IaaS/PaaS/SaaS/DaaSの違い
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- IaaS/PaaS/SaaS/DaaSそれぞれの意味がわかる
- SaaSでも利用者側に残る責任がわかる
- 水平型・垂直型SaaSの選び方とよくある失敗がわかる
IaaS・PaaS・SaaS・DaaSという略語が並ぶと、それぞれ何を指すのか、どこまで自社が責任を持つべきなのか分かりにくいことがあります。4分類を「何を借りるか」という軸で整理すると理解しやすくなります。本記事では、IaaS/PaaS/SaaS/DaaSの違いをクラウド3層モデルと責任分担の観点から図解で解説します。SaaS・PaaS・IaaS・ASPの基本的な違いや選び方はSaaSとPaaS・IaaS・ASPの違いを解説した記事で整理しています。
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IaaS/PaaS/SaaS/DaaSとは
IaaS・PaaS・SaaS・DaaSは「何を借りるか」という軸で整理できます。IaaSは仮想サーバー・ストレージなどの土台、PaaSは開発・実行基盤、SaaSは完成したアプリケーション、DaaSはデスクトップ環境またはデータ提供を指します。
| 分類 | 借りるもの |
|---|---|
| IaaS | 仮想サーバー・ストレージ等の土台 |
| PaaS | 開発・実行基盤 |
| SaaS | 完成したアプリケーション |
| DaaS | デスクトップ環境またはデータ提供 |
DaaSとDBaaSは3層モデルの横に置いて理解する
DaaSはDesktop as a ServiceまたはData as a Serviceを指す場合があり、3層モデルの直列に並べるのではなく、提供対象で整理する方が実務的です。Desktop型は仮想デスクトップ環境の提供、Data型は外部データやAPI提供の文脈で使われます。DaaSとDBaaS(Database as a Service)は異なるサービスを指す点にも注意が必要です。
責任分担モデルを図解する
SaaSであっても、アカウント管理とデータ管理の一部は利用者側に責任が残ります。クラウド事業者がインフラを管理する一方、利用者はID・パスワードの管理や、社内データの取り扱いルールを自社で整備する必要があり、セキュリティ対策は借りる範囲が増えても必須のままです。
水平型SaaSと垂直型SaaSの違い
業種を問わず横断的に使われるSaaSを水平型、特定の業種・業務に特化したSaaSを垂直型と呼びます。グループウェアのように、部署や業種を問わず社内の情報共有・スケジュール管理に使われるツールは水平型SaaSの代表例です。自社の業務要件が業種特有のものか、部門横断的なものかによって、水平型か垂直型かの選び方が変わります。
例えば無料プランのあるグループウェアは、SaaSという借り方の中でも「完成したアプリケーションをそのまま利用する」という位置づけを最も分かりやすく体感できる水平型SaaSの一例です。
責任分担モデルを層ごとに具体的に見る
クラウド事業者と利用者の責任範囲は、IaaS・PaaS・SaaSの層が上がるほど、利用者側の管理対象が狭くなっていきます。IaaSでは、物理的なデータセンター・ハードウェア・仮想化基盤は事業者の責任範囲ですが、その上で動くOS・ミドルウェア・アプリケーション・データの管理は利用者側の責任として残ります。自社でOSのセキュリティパッチ適用やバックアップ設計まで行う必要があるため、専任の運用担当者を確保できる企業に向いています。
PaaSでは、OSやミドルウェアの管理も事業者側に含まれるため、利用者はアプリケーションの開発とデータ管理に専念できます。SaaSまで層が上がると、アプリケーション自体も事業者が提供・保守するため、利用者に残る責任は主にアカウント管理(ID・パスワードの適切な運用、多要素認証の設定)と、入力・保存するデータの取り扱いルール(誰がどの情報にアクセスできるかの権限設計、退職者アカウントの速やかな削除等)に絞られます。「SaaSは全部お任せできる」という理解のまま運用すると、アカウント管理の不備が情報漏えいにつながるケースがあるため、借りる範囲が増えるほど利用者側の責任がゼロに近づくわけではない、という点への理解が重要です。
4分類を跨いで併用する場合の注意点
実際の企業システムでは、IaaS・PaaS・SaaSのいずれか1つだけを使うのではなく、複数の層を組み合わせて運用することが一般的です。例えば、基幹システムは自社でIaaS上に構築しつつ、勤怠管理やグループウェアといった汎用業務はSaaSを利用し、両者の間でデータ連携が必要になる場面が生じます。
この場合、IaaS上のシステムとSaaS側のAPI仕様が異なるため、連携方式(API・CSV連携・RPAによる自動転記等)を個別に検討する必要があります。また、責任分担モデルも層ごとに異なるため、障害が発生した際に「どの層の問題か」を切り分けられる体制を事前に整えておくことが望ましいといえます。IaaS層の障害なのか、SaaS側の障害なのか、あるいは両者をつなぐ連携部分の不具合なのかによって、問い合わせ先や復旧手順が変わるため、システム構成図と合わせて障害時の連絡フローを整理しておくと、実際の障害対応がスムーズになります。
選び方は業務要件から逆算する
まず自社の業務要件を整理し、それを実現するために何を借りる必要があるかを逆算して選ぶことが実践的です。開発の自由度が必要ならPaaS以下の層、すぐに使える業務アプリが欲しいならSaaSという判断が基本になります。
コスト構造の違いを比較する
IaaS・PaaS・SaaSは、コストの発生の仕方も層ごとに異なります。IaaSは、CPU・メモリ・ストレージといったリソースの使用量に応じた従量課金が基本で、利用状況に応じてコストが変動します。設計・構築・運用の人件費も自社で負担するため、見た目の利用料以上に総コストがかかる場合がある一方、利用パターンを最適化すればコストを細かく調整できる柔軟性があります。
PaaSは、開発・実行環境の利用料に加えて、開発者のライセンス数やビルド回数に応じた課金体系を採用しているサービスもあり、開発チームの規模によってコストが変動します。SaaSは、ユーザー数(座席数)に応じた月額課金が最も一般的で、初期費用を抑えて始めやすい一方、利用人数が増えるほど月額コストも比例して増加するため、長期的な利用人数の見込みを立てたうえで契約プランを選ぶことが重要です。層が上がるほど初期投資は抑えやすくなりますが、利用規模が大きくなった際のランニングコストは、IaaSで自社構築する場合と比較して割高になるケースもあるため、単純に「SaaSが常に安い」とは限らない点に注意が必要です。
4分類の理解でよくある失敗パターン3つ
DaaSを3層モデルの延長線上に並べて混乱する、SaaSなら自社の責任は一切ないと考える、水平型と垂直型を区別せずに選定するという3つが、4分類の理解でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:DaaSを3層モデルの延長線上に並べて混乱する。Desktop型とData型を区別せず、IaaS/PaaS/SaaSと同じ軸で理解しようとするケースです。提供対象で整理することが回避策になります。
失敗パターン2:SaaSなら自社の責任は一切ないと考える。アカウント管理やデータ管理まで事業者に任せていると誤解するケースです。責任分担モデルを確認することが回避策になります。
失敗パターン3:水平型と垂直型を区別せずに選定する。業種特有の要件が必要な場面で汎用的な水平型SaaSを選び、機能不足に陥るケースです。業務要件から逆算して選ぶことが回避策になります。
ベンダーロックインを避けるための考え方
借りる範囲が広がるほど、特定の事業者に依存する度合いも高まりやすく、乗り換えのハードルが上がる点に注意が必要です。IaaSでは、仮想サーバーやストレージといった基本的なリソースの操作方法が事業者ごとに異なるため、独自の管理コンソールや運用スクリプトに慣れると、別の事業者への移行時に構成をゼロから作り直す手間が生じます。PaaSでは、事業者独自の開発言語拡張やマネージドサービス(独自仕様のデータベース連携機能等)に依存したアプリケーションを構築すると、他の環境への移植がさらに難しくなる傾向があります。SaaSでは、蓄積したデータを標準的な形式(CSV等)でエクスポートできるかどうかが、乗り換え可否を左右する重要な要素になります。
ベンダーロックインを避けるための具体的な対策としては、契約前にデータのエクスポート機能の有無と対応形式を確認すること、複数の事業者で標準的に使われている技術・仕様を優先して選ぶこと、そして自社の重要データについては定期的にバックアップを取得し、いつでも別環境に移せる状態を保つことが挙げられます。特にSaaSを長期間利用したあとに乗り換えを検討する場合、蓄積された履歴データや設定情報の移行に想定より時間がかかるケースが多いため、契約更新のタイミングで一度、乗り換えコストを試算しておくことも実務上有効です。すべての依存を完全になくすことは難しいものの、乗り換えの選択肢を残しておくこと自体が、事業者側との交渉力にもつながります。
導入前に確認しておきたい契約・SLAのポイント
IaaS・PaaS・SaaSのいずれを選ぶ場合でも、契約書やSLA(サービス品質保証)の内容を導入前に確認しておくことで、後々のトラブルを避けやすくなります。確認すべき代表的な項目としては、稼働率の保証水準とその未達時の補償内容、障害発生時の連絡体制と復旧目標時間、データのバックアップ頻度と保存期間、そして契約解除時のデータ返還・削除に関する条件が挙げられます。特に稼働率の保証は、数字だけを見て安心するのではなく、補償の対象範囲(利用料の一部返金にとどまるのか、実際の損害までカバーされるのか)まで確認しておくことが望ましいといえます。
また、IaaS・PaaSでは、自社が構築した環境やデータの保存場所(国内・海外いずれのデータセンターか)が、業種によっては法令や社内規程上の制約に関わる場合があるため、事前に確認しておく必要があります。SaaSでは、無料トライアル期間中に本番運用を想定した機能を一通り試し、自社の業務フローに合うかどうかを確認したうえで契約に進むと、導入後のミスマッチを減らせます。契約期間についても、月額契約と年額契約では途中解約時の条件が異なることが多いため、自社の利用計画の確度に応じて、柔軟性を優先するか、コストを優先するかを検討することが実践的です。
クラウド4分類と情報セキュリティ体制の関係
4分類のどれを利用する場合でも、社内の情報セキュリティ体制を整えることは避けて通れない課題です。クラウド事業者側のセキュリティ対策がどれだけ堅牢であっても、利用者側のID・パスワード管理や権限設定に不備があれば、情報漏えいのリスクは残ります。特にSaaSを複数導入している企業では、サービスごとに異なるアカウント情報を個別に管理することになり、退職者アカウントの削除漏れや、共有アカウントの使い回しといった運用上の抜けが生じやすくなります。
この課題への対策として、複数のSaaSを横断してID管理を一元化する仕組み(シングルサインオンや、多要素認証を組み合わせたID管理基盤)を導入する企業が増えています。IaaS・PaaSを自社で運用する場合は、OSやミドルウェアの脆弱性情報を継続的に把握し、パッチ適用のスケジュールをあらかじめ定めておくことが求められます。いずれの層においても、「クラウドを使えばセキュリティ対策が不要になる」という誤解を避け、借りる範囲が広がるほど、利用者側に残る責任の質(技術的な管理から運用ルールの整備へ)が変化していく、という理解を持つことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. IaaS・PaaS・SaaS・DaaSの違いは何ですか?
A. 「何を借りるか」という軸で整理でき、IaaSは土台、PaaSは開発基盤、SaaSは完成したアプリケーション、DaaSはデスクトップ環境またはデータ提供を指します。
Q2. DaaSとDBaaSは同じですか?
A. 異なるサービスを指します。DaaSはデスクトップまたはデータの提供、DBaaSはデータベースの提供です。
Q3. SaaSを使えばセキュリティ対策は不要になりますか?
A. 不要にはなりません。アカウント管理とデータ管理の一部は利用者側の責任として残ります。
Q4. 水平型SaaSと垂直型SaaSはどう選べばよいですか?
A. 業種特有の要件が必要なら垂直型、部門横断的な要件なら水平型を選ぶことが基本です。
Q5. 何を基準に選び方を決めればよいですか?
A. 自社の業務要件を整理し、それを実現するために何を借りる必要があるかを逆算して決めます。
Q6. PaaSとSaaSはどう使い分ければよいですか?
A. 開発の自由度が必要ならPaaS、すぐに使える業務アプリが欲しいならSaaSという判断が基本です。
まとめ|今日からできる3つのこと
- DaaSは提供対象で整理する:3層モデルの延長線上に並べません。
- 責任分担モデルを確認する:SaaSでも自社の責任がゼロにはなりません。
- 業務要件から逆算して選ぶ:水平型・垂直型を区別せず選びません。