IaaS/PaaS/SaaS/DaaSの違いを図解|クラウド3層モデルと責任分担

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  • IaaS/PaaS/SaaS/DaaSの違いを1枚の図で把握
  • クラウド事業者と利用者の責任分担モデルの全体像
  • 水平型・垂直型・DBaaSなど派生分類の整理

IaaS、PaaS、SaaS、DaaSは、どこまでをクラウド事業者に任せ、どこからを利用者が管理するかを整理するための言葉です。言葉だけで覚えると、インフラ、開発基盤、完成アプリ、仮想デスクトップやデータ提供の違いが混ざりやすくなります。この記事では、NISTのクラウド3層モデルを土台に、DaaSやDBaaS、水平型・垂直型SaaSまでを図解で整理します。個人事業主が自分で使うツールを選ぶ場合も、中小企業の情シス兼任者が社内説明をする場合も、中堅・大企業で新人研修資料を作る場合も、まずは「何を借りて、何を自社で管理するか」から見ていきましょう。

目次

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  1. IaaS/PaaS/SaaS/DaaSを図で整理する
  2. 4分類の違いは「何を借りるか」で見る
  3. 責任分担モデルを図解する
  4. DaaSとDBaaSは3層モデルの横に置いて理解する
  5. 水平型SaaSと垂直型SaaSの違いを図解する
  6. 選び方は業務要件から逆算する
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ|今日からできる3つのこと
  9. 出典一覧

IaaS/PaaS/SaaS/DaaSを図で整理する

IaaS、PaaS、SaaSの基本は、クラウドサービスを「インフラ」「開発基盤」「完成アプリ」の3段階で分ける考え方です。NIST SP 800-145では、クラウドコンピューティングを5つの基本特性、3つのサービスモデル、4つの配置モデルで構成されるものとして示しています。ここでいう3つのサービスモデルが、IaaS、PaaS、SaaSです。

図1:IaaS/PaaS/SaaS/DaaSの4分類マップ IaaS、PaaS、SaaSを下から積み上げ、DaaSを利用環境やデータ提供の補助線として横に置いた図です。 クラウド分類は「どこまで任せるか」で見る IaaS サーバー・ネットワークなどの土台 OSやアプリは利用者側で設計・管理しやすい PaaS アプリ開発・実行の基盤 開発に集中しやすいが基盤の制約も受ける SaaS 完成したアプリを利用 メール、会計、CRMなど業務で使う形に近い DaaS Desktop 仮想デスクトップ Data データ提供 3層モデルとは別軸で整理 IaaS/PaaS/SaaSは縦の抽象度、DaaSは提供対象で見分ける
図1:IaaS/PaaS/SaaSは縦の3層、DaaSは文脈別の補助線として整理します。

IaaS・PaaS・SaaSはNISTの3サービスモデル

IaaSは仮想サーバーやストレージなどの土台を借りるモデル、PaaSはアプリを作って動かすための基盤を借りるモデル、SaaSは完成したアプリを使うモデルです。SaaSそのものの意味や基本を先に押さえたい場合は、SaaSとは何かを解説した記事も合わせて確認すると、この記事の図が読みやすくなります。

DaaSは文脈で意味が分かれるため補助線として扱う

DaaSは、Desktop as a Serviceを指す場合と、Data as a Serviceを指す場合があります。前者はクラウド上のデスクトップ環境を使う考え方、後者は外部データをサービスとして利用する考え方です。そのため、DaaSをIaaS/PaaS/SaaSの単純な上位層として置くよりも、「何を提供しているDaaSなのか」を確認する方が実務では安全です。

4分類の違いは「何を借りるか」で見る

4分類の違いは、サービス名の語感ではなく「何を借りるか」と「どこを自社で管理するか」で見ると整理しやすくなります。文章でじっくり比較したい場合は、IaaS/PaaS/SaaSの違いを解説した記事を参照し、本記事では図と表で全体像をつかむ位置づけにします。

分類主に借りるもの利用者が意識しやすい管理範囲向いている場面
IaaS仮想サーバー、ストレージ、ネットワークOS、ミドルウェア、アプリ、データ、設定自由度を保ってインフラを構成したい場合
PaaSアプリ開発・実行基盤アプリ、データ、利用設定開発環境の用意よりアプリ開発に集中したい場合
SaaS完成したアプリケーションユーザー、権限、入力データ、利用ルール業務機能を早く使い始めたい場合
DaaSデスクトップ環境またはデータ提供用途、アカウント、接続、データ利用範囲端末環境を集約したい場合や外部データを使いたい場合

IaaSは土台、PaaSは開発基盤、SaaSは完成アプリ

IaaSは、建物でいう土地や骨組みに近い位置づけです。OSやアプリの設計自由度を持ちやすい一方で、運用設計も利用者側に残ります。IaaSを単独で深掘りしたい場合は、IaaSの基本を整理した記事が補足になります。

SaaSは導入しやすいが、管理が消えるわけではない

SaaSは完成したアプリを使うため、個人事業主や中小企業でも始めやすい形です。ただし、ユーザー権限、退職者アカウント、保存するデータ、外部連携の範囲は利用者側でも管理が必要です。クラウド全体とSaaSの違いを確認したい場合は、SaaSとクラウドの違いを扱う記事に進むと理解がつながります。

責任分担モデルを図解する

クラウドを選ぶときは、機能だけでなく責任分担も見ます。SaaSに近づくほどクラウド事業者が管理する範囲は広がりますが、利用者の責任がなくなるわけではありません。総務省やIPAのクラウド関連資料でも、サービスを使う側が確認すべき設定、契約、データ管理、セキュリティ対策の重要性が示されています。

図2:クラウド事業者と利用者の責任分担モデル IaaS、PaaS、SaaSの各層で利用者とクラウド事業者が担う範囲を色分けしています。 上に行くほど事業者管理が増える 利用者が主に管理 クラウド事業者が主に管理 IaaS アプリ データ OS 仮想化 物理基盤 PaaS アプリ データ OS 実行基盤 物理基盤 SaaS 利用設定 入力データ アプリ 実行基盤 物理基盤 SaaSでもアカウント・権限・データ利用ルールは利用者側で確認する
図2:IaaS、PaaS、SaaSでは、利用者と事業者の管理範囲が変わります。

上位サービスほど利用者の管理範囲は小さくなる

IaaSでは自由度が高い分、OSやミドルウェアの設定、脆弱性対応、バックアップ方針などを利用者側で考える場面が多くなります。PaaSでは基盤運用の負担が減り、SaaSではアプリそのものの管理も事業者側に寄ります。中堅・大企業で社内標準を作る場合は、サービス分類ごとに承認フローや運用ルールを分けると説明しやすくなります。

SaaSでもアカウント管理とデータ管理は残る

SaaSは「すべて任せられるサービス」ではありません。退職者アカウントの停止、二要素認証の設定、外部共有の範囲、保存する個人データの扱いなどは利用者側の運用に残ります。政府情報システムでクラウドサービスを使う際の評価制度であるISMAPも、クラウドを使う側がサービスの安全性を確認する考え方を支える制度として参考になります。

DaaSとDBaaSは3層モデルの横に置いて理解する

DaaSやDBaaSは、IaaS/PaaS/SaaSの3層モデルにそのまま上乗せするより、提供対象を示す言葉として整理すると混乱しにくくなります。DaaSはDesktopやDataの文脈、DBaaSはDatabaseの運用をサービス化する文脈で使われます。つまり、3層モデルは「抽象度」、DaaS/DBaaSは「何をサービス化しているか」を見る軸です。

図3:DaaS/DBaaSの位置づけ DaaSとDBaaSを、IaaS/PaaS/SaaSの直列ではなく提供対象別の周辺概念として整理しています。 派生語は「提供対象」で分ける 3層モデル SaaS:完成アプリ PaaS:開発基盤 IaaS:インフラ Desktop as a Service 仮想デスクトップ環境を提供 Data as a Service 外部データやAPIを提供 DBaaS:データベース運用
図3:DaaS/DBaaSは3層モデルの直列ではなく、提供対象で整理します。

Desktop as a Serviceは利用環境を提供する考え方

Desktop as a Serviceは、利用者が手元の端末からクラウド上のデスクトップ環境に接続して使う考え方です。端末をまたいで業務環境をそろえたい、在宅勤務や外部拠点で同じ作業環境を使いたい、といった場面で検討されます。ただし、端末認証、通信、ユーザー権限、データ保存先の設計は別途確認が必要です。

DBaaSはPaaS寄りのデータベース運用サービス

DBaaSは、データベースの構築や運用の一部をサービスとして使う考え方です。アプリ開発者にとっては、サーバーを細かく管理するよりも、データベース機能を早く使える利点があります。一方で、バックアップ、権限、暗号化、接続先、データの持ち出し方は確認が必要です。SaaSに組み込まれたデータベース機能とは区別して考えると、社内説明がしやすくなります。

水平型SaaSと垂直型SaaSの違いを図解する

SaaSの中にも分類があります。代表的なのが、業種を問わず使われる水平型SaaSと、特定業界の業務に寄せた垂直型SaaSです。これはIaaS/PaaS/SaaSの3層モデルとは別の分類軸です。クラウドサービスの層を理解したうえで、SaaSの中をさらに業務共通性と業界特化度で見ると、選定時の会話がそろいやすくなります。

図4:水平型・垂直型SaaSの2軸整理 業種共通の水平型SaaSと業界特化の垂直型SaaSを、業務の共通性と業界特化度で整理しています。 SaaSの中は「共通業務」か「業界特化」かで見る 業界特化度が高い 業務共通性が高い 水平型SaaS 会計・人事・CRMなど 多くの業種で使いやすい 垂直型SaaS 医療・製造・不動産など 業界固有の業務に寄せる 水平型・垂直型はSaaSの中の分類であり、IaaS/PaaSとの上下関係ではありません。
図4:水平型SaaSは共通業務、垂直型SaaSは業界固有業務に寄せて整理します。

水平型SaaSは多くの業種に共通する業務を支える

水平型SaaSは、会計、人事、営業管理、チャット、オンライン会議など、業種を問わず発生しやすい業務を支えるサービスです。個人事業主や中小企業では、まず水平型SaaSから導入を検討することが多くなります。業務が一般的で、既存機能に合わせられる場合は、開発よりSaaS利用の方が説明しやすい選択肢になります。

垂直型SaaSは業界固有の業務に寄せる

垂直型SaaSは、医療、製造、不動産、建設、教育など、業界ごとに異なる業務手順や帳票、規制、商習慣に寄せたサービスです。中堅・大企業では、水平型で全社共通の土台をそろえ、業界固有領域は垂直型を組み合わせる設計も考えられます。SIerとの違いを含めて提供形態を整理したい場合は、SaaSとSIerの違いも確認すると、内製・外注・サービス利用の切り分けがしやすくなります。

選び方は業務要件から逆算する

クラウド分類は、先にサービス名を選ぶより、業務要件から逆算する方が実務に向いています。完成した機能をそのまま使えるならSaaS、独自アプリを作るならPaaS、基盤から自由に設計したいならIaaSが候補になります。DXやIT化の文脈でクラウド分類を考える場合は、DXとIT化の違いを整理したうえで、目的から技術を選ぶ順番にすると社内説明が通りやすくなります。

図5:業務要件から見るクラウド分類の選び方 完成アプリ、独自開発、基盤自由度、仮想デスクトップやデータ利用の要件から分類を選ぶ流れを示しています。 先に業務要件、次にクラウド分類 業務で何をしたいか 完成機能で足りる 会計・人事・CRMなど 独自アプリを作る 開発・実行基盤が必要 基盤から設計する OS・構成の自由度重視 SaaS PaaS IaaS 仮想デスクトップやデータ利用ならDaaS/DBaaSも確認
図5:クラウド分類は、業務要件から逆算すると選びやすくなります。

完成アプリで足りるならSaaSから見る

入力、承認、集計、共有などの業務が標準機能で足りる場合は、まずSaaSから見ると整理しやすくなります。個人事業主であれば会計や請求、少人数の中小企業であれば勤怠や顧客管理、中堅・大企業であれば部門横断のワークフローなど、共通業務を洗い出すのが出発点です。

独自開発・運用要件が強ければPaaS/IaaSを検討する

既存SaaSでは業務に合わない場合や、独自アプリを作る必要がある場合はPaaSが候補になります。さらに、OS、ネットワーク、セキュリティ構成、既存システムとの接続を細かく設計する必要がある場合はIaaSも検討対象です。どの分類でも、契約条件、運用体制、データ移行、障害時の連絡経路は事前に確認しておくと、導入後の認識ずれを減らせます。

よくある質問(FAQ)

Q. IaaS/PaaS/SaaS/DaaSは上下関係ですか?

A. IaaS/PaaS/SaaSは抽象度の違いとして上下に並べられますが、DaaSは同じ軸で単純に上に置くよりも、DesktopやDataなど提供対象で分けて考える方が自然です。資料にする場合は、3層モデルの横にDaaSを補助線として置くと説明しやすくなります。

Q. DaaSとDBaaSは同じですか?

A. 同じではありません。DaaSはDesktop as a ServiceやData as a Serviceを指す場合があり、DBaaSはDatabase as a Service、つまりデータベース運用のサービス化を指す文脈で使われます。略語だけで判断せず、何を提供するサービスなのかを確認することが大切です。

Q. SaaSならセキュリティ対策は不要ですか?

A. 不要ではありません。SaaSではアプリや基盤の多くを事業者が管理しますが、利用者側にはアカウント、権限、データ入力、外部共有、端末利用、社内ルールの管理が残ります。特に退職者アカウントや共有リンクの棚卸しは、サービス分類に関係なく確認しておきたい項目です。

Q. 水平型SaaSと垂直型SaaSはどちらがよいですか?

A. どちらが一律によいとはいえません。共通業務を早く整えたい場合は水平型SaaS、業界固有の帳票や規制、業務フローに合わせたい場合は垂直型SaaSが候補になります。導入前には、標準機能で足りる範囲と、個別対応が必要な範囲を分けて考えると判断しやすくなります。

まとめ|今日からできる3つのこと

IaaS、PaaS、SaaS、DaaSの違いは、略語を暗記するよりも「何を借りるか」「どこまでを任せるか」「何が利用者側に残るか」で整理すると理解しやすくなります。S-013との違いとして、本記事では図解を中心に、DaaS、DBaaS、水平型・垂直型SaaS、責任分担までを一枚の教材として扱いました。

  1. 3層モデルを、IaaS=土台、PaaS=開発基盤、SaaS=完成アプリとして説明できるようにする。
  2. DaaSやDBaaSは、3層モデルの上位ではなく「何を提供するか」の補助線として確認する。
  3. サービス選定時は、機能だけでなく、アカウント、権限、データ、契約、責任分担を確認する。

社内説明では、まず図1で全体像を示し、図2で責任分担を確認し、図5で業務要件から候補を絞る流れにすると伝わりやすくなります。必要に応じて、SaaS、IaaS、クラウド、SIer、DXとIT化の違いを扱う各記事へ読み進めると、分類だけでなく導入判断までつなげられます。

出典一覧

  • National Institute of Standards and Technology / The NIST Definition of Cloud Computing, NIST Special Publication 800-145 / 2011年9月 / https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/145/final / 取得日:2026-06-14
  • 総務省 / 令和7年版 情報通信白書 / 2025年 / https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/ / 取得日:2026-06-14
  • 総務省 / クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン / 2021年 / https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telecom/ / 取得日:2026-06-14
  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) / クラウド利用者のための情報セキュリティチェックシート / 公式掲載資料に準拠 / https://www.ipa.go.jp/security/ / 取得日:2026-06-14
  • 内閣サイバーセキュリティセンター・デジタル庁・総務省・経済産業省 / ISMAP:政府情報システムのためのセキュリティ評価制度 / 2020年制度開始 / https://www.ismap.go.jp/csm / 取得日:2026-06-14
  • 経済産業省 / DXレポート2.2 / 2022年7月 / https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html / 取得日:2026-06-14

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