SaaSを提供する日本企業とは?業種別マップと代表例、海外との違いを中立解説

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  • 日本のSaaS企業を業種別マップで整理できる
  • 売上高や年収の数字の確認先がわかる
  • 導入検討時に確認したい3つの視点がわかる

SaaSを提供する日本企業とは、ソフトウェアをインターネット経由のサービスとして提供している、日本の会社のことです。会計・人事・契約のように業種を問わず使われる領域と、介護・建設・農業のように特定の業界に特化した領域があり、領域ごとに会社を整理すると全体像がつかみやすくなります。検索結果の多くは売上高や平均年収のランキングですが、順位は決算期や集計の条件で変わるため、本記事では順位ではなく業種・業務領域別のマップで整理します。代表例、市場の動き、海外SaaSとの違い、企業を一次情報で確かめる方法、使う側として最初に触れやすい入口までを中立的に解説します。紹介する会社名は分類を理解するための例であり、優劣や推奨の順位を示すものではありません。

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Q1. 日本のSaaS企業を調べる目的は?

目次

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  1. SaaSを提供する日本企業とは?2つのタイプと、使う側が最初に触れる入口
  2. 業種別に見る日本のSaaS企業マップ
  3. 日本のSaaS市場規模と成長トレンド
  4. 上場SaaS企業を業績で比べるときの中立的な見方
  5. 日本のSaaS企業の特徴と海外SaaSとの違い
  6. SaaS企業を見る際の3つの視点(導入検討者向け)
  7. 日本のSaaS企業を調べるときによくある誤解
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ
  10. 参考文献

SaaSを提供する日本企業とは?2つのタイプと、使う側が最初に触れる入口

SaaSを提供する日本企業は、SaaSを主力にしている会社と、本業のほかにSaaSも提供している会社の2つのタイプに分けると整理できます。SaaSは、ソフトウェアを自社のパソコンやサーバーに入れず、提供会社が動かしているものをインターネット経由で使う形を指します。「日本企業」という言葉に法的な定義はないため、本記事では、日本に本社を置き、日本の利用者に向けてSaaSを提供している会社の意味で使います。

タイプ 特徴 会社とサービスの例(各社の公式サイトで確認した範囲)
SaaSを主力にする会社 提供するサービスの中心がSaaSで、機能の更新を続けながら多くの顧客に同じ仕組みで提供する サイボウズ株式会社(kintone、サイボウズ Garoon)、Sansan株式会社(Sansan)、株式会社SmartHR(SmartHR)
本業のほかにSaaSも提供する会社 製造業など本業の知見や、自社製品の事業とつながるサービスをSaaSとして提供する 株式会社クボタ(機械などのメーカー。農業ソリューション製品として「KSAS」を案内している)

海外で開発されたSaaSを日本法人が提供するケースもあり、日本企業との違いは後半で整理します。どのタイプの会社でも、社名とサービス名は公式の会社概要で確かめるのが出発点です(確認方法は次の章で説明します)。

使う側として日本企業のSaaSを試すなら、全社員が毎日触れる領域から入ると、使い勝手を社内で実感しやすくなります。その一つが、社内の連絡と依頼の置き場所です。株式会社kubellが提供するChatworkは、日本の会社が提供するクラウド型ビジネスチャットの一例です。商品ページでは、チャットのほか、ビデオ通話・音声通話が標準で使えること、タスク管理ができて完了するとチャットに自動で通知されること、ファイルをアップロードしてチャット参加メンバーのみで共有できることが特徴として紹介されています。一方で、フリープランは過去40日分・5,000件までしか閲覧できないため、使い始める前に業務への影響を確認しましょう。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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業種別に見る日本のSaaS企業マップ

日本のSaaS企業は、業種を問わず使える「水平型」と、特定の業界に特化した「垂直型」に分けると整理しやすくなります。水平型はさらに、会計・人事などのバックオフィス系と、営業・顧客対応などのフロントオフィス系に分かれます。以下の会社名とサービス名は、各社の公式サイトで確認したものです。

水平型SaaS(業種を問わず使える業務領域)

業務領域 代表的な企業の例 主なサービスの例
会計・経理 freee株式会社(商号はフリー株式会社)、株式会社マネーフォワード freee会計、マネーフォワード クラウド会計
経費精算 株式会社ラクス 楽楽精算
人事・労務 株式会社SmartHR SmartHR
契約・法務 弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン
営業・顧客接点 Sansan株式会社 Sansan
情報共有・業務アプリ サイボウズ株式会社、株式会社ネオジャパン kintone、サイボウズ Garoon、desknet’s NEO
社内の連絡・ビジネスチャット 株式会社kubell Chatwork

垂直型SaaS(特定業界に特化した領域)

業界 代表的な企業の例 扱うサービスの例
介護・福祉 株式会社エス・エム・エス、株式会社カナミックネットワーク 介護・障害福祉の経営支援(事業内容として掲載)、カナミッククラウドサービス
医療 株式会社メドレー CLINICS(電子カルテ・クラウド診療支援システム)
建設 株式会社アンドパッド ANDPAD(施工管理アプリ)
小売・飲食などの店舗 株式会社スマレジ スマレジ(クラウドPOSレジ)
農業 株式会社クボタ KSAS(農業ソリューション製品として案内)

このマップで押さえておきたいのは、同じ「SaaS企業」でも、水平型と垂直型では顧客も競争相手もまったく異なるという点です。水平型は全業種の企業が顧客になる一方、国内外の多数のサービスと競合します。垂直型は顧客となる業界が限られるものの、業界固有の帳票や規制への対応力が参入障壁になりやすく、業界の実務を理解した人材が強みになります。なお、クボタのように本業は機械メーカーでありながらSaaSに近いサービスを案内する企業もあり、「SaaS専業企業」だけが担い手ではないことも日本市場の特徴です。

SaaS企業のビジネスモデルや重要指標といった基礎はSaaS企業とは|ビジネスモデル・業界マップ・重要指標を解説、分野別の具体的なサービス名はSaaSの代表例|分野別の一覧とPaaS・IaaSの実例を解説でも整理しています。

会社名とサービス名を、公式情報で確かめる

一覧記事の会社名には、略称や旧社名が混ざることがあります。たとえばfreeeは、公式サイトの会社概要で会社名を「freee株式会社」、商号を「フリー株式会社」と併記しています。会社名を書く場面(資料・稟議・契約書)では、公式の会社概要で正式名称を確かめてから使うのが安全です。国税庁の法人番号公表サイトでは、商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号の基本3情報を検索できるため、会社概要と見比べる手段になります。サービス名も同様で、「楽楽精算」のように社名(株式会社ラクス)と違う名前で提供されていることが多く、社名とサービス名を分けて覚えておくと、問い合わせや比較で取り違えません。

日本のSaaS市場規模と成長トレンド

日本のSaaS市場は拡大が続いており、その背景には企業のクラウドサービス利用の広がり、制度改正への対応需要、人手不足を補う業務効率化ニーズの3つがあります。市場規模の推計値は調査会社によって定義や対象範囲が異なるため、数値を比較する際は同じ調査の時系列で見ることが大切です。

市場規模の推計は、調査の範囲を確認して読む

富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場 2026年版」(2026年10月1日発表)では、企業向けソフトウェア52品目の国内市場のうち、SaaS/PaaSが2026年度見込で2兆6,072億円、2030年度予測で3兆7,357億円とされています。2030年度には、ソフトウェア市場に占めるSaaS/PaaSの割合が8割強になると予想されています。この数字はSaaSだけでなくPaaSを含み、対象も52品目のソフトウェアに限られます。調査ごとに品目や定義が違うため、別の調査の数字と直接比べず、同じ調査の版ごとの変化で見てください。

企業のクラウドサービス利用の広がり

総務省の「令和7年通信利用動向調査」(2026年5月29日公表、常用雇用者100人以上の企業が対象)では、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合が83.5%、全社的に利用している企業の割合が60.0%でした。同調査は、一部でも利用している企業が8割を上回り、増加傾向が続いていると述べています。利用用途としては、ファイル保管・データ共有、電子メール、スケジュール共有、給与・財務会計・人事などが上位に挙がっており、本記事の業種別マップでいう水平型の業務領域から利用が広がってきたことが読み取れます(いずれもSaaSに限らないクラウドサービス全体の数字です)。

制度改正が需要を生む構造

日本のSaaS市場の大きな特徴は、法制度の改正が需要の波をつくってきたことです。電子帳簿保存法の改正による電子取引データの保存対応や、2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応では、会計・請求書・経費精算の各領域で、制度に沿った機能を備えたクラウドサービスの検討が一斉に進みました。制度対応はパッケージソフトでも可能ですが、改正のたびにバージョンアップ作業が必要になるため、提供側が機能を更新してくれるSaaS型の利点が注目されやすい構造になっています。

人手不足とDX推進

もう一つの追い風が、人手不足への対応とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。経済産業省は、産業界のDX推進に向けて「デジタルガバナンス・コード」に沿った施策を展開しています。専任のIT担当者を置きにくい中小企業にとって、自社でサーバーを持たず、月額で必要な機能から使い始められるSaaSは、DXの入り口として選ばれやすい手段です。特に介護・建設・農業のように人手不足が深刻な業界では、垂直型SaaSが現場の記録や情報共有の負担を減らす役割を担っています。

生成AI・AIエージェントとの融合

近年の大きな変化として、既存のSaaSに生成AIの機能を組み込む動きが国内外で広がっています。会計なら仕訳の候補提示、営業支援なら商談記録の要約、人事労務なら問い合わせへの自動回答というように、SaaSに蓄積された業務データを使ってAIが作業の一部を担う形です。富士キメラ総研の同発表も、生成AIやAIエージェント機能の搭載による高付加価値化と、それに伴う製品の価格上昇の傾向に触れています。AI機能の範囲や精度、入力したデータがAIの学習に使われるかどうかはサービスごとに異なるため、導入時は利用規約やデータの取り扱い方針もあわせて確認することが大切です。今後の動向はSaaSの今後はどうなる?AIエージェントと価格モデルの転換・日本市場の展望と企業の備えで詳しく扱っています。

上場SaaS企業を業績で比べるときの中立的な見方

上場しているSaaS企業を比べるときは、売上高の順位だけでなく、契約が積み上がる事業構造を表す指標と、一次情報である有価証券報告書・決算説明資料をあわせて見ることが重要です。ランキング記事の数値は、集計時点や決算期のずれによって記事ごとに異なることがあり、そのまま比較すると誤解につながります。

SaaS企業特有の業績指標

指標 意味 見るときの注意点
ARR(年間経常収益) 継続課金による収益を年額に換算したもの 算出方法は企業ごとに定義が異なり、会計上の売上高とは一致しない
解約率(チャーンレート) 一定期間に解約された契約や収益の割合 件数ベースか金額ベースかで数値が変わる
売上継続率(NRR) 既存顧客からの収益が、追加購入や解約を反映してどれだけ維持・拡大したか 100%を超えると既存顧客だけで収益が伸びている状態を示すが、開示していない企業もある
顧客数・顧客単価 契約企業数と1社あたりの平均収益 中小企業中心か大企業中心かで、同じ売上でも事業の性質が大きく異なる

売上高・平均年収などの数字の確認先と注意点

売上高や平均年収のランキングに使われる数字は、元になる資料と集計の範囲を確かめると、記事ごとの違いが説明できます。有価証券報告書の「従業員の状況」を例に見ると、サイボウズの第29期(2025年12月期)では、連結会社の従業員数と提出会社の従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与が別々に記載され、平均年間給与は賞与、基準外賃金及び持株会奨励金を含むと注記されています。同じ「従業員数」「年収」でも、グループ全体か単体か、何を含むかで数字が変わるということです。

ランキングの数字 確認できる一次情報 確認したい点
売上高 決算短信、有価証券報告書 決算期、連結か単体か、SaaS以外の事業を含むか
平均年収 有価証券報告書の「従業員の状況」 提出会社(単体)の平均年間給与か、賞与や基準外賃金を含むか、決算期はいつか
従業員数 有価証券報告書の「従業員の状況」 連結会社の人数か提出会社の人数か、臨時雇用者を含むか
ARRなどのSaaS指標 各社IRページの決算説明資料 定義が会社ごとに違うため、同じ会社の時系列で見る

一次情報の確認先

上場企業の業績は、金融庁が運営する電子開示システム「EDINET」で有価証券報告書を確認できます。各社のIRページにも、有価証券報告書や決算説明資料が掲載されています。ランキング記事の数値を引用する場合も、元の資料と決算期を確かめてから使うのが安全です。国内の主な上場SaaS企業の売上高を決算期つきで並べた数字は、SaaSランキングの見方|国内8社の最新売上高と、記事ごとに順位が違う理由で整理しています。なお、本記事は特定の企業への投資を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。

一方で、SaaSを「使う側」として比較する場合、企業の売上規模とサービスの使いやすさは必ずしも一致しません。規模の大きな企業のサービスは実績やサポート体制の安心感がある反面、自社の業務や予算に合うかは別の問題です。売上ランキングは企業を知るきっかけにとどめ、実際の選定では機能と条件を横並びで比べることが欠かせません。

日本のSaaS企業の特徴と海外SaaSとの違い

日本のSaaS企業は、日本特有の商習慣や制度への対応、日本語による手厚いサポート、中小企業向けの導入しやすさを強みとして成長してきました。一方、海外のSaaSは世界規模の開発投資と、ほかのサービスと連携するための豊富な仕組み(APIや連携アプリ)に強みがあります。

観点 日本のSaaS企業の傾向 海外のSaaS企業の傾向
制度・商習慣への対応 稟議、押印、年末調整、インボイス制度などに標準で対応しやすい 日本向けの対応はローカライズや連携サービスで補う場合がある
サポート 日本語の電話・チャット、導入支援が充実していることが多い オンラインのヘルプやコミュニティ中心の場合があり、日本語対応の範囲は要確認
拡張性・連携 国内サービス同士の連携は進んでいるが、サービスにより差がある APIや連携アプリが豊富で、組み合わせて拡張しやすい
主な顧客層 中小企業から始まり、大企業へ広げる例が多い 世界の大企業から中小企業まで幅広い

この違いは優劣ではなく、得意分野の違いです。実務では、コミュニケーションやファイル共有のように商習慣の影響を受けにくい領域では海外SaaSを使い、会計・人事労務・契約のように国内制度への対応が欠かせない領域では日本のSaaSを使う、というように業務領域ごとに組み合わせる企業が多く見られます。組み合わせる際は、サービス間でデータを連携できるかを導入前に確認しておくと、手作業でのデータ転記を避けられます。

また、日本のSaaS企業には、単一のサービスから始めて周辺領域へ製品を広げる「マルチプロダクト化」の動きも目立ちます。会計から請求・経費・人事へ、名刺管理から営業支援・請求書受領へというように、同じ顧客に複数のサービスを提供する戦略です。導入する側にとっては、1社のサービスでまとめると連携の手間が減る一方、特定の企業への依存度が高まる点も考慮しておく必要があります。

SaaS企業とSIer・受託開発の会社は何が違うか

「IT企業」とひとまとめにされがちですが、SaaS企業と、システムの構築を請け負うSIerや受託開発の会社とでは、事業の組み立てが異なります。次の表は一般的な整理で、実際の会社は両方の事業を持つ場合もあります。

観点 SaaS企業 SIer・受託開発の会社
提供するもの 完成したソフトウェアをサービスとして、多数の顧客に同じ仕組みで提供する 顧客ごとの要件に合わせて、システムを設計・開発・構築する
収益の形 月額・年額の利用料など、契約が続く限り入る継続的な収益が中心 開発案件ごとの対価が中心で、運用保守で継続収益を得る場合もある
利用者から見た違い すぐ使い始められるが、機能は提供会社の設計の範囲内 自社の業務に合わせて作れるが、開発の期間と費用がかかる

SaaS企業を見る際の3つの視点(導入検討者向け)

導入を前提にSaaS企業を見るときは、企業の知名度よりも「自社の業務領域に合っているか」「情報を安全に預けられるか」「使い続けられる契約条件か」の3点を確認することが大切です。

視点1|自社の業務領域と、水平型・垂直型のどちらが合うか

業種別マップを使って、解決したい課題が全業種に共通する業務(会計・人事・情報共有など)なのか、自社の業界固有の業務(介護記録・工程管理など)なのかを先に切り分けます。業界固有の帳票や手続きが多い業務に水平型SaaSを無理に当てはめると、結局は表計算ソフトでの手作業が残りがちです。反対に、全業種共通の業務に業界特化型を選ぶと、機能が過剰になったり費用が割高になったりすることがあります。

視点2|セキュリティと第三者評価

SaaSでは自社のデータを提供企業のサーバーに預けるため、情報管理の体制確認が欠かせません。確認の手がかりになるのが、情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO/IEC 27001(ISMS)などの認証取得状況や、政府機関がクラウドサービスを調達する際の評価制度「ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)」への登録状況です。ISMAPの登録サービスは、ISMAPポータルの「ISMAPクラウドサービスリスト」で確認できます。登録がないからといって安全性が低いとは限りませんが、客観的な評価を受けているかどうかは比較の材料になります。個人情報を扱う業務であれば、データの保管場所や、退会時のデータの返却・削除の扱いもあわせて確認しましょう。

視点3|契約条件と使い続けやすさ

最低契約期間、最低ユーザー数、料金が上がる条件(ユーザー追加・容量・オプション)、無料トライアルの有無は、サービスごとに大きく異なります。導入時の費用だけでなく、利用人数が増えたときや数年使い続けたときの総額で比べることが重要です。あわせて、社員が迷わず使える操作性かどうかは、実際にトライアルで現場の担当者に触ってもらうのが最も確実です。

最初のSaaSを選ぶ前に、今のやり方で足りているかを確かめる

3つの視点を実際に試しやすいのは、全社員が毎日使う、連絡と依頼の置き場所です。ビジネスチャットやグループウェアは、無料のプランやトライアルで確かめられるサービスが多く、セキュリティや契約条件の違いも比べやすい領域です。次のチェックリストで、いまのやり方に手間やミスが出やすい点がいくつあるか数えてみてください。

最初のSaaS選びの前に、社内の連絡と依頼のやり方をセルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

日本のSaaS企業を調べるときによくある誤解

SaaS企業の一覧やランキングを見る際は、並び順、上場の有無、企業の知名度をそのまま評価と受け取らないことが大切です。よくある誤解と、正しい見方を整理しました。

よくある誤解 正しい見方
一覧の並び順は企業の優劣を示している 多くは売上高など特定の数値や、業務分類の都合による並びにすぎない
上場企業のサービスなら自社にも合う 上場は情報開示の多さを示すが、自社業務との適合性は個別に確認が必要
SaaS企業はすべてSaaS専業である 製造業など、本業の傍らでクラウドサービスを案内する企業もある
ランキング記事の売上高や年収はどれも同じ条件で比べられる 決算期や集計時点、連結か単体か、SaaS以外の事業を含むかで数値が異なる

転職先として調べる場合も同じ考え方が当てはまります。企業の規模や年収だけでなく、水平型か垂直型か、中小企業向けか大企業向けかによって、営業やカスタマーサクセスの仕事内容は大きく変わります。業種別マップで関心のある領域を先に決めてから企業を調べると、比較の軸がぶれにくくなります。

SaaS企業の職種は、見込み顧客を集めるマーケティング、電話やオンラインで商談の機会をつくるインサイドセールス、商談から契約までを担うフィールドセールス、契約後の活用を支援して解約を防ぐカスタマーサクセスというように、顧客との関係の段階ごとに分業する体制をとる企業が多く見られます。これに開発を担うエンジニアやプロダクトマネージャー、導入時の設定を支援する担当などが加わります。同じ職種名でも、担当する顧客の規模や業界によって求められる知識が変わるため、求人票では担当領域と顧客層まで確認しておくと入社後のずれを防げます。

会社の一覧を調べ終えたら、次は自社で使うSaaSを1つ決めて試す段階です。ここまでの3つの視点を当てはめやすいのは、全社員が毎日触れる連絡と依頼の置き場所です。ビジネスチャットのChatworkなら、商品ページで機能とプランを確認したうえで、無料のフリープランから使い始める方法もあります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSを提供する日本企業には、どのような種類がありますか?

A. 業種を問わず使える水平型(会計・人事・契約・営業支援・情報共有など)と、特定業界に特化した垂直型(介護・医療・建設・農業など)に大きく分けられます。SaaSを主力にする会社と、本業のほかにSaaSも提供する会社という見方もあります。

Q2. 日本の大手SaaS企業はどこですか?

A. 「大手」の基準は売上高、時価総額、従業員数などで変わり、決算期によって順番も入れ替わるため、一つの答えはありません。領域ごとの代表例としては、会計のfreee株式会社・株式会社マネーフォワード、人事労務の株式会社SmartHR、情報共有のサイボウズ株式会社、営業のSansan株式会社などが挙げられます。優劣を示すものではなく、最新の数字は各社の決算資料で確認できます。

Q3. 日本のSaaS企業と海外のSaaS企業の違いは何ですか?

A. 日本のSaaS企業は日本の商習慣や制度への対応、日本語サポートに強みがある傾向があり、海外のSaaS企業は開発規模や他サービスとの連携のしやすさに強みがある傾向があります。

Q4. 上場SaaS企業の業績や平均年収はどこで確認できますか?

A. 金融庁の電子開示システムEDINETや各社のIRページで、有価証券報告書を確認できます。平均年間給与や従業員数は「従業員の状況」に載り、連結か単体か、賞与を含むかが会社ごとに異なります。ARRや解約率などSaaS特有の指標は、各社IRページの決算説明資料に載っていることが多いです。

Q5. 今後伸びるSaaS企業はどこですか?

A. 将来の成長を特定の会社について断定することはできません。確認するなら、事業領域の市場動向、ARR・解約率・NRRなど契約の積み上がりを示す指標の推移、生成AIへの対応を、各社の決算説明資料で時系列に見ます。特定の企業への投資を推奨するものではなく、投資判断はご自身で行ってください。

Q6. 初めてSaaSを導入するなら、どの領域から始めるとよいですか?

A. 全社員が使い、無料プランやトライアルで比較しやすい、社内の連絡や情報共有の領域(ビジネスチャット、グループウェアなど)から始めると、SaaSの使い勝手や選定の基準を社内で共有しやすくなります。

まとめ

SaaSを提供する日本企業は、ランキングの順位ではなく「どの業務・業界の課題を解く企業か」で整理すると、目的に合った企業を見つけやすくなります。押さえておきたいポイントは次の4つです。

  1. 日本のSaaS企業は、水平型(バックオフィス系・フロントオフィス系)と垂直型(業界特化)に分け、会社名とサービス名は公式の会社概要で確かめる。
  2. 市場の成長は、クラウド利用の広がり、制度改正への対応、人手不足とDX推進に支えられている。
  3. 上場企業の業績や年収は、決算期、連結か単体か、定義を確かめたうえで、有価証券報告書・決算説明資料の一次情報で確認する。
  4. 自社で使うSaaSは、業務領域の適合、セキュリティ、契約条件の3つで比べる。最初の1つを連絡と依頼の置き場所にするなら、Chatworkなどの資料を取り寄せ、機能とプランを比べる。

参考文献

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