が重要です。

日本のSaaS企業が成長してきた背景

日本のSaaS企業が2010年代以降に数多く登場した背景には、日本特有の商習慣(押印文化、紙の帳票、独自の労務・会計ルール等)に対応したサービスへのニーズがあったとされています。

海外発のSaaSは、海外の商習慣や会計基準を前提に設計されていることが多く、日本企業がそのまま使おうとすると、押印文化や独自の年末調整・社会保険手続きといった日本特有の業務プロセスに対応しきれない場面がありました。こうした「日本の実務に合わせる」というギャップを埋める形で、国内のSaaS企業が会計・人事労務・法務といったバックオフィス領域を中心に成長してきた経緯があります。

また、電子帳簿保存法やインボイス制度といった国内の制度改正のたびに、それに対応した機能をいち早く実装できるかどうかが、国内SaaS企業にとって競争力の源泉の一つになってきました。海外発のSaaSが日本向けにローカライズを進める一方で、国内企業は制度改正への対応スピードや、日本語での手厚いサポート体制を強みとして差別化を図っている傾向があります。こうした背景を理解しておくと、なぜ同じ業務領域に複数の国内SaaS企業が存在するのか、その競争軸を捉えやすくなります。

日本SaaS企業の理解でよくある失敗パターン3つ

企業名の列挙を優劣の順位と誤解する、上場企業を無条件に優先する、業種分類を確認せず取引を検討するという3つが、日本SaaS企業の理解でよく見られる失敗の典型です。

失敗パターン1:企業名の列挙を優劣の順位と誤解する。紹介順を評価の高さと勘違いするケースです。企業名は業務分類の具体例であることを理解することが回避策になります。

失敗パターン2:上場企業を無条件に優先する。情報開示の範囲だけで事業の質を判断してしまうケースです。実際の適合性や実績も確認することが回避策になります。

失敗パターン3:業種分類を確認せず取引を検討する。水平型と垂直型の違いを踏まえず、業務に合わない企業と取引を進めるケースです。自社業務の分類を先に確認することが回避策になります。

海外SaaS企業と国内SaaS企業を組み合わせて使う考え方

多くの企業では、海外発のSaaSと国内SaaS企業のサービスを、業務領域ごとに組み合わせて使うのが実務上の一般的な姿です。

コミュニケーションやプロジェクト管理といった、日本特有の商習慣の影響を受けにくい業務領域では、海外発のSaaSがそのまま使われることが多い一方、会計・人事労務・法務のように日本の制度対応が求められる業務領域では、国内SaaS企業のサービスが選ばれやすい傾向があります。両者を業務領域ごとに使い分ける発想があると、無理に一つのベンダーで全てを揃えようとせず、それぞれの強みを活かした構成を組みやすくなります。

組み合わせて使う際は、異なるベンダーのSaaS同士でデータ連携ができるかを確認しておくことが重要です。海外SaaSと国内SaaSでは、対応しているAPI仕様やファイル形式が異なる場合があり、連携がうまくいかないと、結局手作業でのデータ移行が発生してしまいます。導入検討の段階で、既に使っている(または導入予定の)他のSaaSとの連携実績があるかを、各サービスの公式サイトや営業担当者に確認しておくと、組み合わせ後の運用がスムーズになります。

SaaS導入検討から契約までの一般的な流れ

SaaSの導入は、課題整理、情報収集、比較検討、トライアル利用、社内稟議、契約という順序で進めるのが一般的な流れです。いきなり特定のサービスに絞り込むのではなく、まず自社のどの業務課題を解決したいのかを明確にする段階が最初に必要になります。

課題が整理できたら、業種別マップで示したような分類(バックオフィス系、フロントオフィス系、業界特化型)を手がかりに、候補となるサービスの情報収集を行います。この段階では、公式サイトの資料や導入事例、料金体系の考え方(定額制か従量課金かなど)を確認し、複数のサービスを横並びで比較できる状態を作ることが重要です。候補が絞り込めたら、多くのSaaSでトライアル利用や無料デモが用意されているため、実際の画面操作や自社データでの動作を確認する段階に進みます。

トライアルの結果を踏まえて社内稟議に進む際は、導入によって解決したい課題、想定される効果、費用対効果の見立て、セキュリティ面での懸念点への対応状況を整理した資料を用意しておくと、決裁がスムーズに進みやすくなります。特に個人情報や取引先情報を扱う業務でSaaSを利用する場合は、情報システム部門や法務部門を交えて、データの保管場所やアクセス権限の設計についても事前に確認しておくことが望ましいとされています。契約後は、利用開始時のオンボーディング(初期設定・データ移行・利用者教育)をどの程度サービス提供側が支援してくれるかも、実際の定着度合いを左右する要素になります。

中小企業がSaaS企業を選ぶ際に直面しやすい課題

中小企業がSaaSを選定する際には、専任の情報システム担当者が不在であることや、比較検討にかけられる時間が限られていることが、大企業とは異なる制約になりやすい傾向があります。

大企業であれば情報システム部門が中心となって複数サービスの機能比較やセキュリティ審査を行える場合が多い一方、中小企業では現場の担当者が本来の業務と並行してSaaS選定を進めなければならないケースが少なくありません。このため、機能の網羅性よりも、操作画面の分かりやすさや、導入時のサポート体制の手厚さを重視して選ぶ企業も見られます。特にバックオフィス系のSaaSは、経理や労務の担当者が日常的に操作することになるため、専門知識がなくても直感的に使えるかどうかが、導入後の定着に大きく影響します。

また、複数のSaaSを段階的に導入していく過程で、似たような機能を持つサービスが社内に重複して存在してしまう、いわゆる「SaaSの乱立」も中小企業で起こりやすい課題です。新しい業務課題が出るたびに個別にサービスを契約していくと、部署ごとに異なるツールを使うことになり、全社的なデータの一元管理が難しくなる場合があります。これを避けるためには、新しいSaaSを導入する前に、既に契約している他のサービスで代替できないかを確認する習慣を持つこと、また、業種別マップのような分類軸を社内で共有し、どの業務領域にどのサービスを充てているかを可視化しておくことが有効とされています。契約数が増えてきた企業では、契約更新のタイミングやライセンス数の見直しを定期的に行う担当者を決めておくことも、無駄なコストを抑える工夫の一つです。

業界特化型(垂直型)SaaSが広がってきた理由

業界特化型SaaSが広がってきた背景には、水平型SaaSでは対応しきれない、特定業界固有の業務慣行や規制対応をカバーする必要があったことが挙げられます。医療、建設、物流、飲食といった業界には、それぞれの業界だけで使われる帳票様式や、業界団体・監督官庁が定める独自のルールが存在します。

例えば医療分野では、レセプト(診療報酬明細書)の作成や、診療科ごとに異なる記録様式への対応が求められますし、建設分野では、現場ごとに異なる工程管理や、複数の下請け企業との情報共有といった、業界特有の業務プロセスがあります。こうした業務は、汎用的な水平型SaaSの機能だけでは十分にカバーしきれない部分が多く、業界の実務を理解した企業が、その業界向けに特化した機能を持つSaaSを開発することで、既存の水平型サービスとの差別化を図ってきた経緯があります。

業界特化型SaaSを検討する際は、単に「その業界向け」と謳っているかどうかだけでなく、自社の業務フローのどの部分を具体的にカバーしてくれるのか、既に使っている水平型SaaS(会計・人事労務など)とデータ連携ができるのかを確認することが重要です。業界特化型SaaSは、その業界の実務に精通した担当者によるサポートを受けられる場合が多い一方、対応できる企業規模やカスタマイズの幅がサービスによって異なるため、自社の事業規模や業務の複雑さに合っているかを個別に見極める姿勢が求められます。

SaaS企業の分類を社内共有する際のポイント

業種別マップのような分類を作成するだけでなく、その内容を関係部署に共有し、更新し続ける仕組みを持つことが、実務での活用につながります。分類表を一度作って終わりにしてしまうと、新しいサービスを導入するたびに情報が古くなり、結局は担当者の記憶や個別の判断に頼ることになりがちです。

社内で共有する際は、どの業務領域を、どの分類(バックオフィス系・フロントオフィス系・業界特化型)のどのサービスが担っているかを一覧化し、契約更新のタイミングや担当窓口とあわせて記録しておくと、後任者への引き継ぎや、新しいサービス導入時の重複チェックがしやすくなります。こうした一覧は、情報システム部門だけでなく、実際に各SaaSを日常的に利用する現場の担当者にも見える形で共有しておくことで、部署をまたいだ二重契約や、似た機能を持つサービスの乱立を防ぐ効果も期待できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSを提供する日本企業にはどのような業種がありますか?

A. バックオフィス系(会計・人事・法務)、フロントオフィス系(営業・マーケティング)、業界特化型に分けられます。

Q2. 一覧を見る際の注意点は何ですか?

A. 紹介順や企業名の並びを優劣の順位と誤解しないことが重要です。

Q3. 上場企業を優先すべきですか?

A. 情報開示の範囲は異なりますが、無条件に優先すべきというわけではなく、実際の適合性も確認する必要があります。

Q4. 取引前に確認すべきことは何ですか?

A. 業務課題との適合性、セキュリティ対応、サポート体制、契約条件です。

Q5. 水平型と垂直型の違いは何ですか?

A. 水平型は業種を問わない機能、垂直型は特定業界の業務慣行に合わせた機能を提供します。

Q6. 記事内の企業名はランキングですか?

A. ランキングではなく、業務分類を理解するための例として紹介しています。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. 企業名を業務分類の例として見る:優劣と誤解しません。
  2. 上場・非上場に関わらず実績を確認する:無条件に優先しません。
  3. 自社業務の分類を先に確認する:検討せず取引しません。

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top